JP2010107416A - 角速度検出装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】WT型の振動子を含んだ角速度検出装置において、振動子に接続された信号線の断線の判定できる技術を提供すること。
【解決手段】角速度検出装置が、振動子と、前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動する駆動回路と、前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出し、抽出された前記自己振動成分を後段の故障判定回路へ出力する検出回路と、を備えている。そして、前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニングが、前記振動子に施されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、角速度検出装置およびその製造方法に関する。
角速度検出装置における振動子からの検出信号には、振動子の励振振動に基づく自己振動成分が含まれる。特許文献1は、漏れ信号(自己振動成分)に基づいて角速度検出装置の故障を判定することを開示している。特許文献1の図5によれば、漏れ信号の振幅に応じてレベルの変化する積分回路の出力信号がV2以上V1以下の範囲内にある場合に、故障判定回路は異常なしの旨の信号を出力し、上記範囲外にある場合に当該故障判定回路が異常ありの旨の信号を出力する。
特許文献2の段落(0019)〜(0026)には、駆動振動片の質量のバランスを調整し、2つの検出信号の大きさの差を減らすことが開示されている。
特開2000−171257号公報 特開2005−37235号公報
特許文献1は、漏れ信号(自己振動成分)によって故障判定を行う発明を開示しているが、基部から+Y軸方向に延びる2つの励振用振動片と、基部から−Y軸方向に延びる2つの検出用振動片とを有するH型振動片を前提にしている。このH型振動片は、励振用振動片同士が接近するときには検出用振動片同士が離間し、励振用振動片同士が離間するときには検出用振動片同士が接近する構造であり、漏れ信号(自己振動成分)を0にするバランスチューニングを行うことはできない。
特許文献2は、2つの検出信号の大きさの差を減らすためのバランス調整を開示しているが、漏れ信号(自己振動成分)が0に近くなり、断線などの故障があっても出力信号レベルが変わらず、断線の判定することができない。
本発明は、上記課題を解決するように以下の形態または適用例として実現され得る。
[適用例1]角速度検出装置が、振動子と、前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動する駆動回路と、前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出し、抽出された前記自己振動成分を後段の故障判定回路へ出力する検出回路と、を備えている。そして、前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニングが、前記振動子に施されている。
[適用例2]角速度検出装置が、振動子と、前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動する駆動回路と、前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出する検出回路と、抽出された前記自己振動成分の大きさが減少した場合に前記振動子が故障したと判定する故障判定回路と、を備えている。そして、前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニングが、前記振動子に施されている。
[適用例3]振動子と、前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動信号する駆動回路と、前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出し、抽出された前記自己振動成分を後段の故障判定回路へ出力する検出回路と、を備えた角速度検出装置の製造方法が、前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニング工程を包含している。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.角速度検出装置
