JP2010100853A - メロシアニン系色素 - Google Patents

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秀夫 大高
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賢太郎 矢野
Hirofumi Mitekura
裕文 見手倉
Fumio Matsui
文雄 松井
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Abstract

【課題】 太陽電池などの光電変換素子において改善された光電変換効率を与える光増感組成物とその用途を提供することを課題とする。
【解決手段】 2種類の特定の有機化合物を含んでなる光増感組成物と、斯かる光増感組成物により増感された半導体電極と、斯かる光増感組成物を用いる光電変換素子及び太陽電池を提供することによって前記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

この発明はメロシアニン系色素に関するものであり、とりわけ、太光増感材料、太陽電池などの光電変換素子において有用な光増感組成物に関するものである。
エコロジー重点文明が喧伝される昨今、太陽光発電が火力発電や原子力発電に代わるクリーンな発電手段としてにわかに脚光を浴びるようになった。半導体を光照射すると起電力が生じるという太陽光発電の原理は古くから知られ、この原理を利用する太陽電池として、すでに、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファス太陽電池、化合物半導体太陽電池、無機太陽電池、有機太陽電池、光電気化学太陽電池(湿式太陽電池)などが考案されている。これらの太陽電池は、周知のとおり、その一部がすでに実用化され、起電力は小さくても、軽量にして長寿命な電源として携帯機器や一般家庭などにおける簡易発電手段として急速に普及しつつある。
太陽電池の開発における焦眉の急は、火力発電をはじめとする既存の発電手段を代替するに足る発電コストの低減、特に、電池モジュールの大面積化と低廉化である。上記した太陽電池のうちで、光電気化学太陽電池は、半導体を電解液に浸漬するだけで接合が形成でき、しかも、多結晶材料を用いても比較的高い光電変換効率が期待できるなどの理由により、潜在的に優れた太陽電池であると考えられている。
光電気化学太陽電池の多くは、一対の電極のうちの少なくとも一方が光を吸収して起電力を生じる方式を採用しており、特に、二酸化チタンの電極を用いるものは著しく高効率であると言われている。斯かる電極とともに光電気化学太陽電池を構成する光増感剤については、例えば、荒川裕則ら『太陽エネルギー』、第23巻、第4号、11乃至18頁(1997年)、北村隆之ら『表面化学』、第21巻、第5号、288乃至293頁(2000年)などに報告されているように、ビピリジンルテニウム錯体をはじめとして、これまでにもいくつかの吸光性有機化合物が提案されている。
ところが、吸光性有機化合物は、一般に、吸光域が太陽電池による光電変換の対象となる波長域に比べて狭いことから、単独で用いたのでは、太陽光を満遍なく有効に利用することができない。さりとて、斯かる有機化合物を複数組み合わせて用いたとしても、組成物全体の吸光特性が組成物を構成する吸光性有機化合物のうちの吸光特性に劣るものによって支配されることとなり、いずれにしても、光電気化学太陽電池の光電変換効率を改善するのが困難な状況にあった。
荒川裕則ら『太陽エネルギー』、第23巻、第4号、11乃至18頁(1997年) 北村隆之ら『表面化学』、第21巻、第5号、288乃至293頁(2000年)
斯かる状況に鑑み、この発明は、太陽電池などの光電変換素子において、太陽光を満遍なく利用し得る光増感組成物とその用途を提供することを課題とする。
本発明者が諸種の吸光性有機化合物の組み合わせについて鋭意研究し、検索したところ、メロシアニン系色素とクマリン系色素とを含んでなる光増感組成物は、光電変換素子へ適用すると、広範な波長の可視光に対して、いずれか一方の色素のみによっては容易に達成し得ない、高い光増感能を発揮することを見出した。
すなわち、この発明は、メロシアニン系色素とクマリン系色素とを含んでなる光増感組成物を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かる光増感組成物により増感された半導体電極を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かる光増感組成物を用いる光電変換素子を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かる光増感組成物を用いる太陽電池を提供することによって前記課題を解決するものである。
メロシアニン系色素とクマリン系色素とを含んでなるこの発明の光増感組成物は、可視領域において、広範な波長域の光を効率良く吸収する。この発明の光増感組成物は、太陽電池、とりわけ、光電気化学太陽電池などの光電変換素子に用いると、いずれか一方のみでは容易に達成することができない、高い光電変換効率を達成する。加えて、この発明の光増感組成物は、重合性化合物や重合開始剤を増感し、前者の重合性化合物を光化学的重合させるための増感剤としても有用である。
