JP2011060669A - 光電変換素子及びその製造方法、並びに、金属フタロシアニン錯体色素 - Google Patents

光電変換素子及びその製造方法、並びに、金属フタロシアニン錯体色素 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し、光電変換素子用途において極めて有用な、新規な金属フタロシアニン錯体、並びに、これを用いた光電変換素子等を提供する。
【解決手段】少なくとも、導電性基板12、金属酸化物に色素が吸着した作用電極13、電解質14、及び、カウンター電極15を積層した光電変換素子であって、色素は、置換基に2.6−ジフェニルフェノキシ基を有する特定構造式で表わされる金属フタロシアニン錯体又はその塩である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子用途において極めて有用な新規な金属フタロシアニン錯体、並びに、これを用いた光電変換素子及びその製造方法に関する。
近年、エネルギー需要の高まりから、化石燃料の枯渇問題やCO2排出量削減対策として、化石燃料以外の環境エネルギー源から有用な電気エネルギーを発生させる技術に対する関心が急激に高まっている。この種のエネルギー関連技術の中でも、とりわけ、太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換技術に対する注目度が高い。例えば、太陽電池としては、シリコンや無機化合物材料を用いた太陽電池や有機光電子材料を用いた太陽電池等、様々なタイプのものが開発されており、そのエネルギー変換効率を高めてコストパフォーマンスをより向上させるべく、熾烈な技術開発競争が進展している。
現在、シリコン系太陽電池では、高いエネルギー変換効率が得られているものの、シリコン原料の不足による生産コストの増大が商業的開発における障害となりつつある。一方、有機光電子材料を用いた太陽電池は、低コストで量産可能と期待されており、しかも、軽量な可撓性デバイスとして注目を集めている。なかでも、高いエネルギー変換効率を実現可能な色素増感型太陽電池は、その開発以降、次世代の有力な光電変換素子デバイスの1つとして、大きな期待を集めている。
一般に、色素増感型太陽電池の色素(増感剤)としては、赤色ルテニウム系錯体が汎用されている。赤色ルテニウム系錯体は、通常、波長650nm未満の赤色スペクトル領域に強い吸収帯を有し、かかる赤色スペクトル領域における光子を主に集束する。したがって、色素増感型太陽電池のエネルギー変換効率のさらなる向上のためには、他のスペクトル領域、例えば、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有する色素の開発が望まれている。
一方、金属フタロシアニンは、特に近赤外スペクトル領域で強い吸収帯を有するため、赤外/近赤外吸光色素(増感剤)として期待されていた。しかしながら、金属フタロシアニンを色素増感型太陽電池に用いた場合、フタロシアニン環のスタッキングが生じる等して、高い光電変換効率を得ることができなかった。
かかる課題を解決するため、特許文献1には、3つのtert−ブチル基及び1つのカルボキシル基を有する非対称構造の金属フタロシアニン誘導体を用いた色素増感型太陽電池が開示されている。そして、この技術により、光電子変換効率(IPCE)の最大値が22〜75%、エネルギー変換効率(η)が0.81〜3.05%の色素増感型太陽電池が実現されている。
特開2007−231040号公報
特許文献1に記載の技術、すなわち、金属フタロシアニンの非対称置換によれば、置換基として導入された3つのtert-ブチル基により金属フタロシアニンの分子会合が抑制される等して、また、そのプッシュ−プル型分子構造により励起状態における電子移動の指向性が発現する等して、励起した金属フタロシアニンから酸化チタン(TiO2)伝導帯への効率的な電子移動が可能になると考えられる。しかしながら、かかる金属フタロシアニンの分子設計については未だ十分な検討が為されておらず、さらなる改善が求められていた。
本発明は、かかる実情に鑑みて為されたものであり、その目的は、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し、光電変換素子用途において極めて有用な、新規な金属フタロシアニン錯体、並びに、これを用いた光電変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定構造の金属フタロシアニン錯体を開発し、これを光電変換素子に用いることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(6)を提供する。
(1)少なくとも、導電性基板、金属酸化物に色素が吸着した作用電極、電解質、及びカウンター電極を積層した光電変換素子であって、
前記色素が、下記式(I):
(式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
で表わされる金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする、
光電変換素子。
(2)前記作用電極は、前記金属酸化物の単位体積あたりの色素吸着量(mol/cm3)が1.0×10-5〜20×10-5mol/cm3である、
上記(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記金属酸化物として少なくとも酸化チタンを含有する、
上記(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(4)下記式(I):
(式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