図1は、本実施の形態に係る角速度検出装置の一例を示す回路ブロック図である。
本実施の形態に係る角速度検出装置1は、角速度検出回路5と、振動子10とを含んで構成されている。
2.振動子
振動子10は、駆動端子13,14から入力される駆動信号に基づいて励振振動し、励振振動した状態において、回転運動が働くと、コリオリの力が生じる。そして、振動子10は、コリオリの力に基づく角速度成分と、励振振動に基づく励振振動成分を含む検出信号を出力する。ここで、励振振動成分とコリオリ力に基づく角速度成分とは90°位相がずれている。
次に、水晶などの圧電材料の薄板から形成される振動子10の一例を図2、図3を用いて説明する。振動子10は、駆動用基部44から駆動振動腕11(広義には、駆動用振動片)が水晶の+Y軸方向および−Y軸方向に延出している。駆動用基部44は、水晶のX軸方向に延びる連結腕45を介して検出用基部49に接続されている。検出振動腕12(広義には、検出振動片)は、検出用基部49から+Y軸方向および−Y軸方向に延出されている。
駆動振動腕11の側面の駆動電極41と、駆動振動腕11の上面の駆動電極42との間に交番電圧/交番電流からなる駆動信号が与えられると、逆圧電効果によって駆動振動腕11は、矢印Bのように屈曲振動する。ここで、図3のように振動子10が水晶のZ軸を回転軸とした回転運動をすると、駆動振動腕11は、矢印Bの屈曲振動の方向と、Z軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得る。その結果、連結腕45は矢印Cで示すような振動をする。そして、検出振動腕12は、連結腕45の振動(矢印C)に連動して、連結腕45と矢印Dのような屈曲振動をする。
また、駆動振動腕11の振動は、駆動用基部44と連結腕45と検出用基部49とを伝わり、検出振動腕12に漏れ振動(矢印E)を発生させる。この漏れ振動は、コリオリの力に基づいた振動(矢印D)と同様の屈曲振動であるが、漏れ振動と、コリオリの力に基づいた振動とは、位相が90°ずれている。
そして、これらの屈曲振動に基づいて、発生する逆圧電効果によって、検出振動腕12の側面の検出電極47a,47bと、上面の検出電極46a,46bとの間には、交番電圧/交番電流が発生する。検出振動腕12の側面の検出電極47a,47bを、検出端子15,16にそれぞれ接続し、上面の検出電極46a,46bをともに接地端子17に接続する。以上のようにして、検出端子15,16へ出力される検出信号は、コリオリの力に基づく角速度成分と、駆動振動の励振振動に基づく漏れ成分(自己振動成分)とが含まれる。
図2、図3の構成では、振動子のバランスを良くするために、検出用基部49を中央に配置し、検出用基部49から+Y軸と−Y軸の両方向に検出振動腕12を延出させている。さらに、検出用基部49から+X軸と−X軸の両方向に連結腕45を延出させ、連結腕のそれぞれから、+Y軸と−Y軸の両方向に駆動振動腕11を延出させている。
また、駆動振動腕11の先端を幅広の幅広部43にし、さらに、錘を付けることでコリオリの力を大きくしている。また、錘効果によって、所望の共振周波数を、短い振動腕で得ることができる。同様の理由で、検出振動腕12の先端を幅広の幅広部48にし、さらに、錘を付けている。
なお、振動子10は、上述の構成に限らず、コリオリの力に基づく角速度成分と、励振振動に基づく漏れ成分とを含む検出信号を出力する振動子であれば良い。例えば、駆動振動腕と検出振動腕とを兼ねる構成であっても良く、また、駆動振動腕や検出振動腕に圧電膜を形成した構成であっても良い。
3.角速度検出回路
角速度検出回路5は、駆動回路20と検出回路30を含む。駆動回路20と検出回路30は、同一基板上に構成することが可能である。検出振動腕12には検出端子15及び16と接地端子17が設けられ、検出端子15及び16は検出回路30に接続されている。検出端子15及び16からは、互いに逆位相の検出信号が出力されるように構成されている。
また図4(A)〜図4(G)は、図1に示す回路ブロック図内の各点(A)〜(G)において、検出信号の角速度成分に着目した場合のタイミングチャートであり、図5(A)〜図5(G)は、図1に示す回路ブロック図内の各点(A)〜(G)において、検出信号の自己振動成分に着目した場合のタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は電圧を表す。