この発明による光電変換素子の模式図である。
以下、この発明の実施の形態について説明すると、既述のとおり、この発明は、メロシアニン系色素とクマリン系色素とを含んでなる光増感組成物とその用途に関するものである。いかなる色素化合物であっても、それがメロシアニン系又はクマリン系のものであって、それらを併用することがこの発明の目的を逸脱しないかぎり、この発明にしたがって有利に用いることができる。好ましいメロシアニン系色素としては、例えば、一般式1乃至一般式3のいずれかで表されるものが、また、好ましいクマリン系色素としては、例えば、一般式4で表されるものが挙げられる。
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一般式1乃至一般式3において、Z乃至Zは互いに同じか異なる複素環を表す。X乃至Xは、それぞれ独立に、炭素原子か、あるいは、例えば、窒素原子、燐原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などの周期律表における第15族又は第16族のヘテロ原子を表す。Y乃至Yは互いに同じか異なるヘテロ原子を表し、個々のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などの周期律表における第16族の元素が挙げられる。したがって、Z乃至Zにおける複素環の具体例としては、例えば、アセナフチレノ[1,2−d]チアゾール環、イソオキサゾール環、イソキノリン環、イミダゾール環、2,4−イミダゾリジンジオン環、2,4−イミダゾリジンジチオン環、イミダゾリン環、イミダゾ[4,5−d]キノキザリン環、イミダゾ[4,5−d]キノリン環、イミダゾ[4,5−d]ピリジン環、インドレニン環、インドール環、オキサジアゾール環、2,5−オキサゾリジンジオン環、2,5−オキサゾリジンジチオン環、オキサゾール環、キノリン環、キノリノ[2,3−d]チアゾール環、2,4−チアゾリジンシチオン環、2,4−チアゾリジンジオン環、チアジアゾール環、チアゾリン環、チアゾール環、2−チオキソ−4−イミダゾリジノン環、2−チオキソ−5−オキサゾリジノン環、2−チオキソ−4−チアゾリジノン環、2−チオキソ−5−ピロリジノン環、テトラゾール環、ナフト[2,3−d]イミダゾール環、ナフト[1,2−d]チアゾール環、ナフト[2,3−d]チアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、2,5−ピロリジンジオン環、2,5−ピロリジンジチオン環、ピロール環、フェナントレノ[9,10−d]チアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾインドレニン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環などが挙げられる。
一般式1乃至一般式3におけるR乃至R27は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R乃至R27における置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ウンデシル基、オクタデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基などのアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基若しくはそれらの塩、シアノ基、ニトロ基、さらには、これらの組合わせによる置換基が挙げられる。なお、X乃至Xが二価又は三価のヘテロ原子である場合、R乃至R、R12乃至R15及びR22乃至R27の一部又は全部が存在しない。また、一般式1乃至一般式3におけるZ、Z及びZは、例えば、R乃至R27におけると同様の置換基を1又は複数有していてもよい。太陽電池などの光電変換素子へ用いるメロシアニン系色素としては、半導体電極への吸着性の点で、一般式1におけるR及び/又はR、一般式2におけるR乃至Rの少なくとも一つ、一般式3におけるR16乃至R19の少なくとも一つがカルボキシ基か、あるいは、カルボキシ基を有する置換基であるものが好ましい。
一般式1乃至一般式3で表されるメロシアニン系色素は、分子内の荷電に応じた対イオンを有することがある。対イオンとしては、この発明の目的を逸脱しない範囲で適宜のものを選択すればよく、個々の対イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの無機カチオンや、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオンなどの有機カチオンが挙げられる。なお、一般式1乃至一般式3におけるmは零以上の整数であり、mが零の場合、R、R、R10、R11、R20及びR21は存在しない。一般に、mが大きいと吸収極大が長波長側へシフトし、反対に、小さいと、短波長側へシフトする。
