JP2010106317A - 耐食性部材 - Google Patents

耐食性部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2010106317A
JP2010106317A JP2008279487A JP2008279487A JP2010106317A JP 2010106317 A JP2010106317 A JP 2010106317A JP 2008279487 A JP2008279487 A JP 2008279487A JP 2008279487 A JP2008279487 A JP 2008279487A JP 2010106317 A JP2010106317 A JP 2010106317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
corrosion
resistant member
intermediate layer
member according
surface layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008279487A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5390166B2 (ja
Inventor
Makoto Sakamaki
誠 酒巻
Yoshifumi Tsutai
美史 傳井
Yukio Inoue
幸生 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTK Ceratec Co Ltd
Original Assignee
Nihon Ceratec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Ceratec Co Ltd filed Critical Nihon Ceratec Co Ltd
Priority to JP2008279487A priority Critical patent/JP5390166B2/ja
Publication of JP2010106317A publication Critical patent/JP2010106317A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5390166B2 publication Critical patent/JP5390166B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】基材から皮膜が剥離するのを防止するとともに、表面層が消失した場合でも高い耐食性を維持できる耐食性部材を提供する。
【解決手段】耐食性部材1は、基材2と、表面に形成される表面層4と、基材2上、かつ基材2と表面層4との中間に形成され、実質的に酸化ガドリニウムからなる中間層3と、を備えることを特徴としている。基材2上に中間層3として酸化ガドリニウム皮膜を設けることにより、中間層3の基材2からの剥離を防止することができる。さらに、表面層4が消失した場合であっても酸化ガドリニウムからなる中間層3が高い耐食性を有するため、消失部分からパーティクルが発生しにくい。その結果、長期間の使用が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ環境で使用される耐食性部材に関する。
半導体製造装置内やフラットパネルディスプレイ製造装置内では、ハロゲン系腐食ガスまたはハロゲン系ガスプラズマ等の環境で製造が行われるため、耐食性を持った部材が使用される。近年では、希土類化合物の耐食性が確認され、その中でも特に、Yが注目されている。そして、基材表面にYを含む耐食性皮膜を施した部材が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2001−164354号公報
しかし、基材と皮膜との密着強度不足により使用中や洗浄中に皮膜の剥離や剥離による基材の露出が生じ、露出部からパーティクルを発生させてしまう場合がある。また、密着強度向上のため中間層として基材上にAl皮膜やアルマイト層を施工した場合、表面層のY皮膜が消失した場合にプラズマガスによるパーティクルを発生させやすい問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基材から皮膜が剥離するのを防止するとともに、表面層が消失した場合でも高い耐食性を維持できる耐食性部材を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る耐食性部材は、基材と、表面に形成される表面層と、前記基材上かつ前記基材と前記表面層との中間に形成され、実質的に酸化ガドリニウムからなる中間層と、を備えることを特徴としている。このように、本発明の耐食性部材は、基材上に中間層として酸化ガドリニウム皮膜を設けることにより、中間層の基材からの剥離を防止することができる。さらに、表面層が消失した場合であっても酸化ガドリニウムからなる中間層が高い耐食性を有するため、消失部分からパーティクルが発生しにくい。その結果、長期間の使用が可能となる。なお、実質的とは、酸化ガドリニウムの基材への密着性や耐食性を維持できる程度の純度を意味し、その純度は99.9%以上であることが好ましい。