駆動回路20は、駆動信号を出力して振動子10を駆動し、振動子10からフィードバック信号を受ける。これにより振動子10を励振させる。検出回路30は、駆動信号により駆動される振動子10からの検出信号を受け、検出信号からコリオリの力に基づく角速度成分を抽出する。
本実施の形態における駆動回路20は、電流電圧変換器21、AC増幅器22、自動利得制御回路23及びコンパレータ24を含んで構成されている。
駆動振動腕11が振動すると、圧電効果に基づく電流がフィードバック信号として駆動端子14から出力され、電流電圧変換器21に入力される。電流電圧変換器21は、駆動振動腕11の振動周波数と同一の周波数の交流電圧信号が出力する(図4(A)、図5(A))。
電流電圧変換器21から出力された交流電圧信号は、AC増幅器22に入力される。AC増幅器22は、入力される交流電圧信号を増幅する。
AC増幅器22から出力された交流電圧信号は自動利得制御回路23に入力される。自動利得制御回路23は、入力された交流電圧信号の振幅を一定値に保持するように利得を制御し、利得制御後の交流電圧信号を駆動端子13に出力する。この駆動端子13に入力される交流電圧信号により振動子10が駆動される。
AC増幅器22が増幅した交流電圧信号はコンパレータ24に入力され、交流電圧信号の振幅中心を基準電圧として、交流電圧信号と基準電圧信号との比較結果に応じて出力レベルを切り替える方形波電圧信号(図4(B))を、検出回路30に出力する。
本実施の形態における検出回路30は、検出信号増幅部31、角速度成分抽出部32及び自己振動成分抽出部33を含んで構成されている。
検出信号増幅部31は、チャージアンプ311及び312、差動増幅器313並びにAC増幅器314を含んで構成されている。
チャージアンプ311及び312は、それぞれ検出端子15及び16に接続され、互いに逆位相の検出信号が入力される。チャージアンプ311及び312で電荷電圧変換された信号は差動増幅器313に入力される。差動増幅器313は(チャージアンプ311の出力信号)−(チャージアンプ312の出力信号)として差動増幅する。差動増幅器313の出力信号は、さらにAC増幅器314で増幅される。
検出端子15及び16から出力される検出信号は、振動子10に働くコリオリの力に基づく角速度成分と、振動子10の励振振動に基づく自己振動成分(漏れ信号成分)を含んでいる。角速度成分抽出部32は、検出信号増幅部31の出力信号から角速度成分を抽出する。また、自己振動成分抽出部33は、検出信号増幅部31の出力信号から自己振動成分を抽出する。
角速度成分抽出部32は、同期検波回路321、AC増幅回路、積分回路322、DC増幅器323及び出力端子324を含んで構成されている。同期検波回路321は、コンパレータ24が出力する方形波電圧信号(図4(B))を基に、検出信号増幅部31の出力信号を同期検波することにより角速度成分を抽出する。同期検波回路321で抽出された角速度成分信号は、積分回路322で積分された後、DC増幅器323で増幅され、出力端子324から直流電圧信号として出力される。
本実施形態の自己振動成分抽出部33は、自己振動成分抽出手段331、直流変換手段332、および温度特性補正手段333を含んで構成されている。ただし、他の実施形態では、温度特性補正手段333は自己振動成分抽出部33にとって必須の構成要素ではなく、自己振動成分抽出部33から省略されてもよい。
自己振動成分抽出手段331は、位相を90度進ませる移相器334と同期検波回路335で構成されている。自己振動成分抽出手段331は、コンパレータ24が出力する方形波電圧信号(図4(B)を移相器334により位相を90度進ませた信号を基に、検出信号増幅部31の出力信号を同期検波することにより自己振動成分を抽出する。
直流変換手段332は、自己振動成分抽出手段331の出力信号を積分する積分手段として機能する積分回路336を含んで構成され、自己振動成分抽出手段331の出力信号を直流電圧信号に変換する。また、積分回路336の前段にAC増幅器343、積分回路336の後段にDC増幅器339を設ける。
