JP2008179641A - エチレン化合物 - Google Patents

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Hirofumi Mitekura
裕文 見手倉
Hideo Otaka
秀夫 大高
Kentaro Yano
賢太郎 矢野
Fumio Matsui
文雄 松井
Masaru Kimura
勝 木村
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
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Abstract

【課題】 太陽電池において、半導体層へ吸着させても、光吸収特性が変化し難い有機色素化合物とその用途を提供する。
【解決手段】 特定の骨格を有し、かつ、可視領域に吸収極大を有するエチレン化合物と、斯かるエチレン化合物を含んでなる光増感剤と、活性メチレン基を有する特定の化合物と、アルデヒド基を有する特定の化合物とを反応させる工程を経由するエチレン化合物の製造方法と、該エチレン化合物を含んでなる光増感剤、及び該エチレン化合物を用いる半導体電極、光電変換素子及び太陽電池を提供することによって前記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

この発明は新規なエチレン化合物に関するものであり、とりわけ、可視領域に吸収極大を有し、光電変換素子において有用なエチレン化合物に関するものである。
エコロジー重点文明が喧伝される昨今、太陽光発電が火力発電や原子力発電に代わるクリーンな発電手段としてにわかに脚光を浴びるようになった。半導体を光照射すると起電力が生じるという太陽光発電の原理は古くから知られ、この原理を利用する太陽電池として、すでに、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファス太陽電池、化合物半導体太陽電池、無機太陽電池、有機太陽電池、光電気化学太陽電池(湿式太陽電池)などが考案されてきた。これらの太陽電池は、周知のとおり、その一部がすでに実用化され、起電力は小さくても、軽量にして長寿命な電源として携帯機器や一般家庭などにおける簡易発電手段として急速に普及しつつある。
太陽電池の開発における焦眉の急は、火力発電をはじめとする既存の発電手段を代替するに足る発電コストの低減、特に、電池モジュールの大面積化と低廉化である。上記した太陽電池のうちで、光電気化学太陽電池は、半導体を電解液に浸漬するだけで接合が形成でき、しかも、多結晶材料を用いても比較的高い光電変換効率が期待できるなどの理由により、潜在的に優れた太陽電池であると考えられている。
光電気化学太陽電池の多くは、一対の電極のうちの少なくとも一方が光を吸収して起電力を生じる方式を採用しており、特に、二酸化チタンの電極を用いるものは著しく高効率であると言われている。光電気化学太陽電池を構成する電極材料や有機色素材料は、例えば、非特許文献1、非特許文献2などに報告されているように、ビピリジンルテニウム錯体をはじめとして、これまでにもいくつか提案されている。しかしながら、従来公知の有機色素材料の多くは、本来好ましい光吸収特性を有するものであっても、光電気化学太陽電池において、半導体電極へ吸着させると、その好ましい光吸収特性が変化し、所期の光電変換効率が達成されないという問題があった。
荒川裕則ら『太陽エネルギー』、第23巻、第4号、11乃至18頁(1997年) 北村隆之ら『表面科学』、第21巻、第5号、288乃至293頁(2000年)
斯かる状況に鑑み、この発明は光吸収特性に優れたエチレン化合物、とりわけ、太陽電池において、半導体電極へ吸着させても、光吸収特性が変化し難いエチレン化合物とその製造方法並びに用途を提供することを課題とする。
本発明者が鋭意研究し、多種多様の有機色素材料を検索したところ、エチレン骨格における1位の炭素原子へ結合する各水素原子が、それぞれ、可視光を吸収し得る原子団及び炭化水素基により置換され、かつ、エチレン骨格における2位の炭素原子へ結合する水素原子の一つが非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団により置換されてなる一群のエチレン化合物は、可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収するだけではなく、太陽電池において、半導体電極へ吸着させても、光吸収特性が実質的に変化しないという意外な知見に到達した。
すなわち、この発明は、一般式1で表される骨格を有し、かつ、可視領域に吸収極大を有するエチレン化合物を提供することによって上記課題を解決するものである。
一般式1:
(一般式1において、Rは可視光を吸収し得る原子団を表す。Rは炭化水素基を表し、その炭化水素基は置換基を有していてもよい。Rは非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団を表す。)
さらに、この発明は、斯かるエチレン化合物を含んでなる光増感剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、一般式1に対応するR及びRを有する一般式5で表される化合物と、一般式1に対応するRを有する一般式6で表される化合物とを反応させる工程を経由するエチレン化合物の製造方法を提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式5:
一般式6:
さらに、この発明は、斯かるエチレン化合物により増感された半導体電極を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かるエチレン化合物を用いる光電変換素子を提供することによって前記課題を解決するものである。
さらに、この発明は、斯かるエチレン化合物を用いる太陽電池を提供することによって前記課題を解決するものである。
この発明は、新規な有機化合物の創製と、その産業上有用な性質の発見に基づくものである。この発明のエチレン化合物は、可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収するうえに、太陽電池において、半導体電極へ吸着させても光吸収特性が変化し難いので、光電気化学太陽電池などに用いられる半導体電極を増感する材料として極めて有用である。加えて、この発明のエチレン化合物は、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調整するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料としても有用である。
斯くも有用なエチレン化合物は、活性メチレン基を有する特定の化合物と、アルデヒド基を有する特定の化合物とを反応させる工程を経由するこの発明の製造方法により、所望量を得ることができる。
斯くも顕著な効果を奏するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
この発明の実施の形態について説明すると、既述のとおり、この発明は、一般式1で表される骨格を有し、かつ、可視領域に吸収極大を有するエチレン化合物に関するものである。
一般式1:
一般式1において、Rは可視光を吸収し得る原子団を表し、それが一般式1で表される骨格を有するエチレン化合物にあって可視光、とりわけ、波長380乃至780nm付近の光を吸収し得るものであるかぎり、特に制限を設けない。R11における原子団の具体例としては、例えば、置換基を1又は複数有することあるモノメチン鎖、トリメチン鎖、ペンタメチン鎖、ヘプタメチン鎖などのポリメチン鎖の両端に置換基を1又は複数有することある、互いに同じか異なるイミダゾリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、インドール環、イソインドール環、インドレニン環、イソインドレニン環、ベンゾインドレニン環、ピリジノインドレニン環、オキサゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジノオキサゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、セレナゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環、チアゾリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアゾール環、テルラゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、α−ナフトテルラゾール環、β−ナフトテルラゾール環、さらには、アクリジン環、アントラセン環、イソキノリン環、イソピロール環、イミダノキサリン環、インダンジオン環、インダゾール環、インダリン環、オキサジアゾール環、カルバゾール環、キサンテン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、クロマン環、シクロヘキサンジオン環、シクロペンタンジオン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チオオキサゾリドン環、チオフェン環、チオナフテン環、チオバルビツール環、チオヒダントイン環、テトラゾール環、トリアジン環、ナフタレン環、ナフチリジン環、ピペラジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピリリウム環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントレン環、フェナントロリン環、フタラジン環、プテリジン環、フラザン環、フラン環、プリン環、ベンゼン環、ベンゾオキサジン環、ベンゾピラン環、モルホリン環、ロダニン環などの環状核が結合してなるシアニン色素の残基か、あるいは、アクリジン系、アザアヌレン系、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、インダンスレン系、オキサジン系、キサンテン系、クマリン系、ジオキサジン系、スチリル系、チアジン系、チオインジゴ系、テトラポルフィラジン系、トリフェニルメタン系、トリフェノチアジン系、ナフトキノン系、フタロシアニン系、ベンゾキノン系、ベンゾピラン系、ポルフィリン系、ローダミン系の色素の残基が挙げられる。