で表わされる金属フタロシアニン錯体又はその塩が金属酸化物に吸着した作用電極を準備し、前記作用電極とカウンター電極とを対向配置し、前記作用電極と前記カウンター電極との間隙に電解質を配設することを特徴とする、
光電変換素子の製造方法。
(5)前記作用電極を準備する工程においては、前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に前記金属酸化物を浸漬して前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を前記金属酸化物に吸着させることにより、前記作用電極を作製する、
上記(4)に記載の光電変換素子の製造方法。
(6)下記式(I):
(式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
で表わされる、
金属フタロシアニン錯体色素。
本発明によれば、赤外/近赤外スペクトル領域における太陽光を吸収可能であり、しかも、光電変換素子に用いた場合に、光電流変換効率(IPCE)及びエネルギー変換効率(η)を向上させることが可能な、新規な金属フタロシアニン錯体色素が実現される。また、本発明によれば、光電変換特性に優れる光電変換素子及びその製造方法が実現される。
実施形態の色素増感型太陽電池を示す模式断面図である。 化合物5〜7の金属フタロシアニン錯体の溶液中における可視吸収スペクトルを示すグラフである。 化合物5〜7の金属フタロシアニン錯体の作用電極上における可視吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例1〜3の色素増感型太陽電池の電流−電圧特性を示すグラフである。 実施例1〜3の色素増感型太陽電池の光電流励起スペクトルを示すグラフである。 実施例1〜3の色素増感型太陽電池における、ケノデオキシコール酸濃度における変換効率の依存性を示すグラフである。 実施例4及び5の色素増感型太陽電池の各電子密度における電子寿命を示すグラフである。 実施例1〜3の色素増感型太陽電池の色素吸着量を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
図1は、本実施形態の色素増感型太陽電池11を示す模式断面図である。
色素増感型太陽電池11は、導電性基板12、上記式で表される色素を金属酸化物に吸着させた作用電極13、電解質14、及び、カウンター電極15を備え、導電性基板12とカウンター電極15とは、負荷16を介して配線されている。作用電極13とカウンター電極15とは、図示しないスペーサー及び封止部材によって封止されており、かくして区画形成された作用電極13とカウンター電極15との間の封止空間内に、電解質14が充填(封入)されている。そして、本実施形態の色素増感型太陽電池11は、外部から入射された光を作用電極13にて吸収することにより、導電性基板12とカウンター電極15との間で起電力が発生し、負荷16に給電する。
次に、本実施形態の色素増感型太陽電池11の製造方法の一例を示す。
まず、導電性基板12、例えばフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板を用意し、その導電性表面上に金属酸化物の前駆体物質をドクターブレード法等で塗布した後、必要に応じて加熱処理又は焼結処理する等して、導電性基板12上に金属酸化物(金属酸化物電極)を形成する。このようにして導電性基板12上に形成された金属酸化物電極を、上記式で表される色素を含有する色素含有溶液、例えば色素含有アルコール溶液に浸漬して、金属酸化物に色素を吸着(担持)させる。そして、色素が吸着した金属酸化物を、必要に応じて、アルコール洗浄処理や水洗処理、乾燥処理等することにより、金属酸化物に色素が吸着した色素担持金属酸化物を形成し、これにより、作用電極13(色素担持金属酸化物電極)を得る。次に、対極であるカウンター電極15、例えばプラチナ(Pt)スパッタFTOガラス電極を用意し、このカウンター電極15と作用電極13とを所定距離離間して対向配置し、スペーサーや封止部材等を用いて周囲を封止し、かくして区画形成される封止空間内に電解質14、例えばレドックス電解質を充填(封入)する。
以下、さらに詳述する。
導電性基板12上に形成される金属酸化物電極は、金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層である。かかる金属酸化物電極の多孔質構造は、一般的に、金属酸化物の粒子の積み重なり或いは金属酸化物結晶の異方成長等により、形成することができることが知られている。
金属酸化物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、TiO2、ZnO、SnO2、WO3、Nb25等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物は、TiO2であることが好ましい。金属酸化物電極は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。
作用電極13(金属酸化物電極)の形成方法としては、例えば、金属酸化物の分散液(前駆体物質)を導電性基板12上に付与した後に焼結する方法や、金属酸化物のペースト(前駆体物質)を導電性基板12上に付与した後に150℃程度の低温加熱処理を行う方法等が知られている。金属酸化物の前駆体物質の導電性基板12上への付与方法は、特に限定されない。例えば、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等、公知の手法を適用可能である。また、金属塩を含有する電解液(前駆体物質)から導電性基板12上にカソード電析させる方法も知られている。