これらの回路の動作を、図4(A)〜図4(G)及び図5(A)〜図5(G)を用いて説明する。検出信号の角速度成分に着目した場合の動作は図4(A)〜図4(G)を用いて、検出信号の自己振動成分に着目した場合の動作は図5(A)〜図5(G)を用いて説明する。本実施の形態においては、検出端子15から出力される検出信号の角速度成分は、駆動端子14から出力されるフィードバック信号よりも位相が90度遅れた信号となるものとし、検出端子15から出力される検出信号の自己振動成分は、駆動端子14から出力されるフィードバック信号と同位相の信号となるものとする。
まず、検出信号の角速度成分に着目した場合の動作について説明する。検出端子15から出力される検出信号の角速度成分はチャージアンプ311で電荷電圧変換される。この際、位相が90度進む。したがって、差動増幅器313及びAC増幅器314で増幅された後の信号は、図4(C)に示すように、図4(A)に示すフィードバック信号と同位相となる。
このAC増幅器314の出力信号を、図4(B)に示すコンパレータ24の出力信号を基に同期検波回路321で同期検波すると、同期検波回路321の出力信号は図4(D)に示す全波整流波形となる。この同期検波回路321の出力信号を積分回路322で積分することにより、検出信号の角速度成分を直流電圧として出力することができる。このように、角速度成分抽出部32では検出信号の角速度成分を抽出することができる。また、積分回路322の前段のAC増幅回路や後段のDC増幅器323で信号を増幅することで、感度を調整することができる。
一方、AC増幅器314の出力信号を、コンパレータ24の出力信号を移相器334で位相を90度進めた信号(図4(E))を基に同期検波回路335で同期検波すると、同期検波回路335の出力信号は図4(F)に示す波形となる。この同期検波回路335の出力信号を積分回路336で積分すると、図4(G)に示すように直流電圧は0となる。このように、自己振動成分抽出部33では検出信号の角速度成分は打ち消されることになる。
次に、検出信号の自己振動成分に着目した場合の動作について説明する。検出端子15から出力される検出信号の自己振動成分はチャージアンプ311で電荷電圧変換される。そして、差動増幅器313及びAC増幅器314で増幅された後の信号は、図5(C)に示すように、図5(A)に示すフィードバック信号よりも位相が90度進んだ信号となる。
このAC増幅器314の出力信号を、図5(B)に示すコンパレータ24の出力信号を基に同期検波回路321で同期検波すると、同期検波回路321の出力信号は図5(D)に示す波形となる。この同期検波回路321の出力信号を積分回路322で積分すると、直流電圧は0となる。このように、角速度成分抽出部32では検出信号の自己振動成分は打ち消されることになる。
一方、AC増幅器314の出力信号を、図5(E)に示すコンパレータ24の出力信号を移相器334で位相を90度進めた信号を基に同期検波回路335で同期検波すると、同期検波回路335の出力信号は図5(F)に示す全波整流波形となる。この同期検波回路335の出力信号を積分回路336で積分すると、図5(G)に示すように図5(F)に示す全波整流波形の波高に比例した直流電圧となる。このように、自己振動成分抽出部33では検出信号の自己振動成分を抽出することができる。
また、本実施の形態に係る角速度検出回路5は、温度特性補正手段333を有してもよい。温度特性補正手段333は、直流変換手段332の出力信号の温度による変動を補正する。例えば、温度特性補正手段333は、直流変換手段332の出力信号の大きさが温度によらず一定となるように補正することができる。このため、直流変換手段332の出力信号の温度による変動を打ち消すことができ、故障による変動を精度よく検出することができる。したがって、振動子の故障検出精度を高めた角速度検出回路を実現することができる。
また、本願の発明者は、直流変換手段332の出力信号の温度による変動は、ほぼ1次の傾きで近似できることを見出した。したがって、温度特性補正手段333は、直流変換手段332の出力信号の温度特性の1次の項に基づき、直流変換手段332の出力信号の温度による変動を補正するように構成することも可能である。
さらに、角速度検出回路5は温度特性の1次の項を記憶する記憶手段337を含み、温度特性補正手段333は、直流変換手段332の出力信号に記憶手段337に記憶された温度特性の1次の項に基づき、直流変換手段332の出力信号の温度による変動を補正するように構成してもよい。記憶手段337は、例えばEEPROMのような不揮発性メモリで構成することができる。これにより、例えば角速度検出装置1の検査工程において温度特性補正手段333の出力電圧を測定し、この出力電圧が温度によらずほぼ一定の値となるような温度特性の1次の項を記憶手段337に書き込むことができる。したがって、振動子ごとに異なる温度特性を有する場合にも、適切な温度特性補正が可能になる。
