JP2013185029A - 光電変換素子用色素、光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

光電変換素子用色素、光電変換素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し、光電変換素子用途において極めて有用な、新規な金属フタロシアニン錯体、並びに、これを用いた光電変換素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする光電変換素子用色素。
【化1】
Figure 2013185029

【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子用途において極めて有用な新規な色素である金属フタロシアニン錯体、並びに、これを用いた光電変換素子及びその製造方法に関する。
近年、エネルギー需要の高まりから、化石燃料の枯渇問題やCO排出量削減対策として、化石燃料以外の環境エネルギー源から有用な電気エネルギーを発生させる技術に対する関心が急激に高まっている。この種のエネルギー関連技術の中でも、とりわけ、太陽光を電気エネルギーに変換する光電変換技術に対する注目度が高い。例えば、太陽電池としては、シリコンや無機化合物材料を用いた太陽電池や有機光電子材料を用いた太陽電池等、様々なタイプのものが開発されており、そのエネルギー変換効率を高めてコストパフォーマンスをより向上させるべく、熾烈な技術開発競争が進展している。
現在、シリコン系太陽電池では、高いエネルギー変換効率が得られているものの、シリコン原料の不足による生産コストの増大が商業的開発における障害となりつつある。一方、有機光電子材料を用いた太陽電池は、低コストで量産可能と期待されており、しかも、軽量な可撓性デバイスとして注目を集めている。なかでも、高いエネルギー変換効率を実現可能な色素増感型太陽電池は、その開発以降、次世代の有力な光電変換素子デバイスの1つとして、大きな期待を集めている。
一般に、色素増感型太陽電池の色素(増感剤)としては、赤色ルテニウム系錯体が汎用されている。赤色ルテニウム系錯体は、通常、波長650nm未満の赤色スペクトル領域に強い吸収帯を有し、かかる赤色スペクトル領域における光子を主に集束する。したがって、色素増感型太陽電池のエネルギー変換効率のさらなる向上のためには、他のスペクトル領域、例えば、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有する色素の開発が望まれている。
一方、金属フタロシアニンは、特に近赤外スペクトル領域で強い吸収帯を有するため、赤外/近赤外吸光色素(増感剤)として期待されていた。しかしながら、金属フタロシアニンを色素増感型太陽電池に用いた場合、フタロシアニン環のスタッキングが生じる等して、高いエネルギー変換効率を得ることができなかった。
かかる問題を解決するため、特許文献1には、3つのtert−ブチル基及び1つのカルボキシ基を有する非対称構造の金属フタロシアニン誘導体を用いた色素増感型太陽電池が開示されている。そして、この技術により、光電流変換効率(IPCE)の最大値が22〜75%、エネルギー変換効率(η)が0.81〜3.05%の色素増感型太陽電池が実現されている。
当該特許文献1に記載の技術、すなわち、金属フタロシアニンの非対称置換によれば、置換基として導入された3つのtert−ブチル基により金属フタロシアニンの分子会合が抑制される等して、また、そのプッシュ−プル型分子構造により励起状態における電子移動の指向性が発現する等して、励起した金属フタロシアニンから酸化チタン(TiO)伝導帯への効率的な電子移動が可能になると考えられる。また、特許文献2には、3つの2,6−ジフェニルフェノキシ基と1つのカルボキシ基を有する非対称構造の金属フタロシアニン誘導体を用いた色素増感型太陽電池が開示されている。そして、特許文献2には、当該色素増感型太陽電池が特許文献1に開示される金属フタロシアニン誘導体を用いた太陽電池に比べ、赤外/近赤外スペクトル領域に強い吸収帯を有し、さらにより高いエネルギー変換効率を発現するものであることが記載されている。
しかしながら、かかる金属フタロシアニンにおいても、さらなる改善が求められていた。
特開2007−231040号公報 特開2011−60669号公報
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し、光電変換素子用途においてエネルギー変換効率の高い、新規な金属フタロシアニン錯体、並びに、これを用いた光電変換素子及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定構造の金属フタロシアニン錯体を開発し、これを光電変換素子に用いることで上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、特定構造の金属フタロシアニン錯体を見いだし本発明に至った。すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする光電変換素子用色素。
Figure 2013185029
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合、又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
2.導電性基板上に、少なくとも金属酸化物に色素を吸着させた作用電極、電解質、及び対向電極が具備された光電変換素子であって、当該色素が、下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする光電変換素子。
Figure 2013185029
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合、又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
3.前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体が、下記一般式(3)で表される構造を有する金属錯体であることを特徴とする第2項に記載の光電変換素子。
Figure 2013185029
(一般式(3)中、Zは前記一般式(1)記載のZを表し、Rは、前記一般式(2)で表される基を表す。)
4.前記一般式(3)におけるRは前記一般式(2)を表し、前記一般式(2)におけるRはメトキシ基又はメチル基を表し、R〜Rはいずれも水素原子を表すことを特徴とする第3項に記載の光電変換素子。
5.前記色素が、前記一般式(1)で表される色素と光波長500〜530nmの範囲内における光電流変換光率が35%以上である色素を含有することを特徴とする第2項から第4項のいずれか一項に記載の光電変換素子。
6.前記500〜530nmの範囲内における光電流変換効率が35%以上である色素が、下記一般式(4)で表される色素であることを特徴とする第2項から第5項のいずれか一項に記載の光電変換素子。
Figure 2013185029