(2)また、本発明に係る耐食性部材は、前記中間層が、5%以上20%以下の気孔率を有していることを特徴としている。中間層の気孔率を5%以上とすることにより、中間層と表面層との密着性を向上させるとともに、緻密性によるクラックを防止することができる。また、中間層の気孔率を20%以下にすることにより、十分な中間層の強度を維持することができ、カケや剥離等を防止することができる。
(3)また、本発明に係る耐食性部材は、前記中間層が、50μm以上1000μm以下の厚さを有することを特徴としている。このように、中間層の厚さが50μm以上であるため、密着強度が向上する。また、中間層の厚さが1000μm以下あるため、熱膨張や内部応力より発生する剥離やクラックを防止することができる。
(4)また、本発明に係る耐食性部材は、前記中間層が、溶射法により形成されることを特徴としている。これにより、酸化物粉末は溶融状態で部材に付着されるため、密着強度が増し、結晶粒子が脱粒しにくい皮膜表面を形成できる。また、気孔率を調整した耐食性部材を形成できる。
(5)また、本発明に係る耐食性部材は、前記中間層が、20MPa以上の強度で前記基材に密着して形成されていることを特徴としている。このように、中間層と基材との密着強度を20MPa以上にすることにより使用中や洗浄中に中間層が基材から剥離するのを防止することができる。その結果、剥離による基材の露出部からのパーティクルの発生を防止することができる。
(6)また、本発明に係る耐食性部材は、前記表面層が、前記中間層上に形成され、希土類元素、アルミニウムおよびジルコニウムのうちののいずれかを含む酸化物からなることを特徴としている。これにより、表面層は、耐食性を有し、その中間層への密着性が高まる。
(7)また、本発明に係る耐食性部材は、前記表面層が、実質的に酸化イットリウムからなることを特徴としている。これにより、表面層は、耐食性を有し、その中間層への密着性が高まる。
(8)また、本発明に係る耐食性部材は、前記表面層が、50μm以上1000μm以下の厚さを有することを特徴としている。このように、表面層の厚さが50μm以上であるため、十分な耐食性を維持することができる。また、表面層の厚さが1000μm以下であるため、熱膨張や内部応力より発生する剥離やクラックを防止することができる。
(9)また、本発明に係る耐食性部材は、半導体製造装置内、フラットパネルディスプレイ製造装置内または太陽電池製造装置内で使用されることを特徴としている。本発明の耐食性部材は、剥離を生じにくく、表面層が剥離しても長期間使用可能であるため、半導体製造装置内、フラットパネルディスプレイ製造装置内または太陽電池製造装置内のプラズマ発生環境下での使用に適している。
(10)また、本発明に係る耐食性部材は、静電チャック、ヒーター、ガス分散プレート、バッフルプレート、バッフルリング、シャワーリング、高周波透過窓、赤外線透過窓、監視窓、サセプター、クランプリング、フォーカスリング、シャドーリング、絶縁リング、ダミーウエハ、半導体ウエハを支持するためのリフトピン、ベローズカバー、クーリングプレート、上部電極、下部電極、ならびに、チャンバー、ベルジャー、ドームおよびそれらの内壁材のいずれかであることを特徴としている。本発明の耐食性部材は、このような部材として使用されることにより、パーティクルが低減され、産業上の効果が高まる。
本発明によれば、基材から皮膜が剥離するのを防止するとともに、表面層が消失した場合でも高い耐食性を維持できる耐食性部材を提供することができる。
本願発明者らは、鋭意検討した結果、酸化イットリウム皮膜に比べて酸化ガドリニウム皮膜が基材との密着性に優れていることを見出した。また、酸化ガドリニウム皮膜がハロゲン系腐食ガスまたはハロゲン系ガスプラズマ等に曝されたときに優れた耐食性を発揮し、酸化イットリウムに比べパーティクルの発生が低減されることを見出した。そして、このような特徴を利用し、基材上に、酸化ガドリニウムの中間層を有する耐食性部材を発明するに至った。
(耐食性部材の構成)
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の耐食性部材1の構成を示す断面図である。耐食性部材1は、基材2、中間層3および表面層4を備える。表面層4は、表面に形成されている。中間層3は、酸化ガドリニウム(Gd)からなり、基材2上かつ基材2と表面層4との中間に形成されている。基材2上に設けられる被覆層は、中間層3および表面層4から構成される2層構造であることが好ましいが、3層またはそれ以上の多層構造であってもよい。以下、2層構造である場合を例として説明する。
基材2は、ガラス、石英、アルミニウムやステンレス等の金属、アルミナ等のセラミックス等により形成されている。これらのように、基材2の材質は、皮膜が剥離してもすぐには腐食が進まない程度の耐食性を有し、酸化ガドリニウム皮膜との密着性を高く維持できるものであることが好ましいが、特に上記に限定されない。
