JP2010111770A - 精製炭化水素油の製造方法および精製炭化水素油 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の性状を有する炭化水素油を原料として、水素化精製処理により炭化水素油中の硫黄分を低減して精製炭化水素油とする際に、二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減した沸点範囲が250〜350℃の留分を得ることが可能な精製炭化水素油の製造方法を提供する。
【解決手段】10容量%留出温度が35〜80℃、97容量%留出温度が250〜420℃の蒸留性状を有し、沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の割合が10〜25容量%であり、且つ、沸点範囲が30℃以上150℃未満の留分に含まれる硫黄分をS1、沸点範囲が150℃以上250℃未満の留分に含まれる硫黄分をS2、沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分に含まれる硫黄分をS3とした場合にS1>S2、S1>S3の関係を満たす炭化水素油を水素化精製処理することを特徴とする、精製炭化水素油の製造方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、精製炭化水素油の製造方法および該製造方法を用いて製造した精製炭化水素油に関し、特には、特定の性状を有する炭化水素油を原料として、水素化精製処理により炭化水素油中の硫黄分を低減して精製炭化水素油とする際に、二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減した沸点範囲が250〜350℃の留分を得ることが可能な精製炭化水素油の製造方法および該製造方法を用いて製造した精製炭化水素油に関するものである。
従来の原油の精製処理においては、図1に示すように、原油を常圧蒸留装置1により常圧蒸留して、軽質ガス、LPガス、ナフサ(軽質ナフサ、重質ナフサ)、灯油、軽油及び残油のそれぞれの留分に分離している。そして、常圧蒸留後、軽質ガスは、アミン精製装置2で酸性ガスを分離されて燃料ガスとなり、一方、軽質ガスから分離された酸性ガスは、硫黄回収装置3に送られ、該酸性ガスから硫黄が回収される。また、分離されたLPガスは、LPガス処理装置4で不純物を除去した後、製品LPガスとされる。
また、軽質ナフサ留分は、軽質ナフサ処理装置5にて簡単な処理を施されて、ガソリンや石化原料となり、重質ナフサ留分は、水素化精製装置6において触媒存在下で水素化精製処理された後、接触改質装置7で、異性化や芳香族化されてガソリンや芳香族製品となる。なお、常圧蒸留装置1からナフサ留分を一括で留出させた後、全ナフサ留分をナフサ用の水素化精製装置8において触媒存在下で水素化精製処理し、その後に軽質ナフサ及び重質ナフサに分離することもある。
更に、灯油留分は、灯油精製装置9で精製されて灯油となり、軽油留分は、軽油用の水素化精製装置10において触媒存在下で水素化精製処理されて軽油となる。また、常圧蒸留装置1の底部に残った残油は、常圧蒸留装置1から取り出され、重油の調合材料とされたり、減圧蒸留装置で減圧蒸留されて軽質油の製造原料となる減圧留出油と減圧蒸留残油とに分離されたりする。このように、従来の原油の精製処理においては、分離された各留分のそれぞれに対して水素化精製(脱硫)などの精製処理が行われている。
しかしながら、上述のような各留分ごとに精製処理を行う方法では、設備構成が複雑になるため、設備コストが高くなる、エネルギー効率が悪化する、それぞれの装置について運転管理やメンテナンスが必要となる、という問題があった。このため、特に原油処理量が小さい場合に、装置構成がより簡素化された、コンパクトで低コストな処理方法が望まれていた。
そのため、原油、或いは、原油からナフサ留分を除いた留分又は原油から残渣油を除いた留分などの留分に対して一括して水素化処理を行い、その後に常圧蒸留によりナフサ留分、灯油留分、軽油留分などの留分を分留する方法が提案されている。
具体的には、例えば特開平3−294390号公報(特許文献1)には、原油中のナフサ留分を蒸留分離した後、該ナフサ留分を除いた残りの留分を脱硫触媒と接触させて脱硫し、次いで蒸留して各製品に分離する原油の精製方法が記載されている。
また、特開平7−82573号公報(特許文献2)には、原油を常圧蒸留して残油と留出油に分離した後、留出油を一括して同一の水素化処理装置で水素化処理する石油の処理方法が記載されている。