一般式4におけるR28乃至R38は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R28乃至R33における置換基としては、一般式1乃至一般式3のR乃至R38におけると同様の、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ウンデシル基、オクタデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基などのアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基若しくはそれらの塩、シアノ基、ニトロ基、さらには、これらの組合わせによる置換基が挙げられる。太陽電池などの光電変換素子へ用いるクマリン系色素としては、半導体電極への吸着性の点で、R34乃至R38の少なくとも一つがカルボキシ基か、あるいは、カルボキシ基を有する置換基であるものが好ましい。
一般式1で表されるメロシアニン系色素の具体例としては、例えば、化学式1乃至化学式15で表されるものが、一般式2で表されるメロシアニン系色素の具体例としては、例えば、化学式16乃至化学式63で表されるものが、一般式3で表されるメロシアニン系色素の具体例としては、例えば、化学式64乃至化学式71で表されるものが、また、一般式4で表されるクマリン系色素の具体例としては、例えば、化学式72乃至化学式79で表されるものが挙げられる。ちなみに、これらの色素は、例えば、速水正明監修『感光色素』、1997年、産業図書株式会社発行、11乃至31頁に記載された方法か、あるいは、それらの方法に準じて所望量を得ることができる。市販品がある場合には、必要に応じて、それを適宜精製したうえで用いればよい。
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この発明の光増感組成物は、例えば、一般式1乃至一般式3で表されるメロシアニン系色素の1又は複数と、一般式4で表されるクマリン系色素の1又は複数とをモル比で1:100乃至100:1の範囲、通常、1:50乃至50:1の範囲で含んでなる。この発明の光増感組成物は、使用に先立って、各々の色素が斯かる範囲のモル比で事前に配合されたものであっても、半導体電極を光増感するに当たって、半導体電極を浸漬する溶液にメロシアニン系色素とクマリン系色素とを別々に添加し、溶液における各々のモル比が斯かる範囲になるようにしてもよい。また、この発明の光増感組成物は、発明の目的を逸脱しない範囲で、斯界において汎用される、例えば、耐光性改善剤、バインダー、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、熱干渉防止剤、可塑剤、溶剤などの1又は複数を配合することを妨げない。
この発明による光増感組成物の用途について説明すると、この発明の光増感組成物は、紫外領域から可視領域にいたる広範な波長域において吸光能を発揮することから、吸光性材料を必要とする諸分野において極めて有用である。とりわけ、半導体との親和性に優れたこの発明による光増感組成物は、太陽電池、詳細には、光電気化学太陽電池などの光電変換素子へ適用される半導体電極を増感するための材料として極めて有用である。
そこで、この発明の光増感組成物の用途に関連して、この発明の光増感組成物により増感された半導体電極と、その半導体電極を用いる光電変換素子及び光電気化学太陽電池について説明すると、この発明による半導体電極は、光電気化学太陽電池などに汎用される半導体電極を、この発明による光増感組成物を用いて増感することによって得ることができる。斯かる半導体電極は、用途に応じた所望の形状、例えば、板状、円柱状、角柱状、ネット状など、所望の形状、大きさに形成した電気伝導性透明電極の一部又は全体に半導体層を形成し、その半導体層へこの発明による光増感組成物を吸着させることによって得ることができる。透明電極としては、それが電気伝導性を有するものであるかぎり特に制限はなく、例えば、可視領域において実質的に透明なガラス、セラミック、プラスチックなどの基板へ、例えば、弗素若しくはアンチモンを微量混入させた酸化錫(NESA)、錫を微量混入させた酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛などの実質的に透明な半導体を薄膜状に塗布してなるものが挙げられ、このうち、弗素を微量混入させた酸化錫を薄膜状に塗布したものが特に好ましい。