作用電極13(金属酸化物電極)の厚みは、特に限定されないが、0.05〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜10μmである。金属酸化物電極は、粒子径が10〜50nm程度の酸化チタン粒子が厚み3〜10μm程度に集積したものであることが好ましい。
金属酸化物に吸着(担持)される色素(増感色素、増感剤)は、複数の2,6−ジフェニルフェノキシ基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する、両親媒性・非対称性の金属フタロシアニン錯体又はその塩であり、具体的には、下記式(I)で表わされるものである。
(式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
上記式(I)で表される金属フタロシアニン錯体に導入された2,6−ジフェニルフェノキシ基は、従来技術で導入されているtert−ブチル基に比して、極めて嵩高い官能基であり、かかる金属フタロシアニン錯体に高度の立体障害を付与する。そのため、金属フタロシアニン錯体間におけるπ−πスタッキングをより一層効果的に阻害可能であり、これにより、会合体の形成、及び、金属酸化物電極の表面上における色素積層構造の形成が抑制される。また、2,6−ジフェニルフェノキシ基は、極めて嵩高い官能基であるとともに負電荷を有する酸素原子を含んでいるため、電解質に含まれ得るアニオン成分、例えばI3 -の接近を、物理的及び静電気的に抑制することが可能となる。したがって、光電変換により発生した電子の金属酸化電極への電子注入効率が高められる。
なお、2,6−ジフェニルフェノキシ基の置換位置は、フタロシアニン環の3つのベンゼン環に各々1個以上導入されている限り、特に限定されない。すなわち、2,6−ジフェニルフェノキシ基の置換位置は、フタロシアニン環のベンゼン環の2位,3位,4位,5位のいずれであってもよい。また、かかるベンゼン環の2位,3位,4位,5位のうちの2箇所のみ、3箇所のみ、又は、4箇所すべてに、2,6−ジフェニルフェノキシ基が置換されていてもよい。
上記式(I)中、Aは、金属フタロシアニン環とカルボキシル基とを結ぶ(m+1)価の連結基であり、より具体的には、単結合、又は、置換基を有してもよい炭化水素基である。炭化水素としては、飽和又は不飽和の鎖式炭化水素、及び、飽和又は不飽和の環式炭化水素があり、特に限定されないが、炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状、環状の脂肪族炭化水素(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン)、又は、炭素数が1〜18の芳香族炭化水素(例えば、フェニレン等のアリーレン)が好ましい。なお、Aが単結合の場合は、カルボキシル基がフタロシアニン環に直接結合していることを意味する。また、Aの置換位置は、フタロシアニン環のベンゼン環の2位,3位,4位,5位のいずれであってもよく、特に限定されないが、3位又は4位が好ましい。
上記式(I)中のAで表される置換基を有してもよい炭化水素基は、置換基を有していてもよく、或いは、置換基を有していなくてもよい。かかる置換基の具体例としては、特に限定されないが、例えば、−PO3Hが挙げられる。なお、置換基を有してもよい炭化水素基は、置換基を介して結合をしていてもよい。
上記式(I)で表される金属フタロシアニン錯体に導入されたカルボキシル基は、金属酸化物(金属酸化物電極)の表面に吸着するためのアンカー基として機能する。また、3つの2,6−ジフェニルフェノキシ基及び1つのカルボキシル基の導入、すなわち非対称置換により、金属フタロシアニンがプッシュ−プル型分子構造となり、励起状態における電子移動の指向性が発現する等して、光電変換により発生した電子の金属酸化電極への電子注入効率が高められるとともに、金属酸化物(金属酸化物電極)の表面への吸着性が高められる。
上記式(I)中、mは1〜3の数であれば特に限定されない。mの増加にともない、かかる金属フタロシアニン錯体の金属酸化物(金属酸化物電極)の表面への吸着性が高められる傾向にある。
フタロシアニン環の骨格とアンカー基となるカルボキシル基と好ましい結合構造は、フタロシアニン環のベンゼン環の3位及び/又は4位に、p−フェニルカルボキシル基が直接結合している態様、すなわち、フタロシアニン環のベンゼン環の3位及び/又は4位に、p−フェニルカルボキシル基のフェニル基が単結合を介して結合している態様である。その結合構造部分が電子注入経路となり、励起した金属フタロシアニン錯体から金属酸化物(金属酸化物電極)の伝導帯への電子注入効率が高められる傾向にある。
以下、上記式(I)で表わされる金属フタロシアニン錯体の好ましい構造の合成工程を、下記式(II)に示す。
式(II)において、まず、ジメチルホルムアミド(DMF)と炭酸カリウム(K2CO3)との存在下で、2,6−ジフェニルフェノールと4,5−ジクロロフタロニトリルとを反応させて、化合物2を合成する。次に、ジメチルアミノメタノール中で、4−ヨードフタロニトリルと4−(メトキシカルボニルフェニル)ボロン酸との鈴木カップリング反応により得られた化合物1を、上記化合物2及び塩化亜鉛と反応させ、エステル交換反応により、メチルエステル中間体を形成する。その後、カラムクロマトグラフィーと分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とを用いて、メチルエステル中間体を反応混合物から分離し、得られたエステル中間体をアルカリ加水分解することにより、金属フタロシアニン錯体である化合物5を得る。化合物5は、1つのカルボキシル基と、6つの2,6−ジフェニルフェノキシ基とを有する非対称構造の金属フタロシアニン錯体(亜鉛フタロシアニン錯体)である。なお、式(II)中では、フェニル基をPhで示した。
