以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図3を参照して、第1実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造される積層コンデンサ1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図2は、図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図であり、図3は、図1におけるIII−III線断面図である。
図1〜図3に示されるように、積層コンデンサ1は、略直方体形状の素体2と、素体2の外表面に配置された複数の外部導体と、を備えている。複数の外部導体は、素体2の長手方向に対向する側面に形成された外部電極3(3A,3B)と、素体2の短手方向に対向する側面に形成された端子導体4(4A,4B)と、からなる。
素体2は、図2に示されるように、誘電体層6の上に異なるパターンの内部電極7が形成されてなる複数の複合層5と、複合層5の最表層に積層され、保護層として機能する誘電体層6とによって形成されている。誘電体層6は、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体からなり、内部電極7は、導電性ペーストの焼結体からなる。実際の積層コンデンサ1では、誘電体層6,6間の境界が視認できない程度に一体化されている。
外部電極3及び端子導体4は、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを焼き付けることによって形成されている。外部電極3は、積層コンデンサ1の実装の際に、所定の極性に接続される電極である。また、端子導体4は、素体2における後述の静電容量部11に属する内部電極7同士を並列に接続する導体であり、実装基板に直接接続されない、いわゆるNC(No Contact)導体である。
外部電極3Aは、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば+極性(第1の極性)に接続される電極であり、素体2の長手方向に対向する一対の側面のうち一方の側面2aを覆うように形成されている。外部電極3Bは、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば−極性(第2の極性)に接続される電極であり、素体2の長手方向に対向する一対の側面のうち他方の側面2bを覆うように形成されている。
端子導体4Aは、素体2の一対の側面2a,2bと直交する側面のうち、積層方向に沿う一方の側面2cに形成され、端子導体4Bは、側面2cと対向する他方の側面2dに形成されている。端子導体4A,4Bは、側面2c,2dにおいて上述の積層方向に帯状に延在すると共に、素体2の積層方向の端面に張り出すパッド部分を有している。外部電極3A,3B及び端子導体4A,4Bは、所定の間隔をあけて離間した状態となっており、互いに電気的に絶縁されている。
積層コンデンサ1の実装に用いる基板100は、陽極ランドパターン101Aと、陰極ランドパターン101Bとを有している。陽極ランドパターン101A及び陰極ランドパターン101Bは、例えば外部電極3A及び外部電極3Bの幅方向に沿って帯状に形成され、所定の回路配線に接続されている。積層コンデンサ1の実装構造において、外部電極3Aは、陽極ランドパターン101Aに接合され、外部電極3Bは、陰極ランドパターン101Bに接合される。また、端子導体4A及び端子導体4Bは、陽極ランドパターン101A及び陰極ランドパターン101Bのいずれにも接合されない。すなわち、積層コンデンサ1の実装構造では、外部電極3A及び外部電極3Bのみが基板100に対して接合された状態となる。
次に、素体2の構成について更に詳細に説明する。
素体2は、図2及び図3に示されるように、積層コンデンサの静電容量に主として寄与する静電容量部11と、積層コンデンサ1のESRを制御するESR制御部12とを有している。
静電容量部11は、図4に示されるように、内部電極の形状が異なる2つの複合層5A,5Bが交互に複数積層されて形成されている。複合層5Aの内部電極7Aは、図4(a)に示されるように、中央部分に形成された主電極部13Aと、主電極部13Aの一辺から引き出された引き出し部14Aとを有している。主電極部13Aは、略長方形状を呈している。引き出し部14Aは、帯状を呈している。引き出し部14Aの端部は、素体2の側面2cに露出し、端子導体4Aに接続されている。
複合層5Bの内部電極7Bは、図4(b)に示されるように、中央部分に形成された主電極部13Bと、主電極部13Bの一辺から引き出された引き出し部14Bとを有している。主電極部13Bは、略長方形状を呈している。第1実施形態では、主電極部13Aと主電極部13Bとは同形状である。引き出し部14Bは、帯状を呈している。引き出し部14Bの端部は、引き出し部14Aとは反対に素体2の側面2dに露出し、端子導体4Bに接続されている。第1実施形態では、引き出し部14Aと引き出し部14Bとは同形状である。
静電容量部11において、積層方向から見て、内部電極7Aの主電極部13Aと内部電極7Bの主電極部13Bとが互いに重なり合う部分は、容量形成領域となっている。第1実施形態では、主電極部13Aの全面が主電極部13Bの全面と重なり合っており、容量形成領域が十分に確保されている。
