JP5846579B2 - ポリメチン色素前駆体、その前駆体の骨格を含むスクアリリウム色素、それを用いた色素増感太陽電池、光電変換素子 - Google Patents

ポリメチン色素前駆体、その前駆体の骨格を含むスクアリリウム色素、それを用いた色素増感太陽電池、光電変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、シアノアクリレートで置換されたインドール構造を有するポリメチン色素前駆体、その前駆体の骨格を含むスクアリリウム色素、これら色素を用いる光電変換素子及び色素増感太陽電池に関する。
光電変換素子は、光センサー、太陽電池等の光発電装置に使用されている。色素によって増感された半導体微粒子を用いる光電変換素子が特許文献1等で知られている。
太陽電池としては、単結晶、多結晶あるいはアモルファスのシリコン半導体を用いた太陽電池が電卓などの電気製品や住宅用などに広く用いられている。しかしながら、このようなシリコン半導体を用いた太陽電池の製造には、プラズマCVDや高温結晶成長プロセスなどの高精度プロセスが用いられるため、多大のエネルギーを必要とすると共に、真空を必要とする高価な装置が必要なために製造コストが高くなっている。
そこで、低コストで製造可能な太陽電池として、例えば、酸化チタンのような酸化物半導体にルテニウム金属錯体のような光増感色素を吸着させた材料を用いた色素増感太陽電池が提案されている。色素増感太陽電池は具体的には、例えばインジウム添加酸化スズのような透明導電層を設けた透明ガラス板あるいは透明樹脂板のような透明絶縁材料の透明導電層側に、例えばルテニウム錯体からなる色素を表面に吸着した酸化チタンなどを半導体層として形成した負極と、正極となる白金などの金属層あるいは導電層を設けた透明ガラス板あるいは透明樹脂板のような透明絶縁材料との間に電解質の液を封入したものがある。色素増感太陽電池に光が照射されると、負極では光を吸収した色素の電子が励起し、励起した電子が半導体層に移動し、更に透明電極へと導かれ、正極では導電層からくる電子により電解質を還元する。還元された電解質は色素に電子を伝えることで酸化され、このサイクルで色素増感太陽電池が発電すると考えられている。
現在、色素増感太陽電池はシリコン太陽電池に比して照射光エネルギーに対する発電エネルギー効率が低く、その効率を上げることが実効的な色素増感太陽電池を製造する上での重要な課題となっている。色素増感太陽電池の効率は、それを構成する各要素の特性や、更にそれら要素の組み合わせによっても影響を受けると考えられており、さまざまな試みがなされている。中でも、光増感作用を持つ色素について、より高効率な増感色素の開発に注力されている。現在知られている高効率色素としてRu色素があるが、遷移金属であるRuは高価なため、安価で高効率の色素の開発に注力されている。また、これらの色素は可視光領域の光電変換効率は高いが、近赤外領域の光電変換効率が低く、近赤外領域近傍に吸収帯を有する色素の開発が望まれている。
この近赤外領域近傍に吸収帯を有する有機色素については、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2等でいくつかの化合物が知られている。また、近赤外領域近傍に吸収帯を有する有機色素と他の領域に吸収帯を有する有機色素を混合する色素増感太陽電池については、特許文献2、非特許文献3、非特許文献4等に開示されている。また、スクアリリウム色素についても、これらの文献で知られている。
特許第4148374号公報 特開2000−268892公報 特許第4000194号公報 特許第3616173号公報
Chemical Communication, 2007, p4680-4682 J.Am.Che.Soc., 2007, 129, p10320-10321 New J.Chem., 2005, 29, p773-776 Angew. Chem., 2008, 120, p8383-8387 J.Am.Che.Soc., 1998, 120, p6621-6622 J.Am.Che.Soc., 1999, 121, p10251-10263 Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 6619 ?6621
特許文献1は光電変換素子及び色素増感太陽電池を開示し、それに使用されるポリメチン色素を例示している。特許文献1において使用されるポリメチン色素は、一般式で表わされており、膨大な数の化合物が含まれるが、例示された化合物の中にカルボキシインドレニン構造とエチル基を有するスクアリリウム色素と、N-カルボキシエチル基を有するスクアリリウム色素がある。しかし、アンカー基としてシアノアクリレート基を付与した構造は開示されていない。
特許文献4はハロゲン化銀塩写真感光材料を開示し、それに使用されるポリメチン色素のを例示している。特許文献4において使用されるポリメチン色素は、一般式で表わされており、膨大な数の化合物が含まれるが、例示された化合物の中にアンカー基としてシアノアクリレート基を付与した構造は開示されていない。
非特許文献7は、シアノアクリレート基を有する色素を開示するが、スクアリリウム骨格に直接つながるインドレニン環上に有することを教えるものはない。
非特許文献1及び非特許文献2にはメチル基又はエチル基と、C8アルキル基を有し、一方がカルボキシインドレニン、他方がインドレニン骨格をもつスクアリリウム色素が例示されているが、変換効率が低い。
特許文献2、非特許文献3、4には短波長領域色素領域と長波長領域色素を混合する色素増感太陽電池が例示されているが、スクアリリウム色素については特許文献1とほぼ同様な開示をするにとどまる。非特許文献5、6には置換インドールの合成法が例示されているが、アンカー基としてシアノアクリレート基を付与した構造は開示されていない。