更に、特開平7−300592号公報(特許文献3)には、原油を軽油及び軽油より低沸点の留分からなる留出油と残油とに分離した後、留出油を一括して水素化処理して得られた精製油を精留塔で所望の留分に分離し、精留塔で得られた軽油を水素化処理触媒と接触させ脱色処理する石油の処理方法が記載されている。
更にまた、特開2005−187823号公報(特許文献4)には、品質が良好でかつ安定した灯油・軽油を増産することができ、設備の簡素化が図れる方法として、原油又はナフサ留分を除いた原油を、特定の担体に周期律表第6、8、9又は10族に属する金属の少なくとも一種の金属を担持した触媒を用いて、一括して水素化処理する原油の水素化処理方法が記載されている。
一方、近年、灯油や軽油のさらなる低硫黄化が求められている。これに対して、例えば、脱硫率を向上させてより低硫黄分の軽油を得るためには、脱硫反応温度を上昇させるのが効果的である。しかしながら、脱硫反応温度を上昇させた場合には、好ましくない副反応を起こし易くなり、品質の安定した軽油留分を得ることが難しい。そのため、装置がコンパクトで、低コストで処理が可能で、更に、硫黄分が低く、品質の安定している灯油・軽油を得ることが可能な方法が望まれている。
また、近年、パティキュレートの生成に寄与すると考えられる二環芳香族化合物および三環以上の多環芳香族化合物の含有量が少ない軽油が求められているところ、例えば、特開2007−9159号公報(特許文献5)には、ニッケルを含有する触媒を水素化精製処理用触媒として用いて、比較的低い液空間速度(0.05〜0.8hr−1)で軽油留分の水素化精製処理を行うことにより、二環芳香族化合物および三環以上の多環芳香族化合物の含有量が低い精製軽油を得る方法が記載されている。しかしながら、この方法では、処理を行う際に液空間速度を低くしなければならないという問題があった。そのため、二環芳香族化合物および三環以上の多環芳香族化合物の含有量が低い軽油を効率的に製造可能な方法が求められていた。
特開平3−294390号公報 特開平7−82573号公報 特開平7−300592号公報 特開平7−305077号公報 特開2007−9159号公報
これに対し、本発明者らは、硫黄分が低く且つ品質が良好で安定した石油留分、特に軽油留分を、簡素化された精製設備を用いて、経済的に有利に製造できる炭化水素油の精製方法として、特定の蒸留性状を有し、かつ、特定の硫黄分分布を有する炭化水素油を一括して水素化精製処理し、該水素化精製処理された精製油を常圧蒸留装置にて常圧蒸留して、精製軽質ナフサ、精製重質ナフサ、精製灯油、精製軽油及び精製重質軽油に分離する炭化水素油の精製方法を新たに創作した。
しかしながら、上記精製方法を用いて炭化水素油から精製炭化水素油を製造するに当たっては、上述したように二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量が低くてパティキュレートを生成し難い軽油の効率的な製造方法が望まれているという観点から、軽油留分中の二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減させることが好ましいという点において更に改善の余地があった。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の性状を有する炭化水素油を原料として水素化処理することにより、二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減した沸点範囲が250〜350℃の留分を含有する精製炭化水素油を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の精製炭化水素油の製造方法は、10容量%留出温度が35〜80℃、97容量%留出温度が250〜420℃の蒸留性状を有し、沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の割合が10〜25容量%であり、且つ、沸点範囲が30℃以上150℃未満の留分に含まれる硫黄分をS1、沸点範囲が150℃以上250℃未満の留分に含まれる硫黄分をS2、沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分に含まれる硫黄分をS3とした場合にS1>S2、S1>S3の関係を満たす炭化水素油を水素化精製処理することを特徴とする。このように、特定の性状を有する炭化水素油を原料として水素化精製処理することにより、沸点範囲が250〜350℃の留分に含まれる二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減して精製炭化水素油を得ることが可能となる。