ESR制御部12は、積層方向から見て静電容量部11を挟むように配置されている。ESR制御部12は、図5に示されるように、内部電極の形状が異なる2つの複合層5C,5Dによって形成されている。複合層5Cの内部電極7Cは、図5(a)に示されるように、中央部分に形成された主電極部13Cと、それぞれ主電極部13Cの異なる二辺から引き出された引き出し部14C,14Dとを有している。
主電極部13Cは、略長方形状を呈している。引き出し部14C,14Dは、帯状を呈している。引き出し部14Cの一端部は、素体2の側面2cに露出し、端子導体4Aに接続されている。引き出し部14Dの一端部は、素体2の側面2aに露出し、外部電極3Aに接続されている。引き出し部14Dの幅は、主電極部13Cの短辺の長さと同じに設定されている。
このような複合層5Cの構成により、静電容量部11の内部電極7Aは、引き出し部14Aを介して端子導体4Aに接続され、更に、この端子導体4Aと引き出し部14C,14Dとを介して外部電極3Aに接続されることとなる。したがって、内部電極7Aは、実装時に+極性を有する。
引き出し部14Cの幅及び引き出し部14Aの幅は、引き出し部14Dの幅よりも狭く設定されている。これにより、内部電極7Aから外部電極3Aまで繋がる導体部分(電流経路)において、断面積が絞られた絞り部分が形成されることとなる。
複合層5Dの内部電極7Dは、図5(b)に示されるように、中央部分に形成された主電極部13Dと、それぞれ主電極部13Dの異なる二辺から引き出された引き出し部14E,14Fとを有している。主電極部13Dは、略長方形状を呈している。引き出し部14E,14Fは、帯状を呈している。引き出し部14Eの一端部は、素体2の側面2dに露出し、端子導体4Bに接続されている。引き出し部14Fの一端部は、素体2の側面2bに露出し、外部電極3Bに接続されている。引き出し部14Fの幅は、主電極部13Dの短辺の長さと同じに設定されている。
このような複合層5Dの構成により、静電容量部11の内部電極7Bは、引き出し部14Eを介して端子導体4Bに接続され、更に、この端子導体4B、主電極部13D、及び引き出し部14E,14Fを介して外部電極3Bに接続されることとなる。したがって、内部電極7Bは、実装時に−極性を有する。
引き出し部14Eの幅及び引き出し部14Bの幅は、引き出し部14Fの幅よりも狭く設定されている。これにより、内部電極7Bから外部電極3Bまで繋がる導体部分(電流経路)において、断面積が絞られた絞り部分が形成されることとなる。
以上のような構成を有する積層コンデンサ1では、静電容量部11において内部電極7が端子導体4にのみ接続され、ESR制御部12において内部電極7が端子導体4及び外部電極3にそれぞれ接続されている。したがって、内部電極7が並列に接続された端子導体4が外部電極3に直列に接続されるので、従来のように外部電極3に内部電極7を並列接続する場合と比較して高ESRを実現できる。
積層コンデンサ1では、静電容量部11において接続される極性が異なる内部電極7A及び内部電極7Bが交互に配置されており、内部電極7Aと端子導体4とを接続する引き出し部14Aと、内部電極7Bと端子導体4Bとを接続する引き出し部14Bとは、素体2の互いに対向する側面2c,2dに向かって反対向きに伸びている。したがって、図2に示されるように、内部電極7Aにおける容量形成領域と、内部電極7Bにおける容量形成領域とでは、流れる電流の向きが反対となり、電流に起因して発生する磁界の一部が相殺される。これにより、ESLを低減することが可能となる。
続いて、図6〜図12を参照して、上述の構成を有する積層コンデンサ1の製造方法について説明する。
図6に、第1実施形態に係る積層コンデンサ1の製造方法の手順を示す。第1実施形態に係る積層コンデンサ1の製造方法は、図6に示されるように、セラミックグリーンシート準備工程S1、積層工程S2、切断工程S3、焼成工程S4、外部導体形成工程S5の各工程を備えている。
セラミックグリーンシート準備工程S1では、図7に示されたセラミックグリーンシート20を複数枚準備する。図7は、セラミックグリーンシートを示す平面図である。
セラミックグリーンシート20は、矩形形状を呈しており、その上面に複数の内部電極パターンが形成されている。この複数の内部電極パターンは、内部電極7Aに対応する内部電極パターン30と、内部電極7Bに対応する内部電極パターン40と、からなる。内部電極パターン30は、主電極部13Aに対応する部分31と、引き出し部14Aに対応する部分33と、を有している。内部電極パターン40は、主電極部13Bに対応する部分41と、引き出し部14Bに対応する部分43と、を有している。
内部電極パターン30及び内部電極パターン40は、第1の方向(図7におけるX方向)と第2の方向(図7におけるY方向)とにおいて、交互に配置されると共に、引き出し部14Aに対応する部分33と引き出し部14Bに対応する部分43とが切断予定線C1をまたがって連続するように、形成されている。第2の方向において隣り合う内部電極パターン30と内部電極パターン40とが、それぞれの引き出し部14A,14Bに対応する部分33,43を通して連続している。第1の方向は、セラミックグリーンシート20の一辺と平行な方向であり、第2の方向は、セラミックグリーンシート20の一辺と平行な方向であり且つ第1の方向と直交する方向である。
また、セラミックグリーンシート準備工程S1では、図8に示されたセラミックグリーンシート50を複数枚準備する。図8は、セラミックグリーンシートを示す平面図である。