一般式1におけるRは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組合せによる炭化水素基を表し、それらの炭化水素基は置換基を1又は複数有していてもよい。Rにおける脂肪族炭化水素基としては、炭素数20まで、好ましくは、炭素数10までの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが、脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基などが、また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、ジフェニリル基などが挙げられる。斯かる炭化水素基は、その水素原子の1又は複数が、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、上記したいずれかの置換基において、その水素原子の1又は複数が上記した別の置換基によってさらに置換されていてもよい。
における原子団としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの非共有電子対を有する原子を1又は複数含んでなるカルボキシ基、スルフィノ基、スルホ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基などの置換基か、あるいは、これらの置換基を1又は複数有する、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基、シクロオクタシクロペンテニル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、3−クロロフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、メチレンジオキシフェニル基、ジフェニリル基、ナフチル基、アズレニル基、アントリル基、フェナントリル基などの芳香族炭化水素基、キノリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、フリル基などの複素環基が挙げられる。非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団がカルボキシ基又はカルボキシ基を有する原子団である場合、そのカルボキシ基は酸の形態であっても、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの無機カチオンや、アンモニウムイオンなどの有機カチオンとの塩の形態、さらには、メタール、エタノールなどのアルコール類とのエステルの形態であってもよく、また、分子内に正に荷電し得る原子団が存在する場合には、その原子団と分子内塩を形成していてもよい。
斯かるエチレン化合物のより具体的な例としては、例えば、一般式2又は一般式3のいずれかで表されるものが挙げられる。
一般式2:
一般式3:
一般式2において、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表す。R乃至Rにおける置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−ペンテニル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などの芳香族炭化水素基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピリルジル基、キノリル基などの複素環基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、第一級アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基などのアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロム基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、上記したいずれかの置換基において、その水素原子の1又は複数が上記した別の置換基によってさらに置換されてなる置換基が挙げられる。好ましいのは、Rがアルキルアミノ基であるエチレン化合物であり、とりわけ、そのアルキルアミノ基におけるアルキル基がR及び/又はRが結合する炭素原子と互いに結合し合い、例えば、ピペリジン環、ユロリジン環などの環状構造を形成するものである。この場合、R及び/又はRは、見掛け上、存在しないこととなる。なお、R及びR10は、それぞれ、一般式1におけるR又はRと同様の炭化水素基又は非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団を表す。
一般式3において、Z及びZは互いに同じか異なる単環式又は縮合多環式の複素環基を表し、それらの複素環基は置換基を1又は複数有していてもよい。Z及びZにおける複素環基としては、例えば、イミダゾリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、インドール環、イソインドール環、インドレニン環、イソインドレニン環、ベンゾインドレニン環、ピリジノインドレニン環、オキサゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジノオキサゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、セレナゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環、チアゾリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアゾール環、テルラゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、α−ナフトテルラゾール環、β−ナフトテルラゾール環、さらには、アクリジン環、アントラセン環、イソキノリン環、イソピロール環、イミダノキサリン環、インダンジオン環、インダゾール環、インダリン環、オキサジアゾール環、カルバゾール環、キサンテン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、クロマン環、シクロヘキサンジオン環、シクロペンタンジオン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チオオキサゾリドン環、チオフェン環、チオナフテン環、チオバルビツール環、チオヒダントイン環、テトラゾール環、トリアジン環、ナフタレン環、ナフチリジン環、ピペラジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピリリウム環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントレン環、フェナントロリン環、フタラジン環、プテリジン環、フラザン環、フラン環、プリン環、ベンゼン環、ベンゾオキサジン環、ベンゾピラン環、モルホリン環、ロダニン環などが挙げられ、斯かる複素環基は、一般式2におけるR乃至Rと同様の置換基を1又は複数有していてもよい。R11及びR12は互いに同じか異なる脂肪族炭化水素基を表し、それらの脂肪族炭化水素基は置換基を1又は複数有していてもよい。R11及びR12における脂肪族炭化水素基としては、炭素数20まで、好ましくは、炭素数10までの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。斯かる脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、さらには、上記したいずれかの置換基において、その水素原子の1又は複数が上記した別の置換基によってさらに置換されてなる置換基が挙げられる。nは零又は自然数を表し、また、R13乃至R14のいずれかは、一般式1に対応するR及びRを有する一般式4で表される置換基であり、その余は水素原子であるものとする。ただし、nが零の場合には、R14が一般式4で表される置換基であるものとする。断わるまでもないが、一般式3における可視光を吸収し得る原子団が非共有電子対を有する原子を含んでなる場合、一般式3で表されるエチレン化合物は、一般式4で表される置換基のRが、一般式3における可視光を吸収し得る原子団を含んでいてもよく、例えば、化学式174乃至化学式189で表される化合物をも包含するものである。
一般式4:
この発明によるエチレン化合物の具体例としては、例えば、化学式1乃至化学式189で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、波長380乃至780nm付近の可視領域に吸収極大を有し、しかも、分子吸光係数(以下、分子吸光係数を「ε」と略記する。)が1×10以上、好ましくは、2×10以上と大きく、斯かる領域の可視光を効率良く吸収することから、斯かる性質を具備する有機化合物が必要とされる諸分野において極めて有利に用いることができる。
化学式1:
化学式2:
化学式3:
化学式4:
化学式5:
化学式6:
化学式7:
化学式8:
化学式9:
化学式10:
化学式11:
化学式12:
化学式13:
化学式14:
化学式15:
化学式16:
化学式17:
化学式18:
化学式19:
化学式20:
化学式21:
化学式22:
化学式23:
化学式24:
化学式25:
化学式26:
化学式27:
化学式28:
化学式29:
化学式30:
化学式31:
化学式32:
化学式33:
化学式34:
化学式35:
化学式36:
化学式37:
化学式38:
化学式39:
化学式40:
化学式41:
化学式42:
化学式43:
化学式44:
化学式45:
化学式46:
化学式47:
化学式48:
化学式49:
化学式50:
化学式51:
化学式52:
化学式53:
化学式54:
化学式55:
化学式56:
化学式57:
化学式58:
化学式59:
化学式60:
化学式61:
化学式62:
化学式63:
化学式64:
化学式65:
化学式66:
化学式67:
化学式68:
化学式69:
化学式70:
化学式71:
化学式72:
化学式73:
化学式74:
化学式75:
化学式76:
化学式77:
化学式78:
化学式79:
化学式80:
化学式81:
化学式82:
化学式83:
化学式84:
化学式85:
化学式86:
化学式87:
化学式88:
化学式89:
化学式90:
化学式91:
化学式92:
化学式93:
化学式94:
化学式95:
化学式96:
化学式97:
化学式98:
化学式99:
化学式100:
化学式101:
化学式102:
化学式103:
化学式104:
化学式105:
化学式106:
化学式107:
化学式108:
化学式109:
化学式110:
化学式111:
化学式112:
化学式113:
化学式114:
化学式115:
化学式116:
化学式117:
化学式118:
化学式119:
化学式120:
化学式121:
化学式122:
化学式123:
化学式124:
化学式125:
化学式126:
化学式127:
化学式128:
化学式129:
化学式130:
化学式131:
化学式132:
化学式133:
化学式134:
化学式135:
化学式136:
化学式137:
化学式138:
化学式139:
化学式140:
化学式141:
化学式142:
化学式143:
化学式144:
化学式145:
化学式146:
化学式147:
化学式148:
化学式149:
化学式150:
化学式151:
化学式152:
化学式153:
化学式154:
化学式155:
化学式156:
化学式157:
化学式158:
化学式159:
化学式160:
化学式161:
化学式162:
化学式163:
化学式164:
化学式165:
化学式166:
化学式167:
化学式168:
化学式169:
化学式170:
化学式171:
化学式172:
化学式173:
化学式174:
化学式175:
化学式176:
化学式177:
化学式178:
化学式179:
化学式180:
化学式181:
化学式182:
化学式183:
化学式184:
化学式185:
化学式186:
化学式187:
化学式188:
化学式189:
この発明のエチレン化合物は諸種の方法により調製することができる。経済性を重視するのであれば、活性メチレン基とアルデヒド基との脱水縮合反応を利用する方法が好適である。この方法によるときには、例えば、一般式1に対応するR及びRを有する一般式5で表される化合物と、一般式1に対応するRを有する一般式6で表される化合物とを反応させることにより、この発明のエチレン化合物が好収量で生成する。
一般式5:
一般式6:
すなわち、反応容器に一般式5及び一般式6で表される化合物をそれぞれ適量とり(通常等モル前後)、必要に応じて、適宜溶剤に溶解し、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの塩基性化合物、塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水酢酸などの酸性化合物、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、四塩化錫、四塩化チタンなどのルイス酸性化合物を加えた後、加熱還流などにより、攪拌しながら、周囲温度か周囲温度を上回る温度で反応させる。
溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのエーテル類、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、酢酸エチル、炭酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドなどの酸及び酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組合せて用いられる。
溶剤を用いる場合、一般に、溶剤の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に少なくなると、均一に加熱・攪拌するのが困難になったり、副反応が起り易くなる。したがって、溶剤の量を重量比で原料化合物全体の100倍まで、通常、5乃至50倍にするのが望ましい。原料化合物の種類や反応条件にもよるけれども、反応は10時間以内、通常、0.5乃至5時間で完結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法によってモニターすることができる。化学式1乃至化学式189で表されるエチレン化合物は、いずれも、この方法により所望量を製造することができる。ちなみに、一般式5及び一般式6で表される化合物は、いずれも汎用の方法により得ることができ、市販品がある場合には、それを用いればよい。
斯くして得られるエチレン化合物は、通常、使用に先立って、例えば、溶解、抽出、分液、傾斜、濾過、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの類縁化合物を精製するための汎用の方法により精製され、必要に応じて、これらの方法は組合せて適用される。エチレン化合物の用途にもよるけれども、半導体電極に用いる場合には、使用に先立って、例えば、蒸留、結晶化及び/又は昇華などの方法により高度に精製しておくのが望ましい。
さて、この発明によるエチレン化合物の用途について説明すると、既述のとおり、この発明のエチレン化合物は、可視領域に吸収極大を有し、分子吸光係数も大きいことから、可視光を吸収する有機化合物を必要とする諸分野において有利に用いることができる。この発明によるエチレン化合物の最も重要な用途の一つは光増感剤としての用途であり、上記のごときエチレン化合物を含んでなるこの発明の光増感剤は、例えば、太陽電池などへ適用される光電変換素子において、半導体電極を増感するための材料、さらには、光化学的重合において、重合性化合物や重合開始剤を増感するための材料として極めて有用である。
そこで、この発明のエチレン化合物の用途に関連して、斯かるエチレン化合物により増感された半導体電極と、その半導体電極を用いる光電変換素子及び光電気化学太陽電池について説明すると、この発明による半導体電極は、光電気化学太陽電池などに汎用される半導体電極を、この発明のエチレン化合物を用いて増感することによって得ることができる。斯かる半導体電極は、例えば、板状、円柱状、角柱状、ネット状など、所望の形状に形成した電気伝導性透明電極の一部又は全体に半導体層を形成し、その半導体層へ当該エチレン化合物を吸着させることによって得ることができる。透明電極としては、それが電気伝導性を有するものであるかぎり特に制限がなく、例えば、可視領域において実質的に透明なガラス、セラミック又はプラスチックによる基板へ、例えば、弗素若しくはアンチモンを微量混入させた酸化錫(NESA)、錫を微量混入させた酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛などの実質的に透明な半導体を薄膜状に塗布してなるものが挙げられ、このうち、弗素を微量混入させた酸化錫を薄膜状に塗布したものが特に好ましい。
斯かる半導体層は、通常、汎用の方法により、電気伝導性透明電極に対して、平均粒子径5乃至500nmの多孔質構造を有する半導体のナノ粒子を0.1乃至100μm、好ましくは、1乃至50μmの厚さに付着させた後、焼結することによって形成することができる。半導体層を構成する半導体の具体例としては、斯界において汎用される化合物半導体一般、とりわけ、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化インジウム、酸化錫、酸化ビスマスなどの金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸ナトリウムなどの複合金属酸化物、沃化銀、沃化銅、臭化銅などの金属ハロゲン化物、硫化亜鉛、硫化チタン、硫化インジウム、硫化ビスマス、硫化カドミウム、硫化ジルコニウム、硫化タンタル、硫化銀、硫化銅、硫化錫、硫化タングステン、硫化モリブデンなどの金属硫化物、セレン化カドミウム、セレン化ジルコニウム、セレン化亜鉛、セレン化チタン、セレン化インジウム、セレン化タングステン、セレン化モリブデン、セレン化ビスマス、テルル化カドミウム、テルル化タングステン、テルル化モリブデン、テルル化亜鉛、テルル化ビスマスなどのカルゲナイド化合物が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組合せて用いられる。特に、同じ出願人による特願2000−111331号明細書(名称「半導体層、これを用いる太陽電池及びそれらの製造方法並びに用途」)に記載された、粒度分布において、複数のピークを有する半導体粒子群からなる化合物半導体は、この発明による半導体電極において極めて有用である。なお、これらの半導体は単なる例示であって、この発明で用いる半導体は決してこれらに限定されてはならず、発明の目的を逸脱しない範囲で、p型半導体及びn型半導体のうちから適宜のものを選択すればよい。