また、硫黄分が低く品質が安定した性状を有する沸点範囲が250〜350℃の留分を含有する留分を得ることができる。ここで、本発明において、蒸留性状とはJIS K2254およびJIS K2601に従い評価したものを、硫黄分とはJIS K2541に従い評価したものを指す。また、沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の割合とは原料として用いる炭化水素油を常圧蒸留した場合に沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分として留出するものが当該炭化水素油中で占める割合を指す。
また、本発明の精製炭化水素油は、上記精製炭化水素油の製造方法を用いて製造した精製炭化水素油であって、当該精製炭化水素油中の沸点範囲が250〜350℃の留分の、硫黄分が10質量ppm以下であり、二環芳香族炭化水素化合物の含有量が1.1容量%未満であり、且つ、三環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量が0.1容量%未満であることを特徴とする。ここで、本発明において、二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量とは、社団法人石油学会により発行されている石油学会誌JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験法−高速液体クロマトグラフ法」に記載の方法に準拠して測定される各芳香族分含有量の容量百分率(容量%)から導出されるものである。
本発明によれば、特定の性状をもつ炭化水素油を原料として用い、該炭化水素油を一括水素化精製処理(脱硫)して精製炭化水素油を製造するので、コンパクトな装置で簡素化された精製方法により、硫黄分が低く品質が安定した沸点範囲が250〜350℃の留分を含有する精製炭化水素油を得ることができ、特に、精製炭化水素油中の沸点範囲が250〜350℃の留分に含まれる二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減した精製炭化水素油を得ることができる。
図2に示す、本発明の精製炭化水素油の製造方法の一例を説明するための構成図を参照しながら、以下に、本発明を詳細に説明する。
[炭化水素油]
本発明の精製炭化水素油の製造方法においては、原料となる炭化水素油として、10容量%留出温度が35〜80℃、好ましくは36〜72℃、97容量%留出温度が250〜420℃、好ましくは250〜400℃の蒸留性状を有し、当該炭化水素油中の、常圧蒸留して得られる沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の割合が10〜25容量%、好ましくは10〜20容量%であり、且つ、常圧蒸留して得られる沸点範囲が30℃以上150℃未満の留分に含まれる硫黄分(S1)が、沸点範囲が150℃以上250℃未満の留分に含まれる硫黄分(S2)および沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分に含まれる硫黄分(S3)より多い炭化水素油を用いる。なお、炭化水素油としては、上記蒸留性状に加えて、95容量%留出温度が230〜350℃、好ましくは250〜340℃の蒸留性状も有する炭化水素油を用いても良い。
ここで、S1がS2及びS3より多いことは、蒸留装置で沸点30℃以上150℃未満、150℃以上250℃未満及び250℃以上350℃未満となるように原料となる炭化水素油の分留を行い、各留分に含まれる硫黄分について比較することにより判断できる。なお、蒸留装置とは、液体混合物を沸点の差を利用して分離する装置で、常温、常圧で液体の混合物の他、固体の混合物でも温度と圧力とを調節することで液体混合物として蒸留により分離できる装置をいう。
本発明においては、原料となる炭化水素油のS1はS2およびS3より多く、好ましくは、S1がS2の1.2〜5倍であり、また、S1がS3の1.2〜5倍である。なお、炭化水素油中のS1は200〜8000質量ppmの範囲が好ましく、S2およびS3は10〜2500質量ppmの範囲が好ましい。