本実施の形態に係る角速度検出回路5は、自己振動成分抽出部33の出力信号Voutを出力する外部端子340を有しており、外部の故障判定回路(図示せず)が出力信号Voutの電圧のレベルが上限基準値を上回った場合や下限基準値を下回った場合に、振動子10に故障があるものと判定し、判定結果に基づく出力信号を出力する。または、角速度検出回路5は、自己振動成分抽出部33の出力信号Voutに基づいて角速度検出装置1の故障の有無を判定する故障判定回路338を含んでもよい。故障判定回路338は、温度特性補正手段333の出力信号Voutが上限基準値を上回った場合や下限基準値を下回った場合に、振動子10に故障があるものと判定し、判定結果に基づく出力信号を出力する。図1に示す回路ブロック図においては、出力端子341を介して角速度検出回路5の外部に出力信号を出力している。角速度検出回路5が故障判定回路338を含むことにより、角速度検出装置1自身が振動子10に故障があるか否かを判定することができる。
振動子10に故障があった場合、例えば振動子10に異物が付着したり、振動子10が破損したりした場合には、振動子10の励振振動に基づく自己振動成分の大きさが変化する。したがって、自己振動成分抽出部33で検出信号の自己振動成分を抽出し、角速度検出装置1の内部又は外部で検出信号の自己振動成分の大きさを監視することにより、振動子10に故障があるか否かを判定することができる。例えば、検出信号の自己振動成分の大きさが上限基準値を上回った場合や下限基準値を下回った場合には、振動子10に故障があるものと判定することができる。
さらに本実施形態では、検出端子15,16と検出回路30との間のそれぞれの電気的接続が保たれている場合(つまり正常時)に、自己振動成分抽出部33が出力する自己振動成分の大きさを0からずらして設定して、好適には、下限基準値の1倍以上かつ2倍未満になるように、振動子10にバランスチューニングが施されている。検出端子15と検出回路30との間の電気的接続と検出端子16と検出回路30との間の電気的接続との間のいずれか一つが失われると、自己振動成分の大きさは正常時の約1/2になる。正常時の約1/2の大きさの自己振動成分は、故障判定回路338または角速度検出回路5の外部の故障判定回路が規定する下限基準値未満となり、このため検出回路30より後段の故障判定回路338または角速度検出回路5の外部の判定回路が上記2つの電気的接続の一つが切れたことを判定し得る。
なお、検出端子15と検出回路30との間の電気的接続と、検出端子16と検出回路30との間の電気的接続とは、ワイヤボンディングされたそれぞれの信号線を介して実現されている。
4.断線検出
断線検出は次のようにおこなう。検出端子15,16の一方に断線があると、チャージアンプ311,312の一方の出力は0Vになり、図5(C)に示す検出信号増幅部の出力信号の振幅は、断線が無い場合の約1/2になる。そして、図5(F)に示す全波整流波形の振幅も断線が無い場合の約1/2になる。そして、積分回路336の出力信号(図5(G))の直流電圧と基準電圧とのレベル差、すなわち信号大きさや、さらに後段のDC増幅器339が出力する出力信号の大きさも、断線が無い場合の約1/2になる。
そして、DC増幅器339の出力信号が基準値から外れた場合に、故障判定回路338または外部の故障判定回路(図示せず)が断線があるものと判定する。通常、検出振動腕12には、コリオリの力に基づいた振動(矢印D)のみが生じるのが理想である。したがって、コリオリの力に基づいた振動以外の振動をスプリアスモードとして扱って排除する。したがって、駆動振動の漏れがないようにバランスチューニングを行う。本実施形態に係る振動子10は、+Y軸および−Y軸方向に延びた駆動振動腕11に挟まれて、+Y軸および−Y軸方向に延びた検出振動腕12を有する、いわゆる、WT型の振動子である。このWT型の振動子の特徴は、4本の駆動振動腕11から漏れる駆動振動が、検出用基部49において互いにキャンセルされるため、自己振動成分の目標値を0にするバランスチューニングができることである。しかし、本実施の形態では、断線検出を可能にするために、検出回路30または外部端子340が自己振動成分として出力する電圧レベルが、実質的に基準電圧(例えば、0V)からずれるようにバランスチューニングを行う。ここで、検出回路30または外部端子340が自己振動成分として出力する電圧レベルは、断線判定で誤りが生じないレベルであれば良く、例えば3.0Vを目標値に設定する。
