しかし、前記特許文献1に記載の技術では、清掃用ホルダcを用いて主軸dの取付面hを清掃した後、該清掃用ホルダcを取り外し、あらためて次の工具を主軸dに取り付けなければならず、その期間中に主軸dの周辺で浮遊している切粉が再び主軸dの取付面hに付着する可能性がある。
この問題に対しては、切粉除去用エアを放出するための複数のエア放出口を主軸dの取付面hに形成することが考えられる。そのために、図13(a)に鎖線で例示したように、例えば主軸dの軸方向に延びる孔pを主軸dに複数形成して主軸dの取付面hに開口するエア放出口oを複数形成し、前記孔pに矢印q方向にエアを供給して前記エア放出口oからエアを放出させるのである。
そして、工具交換における工具の取付時あるいは取外時において、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の距離が所定距離以下のとき(工具の取付時は取付動作の比較的終期、工具の取外時は取外動作の比較的初期)に、前記複数のエア放出口o…oからエアを放出すれば、放出したエアが工具の着座面に当たって該着座面の切粉をエア圧で吹き飛ばして除去すると共に、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の距離がさらに短いとき(例えば0.7mm程度:工具の取付時は取付動作のさらに終期の段階、工具の取外時は取外動作のさらに初期の段階)には、工具の着座面に当たったエアが主軸dの取付面hに跳ね返ってきて該取付面hの切粉も吹き飛ばして除去し、併せて、主軸dの嵌合孔iに先端部が嵌合状態にあるテーパシャンク部の周面にもエアが当たって該周面の切粉も除去することが可能である(切粉除去効果)。
しかも、工具の取付時は、工具の着座面が主軸dの取付面hに着座するまでは、あるいは、工具の取外時は、工具の着座面が主軸dの取付面hから離反した後は、前記エア放出口o…oから放出されたエアは、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の間隙から主軸dの周辺外部へ抜けるので、除去された切粉は主軸dの取付面h及び工具の着座面よりも外へ排出される流れができて、前記間隙から切粉が進入することも防がれる(切粉進入防止効果)。
ところが、本発明者等の詳細な検討によれば、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の距離が例えば0.7mm程度のときに、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の間隙において、図14に示すように、複数(図例は16個)のエア放出口o…oから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域r,sと、複数のエア放出口o…oから放出されたエアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域t,uとが生成し、その結果、エアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果が不均一化し、後者の領域t,uにおいて切粉除去効果及び切粉進入防止効果が相対的に低下することがわかった。
ここで、図14において、複数のエア放出口o…oは、それぞれが(それぞれのエア放出口oが)、エアを主軸dの軸方向に放出するように形成されたものであり、かつ切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均等化を図るため、嵌合孔iと同芯の円周上に並ぶように配置されたものである。そして、エアの流速は、複数のエア放出口o…oのそれぞれの周囲の領域r…rと、隣接するエア放出口o,o間の部位から取付面hの外周縁部まで主軸dの径方向に延びる領域s…sとで相対的に高くなり、前記領域r…rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部まで主軸dの径方向に延びる領域t…tと、前記領域r…r及び前記領域s…sより主軸dの軸芯側で取付面hの内周縁部において主軸dの周方向に延びる環状の領域uとで相対的に低くなっている。
これは、複数のエア放出口o…oから放出されたエアが工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の間隙から主軸dの周辺外部へ抜ける際に、図14に矢印で示したように、隣接するエア放出口o,oから放出されたエア同士が合流して主軸dの周辺外部へ抜ける流れが発生するからであろうと考えられる。
また、図15は、複数(図例は16個)のエア放出口o…oを、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の距離が所定距離(0.7mmより大きい値)以下のときにエアが前記着座面に当たる範囲内で、それぞれが(それぞれのエア放出口oが)、エアを主軸dの軸方向から所定角度傾斜した方向に放出するように、特に、主軸dの接線方向よりも主軸dの外周面側の方向に放出するように形成した場合である。
このように、エアを主軸dの軸方向から所定角度傾斜した方向に放出すると、エアを主軸dの軸方向に放出する場合と比べて、放出されたエアが工具の着座面に当たる領域及び主軸dの取付面hに跳ね返ってくる領域が線状となって広くなるから切粉除去効果が向上する、という利点、及び、放出されたエアの主軸11の径方向の圧力成分が相対的に大きいから切粉進入防止効果が向上する、という利点がある。