中間層3は、実質的に酸化ガドリニウムで構成されている。その純度は、99.9%以上であることが好ましい。純度が99.9%以上であることで耐食性が向上し、プラズマ環境で中間層3が露出した場合でも腐食の進行を抑制することができる。中間層3は、鉄、コバルト、ニッケル等の鉄族金属化合物を含んでいることが好ましく、中間層3の気孔率は、5%以上20%以下であることが好ましい。気孔率を5%以上にすることで、中間層3と表面層4の密着強度が向上し酸化物皮膜間の剥離を防止できる。さらには、酸化ガドリニウム皮膜が緻密すぎるとクラックが発生しうるが、そのようなクラックの発生を防止できる。また、気孔率を20%以下とすることにより、中間層3は十分な強度を維持することができ、カケや剥離等を防止することができる。
中間層3の厚さは50μm以上1000μm以下であることが好ましい。厚さを50μm以上にすることにより、中間層3は基材2や表面層4に対して十分な密着強度を得ることができる。また、厚さを1000μm以下にすることにより、熱膨張や内部応力より発生する剥離やクラックを防止することができる。
中間層3は、20MPa以上の強度で基材2に密着していることが好ましい。酸化ガドリニウム皮膜を中間層3に用いることで基材2との密着強度を20MPa以上にすることができる。これにより、使用中や洗浄中における中間層3の基材2からの剥離を防止することができる。また、剥離すると基材2の露出部からのパーティクルが発生しやすいがこれを防止できる。
表面層4は、希土類元素、アルミニウムおよびジルコニウムのうちのいずれかを含む酸化物により形成されている。特に、酸化イットリウム(Y)により形成されていることが好ましく、その場合、純度は、99.9%以上であることが好ましい。なお、表面層4は、酸化ガドリニウム皮膜であってもよい。その場合には、表面層4は、中間層3とは異なる組成または構成とする。たとえば、中間層3は、基材2や表面層4への密着性を重視した組成とし、表面層4は、耐食性を重視した組成とすることができる。
表面層4の厚さは50μm以上1000μm以下であることが好ましい。表面層4の厚さが50μm以上であるため、プラズマ環境において十分な耐食性を維持することができる。また、表面層4の厚さが1000μm以下であるため、熱膨張や内部応力より発生する剥離やクラックを防止することができる。
(耐食性部材の製造方法)
耐食性部材1の製造方法を説明する。まず、基材2を準備する。必要に応じて表面にブラスト処理を施し、基材2の表面を粗くする。ブラスト処理等で基材2と中間層3との密着強度を高めることにより、耐食性部材1の使用中や洗浄中に発生しがちな中間層3の剥離や、剥離による基材2の露出を防止することができる。
次に、酸化ガドリニウム皮膜の原料となるガドリニウムを酸化させて粉末化するとともに、所定量の鉄族金属化合物を酸化させて粉末化し、これらを混合させた後に基材2の表面に溶射し、中間層3を形成する。
次に、中間層3の表面を加工し、中間層3の上に表面層4として酸化イットリウムを溶射する。そして、表面層4の表面を加工する。中間層3の酸化ガドリニウム皮膜および表面層4の酸化イットリウム皮膜は、フレーム溶射、高速フレーム溶射(HVOF)、プラズマ溶射、爆発溶射、コールドスプレー、エアロゾルデポジション法等で形成できる。その中でも特にプラズマ溶射で皮膜を形成することが好ましい。プラズマ溶射は、溶射出力が高く、かつ高融点材料の溶射に適している。このように溶射法で形成することが好ましいが、中間層3の形成方法は特に上記のものに限定されない。
溶射には、平均粒径20μm以上60μm以下の溶射粉末を使用する。平均粒径20μm以上の溶射粉末を使用することにより、溶射粉末の投入時に溶射粉末はプラズマ炎に吹き飛ばされることがなくプラズマ炎内に流れる。その結果、溶射材料を溶融状態で部材に付着させることができる。また、平均粒径60μm以下の溶射粉末を使用することにより、プラズマ炎に溶射粉末を投入時に溶射粉末はプラズマ炎を通り抜けることがなくプラズマ炎上に流れ、溶融状態で部材に付着させることができる。特に、平均粒径30μm以上50μm以下の溶射粉末を使用することが好ましい。溶射粉末がプラズマ炎内に流れ、溶融状態で部材に付着させることができる。プラズマ溶射時のプラズマ発生の際に使用するガスは特に限定はされないが、アルゴンガス、へリウムガス、窒素ガス、水素ガス、酸素ガス等を用いることができる。
(実験例)
以下、実験例を説明する。基材2上に酸化ガドリニウム皮膜を形成した試料と基材2上に酸化イットリウム皮膜を形成した試料とを作製し、気孔率、エッチングおよび密着強度を測定した。
[エッチングおよび気孔率の測定]
酸化ガドリニウム皮膜に含まれるFe量を変えて、基材2上に酸化ガドリニウム皮膜を形成した試料および基材2上に酸化イットリウム皮膜を形成した試料を作製し、それぞれエッチング試験および気孔率の測定を行った。
(試料AG1〜AG10の作製)