本発明における水素化精製処理(脱硫)は、炭化水素油を分留することなく一括して水素化精製処理することから、各留分に含有される硫黄分の脱硫反応性の違いにより、より軽質留分の脱硫反応性が高くなる。そのため、S1>S2、S1>S3の関係を満たす炭化水素油を原料として用いた場合、沸点範囲が150℃以上250℃未満の留分や沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の脱硫率に着目して、反応温度を設定することができる。例えば、サルファーフリー軽油(硫黄分10質量ppm以下)の精製に適した反応条件を設定した場合には、軽油留分より軽質な留分はより硫黄分が少なくなり、軽質ナフサ、重質ナフサのように、品質上軽油より硫黄分を少なくする必要が有るものについても、必要とする品質を満足する製品が得られる。
上記炭化水素油としては、具体的には、天然ガスコンデンセートを挙げることができる。天然ガスコンデンセートとは、天然ガス田より天然ガスの採取、精製を行う過程で得られる常温、常圧で液体の炭化水素のことであり、油田から得られる一般の原油に比べて極めて軽質でナフサに近い性状である。天然ガスコンデンセートは、石油類の比重として欧米諸国で広く使われているAPI比重で50以上の軽質油で、かつ硫黄分が少ないことから、API比重20〜50で硫黄分0〜3%程度である原油よりもガソリンなどの軽質の石油製品を多く精製できる原料油である。天然ガスコンデンセートとしては、例えば、中東産のサウスパースコンデンセート、ノースフィールドコンデンセートを例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の炭化水素油としては、異なる性状を有する複数の炭化水素油を混合して、上記蒸留性状および硫黄分を有する炭化水素油としたものを用いることもできる。
[水素化精製処理]
本発明の精製炭化水素油の製造方法では、原料となる上記炭化水素油を一括して水素化精製装置12に送り、触媒の存在下、炭化水素油と水素(H2)とを接触させて、脱硫などの水素化精製処理を行う。ここで、上記水素化精製装置12としては、気液下向並流型反応器を用いることが好ましい。
また、水素化精製処理の条件としては、圧力が2〜8MPa、特には5〜8MPaの範囲であることが好ましく、反応温度が280〜380℃、特には310〜360℃の範囲であることが好ましく、H2/油比が50〜200Nm3/kL、特には100〜200Nm3/kLの範囲であることが好ましく、液空間速度(LHSV)が0.1〜5h-1、特には1〜3h-1の範囲であることが好ましい。なお、特に図示しないが、必要に応じて、水素化精製処理された精製炭化水素油の一部を再度水素化精製装置12に返送して水素化精製処理しても良い。
ここで、水素化精製処理に用いる水素源としては、水素含有ガスである限り特に制限されるものではないが、純度75%以上のものが好ましく、80%以上のものが更に好ましい。該水素源として、具体的には、後述する精製重質ナフサの接触改質処理を行う接触改質装置14から副生する水素等を使用することができる。
[触媒]
水素化精製処理用の触媒としては、100〜300m/gの表面積を有するアルミナ、シリカアルミナ、シリカ又はゼオライト等の担体に、活性金属としてコバルト、ニッケル、モリブデン、タングステンから選ばれる2種以上の元素を担持した触媒を使用することができる。上記元素の代表的な組み合わせとしては、コバルト及びモリブデン(Co−Mo)、ニッケル及びモリブデン(Ni−Mo)、ニッケル及びタングステン(Ni−W)、ニッケル、コバルト及びモリブデン(Ni−Co−Mo)が挙げられる。活性金属の担持量としては、モリブデンは5〜20質量%、コバルト及びニッケルは0.5〜5質量%、タングステンは10〜30質量%が好ましい。
[常圧蒸留装置での常圧蒸留]
本発明の精製炭化水素油の製造方法では、水素化精製装置12で水素化精製処理した炭化水素油を常圧蒸留装置15に送り、常圧蒸留して、精製LPガス、精製軽質ナフサ、精製重質ナフサ、精製灯油、精製軽油及び精製重質軽油などの各留分に分離しても良い。ここで、精製ナフサとは、10容量%留出温度が50℃以上で90容量%留出温度が150℃以下の留分であり、沸点範囲が30〜150℃の留分を含有する留分をいう。この内の精製軽質ナフサとは、沸点が30〜100℃程度の留分を、精製重質ナフサとは沸点が75〜200℃程度の留分をいう。また、精製灯油とは、引火点が40℃以上で95容量%留出温度が300℃以下の留分を、精製軽油とは、引火点が45℃以上で90容量%留出温度が360℃以下、流動点が5℃以下の留分をいう。なお、引火点とはJIS K2265に準拠して測定した値を、流動点とはJIS K2269に準拠して測定した値を指す。
なお、水素化精製処理した炭化水素油を常圧蒸留するに当たっては、常圧蒸留装置15で精製ナフサ留分を一括で留出させた後に、全精製ナフサ留分をナフサ分離装置16に送り、精製軽質ナフサ及び精製重質ナフサに分離してもよい。