セラミックグリーンシート50は、矩形形状を呈しており、その上面に複数の内部電極パターンが形成されている。この複数の内部電極パターンは、内部電極7Cに対応する内部電極パターン60と、内部電極7Dに対応する内部電極パターン70と、からなる。内部電極パターン60は、主電極部13Cに対応する部分61と、引き出し部14Cに対応する部分63と、引き出し部14Dに対応する部分65と、を有している。内部電極パターン70は、主電極部13Dに対応する部分71と、引き出し部14Eに対応する部分73と、引き出し部14Fに対応する部分75と、を有している。
内部電極パターン60及び内部電極パターン70は、第1の方向(図8におけるX方向)と第2の方向(図8におけるY方向)とにおいて、交互に配置されるように形成されている。内部電極パターン60及び内部電極パターン70は、引き出し部14Cに対応する部分63と引き出し部14Eに対応する部分73とが切断予定線C1をまたがって連続すると共に、引き出し部14Dに対応する部分65と引き出し部14Fに対応する部分75とが切断予定線C2をまたがって連続するようにも、形成されている。第2の方向において隣り合う内部電極パターン30と内部電極パターン40とが、それぞれの引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73を通して連続している。第1の方向において隣り合う内部電極パターン30と内部電極パターン40とが、それぞれの引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75を通して連続している。内部電極パターン60及び内部電極パターン70は、ミアンダ状につながって第2の方向に伸びている。第1の方向は、セラミックグリーンシート50の一辺と平行な方向であり、第2の方向は、セラミックグリーンシート50の一辺と平行な方向であり且つ第1の方向と直交する方向である。
セラミックグリーンシート20,50は、例えばチタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料にバインダ樹脂(例えば有機バインダ樹脂等)、溶剤、可塑剤等を加えて混合分散しセラミックスラリーを支持体上に塗布後、乾燥させることにより得られる。内部電極パターン30,40,60,70は、例えばセラミックグリーンシート20,50の上面に電極ペーストを付与後、乾燥することにより形成される。電極ペーストは、例えばNi、Ag、Pdなどの金属粉末にバインダ樹脂や溶剤等を混合したペースト状の組成物である。電極ペーストを付与する手法として、例えばスクリーン印刷法等がある。
続く積層工程S2では、図9に示されるように、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート(不図示)と共と複数枚のセラミックグリーンシート20,50とを、第1及び第2の方向に直交する第3の方向(図9におけるZ方向)に積層する。これにより、図10に示されたセラミックグリーンシート積層体GMが得られる。このとき、セラミックグリーンシート20,50を、セラミックグリーンシート20同士及びセラミックグリーンシート50同士がそれぞれ一つの内部電極パターン分第1の方向にずれるように、積層する。また、セラミックグリーンシート20,50を、内部電極パターン30の位置と内部電極パターン40の位置とが一致すると共に、内部電極パターン60の位置と内部電極パターン70の位置とが一致するように、積層する。すなわち、セラミックグリーンシート20,50は、第3の方向から見て、内部電極パターン30,40,60,70における主電極部13A,13B,13C,13Dに対応する部分31,41,61,71が全体的に重なるように、積層されている。内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートは、セラミックグリーンシート積層体GMの最外層を構成する。
続く切断工程S3では、図11に示されるように、セラミックグリーンシート積層体GMを切断予定線C1,C2に沿って切断する。これにより、図12に示される、個々の積層コンデンサ1単位の積層体チップMCが得られる。図11は、切断工程S3を説明するために、セラミックグリーンシート積層体GMを分解して表した平面図である。切断予定線C1と切断予定線C2とは、直交している。
切断予定線C1にてセラミックグリーンシート積層体GMを切断すると、連続している引き出し部14A,14Bに対応する部分33,43が途中部分で切断され、切断面に引き出し部14A,14Bに対応する部分33,43がそれぞれ露出する。同様に、連続している引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73が途中部分で切断され、切断面に引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73がそれぞれ露出する。切断予定線C2にてセラミックグリーンシート積層体GMを切断すると、連続している引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75が途中部分で切断され、切断面に引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75がそれぞれ露出する。したがって、積層体チップMCには、その側面に各引き出し部14A,14B,14C,14E,14D,14Fに対応する部分33,43,63,73,65,75が露出する。
続く焼成工程S4では、積層体チップMCを加熱して、乾燥、脱バインダ、及び焼成を行う。これにより、積層コンデンサ1の素体2が得られる。