(一般式(4)中、R11、R12は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基、ヘテロ環を表す。R13は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロ環を表す。R14は置換基を有していてもよいアリーレン基、R15は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R16は酸性基を有する置換基を表す。Xは、アミノ基と共に環状構造を形成する連結基を表す。)
7.前記一般式(4)におけるR16が下記部分構造(5)又は部分構造(6)を有する置換基であることを特徴とする第2項から第6項のいずれか一項に記載の光電変換素子。
Figure 2013185029
8.前記作用電極が、前記金属酸化物に、単位面積当たり、色素を1.0×10−5〜20×10−5mol/cmの範囲内で吸着させた作用電極であることを特徴とする第2項から第7項のいずれか一項に記載の光電変換素子。
9.前記金属酸化物として、少なくとも酸化チタンを含有することを特徴とする第2項から第8項のいずれか一項に記載の光電変換素子。
10.少なくとも、導電性基板、金属酸化物に色素が吸着した作用電極、電解質、及び対向電極を積層した光電変換素子の製造方法であって、当該色素が、下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であり、
前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を金属酸化物に吸着させて作用電極を作製する工程と、前記作用電極と前記対向電極とを対向配置する工程と、前記作用電極と前記対向電極との間隙に電解質を配設する工程を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
Figure 2013185029
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
11.前記作用電極を作製する工程においては、前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に前記金属酸化物を浸漬して前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を前記金属酸化物に吸着させることにより、前記作用電極を作製することを特徴とする第10項に記載の光電変換素子の製造方法。
本発明の手段によれば、赤外/近赤外スペクトル領域における太陽光を吸収可能であり、しかも、光電変換素子に用いた場合に、光電流変換効率(IPCE)及びエネルギー変換効率(η)を向上させることが可能な、新規な金属フタロシアニン錯体色素を提供することができる。また、本発明によれば、光電変換特性に優れる光電変換素子及びその製造方法を提供することができる。
実施形態の光電変換素子を示す模式断面図 化合物P3の溶液中における紫外可視吸収スペクトル(実線)及び作用電極上における紫外可視吸収スペクトル(破線)を示すグラフ 実施例1(P3)と実施例2(P2)及び比較例1(Pcs6)の光電変換素子の光電流変換効率(IPCE)を示すグラフ D131及びD102の光電流変換効率(IPCE)特性を表すグラフ
本発明の光電変換素子用色素は、下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項11までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
Figure 2013185029
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
本発明の光電変換素子は、少なくとも、導電性基板、金属酸化物に色素が吸着した作用電極、電解質、及び対向電極を積層した光電変換素子であって、当該色素が、上記一般式式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする。これにより、光電変換特性に優れた光電変換素子を得ることができる。
さらに本発明においては、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体が、下記一般式(3)で表される構造のものであることが光電変換特性に優れた光電変換素子を得ることができるので好ましい。
Figure 2013185029
(一般式(3)中、Zは前記一般式(1)記載のZを表し、Rは、前記一般式(2)で表される基を表す。)
さらに前記一般式(3)におけるRがメトキシ基又はメチル基で、R〜Rがいずれも水素原子を表すものであり、Zが、単結合、又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基を表すものであることが光電変換特性に優れた光電変換素子を得ることができるので好ましい。
さらに本発明においては、前記色素が、前記一般式(1)で表される色素と520nmの光電流変換効率(IPCE)が30%以上である色素、特に好ましくは500〜530nmのIPCEが35%以上の色素である色素を含有することが光電変換特性に優れた光電変換素子を得ることができるので好ましい。
また、本発明においては、前記520nmのIPCEが30%以上である色素が、下記一般式(4)で表される色素であることが光電変換特性に優れた光電変換素子を得ることができるので好ましい。
Figure 2013185029
(一般式(4)中、R11、R12は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基、ヘテロ環を表す。R13は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロ環を表す。R14は置換基を有していてもよいアリーレン基、R15は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表す。R16は酸性基を有する置換基を表す。Xは、アミノ基と共に環状構造を形成する連結基を表す。)
さらに本発明においては、前記一般式(4)におけるR16が下記部分構造(5)又は部分構造(6)を有する置換基であることが光電変換特性に優れた光電変換素子を得ることができるので好ましい。
Figure 2013185029
さらに、前記作用電極が、前記金属酸化物に、単位面積当たり、色素を1.0×10−5〜20×10−5mol/cmの範囲内で吸着させた作用電極であることが好ましい。これにより、さらに好ましい光電変換特性が得られる。
また、前記金属酸化物として、少なくとも酸化チタンを含有することがエネルギー変換効率の高い光電変換素子が得られるので好ましい。
また、本発明の光電流変換素子の製造方法として、少なくとも、導電性基板、金属酸化物に色素が吸着した作用電極、電解質、及び対向電極を積層した光電変換素子の製造方法であって、当該色素が、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であり、前記金属フタロシアニン錯体又はその塩が金属酸化物に吸着した作用電極を作製する工程と、前記作用電極と前記対向電極とを対向配置する工程と、前記作用電極と前記対向電極との間隙に電解質を配設する工程を有する態様の製造方法であることが、高いエネルギー変換効率が得られることから好ましい。