斯くして得られる半導体電極を増感するには、例えば、この発明によるエチレン化合物の1又は複数を濃度0.01mMから飽和濃度、好ましくは、0.1乃至0.5mMになるように適宜溶剤に溶解し、その溶液に半導体電極を浸漬した状態で、周囲温度か周囲温度を上回る温度で1分間以上、好ましくは、12乃至48時間静置することによって吸着させればよい。溶剤としては、エチレン化合物が溶解するかぎり、特に制限がなく、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリルなどのニトリル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類を、必要に応じて、適宜組合せて用いる。これらの溶剤のうち、溶解度の点で、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類及びこれらの混液が好ましい。半導体電極を増感するに当って、この発明によるエチレン化合物の1又は複数だけを用いても、必要に応じて、斯界において汎用される他の色素化合物の1又は複数と併用してもよい。光電変換素子へ適用する半導体電極において、吸収極大波長が互いに相違する一般式2及び一般式3で表されるエチレン化合物を、少なくとも、それぞれ1種類組合せて用いる場合には、いずれか一方のみでは容易に達成できない、高い短絡電流密度と光電変換効率とが得られる。
当該エチレン化合物により増感された半導体電極は、光電変換素子における半導体電極として極めて有用である。この発明は、当該エチレン化合物を用いる光電変換素子をも提供するものであり、この発明による光電変換素子は、エチレン化合物により増感された半導体電極と、その対極と、それらの電極へ接触するレドックス電解液とを含んでなる。
図1はこの発明による光電変換素子の模式図であり、図1において、1は半導体電極であり、既述のとおり、透明電極2aの一部又は全体へ化合物半導体などの半導体を層状に付着させた後、その半導体層3へエチレン化合物を吸着させて増感することによって得ることができる。
4は対極であり、通常、半導体電極1におけると同様に、電気伝導性を有する透明電極2bの一部又は全体へ、例えば、真空蒸着、化学蒸着、スパッタリング、原子層エピタクシー、塗布、浸漬などの汎用の方法により、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、錫などの金属か、あるいは、炭素若しくは半導体電極1におけると同様の半導体を適宜厚さの層状に付着せしめることによって得ることができる。
5はレドックス電解液であり、溶液において、例えば、沃素レドックス系、鉄レドックス系、錫レドックス系、クロミウムレドックス系、バナジウムレドックス系、硫化物イオンレドックス系、アントラキノンレドックス系などのレドックス系を与える、例えば、沃化イミダゾリウム誘導体、沃化リチウム、沃化カリウム、沃化テトラアルキルアンモニウム塩などの沃素化合物と沃素との混合物、臭化イミダゾリウム誘導体、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化テトラアルキルアンモニウム塩などの臭素化合物と臭素との混合物がレドックス電解質として配合される。
レドックス電解液5における溶剤としては、取扱い易く、安定であって、レドックス電解質を実質的に溶解するものであるかぎり、特に制限がない。斯かる溶剤の具体例としては、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、スクシノニトリルなどのニトリル類、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドのアミド類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6などのエーテル類、ピリジンなどのアミン類、ニトロメタンなどのニトロ化合物、ジメチルスルホキシドなどの含硫化合物が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組合せて用いられる。なお、この発明による光電変換素子におけるレドックス電解液は溶液状のものに決して限定されてはならず、電解液へ、ゲル化剤によりゲル化した擬固体電解質を添加しても、電解液に代えて、ポリエチレンオキシド誘導体などのポリマーによる固体電解質を用いてもよい。
この発明による光電変換素子は、必要に応じて、半導体電極1と対極4との物理的接触を防ぐためのスペーサーを設けることを妨げない。スペーサーの材質としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、さらには、ソーダガラス、バリウムシリケートガラス、アリミノシリケートガラスなどのガラス、石英、陶器などのセラミックをはじめとする非電気伝導性材料を厚さ1μm以上、好ましくは、10乃至50μmの膜状、フィルム状又はシート状に形成して用いる。なお、光電気化学太陽電池などにおいて、光電変換素子を収容するセルが両電極の物理的接触を防ぐ構造を有している場合には、スペーサーを省略することができる。
この発明による光電変換素子の動作について説明すると、図1に示す光電変換素子において、半導体電極1へ光hνが入射すると、半導体電極1へ吸着したエチレン化合物S/Sが光を吸収し、励起されてS/S*となる。励起状態のエチレン化合物S/S*における励起電子は半導体層3の伝導帯準位へ注入され、半導体電極1中を移動し、バックコンタクトである透明電極2aへ到達する。一方、電子を失ったエチレン化合物S/Sは、レドックス電解液5中の、例えば、IイオンなどのレドックスイオンR/Rから電子を受け取り、還元される。I3−イオンなどのレドックスイオンにおける対イオンは、対極4上で再度還元され、沃素イオンが再生される。斯かる電子の流れにより、外部負荷6へ電流を印加することができる。
この発明のエチレン化合物は、既述のとおり、光電変換素子に好適な光吸収特性を具備しているというだけではなく、上述のごとく、光電変換素子における半導体電極へ吸着させても、その光吸収特性が実質的に変化しないという特徴がある。一般式1におけるRが水素原子である類縁化合物と比較したところ、Rを炭化水素基とすることによって、可視光を吸収し得る原子団と、非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団との電子共鳴が阻害され、その結果として、後者の非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団を半導体電極へ付着させたことによる電子的影響が、可視光を吸収し得る前者の原子団へおよび難くなるものと考えられる。斯くして、この発明の光電変換素子は、光センサーや光電気化学太陽電池へ有利に適用し得ることとなる。
既述のとおり、この発明のエチレン化合物の多くは、吸収極大波長が光化学的重合の分野で頻用される露出光源の波長(400乃至550nm)に近接していることから、光重合性組成物において、重合性化合物や重合開始剤を増感するための光増感剤としても極めて有用である。
光化学的重合の分野において、この発明のエチレン化合物を含有する光増感剤は、使用に際して、通常、重合性化合物、重合開始剤、バインダー樹脂などとの組成物に調製される。この発明の光増感剤を適用し得る重合性化合物としては、例えば、エチレン性二重結合などの重合可能な多重結合を分子内に少なくとも一つ有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。斯かる重合性化合物の具体例としては、光重合性組成物において汎用される、例えば、アクリル酸、アリルアミン、アリルスルホン酸、アルキルカルボン酸ビニル、クロトン酸、スチレン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、フマル酸、マレイン酸、メタアクリル酸、メタリルスルホン酸並びにそれらの誘導体及び塩などが挙げられる。ただし、この発明の光増感剤を適用する重合性化合物は決してこれらに限定されてはならず、この発明の光増感剤を用いて光化学的重合させ得るすべての重合性化合物が適用対象となる。
重合開始剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、3,3´,4,4´−テトラキス(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、エチルメチルケトン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ビス(ヒドロパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物、2,4,6−トリクロロメチル−s−トリアジンなどのハロゲン化炭化水素、さらには、ビスイミダゾール、ベンゾイルアルキルエーテル、鉄−アレン錯体、チタノセン化合物、N−フェニルグリシン、ジフェニルヨードニウム塩などの光化学的重合に汎用される重合開始剤が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。