金属酸化物(金属酸化物電極)へ金属フタロシアニン錯体(色素)を吸着させる際には、例えば、上記式(I)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に、共存する被吸着物質としてケノデオキシコール酸を混合することが好ましい。ケノデオキシコール酸の配合により、金属酸化物(金属酸化物電極)の表面上における金属フタロシアニン錯体の会合がより一層抑制され、得られる光電変換素子の光電変換特性が向上し得る。この場合、混合溶液中のケノデオキシコール酸の濃度は、特に限定されるものではないが、上記式(I)で表される金属フタロシアニン錯体の会合傾向がある場合において、0〜60mMであることが好ましい。
金属酸化物(金属酸化物電極)の単位体積あたりの色素(金属フタロシアニン錯体)吸着量は、特に限定されないが、1.0×10-5〜20×10-5(mol/cm3)であることが好ましい。本明細書において、かかる吸着量の測定は、以下のようにして行う。すなわち、太陽電池作製と同じ条件で色素を吸着させた、面積8mm×8mm、膜厚8μmの色素担持金属酸化物(例えば、色素が担持された酸化チタン)電極を、メタノール溶液とTHFとを1:1で混ぜた水酸化テトラブチルアンモニウム含有溶液中に浸漬して、色素を洗い落とす。洗い落とした色素の吸収強度を測定し、色素のモル吸光度係数からモル数を計算する。そして、色素のモル数を金属酸化物(この場合は酸化チタン)の体積で割り、体積あたりのモル数を求める。
なお、光電変換素子として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有する色素を併用してもよい。色素の具体例としては、例えば、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、オキソノール系色素、ポリメチン系色素、リボフラビン系色素等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
色素含有溶液の溶媒は、特に限定されるものではなく、使用する色素の溶解性又は相溶性等に応じて、例えば、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができる。
電解質14としては、レドックス電解質溶液、これをゲル化した半固体電解質或いは擬固体電解質、p型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを特に制限なく用いることができる。色素増感型太陽電池の代表的な電解質溶液としては、例えば、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含むアセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等が挙げられる。電解質の濃度や各種添加剤等は、要求性能に応じて適宜設定及び選択することができる。添加剤の具体例としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等のp型導電性ポリマー;イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、トリアゾリウムイオン及びそれらの誘導体とハロゲンイオンとの組み合わせからなる溶融塩;ゲル化剤;オイルゲル化剤;分散剤;界面活性剤;安定化剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
なお、本実施形態の色素増感型太陽電池11は、図1に示す積層構造を繰返し単位として複数組み合わせたタンデム型に構成してもよい。また、1つの繰返し単位において、或いは、複数の繰返し単位において、上記式(I)で示される金属フタロシアニン錯体とルテニウム系錯体とを組み合わせて使用してもよい。
上述した本実施形態の色素増感型太陽電池11は、400〜450nm及び600〜700nmの波長で強い吸収帯を有する上記式(I)で示される金属フタロシアニン錯体を用いているため、太陽光スペクトルの広範囲において光電エネルギー変換が可能となる。
以下、合成例及び実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、上記式(I)で示す金属フタロシアニン錯体の合成に用いる化合物1〜4を準備した。
化合物1
アルゴン雰囲気下で、4−ヨードフタロニトリル(0.15g,0.59mmol)とテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)(10.0mg,12.0μmol)とを、シュレンク管に満した。また、4−(メトキシカルボニルフェニル)ボロン酸(0.14g,0.71mmol)を含むテトラヒドロフラン(THF)(3mL)の溶液と、炭酸ナトリウム(NaCO3)(2M,2mL)水溶液とを調製し、アルゴン気流で酸素を脱気した。それらの溶液と酸素脱気トルエン(4mL)とを反応容器に加え、その混合物をアルゴン雰囲気下で48時間、還流した。その反応混合物を、水とジエチルエーテルとの混合物に注いだ。得られた粗生成物をジクロロメタン(CH2Cl2)で溶出して活性アルミナカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた物質をエタノールで再結晶することにより、その後、白色固体の化合物1を得た。その収量は0.14gであり、収率は88%であった。