また、特に図示しないが、必要に応じて、分離した精製軽油及び精製重質軽油を再度水素化精製装置12に返送して水素化精製処理してもよい。
上述したような水素化精製処理並びに分留によって、図2に示すように、炭化水素油から、軽質ガス、LPガス、精製ナフサ(精製軽質ナフサ、精製重質ナフサ)、精製灯油、精製軽油、精製重質軽油の各留分が得られる。
ここで、軽質ガスは、アミン精製装置17で酸性ガスを分離し、燃料ガスとする一方、分離した酸性ガスを硫黄回収装置18に送り硫黄を回収してもよい。
精製軽質ナフサは、そのままガソリンに調合することができる他、エチレン分解装置原料(石化原料)としても良く、必要に応じて改質処理やスイートニング処理を行っても良い。精製重質ナフサは、接触改質装置14に送られ、接触改質装置14で異性化や芳香族化した後、ガソリンに調合したり、芳香族製品としたりすることができる。この接触改質装置14で副生する水素は、上述のように水素化精製装置12に送って水素化精製処理用の水素源として利用することができ、また副生するLPガス分は、LPガス処理装置19から得られる精製LPガスに混合することができる。
また、精製灯油は、そのまま製品灯油とすることができる。
また、上述のようにして得られた精製炭化水素油を常圧蒸留装置15で常圧蒸留して得た精製軽油は、硫黄分が10質量ppm以下(サルファーフリー軽油)であり、例えば、ナフタレン、ビフェニル等の二環芳香族炭化水素化合物の含有量が1.1容量%未満であり、且つ、例えば、アントラセン等の三環芳香族炭化水素化合物や、クリセン、ピレン、コロネン等の多環芳香族炭化水素化合物などの三環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量が0.1容量%未満であることが好ましい。そして、この精製軽油は、そのまま製品軽油とすることができる。ここで、二環芳香族炭化水素化合物および三環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量とは、社団法人石油学会により発行されている石油学会誌JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験法−高速液体クロマトグラフ法」に記載の方法に準拠して測定される各芳香族分(芳香族炭化水素化合物)含有量の容量百分率(容量%)から導出されるものである。
また、精製重質軽油は、接触分解装置(図示せず)に送り、そこで接触分解によりガソリンに転換することができる。
上述した本発明の精製炭化水素油の製造方法は、原料となる炭化水素油を一括して同一の水素化精製装置12で水素化精製処理することにより、原油を蒸留により細かく分留し、その後各留分毎に水素化精製処理する場合と比べ、製油所の装置構成が簡略化され、建設コストや、設置スペースを削減できる。また、原油処理量が少ない場合であっても装置構成のコンパクト化が可能となる。更に、特定の性状を有する炭化水素油を原料として用いているので、二環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量を低減した沸点範囲が250〜350℃の留分を含有する精製炭化水素油を得ることができる。
[重金属の吸着除去]
なお、上記炭化水素油、特に天然ガスコンデンセートは、一般的な原油に比べて水銀等の重金属分を多く含有することがある。そのため、必要に応じて吸着剤による重金属の吸着除去装置を設置して、水素化精製処理した精製炭化水素油の分留後の留分である精製軽質ナフサ、精製重質ナフサ、場合によっては精製灯油留分について、重金属、特には水銀の吸着除去を行い、各精製留分の品質を更に高めることができる。なお、吸着除去装置(図示せず)は、常圧蒸留装置15の直後に設置することが好ましい。また、重金属の吸着除去には、活性炭などの吸着剤を使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、蒸留性状、密度、硫黄分、芳香族分含有量は、以下の方法に従って評価した。
・蒸留性状:JIS K2254およびJIS K2601
・密度:JIS K2249
・硫黄分:JIS K2541
・芳香族分含有量:[沸点150℃未満の留分]JIS K2536
[沸点150℃以上の留分]JPI−5S−49−97
(原料炭化水素油の性状)
一般的な天然ガスコンデンセートとして、イランのサウスパースガス田から得られたコンデンセート(サウスパースコンデンセート)の性状を表1に、該コンデンセートの各留分の収率および性状を表2に示す。なお、他の例も含めて、収率の合計が100%にならないのは、蒸留ロスのためである。