Feをそれぞれ1ppm、3ppm、4ppm、8ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、70ppm、80ppm含むGdの純度99.9%以上の溶射粉末を用意した。Feの含有量は、ICP発光分析装置を用い測定した。溶射粉末の平均粒径は、30μm〜40μmであった。溶射粉末の平均粒径は、レーザー回折・散乱式の粒度測定機を用い測定した。一方、100×100×5t(mm)のアルミニウム基材2を用意し、表面にブラスト処理を施した。そして、エアロプラズマ社製ASP7100プラズマ溶射機を使用し、電圧275V、電流110A、アルゴンガス流量25L/min、酸素ガス40L/minの溶射条件にて、アルミニウム基材上に200μm〜300μmの酸化ガドリニウム皮膜を形成した。
(試料AY1の作製)
上記の試料の作製手順と同様に、Feを10ppm含む純度Yの99.9%以上の溶射粉末を用意した。溶射粉末の平均粒径は、30μm〜40μmであった。上記の試料作製と同様の条件で、アルミニウム基材上に200μm〜300μmの酸化物皮膜を形成した。
このようにして作製した試料について、エッチングレートを測定した。エッチングレートは、酸化ガドリニウム皮膜の一部をポリイミドテープでマスキングし、RIE装置を用いてCFプラズマ中で10時間照射を行い、マスキング有無の箇所の段差を測定して求めた。
また、試料について気孔率を評価した。気孔率は、皮膜の乾燥重量W1、水中重量W2、飽水重量W3を測定し、以下の数式で表されるアルキメデス法を用いて求めた。
Figure 2010106317
図2は、Feの含有量に対するエッチングレートおよび気孔率を示す表である。なお、試料AG10については、局所的にエッチングが確認されたため、その部分のエッチングレートを示している。また、図3は、酸化ガドリニウム皮膜の試料について、Feの含有量に対するエッチングレートを示すグラフ、図4は、酸化ガドリニウム皮膜の試料について、Feの含有量に対する気孔率を示すグラフである。
図2の表に示すように、同程度のFe含有率のものを比較すると試料AG4〜AG8のエッチングレートは試料AY1のエッチングレートの1/2〜1/3であり、Gd皮膜がY皮膜より耐食性に優れ、パーティクルの発生が少ないことが分かった。Fe含有率が4ppm以上40ppm以下の酸化ガドリニウム皮膜は、酸化イットリウムよりエッチングレートが優れており、特に8ppm以上40ppm以下の範囲の酸化ガドリニウム皮膜のエッチングレートは、酸化イットリウムのエッチングレートの1/2〜1/3であった。
そのため、耐食性部材1は、表面層4が消失した場合でも中間層3の露出部は高い耐食性を維持することができ、ハロゲン系腐食ガスまたはハロゲン系ガスプラズマ等を利用する半導体製造装置内やフラットパネルディスプレイ装置内での使用に好適である。また、表面層4として、酸化ガドリニウム皮膜を用いる場合には、上記のエッチングレートの低い組成が好ましいことが分かった。また、Fe含有率が3ppm以上80ppm以下の酸化ガドリニウム皮膜は、気孔率が5%以上20%以下となり、表面層4への密着性の面や強度で、中間層3として好ましいことが分かった。
また、図3に示すように、Fe含有率が70ppm以下の酸化ガドリニウム皮膜は、Feが含有されていない酸化ガドリニウム皮膜よりエッチングレートが低く耐食性が優れていることが分かった。また、図4に示すように、酸化ガドリニウム皮膜にFeが含有されている場合の方が、されていない場合より気孔率が小さく、緻密であることが分かった。これらの実験結果を利用すれば、Feの含有量を調整し、5%以上20%以下の気孔率を制御することも可能である。
ある程度のFeが含まれている酸化ガドリニウム皮膜の方が緻密で耐食性に優れているのは、Feが含まれることで皮膜形成時にガドリニウムの融点が低下し、十分に溶融した状態で酸化ガドリニウム皮膜が形成されているためと考えられる。このように、Feが含まれることにより、耐食性に優れた酸化ガドリニウム皮膜の形成が可能となる。
なお、上記の実験例では、Feを用いたが、他の鉄族金属化合物でも同様の結果が得られると考えられる。このように鉄族金属化合物を含む酸化ガドリニウム皮膜の優れた耐食性が実証された。鉄族金属化合物を含む酸化ガドリニウム皮膜は、中間層3としてプラズマ環境に曝される半導体製造装置内またはフラットパネルディスプレイ製造装置内での使用に好適である。
[密着強度の測定]
次に、酸化ガドリニウム皮膜および酸化イットリウム皮膜を同等の条件で試料を作成し、皮膜と基板との密着強度の試験を行った。上記のエッチング試験と同様の試料作製手順に従って、棒状のアルミニウム基材の先端面(表面粗さ5.11μm)上に厚さ200μm〜300μmで純度99.9%以上のGd皮膜を形成し、試料BG1を作製した。また、表面粗さ5.02μmの棒状のアルミニウム基材の先端面上に、厚さ200μm〜300μmで純度99.9%以上のY皮膜を形成し、試料BY1を作製した。そして、試料BG1およびBY1をそれぞれ別の棒状部材の先端面に接着剤で接合し、引っ張りにより剥離する強度、すなわち密着強度を測定した(JISH8666に準じた試験方法)。