核磁気共鳴(NMR)及びフーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)による化合物1の測定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=8.19(2H,d,J=8.0Hz,ArH),8.04(1H,s,ArH),7.94(2H,d,J=8.4Hz,ArH),7.65(2H,d,J=8.4Hz,ArH),4.42(m,3H,−OCH3
13CNMR(CDCl3,100.61MHz):
δ(ppm)=165.78,145.36,140.97,134.12,132.18,131.68,130.66,130.17,127.26,116.72,115.29,115.24,114.83,61.44
IR(ATR):ν=2229(‐CN),1709(‐COOCH3)cm-1
化合物2
乾燥DMF(5mL)中、2,6−ジフェニルフェノール(1.88g,7.5mmol)、4,5−ジクロロフタロニトリル(0.5g,2.5mmol)、及びK2CO3(3.5g,25.0mmol)を100℃の窒素雰囲気下で36時間、攪拌した。この反応混合物を水(50ml)中に注ぎ、その水相を50mLのCH2Cl2で3回抽出した。これら抽出混合物をMgSO4で乾燥した後、その有機相を留去し、その残渣をCH2Cl2で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。その後、得られた物質をメタノールで再結晶することにより、白色固体の化合物2を得た。その収量は0.70gであり、収率は47%であった。
NMR及びFT−IRによる化合物2の測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=7.44(s,6H,ArH),7.41(d,8H,J=8.0Hz,ArH),7.14(4H,t,J=7.6Hz,ArH),7.04(8H,t,J=7.6Hz,ArH),6.20(2H,s,ArH)
13CNMR(CDCl3,100.61MHz):
δ(ppm)=148.3,146.8,137.1,134.9,129.2,128.4,127.8,126.7,119.1,115.0,107.4
IR(ATR):ν=2231(‐CN)cm-1
化合物3
乾燥DMF(5mL)中、2,6−ジフェニルフェノール(1.07g、4.33mmol)、4−ニトロフタロニトリル(0.5g、2.88mmol)、及びK2CO3(2.81g、20mmol)を窒素雰囲気下の室温で48時間、攪拌した。この反応混合物を水(50ml)中に注ぎ、その水相を50mLのCH2Cl2で3回抽出した。これら抽出混合物をMgSO4で乾燥した後、その有機相を留去し、その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)で精製した。その後、得られた物質をメタノールで再結晶することにより、白色固体の化合物3を得た。その収量は0.68gであり、収率は64%であった。
NMR及びFT−IRによる化合物3の測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=7.42(3H,s,ArH),7.39〜7.41(4H,m,ArH),7.24〜7.38(7H,m,ArH),6.84(1H,s,ArH),6.79(1H,d,J=8.4Hz,ArH)
13C NMR(CDCl3,100.61MHz):
δ(ppm)=160.6,146.9,138.7,136.6,135.9,134.7,131.0,129.0,128.5,127.9,127.3,126.5,120.3,120.1,117.8,116.9,115.4,114.9,107.9.
IR(ATR):ν=2229(‐CN)cm-1
化合物4
乾燥DMF(5mL)中、2,6−ジフェニルフェノール(0.5g、2.0mmol)、3−ニトロフタロニトリル(0.53g、3.0mmol)、及びK2CO3(1.93g、14mmol)を窒素雰囲気下の室温で48時間、攪拌した。この反応混合物を水(50ml)中に注ぎ、その水相を50mLのCH2Cl2で3回抽出した。これら抽出混合物をMgSO4で乾燥した後、その有機相を留去し、その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)で精製した。得られた物質をメタノールで再結晶することにより、白色固体の化合物4を得た。その収量は0.60gであり、収率は78%であった。
NMR及びFT−IRによる化合物4の測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=7.51(4H,J=8.8Hz,ArH),7.49(3H,s,ArH),7.34(4H,t,J=7.6Hz,ArH),7.25〜7.29(3H,m,ArH),7.16(1H,dd,J=8.2Hz,ArH),7.05(1H,d,J=7.8Hz,ArH)
13CNMR(CDCl3,100.61MHz):
δ(ppm)=159.7,146.8,137.1,136.4,135.9,133.5,130.9,129.1,128.6,128.0,127.4,125.9,118.6,116.5,115.0,112.6,104.5
IR(ATR):ν=2230(‐CN)cm-1
(合成例1)
5.0mLのジメチルアミノメタノール中で、化合物1(0.05g、0.18mmol)、化合物2(0.5g、0.81mmol)、及び塩化亜鉛(ZnCl2)(0.049g、0.36mmol)の混合物を140℃に加熱し、72時間攪拌した。その混合物を冷却した後、溶媒を留去し、さらに、過剰なZnイオンを除去するためにメタノールで数回洗浄した。その残渣をCH2Cl2で溶出して活性アルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、リサイクル分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で非対称Znフタロシアニンのメチルエステル中間体を得た。