続く外部導体形成工程S5では、素体2の外表面に外部電極3A,3B及び端子導体4A,4Bを形成する。これにより、上述した積層コンデンサ1が最終的に得られる。外部電極3A,3B及び端子導体4A,4Bは、素体2の外表面におけるそれぞれ対応する部分に電極ペーストを付与した後に焼き付け、更に電気めっきを施すことにより、形成される。電気めっきには、例えばCu、Ni及びSnを用いることができる。電極ペーストには、例えば、Ag、Cu又はNiを主成分としたものが用いられる。
以上のように、第1実施形態に係る製造方法では、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートとして、内部電極パターン30,40が形成された静電容量部11用のセラミックグリーンシートと20、内部電極パターン60,70が形成されたESR制御部12用のセラミックグリーンシート50と、の2種類のセラミックグリーンシートを準備すればよいので、積層コンデンサ1の製造工程が簡便となり、製造コストの低減を図ることができる。
第1実施形態に係る製造方法では、セラミックグリーンシート20に形成される内部電極パターン30,40では、引き出し部14A,14Bに対応する部分33,43が切断予定線C1をまたがって連続している。また、セラミックグリーンシート50に形成される内部電極パターン60,70でも、引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73が切断予定線C1をまたがって連続していると共に、引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75が切断予定線C2をまたがって連続している。このため、セラミックグリーンシート20,50を積層する際やセラミックグリーンシート積層体GMを切断する際にずれが生じた場合でも、得られた積層体チップMCでは、内部電極パターン30,40,60,70における引き出し部14A,14B,14C,14E,14D,14Fに対応する部分33,43,63,73,65,75が、切断面である側面に必ず露出することとなる。したがって、内部電極7A,7B,7C,7Dが素体2の側面2a,2b,2c,2dに引き出されていない不良品の発生を抑制し、静電容量部11とESR制御部12とを含んでいる素体2を備えた積層コンデンサ1を歩留まりよく製造することができる。
(第2実施形態)
次に、図13及び図14を参照して、第2実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造される積層コンデンサの構成について説明する。第2実施形態における積層コンデンサは、ESR制御部12の内部電極7C,7Dの形状に関して、上述した第1実施形態における積層コンデンサ1と相違する。
図示は省略するが、第2実施形態における積層コンデンサは、上述した積層コンデンサ1と同じく、素体2と、外部電極3A,3Bと、端子導体4A,4Bと、を備えている。 素体2は、図12に示されるように、誘電体層6の上に異なるパターンの内部電極7が形成されてなる複数の複合層5と、複合層5の最表層に積層され、保護層として機能する誘電体層6とによって形成されている。素体2は、図12に示されるように、静電容量部11とESR制御部12とを有している。静電容量部11は、上述した積層コンデンサ1における静電容量部11と同じ構成である。
ESR制御部12は、内部電極の形状が異なる2つの複合層5C,5Dによって形成されている。複合層5Cの内部電極7Cは、図14(a)に示されるように、中央部分に形成された主電極部13Gと、それぞれ主電極部13Gの異なる二辺から引き出された引き出し部14C,14Dとを有している。主電極部13Gは、略長方形状を呈しており、内部電極7Aにおける主電極部13Aの外部電極3B側の略半分部分と対向する。
引き出し部14Dの幅は、引き出し部14Cの幅及び引き出し部14Aの幅よりも狭く設定されている。これにより、内部電極7Aから外部電極3Aまで繋がる電流経路上における引き出し部14Dに対応する位置にて、断面積が絞られた絞り部分が形成されることとなる。
複合層5Dの内部電極7Cは、図14(b)に示されるように、中央部分に形成された主電極部13Hと、それぞれ主電極部13Hの異なる二辺から引き出された引き出し部14C,14Dとを有している。主電極部13Hは、略長方形状を呈しており、内部電極7Bにおける主電極部13Bの外部電極3A側の略半分部分と対向する。
引き出し部14Fの幅は、引き出し部14Eの幅及び引き出し部14Bの幅よりも狭く設定されている。これにより、内部電極7Bから外部電極3Bまで繋がる電流経路上における引き出し部14Fに対応する位置にて、断面積が絞られた絞り部分が形成されることとなる。
以上のような構成を有する積層コンデンサでも、上述した積層コンデンサ1と同じく、従来のように外部電極3に内部電極7を並列接続する場合と比較して高ESRを実現できる。
第2実施形態における積層コンデンサでは、ESR制御部12における内部電極7Cの引き出し部14Dの幅、及び内部電極7Dの引き出し部14Fの幅が、引き出し部14C,14A,14E,14Bのいずれの幅よりも狭くなっている。これにより、内部電極7と外部電極3とを接続する導体部分の断面積が絞られ、ESRの一層の向上が図られる。
続いて、図15〜図19を参照して、上述の構成を有する積層コンデンサの製造方法について説明する。
第2実施形態に係る積層コンデンサの製造方法は、第1実施形態と同じく、セラミックグリーンシート準備工程、積層工程、切断工程、焼成工程、外部導体形成工程の各工程を備えている。
セラミックグリーンシート準備工程では、図7に示されたセラミックグリーンシート20を複数枚準備する。また、セラミックグリーンシート準備工程では、図15に示されたセラミックグリーンシート50を複数枚準備する。図15は、セラミックグリーンシートを示す平面図である。