用途にもよるけれども、バインダー樹脂も光重合性組成物に汎用されるものであればよく、個々のバインダー樹脂としては、例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド、ポリブチルメタクリレート、スチレン−マレイン酸エステル、ポリメチルメタクリレート−メタクリル酸、ポリ−N−ビニルピロリドン−グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
この発明による光増感剤は、この発明のエチレン化合物を1又は複数含んでなる。この発明による光増感剤を用いて光重合性組成物を得るには、通常、この発明のエチレン化合物1重量部に対して、上記のごとき重合性化合物を1乃至1,000重量部、好ましくは、10乃至500重量部含有せしめ、さらに、必要に応じて、バインダー樹脂を1,000重量部まで、好ましくは、500重量部まで、さらには、重合開始剤を0.1乃至100重量部、好ましくは、1乃至10重量部含有せしめて光重合性組成物とする。また、それ以外に、必要に応じて、例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、2,6−tert−ブチル−p−クレゾールなどのキノン系又はフェノール系の熱重合禁止剤、フタル酸エステルやアジピン酸エステルをはじめとする、飽和若しくは不飽和のカルボン酸エステルなどの可塑剤、さらには、着色剤、保存剤、安定剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤などを適宜配合してもよい。なお、エチレン化合物の種類や光重合性組成物の用途によっては、重合開始剤及び/又はバインダー樹脂は省略されることがある。
斯くして得られる光重合性組成物は、通常、適宜溶剤に溶解させて溶液となし、これを適宜支持体上へ塗布し、乾燥して用いられる。溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、燐酸トリエチルなどのエステル類、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組み合わせて用いられる。
支持体も用途に応じた汎用のものでよく、個々の支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄などの金属及びそれらの合金、上質紙、アート紙、剥離紙などの紙、ガラス、セラミックなどの無機物、ポリエチレンフタレート、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、ナイロン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートなどのプラスチックをシート又はフィルム状に形成したものや、必要に応じて、これらを層状に組み合わせたものが挙げられる。
重合方法についても特に制限がなく、例えば、ラジカル重合、イオン重合、開環重合などの開始過程のみに光が関与する光開始重合であっても、成長過程に光が関与する光重付加重合であってもよい。その際の露出光源としては、例えば、太陽光、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプなどの通常の光源であっても、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、ヘリウム・ネオンレーザーなどの気体レーザー、CdS系レーザーなどの半導体レーザー、分布帰還型若しくはブラッグ反射型Cd−YAGレーザーなどの固体レーザーであって、波長400乃至550nm付近に発振線を有する可視レーザーであってもよい。この発明の光増感剤を配合した光重合性組成物は、例えば、ファクシミリ、複写機、プリンターなどの情報記録の分野、フレキソ製版、グラビア印刷などの印刷の分野、さらには、フォトレジストなどの印刷回路の分野において極めて有利に用いることができる。
さらに、この発明のエチレン化合物は、既述のとおり、可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収することから、上述したごとき光電変換素子や光化学的重合における用途に加えて、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として多種多様の用途を有する。
とりわけ、この発明のエチレン化合物を、必要に応じて、紫外領域、可視領域又は赤外領域の光を吸収する他の材料の1又は複数とともに、衣料一般や、衣料以外の、例えば、ドレープ、レース、ケースメント、プリント、ベネシャンブラインド、ロールスクリーン、シャッター、のれん、毛布、布団、布団地、布団カバー、布団綿、シーツ、座布団、枕、枕カバー、クッション、マット、カーペット、寝袋、テント、自動車を含む車輌の内装材、ウインドガラス、窓ガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカバー、眼鏡、モノクル、ローネットなどの保健用品、靴の中敷、靴の内張地、鞄地、風呂敷、傘地、パラソル、ぬいぐるみ、照明装置や、例えば、ブラウン管ディスプレー、液晶ディスプレー、電界発光ディスプレー、プラズマディスプレーなどを用いるテレビジョン受像機やパーソナルコンピューターなどの情報表示装置用の光学フィルター類、パネル類及びスクリーン類、サングラス、サンルーフ、サンバイザー、PETボトル、貯蔵庫、ビニールハウス、寒冷紗、光ファイバー、プリペイドカード、電子レンジ、オーブンなどの覗き窓、さらには、これらの物品を包装、充填又は収容するための包装用材、充填用材、容器などに用いるときには、生物や物品における自然光や人工光などの環境光による障害や不都合を防止したり低減することができるだけではなく、物品の色彩、色調、風合などを整えたり、物品から反射したり透過する光を所望の色バランスに整えることができる実益がある。
以下、この発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
〈エチレン化合物〉
反応容器にトルエン5mlをとり、化学式190で表される化合物1g、テレフタルアルデヒド酸0.6g、酢酸0.6ml及びピペリジン1mlを加え、7時間加熱還流して反応させた。反応混合物を冷却し、濾過した後、濾液を採取し、ジイソプロピルエーテルを加え、傾斜によって油層を採取し、これにアセトニトリル/水混液を加えて溶解させた。溶液を弱酸性に調整し、水を加え、暫時静置した後、析出した結晶を濾取し、アセトニトリル/水混液により再結晶したところ、化学式1で表されるこの発明によるエチレン化合物の黄色粉状結晶が0.17g得られた。
化学式190:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は210乃至211℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、図2において実線で示したとおり、本例のエチレン化合物は、波長421nmの可視領域に吸収極大(ε=3.81×10)を示した。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−核磁気共鳴スペクトル(以下、「H−NMRスペクトル」と略記する。)を測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.26(6H、t)、2.23(3H、s)、3.48(4H、q)、6.52(1H、s)、6.67(1H、d)、7.26(1H、s)、7.41(1H、d)、7.50(2H、d)、8.07(2H、d)及び8.08(1H、s)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式190で表される化合物に代えて化学式191で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式19で表されるこの発明によるエチレン化合物が得られた。
化学式191:
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式190で表される化合物に代えて化学式192で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式8で表されるこの発明のエチレン化合物の黄色粉状結晶が得られた。
化学式192:
結晶の一部をとり、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長444nmの可視領域に吸収極大(ε=3.80×10)を示した。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.31(6H、s)、1.56(6H、s)、1.78(2H、t)、1.85(2H、t)、2.23(3H、s)、3.35(2H、t)、3.43(2H、d)、7.24(2H、s)、7.52(2H、d)、8.04(1H、s)及び8.07(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式190で表される化合物に代えて化学式193で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式21で表されるこの発明のエチレン化合物が得られた。