THF(5mL)中で、NaOH(1.0M,1mL)の水溶液とその非対称Znフタロシアニンのメチルエステル中間体とを70℃で24時間、攪拌した後、その溶媒を減圧留去して、さらに、その残渣を水(10mL)に溶解した。その水溶液を1時間、還流した。得られた緑色溶液をろ過し、酢酸で中和した。その沈殿物をろ過で回収して、減圧乾燥することにより、上記式(1)で示す金属フタロシアニン錯体である化合物5を得た。その収量は30mgであり、収率は8%であった。
化合物5
NMR、FT−IR、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF Ms)による化合物5の測定結果を以下に示す。また、紫外可視(UV−Vis)分光光度計の測定結果を図2に示す。
1H NMR(CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=13.4(br,1H,COOH),9.3(6H,m,Pc−H),7.51〜7.94(49H,m,Pc−HとArH),6.80〜6.87(36H,m,Pc−HとArH)
IR(ATR):ν=1681(−COOH)cm-1
MALDI−TOF Ms(ジトラノール):m/z2167(M+H)
(合成例2)
5.0mLのジメチルアミノメタノール中で、化合物1(0.3g,0.81mmol)、化合物3(45mg,0.16mmol)、及びZnCl2(44mg,0.32mmol)の混合物を140℃に加熱し、72時間攪拌した。その混合物を冷却した後、溶媒を留去し、さらに、過剰なZnイオンを除去するためにメタノールで数回洗浄した。その残渣をCH2Cl2で溶出して活性アルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、リサイクル分取HPLCで非対称Znフタロシアニンのメチルエステル中間体を得た。
得られた非対称Znフタロシアニンのメチルエステル中間体を、上記合成例1と同様の方法で加水分解することにより、上記式(1)で示す金属フタロシアニン錯体である化合物6を得た。その収量は20mgであり、収率は9%であった。
化合物6
NMR、FT−IR、及びMALDI−TOF Msによる化合物6の測定結果を以下に示す。また、UV−Vis分光光度計の測定結果を図2に示す。
1H NMR(CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=13.5(br,1H,COOH),9.4〜8.7(6H,m,Pc−H),7.7(30H,br,Pc−HとArH),7.1(19H,br,Pc−HとArH)
IR(ATR):ν=1681(−COOH)cm-1
MALDI−TOF Ms(ジトラノール):m/z1431(M+H)
(合成例3)
5.0mLのジメチルアミノメタノール中で、化合物1(0.044g、0.16mmol)、化合物4(0.3g、0.81mmol)、及びZnCl2(0.049g、0.32mmol)の混合物を140℃に加熱し、72時間攪拌した。その混合物を冷却した後、溶媒を留去し、さらに、過剰なZnイオンを除去するためにメタノールで数回洗浄した。その残渣をCH2Cl2で溶出して活性アルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、リサイクル分取HPLCで非対称Znフタロシアニンのメチルエステル中間体を得た。
得られた非対称Znフタロシアニンのメチルエステル中間体を、上記合成例1と同様の方法で加水分解することにより、上記式(1)で示す金属フタロシアニン錯体である化合物7を得た。その収量は18mgであり、収率は8%であった。
化合物7
NMR、FT−IR、及びMALDI−TOF Msによる化合物7の測定結果を以下に示す。また、UV−Vis分光光度計の測定結果を図2に示す。
1H NMR(CDCl3,400.13MHz):
δ(ppm)=13.4(br,1H,COOH),9.7〜8.7(6H,m,Pc−H),6.4〜8.3(49H,m,Pc−HとArH)
IR(ATR):ν=1681(−COOH)cm-1
MALDI−TOF Ms(ジトラノール):m/z1431(M+H)
(実施例1)
ドクターブレード法により、透明導電性基板(SnO2:F,薄さ1mmのガラス基質)上に、平均粒径15〜20nmと平均粒径400nmの2種のTiO2ナノ粒子を用いて、2層状(約7μmの透明層と約4μmの散乱層)のナノ多孔質TiO2電極(金属酸化物電極)を形成した。この電極を空気中、550℃で30分、焼成した。また、高い変換効率を得るために、TiCl4処理を加えた。得られたTiO2電極の見かけ表面積は、約0.16cm2(0.42cm×0.42cm)であった。光拡散性を減少させるために、遮蔽マスク(0.18cm2)を加えた。
次に、エタノール及びTHFの混合溶媒中に、化合物5の2,6−ジフェニルフェノキシ基含有亜鉛フタロシアニン錯体を添加して、色素含有溶液(色素濃度0.05mM)を調製した。得られた色素含有溶液に室温で4時間、ナノ多孔質TiO2電極を浸漬し、化合物5の2,6−ジフェニルフェノキシ基含有亜鉛フタロシアニン錯体をナノ結晶性TiO2膜へ吸着させた。ナノ結晶性TiO2膜の表面に過剰に吸着した色素を完全に取り除くために、TiO2電極をエタノールで洗浄して、実施例1の作用電極(色素担持金属酸化物電極)を作製した。この実施例1の作用電極のTiO2電極表面上の亜鉛フタロシアニン錯体の吸着量を測定したところ、7.7×10-5mol/cm3であった。これは、亜鉛フタロシアニン錯体がTiO2電極表面上において高密度充填層で形成されていることを示唆する。