そして、この場合も、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の距離が例えば0.7mm程度のときに、工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の間隙において、複数のエア放出口o…oから図中の矢印方向に放出されたエアの流速が、複数のエア放出口o…oのそれぞれの周囲の領域r…rと、隣接するエア放出口o,o間の部位から取付面hの外周縁部まで主軸dの径方向より斜めに延びる領域s…sとで相対的に高くなり、前記領域r…rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部までエア放出口o…oのエア放出方向に沿う方向(図中の矢印方向)に延びる領域t…tと、前記領域r…r及び前記領域s…sより主軸dの軸芯側で取付面hの内周縁部において主軸dの周方向に延びる環状の領域uとで相対的に低くなることがわかった。
これも、複数のエア放出口o…oから図15の矢印方向に放出されたエアが工具の着座面と主軸dの取付面hとの間の間隙から主軸dの周辺外部へ抜ける際に、隣接するエア放出口o,oから図中の矢印方向に放出されたエア同士が合流して主軸dの周辺外部へ抜ける流れが発生するからであろうと考えられる。
さらに、図16は、図15の特別な場合として、複数(図例は16個)のエア放出口o…oを、それぞれが(それぞれのエア放出口oが)、エアを主軸dの径方向に放出するように形成したものであって、この場合も、事情は図15に準じて同様である。
本発明は、切粉除去用エアを放出するための複数のエア放出口を主軸の取付面に形成する場合における前記課題に対処するもので、工具交換時に前記エア放出口から放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域とが生成することを抑制し、エアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果を均一化させることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明では次のような手段を用いる。なお、以下の本発明の開示において、後述する発明の実施の形態で用いられる符号を参考までに付記する。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、円盤状の基部51aの一方の面に加工用部材51bが設けられ、他方の面の中央に突出部51cが設けられた工具50が取り付けられる主軸11を有し、該主軸11の先端部に、前記突出部51cが嵌合する嵌合孔11cと、前記突出部51cの周囲の環状面51eに対接する取付面11dとが設けられた工作機械1の切粉除去装置であって、前記突出部51cが前記嵌合孔11cに嵌合し前記環状面51eが前記取付面11dに対接するように前記工具50を軸方向に移動させることにより前記工具50を前記先端部に取り付け(S18〜S24)又は前記環状面51eが前記取付面11dから離反し前記突出部51cが前記嵌合孔11cから脱出するように前記工具50を軸方向に移動させることにより前記工具50を前記先端部から取り外す(S11〜S17)工具交換手段14,42と、前記取付面11dに形成された複数のエア放出口17a…17aと、前記工具交換手段14,42による工具交換時に、前記環状面51eと前記取付面11dとの間の距離Δが所定距離α以下のとき(S16,S19でYES)、前記エア放出口17a…17aからエアを放出させるエア放出手段100(S13,S20),104とが備えられ、前記複数のエア放出口17a…17aは、エアを主軸11の軸方向に放出するようにそれぞれが形成され、かつ前記嵌合孔11cと同芯の円周上に並ぶように配置されていると共に、前記複数のエア放出口17a…17aのそれぞれについて、主軸11の径方向に延び、一端がエア放出口17aに連通し、他端が前記取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eが前記取付面11dに形成されていることを特徴とする。
次に、本願の請求項2に記載の発明は、円盤状の基部51aの一方の面に加工用部材51bが設けられ、他方の面の中央に突出部51cが設けられた工具50が取り付けられる主軸11を有し、該主軸11の先端部に、前記突出部51cが嵌合する嵌合孔11cと、前記突出部51cの周囲の環状面51eに対接する取付面11dとが設けられた工作機械1の切粉除去装置であって、前記突出部51cが前記嵌合孔11cに嵌合し前記環状面51eが前記取付面11dに対接するように前記工具50を軸方向に移動させることにより前記工具50を前記先端部に取り付け(S18〜S24)又は前記環状面51eが前記取付面11dから離反し前記突出部51cが前記嵌合孔11cから脱出するように前記工具50を軸方向に移動させることにより前記工具50を前記先端部から取り外す(S11〜S17)工具交換手段14,42と、前記取付面11dに形成された複数のエア放出口18a…18aと、前記工具交換手段14,42による工具交換時に、前記環状面51eと前記取付面11dとの間の距離Δが所定距離α以下のとき(S16,S19でYES)、前記エア放出口18a…18aからエアを放出させるエア放出手段100(S13,S20),104とが備えられ、前記複数のエア放出口18a…18aは、前記エア放出手段100(S13,S20),104で放出されたエアが前記環状面51eに当たる範囲内で、エアを主軸11の軸方向から所定角度傾斜した方向のうち、主軸11の接線方向よりも主軸11の外周面側の方向に放出するようにそれぞれが形成され、かつ前記嵌合孔11cと同芯の円周上に並ぶように配置されていると共に、前記複数のエア放出口18a…18aのそれぞれについて、エア放出口18aのエア放出方向に沿う方向に延び、一端がエア放出口18aに連通し、他端が前記取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eが前記取付面11dに形成されていることを特徴とする。