セラミックグリーンシート50には、内部電極7Cに対応する内部電極パターン60と、内部電極7Dに対応する内部電極パターン70が形成されている。内部電極パターン60は、主電極部13Gに対応する部分67と、引き出し部14Cに対応する部分63と、引き出し部14Dに対応する部分65と、を有している。内部電極パターン70は、主電極部13Hに対応する部分77と、引き出し部14Eに対応する部分73と、引き出し部14Fに対応する部分75と、を有している。
内部電極パターン60及び内部電極パターン70は、第1の方向(図15におけるX方向)と第2の方向(図15におけるY方向)とにおいて、交互に配置されるように形成されている。内部電極パターン60及び内部電極パターン70は、引き出し部14Cに対応する部分63と引き出し部14Eに対応する部分73とが切断予定線C1をまたがって連続すると共に、引き出し部14Dに対応する部分65と引き出し部14Fに対応する部分75とが切断予定線C2をまたがって連続するようにも、形成されている。第2の方向において隣り合う内部電極パターン30と内部電極パターン40とが、それぞれの引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73を通して連続している。第1の方向において隣り合う内部電極パターン30と内部電極パターン40とが、それぞれの引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75を通して連続している。内部電極パターン60及び内部電極パターン70は、ミアンダ状につながって第2の方向に伸びている。
続く積層工程では、図16に示されるように、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート(不図示)と共と複数枚のセラミックグリーンシート20,50とを、第3の方向(図16におけるZ方向)に積層する。これにより、図17に示されたセラミックグリーンシート積層体GMが得られる。このとき、セラミックグリーンシート20,50を、セラミックグリーンシート20同士及びセラミックグリーンシート50同士がそれぞれ一つの内部電極パターン分第1の方向にずれるように、積層する。また、セラミックグリーンシート20,50を、内部電極パターン30の位置と内部電極パターン40の位置とが一致すると共に、内部電極パターン60の位置と内部電極パターン70の位置とが一致するように、積層する。すなわち、セラミックグリーンシート20,50は、第3の方向から見て、内部電極パターン30,40,60,70における主電極部13A,13B,13G,13Hに対応する部分31,41,67,77が重なるように、積層されている。
続く切断工程では、図18に示されるように、セラミックグリーンシート積層体GMを切断予定線C1,C2に沿って切断する。これにより、図19に示される、個々の積層コンデンサ1単位の積層体チップMCが得られる。図18は、切断工程を説明するために、セラミックグリーンシート積層体GMを分解して表した平面図である。
切断予定線C1にてセラミックグリーンシート積層体GMを切断すると、切断面に引き出し部14A,14Bに対応する部分33,43がそれぞれ露出すると共に引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73がそれぞれ露出する。切断予定線C2にてセラミックグリーンシート積層体GMを切断すると、切断面に引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75がそれぞれ露出する。したがって、積層体チップMCには、その側面に各引き出し部14A,14B,14C,14E,14D,14Fに対応する部分33,43,63,73,65,75が露出する。
続く焼成工程及び外部導体形成工程を経て、最終的に上述した積層コンデンサが得られる。焼成工程及び外部導体形成工程については、上述した第1実施形態における焼成工程S4及び外部導体形成工程S5と同じであり、説明を省略する。
以上のように、第2実施形態に係る製造方法では、第1実施形態に係る製造方法と同じく、積層コンデンサ1の製造工程が簡便となり、製造コストの低減を図ることができると共に、静電容量部11とESR制御部12とを含んでいる素体2を備えた積層コンデンサ1を歩留まりよく製造することができる。
(第3実施形態)
次に、図20〜図22を参照して、第3実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造される積層コンデンサの構成について説明する。第3実施形態における積層コンデンサは、ダミー電極を備える点に関して、上述した第1実施形態における積層コンデンサ1と相違する。
図示は省略するが、第3実施形態における積層コンデンサは、上述した積層コンデンサ1と同じく、素体2と、外部電極3A,3Bと、端子導体4A,4Bと、を備えている。 素体2は、図20に示されるように、誘電体層6の上に異なるパターンの内部電極7が形成されてなる複数の複合層5と、複合層5の最表層に積層され、保護層として機能する誘電体層6とによって形成されている。素体2は、図20に示されるように、静電容量部11とESR制御部12とを有している。