化学式193:
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式190で表される化合物に代えて化学式194で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式24で表されるこの発明のエチレン化合物が得られた。
化学式194:
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にエタノール10mlをとり、化学式195で表される化合物2.5g、テレフタルアルデヒド酸0.8g及びピペリジン1mlを加え、90℃で3時間加熱攪拌して反応させた。反応混合物を冷却した後、酢酸エチルを加え、析出した結晶を採取し、メタノールにより再結晶したところ、化学式106で表されるこの発明のエチレン化合物の青緑色結晶が1.4g得られた。
化学式195:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は247乃至249℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長563nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.67×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.49(3H、t)、2.36(3H、s)、4.36(4H、q)、6.49(2H、s)、6.98(1H、s)、7.30乃至7.45(6H、m)、7.50(2H、t)、7.62(2H、d)及び7.86(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
テレフタルアルデヒド酸に代えてo−フタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例6におけると同様に反応させたところ、化学式107で表されるこの発明のエチレン化合物の青緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は186乃至189℃であった。また、常法にしたがってノタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長561nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.66×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にエタノール4mlをとり、化学式196で表される化合物1g、o−フタルアルデヒド酸0.25g及びピペリジン0.4mlを加え、110℃で3時間加熱攪拌しながら反応させた。反応混合物を冷却し、溶剤を留去した後、アセトニトリル/酢酸エチル混液を加えたところ、化学式74で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が0.36g得られた。
化学式196:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は168℃であった。さらに、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長578nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.57×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてテレフタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例8におけると同様に反応させたところ、化学式78で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は290℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長596nm付近に吸収極大(ε=1.65×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d/メタノール−d4溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.30(6H、t)、2.28(3H、s)、4.18(4H、q)、6.07(4H、s)、6.48(2H、s)、6.76(2H、s)、6.89(1H、s)、6.95(2H、s)、7.38(2H、d)及び7.91(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてm−フタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例8におけると同様に反応させたところ、化学式82で表されるこの発明のエチレン化合物の暗褐色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は214℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長595nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.46×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
<エチレン化合物>
反応容器にエタノール4mlをとり、化学式197で表される化合物1g、o−フタルアルデヒド酸0.31g及びピペリジン0.6mlを加え、110℃で4時間加熱攪拌して反応させた。反応混合物を冷却し、酢酸エチルを加えたところ、化学式75で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が0.25g得られた。
化学式197:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は165℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長578nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.47×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてテレフタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例11におけると同様に反応させたところ、化学式79で表されるこの発明のエチレン化合物の暗緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は232℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長579nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.56×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d/メタノール−d4溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.50(6H、t)、2.36(3H、s)、3.94(6H、s)、4.34(4H、q)、6.48(2H、s)、6.90乃至7.00(4H、m)、7.41(2H、d)、7.48(2H、s)、7.49(2H、d)及び7.85(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にエタノール4mlをとり、化学式198で表される化合物1g、o−フタルアルデヒド酸0.29g及びピペリジン0.6mlを加え、105℃で4時間加熱攪拌して反応させた。反応混合物を冷却し、析出した結晶を採取したところ、化学式81で表されるこの発明のエチレン化合物の青色結晶が0.5g得られた。