上記の作用電極とカウンター電極とを20μm離間して対向配置し、周囲をスペーサー及び封止部材を用いて封止してセルを作製し、作用電極とカウンター電極との間にレドックス電解質(0.1Mヨウ化リチウム、0.6Mヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、0.5M4−tert−ブチルピリジン、及び0.05M脱水アセトニトリル中のI2)を封入して、図1に示す実施例1の色素増感型太陽電池を製作した。なお、カウンター電極として、プラチナを厚み20nmでスパッタしたFTOガラス電極を用いた。
実施例1の作用電極のUV−Vis分光光度計の測定結果を図3に示す。
(実施例2)
化合物5の代わりに、化合物6の2,6−ジフェニルフェノキシ基含有亜鉛フタロシアニン錯体を添加して色素含有溶液を調製すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例2の色素増感型太陽電池を製作した。この実施例2の作用電極のTiO2電極表面上の亜鉛フタロシアニン錯体の吸着量を測定したところ、7.2×10-5mol/cm3であった。これは、亜鉛フタロシアニン錯体がTiO2電極表面上において高密度充填層で形成されていることを示唆する。
実施例2の作用電極のUV−Vis分光光度計の測定結果を図3に示す。
(実施例3)
化合物5の代わりに、化合物7の2,6−ジフェニルフェノキシ基含有亜鉛フタロシアニン錯体を添加して色素含有溶液を調製すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例3の色素増感型太陽電池を製作した。この実施例3の作用電極のTiO2電極表面上の亜鉛フタロシアニン錯体の吸着量を測定したところ、1.4×10-5mol/cm3であった。
実施例3の作用電極の2,6−ジフェニルフェノキシ基含有亜鉛フタロシアニン錯体のUV−Vis分光光度計の測定結果を図3に示す。
図3から明らかなように、厚さ2μmのTiO2膜における実施例1の作用電極の吸収スペクトルは、689nmの波長において鋭いQ帯を示し、実施例2及び3の作用電極の吸収スペクトルは、それに比べて鈍いQ帯を示した。このことから、実施例1の作用電極は、実施例2及び3に比して、TiO2膜表面上における2,6−ジフェニルフェノキシ基含有亜鉛フタロシアニン錯体の会合が抑制されていることが明らかとなった。
<光電変換特性>
実施例1〜3の色素増感型太陽電池について、基準太陽光AM1.5(YSS−100,山下電装(株))下で、光起電力性能を測定した。光電変換特性としては、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、全変換効率(η)、IPCEを測定した。測定結果を、表1に示す。
また。各色素増感型太陽電池の光電流−電圧特性を図4、光電流励起スペクトルを図5に示す。
表1及び図4から明らかなように、実施例1〜3の色素増感型太陽電池は、いずれも優れた光電変換特性を有することが確認された。また、1000W/m2(1−sum)条件下において、エネルギー変換効率が1.6〜4.6%の色素増感型太陽電池を実現できることが確認された。とりわけ、実施例1のη値は、これまで報告されている金属フタロシアニン錯体を光集束色素として用いた色素増感型太陽電池の中で最も高い値であった。
さらに、図5より、光電流励起スペクトルは、TiO2膜に吸着した亜鉛フタロシアニン錯体の吸収スペクトルに追従し、Q帯の最大吸収でのIPCEは、78%にも達した。また、Q帯の増加だけでなく、ショルダーピーク及びソーレピーク帯の増加も確認された。これらのことから、2,6−ジフェニルフェノキシ基は、フタロシアニン環と同一面上ではなくねじれの位置関係にあり、その結果、亜鉛フタロシアニン錯体の分子間会合の形成を阻害しているものと考えられる。
<ケノデオキシコール酸濃度における変換効率の依存性>
実施例1〜3の色素増感型太陽電池において、共存する被吸着物質としてケノデオキシコール酸を所定の濃度(0,5,10,20mM)で添加した色素含有溶液を各々用いること以外は、同様に操作して、各々の色素増感型太陽電池を製作し、ケノデオキシコール酸濃度による変換効率(η)の依存性を測定した。測定結果を図6に示す。
図6より、実施例2及び3においては、ケノデオキシコール酸の濃度が高くなるにつれて、その色素増感型太陽電池のη値が増加した。このことから、ケノデオキシコール酸の添加により、TiO2電極表面上での亜鉛フタロシアニン錯体の会合が阻害されていることが示唆された。
一方、実施例1においては、ケノデオキシコール酸非存在下に比べて、ケノデオキシコール酸存在下の方がはるかに低いη値を示した。このことから、実施例1で使用した、6つの2,6−ジフェニルフェノキシ基を有する亜鉛フタロシアニン錯体は、その嵩高い分子構造により、TiO2電極表面の高密度吸着層における亜鉛フタロシアニン錯体の立体的な隔離が可能であることが示唆された。また、実施例1において全スペクトルにおいてIPCEの増加がみられたのは、その置換基により電子移動指向性が増加したものによると推察される。
(実施例4及び5)
平均粒径400nmのTiO2ナノ粒子を用いずに散乱層を省略し、さらに、TiCl4処理を省略したこと以外は、実施例1と同様に操作して、単層(約7μmの透明層)のナノ多孔質TiO2電極(金属酸化物電極)を形成し、このナノ多孔質TiO2電極を用い、色素含有溶液の色素濃度を0.05mM及び0.025mMにすること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例4及び5の色素増感型太陽電池を作製した。