静電容量部11は、図20に示されるように、内部電極の形状が異なる2つの複合層5A,5Bが交互に複数積層されて形成されている。複合層5Aは、図21(a)に示されるように、内部電極7A以外に、ダミー電極8A,9A,10Aを含んでいる。ダミー電極8A,9A,10Aは、内部電極7Aから間隔を隔てて設けられ、分離している。ダミー電極8Aは、その一端部が素体2の側面2aに露出し、外部電極3Aに接続されている。ダミー電極9Aは、その一端部が素体2の側面2bに露出し、外部電極3Bに接続されている。ダミー電極10Aは、その一端部が素体2の側面2dに露出し、端子導体4Bに接続されている。ダミー電極8A,9Aの幅(素体2の短手方向における幅)は、引き出し部14D,14Fの幅と略同じに設定されている。ダミー電極10Aの幅は、引き出し部14Bの幅と略同じに設定されている。
複合層5Bは、図21(b)に示されるように、内部電極7B以外に、ダミー電極8B,9B,10Bを含んでいる。ダミー電極8B,9B,10Bは、内部電極7Bから間隔を隔てて設けられ、分離している。ダミー電極8Bは、その一端部が素体2の側面2aに露出し、外部電極3Aに接続されている。ダミー電極9Bは、その一端部が素体2の側面2bに露出し、外部電極3Bに接続されている。ダミー電極10Bは、その一端部が素体2の側面2cに露出し、端子導体4Aに接続されている。ダミー電極8B,9Bの幅(素体2の短手方向における幅)も、引き出し部14D,14Fの幅と略同じに設定されている。ダミー電極10Bの幅は、引き出し部14Aの幅と略同じに設定されている。
ESR制御部12は、図20に示されるように、内部電極の形状が異なる2つの複合層5C,5Dによって形成されている。複合層5Cは、図22(a)に示されるように、内部電極7C以外に、ダミー電極9C,10Cを含んでいる。ダミー電極9C,10Cは、内部電極7Cから間隔を隔てて設けられ、分離している。ダミー電極9Cは、その一端部が素体2の側面2bに露出し、外部電極3Bに接続されている。ダミー電極10Cは、その一端部が素体2の側面2dに露出し、端子導体4Bに接続されている。ダミー電極9Cの幅(素体2の短手方向における幅)は、引き出し部14Fの幅と略同じに設定されている。ダミー電極10Cの幅は、引き出し部14Bの幅と略同じに設定されている。
複合層5Dは、図22(b)に示されるように、内部電極7D以外に、ダミー電極8D,10Dを含んでいる。ダミー電極8D,10Dは、内部電極7Dから間隔を隔てて設けられ、分離している。ダミー電極8Dは、その一端部が素体2の側面2aに露出し、外部電極3Aに接続されている。ダミー電極10Dは、その一端部が素体2の側面2cに露出し、端子導体4Aに接続されている。ダミー電極8Dの幅(素体2の短手方向における幅)は、引き出し部14Dの幅と略同じに設定されている。ダミー電極10Dの幅は、引き出し部14Aの幅と略同じに設定されている。
素体2において、積層方向から見て、ダミー電極8A,8B,8Dは引き出し部14Dと重なり、ダミー電極9A,9B,9Cは引き出し部14Fと重なり、ダミー電極10A,10Cは引き出し部14Aと重なり、ダミー電極10B,10Dは引き出し部14Aと重なっている。
以上のような構成を有する積層コンデンサにおいても、上述した積層コンデンサ1と同じく、従来のように外部電極3に内部電極7を並列接続する場合と比較して高ESRを実現できる。
続いて、図23〜図28を参照して、上述の構成を有する積層コンデンサの製造方法について説明する。
第3実施形態に係る積層コンデンサの製造方法は、第1及び第2実施形態と同じく、セラミックグリーンシート準備工程、積層工程、切断工程、焼成工程、外部導体形成工程の各工程を備えている。
セラミックグリーンシート準備工程では、図23に示されたセラミックグリーンシート20を複数枚準備する。図23は、セラミックグリーンシートを示す平面図である。
セラミックグリーンシート20には、内部電極パターン30及び内部電極パターン40以外に、ダミー電極8A,9Bに対応するダミー電極パターン90と、ダミー電極8B,9Aに対応するダミー電極パターン92と、ダミー電極10A,10Bに対応するダミー電極パターン94と、が形成されている。ダミー電極パターン90は、ダミー電極8Aに対応する部分90aとダミー電極9Bに対応する部分90bとを含んでいる。ダミー電極パターン92は、ダミー電極8Bに対応する部分92aとダミー電極9Aに対応する部分92bとを含んでいる。ダミー電極パターン94は、ダミー電極10Aに対応する部分94aとダミー電極10Bに対応する部分94bとを含んでいる。
ダミー電極パターン90とダミー電極パターン92とは、第1の方向(図23におけるX方向)において、内部電極パターン30及び内部電極パターン40の間に交互に位置するように形成されている。ダミー電極パターン90は、ダミー電極8Aに対応する部分90aとダミー電極9Bに対応する部分90bとが切断予定線C2をまたがって連続するようにも、形成されている。ダミー電極パターン92も、ダミー電極8Bに対応する部分92aとダミー電極9Aに対応する部分92bとが切断予定線C2をまたがって連続するようにも、形成されている。ダミー電極パターン90は、切断予定線C2が延びる方向に沿って併置されている。ダミー電極パターン92は、切断予定線C2が延びる方向に沿って併置されている。
ダミー電極パターン94は、第2の方向(図23におけるY方向)において、内部電極パターン30及び内部電極パターン40の間に位置するように形成されている。ダミー電極パターン94は、ダミー電極10Aに対応する部分94aとダミー電極10Bに対応する部分94bとが切断予定線C1をまたがって連続するようにも、形成されている。
また、セラミックグリーンシート準備工程では、図24に示されたセラミックグリーンシート50を複数枚準備する。図24は、セラミックグリーンシートを示す平面図である。