化学式198:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は208℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長595nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.5×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d/メタノール−d4溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.62(6H、t)、2.09(3H、s)、3.48(2H、q)、3.72(3H、s)、3.89(3H、s)、4.85(2H、q)、5.99(2H、s)、7.03(2H、s)、7.36(2H、s)、7.41(1H、d)、7.42(1H、d)、7.68(1H、dd)、7.91(1H、dd)及び7.99(1H、s)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてテレフタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例13におけると同様に反応させたところ、化学式83で表されるこの発明のエチレン化合物の青緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は241℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長598nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.53×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.48(6H、t)、2.34(3H、s)、3.90(3H、s)、3.97(3H、s)、4.33(4H、q)、6.39(2H、s)、6.88(2H、s)、6.94(1H、s)、7.08(2H、s)、7.43(2H、d)及び7.88(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてm−フタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例13におけると同様に反応させたところ、化学式86で表されるこの発明のエチレン化合物の赤褐色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は220℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長597nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.35×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にエタノール4mlをとり、化学式199で表され化合物1g、o−フタルアルデヒド0.31g及びピペリジン0.6mlを加え、105℃で3時間加熱攪拌しながら反応させた。反応混合物を冷却し、酢酸エチルを加えたところ、化学式77で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が0.09g得られた。
化学式199:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は172℃であった。また、常法にしたがってメタノール/テトラヒドロピラン溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長566nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.91×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.36(6H、t)、1.40(3H、s)、3.83(4H、q)、5.36(2H、s)、6.62(1H、s)、6.66(2H、d)、6.78(2H、dd)、7.04(2H、d)、7.42(1H、d)、7.50(1H、t)、7.64(1H、t)及び7.91(1H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてテレフタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例16におけると同様に反応させたところ、化学式84で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は195℃であった。また、常法にしたがってメタノール/テトラヒドロピラン溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長566nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.96×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.45(6H、t)、2.33(3H、s)、4.30(4H、q)、6.57(2H、s)、6.97(1H、s)、7.28乃至7.38(6H、m)、7.53(2H、d)及び7.87(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にアセトニトリル2mlをとり、化学式200で表される化合物0.5g、テレフタルアルデヒド酸0.15g及びピペリジン0.3mlを加え、110℃で3時間加熱攪拌しながら反応させた。反応混合物を冷却した後、酢酸エチルを加えたところ、化学式80で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が0.04g得られた。
化学式200:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は162℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長559nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.85×10)が観察された。さらに、常法にしたがってクロロホルム−d/メタノール−d4溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.60(6H、t)、2.36(3H、s)、4.00(3H、s)、4.49(4H、q)、6.50(2H、s)、6.73(1H、s)、7.49(2H、d)、7.74(2H、d)、8.01(2H、d)、8.04(2H、s)及び8.15(2H、d)の位置にピークが観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にエタノール5mlをとり、化学式201で表される化合物1g、o−フタルアルデヒド酸0.32g及びピペリジン0.4mlを加え、110℃で3時間加熱攪拌しながら反応させた。反応混合物を冷却した後、酢酸エチルを加えたところ、化学式76で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が0.56g得られた。
化学式201:
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は172℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長565nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.66×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
o−フタルアルデヒド酸に代えてテレフタルアルデヒド酸を用いた以外は実施例19におけると同様に反応させたところ、化学式85で表されるこの発明のエチレン化合物の青緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は240℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長566nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.67×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
反応容器にエタノール4mlをとり、化学式196で表される化合物1g、40(w/w)%グリオキシル酸水溶液0.35g及びピペリジン0.6mlを加え、110℃で3時間加熱攪拌して反応させた。反応混合物を冷却したところ、化学式89で表されるこの発明のエチレン化合物の青緑色結晶が0.47g得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は231℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長592nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.50×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式196で表される化合物に代えて化学式197で表される化合物を用いた以外は実施例21におけると同様に反応させたところ、化学式90で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は147℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長576nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.13×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式196で表される化合物に代えて化学式201で表される化合物を用いた以外は実施例21におけると同様に反応させたところ、化学式92で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は156乃至162℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長562nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.37×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
〈エチレン化合物〉