次に、本願の請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の工作機械1の切粉除去装置において、前記取付面11dの内周縁部に、前記複数のエア放出口17a…17a,18a…18aの近傍を通過する環状の凹溝11fが形成されていることを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明によれば、切粉除去用エアを放出するための複数のエア放出口17a…17aを主軸11の取付面11dに形成する場合に、前記複数のエア放出口17a…17aを、それぞれが(それぞれのエア放出口17aが)、エアを主軸11の軸方向に放出するように形成し、かつ主軸11の嵌合孔11cと同芯の円周上に並ぶように配置すると共に、各エア放出口17aについて、主軸11の径方向に延び、一端がエア放出口17aに連通し、他端が取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eを前記取付面11dに形成したから、工具50の着座面(環状面)51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度(所定距離αより短い)のときに、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、エア放出口17aから放出されたエアが前記凹溝11eに流れ込み易くなり、該凹溝11eにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
そして、この凹溝11eは、図14にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、各エア放出口oの周囲の領域rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部まで主軸dの径方向に延びる領域tに重なって形成されるから、結果的に、前記領域tにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
これにより、切粉除去用エアを主軸11の軸方向に放出するための複数のエア放出口(発明の実施の形態における「直流エア放出口」)17a…17aを主軸11の取付面11dに形成した場合において、工具交換時にエア放出口17a…17aから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域との差が、エア放出口17a…17aよりも主軸11の外周面側で縮まり、前記エア放出口17a…17aから放出されたエアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均一化が、エア放出口17a…17aよりも主軸11の外周面側で図られることとなる。
次に、本願の請求項2に記載の発明によれば、切粉除去用エアを放出するための複数のエア放出口18a…18aを主軸11の取付面11dに形成する場合に、前記複数のエア放出口18a…18aを、それぞれが(それぞれのエア放出口18aが)、工具50の環状面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが所定距離α以下のときに放出されたエアが工具50の環状面51eに当たる範囲内で、エアを主軸11の軸方向から所定角度傾斜した方向のうち、主軸11の接線方向よりも主軸11の外周面側の方向に放出するように形成し、かつ主軸11の嵌合孔11cと同芯の円周上に並ぶように配置すると共に、各エア放出口18aについて、エア放出口18aのエア放出方向に沿う方向に延び、一端がエア放出口18aに連通し、他端が取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eを前記取付面11dに形成したから、工具50の着座面(環状面)51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度(所定距離αより短い)のときに、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、エア放出口18aから放出されたエアが前記凹溝11eに流れ込み易くなり、該凹溝11eにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
そして、この凹溝11eは、図15、図16にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、各エア放出口oの周囲の領域rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部までエア放出口oのエア放出方向に沿う方向(図中の矢印方向)に延びる領域tに重なって形成されるから、結果的に、前記領域tにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