スクアリリウム色素は一般に可視光領域の中で、主に550nm以上にシャープな吸収をもつ化合物が多く、また色素が会合することで長波長側に吸収極大をもちやすく、光電変換素子用又は太陽電池用色素としては色素間のエネルギー移動が生じやすいと考えられる。N置換基が、低級アルキル基である場合、会合しやすく、色素間でエネルギー移動を起こし失活する恐れがある。また、アンカー基としてCOOHを芳香族環上に付与したカルボキシインドレニン骨格を有するスクアリリウム色素が提案されているが、カルボキシル基の電子吸引性が相応の特性があるものの、さらに電子吸引性が高く十分な電子注入ができる色素は知られていない。
シアノアクリレート基を有する色素増感太陽電池用色素は多くあるが、長波長に吸収を有するスクアリリウム色素に付与した色素は知られていない。また、このような色素を合成するための色素前駆体は知られていない。しかも、シアノアクリレートを有する色素で効率が高いものは知られていない。また、これら色素を用いた光電変換デバイス又は色素増感太陽電池は知られていない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、可視領域と近赤外領域における光電変換効率の向上可能な新規な色素を提供するための前駆体及びそれから得られる新規な色素、これを用いた色素増感太陽電池及び光電変換素子を提供することを目的とする。また、失活し難い近赤外領域に適したスクアリリウム色素を提供することを目的とする。更に、広範囲な領域において光電変換効率の向上可能な色素増感太陽電池及び光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)又は式(2)で表わされるインドリン化合物、又は両者の混合物である。式(1)で表わされるインドリン化合物と式(2)で表わされるインドレニン化合物の混合比(重量比)が、0:100〜100:0の範囲であることができる。
式中、R1は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C2〜C30のアルキルカルボキシル基、C1〜C30のハロゲン化アルキル基、C2〜C30のハロゲン化アルキルカルボキシル基、C1〜C30のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はAr-CnH2n-O-を表し、X1はC(CH32、O、N、S、又はSeを表し、Z-はハロゲン、BF4 -,CClO4 -、又はPF6 -を表し、環A1は隣接環と縮合する芳香環を表す。R1'は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、又はC5〜C12の芳香族基を表す。ここで、ArはC5〜C12の芳香族基を表わし、nは0〜12の整数を表わす。また、式(1)、式(2)において、共通の記号は同一であっても異なってもよく、独立に変化しうる。
また、本発明は、下記式(3)又は式(4)で表わされるスクアリリウム色素である。
式中、R1、X1、環A1、R1'は、式(1)又は(2)のそれらと同意である。R2はR1と同意であり、X2はX1と同意であるが、それぞれ独立に変化してもよい。R3,R4はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C30のアルキル基、C1〜C30のハロゲン化アルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はAr-CnH2n-O-を表す。Y2は水素原子、−CH=C(CN)COOR,−COOR、又は−PO3R(Rは水素原子又はC1〜C12のアルキル基である。但し、式(3)においてR1'が水素原子でない場合は、Rは水素原子である。)である。また、式(4)においては、R1'は水素原子である。環A2は非縮合芳香環、縮合芳香環、芳香族置換非縮合芳香環、又は芳香族置換縮合芳香環である。但し、式(3)及び式(4)は、少なくとも1つのカルボキシル基等の酸性基を有する。ここで、Ar、nは式(1)又は(2)のそれらと同意である。
本明細書において、共通の記号は特段の断りがない限り同じ意味を有する。しかし、記号の定義の範囲内であれば、共通の記号であっても、同一であっても異なってもよく、独立に変化しうる。したがって、式(3)、式(4)において、共通の記号は同じ意味を有するが、同一であっても異なってもよく、独立に変化しうる。
また、本発明は、下記式(5)又は(6)で表わされるスクアリリウム色素である。
(式中、R1、R2、Y2、X1、X2は、式(3)と同意である。R3、R4は、式(4)と同意である。)
また、本発明は、光電変換素子又は色素増感太陽電池用のスクアリリウム色素である上記のスクアリリウム色素である。更に、本発明は、ポリメチン色素を用いる色素増感太陽電池又は光電変換素子において、ポリメチン色素が上記のスクアリリウム色素であることを特徴とする色素増感太陽電池又は光電変換素子である。
本発明のシアノアクリレート基を有するインドレニン化合物は、シアノアクリレート基が加水分解してシアノアクリル酸基となる場合アンカー基として機能すること、及びポリメチン色素の合成原料となることからポリメチン系色素の前駆体又は原料としてスクアリリウム色素、シアニン色素、メロシアニン色素、クロコン酸系色素を合成でき汎用性及び利用性の高い色素前駆体である。また、シアノアクリレート基が強い電子吸引性基であることから、本前駆体を用いた色素を光電変換用色素及び色素増感太陽電池用色素として利用する際、電子が励起した場合に、アンカー基であるシアノアクリレート基のカルボン酸上のLUMOに電子が局在化しやすくなり、また、インドレニンにチオフェン等の芳香族置換基がある場合、この置換基にシアノアクリレート基を設けるよりも、シアノアクリレート基をインドレニン環に直接結合するインドレニン化合物はシアノアクリレート基又はシアノアクリル酸基のカルボン酸上のLUMOに電子が局在化しやすく良好な電子注入が期待できる。