斯かる半導体層は、通常、汎用の方法により、電気伝導性透明電極に対して、平均粒子径5乃至500nmの多孔質構造を有する半導体のナノ粒子を0.1乃至100μm、好ましくは、1乃至50μmの厚さに付着させた後、焼結することによって形成することができる。半導体層を構成する半導体の具体例としては、斯界において汎用される化合物半導体一般、とりわけ、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化インジウム、酸化錫、酸化ビスマスなどの金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウムなどの複合金属酸化物、沃化銀、沃化銅、臭化銅などの金属ハロゲン化合物、硫化亜鉛、硫化チタン、硫化インジウム、硫化ビスマス、硫化カドミウム、硫化ジルコニウム、硫化タンタル、硫化銀、硫化銅、硫化錫、硫化タングステン、硫化モリブデンなどの金属硫化物、セレン化カドミウム、セレン化ジルコニウム、セレン化亜鉛、セレン化チタン、セレン化インジウム、セレン化タングステン、セレン化モリブデン、セレン化ビスマス、テルル化カドミウム、テルル化タングステン、テルル化モリブデン、テルル化亜鉛、テルル化ビスマスなどのカルコゲナイド化合物が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。特に、同じ特許出願人による特願2000−111331号明細書(名称「半導体層、これを用いる太陽電池及びそれらの製造方法並びに用途」)に記載された、粒度分布において複数のピークを有する半導体粒子群からなる化合物半導体は、この発明による半導体電極において極めて有用である。なお、これらの半導体は単なる例示であって、この発明で用いる半導体は決してこれらに限定されてはならず、発明の目的を逸脱しない範囲で、p型半導体及びn型半導体のうちから適宜のものを選択すればよい。
斯くして得られる半導体電極を増感するには、例えば、この発明による光増感組成物を濃度0.01mMから飽和濃度、好ましくは、0.1乃至0.5mMになるように適宜溶剤に溶解し、その溶液に半導体電極を浸漬した状態で、周囲温度か周囲温度を上回る温度で1分間以上、好ましくは、12乃至48時間静置することによって吸着させればよい。溶剤としては、光増感組成物が溶解するかぎり特に制限がなく、例えば、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリルなどのニトリル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類を、必要に応じて、適宜組み合わせて用いる。これらの溶剤のうち、溶解度の点で、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類及びこれらの混液が好ましい。
この発明の光増感組成物により増感された半導体電極は、光電変換素子における半導体電極として極めて有用である。この発明は、当該光増感組成物を用いる光電変換素子をも提供するものであり、この発明による光電変換素子は、当該光増感組成物により増感された半導体電極と、その対極と、それらの電極へ接触するレドックス電解液とを含んでなる。
図1はこの発明による光電変換素子の一例を示す模式図であり、図1において、1は半導体電極であり、既述のとおり、透明電極2aの一部又は全体へ化合物半導体などの半導体を層状に付着させた後、その半導体層3へ光増感組成物を吸着させて増感することによって得ることができる。
4は対極であり、通常、半導体電極1におけると同様に、電気伝導性を有する透明電極2bの一部又は全体へ、例えば、真空蒸着、化学蒸着、スパッタリング、原子層エピタクシー、塗布、浸漬などの汎用の方法により、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、錫などの金属か、あるいは、炭素若しくは半導体電極1におけると同様の半導体を適宜厚さの層状に付着せしめることによって得ることができる。
5はレドックス電解液であり、溶液において、例えば、沃素レドックス系、鉄レドックス系、錫レドックス系、クロミウムレドックス系、バナジウムレドックス系、硫化物イオンレドックス系、アントラキノンレドックス系などのレドックス系を与える、例えば、沃化イミダゾリウム誘導体、沃化リチウム、沃化カリウム、沃化テトラアルキルアンモニウム塩などの沃素化合物と沃素との混合物、臭化イミダゾリウム誘導体、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化テトラアルキルアンモニウム塩などの臭素化合物と臭素との混合物がレドックス電解質として配合される。
レドックス電解質5における溶剤としては、取り扱い易く、安定であって、レドックス電解質を実質的に溶解するものであるかぎり、特に制限がない。斯かる溶剤の具体例としては、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、スクシノニトリルなどのニトリル類、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6などのエーテル類、ピリジンなどのアミン類、ニトロメタンなどのニトロ化合物、ジメチルスルホキシドなどの含硫化合物が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。なお、この発明による光電変換素子におけるレドックス電解液は液状のものに決して限定されてはならず、電解液へ、ゲル化剤によりゲル化した擬固体電解質を添加しても、電解液に代えて、ポリエチレンオキシド誘導体などのポリマーによる固体電解質を用いてもよい。