化学式196で表される化合物に代えて化学式202で表される化合物を用いた以外は実施例21におけると同様に反応させたところ、化学式95で表されるこの発明のエチレン化合物の緑色結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法にしたがって融点を測定したところ、本例のエチレン化合物の融点は242℃であった。また、常法にしたがってメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、波長560nm付近の可視領域に吸収極大(ε=1.78×10)が観察された。
可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収する本例のエチレン化合物は、例えば、光電変換素子における半導体電極を増感するための材料、重合性化合物を光照射して重合させるための材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として有用である。
なお、この発明のエチレン化合物は、構造によって仕込条件や収量に若干の違いはあるものの、例えば、上記以外の化学式1乃至化学式189で表されるものを含めて、いずれも、実施例1乃至実施例24の方法か、それらの方法に準じて所望量を製造することができる。
〈半導体電極〉
平均粒子径23nmの酸化チタンのナノ粒子と、平均粒子径12nmの酸化チタンのナノ粒子とを重量比4:1の割合で混合し、20%(w/w)ポリエチレングリコール水溶液に分散させた後、電気伝導性を有する汎用のガラス基板の片面に約10μmの厚さで塗布し、乾燥させた後、450℃で30分間焼結して半導体電極を得た。
別途、化学式1又は化学式83で表されるエチレン化合物を単独又は重量比1:1で混合してエチレン化合物の濃度が全体で1×10−4Mになるようにエタノールに溶解した。この溶液に上記で得られた半導体電極を浸漬し、室温下で12時間静置した後、溶液から取り出し、乾燥させて、エチレン化合物により増感された3種類の半導体電極を得た。
本例の半導体電極は、いずれも、光電変換素子を構成する半導体電極として極めて有用である。
〈光電変換素子〉
実施例25の方法により得た3種類の半導体電極のいずれかと、常法にしたがって、弗素を微量混入させた酸化錫層を有する電気伝導性ガラス基板へ白金を厚さ100nmになるようにスパッタリングして得た対極とをセル内部へ取り付けるとともに、半導体電極と対極とが物理的に接触しないようにセル内の適所へ汎用のアイオノマー樹脂製スペーサーを取り付けた。その後、セル内へレドックス電解液(45mM沃素、30mM沃化リチウム、330mMジメチルヘキシルイミダゾリウム=アイオダイド及び0.1mM4−tert−ブチルピリジンを含有するアセトニトリル溶液)を注入して、3種類の光電変換素子を得た。
〈光電変換素子の光電変換特性〉
実施例26の方法により得た各光電変換素子につき、常法にしたがって光電変換特性を調べた。光源には、キセノンランプとバンドパスフィルターを組合せた汎用のソーラーシミュレーター(エアマス1.5、照度94,500lux、輻射エネルギー密度82mW/cm)を用いた。別途、この発明によるエチレン化合物に代えて、化学式203で表される類縁化合物を用いた以外は実施例26におけると同様にして作製した光電変換素子につき、上記と同様にして光電変換特性を調べた。結果を表1に示す。
化学式203:
表1の結果から明らかなように、この発明による光電変換素子は、いずれも、短絡電流密度及び光電変換効率において化学式203で表される類縁化合物を用いる対照の光電変換素子を凌駕していた。化学式83で表されるエチレン化合物を用いる光電変換素子の短絡電流密度は特に大きく、対照の光電変換素子の2倍以上にも達した。短絡電流密度及び光電変換効率は、化学式1で表されるエチレン化合物と化学式83で表されるエチレン化合物とを組合せることによって著明に改善され、短絡電流密度は対照の約2.5倍に、また、光電変換効率は約2倍近くにまで達した。
図2に化学式1で表されるこの発明によるエチレン化合物の可視吸収スペクトル(実線)と、化学式203で表される類縁化合物の可視吸収スペクトル(破線)を示す。両化合物は、電子構造的に同様のものでありながら、可視吸収スペクトルにおける吸収極大は20nmもの違いがある。化学式1で表されるこの発明のエチレン化合物の吸収極大は、クマリン残基の電子構造から予想される吸収極大波長(421nm)とほぼ同様のものであったにもかかわらず、化学式203で表される類縁化合物の吸収極大は、クマリン残基の電子構造から予想される吸収極大波長から大幅に長波長シフトしていた。このことは、一般式1におけるRの炭化水素基が一般式1におけるR及びRの原子団をして互いに独立の要素として機能させていることを示唆している。光電変換素子においては、一般に、非共有電子対を有する原子を含む、例えば、負に荷電し得る原子団が半導体層へ吸着すると、その影響が分子内の他の部分におよび、化学式203で表される類縁化合物に見られるように、可視光を吸収し得る原子団の光吸収特性が実質的に変化することがある。類縁化合物と比較して、この発明によるエチレン化合物が光電変換素子において有意に優れた特性を発揮するのは、本来の光吸収特性が半導体電極へ吸着させても実質的に変化しないからであると推察される。
〈光重合性組成物〉
常法にしたがって、2−エトキシエタノール900重量部に光重合性モノマーとしてペンタエリスリトールアクリレート100重量部、バインダー樹脂としてアクリル酸−メタアクリル酸共重合体100重量部、そして、重合開始剤として2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン8重量部をそれぞれ配合し、さらに、光増感剤として化学式2、化学式25、化学式99、化学式103、化学式114又は化学式116で表されるエチレン化合物のいずれかを1重量部加えて6種類の光重合性組成物を得た。
その後、化学式114で表されるこの発明のエチレン化合物を配合してなる光重合生組成物につき、これを表面処理した砂目立アミノ板に均一に塗布して感光層を形成した後、酸素による重合阻害を防止すべく、感光層の表面にポリビニルアルコール層を形成した。この感光層にグレースケールを密着させて150Wキセノンランプを設置し、シャープカットオフフィルター(商品名『Y52』、東芝硝子株式会社製造)、干渉フィルター(商品名『KL54』、東芝硝子株式会社製造)及び熱線カットフィルター(商品名『HA30』、ホーヤ株式会社製造)を組合せて得た波長532nm(Cd−YAGレーザーの第二高調波に相当)の可視光を照射した。次いで、常法にしたがって、アルカリ系現像液により現像した後、数1に示す数式にステップタブレットn段目における透過率Tn、露出時間t及び露出強度I0をそれぞれ代入し、光硬化したステップ段数から感度を計算した。併行して、化学式114で表されるエチレン化合物に代えて、化学式204又は化学式205で表される類縁化合物のいずれかを用いた以外は上記と同様にして光重合性組成物を調製し(以下、それぞれ「対照1」及び「対照2」と言う。)、これらを同様に処置して対照とした。結果を表2に示す。
化学式204:
化学式205:
表2の結果に見られるとおり、化学式114で表されるエチレン化合物を用いる光重合性組成物の感度は、化学式204又は化学式205で表される類縁化合物のいずれかを用いる光重合性組成物より約2乃至10倍高かった。このことは、一般式1におけるRの導入がエチレン化合物の光増感能を改善するうえで極めて有効であることを物語っている。ちなみに、化学式2、化学式25、化学式99、化学式103又は化学式116で表されるこの発明のエチレン化合物のいずれかを用いて調製した光重合性組成物は、いずれも、光照射すると、良好な光重合能を発揮した。
この発明による光電変換素子の模式図である。 この発明によるエチレン化合物(実線)と、類縁化合物(破線)の可視吸収スペクトルである。
符号の説明
1 半導体電極
2a、2b 透明電極
3 半導体層
4 対極
5 レドックス電解液
6 外部負荷

Claims (7)

  1. 一般式1で表される骨格を有し、かつ、可視領域に吸収極大を有する一般式2で表されるエチレン化合物。
    一般式1:
    (一般式1において、Rは可視光を吸収し得る原子団を表す。Rは炭化水素基を表し、その炭化水素基は置換基を有していてもよい。Rは非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団を表す。)
    一般式2:
    (一般式2において、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表す。R及びR10は、それぞれ、一般式1におけるR又はRと同様の炭化水素基又は非共有電子対を含んでなる原子団を表す。)
  2. 非共有電子対を有する原子を含んでなる原子団がカルボキシ基又はカルボキシ基を有する原子団であり、そのカルボキシ基が酸、塩又はエステルの形態にある請求項1に記載のエチレン化合物。
  3. 請求項1又は2に記載のエチレン化合物を含んでなる光増感剤。
  4. 一般式1に対応するR及びRを有する一般式5で表される化合物と、一般式1に対応するRを有する一般式6で表される化合物とを反応させる工程を経由する請求項1又は2に記載のエチレン化合物の製造方法。
    一般式5:
    一般式6:
  5. 請求項1又は2に記載のエチレン化合物により増感された半導体電極。
  6. 請求項1又は2に記載のエチレン化合物を用いる光電変換素子。
  7. 請求項1又は2に記載のエチレン化合物を用いる太陽電池。
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