本発明のインドレニン化合物又はインドリン化合物の混合物から容易にポリメチン色素、スクアリリウム色素、シアニン色素、クロコニウム色素、メロシアニン色素を合成することができる。
本発明のポリメチン色素、又はスクアリリウム色素を使用した光電変換素子又はこれから構成した色素増感太陽電池は、近赤外光領域における光電変換効率が高い。また、式(3)で表されるスクアリリウム色素を用いることにより、400nmから500nmと550nmから800nmまでの2つの吸収極大を有する場合があり、吸収ピークの幅が広くなり効率的に光を吸収することができ、光電変換効率がより向上する。また、本発明のスクアリリウム色素は光電変換効率が高い光電変換素子又はこれから構成した色素増感太陽電池を与える。
色素増感太陽電池の一例を示す断面図である。 本発明の色素前駆体であるインドリン化合物のNMRスペクトルである。 本発明の色素前駆体であるインドリン化合物のMSスペクトルである。 本発明のスクアリリウム色素D‐1のNMRスペクトルである。 本発明のスクアリリウム色素D‐1のMSスペクトルである。 波長と外部量子収率の関係を示すグラフであり、色素の分光感度特性を示す。
本発明の光電変換素子又は色素増感太陽電池は、式(3)又は式(4)で表されるポリメチン色素の1種であるスクアリリウム色素を含む。なお、色素増感太陽電池は光電変換素子を利用するものであるため、両者の説明の多くが共通するので、共通する説明は色素増感太陽電池で代表して説明する。
本発明のスクアリリウム色素は、本発明の式(1)又は式(2)で表わされるポリメチン色素前駆体から有利に合成することができる。このポリメチン色素前駆体は、式(1)又は式(2)で表わされる化合物単独であってもよく、これらの化合物の混合物であってもよい。式(1)又は式(2)で表わされる化合物は、0:100〜100:0の範囲で混合し得る。
式(1)又は式(2)において、R1は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C2〜C30のアルキルカルボキシル基、C1〜C30のハロゲン化アルキル基、C1〜C30のハロゲン化アルキルカルボキシル基、C1〜C30のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はAr-CnH2n-O-(芳香族アルコキシル基)を表す。ここで、ArはC5〜C12の芳香族基を表わし、nは0〜12の整数を表わす。好ましくは、C4〜C30のアルキル基、C4〜C30のアルキルカルボキシル基、C4〜C30のハロゲン化アルキル基、C4〜C30のハロゲン化アルキルカルボキシル基、C4〜C30のスルホアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C4〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はArがC5〜C12の芳香族基で、nが1〜6の芳香族アルコキシル基である。より好ましくはC6〜C18のアルキル基、C6〜C18のハロゲン化アルキル基である。
ここで、芳香族基は、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基のいずれでもよい。また、アルキル基としてはn-アルキル基が好ましい。
なお、式(2)においては、R1はC3〜C30の分岐又は直鎖のアルキル基、C3〜C30のフッ化アルキル基であることがより好ましい。
正確な理由は定かではないが、R1又はR2がC4〜C30の長鎖のアルキル基であると、スクアリリウム色素の会合を防いで、色素間のエネルギー移動に起因する電荷分離損失を低減すると考えられる。
式(1)又は式(2)において、X1はC(CH32、O、N、S、又はSeを表すが、好ましくは、C(CH32である。X1がC(CH32であり、環A1がベンゼン環である場合は、インドール環となる。
式(2)において、Z-はハロゲン、BF4 -,CClO4 -、又はPF6 -を表す。これは、含窒素環中のN+と対応するアニオンとなる。式(1)と式(2)の相違点は、アミンと4級アミン塩との関係に類似するものであり、相互に変換可能である。そのため、式(1)と式(2)の化合物は任意の割合の混合物であってもよく、同様にポリメチン色素前駆体として使用可能である。
式(1)又は式(2)において、環A1は隣接環と縮合する芳香環を表す。この芳香環はベンゼン環のような単環であっても、ナフタレン環、アントラセン環のような縮合環であってもよいが、ベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましい。また、この芳香環は本発明の効果を阻害しない範囲であれば置換基を有することもできるが、置換基を有しないか、有する場合はC6以下のアルキル基であることが好ましい。
式(1)又は式(2)において、R1'は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、又はC5〜C12の芳香族基を表す。好ましくは、R1'は水素原子、C1〜C12のアルキル基、C4〜C10のシクロアルキル基、又はC5〜C12の芳香族炭化水素基である。
式(1)、式(2)において、共通する記号は同一の意味を有するが、上記した範囲内であれば、同一であっても、異なってもよく、それぞれ独立に変化し得る。
本発明のスクアリリウム色素は、式(3)又は式(4)で表わされる。好ましいスクアリリウム色素として、式(5)又は式(6)で表わされるものが挙げられる。