さらに、前記作用電極を作製する工程においては、前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に前記金属酸化物を浸漬して前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を前記金属酸化物に吸着させることにより、前記作用電極を作製する態様の製造方法であることが、高いエネルギー変換効率が得られることから好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明を行う。
(光電変換素子の構成)
図1は、本実施形態の光電変換素子11を示す模式断面図である。
光電変換素子11は、導電性基板12、上記式で表される色素を金属酸化物に吸着させた作用電極13、電解質14、及び、対向電極15を備え、導電性基板12と対向電極15とは、負荷16を介して配線されている。作用電極13と対向電極15とは、図示しないスペーサー及び封止部材によって封止されており、かくして区画形成された作用電極13と対向電極15との間の封止空間内に、電解質14が充填(封入)されている。そして、本実施形態の光電変換素子11は、外部から入射された光を作用電極13にて吸収することにより、導電性基板12と対向電極15との間で起電力が発生し、負荷16に給電する。
(光電変換素子の製造方法)
次に、本実施形態の光電変換素子11の製造方法の一例を示す。
まず、導電性基板12、例えばフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板を用意し、その導電性表面上に金属酸化物の前駆体物質をドクターブレード法等で塗布した後、必要に応じて加熱処理又は焼結処理する等して、導電性基板12上に金属酸化物(金属酸化物電極)を形成する。このようにして導電性基板12上に形成された金属酸化物電極を、上記式で表される色素を含有する色素含有溶液、例えば色素含有アルコール溶液に浸漬して、金属酸化物に色素を吸着(担持)させる。そして、色素が吸着した金属酸化物を、必要に応じて、アルコール洗浄処理や水洗処理、乾燥処理等することにより、金属酸化物に色素が吸着した色素担持金属酸化物を形成し、これにより、作用電極13(色素担持金属酸化物電極)を得る。次に、対極である対向電極15、例えばプラチナ(Pt)スパッタFTOガラス電極を用意し、この対向電極15と作用電極13とを所定距離離間して対向配置し、スペーサーや封止部材等を用いて周囲を封止し、かくして区画形成される封止空間内に電解質14、例えばレドックス電解質を充填(封入)する。
以下、さらに詳述する。
導電性基板12上に形成される金属酸化物電極は、金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層である。かかる金属酸化物電極の多孔質構造は、一般的に、金属酸化物の粒子の積み重なり、あるいは金属酸化物結晶の異方成長等により、形成することができることが知られている。
(金属酸化物)
金属酸化物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、TiO、ZnO、SnO、WO、Nb等が挙げられる。これらの中でも、金属酸化物は、TiOであることが好ましい。金属酸化物電極は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。
(作用電極の形成方法)
作用電極13(金属酸化物電極)の形成方法としては、例えば、金属酸化物の分散液(前駆体物質)を導電性基板12上に付与した後に焼結する方法や、金属酸化物のペースト(前駆体物質)を導電性基板12上に付与した後に150℃程度の低温加熱処理を行う方法等が知られている。金属酸化物の前駆体物質の導電性基板12上への付与方法は、特に限定されない。例えば、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等、公知の手法を適用可能である。また、金属塩を含有する電解液(前駆体物質)から導電性基板12上にカソード電析させる方法も知られている。
作用電極13(金属酸化物電極)の厚みは、特に限定されないが、0.05〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜10μmである。金属酸化物電極は、粒子径が10〜50nm程度の酸化チタン粒子が厚み3〜10μm程度に集積したものであることが好ましい。
(色素)
金属酸化物に吸着(担持)される色素(増感色素、増感剤)は、複数の2,6−ジフェニルフェノキシ基と少なくとも1つのカルボキシ基とを有する、両親媒性・非対称性の金属フタロシアニン錯体又はその塩であり、具体的には、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2013185029
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3はそれぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合又は置換基を有しても良い炭化水素基であり、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表し、mは1〜3の整数であり、Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかである。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
上記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体に導入された2,6−ジフェニルフェノキシ基は、従来技術で導入されているtert−ブチル基に比して、極めて嵩高い官能基であり、かかる金属フタロシアニン錯体に高度の立体障害を付与する。そのため、金属フタロシアニン錯体間におけるπ−πスタッキングをより一層効果的に阻害可能であり、これにより、会合体の形成、及び、金属酸化物電極の表面上における色素積層構造の形成が抑制される。また、2,6−ジフェニルフェノキシ基は、極めて嵩高い官能基であるとともに負電荷を有する酸素原子を含んでいるため、電解質に含まれ得るアニオン成分、例えばI の接近を、物理的及び静電気的に抑制することが可能となる。したがって、光電変換により発生した電子の金属酸化物電極への電子注入効率が高められる。
さらに、本発明においては、2,6位にフェニル基を有し、フェノキシ基にアルキル基、アルコキシ基などの電子供与性基が置換することにより、2,6−ジフェニルフェノキシ基の電子供与性が増大し、金属フタロシアニン錯体内の電荷の偏りがより強く誘起され、さらに金属酸化物電極への電子注入効率が高められることにより、例えば400〜520nm程度の光応答性が増大する効果が得られる。また、これらの置換基により、金属フタロシアニン錯体の三次元構造と非対称性が高められることにより、光応答性が増大し、エネルギー変換効率が増大するものと考えられる。
なお、2,6−ジフェニルフェノキシ基の置換位置は、フタロシアニン環の3つのベンゼン環に各々1個以上導入されている限り、特に限定されない。すなわち、2,6−ジフェニルフェノキシ基の置換位置は、フタロシアニン環のベンゼン環の2位、3位、4位、及び5位のいずれであってもよい。また、かかるベンゼン環の2位、3位、4位、及び5位のうちの2箇所のみ、3箇所のみ、又は、4箇所全てに、2,6−ジフェニルフェノキシ基が置換されていてもよい。