図5は、密着強度の評価結果を示す表である。図5に示すように、酸化イットリウム皮膜と基材との密着強度が14MPaであるのに対し、酸化ガドリニウム皮膜と基材との密着強度は22MPaであった。このように、酸化ガドリニウム皮膜の方が、酸化イットリウム皮膜より、基材に密着しやすく、剥離が生じにくいことが実証された。したがって、基材2の上に酸化イットリウム皮膜の単層を形成した部材よりも、中間層3として酸化ガドリニウム皮膜を設けた耐食性部材1の方が皮膜の剥離が生じにくい。
なお、半導体製造装置内またはフラットパネルディスプレイ製造装置内で使用される部材としては、例えば、静電チャック、ヒーター等の内部に静電電極や抵抗発熱体が挙げられる。静電電極には耐食性の低い金属が用いられることが多いことから、静電電極を耐食性部材1で被覆して耐食性を高め、剥離を低減することができる。
また、耐食性部材1は、ハロゲン系腐蝕ガスを装置内に導入するためのガス拡散プレート、バッフルプレート、バッフルリング、シャワープレート等にも採用できる。さらに、ガスが導入される処理容器であるチャンバー、ベルジャー、ドームおよびそれらの内壁材、ならびに高周波透過窓、赤外線透過窓および監視窓にも適用でき、また、容器内で使用されるサセプター、クランプリング、フォーカスリング、シャドーリング、絶縁リング、ダミーウエハ、半導体ウエハを支持するためのリフトピン、ベローズカバー、クーリングプレート、上部電極、下部電極等にも適用できる。このように、耐食性部材1は、プラズマ雰囲気に曝され、耐食性を要する種々の部材に適用できる。
本発明に係る耐食性部材の構成を示す断面図である。 Feの含有量に対するエッチングレートおよび気孔率を示す表である。 Feの含有量に対するエッチングレートを示すグラフである。 Feの含有量に対する気孔率を示すグラフである。 密着強度の評価結果を示す表である。
符号の説明
1 耐食性部材
2 基材
3 中間層
4 表面層

Claims (10)

  1. 基材と、
    表面に形成される表面層と、
    前記基材上かつ前記基材と前記表面層との中間に形成され、実質的に酸化ガドリニウムからなる中間層と、を備えることを特徴とする耐食性部材。
  2. 前記中間層は、5%以上20%以下の気孔率を有していることを特徴とする請求項1記載の耐食性部材。
  3. 前記中間層は、50μm以上1000μm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の耐食性部材。
  4. 前記中間層は、溶射法により形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐食性部材。
  5. 前記中間層は、20MPa以上の強度で前記基材に密着して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の耐食性部材。
  6. 前記表面層は、前記中間層上に形成され、希土類元素、アルミニウムおよびジルコニウムのうちのいずれかを含む酸化物からなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の耐食性部材。
  7. 前記表面層は、実質的に酸化イットリウムからなることを特徴とする請求項6記載の耐食性部材。
  8. 前記表面層は、50μm以上1000μm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の耐食性部材。
  9. 半導体製造装置内、フラットパネルディスプレイ製造装置内または太陽電池製造装置内で使用されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の耐食性部材。
  10. 静電チャック、ヒーター、ガス分散プレート、バッフルプレート、バッフルリング、シャワーリング、高周波透過窓、赤外線透過窓、監視窓、サセプター、クランプリング、フォーカスリング、シャドーリング、絶縁リング、ダミーウエハ、半導体ウエハを支持するためのリフトピン、ベローズカバー、クーリングプレート、上部電極、下部電極、ならびに、チャンバー、ベルジャー、ドームおよびそれらの内壁材のいずれかであることを特徴とする請求項9記載の耐食性部材。
JP2008279487A 2008-10-30 2008-10-30 耐食性部材 Active JP5390166B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008279487A JP5390166B2 (ja) 2008-10-30 2008-10-30 耐食性部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008279487A JP5390166B2 (ja) 2008-10-30 2008-10-30 耐食性部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010106317A true JP2010106317A (ja) 2010-05-13
JP5390166B2 JP5390166B2 (ja) 2014-01-15