式(3)、式(5)、式(6)において、R2は式(1)又は式(2)において説明したR1と同じ意味を有するが、R1とR2は同じであっても、異なってもよく、独立に変化し得る。
式(4)、式(6)において、R3、R4は独立に、水素原子、C1〜C30のアルキル基、C1〜C30のハロゲン化アルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はAr-CnH2n-O-を表す。好ましくは、水素原子、C1〜C6のアルキル基、C6〜C8の芳香族炭化水素基である。
式(3)、式(5)において、Y2は水素、−CH=CCNCOOR、−COOR、−PO3R(Rは水素又はC1〜C12のアルキル基である)を表す。式(3)、式(4)においては、アンカー効果を十分に向上させるため、分子中に少なくとも1個のカルボキシ基等の酸性基を有する必要がある。そのため、他に酸性基を有しない場合は、上記Rは水素原子である。R1’が水素原子である場合や、置換基として酸性基を有する場合は、上記Rは水素原子であっても、他の置換基であってもよい。酸性基としては、COOH基やPO3H、SO3H基等が挙げられるが、好ましくはCOOH基である。
式(3)、式(4)において、R1'は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、又はC5〜C12の芳香族基を表す。好ましくは、水素原子、C1〜C6のアルキル基、又はC4〜C8のシクロアルキル基である。上記したように、酸性基、好ましくはCOOH基が他に存在しない場合は、R1'は水素原子である。
式(3)、式(4)において、X1は式(1)又は(2)と同意であり、X2はX1と同意であるが、それぞれ独立に変化し得る。
式(3)、式(4)において、環A1は式(1)又は(2)と同意である。環A2は非縮合の芳香環、縮合芳香環、芳香族置換芳香環、又は芳香族置換縮合芳香環を表す。好ましくは、式(3)においては、環A2は環A1と同じ環であることがよく、式(4)においては、縮合芳香環であることがよい。具体的には、式(4)においては、R3、R4がフェニル基でジフェニルアミンで置換されたベンゼン、ナフタレン、アントラセンのような非縮合の芳香環や縮合芳香環がある。また、R3、R4がアルキル基でジアルキルアミンで置換されたベンゼン、ナフタレン、アントラセンのような非縮合の芳香環や縮合芳香環がある。
インドレニンの合成法はBioconjugate Chem.2003,Vol.14,1048-1051にが記載されているので、それに従い合成することができる。
N-アルキルインドレニン塩はDyes and Pigments, 11, 1989, p21-35を参考に合成することができる。アルキル基の炭素数を変化させたハロゲン化アルキルを使用することにより、炭素数の異なるN-アルキルインドレニン塩を合成することができる。
スクアリリウム色素は、N-アルキルシアノアクリル酸置換インドレニンとセミスクアリン酸を用い、Dyes And Pigments, 11, 1989, p21-35を参考にして合成することができる。
本発明のスクアリリウム色素の合成は、シアノインドレニンのアルキルハライド塩をアルデヒドを経由させ、シアノ酢酸と反応させ、シアノアクリレート置換されたアルキル化インドレニンを合成する。次に、このアルキル化インドレニンとセミスクアリン酸と反応させて合成することができる。以下に化学式(30)で表わされるスクアリリウム色素の合成の例を代表として、その反応式を示す。反応式中、化合物を示す化学式の下に付された番号を化合物番号とし、化学式(21)の化合物を化合物21、化学式(30)の化合物を化合物30のようにいう。
上記反応式において、化合物24と26を得る反応は、色素中のインドレニン骨格のため、逆の順序で反応させてもよい。
ここで、化合物24は式(1)に含まれる化合物である。
化合物24のアンモニウムハライド塩化合物24-3は、式(2)に含まれる化合物であり、例えば、化合物24-2とブチルアイオダイドを反応させることによりと化合物24-3を得ることができる。
上記化合物30は、本発明のスクアリリウム色素であり、これは比較的低波長側に吸収領域を有するので、短波長領域における光電変換素子又は色素増感太陽電池用色素として優れる。
色素増感太陽電池は使用する光源によって、増感色素の吸収波長域を選ぶことができる。
目的とする光源の波長域に合わせるように骨格を選ぶことができる。こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当なアンカー基(interlocking group)を有していることが好ましい。
好ましいアンカー基としては、―CH=CNCOOH基、COOH基、SO3H基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、-OH基又はオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレート及びα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。これらの中でもシアノアクリル酸基(-CH=C(CN)-COOH)が好ましく、本発明の上記式(3)、(4)、(5)、(6)で表されるスクアリリウム色素はシアノアクリル酸基を少なくとも1つ有することが望ましい。
また、シアノアクリル酸基とともにポリメチン色素、スクアリリウム色素のもう一方のインドレニン環、芳香環上にもアンカー基を有するとアンカー基が増えてより好ましい。