なお、バランスチューニングは、駆動振動腕11の幅広部43にCrおよびAuなどの金属膜を形成しておき、駆動振動腕11に駆動信号を与え励振させた状態で自己振動成分が目標値になるように、レーザー照射やイオンミリングなどの技術を用いて金属膜を除去することによって行う。
本実施の形態に係る角速度検出装置の一例を示す回路ブロック図。 本実施の形態に係る振動子の一例を示す概略図。 本実施の形態に係る振動子の一例を示す概略図。 検出信号の角速度成分に着目した場合のタイミングチャート。 検出信号の自己振動成分に着目した場合のタイミングチャート。
符号の説明
1…角速度検出装置、5…角速度検出回路、10…振動子、11…駆動振動腕、12…検出振動腕、13…駆動端子、14…駆動端子、15,16…検出端子、17…接地端子、20…駆動回路、21…電流電圧変換器、22…AC増幅器、23…自動利得制御回路、24…コンパレータ、30…検出回路、31…検出信号増幅部、32…角速度成分抽出部、33…自己振動成分抽出部、41…駆動電極、42…駆動電極、43…幅広部、44…駆動用基部、45…連結腕、46a…検出電極、47a…検出電極、48…幅広部、49…検出用基部、311…チャージアンプ、312…チャージアンプ、313…差動増幅器、314…AC増幅器、321…同期検波回路、322…積分回路、323…DC増幅器、324…出力端子、331…自己振動成分抽出手段、332…直流変換手段、333…温度特性補正手段、334…移相器、335…同期検波回路、336…積分回路、339…DC増幅器、343…AC増幅器。

Claims (3)

  1. 振動子と、
    前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動する駆動回路と、
    前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、
    前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出し、抽出された前記自己振動成分を後段の故障判定回路へ出力する検出回路と、
    を備え、
    前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニングが、前記振動子に施されていることを特徴とした角速度検出装置。
  2. 振動子と、
    前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動する駆動回路と、
    前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、
    前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出する検出回路と、
    抽出された前記自己振動成分の大きさが減少した場合に前記振動子が故障したと判定する故障判定回路と、
    を備え、
    前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニングが、前記振動子に施されていることを特徴とした角速度検出装置。
  3. 振動子と、
    前記振動子が励振振動するように前記振動子を駆動信号する駆動回路と、
    前記振動子から互いに逆位相の2つの第1検出信号が取り出されるように前記振動子に電気的に接続された2つの信号線と、
    前記2つの信号線からの前記2つの第1検出信号を差動増幅して前記2つの第1検出信号に基づく第2検出信号を生成し、生成された前記第2検出信号から、コリオリの力に基づく角速度成分と、前記励振振動に基づく自己振動成分と、をそれぞれ抽出し、抽出された前記自己振動成分を後段の故障判定回路へ出力する検出回路と、
    を備えた角速度検出装置の製造方法であって、
    前記検出回路から出力された前記自己振動成分の大きさを0からずらして設定するバランスチューニング工程を包含したことを特徴とした角速度検出装置の製造方法。
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