Figure 2010111770
Figure 2010111770
(実施例1)
上記のサウスパースコンデンセートを原料炭化水素油として用いた。内径10mm×長さ300mmの反応器に市販のCo−Mo系触媒(アルミナ担体にコバルトを2.4質量%、モリブデンを15.3質量%担持した、表面積が199m/gである触媒)を10cc充填してなる下向並流式の反応器を用い、水素純度:100%、圧力:5MPa、反応温度:290〜350℃、H2/油比:200Nm3/kL、LHSV:2.0h-1の反応条件で、原料炭化水素油を一括して水素化精製処理した。
水素化精製処理後の精製炭化水素油について、ガス分(H、炭素数4以下の炭化水素)を分離し、更に分留器に移して常圧蒸留して、沸点150℃未満の留分、沸点150℃以上250℃未満の留分、沸点250〜350℃の留分、及び沸点350℃超の留分の各留分に分離し、これら各留分のうち沸点範囲が250〜350℃の留分の残留硫黄濃度及び芳香族分含有量を評価した。結果を表4に示す。
(実施例2)
水素化精製処理に使用した触媒を、市販のNi−Mo系触媒(アルミナ担体にニッケルを2.4質量%、モリブデンを14.7質量%担持した、表面積が232m/gである触媒)にした以外は実施例1と同様にして水素化精製処理および分留を行い、各留分のうち沸点範囲が250〜350℃の留分の残留硫黄濃度及び芳香族分含有量を評価した。結果を表4に示す。
(実施例3)
水素化精製処理に使用した触媒を、市販のNi−Co−Mo系触媒(アルミナ担体にニッケルを0.6質量%、コバルトを2.8質量%、モリブデンを14.7質量%担持した、表面積が205m/gである触媒)にした以外は実施例1と同様にして水素化精製処理および分留を行い、各留分のうち沸点範囲が250〜350℃の留分の残留硫黄濃度及び芳香族分含有量を評価した。結果を表4に示す。
(比較例1)
原料炭化水素油として、サウスパースコンデンセートの沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分を用いた。内径25mm×長さ1080mmの反応器に市販のCo−Mo系触媒(アルミナ担体にコバルトを2.4質量%、モリブデンを15.3質量%担持した、表面積が199m/gである触媒)を50cc充填してなる下向並流式の反応器を用い、水素純度:100%、圧力:5MPa、反応温度:290〜350℃、H2/油比:200Nm3/kL、LHSV:2.0h-1の反応条件で、原料炭化水素油を水素化精製処理した。得られた精製炭化水素油中の沸点範囲が250〜350℃の留分の芳香族分含有量及び残留硫黄濃度を評価した。使用したサウスパースコンデンセートの沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の性状を表3に、結果を表4に示す。
Figure 2010111770
Figure 2010111770
従来の精製炭化水素油の製造方法の一例を説明するための構成図である。 本発明の精製炭化水素油の製造方法の一例を説明するための構成図である。
符号の説明
1,15 常圧蒸留装置
2,17 アミン精製装置
3,18 硫黄回収装置
4,19 LPガス処理装置
5 軽質ナフサ処理装置
6,8,10,12 水素化精製装置
7,14 接触改質装置
9 灯油精製装置
16 ナフサ分離装置

Claims (2)

  1. 10容量%留出温度が35〜80℃、97容量%留出温度が250〜420℃の蒸留性状を有し、
    沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分の割合が10〜25容量%であり、且つ、
    沸点範囲が30℃以上150℃未満の留分に含まれる硫黄分をS1、沸点範囲が150℃以上250℃未満の留分に含まれる硫黄分をS2、沸点範囲が250℃以上350℃未満の留分に含まれる硫黄分をS3とした場合にS1>S2、S1>S3の関係を満たす
    炭化水素油を水素化精製処理することを特徴とする精製炭化水素油の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法を用いて製造した精製炭化水素油であって、当該精製炭化水素油中の沸点範囲が250〜350℃の留分の、硫黄分が10質量ppm以下であり、二環芳香族炭化水素化合物の含有量が1.1容量%未満であり、且つ、三環以上の芳香族炭化水素化合物の含有量が0.1容量%未満であることを特徴とする、精製炭化水素油。
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