この発明による光電変換素子は、必要に応じて、半導体電極1と対極4との物理的接触を防ぐためのスペーサーを設けることを妨げない。スペーサーの材質としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのプラスチックや、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、バリウム珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラスなどのガラス、石英、陶器などのセラミックをはじめとする非電気伝導性材料が挙げられ、これを単用するか適宜組み合わせて厚さ1μm以上、好ましくは、10乃至50μmの膜状、フィルム状又はシート状に形成する。なお、光電気化学太陽電池などにおいて、光電変換素子を収容するセルが両電極の物理的接触を防ぐ構造を有している場合には、スペーサーを省略することができる。
この発明による光電変換素子の動作について説明すると、図1に示す光電変換素子において、半導体電極1へ光hνが入射すると、半導体電極1へ吸着した光増感組成物S/Sが光を吸収し、励起されてS/S*となる。励起状態の光増感組成物S/S*における励起電子は半導体層3の伝導帯準位へ注入され、半導体電極1中を移動し、バックコンタクトである透明電極2aへ到達する。一方、電子を失った光増感組成物S/Sは、レドックス電解液5中の、例えば、IイオンなどのレドックスイオンR/Rから電子を受け取り、還元される。I3−イオンなどのレドックスイオンにおける対イオンは、対極4上で再度還元され、沃素イオンが再生される。斯かる電子の流れにより、外部負荷6へ電流を印可することができる。
この発明による太陽電池は用途に応じた適宜の形状、構造、大きさとすることができる。光電変換効率、起電力などの点で特に好ましい構造としては、例えば、同じ特許出願人による、特許協力条約による国際出願第PCT/JP01/11381号明細書(名称「太陽電池」)に記載された、対向する透明基板上に透明電極層を区画することによって互いに隣接して設けられた複数のセルを電気的に縦続接続してなるものが挙げられる。
既述のとおり、この発明の光増感組成物は可視光を効率良く吸収するので、光化学的重合において、重合性化合物や重合開始剤を増感するための光増感剤としても有用である。
光化学的重合の分野において、この発明の光増感組成物は、使用に際して、通常、重合性化合物、重合開始剤、バインダー樹脂などとの組成物に調製される。この発明の光増感組成物を適用し得る重合性化合物としては、例えば、エチレン性二重結合などの重合可能な多重結合を分子内に少なくとも一つ有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。斯かる重合性化合物の具体例としては、光重合性組成物において汎用される、例えば、アクリル酸、アリルアミン、アリルスルホン酸、アルキルカルボン酸ビニル、クロトン酸、スチレン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、フマル酸、マレイン酸、メタクリル酸、メタリルスルホン酸並びにそれらの誘導体及び塩などが挙げられる。ただし、この発明の光増感組成物を適用する重合性化合物は決してこれらに限定されてはならず、この発明の光増感組成物を用いて光化学的重合させ得るすべての重合性化合物が適用対象となる。
重合開始剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、3,3´,4,4´−テトラキス(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、エチルメチルケトン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ビス(ヒドロパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物、2,4,6−トリクロロメチル−s−トリアジンなどのハロゲン化炭化水素、さらには、ビスイミダゾール、ベンゾイルアルキルエーテル、鉄−アレン錯体、チタノセン化合物、N−フェニルグリシン、ジフェニルヨードニウム塩などの光化学的重合に汎用される重合開始剤が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。
用途にもよるけれども、バインダー樹脂も光重合性組成物に汎用されるものであればよく、個々のバインダー樹脂としては、例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド、ポリブチルメタクリレート、スチレン−マレイン酸エステル、ポリメチルメタクリレート−メタクリル酸、ポリ−N−ビニルピロリドン−グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