前記一般式(1)中、Zは、金属フタロシアニン環と酸性基とを結ぶ(m+1)価の連結基であり、より具体的には、単結合、又は、置換基を有してもよい炭化水素基である。炭化水素としては、飽和又は不飽和の鎖式炭化水素、及び、飽和又は不飽和の環式炭化水素があり、特に限定されないが、炭素数が1〜18の直鎖状、分岐鎖状、環状の脂肪族炭化水素(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、アルケニレン基、若しくはアルキニレン基)が好ましく、またこれらの脂肪族炭化水素は芳香族炭化水素、若しくは芳香族複素環基で置換されていることが好ましい。又は、炭素数が1〜18の芳香族炭化水素(例えば、フェニレン等のアリーレン)が好ましい。なお、Zが単結合の場合は、酸性基がフタロシアニン環に直接結合していることを意味する。また、Zの置換位置は、フタロシアニン環のベンゼン環の2位、3位、4位、5位のいずれであってもよく、特に限定されないが、3位又は4位が好ましい。また、酸性基としてはカルボキシ基が好ましい。
前記一般式(1)中のZで表される置換基を有してもよい炭化水素基は、置換基を有していてもよく、あるいは、置換基を有していなくてもよい。かかる置換基の具体例としては、特に限定されないが、例えば、−POHが挙げられる。なお、置換基を有してもよい炭化水素基は、置換基を介して結合をしていてもよい。
前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体に導入されたカルボキシ基は、金属酸化物(金属酸化物電極)の表面に吸着するためのアンカー基として機能する。また、3つの2,6−ジフェニルフェノキシ基及び1つのカルボキシ基の導入、すなわち非対称置換により、金属フタロシアニンがプッシュ−プル型分子構造となり、励起状態における電子移動の指向性が発現する等して、光電変換により発生した電子の金属酸化電極への電子注入効率が高められるとともに、金属酸化物(金属酸化物電極)の表面への吸着性が高められる。
前記一般式(1)中、mは1〜3の数であれば特に限定されない。mの増加にともない、かかる金属フタロシアニン錯体の金属酸化物(金属酸化物電極)の表面への吸着性が高められる傾向にある。
フタロシアニン環の骨格とアンカー基となるカルボキシ基と好ましい結合構造は、フタロシアニン環のベンゼン環の3位及び/又は4位に、p−フェニルカルボキシ基が直接結合している態様、すなわち、フタロシアニン環のベンゼン環の3位及び/又は4位に、p−フェニルカルボキシ基のフェニル基が単結合を介して結合している態様である。その結合構造部分が電子注入経路となり、励起した金属フタロシアニン錯体から金属酸化物(金属酸化物電極)の伝導帯への電子注入効率が高められる傾向にある。
(例示化合物)
次に本発明に係る一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体の一例を下記に示す。
Figure 2013185029
(色素の合成方法)
以下、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体の好ましい構造のひとつであるP3の合成工程を、下記反応式(1)〜(3)に示す。
Figure 2013185029
Figure 2013185029
Figure 2013185029
反応式(1)において、まず、4−メトキシフェノール(化合物1)をジクロロメタン/メタノール混合溶媒中で、テトラブチルアンモニウムトリブロマイドとを反応させて、2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノール(化合物2)を得る。
次いで、2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノールをアセチル化し、1−アセトキシ−2,6−ジブロモ−4−メトキシベンゼン(化合物3)を得る。
この1−アセトキシ−2,6−ジブロモ−4−メトキシベンゼン(化合物3)をPd(PPh触媒の存在下でフェニルボロン酸と反応させて、1−アセトキシ−2,6−ジゲニル−4−メトキシベンゼン(化合物4)を得る。
次いで、この1−アセトキシ−2,6−ジフェニル−4−メトキシベンゼン(化合物4)を脱アセチル化して、2,6−ジフェニル−4−メトキシフェノール(化合物5)を得る。
次に、反応式(2)において、この2,6−ジフェニル−4−メトキシフェノールと4,5−ジクロロフタロニトリル(化合物6)とをジメチルホルムアミド溶媒中、炭酸カリウム存在下で反応させて化合物7を得る。
次に、反応式(3)において、化合物8と化合物7と酢酸亜鉛とをジメチルアミノエタノール中で反応させて、溶媒とのエステル交換反応により、2−(ジメチルアミノ)エチルエステル中間体を合成し、次いで、アルカリ加水分解することにより、本発明の金属フタロシアニン錯体P3を得る。
金属酸化物(金属酸化物電極)へ金属フタロシアニン錯体(色素)を吸着させる際には、例えば、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に、共存する被吸着物質としてケノデオキシコール酸を混合することが好ましい。ケノデオキシコール酸の配合により、金属酸化物(金属酸化物電極)の表面上における金属フタロシアニン錯体の会合がより一層抑制され、得られる光電変換素子の光電変換特性が向上し得る。この場合、混合溶液中のケノデオキシコール酸の濃度は、特に限定されるものではないが、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体の会合傾向がある場合において、0〜60mMであることが好ましい。
金属酸化物(金属酸化物電極)の単位体積あたりの色素(金属フタロシアニン錯体)吸着量は、特に限定されないが、1.0×10−5〜20×10−5(mol/cm)であることが好ましい。本明細書において、かかる吸着量の測定は、以下のようにして行う。すなわち、太陽電池作製と同じ条件で色素を吸着させた、面積8mm×8mm、膜厚8μmの色素担持金属酸化物(例えば、色素が担持された酸化チタン)電極を、メタノール溶液とTHFとを1:1で混ぜた水酸化テトラブチルアンモニウム含有溶液中に浸漬して、色素を洗い落とす。洗い落とした色素の吸収強度を測定し、色素のモル吸光度係数からモル数を計算する。そして、色素のモル数を金属酸化物(この場合は酸化チタン)の体積で割り、体積あたりのモル数を求める。
なお、光電変換素子として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有する色素を併用してもよい。色素の具体例としては、例えば、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、オキソノール系色素、ポリメチン系色素、リボフラビン系色素、ローダニン色素、ピラゾロン色素、イミダゾロン色素、シアノアクリル酸色素、シアノホスホン酸色素等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
好ましくは、本発明の金属フタロシアニン錯体の光吸収強度が比較的弱い領域である、光波長450〜550nmの範囲内に光電子変換能を有し、より好ましくは色素以外の構成が金属フタロシアニンと同様のセルを作製した場合の520nmの光電流変換効率(IPCE)が30%以上である色素であり、特に好ましくは500〜530nmのIPCEが35%以上の色素である。
このような色素として前記色素群の中でも、好ましくは、アリールアミン系色素、メチン系色素、シアニン色素やメロシアニン色素が挙げられ、より好ましくは、一般式(4)で表される色素が挙げられる。