実施例4及び5の色素増感型太陽電池における電子寿命を、過渡電圧応答測定により測定した。TiO2電極の厚さはおよそ3.6μmであった。ダイオードレーザー(635nm)を色素増感型太陽電池に照射し、そのレーザー強度のわずかな部分の段階的な減少で引き起こされた開回路電圧の減衰を測定した。様々な初期レーザー強度で繰り返し測定して、色素増感型太陽電池において、異なる電子密度を得た。電子寿命(τ)は、指数関数、exp(−t/τ)に電圧減衰をあてはめることで得られ、電子密度を電荷抽出方法により測定した。
電子密度−電子寿命特性を図7に示す。亜鉛フタロシアニン錯体の吸着量を半減させても、電子寿命は、ほとんど影響がないことが確認され、電荷再結合からみて良い特性を示すことが確認された。このことから、亜鉛フタロシアニン錯体は、その嵩高い分子構造により、I3 -の接近を物理的に阻害し、また、負電荷である酸素を有することでTiO2電極表面へのI3 -の接近を抑制していることが示唆された。
(比較例1)
化合物5の代わりに、下記の3つのtert−ブチル基及び1つのカルボキシル基を有する化合物8を添加して色素含有溶液を調製すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例1の色素増感型太陽電池を製作した。
化合物8
比較例1の色素増感型太陽電池について、実施例1と同様に光電変換特性を測定した。測定結果を、表1及び図5に示す。
以上、本発明の色素増感型太陽電池によれば、金属フタロシアニン錯体の分子構造の高度な三次元化により、金属酸化電極の表面上における金属フタロシアニン錯体の分子間相互作用を減少させ、また、電子移動の指向性を向上させることができ、これにより、光電流変換効率(IPCE)及びエネルギー変換効率(η)を増加させることができる。さらに、少量の吸着量であっても、金属酸化電極表面への電解質のI3 -の接近を阻害でき、しかも、同等の電子寿命を保つことができる。
以上説明したとおり、本発明の金属フタロシアニン錯体色素は、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し高い変換効率を有するのみならず、分子間相互作用が減少され、電子移動の指向性が向上されているので、ガスセンサ、健康モニタセンサ、有害物質検出センサ、色素増感型太陽電池等の光電変換素子等に用いられる色素、増感色素、増感剤或いは吸光剤等として、広く且つ有効に利用可能である。
また、本発明の光電変換素子は、高い変換効率を有しており、これを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。とりわけ、色素増感型太陽電池等の太陽光を吸収する用途においては、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し高い変換効率を有するので、ルテニウム系錯体色素等と組み合わせることで太陽光の全スペクトルをエネルギー変換することが可能となり、殊に広く且つ有効に利用可能である。
11…色素増感型太陽電池、12…導電性基板、13…作用電極、14…電解質、15…カウンター電極、16…負荷。

Claims (6)

  1. 少なくとも、導電性基板、金属酸化物に色素が吸着した作用電極、電解質、及びカウンター電極を積層した光電変換素子であって、
    前記色素が、下記式(I):
    (式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
    で表わされる金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする、
    光電変換素子。
  2. 前記作用電極は、前記金属酸化物の単位体積あたりの色素吸着量(mol/cm3)が1.0×10-5〜20×10-5mol/cm3である、
    請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記金属酸化物として少なくとも酸化チタンを含有する、
    請求項1又は請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 下記式(I):
    (式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
    で表わされる金属フタロシアニン錯体又はその塩が金属酸化物に吸着した作用電極を準備し、前記作用電極とカウンター電極とを対向配置し、前記作用電極と前記カウンター電極との間隙に電解質を配設することを特徴とする、
    光電変換素子の製造方法。
  5. 前記作用電極を準備する工程においては、前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に前記金属酸化物を浸漬して前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を前記金属酸化物に吸着させることにより、前記作用電極を作製する、
    請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 下記式(I):
    (式(I)中、R1〜R3は、2,6−ジフェニルフェノキシ基であり、n1〜n3は、それぞれ1〜4の数であり各々が同一であっても異なっていてもよく、Aは、単結合又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、mは、1〜3の数であり、Mは、亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムよりなる群から選択されるいずれかの金属である。)
    で表わされる、
    金属フタロシアニン錯体色素。
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