この発明による光増感組成物を用いて光重合性組成物を得るには、通常、この発明の光増感組成物1重量部に対して、上記のごとき重合性化合物を1乃至1,000重量部、好ましくは、10乃至500重量部含有せしめ、さらに、必要に応じて、バインダー樹脂を1,000重量部まで、好ましくは、500重量部まで、さらには、重合開始剤を0.1乃至100重量部、好ましくは、1乃至10重量部含有せしめて光重合性組成物とする。また、それ以外に、必要に応じて、例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、2,6−tert−ブチル−p−クレゾールなどのキノン系又はフェノール系の熱重合禁止剤、フタル酸エステルやアジピン酸エステルをはじめとする、飽和若しくは不飽和のカルボン酸エステルなどの可塑剤、さらには、着色剤、保存剤、安定剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤などを適宜配合してもよい。なお、メロシアニン系及びクマリン系色素の種類や光重合性組成物の用途によっては、重合開始剤及び/又はバインダー樹脂は省略されることがある。
斯くして得られる光重合性組成物は、通常、適宜溶剤に溶解させて溶液となし、これを適宜支持体上へ塗布し、乾燥して用いられる。溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、燐酸トリエチルなどのエステル類、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。
支持体も用途に応じた汎用のものでよく、個々の支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄などの金属及びそれらの合金、上質紙、アート紙、剥離紙などの紙、ガラス、セラミックなどの無機物、ポリエチレンフタレート、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、ナイロン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートなどのプラスチックをシート状又はフィルム状に形成したものや、必要に応じて、これらを層状に組み合わせたものが挙げられる。
重合方法についても特に制限がなく、例えば、ラジカル重合、イオン重合、開環重合などの開始過程のみに光が関与する光開始重合であっても、成長過程に光が関与する光重付加重合であってもよい。その際の露出光源としては、例えば、太陽光、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプなどの通常の光源であっても、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、ヘリウム・ネオンレーザーなどの気体レーザー、CdS系レーザーなどの半導体レーザー、分布帰還型若しくはブラッグ反射型Cd−YAGレーザーなどの固体レーザーであって、可視領域、通常、波長400乃至550nm付近に発振線を有する可視レーザーであってもよい。この発明の光増感組成物を配合した光重合性組成物は、例えば、ファクシミリ、複写機、プリンターなどの情報記録の分野、フレキソ製版、グラビア印刷などの印刷の分野、さらには、フォトレジストなどの印刷回路の分野において極めて有利に用いることができる。
以下、この発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
〈光増感組成物〉
化学式4で表されるメロシアニン系色素(吸収極大波長525nm、ε=9.70×10)と、化学式72で表されるクマリン系色素(吸収極大波長421nm、ε=3.81×10)とを38:62のモル比で混合することによって、可視光に対して増感能を有する組成物を得た。
本例の光増感組成物は、太陽電池などの光電変換素子における半導体電極を増感するための材料や、光化学的重合において重合性化合物や重合開始剤を光増感するための材料などとして有用である。
〈光増感組成物〉
化学式4で表されるメロシアニン系色素と、化学式21で表されるメロシアニン系色素(吸収極大波長590nm、ε=1.01×10)と、化学式72で表されるクマリン系色素とを39:46:15のモル比で混合することによって、可視光に対して増感能を有する組成物を得た。
本例の光増感組成物は、太陽電池などの光電変換素子における半導体電極を増感するための材料や、光化学的重合において重合性化合物や重合開始剤を光増感するための材料などとして有用である。
〈半導体電極〉
平均粒子径23nmのチタンのナノ粒子と、平均粒子径12nmの酸化チタンのナノ粒子とを重量比4:1の割合で結合し、20%(w/w)ポリエチレングリコール水溶液に分散させた後、電気伝導性を有する汎用のガラス基板の片面に約6μmの厚さで塗布し、乾燥させた後、450℃で30分間焼結して半導体電極を得た。
別途、実施例1及び実施例2の方法で得た光増感組成物のいずれかを有機化合物全体の濃度が1×10−4Mになるようにエタノールに溶解した。この溶液に上記で得られた半導体電極を浸漬し、室温下で12時間静置した後、溶液から取り出し、乾燥させて、この発明の光増感組成物により増感された2種類の半導体電極を得た。
本例の半導体電極は、例えば、光電気化学太陽電池などの光電変換素子を構成する半導体電極として極めて有用である。
〈光電変換素子〉