Figure 2013185029
一般式(4)中、R11、R12は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基、ヘテロ環を表す。R13は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロ環を表す。R14は置換基を有していてもよいアリーレン基、R15は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表す。R16は酸性基を有する置換基を表す。Xは、アミノ基と共に環状構造を形成する連結基を表す。
さらに好ましくは、上記色素が、シアノアクリル酸色素、シアノホスホン酸色素、イミダゾロン色素、ピラゾロン色素、ローダニン色素が好ましく、より好ましくは、シアノアクリル酸色素、ローダニン色素である。さらにそのような色素の中でも、アリールアミン骨格を有する色素は、耐久性にも優れていて好ましい。
好ましい構造としては、前記R16が下記部分構造(5)又は(6)が挙げられる。
Figure 2013185029
色素併用の方法は、複数種の色素を同時に吸着させても良く、個別に吸着させることを繰り返しても良い。
増感色素を溶解するのに用いる溶媒は、増感色素を溶解することができ、かつ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。しかしながら、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、増感色素の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、あらかじめ脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。増感色素の溶解において好ましく用いられる溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒などが上げられる。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン及び塩化メチレン、並びにこれらの混合溶媒、例えば、アセトニトリル/メタノール混合溶媒、アセトニトリル/エタノール混合溶媒、アセトニトリル/t−ブチルアルコール混合溶媒が好ましい。
電解質14としては、レドックス電解質溶液、これをゲル化した半固体電解質、あるいは擬固体電解質、p型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを特に制限なく用いることができる。色素増感型太陽電池の代表的な電解質溶液としては、例えば、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含むアセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等が挙げられる。電解質の濃度や各種添加剤等は、要求性能に応じて適宜設定及び選択することができる。添加剤の具体例としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等のp型導電性ポリマー;イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、トリアゾリウムイオン及びそれらの誘導体とハロゲンイオンとの組み合わせからなる溶融塩;ゲル化剤;オイルゲル化剤;分散剤;界面活性剤;安定化剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
なお、本実施形態の光電変換素子11は、図1に示す積層構造を繰返し単位として複数組み合わせたタンデム型に構成してもよい。また、1つの繰返し単位において、あるいは、複数の繰返し単位において、前記一般式(1)で示される金属フタロシアニン錯体とルテニウム系錯体とを組み合わせて使用してもよい。
上述した本実施形態の光電変換素子11は、400〜450nm及び600〜700nmの波長で強い吸収帯を有する前記一般式(1)で示される金属フタロシアニン錯体を用いているため、太陽光スペクトルの広範囲において光電エネルギー変換が可能となる。
以下、合成例及び実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1.化合物8の合成〕
まず、前記化合物8を下記文献(1)、(2)を参考にして合成した。
(1)J.J.Cid,M.Gracia−Iglesias,J.H.Yum、A.Forneli,J.Albero,E.Matinez−Ferrero,P.Vazquez,M.Gratzel,M.K.Nazeeruddin,E.Palomares,T.Torres,Chem.Eur.J.,2009,15,5130;
(2)S.Mori,M.Nagata,Y.Nakahata,K.Yasuta,R.Goto,M.Kimura,M.Taya,J.Am.Chem.Soc.,2010,132,4054
〔2.化合物7の合成〕
(1−アセトキシ−2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノール(化合物2)の合成)
4−メトキシフェノール(化合物1)1.5g(12.0mmol)をジクロロメタン50mlとメタノール20mlの混合溶媒に溶解した液にテトラブチルアンモニウムトリブロマイド12.2g(25.4mmol)を室温で加え、1時間攪拌しながら反応させた。
反応混合液を50mlの水に注ぎ、エーテル50mlで3回抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノール(化合物2)の白色固体を得た。
(1−アセトキシ−2,6−ジブロモ−4−メトキシベンゼン(化合物3)の合成)
得られた2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノール(化合物2)を無水酢酸30mlとピリジン5mlでアセチル化した。アセチル化体(化合物3)は、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ジクロロメタン)、1−アセトキシ−2,6−ジブロモ−4−メトキシベンゼン(化合物3)の白色固体3.4g(収率87%)を得た。
H NMR(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=7.10(2H,s,ArH),3.85(3H,s,−COO−CH),2.37(3H,s,−OCH
IR(ATR):υ=1770(−COOCH)cm−1
(1−アセトキシ−2,6−ジフェニル−4−メトキシベンゼン(化合物4)の合成)
上記で得られた1−アセトキシ−2,6−ジブロモ−4−メトキシベンゼン(化合物3)1.2g(3.7mmol)とPd(PPh86mg(74μmol)をAr雰囲気下でシュレンク管に入れた。フェニルボロン酸1.13g(9.3mmol)をTHF4mlと2.0Mの炭酸ナトリウム水溶液2mlに溶解した溶液をAr気流下で脱酸素し、これらの溶液と脱酸素したトルエン4mlを反応容器に加えた。混合溶液を48時間Ar雰囲気下で加熱還流した。反応溶液を水とエーテルの混合溶液に注ぎ、得られた粗結晶を活性アルミナのカラムクロマトグラフィーで精製し(展開溶媒:ジクロロメタン)、分取型HPLCを用いて1−アセトキシ−2,6−ジフェニル−4−メトキシベンゼン(化合物4)0.85g(収率72%)を得た。