Family

ID=42296055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008279487A Active JP5390166B2 (ja) 2008-10-30 2008-10-30 耐食性部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5390166B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010106328A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Nihon Ceratec Co Ltd 耐食性部材
JP2010106327A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Nihon Ceratec Co Ltd 耐食性部材
WO2012067263A1 (ja) * 2010-11-19 2012-05-24 日本発條株式会社 積層体および積層体の製造方法
KR101249951B1 (ko) 2012-10-24 2013-04-03 아이원스 주식회사 공정 장비의 코팅 방법 및 이를 이용한 코팅 구조
JP2014156651A (ja) * 2013-01-18 2014-08-28 Fujimi Inc 溶射皮膜と皮膜付金属部材
KR20170077835A (ko) * 2015-12-28 2017-07-06 아이원스 주식회사 복합 구조물 및 이의 형성 방법
JP2018080396A (ja) * 2014-04-25 2018-05-24 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 希土類酸化物のイオンアシスト蒸着トップコート
KR20190093389A (ko) * 2018-02-01 2019-08-09 한양대학교 에리카산학협력단 나노 결정체를 포함하는 금속 구조물, 및 그 제조 방법

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002249864A (ja) * 2000-04-18 2002-09-06 Ngk Insulators Ltd 耐ハロゲンガスプラズマ用部材およびその製造方法
JP2004332081A (ja) * 2003-05-12 2004-11-25 Shin Etsu Chem Co Ltd 耐プラズマ部材及びその製造方法
JP2005531157A (ja) * 2002-06-27 2005-10-13 ラム リサーチ コーポレーション 生産性を向上するプラズマ反応器用溶射イットリア含有被膜
JP2007138288A (ja) * 2005-10-21 2007-06-07 Shin Etsu Chem Co Ltd 多層コート耐食性部材
JP2008133528A (ja) * 2006-10-31 2008-06-12 Fujimi Inc 溶射用粉末、溶射皮膜の形成方法、及び耐プラズマ性部材
WO2009069650A1 (ja) * 2007-11-30 2009-06-04 Nihon Ceratec Co., Ltd. 耐食性部材

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002249864A (ja) * 2000-04-18 2002-09-06 Ngk Insulators Ltd 耐ハロゲンガスプラズマ用部材およびその製造方法
JP2005531157A (ja) * 2002-06-27 2005-10-13 ラム リサーチ コーポレーション 生産性を向上するプラズマ反応器用溶射イットリア含有被膜
JP2004332081A (ja) * 2003-05-12 2004-11-25 Shin Etsu Chem Co Ltd 耐プラズマ部材及びその製造方法
JP2007138288A (ja) * 2005-10-21 2007-06-07 Shin Etsu Chem Co Ltd 多層コート耐食性部材
JP2008133528A (ja) * 2006-10-31 2008-06-12 Fujimi Inc 溶射用粉末、溶射皮膜の形成方法、及び耐プラズマ性部材
WO2009069650A1 (ja) * 2007-11-30 2009-06-04 Nihon Ceratec Co., Ltd. 耐食性部材

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010106327A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Nihon Ceratec Co Ltd 耐食性部材
JP2010106328A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Nihon Ceratec Co Ltd 耐食性部材