これにより、切粉除去用エアを主軸11の軸方向から所定角度傾斜した方向に放出するための複数のエア放出口(発明の実施の形態における「斜流エア放出口」)18a…18aを主軸11の取付面11dに形成した場合において、工具交換時にエア放出口18a…18aから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域との差が、エア放出口18a…18aよりも主軸11の外周面側で縮まり、前記エア放出口18a…18aから放出されたエアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均一化が、エア放出口18a…18aよりも主軸11の外周面側で図られることとなる。
次に、本願の請求項3に記載の発明によれば、主軸11の取付面11dの内周縁部に、前記直流エア放出口17a…17a又は前記斜流エア放出口18a…18aの近傍を通過する環状の凹溝11fを形成したから、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度のときに、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、エア放出口17a…17a,18a…18aから放出されたエアが前記環状凹溝11fに流れ込み易くなり、該環状凹溝11fにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
そして、この環状凹溝11fは、図14〜図16にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、複数のエア放出口o…oの周囲の領域r…r及び隣接するエア放出口o,o間の部位から取付面hの外周縁部まで延びる領域s…sより主軸dの軸芯側で取付面hの内周縁部において主軸dの周方向に延びる環状の領域uに重なって形成されるから、結果的に、前記領域uにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
これにより、切粉除去用エアを放出するための複数の直流エア放出口17a…17a又は複数の斜流エア放出口18a…18aを主軸11の取付面11dに形成した場合において、工具交換時にエア放出口17a…17a,18a…18aから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域との差が、エア放出口17a…17a,18a…18aよりも主軸11の軸芯側で縮まり、前記エア放出口17a…17a,18a…18aから放出されたエアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均一化が、エア放出口17a…17a,18a…18aよりも主軸11の軸芯側で図られることとなる。
図1は本発明の最良の実施の形態に係る工作機械1の主な構成要素の配置を概略図示する正面図、図2は前記工作機械1の正面側の部分平面図である。この工作機械1は横型マシニングセンタであって、機台1aの縁部にハウジング1bが立設され、該ハウジング1bによって閉塞された作業空間1cが生成している。なお、図示しないが、ハウジング1bの縦壁には作業空間1cを開閉するための扉が設けられている。
作業空間1c内には、y軸に沿って水平方向に延びるスピンドル10と、該スピンドル10に収容されて回転する、同じくy軸に沿って水平方向に延びる主軸11とが具備されている。主軸11の先端部はスピンドル10から露出し、該先端部に工具50が取り付けられている。スピンドル10及び主軸11の前方で機台1aの上にはz軸回りに回動自在のパレット20が備えられ、該パレット20の上には治具30が据え付けられて、この治具30によりチャックされたワーク90に対し、主軸11の先端部に取り付けられた工具50によって、フライス加工や中ぐり加工あるいはネジ立て等の多種類の加工が行われる。
作業空間1c内には、前記スピンドル10及び主軸11に隣接して、自動工具交換装置(ATC)40が具備されている。この自動工具交換装置40は、多種類の工具50…50を収納するツールマガジン41と、該ツールマガジン41に収納されている1つの工具50と主軸11に取り付けられている工具50とを交換するため両端部に工具保持部を有する工具交換アーム42とを含む。
ここで、スピンドル10及び主軸11は、矢印ア、イで示すように、x軸方向にスライド移動自在であり、工具交換アーム42は、矢印ウ、エで示すように、y軸方向にスライド移動自在、かつ矢印オで示すように、y軸回りに回動自在である。そして、工具交換時には、回動する工具交換アーム42が、主軸11に取り付けられている工具50を確実につかまえて保持できるように、スピンドル10及び主軸11は、図中鎖線で示す位置までア方向に移動する。
次に、図3〜図5は、図1における矢印(iii)による、主軸11の先端部周辺の拡大平断面図であって、図3、図4、図5の順に、工具交換における工具50の取付時に、工具交換アーム42及び軸芯ロッド14によって、工具50を矢印ウ方向(近接方向又は対接方向)に移動させていく様子、あるいは、図5、図4、図3の順に、工具交換における工具50の取外時に、軸芯ロッド14及び工具交換アーム42によって、工具50を矢印エ方向(離反方向)に移動させていく様子を示している。
まず、工具50は、円盤状の基部(フランジ部)51aの一方の面(図3〜図5において下の面)に、例えばエンドミルやフェイスミルあるいは面取りカッタ等の加工用部材51bが設けられ、他方の面(図3〜図5において上の面)の中央に基部51aより小径のほぼ円柱状(やや先細り形状)のテーパシャンク部51cが基部51aと同芯に設けられた構成である。
基部51aの周面には、工具交換アーム42が係合する溝51dがリング状に形成されている。また、基部51aの他方の面(図3〜図5において上の面)におけるテーパシャンク部51cの周囲の環状面51eは、後述する主軸11の取付面11dに着座する着座面を構成する。ここで、テーパシャンク部51cの周面を提供する側壁の一部分には、後述する工具保持用ボール15が嵌まり込む、傾斜面を持った凹所51fが形成されている。