H NMR(CDCl,400.13MHz)δ(ppm)=7.45−7.34(10H,m,ArH),6.92(2H,s,ArH),3.85(3H,s、−COO−CH),1.76(3H,s,−OCH)。
(化合物7の合成)
1−アセトキシ−2,6−ジフェニル−4−メトキシベンゼン(化合物4)を水酸化カリウム水溶液で脱アセチル化した後、得られた2,6−ジフェニル−4−メトキシフェノール(化合物5)0.58g(2.1mmol)と4,5−ジクロロフタロニトリル(化合物6)0.17g(0.84mmol)、炭酸カリウム1.16g(8.4mmol)を無水DMF5mlに添加し、窒素雰囲気下100℃で36時間攪拌した。反応混合液を50mlの水に注ぎ、水層をジクロロメタン50mlで3回抽出した。硫酸マグネシウムで溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルの精製し、分取型HPLCを用いて、化合物7を0.31g(収率54%)得た。
H NMR(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=7.40(8H,d、J=7.6Hz,ArH),7.16(4H,t,J=7.2Hz,ArH),7.04(8H,t,J=5.6Hz,ArH),6.94(4H,s,ArH),6.20(2H,s,ArH),3.90(6H,s,−OCH);
13CNMR(CDCl,100.61MHz):δ(ppm)=157.3,148.9,140.4,137.2,135.9,129.1,128.3,127.9,118.9,116.0,115.1,55.7
IR(ATR):υ=2231(−CN)cm−1
〔3.化合物9化合物10の合成〕
化合物9と化合物10は、2,6−ジブロモフェノールと2,6−ジブロモ−4−メチルフェノールから同じ方法で合成できる。
すなわち、化合物9は、化合物7の合成において、2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノールを2,6−ジブロモフェノールに替えて同様に行う。ここで、フェニルボロン酸を4−メトキシフェニルボロン酸に替えて行う。
化合物10は、化合物7の合成において、2,6−ジブロモ−4−メトキシフェノールを2,6−ジブロモ−4−メチルフェノールに替えて、同様に行うことにより合成できる。
化合物9:収率65%
H NMR(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=7.39−7.44(14H,m,ArH),6.59(8H,d,J=8.8Hz,ArH),6.22(2H,s,ArH),3.68(12H,s,−OCH);
13CNMR(CDCl,100.61MHz);δ(ppm)=159.3,148.3,146.5,134.7,130.6,130.4,129.5,126.8,118.7,115.2,113.8,107.3,55.3
IR(ATR):υ=2227(−CN)cm−1
化合物10:収率43%
H NMR(CDCl,400.13MHz)、:δ(ppm)=7.40(8H,d,J=7.2Hz,ArH),7.23(4H,s,ArH),7.13(4H,t,J=7.2Hz,ArH)7.03(8H,t,J=7.6Hz,ArH),6.20(2H,s,ArH),2.46(6H,s,−CH);
13CNMR(CDCl,100.61MHz):δ(ppm)=157.4,149.0,140.5,137.2,135.8,129.0,128.2,127.8,118.7,116.2,115.1,21.5
IR(ATR):υ=2231(−CN)cm−1
Figure 2013185029
〔4.P3の合成〕
200mg(296μmol)の化合物7と27mg(99μmol)の化合物8をZn(CHCOO)43mg(97μmol)とを4mlのDMAEに添加し、150℃で24時間攪拌した。混合物を冷却し、溶媒を除き、過剰のZnイオンを除くため、数回メタノールで洗浄した。
残渣を活性アルミナのカラムクロマトグラフィーで精製し、分取型HPLCで繰り返し精製し、2−(ジメチルアミノ)エチルエステルが置換したZnPcを得た。カラムクロマトグイラフィーの展開溶媒はジクロロメタンを使用した。
構造は、MALDI−TOFマススペクトルとNMRで確認した。収量は25mg、収率は10%であった。
MALDI−TOF Ms(dithranol):m/z 2414.4(M+H)
分子式C15711314Zn:m/z 2415(計算値)。
上記エステル置換ZnPc23mg(9.5μmol)をTHF4mlに溶解した溶液に3.0Mの水酸化ナトリウム水溶液0.26mlを加えた。混合物を70℃で24時間攪拌し、減圧下で溶媒を留去し、残渣を10mlも水に溶解した。この水溶液を1時間加熱還流し、得られた緑色の溶液を濾過し、酢酸で中和した。沈殿物を濾取し、減圧乾燥しP3を得た。収量16mg、収率は72%であった。
H NMR(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=13.5(br,1H,COOH),9.3(6H,br,Pc−H),7.5−7.9(49H,m,Pc−H and ArH),6.7−6.9(30H,m,Pc−H and ArH)、3.9(18H,s,−OCH
IR(ATR):υ=1680(−COOH)cm−1
MALDI−TOF Ms(dithranol):m/z 2343.4(M+H)
分子式C15310414Zn:m/z 2343.9(計算値)
〔5.P1、P2の合成〕
P3の合成において、化合物7を化合物9、化合物10に換えた他は同様にして、P1とP2を合成した。なお、P1は本発明外の色素である。
Figure 2013185029
P1:収率9%
H NMR(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=13.2(br,1H,COOH),9.2(6H,br,Pc−H),7.5−8.0(37H,m,Pc−H and ArH),6.80−6.87(36H,m,Pc−H and ArH),3.9(36H,s,−OCH
IR(ATR);υ=1716(−COOH)cm−1
IR(ATR);υ=1680(−COOH)cm−1
MALDI−TOF Ms(dithranol):m/z 2522.2(M+H)
分子式C15911620Zn:m/z 2524.1(計算値)。
P2:収率10%
H NMR(CDCl,400.13MHz):δ(ppm)=13.4(br,1H,COOH),9.3(6H,br,Pc−H),7.5−7.9(49H,m、Pc−H and ArH),6.8−7.0(30H,m,Pc−H and ArH),2.3(18H,s,−CH
IR(ATR):υ=1716(−COOH)cm−1
IR(ATR):υ=1680(−COOH)cm−1
MALDI−TOF Ms(dithranol):m/z 2244.8(M+H)
分子式C153104Zn:m/z 2247.9(計算値)
(実施例1)