同じ特許出願人による、特許協力条約による国際出願第PCT/JP01/11381号明細書(名称「太陽電池」)に記載された方法にしたがって、実施例3の方法により得た2種類の半導体電極のいずれかと、常法にしたがって、弗素を微量混入させた酸化錫層を有する電気伝導性ガラス基板へ白金を厚さ100nmになるようにスパッタリングして得た対極とをセル内部へ取り付けるとともに、半導体電極と対極とが物理的に接触しないようにセル内の適所へ汎用のアイオノマー樹脂(商品名『ハイミラン』、三井・デュポンポリケミカル株式会社製造)によるスペーサーを取り付けた。その後、セル内へレドックス電解液(45mM沃素、30mM沃化リチウム、330mMジメチルヘキシルイミダゾリウム=アイオダイド及び0.1mM 4−tert−ブチルピリジンを含有するアセトニトリル溶液)を注入して2種類の光電変換素子を得た。
〈光電変換素子の光電変換特性〉
実施例4の方法により得た2種類の光電変換素子につき、常法にしたがって光電変換特性を調べた。光源には、キセノンランプとバンドパスフィルターを組み合わせた汎用のソーラーシミュレーター(エアマス1.5、照度94,500lux、輻射エネルギー密度82mW/cm)を用いた。併行して、化学式4、化学式21又は化学式72で表されるメロシアニン系色素若しくはクマリン系色素のいずれかを単独で用いるか、化学式21で表されるメロシアニン系色素に代えて、化学式21で表されるメロシアニン系色素と同様の吸光特性を有する化学式80で表されるシアニン系色素を用いた以外は実施例4におけると同様にして作製した対照の光電変換素子につき、上記と同様にして光電変換特性を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2010100853
Figure 2010100853
表1の結果から明らかなように、メロシアニン系色素とクマリン系色素とを組み合わせて用いるこの発明による光電変換素子は、短絡電流密度及び光電変換効率において、対照の光電変換素子を凌駕していた。すなわち、対照の光電変換素子の短絡電流密度及び光電変換効率が、それぞれ、2.51乃至4.28mA/cm及び1.0乃至1.9%であったのに対して、試験に供したこの発明による光電変換素子の短絡電流密度、光電変換効率は、それぞれ、8.31乃至8.55mA/cm及び3.2乃至3.6%と、対照の光電変換素子と比較して有意に高かった。化学式72で表されるクマリン化合物と、化学式4で表されるメロシアニン系色素に代えて化学式80で表されるシアニン系色素とを組み合わせて用いた対照の光電変換素子は、表1の結果から明らかなように、化学式4及び化学式72で表されるメロシアニン系色素とクマリン系色素とを組み合わせて用いるこの発明の光電変換素子と比較して、短絡電流密度、光電変換効率が明らかに劣っていた。このことは、複数の吸光性有機化合物を組み合わせて光増感組成物を構成する場合、組成物としての光電変換特性が、必ずしも、組成物を構成する個々の有機化合物の光電変換特性の和になるとはかぎらないことを如実に示している。
これらの実験結果は、この発明にしたがってメロシアニン系色素とクマリン系色素とを組み合わせて光電変換素子における光増感剤として用いることによって、いずれか一方のみでは容易に達成できない高い光電変換効率が得られることを物語っている。
メロシアニン系色素とクマリン系色素とを含んでなるこの発明の光増感組成物は、可視領域において、広範な波長域の光を効率良く吸収する。この発明の光増感組成物は、太陽電池、とりわけ、光電気化学太陽電池などの光電変換素子に用いると、いずれか一方のみでは容易に達成することができない、高い光電変換効率を達成する。加えて、この発明の光増感組成物は、重合性化合物や重合開始剤を増感し、前者の重合性化合物を光化学的重合させるための増感剤としても有用である。
斯くも顕著な効果を奏するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
1 半導体電極
2a、2b 透明電極
3 半導体膜
4 対極
5 レドックス電解液
6 外部負荷

Claims (1)

  1. 一般式2で表されるメロシアニン系色素。
    Figure 2010100853
    (但し、一般式2において、Zはベンゾチアゾール環を、Z及びZはそれぞれ、チアゾリジン環を表し、Zは、メチル基、エチル基、メトキシ基、クロロ基、フルオロ基、カルボキシ基、エトキシカルボニル基、ジメチルアミノ基、シアノ基、及びトリフルオロ基から選ばれる置換基を有していてもよい。X、X及びY5はそれぞれ、硫黄原子を、Y及びYはそれぞれ、酸素原子を表す。Rは、メチル基、エチル基、ブチル基、オクタデカニル基、酢酸基、酢酸ナトリウム基、又はプロパンスルホン酸ナトリウム基を、Rは、エチル基、オクチル基、酢酸基、酢酸ナトリウム基、酢酸カリウム基、又はエトキシカルボニルメチル基を、Rは、水素原子、エチル基、酢酸基、酢酸ナトリウム基、酢酸カリウム基、カルボキシエチル基、ナトリウムカメボキシエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、又は2,2,2−トリフルオロエチル基を、R10は水素原子を、R11は、水素原子、メチル基、プロピル基、又はフェニル基を表す。なお、R12乃至R15は存在しない。)
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