一方、主軸11は、主軸11の先端部を構成する先端部材11aと、主軸11の後端部を構成する後端部材11bとを含み、ベアリング12等を介して、スピンドル10の内部で回転自在に支持されている。
そして、主軸11の先端部には、工具50の着座面(環状面)51eと対接し得る取付面(着座面51eとほぼ同径の環状の面)11dと、工具50のテーパシャンク部51cと嵌合し得る嵌合孔11cとが形成されている。
また、主軸11の軸中心には、主軸11の軸方向(y軸方向)に移動自在の軸芯ロッド14が設けられていると共に、この軸芯ロッド14の周面に対接し、主軸11(先端部材11a及び後端部材11b)の内面に固定された筒形状の固定部材13が主軸11の先端部に備えられている。
その場合に、軸芯ロッド14の周面の一部分には、円形の陥没穴14aとカム面14bとが相互に連続して形成されていると共に、固定部材13の周壁の一部分には、工具保持用ボール15を支持して挿通させる貫通孔13aが形成されている。
そして、例えば工具交換における工具50の取付時において、図3及び図4に示すように、工具50が主軸11の先端部にまだ完全に取り付けられていないときは、軸芯ロッド14は前方(矢印エ方向)に移動しており、このとき工具保持用ボール15が前記陥没穴14aと貫通孔13aとに亘って収容され、該ボール15は固定部材13の周壁から主軸11の径方向の外方へ突出していない状態にある。
一方、工具交換アーム42は、例えば工具交換における工具50の取付時において、工具50の基部51aの溝51dに係合して工具50を保持し、テーパシャンク部51cを嵌合孔11cに嵌合させた状態で着座面51eを取付面11dに着座(対接)させるように、工具50の軸芯を主軸11の軸芯に一致させて、工具50をy軸方向(矢印ウ方向)に移動させることにより、工具50を主軸11の先端部に近接させる(図3及び図4参照)。
そして、着座面51eと取付面11dとの間の距離Δが後述する第2所定値β以下になった段階(図4参照)で、工具交換アーム42は工具50を放し、矢印エ方向(離反方向)に退避する。
そののち、軸芯ロッド14が、図5に矢印ウで示したように、後方に移動する。これにより、図5に示したように、工具保持用ボール15がカム面14bに乗り上げ、貫通孔13aを介して固定部材13の周壁から主軸11の径方向の外方へ突出する。突出したボール15は、テーパシャンク部51cの凹所51fに嵌まり込み、該凹所51fの傾斜面によってテーパシャンク部51cを主軸11の後方へ引き込みながら、テーパシャンク部51cを主軸11の先端部材11aの内面に押し付ける。このとき、着座面51eは取付面11dに完全に着座(対接)する。これにより、工具50は主軸11の先端部に完全に取り付けられた状態となり、工具50は所定の保持力(第1の保持力)で主軸11に保持されることとなる。
なお、工具交換における工具50の取外時は、以上と逆の動作が行われるが、詳しくは、フローチャートを参照して後述する(図10)。
また、本実施形態では、前記工具交換アーム42と前記軸芯ロッド14とによって工具交換手段が構成されている。
次に、図6は、図4における矢印(vi)による、主軸11の先端部材11aに形成された取付面11dの拡大図(図面上、上が上方、下が下方である)である。図示したように、主軸11の取付面11dには、複数(図例は16個)のエア放出口17a…17aが形成されている。これらのエア放出口17a…17aは、それぞれがエアを主軸11の軸方向(y軸方向)に放出する直流エア放出口である。
ここで、複数の直流エア放出口17a…17aは、主軸11の取付面11dに、前記嵌合孔11cと同芯の円周上に等間隔に並ぶように配置されている。
図3にも示したように、主軸11の先端部材11aの後部面と、主軸11の後端部材11bの前部面との間に、環状のエア通路16が形成されている。そして、直流エア放出口17a…17aは、前記環状エア通路16から取付面11dまで先端部材11aを軸方向(y軸方向)に貫通された直流孔17…17により形成されている。
また、図3にも示したように、前記環状エア通路16には、該エア通路16に主軸11の外部のスピンドル10側からエアを供給するためのエア供給通路(後述する圧縮エア供給装置104からの圧縮エアを供給する通路)19,19が接続している。
そして、本実施形態においては、図7及び図8にも示したように、複数の直流エア放出口17a…17aのそれぞれについて、主軸11の径方向に延び、一端がエア放出口17aに連通し、他端が取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eが前記取付面11dに形成されている。
したがって、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度(後述する第1所定値αより小さく、後述する第2所定値βにほぼ近い値)のときに、図7に矢印で示したように、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、直流エア放出口17aから放出されたエアが前記凹溝11eに流れ込み易くなり、該凹溝11eにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
加えて、本実施形態においては、図7及び図8にも示したように、前記取付面11dの内周縁部に、複数の直流エア放出口17a…17aの近傍を通過する環状の凹溝11fが形成されている。