ドクターブレード法により、透明導電性基板(SnO:F,薄さ1mmのガラス基質)上に、平均粒径15〜20nmと平均粒径400nmの2種のTiOナノ粒子を用いて、2層状(約7μmの透明層と約4μmの散乱層)のナノ多孔質TiO電極(金属酸化物電極)を形成した。この電極を空気中、550℃で30分、焼成した。また、高い変換効率を得るために、TiCl処理を加えた。得られたTiO電極の見かけ表面積は、0.25cm(0.5cm×0.5cm)であった。光拡散性を減少させるために、遮蔽マスク(0.16cm)を加えた。
次に、トルエン中に、色素P3を添加して、色素含有溶液(色素濃度0.05mM)を調製した。得られた色素含有溶液に室温で24時間、ナノ多孔質TiO電極を浸漬し、色素をナノ結晶性TiO膜へ吸着させた。ナノ結晶性TiO膜の表面に過剰に吸着した色素を完全に取り除くために、TiO電極をトルエンで洗浄して、実施例1の作用電極(色素担持金属酸化物電極)を作製した。この実施例1の作用電極のTiO電極表面上の亜鉛フタロシアニン錯体の吸着量を測定したところ、7.9×10−5mol/cmであった。これは、亜鉛フタロシアニン錯体がTiO電極表面上において高密度充填層で形成されていることを示唆する。
上記の作用電極と対向電極とを20μm離間して対向配置し、周囲をスペーサー及び封止部材を用いて封止してセルを作製し、作用電極と対向電極との間にレドックス電解質(0.1Mヨウ化リチウム、0.6Mヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、0.5M4−tert−ブチルピリジン、及び0.05M I 脱水アセトニトリル溶液)を封入して、図1に示す実施例1の本発明の光電変換素子(Sc−1)を製作した。なお、対向電極として、プラチナを厚み20nmでスパッタしたFTOガラス電極を用いた。
実施例1において平均粒径15〜20nmのTiOナノ粒子を用いて、単層状(約1μmの透明層)のナノ多孔質TiO電極(金属酸化物電極)を形成したこと以外は、実施例1と同様に操作して、作用電極(色素担持金属酸化物電極)を作製した。図2は、この作用電極のUV−Vis分光光度計の吸光度測定結果である。
(実施例2)
P3の代わりに、P2を用いた色素含有溶液を調製すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例2の本発明の光電変換素子(Sc−3)を製作した。
実施例2の作用電極のTiO電極表面上の亜鉛フタロシアニン錯体の吸着量を測定したところ、7×10−5mol/cmであった。
(実施例3)
実施例1において、色素P3をナノ結晶性TiO膜へ吸着させたナノ多孔質TiO電極を、その後、色素D131含有トルエン溶液(色素濃度0.05mM)に室温で2時間、ナノ多孔質TiO電極を浸漬し、色素D131をナノ結晶性TiO膜へ吸着させてナノ多孔質TiO電極を形成すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例4の本発明の光電変換素子(Sc−4)を製作した。
(実施例4)
実施例1において、色素P3をナノ結晶性TiO膜へ吸着させたナノ多孔質TiO電極を、その後、色素D102含有トルエン溶液(色素濃度0.05mM)に室温で2時間、ナノ多孔質TiO電極を浸漬し、色素D102をナノ結晶性TiO膜へ吸着させてナノ多孔質TiO電極を形成すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例3の本発明の光電変換素子(Sc−5)を製作した。
実施例3の色素P3をナノ結晶性TiO膜へ吸着させたナノ多孔質TiO電極に代えて、P3を吸着していないナノ結晶性TiO膜に直接色素D131を吸着させた以外は実施例3と同様にして作製したサンプルをSc−7、Sc−7のD131の代わりにD102を用いたものをSc−8として、IPCEを測定した。測定結果を図4に示した。
(比較例1)
色素P3の代わりに、下記のPcS6を用いて色素含有溶液を調製すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例1の光電変換素子(Sc−6)を製作した。
Figure 2013185029
(比較例2)
色素P3の代わりに、色素P1を用いて色素含有溶液を調製すること以外は、実施例1と同様に操作して、比較例2の光電変換素子(Sc−2)を製作した。
<光電変換特性>
実施例1〜4、比較例1、2の光電変換素子について、基準太陽光AM1.5(YSS−100、山下電装(株))下で、光起電力性能を測定した。光電変換特性としては、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、エネルギー変換効率(η)を測定した。測定結果を、表1に示す。
Figure 2013185029
Figure 2013185029
表1、図3から明らかなように、実施例1〜4の光電変換素子は、いずれも優れた光電変換特性を有することが確認された。また、1000W/m(1−sum)条件下において、エネルギー変換効率が4.8〜6.2%の光電変換素子を実現できることが確認された。とりわけ、実施例1のη値は、これまで報告されている金属フタロシアニン錯体を光集束色素として用いた光電変換素子の中で最も高い値であった。
これは、図3の光電流励起スペクトルより以下のように推定している。TiO膜に吸着した亜鉛フタロシアニン錯体の吸収スペクトルに追従し、Q帯の最大吸収でのIPCEは、72%にも達した。また、Q帯の増加だけでなく、ショルダーピーク及びソーレピーク帯の増加も確認された。これらのことから、2,6−ジフェニルフェノキシ基は、フタロシアニン環と同一面上ではなくねじれの位置関係にあり、その結果、亜鉛フタロシアニン錯体の分子間会合の形成を阻害しているものと考えられる。さらに2,6位にフェニル基を有し、フェノキシ基にアルキル基、アルコキシ基などの電子供与性基が置換することにより、電子供与性が増大し、金属フタロシアニン錯体内の電荷の偏りがより強く誘起され、さらに金属酸化物電極への電子注入効率が高められることにより、エネルギー変換効率が増大したものと考えられる。
逆に、比較例2のように、これ以外の部分にアルコキシ基のような同様な基がきても、従来よりもさらなる変換効率の向上は図れず、Rにアルキル基、アルコキシ基があることにより効率向上が図れることが明らかとなった。
また、色素を混合した、実施例3、4は混合した色素相互の阻害が無く、さらにエネルギー変換効率の向上が見られた。
以上、本発明の光電変換素子によれば、金属フタロシアニン錯体の分子構造の高度な三次元化により、金属酸化電極の表面上における金属フタロシアニン錯体の分子間相互作用を減少させ、また、電子移動の指向性を向上させることができ、これにより、エネルギー変換効率(η)を増加させることができる。さらに、少量の吸着量であっても、金属酸化電極表面への電解質のI の接近を阻害でき、しかも、同等の電子寿命を保つことができる。
以上説明したとおり、本発明の金属フタロシアニン錯体色素は、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し高い変換効率を有するのみならず、分子間相互作用が減少され、電子移動の指向性が向上されているので、ガスセンサ、健康モニタセンサ、有害物質検出センサ、光電変換素子等の光電変換素子等に用いられる色素、増感色素、増感剤あるいは吸光剤等として、広くかつ有効に利用可能である。