本発明の色素を用いた光電変換素子又は色素増感太陽電池の基本構成の一例を図1により説明する。図1は光電変換素子の一例を示す断面図であり、基板1上に、導電層2と、一つ以上の層で構成された半導体層に増感用の色素が吸着された表面電極10と、基板4上に導電層5が設けられた対向電極11を有し、両電極間に電解質6を配した構成となっている。色素吸着半導体層3は、電極の一部を構成するため半導体電極ともいう。色素吸着半導体層3はチタニアあるいは金属酸化物微粒子を用い1つの層として塗工・焼結されたもの、又は複数回の塗工・焼結により形成された層であり、色素が吸着された半導体層であり、酸化チタン粒子等の金属酸化物粒子とこの粒子の表面を覆うように存在する増感色素からなっている。なお、光は表面電極10側から入る。そして、本発明の色素増感太陽電池は、上記と同様な基本構成を有するが外部回路で仕事をさせるようにしたものである。そして、色素光電変換素子を色素増感太陽電池とする方法は上記特許文献1〜2等で公知であり、これら公知の方法でよい。
基板1としては、透明な絶縁材料であれば特に限定されるものではなく、例えば通常のガラス板やプラスチック板などが挙げられ、更には屈曲性のあるものでも良く、例えばPET樹脂などが挙げられるが、好ましくは約500℃を上限にした酸化チタンを焼付ける工程に耐え得る耐熱材料であることであり、透明なガラス板が挙げられる。
次に、この基板1の表面に基材の透明性を損なわないような導電層2を設けるが、導電層としてはいわゆる透明電極として知られているITO、FTO、ATOあるいはこれらを組み合わせたものでよく、更には透明性を損なわない厚みの金属層であってもよい。これらの導電層を設ける方法は特に限定されるものではなく、スパッタリング、蒸着(CVD及びPVDを含む)、スプレー、レーザアブレーションあるいはペースト化した各材料を用いるスピンコート、バーコート、スクリーン印刷の手法など既知の手法を用いることができる。中でも、スプレー法又は気相で行われるスパッタリング又は蒸着法が適する。
この上に、色素吸着半導体層3を設ける。通常は半導体として金属酸化物の層を形成したのち、これに増感色素を吸着させる。金属酸化物としては、光電変換材料と知られているものが使用でき、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズ等を挙げることができる、中でも酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等の酸化チタンの他、水酸化チタン、含水酸化チタン類であってもよい。また、Nb、V又はTaの各元素の少なくとも1つを酸化チタンに対して30ppm〜5%の重量濃度(金属元素として)になるようドーピングしてもよい。このような金属酸化物であれば、本発明に用いることが可能であるが、平均粒子径が5〜500nm、好ましくは10〜200 nmの範囲の微粒子であることがよい。
金属酸化物の層を前記透明電極2上に形成するが、その方法については、特に限定されるものではなく、例えばペースト化した金属酸化物をスピンコート、印刷、スプレーコートなどの各手法を用いても良い。また、製膜後に酸化チタン等の金属酸化物の焼結などを目的に焼成することも可能である。次に、金属酸化物に増感用の色素を吸着させて色素吸着金属酸化物として、色素吸着半導体層3とする。
本発明では増感色素に特徴があり、その他の層又は材料は公知の構造又は材料とすることができ、図1に示す構造のものに限らない。
色素吸着半導体層3を構成する材料は、半導体と色素であるが、通常、半導体は金属酸化物、好ましくは酸化チタンであるので、半導体を金属酸化物又は酸化チタンで代表することがある。また、色素増感用の色素としては、上記の本発明のスクアリリウム色素が単独で又は必要により他の色素と共に使用される。好ましくは、上記化学式(30)で表わされる化合物30のスクアリリウム色素である。このスクアリリウム色素はシアノアクリル酸基を有するため、アンカー基上の光励起した際の電子密度高め電子注入を良好に行い、良好な光電変換素子及び色素増感太陽電池を与える。
色素はこれを溶解する溶媒に溶解してチタニア半導体層に吸着させる。吸着溶媒は色素が可能である溶媒であれば、使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ノルマルブタノール等の脂肪族アルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、ラクトン類、カプロラクタム類を使用することができる。好ましくはメタノール、エタノール又はアセトニトリルである。
色素溶液にデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸(DCA)等の共吸着剤を溶解した色素溶液を用い、吸着してもよい。
色素は超臨界流体、加圧流体に溶解して吸着させてもよい。具体的には、炭酸ガスや炭酸ガスにエントレーナーを加えた溶液により吸着させることが好ましい。
色素の吸着した金属酸化物には、更にCO2超臨界流体中でカルボン酸を吸着させてもよい。カルボン酸を吸着させる効果は、非特許文献J. Photochem. and Photobio. A, Chem. 164 (2004) 117により公知である。しかしながら、色素吸着やリンス処理と同様に、酸化チタンなどの金属酸化物の微細孔内部まで有効に吸着させることが重要である。色素の吸着した金属酸化物(色素の吸着した金属酸化物層を有する基板であってもよい)とカルボン酸を、圧力範囲5〜30Mpaであり、温度範囲が40〜60℃で形成されるCO2超臨界流体中又は加圧CO2中に置くことで、有効にカルボン酸を吸着できる。カルボン酸としては、好ましくはシアノアクリル酸、安息香酸、酢酸、アニス酸、ニコチン酸を挙げることができる。これらカルボン酸は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのうちの少なくともいずれか1種類を含むアルコールに溶解した状態で使用することが好ましく、そのカルボン酸濃度が0.01〜10mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記のように基板1、透明導電膜2及び色素吸着半導体層3からなる表面電極10は負極として作用する。もう一方の正極として作用する電極(対向電極)11は図1に示すように、表面電極10と対向して配置する。正極となる電極は、導電性の金属などでよく、また、例えば通常のガラス板やプラスチック板などの基板4に金属膜や炭素膜等の導電膜5を施したものでもよい。