したがって、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度のときに、図7に矢印で示したように、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、直流エア放出口17aから放出されたエアが前記環状凹溝11fに流れ込み易くなり、該環状凹溝11fにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
図9に示すように、このマシニングセンタ1の制御部100は、前記自動工具交換装置40の他、主軸11を回転させるための主軸回転用モータ101、主軸11を移動させるための主軸移動装置102、パレット20を回動させるためのパレット回動装置103、前記エア供給通路19,19及び前記環状エア通路16を介して複数の前記直流孔17…17に圧縮エアを供給するための圧縮エア供給装置(エア放出手段を構成する)104、及び前記軸芯ロッド14を主軸11の前方(矢印エ方向)及び後方(矢印ウ方向)へ移動させるための工具保持用シリンダ105を統括して制御する。
ここで、自動工具交換装置40から制御部100へは、工具50の環状面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δを示す信号が入力されるようになっている。
図10は、前記制御部100が工具交換時(工具50を主軸11から取り外す作業と、次の工具50を主軸11へ取り付ける作業とが連続して行われる)に行う制御動作の具体的1例を示すフローチャートである。
まず、ステップS11で、主軸11の回転を停止させる。次いで、ステップS12で、工具保持用シリンダ105をオフにして軸芯ロッド14を矢印エ方向(前方)へ移動させる。これにより、工具50は、前記第1の保持力(工具50が主軸11の先端部に完全に取り付けられたときに主軸11が工具50を保持する保持力)よりも小さい第2の保持力で主軸11に保持される仮保持状態となる(図4参照)。また、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの対接が解除され(すなわち離反し)、両面51e,11d間に空隙が生成する。このときの両面51e,11d間の距離Δは、後述する第2所定値β(ステップS21)にほぼ近い値である。
なお、仮保持期間中における前記第2の保持力は、例えば、図4に示した状態での主軸11と工具50との摩擦力や、図示しないデテント機構による工具50の押圧力等によって付与される。
次いで、ステップS13で、圧縮エア供給装置104を作動させて、直流エア放出口17a…17aからのエア(圧縮エア)の放出を開始する。これにより、これから取り外そうとする工具50の着座面51e、主軸11の取付面11d、及びテーパシャンク部51cの周面の切粉がエア圧で吹き飛ばされ除去される。除去された切粉は、主軸11の取付面11dと工具50の着座面51eとの間の間隙から主軸11の周辺外部へ抜けて排出されると共に、前記間隙から切粉が進入することも防がれる。
なお、ステップS13でエアの放出を開始するときのエア圧としては、例えば0.33〜0.4MPa等が好ましい。エア圧が過度に大きいと、第1の保持力よりも小さい第2の保持力で主軸11に仮保持されている工具50の着座面51eに当たるエア圧によって工具50が主軸11から外れて落下する、というような不具合が生じ得るからである。
次いで、ステップS14で、工具50を保持しない空の工具交換アーム42を主軸11の先端部に近接する方向(矢印ウ方向)に移動させる。なお、このとき、工具交換アーム42の他方の端部は、ツールマガジン41に近接している。
次いで、ステップS15で、主軸11に第2の保持力で保持されている仮保持状態の工具50を工具交換アーム42で保持して、該工具交換アーム42を主軸11の先端部から離反する方向(矢印エ方向)に移動させる(図3参照)。なお、このとき、工具交換アーム42の他方の端部は、ツールマガジン41に収納されていた次の工具50を保持してツールマガジン41から離反している。
次いで、ステップS16で、主軸11の取付面11dと工具50の着座面51eとの間の距離Δが第1所定値α(第2所定値βより大きい値)以下か否かを判定し、以下でないときは、ステップS17で、圧縮エア供給装置104を停止させて、直流エア放出口17a…17aからのエアの放出を終了する。
ここで、前記第1所定値αは、直流エア放出口17a…17aから放出されるエアが工具50の着座面51eに届いて当たる距離(着座面51eの切粉を吹き飛ばして除去できる距離)に設定されている。
以上で工具50を主軸11から取り外す作業が終了し、引き続いて、次の工具50を主軸11へ取り付ける作業が連続して行われる。
まず、ステップS18で、次の工具50を保持した工具交換アーム42(工具交換アーム42はステップS15からステップS18までの間に図1の矢印オ方向に180°回動している)を主軸11の先端部に近接する方向(矢印ウ方向)に移動させる(図3参照)。なお、このとき、工具交換アーム42の他方の端部は、取り外した工具50を保持してツールマガジン41に近接している。
次いで、ステップS19で、主軸11の取付面11dと工具50の着座面51eとの間の距離Δが第1所定値α以下か否かを判定し、以下のときは、ステップS20で、圧縮エア供給装置104を作動させて、直流エア放出口17a…17aからのエア(圧縮エア)の放出を開始する。これにより、これから取り付けようとする工具50の着座面51eの切粉がエア圧で吹き飛ばされ除去される。