また、本発明の光電変換素子は、高い変換効率を有しており、これを備える各種機器、設備、システム等に広くかつ有効に利用可能である。とりわけ、色素増感型太陽電池等の太陽光を吸収する用途においては、赤外/近赤外スペクトル領域において強い吸収帯を有し高い変換効率を有するので、ルテニウム系錯体色素等と組み合わせることで太陽光の全スペクトルをエネルギー変換することが可能となり、殊に広くかつ有効に利用可能である。
11 光電変換素子
12 導電性基板
13 作用電極
14 電解質
15 対向電極
16 負荷

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする光電変換素子用色素。
    Figure 2013185029
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合、又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
    一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
  2. 導電性基板上に、少なくとも金属酸化物に色素を吸着させた作用電極、電解質、及び対向電極が具備された光電変換素子であって、当該色素が、下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であることを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2013185029
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合、又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
    一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
  3. 前記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体が、下記一般式(3)で表される構造を有する金属錯体であることを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子。
    Figure 2013185029
    (一般式(3)中、Zは前記一般式(1)記載のZを表し、Rは、前記一般式(2)で表される基を表す。)
  4. 前記一般式(3)におけるRは前記一般式(2)を表し、前記一般式(2)におけるRはメトキシ基又はメチル基を表し、R〜Rはいずれも水素原子を表すことを特徴とする請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記色素が、前記一般式(1)で表される色素と光波長500〜530nmの範囲内における光電流変換光率が35%以上である色素を含有することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 前記500〜530nmの範囲内における光電流変換効率が35%以上である色素が、下記一般式(4)で表される色素であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
    Figure 2013185029
    (一般式(4)中、R11、R12は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基、ヘテロ環を表す。R13は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロ環を表す。R14は置換基を有していてもよいアリーレン基、R15は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R16は酸性基を有する置換基を表す。Xは、アミノ基と共に環状構造を形成する連結基を表す。)
  7. 前記一般式(4)におけるR16が下記部分構造(5)又は部分構造(6)を有する置換基であることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の光電変換素子。
    Figure 2013185029
  8. 前記作用電極が、前記金属酸化物に、単位面積当たり、色素を1.0×10−5〜20×10−5mol/cmの範囲内で吸着させた作用電極であることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  9. 前記金属酸化物として、少なくとも酸化チタンを含有することを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  10. 少なくとも、導電性基板、金属酸化物に色素が吸着した作用電極、電解質、及び対向電極を積層した光電変換素子の製造方法であって、当該色素が、下記一般式(1)で表される金属フタロシアニン錯体又はその塩であり、
    前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を金属酸化物に吸着させて作用電極を作製する工程と、前記作用電極と前記対向電極とを対向配置する工程と、前記作用電極と前記対向電極との間隙に電解質を配設する工程を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
    Figure 2013185029
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、一般式(2)で表される基を表す。n1〜n3は、それぞれ1〜4の整数であり、各々が同一でも異なっていても良い。Zは単結合又は置換基を有しても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、若しくは脂肪族炭化水素基及びそれらの基を組み合わせた基から選ばれる部分構造を表す。脂肪族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、若しくは芳香族複素環基が置換しても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Xは、酸性基を表す。mは1〜3の整数を表す。Mは、亜鉛(Zn)、Al−R、マグネシウム(Mg)、R−Si−R10よりなる群から選択されるいずれかの原子又は基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭化水素基、アルコキシ基を表す。
    一般式(2)中、Rは、炭素原子数1個若しくは2個のアルコキシ基又は炭素原子数1個若しくは2個のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1個から6個のアルキル基又は炭素原子数1個から6個のアルコキシ基から選択されるいずれかの基を表す。)
  11. 前記作用電極を作製する工程においては、前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を含む溶液中に前記金属酸化物を浸漬して前記金属フタロシアニン錯体又はその塩を前記金属酸化物に吸着させることにより、前記作用電極を作製することを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子の製造方法。
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