WO2012067263A1 (ja) * 2010-11-19 2012-05-24 日本発條株式会社 積層体および積層体の製造方法
JP2012111982A (ja) * 2010-11-19 2012-06-14 Nhk Spring Co Ltd 積層体および積層体の製造方法
KR101249951B1 (ko) 2012-10-24 2013-04-03 아이원스 주식회사 공정 장비의 코팅 방법 및 이를 이용한 코팅 구조
JP2014156651A (ja) * 2013-01-18 2014-08-28 Fujimi Inc 溶射皮膜と皮膜付金属部材
US10544500B2 (en) 2014-04-25 2020-01-28 Applied Materials, Inc. Ion assisted deposition top coat of rare-earth oxide
JP2018080396A (ja) * 2014-04-25 2018-05-24 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 希土類酸化物のイオンアシスト蒸着トップコート
US10563297B2 (en) 2014-04-25 2020-02-18 Applied Materials, Inc. Ion assisted deposition top coat of rare-earth oxide
KR20170077835A (ko) * 2015-12-28 2017-07-06 아이원스 주식회사 복합 구조물 및 이의 형성 방법
WO2018124738A1 (ko) * 2015-12-28 2018-07-05 아이원스 주식회사 복합 구조물 및 이의 형성 방법
KR102638263B1 (ko) * 2015-12-28 2024-02-20 한솔아이원스 주식회사 복합 구조물 및 이의 형성 방법
KR102070497B1 (ko) 2018-02-01 2020-01-28 한양대학교 에리카산학협력단 나노 결정체를 포함하는 금속 구조물, 및 그 제조 방법
KR20190093389A (ko) * 2018-02-01 2019-08-09 한양대학교 에리카산학협력단 나노 결정체를 포함하는 금속 구조물, 및 그 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP5390166B2 (ja) 2014-01-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5390166B2 (ja) 耐食性部材
US10544500B2 (en) Ion assisted deposition top coat of rare-earth oxide
JP6820103B2 (ja) 耐プラズマ性セラミックスコーティングのスラリープラズマ溶射
TWI795981B (zh) 稀土氧化物系抗電漿腐蝕薄膜塗層
KR100864331B1 (ko) 플라즈마 처리 장치 및 플라즈마 처리 방법
US7364798B2 (en) Internal member for plasma-treating vessel and method of producing the same
KR100939403B1 (ko) 반도체 가공 장치용 세라믹 피복 부재
JP5545792B2 (ja) 耐食性部材
JP3649210B2 (ja) 耐食性部材
JP2007247043A (ja) 半導体加工装置用セラミック被覆部材の製造方法
JP2004241203A (ja) プラズマ処理室壁処理方法
JP5014656B2 (ja) プラズマ処理装置用部材およびその製造方法
JP5551353B2 (ja) 耐食性部材
KR20060102766A (ko) 비정질 금속층을 포함하는 열용사 코팅막 및 그 제조 방법
JP2004003022A (ja) プラズマ処理容器内部材
JP5412290B2 (ja) 耐食性部材
JP5390167B2 (ja) 耐食性部材
TW202202469A (zh) 基於氧化釔之塗層及塊體組成物
JP2009071223A (ja) 静電チャック部材およびその製造方法
JP2007321183A (ja) 耐プラズマ部材
JP5452905B2 (ja) 耐食性部材
WO2006043429A1 (ja) 耐食性部材およびその製造方法
JP2010126776A (ja) 耐食性部材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130718

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131010

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5390166

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250