次いで、ステップS21で、主軸11の取付面11dと工具50の着座面51eとの間の距離Δが第1所定値αよりも短い第2所定値β以下か否かを判定し、以下のときは、ステップS22で、工具交換アーム42から工具50を放して、該工具交換アーム42を主軸11の先端部から離反する方向(矢印エ方向)に移動させる(図4参照)。これにより、工具50は、前記第1の保持力(工具50が主軸11の先端部に完全に取り付けられたときに主軸11が工具50を保持する保持力)よりも小さい第2の保持力で主軸11に保持される仮保持状態となる。なお、このとき、工具交換アーム42の他方の端部は、取り外した工具50をツールマガジン41に収納した後、ツールマガジン41から離反している。
ここで、前記第2所定値βは、直流エア放出口17a…17aから真直ぐに放出されたエア及び斜流エア放出口18a…18aから斜めに放出されたエアが、工具50の着座面51eに当たった後、主軸11の取付面11dに跳ね返ってきて、該取付面11dの切粉も吹き飛ばして除去し、併せて、主軸11の嵌合孔11cに先端部が嵌合状態にあるテーパシャンク部51cの周面にもエアが当たって該周面の切粉も除去することが可能な距離(例えば0.7mm等)に設定されている。
また、前記ステップS20でエアの放出を開始するときのエア圧としても、仮保持状態の工具50に当たるエア圧によって工具50が主軸11から外れて落下する、というような不具合を回避する観点から、例えば0.33〜0.4MPa等が好ましい。
次いで、ステップS23で、工具保持用シリンダ105をオンにして軸芯ロッド14を矢印ウ方向(後方)へ移動させる。これにより、工具50は、前記第1の保持力で主軸11に保持される完全取付状態になる(図5参照)。そして、この段階で、着座面51eが取付面11dに着座して直流エア放出口17a…17aを塞ぐので、ステップS24で、圧縮エア供給装置104を停止させて、直流エア放出口17a…17aからのエアの放出を終了する。
このように、本実施形態においては、切粉除去用エアを放出するための複数のエア放出口17a…17aを主軸11の取付面11dに形成する場合に、前記複数のエア放出口17a…17aを、それぞれのエア放出口17aがエアを主軸11の軸方向に放出するように形成し、かつ主軸11の嵌合孔11cと同芯の円周上に並ぶように配置している。
また、各エア放出口17aについて、主軸11の径方向に延び、一端がエア放出口17aに連通し、他端が取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eを前記取付面11dに形成している。
その結果、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度のときに、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、エア放出口17aから放出されたエアが前記凹溝11eに流れ込み易くなり、該凹溝11eにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大する。
そして、この凹溝11eは、図14にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、各エア放出口oの周囲の領域rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部まで主軸dの径方向に延びる領域tに重なって形成されている。したがって、結果的に、前記領域tにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大する。
これにより、切粉除去用エアを主軸11の軸方向に放出するための複数の直流エア放出口17a…17aを主軸11の取付面11dに形成した場合において、工具交換時にエア放出口17a…17aから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域(この領域におけるエアの流れが図8に矢印で示されている)と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域(この領域におけるエアの流れが図7に矢印で示されている)との差が、エア放出口17a…17aよりも主軸11の外周面側で縮まり、前記エア放出口17a…17aから放出されたエアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均一化が、エア放出口17a…17aよりも主軸11の外周面側で図られることとなる。
併せて、本実施形態においては、主軸11の取付面11dの内周縁部に、直流エア放出口17a…17aの近傍を通過する環状の凹溝11fを形成している。
その結果、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度のときに、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、エア放出口17a…17aから放出されたエアが前記環状凹溝11fに流れ込み易くなり、該環状凹溝11fにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大する。
そして、この環状凹溝11fは、図14にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、複数のエア放出口o…oの周囲の領域r…r及び隣接するエア放出口o,o間の部位から取付面hの外周縁部まで延びる領域s…sより主軸dの軸芯側で取付面hの内周縁部において主軸dの周方向に延びる環状の領域uに重なって形成されている。したがって、結果的に、前記領域uにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大する。