負極となる表面電極10と、正極となる対向電極11の間には、電解質層を設ける。この電解質層の種類は、光励起され半導体への電子注入を果した後の色素を還元するための酸化還元種を含んでいれば特に限定されず、液状の電解質であってもよく、これに公知のゲル化剤(高分子又は低分子のゲル化剤)やイオン液体と金属酸化物を混練した擬固体を添加して得られるゲル状の電解質であってもよい。
例えば、溶液電解質に用いる電解質の例としては、ヨウ素とヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、臭素と臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わせ、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール、アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン、キノン等が挙げられる。電解質は混合して用いてもよい。
また、電解質としては、高沸点を有する溶融塩電解質が好ましい。半導体電極が色素吸着酸化チタン層からなる場合は、溶融塩電解質と組み合わせることにより、特に優れた電池特性を発揮する。溶融塩電解質組成物は溶融塩を含む。溶融塩電解質組成物は常温で液体であるのが好ましい。主成分である溶融塩は室温において液状であるか又は低融点の電解質であり、その一般的な例としては「電気化学」、1997年、第65巻、第11号、p.923 等に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等が挙げられる。溶融塩は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、LiI、NaI、KI、LiBF4、CF3COOLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併用することもできる。通常、溶融塩電解質組成物はヨウ素を含有する。溶融塩電解質組成物の揮発性は低いことが好ましく、溶媒を含まないことが好ましい。溶融塩電解質組成物はゲル化して使用してもよい。
電解液に溶媒を使用する場合は、粘度が低く高イオン移動度を示し、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、ラクトン、ラクタム、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロトン極性物質、水等が挙げられる。これらの溶媒は混合して用いることもできる。
電解質層を設ける方法は特に限定されるものではなく、例えば両電極の間にフィルム状のスペーサ7を配置して隙間を形成し、その隙間に電解質を注入する方法でも良く、また、負極内面に電解質を塗布などした後に正極を適当な間隔をおいて積載する方法でも良い。電解質が流出しないよう、両極とその周囲を封止することが望ましいが、封止の方法や封止材の材質については特に限定するものではない
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明について更に詳細に説明する。なお、合成例1-1、1-2は実施例、合成例2、3は比較例であると理解される。
合成例1-1
上記した化合物30を得る反応式に従い、スクアリリウム色素D-1を合成する。
5−シアノ−2,3,3−トリメチル−3H−インドール(17.4mmol)(化合物21)にヨードブタン(88mmol)を加え18時間アセトニトリル中で還流させ、ジエチルエーテルに加えて固体化させ、5.5gの5−シアノ−N−ブチルインドレニンヨージド(化合物22‐1)を得た。
次にN−ブチルインドレニンヨージド(13.5mmol)に2Nの水酸化ナトリウム20mlを加え、化合物22‐2を合成した。
この化合物22‐2 13mmolをジクロロメタン(DCM)30mlに溶解し0℃に冷却して、15.6mmolの水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)をゆっくりと加えた。窒素雰囲気下で10時間攪拌した後、2mlの希塩酸を加え30分間還流させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で洗浄した後Na2SO4で乾燥させ、2.8 g (11.5 mmol, 88%)の5−ホルミル−1−ブチル−3,3−ジメチル−2−メチレンインドール(化合物23)を収率88%で得た。これを30mlのアセトニトリルに溶解し、次にシアノ酢酸ターシャリ−ブチルエステル(3.4 mL、23 mmol)とピペリジン17.3 mmolをアセトニトリル中で8時間還流させ、粗製物のシアノアクリレートエステル置換N−ブチルインドレニンをシリカゲルカラムで精製し、シアノアクリレートエステル置換N−ブチルインドレニン(化合物24)3.5 g (収率83%、純度92%、HPLC)を得た。この化合物24のNMRスペクトルを図2に、MSスペクトルを図3に示す。なお、この化合物は不安定なため、図2では部分的分解物の存在が認められた。
合成例1-2