セラミックグリーンシート50には、内部電極パターン60及び内部電極パターン70以外に、ダミー電極8D,9Cに対応するダミー電極パターン96と、ダミー電極10C,10Dに対応するダミー電極パターン98と、が形成されている。ダミー電極パターン96は、ダミー電極8Dに対応する部分96aとダミー電極9Cに対応する部分96bとを含んでいる。ダミー電極パターン98は、ダミー電極10Cに対応する部分98aとダミー電極10Dに対応する部分98bとを含んでいる。
ダミー電極パターン96は、第1の方向(図24におけるX方向)において、内部電極パターン60及び内部電極パターン70の間に交互に位置するように形成されている。ダミー電極パターン96は、ダミー電極8Dに対応する部分96aとダミー電極9Cに対応する部分96bとが切断予定線C2をまたがって連続するようにも、形成されている。ダミー電極パターン96は、切断予定線C2が延びる方向に沿って併置されている。
ダミー電極パターン98は、第2の方向(図24におけるY方向)において、内部電極パターン60及び内部電極パターン70の間に位置するように形成されている。ダミー電極パターン98は、ダミー電極10Cに対応する部分98aとダミー電極10Dに対応する部分98bとが切断予定線C1をまたがって連続するようにも、形成されている。
続く積層工程では、図25に示されるように、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート(不図示)と共と複数枚のセラミックグリーンシート20,50とを、第3の方向(図25におけるZ方向)に積層する。これにより、図26に示されたセラミックグリーンシート積層体GMが得られる。
続く切断工程では、図27に示されるように、セラミックグリーンシート積層体GMを切断予定線C1,C2に沿って切断する。これにより、図28に示される、個々の積層コンデンサ1単位の積層体チップMCが得られる。図27は、切断工程を説明するために、セラミックグリーンシート積層体GMを分解して表した平面図である。
切断予定線C1にてセラミックグリーンシート積層体GMを切断すると、切断面に引き出し部14A,14Bに対応する部分33,43、引き出し部14C,14Eに対応する部分63,73、及びダミー電極10A,10B,10C,10Dに対応する部分94a,94b,98a,98bがそれぞれ露出する。切断予定線C2にてセラミックグリーンシート積層体GMを切断すると、切断面に引き出し部14D,14Fに対応する部分65,75、ダミー電極8A,8B,8Dに対応する部分90a,92a,96a、及びダミー電極9A,9B,9Cに対応する部分92b,90b,96bがそれぞれ露出する。したがって、積層体チップMCには、その側面に各引き出し部14A,14B,14C,14E,14D,14F及びダミー電極8A,8B,8D,9A,9B,9C,10A,10B,10C,10Dに対応する部分33,43,63,73,65,75,90a,92a,96a,92b,90b,96b,94a,94b,98a,98bが露出する。
続く焼成工程及び外部導体形成工程を経て、最終的に上述した積層コンデンサが得られる。焼成工程及び外部導体形成工程については、上述した第1実施形態における焼成工程S4及び外部導体形成工程S5と同じであり、説明を省略する。
以上のように、第3実施形態に係る製造方法では、第1及び第2実施形態に係る製造方法と同じく、積層コンデンサ1の製造工程が簡便となり、製造コストの低減を図ることができると共に、静電容量部11とESR制御部12とを含んでいる素体2を備えた積層コンデンサ1を歩留まりよく製造することができる。
第3実施形態に係る製造方法では、セラミックグリーンシート20に形成されるダミー電極パターン90では、ダミー電極8Aに対応する部分90aとダミー電極9Bに対応する部分90bとが切断予定線C2をまたがって連続している。ダミー電極パターン92では、ダミー電極8Bに対応する部分92aとダミー電極9Aに対応する部分92bとが切断予定線C2をまたがって連続している。ダミー電極パターン94では、ダミー電極10Aに対応する部分94aとダミー電極10Bに対応する部分94bとが切断予定線C1をまたがって連続している。セラミックグリーンシート50に形成されるダミー電極パターン96でも、ダミー電極8Dに対応する部分96aとダミー電極9Cに対応する部分96bとが切断予定線C2をまたがって連続している。ダミー電極パターン98でも、ダミー電極10Cに対応する部分98aとダミー電極10Dに対応する部分98bとが切断予定線C1をまたがって連続している。このため、積層体チップMCでは、ダミー電極パターン90〜98(90a,92a,96a,92b,90b,96b,94a,94b,98a,98b)が切断面である側面に必ず露出することとなり、ダミー電極8A,8B,8D,9A,9B,9C,10A,10B,10C,10Dも側面2a〜2dに引き出された素体2を得ることができる。ダミー電極8A,8B,8D,9A,9B,9C,10A,10B,10C,10Dは、素体2に外部電極3A,3B及び端子導体4A,4Bを形成する際に、外部電極3A,3B及び端子導体4A,4Bとの接触面積の拡大を図って、素体2と外部電極3A,3B及び端子導体4A,4Bとの接続強度を向上するためのものである。また、セラミックグリーンシート20,50にダミー電極パターン90〜98を形成することにより、ダミー電極パターン90〜98が段差吸収層として機能し、内部電極パターン30,40,60,70の厚みに起因して生じる段差の発生を抑制して、積層体チップMC(素体2)の変形を防止することができる。
(第4実施形態)