これにより、切粉除去用エアを主軸11の軸方向に放出するための複数の直流エア放出口17a…17aを主軸11の取付面11dに形成した場合において、工具交換時にエア放出口17a…17aから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域(この領域におけるエアの流れが図8に矢印で示されている)と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域(この領域におけるエアの流れが図7に矢印で示されている)との差が、エア放出口17a…17aよりも主軸11の軸芯側で縮まり、前記エア放出口17a…17aから放出されたエアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均一化が、エア放出口17a…17aよりも主軸11の軸芯側で図られることとなる。
また、前記環状凹溝11fにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することにより、特に切粉が溜まり易い主軸11の径方向の奥方の部位(主軸11の中央部寄りの部分)、例えば、図3に符号カで示すように、工具50の着座面51eとテーパシャンク部51cとの境界部分や、主軸11の取付面11dと嵌合孔11cとの境界部分等の切粉除去性能が向上して好ましい結果が得られる。
次に、図11を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。先の第1の実施の形態では、エア放出口は、エアを主軸11の軸方向に放出する直流エア放出口17a…17aであったが、この第2の実施の形態では、エア放出口は、工具50の環状面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが第1所定値α以下のときに放出されたエアが工具50の環状面51eに当たる範囲内で、エアを主軸11の軸方向から所定角度傾斜した方向に放出する斜流エア放出口18a…18a、特に、主軸11の接線方向よりも主軸11の外周面側の方向に放出する斜流エア放出口18a…18aである。
ここで、複数(図例は16個)の斜流エア放出口18a…18aは、主軸11の取付面11dに、前記嵌合孔11cと同芯の円周上に等間隔に並ぶように配置されている。
そして、斜流エア放出口18a…18aは、前記環状エア通路16から取付面11dまで先端部材11aを軸方向(y軸方向)から所定角度傾斜して貫通された斜流孔18…18により形成されている。
そして、この第2の実施の形態においては、複数の斜流エア放出口18a…18aのそれぞれについて、エア放出口18aのエア放出方向に沿う方向に延び、一端がエア放出口18aに連通し、他端が取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eが前記取付面11dに形成されている。
したがって、工具50の着座面51eと主軸11の取付面11dとの間の距離Δが例えば0.7mm程度のときに、前記着座面51eと前記取付面11dとの間の間隙において、斜流エア放出口18aから放出されたエアが前記凹溝11eに流れ込み易くなり、該凹溝11eにおいて、エアの流速が高まり、動圧が増大することとなる。
そして、この凹溝11eは、図15にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、各エア放出口oの周囲の領域rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部までエア放出口oのエア放出方向に沿う方向(図中の矢印方向)に延びる領域tに重なって形成されている。したがって、結果的に、前記領域tにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大する。
これにより、切粉除去用エアを主軸11の軸方向から所定角度傾斜した方向に放出するための複数の斜流エア放出口18a…18aを主軸11の取付面11dに形成した場合において、工具交換時にエア放出口18a…18aから放出されたエアの流速が相対的に高くなって動圧が相対的に大きくなる領域と、前記エアの流速が相対的に低くなって動圧が相対的に小さくなる領域との差が、エア放出口18a…18aよりも主軸11の外周面側で縮まり、前記エア放出口18a…18aから放出されたエアによる切粉除去効果及び切粉進入防止効果の均一化が、エア放出口18a…18aよりも主軸11の外周面側で図られることとなる。
次に、図12を参照して、本発明の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形態は、第2の実施の形態の特別な場合として、複数(図例は16個)の斜流エア放出口18a…18aを、それぞれのエア放出口18aがエアを主軸11の径方向に放出するように形成したものである。そして、この第3の実施の形態においても、複数の斜流エア放出口18a…18aのそれぞれについて、エア放出口18aのエア放出方向に沿う方向に延び、一端がエア放出口18aに連通し、他端が取付面11dの外周縁部に至る凹溝11eが前記取付面11dに形成されている。
そして、前記凹溝11eは、図16にエアの流速が相対的に低くなる領域として示した、各エア放出口oの周囲の領域rより主軸dの外周面側で取付面hの外周縁部までエア放出口oのエア放出方向に沿う方向(図中の矢印方向)に延びる領域tに重なって形成されている。したがって、結果的に、前記領域tにおいてエアが流れ込み易くなり、エアの流速が高まり、動圧が増大し、第2の実施の形態と同様の作用が得られることとなる。