上記化合物24(500 mg、1.4 mmol)を40mlのn−ブタノール:トルエン=1;1の溶媒に溶かし、セミスクアリリウム(化合物28−2)(400 mg、1.4 mmol)を反応させ、ディーンシュターク管をつけて脱水しながら反応させ、溶媒除去の後クロロフォルムとメタノールの混合溶媒でカラムクロマトで精製し、スクアリリウムのシアノアクリレートエステル体(化合物29)を純度98%で、600 mgを得た。
得られたエステル体500 mg (0.8 mmol)にテトラフルオロ酢酸を3 mLに溶解し反応させた後、留去しカラム精製し、シアノアクリル酸置換されたスクアリリウム色素(化合物30)を450 mg、純度98% で得た。この化合物30をスクアリリウム色素D‐1とする。
スクアリリウム色素D‐1の1H-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)、MSスペクトルを、それぞれ図4、図5に示す。
合成例2
比較例に使用するスクアリリウム色素は以下の反応式にしたがって合成した。
Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 6619 ?6621記載の方法で、5−ブロモー2,3,3−トリメチルー3H−インドール(化合物31)22mmolと1−ヨードブタン44mmolをアセトニトリル30ml中で3日間還流し、室温に戻した後ジエチルエーテルを加えた。溶液を−10℃で1時間冷却し、沈殿した固形物をろ過して回収した。ろ物をジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥してN−ブチルー5−ブロモー2,3,3−トリメチル−3H−インドレニウムアイオダイド(化合物32)18mmolを得た。
この化合物32 9mmolとセミスクアリリウム(化合物28−2)9mmolを乾燥した2口の丸底フラスコに入れ、乾燥したN2ガス下で乾燥トルエン:n−ブタノール=24ml:12mlの混合溶媒に加え20時間還流させた。反応中生成する水分はディーンシュタークトラップで除去した。溶媒除去後、シリカゲルカラムでクロロホルムと酢酸エチルの混合溶媒を10:1から5:1に混合比を変化させながら精製し2.3gの色素(化合物33)を得た。
化合物33の色素100mgと5−ホルミルチオフェン−2−イルボロン酸70mg、PdCl2(dppf)、塩化メチレン、炭酸カリウム100mgを加え、乾燥したマイクロウエーブ管にいれ、窒素ガスで置換し、トルエン2mlとメタノール2mlを加えキャップした。マイクロウエーブ反応装置で、60W、70℃、15分で反応させ、ゲルろ過カラムで精製し、化合物34を70mg得た。
化合物34を60mgとシアノ酢酸16mgを窒素置換で乾燥したフラスコに入れ、無水アセトニトリル10mlに溶解しピペリジン10mlを加えた後、4時間還流させた。その後、溶媒を除去した。ゲルろ過カラムで精製し、ジクロロメタンに溶解させ、酢酸と水で洗浄した。有機層はNa2SO4で乾燥させ、40mgの色素(化合物35)を得た。この化合物35をスクアリリウム色素D‐2とする。
合成例3
比較例に使用するスクアリリウム色素D‐3は以下の反応式にしたがって合成した。
J.Am.Che.Soc., 2007, 129, p10320-10321 Et-C4SQに記載の方法で、N-n-アルキルカルボキシインドレニンの合成は、2,3,3‐トリメチル-5-カルボキシ-インドール(化合物36)0.1molと1-ヨウ化ブタン0.11molを20mlのエタノールに溶かし、還流しながら7時間反応させた。固形分をろ過し、1-n-ブチル-2,3,3-トリメチル-64-カルボキシ-インドレニウムアイオダイド(化合物37)を50%の収率で得た。
一方で、2,3,3‐トリメチル-インドール(化合物25)0.1molと1-ヨウ化エタン0.11molを20mlのエタノールに溶かし、還流しながら7時間反応させた。固形分をろ過し、1-n-エチル-2,3,3-トリメチル-インドレニウムアイオダイド(化合物26)を50%の収率で得た。
化合物26 0.04molと3,4-ジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(化合物27−2)0.04molと2mlのトリエチルアミンを10mlのエタノールに溶解し、1時間還流した。溶媒を留去した後、粗製物をカラム精製し0,028molのセミスクアリン酸エステル体の化合物28-1を70%収率で得た。
化合物28−1は加水分解を行うとセミスクアリリウム色素化合物28−2が得られる。加水分解は、エタノールに溶かした化合物28−1に20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、加熱還流を1時間程度行う。反応終了後は、エバポレータでエタノールを除去し、水を加えて水溶液としたところに、2N塩酸を少量ずつ加え、PH試験紙で途中チェックしながら、中性から酸性に傾いたところで滴下をやめる。カルボン酸ナトリウム塩であったのが中和されてカルボン酸となって沈殿して化合物28−2が得られた。
化合物28−2 0.04molと化合物37 0.04molをn−ブタノール:トルエン=1:1の混合溶媒中で反応させ、溶媒を留去した後、粗製物をカラム精製し0,028molの化合物38を70%収率で得た。
化合物38を加水分解するため、ナスフラスコに化合物38を(800mg,1.7mmol)とエタノール20ml、40%NaOH水溶液2.0mlを加え、1時間還流させた。その後、エパポレーターで溶媒を蒸発させ、20%HCl水溶液1.5mlを加えた。その残渣をカラムクロマトで精製し、化合物39を250mg 32%の収率で得た。この化合物39をスクアリリウム色素D‐3とする。
実施例1