次に、図29〜図31を参照して、第4実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造される積層コンデンサの構成について説明する。第4実施形態における積層コンデンサは、ダミー電極を備える点に関して、上述した第2実施形態における積層コンデンサと相違する。
図示は省略するが、第4実施形態における積層コンデンサは、上述した積層コンデンサ1と同じく、素体2と、外部電極3A,3Bと、端子導体4A,4Bと、を備えている。 素体2は、図29に示されるように、誘電体層6の上に異なるパターンの内部電極7が形成されてなる複数の複合層5と、複合層5の最表層に積層され、保護層として機能する誘電体層6とによって形成されている。素体2は、図29に示されるように、静電容量部11とESR制御部12とを有している。
静電容量部11は、図29に示されるように、内部電極の形状が異なる2つの複合層5A,5Bが交互に複数積層されて形成されている。複合層5Aは、内部電極7A以外に、ダミー電極8A,9A,10Aを含んでいる。複合層5Bは、内部電極7B以外に、ダミー電極8B,9B,10Bを含んでいる。
ESR制御部12は、図29に示されるように、内部電極の形状が異なる2つの複合層5C,5Dによって形成されている。複合層5Cは、図30(a)に示されるように、内部電極7C以外に、ダミー電極9C,10Cを含んでいる。複合層5Dは、図30(b)に示されるように、内部電極7D以外に、ダミー電極8D,10Dを含んでいる。
以上のような構成を有する積層コンデンサでも、上述した積層コンデンサ1と同じく、従来のように外部電極3に内部電極7を並列接続する場合と比較して高ESRを実現できる。
続いて、図31〜図35を参照して、上述の構成を有する積層コンデンサの製造方法について説明する。
第4実施形態に係る積層コンデンサの製造方法は、第1〜第3実施形態と同じく、セラミックグリーンシート準備工程、積層工程、切断工程、焼成工程、外部導体形成工程の各工程を備えている。
セラミックグリーンシート準備工程では、図23に示されたセラミックグリーンシート20を複数枚準備する。セラミックグリーンシート20には、内部電極パターン30、内部電極パターン40、ダミー電極パターン90、ダミー電極パターン92、及びダミー電極パターン94が形成されている。また、セラミックグリーンシート準備工程では、図31に示されたセラミックグリーンシート50を複数枚準備する。セラミックグリーンシート50には、内部電極パターン60、内部電極パターン70、ダミー電極パターン96、及びダミー電極パターン98が形成されている。図31は、セラミックグリーンシートを示す平面図である。
続く積層工程では、図32に示されるように、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシート(不図示)と共と複数枚のセラミックグリーンシート20,50とを、第3の方向(図32におけるZ方向)に積層する。これにより、図33に示されたセラミックグリーンシート積層体GMが得られる。
続く切断工程では、図34に示されるように、セラミックグリーンシート積層体GMを切断予定線C1,C2に沿って切断する。これにより、図35に示される、個々の積層コンデンサ1単位の積層体チップMCが得られる。図34は、切断工程を説明するために、セラミックグリーンシート積層体GMを分解して表した平面図である。
続く焼成工程及び外部導体形成工程を経て、最終的に上述した積層コンデンサが得られる。焼成工程及び外部導体形成工程については、上述した第1実施形態における焼成工程S4及び外部導体形成工程S5と同じであり、説明を省略する。
以上のように、第4実施形態に係る製造方法では、第1〜第3実施形態に係る製造方法と同じく、積層コンデンサ1の製造工程が簡便となり、製造コストの低減を図ることができると共に、静電容量部11とESR制御部12とを含んでいる素体2を備えた積層コンデンサ1を歩留まりよく製造することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
セラミックグリーンシート20,50の積層数や積層順序は、上述した実施形態に限られない。例えば、セラミックグリーンシート50は、連続積層されていてもよいし、また、セラミックグリーンシート20の間に積層されていてもよい。セラミックグリーンシート20,50に形成されるセラミックグリーンシート20,50の数も、上述した実施形態に限られない。
ダミー電極パターン90,92は、図36に示されるように、切断予定線C2が延びる方向に連続して形成されていてもよい。また、ダミー電極パターン96も、図37及び図38に示されるように、切断予定線C2が延びる方向に連続して形成されていてもよい。
1…積層コンデンサ、2…素体、2a,2b,2c,2d…側面、6…誘電体層、7(7A,7B,7C,7D)…内部電極、8A,8B,8D,9A,9B,9C,10A,10B,10C,10D…ダミー電極、11…静電容量部、12…ESR制御部、13A,13B,13C,13D,13G,13H…主電極部、14A,14B,14C,14E,14D,14F…引き出し部、20,50…セラミックグリーンシート、30,40,60,70…内部電極パターン、31,41,61,67,71,77…主電極部に対応する部分、33,43,63,65,73,75…引き出し部に対応する部分、90,92,94,96,98…ダミー電極パターン、S1…セラミックグリーンシート準備工程、S2…積層工程、S3…切断工程、S4…焼成工程、S5…外部導体形成工程、C1,C2…切断予定線、GM…セラミックグリーンシート積層体、MC…積層体チップ。