30mm×25mm×3mmの透明導電膜付ガラス基板として日本板ガラス製のFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜付ガラス基板(商品名:Low‐Eガラス)を使用した。
次に、導電性膜付き基板の導電性膜上に、酸化チタン膜を形成した。酸化チタンは、市販の酸化チタンペースト(ソラロニクス社製Dペースト)を使用した。これを、導電性膜付き基板の導電性膜上に、スキージ印刷の手法で5mm×5mmの範囲に塗工し、乾燥後450℃で焼成して厚み15μmの酸化チタン層を形成した積層板を得た。
色素としてD-1を使用した。これを3×10-4mol/L 、DCAを3×10-3mol/Lとなるようにエタノールに溶解させた。色素の吸着は、溶媒に溶かし溶液を作成し、容器に色素溶液を入れ、更に上記酸化チタン層を形成した積層板を配置し、容器から色素の吸着した積層板を取り出した。
この積層板の酸化チタンの膜を形成した5mm×5mmの外周4辺に厚み50μmのアイオノマー樹脂からなるシート状の熱可塑性接着剤(三井デュポンポリケミカル社商品名;ハイミランシート)を、電解液が注入できるよう、外周部の2箇所に約1mm程度の隙間を設けるようにして貼り付けた。この熱可塑性接着剤は、封止材であると同時に、両極間のスペーサの役割を果たす。次に、正極となる厚み10nmの白金膜をスパッタリングの手法で形成したガラス基板を、白金側が酸化チタン側と対向するように前記熱可塑性接着剤フィルムを介して貼り合わせた。この熱可塑性接着剤フィルムの隙間から、0.5MのLiI、0.5Mのt-ブチルピリジンと、0.05Mのヨウ素を主成分として含むアセトニトリル溶液を毛細管現象を利用して基材と正極の間に満たした。電解質を満たした後、直ちに前記隙間をエポキシ樹脂接着剤で封止して、光電変換素子を得た。
比較例1〜2
色素D-1に代えて色素D-2、D-3を使用した他は、実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
実施例及び比較例で作成した光電変換素子を色素増感太陽電池として、その電池特性は、ソーラーシミュレータを用いAM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光を用い、I-Vカーブトレーサーを用いて特性評価した。変換効率(%)、短絡電流(Jsc: mA/cm2)、開放電圧(Voc: V), フィルファクター(ff:形状係数)の各特性を測定した結果を表1に示す。
また、図6に波長を横軸とし、外部量子収率(Incident Photone to Current Efficiency)を縦軸にした各色素の分光感度特性を示す。図6から実施例1の色素は400nmから500nm550nmから750nmの外部量子収率が比較例1、2の色素はに比べて高いことが分かる。
1:基板、2:透明導電膜、3:色素吸着金属酸化物層、4:基板、5:導電膜、6:電解液、7:スペーサ、10:表面電極、11:対向電極

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表わされるインドリン化合物、式(2)で表わされるインドレニン化合物又はそれらの混合物であって、式(1)で表わされるインドリン化合物と式(2)で表わされるインドレニン化合物の混合比(重量比)が、0:100〜100:0の範囲であることを特徴とするポリメチン色素前駆体。
    (式中、R1は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C1〜C30のハロゲン化アルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はAr-Cn2n-O-を表し、X1はC(CH32、O、N、又はSを表し、Z-はハロゲン、BF4 -,CClO4 -、又はPF6 -を表し、環A1は隣接環と縮合する芳香環を表す。R1'は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、又はC5〜C12の芳香族基を表す。また、ArはC5〜C12の芳香族基を表わし、nは0〜12の整数を表わす。また、式(1)、式(2)において、同一の記号は同じ意味を有するが、相互に独立である。)
  2. ポリメチン色素を用いる色素増感太陽電池又は光電変換素子において、ポリメチン色素が下記式(3)で表わされるスクアリリウム色素であることを特徴とする色素増感太陽電池又は光電変換素子。
    (式中、R1、R2は独立に、水素原子、C1〜C30のアルキル基、C1〜C30のハロゲン化アルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C1〜C30のアルコキシル基、C5〜C12の芳香族基、又はAr-Cn2n-O-を表し、Y 2は水素原子、−CH=C(CN)COOR,−COOR、−PO3R(Rは水素原子又はC1〜C12のアルキル基である。)を表し、X1及びX2は独立に、C(CH32、O、N、又はSを表し、環A1は隣接環と縮合する芳香環、環A2は非縮合芳香環、縮合芳香環、芳香族置換非縮合芳香環、又は芳香族置換縮合芳香環を表し、R1'は水素原子、C1〜C30のアルキル基、C4〜C12のシクロアルキル基、C5〜C12の芳香族基を表す。但し、式(3)は、少なくとも1つの酸性基を有する。ここで、ArはC5〜C12の芳香族基であり、nは0〜12の整数である。
  3. 式(3)で表わされるスクアリリウム色素が、下記式(5)で表わされるスクアリリウム色素である請求項2に記載の色素増感太陽電池又は光電変換素子。
    (式中、R1、R2、Y2、X1、X2は、式(3)と同意である。)
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