JP2010099591A - 分離膜エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】分離膜エレメントの原料コストの軽減や製造工程の簡略化を図ることができる分離膜エレメントを提供する。
【解決手段】シート状分離膜10の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニット11を複数積層し、その分離膜ユニット11の一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路14の何れか一方が開口するように樹脂封止部材12で封止してある分離膜エレメント。
【選択図】図1
【解決手段】シート状分離膜10の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニット11を複数積層し、その分離膜ユニット11の一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路14の何れか一方が開口するように樹脂封止部材12で封止してある分離膜エレメント。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体、気体等の成分を分離するシート状分離膜を用いた分離膜エレメントに関し、より詳しくは、シート状分離膜を複数毎積層したクロスフローろ過が可能な分離膜エレメントに関する。
液体等を分離する分離膜には、その孔径サイズや分離機能の違いにより、種々のタイプが存在するが、分離膜の一方の面に原液を供給し、他方の面から透過液を取り出す点では共通している。
例えば、逆浸透ろ過、限外ろ過などに用いられる流体分離エレメントとしては、供給側流体(原水)を分離膜表面へ導く供給側流路材、供給側流体を分離する分離膜、および分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体(透過水)を中心管(集水管)へと導く透過側流路材からなるユニットを有孔の中心管の周りに巻き付けたスパイラル型膜エレメントが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、スパイラル型膜エレメントでは、部材の数が多いため、製造工程が複雑となり、低コスト化に限界があった。
一方、下記の特許文献2に記載のように、多数枚の平膜状の分離膜を間隔をあけて積層固定化する際に、原水側には波形スペーサを介在させ、透過側にはメッシュスペーサを介在させ、各透過室の積層固定化部に透過水取出用開口部を設けた膜エレメントが知られている。
しかしながら、特許文献2に記載の膜エレメントでは、多数枚の平膜状の分離膜を間隔をあけて積層固定化した構造であるため、分離膜の端辺同士を封止する工程が煩雑となり、低コスト化が困難であった。また、原水側に波形スペーサを介在させているため、これが大きな体積を占めるので、単位体積当たりの有効膜面積が小さくなるという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、分離膜エレメントの原料コストの軽減や製造工程の簡略化を図ることができる分離膜エレメントを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の分離膜エレメントは、シート状分離膜の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを複数積層し、その分離膜ユニットの一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路の何れか一方が開口するように樹脂封止部材で封止してあることを特徴とする。
即ち、本発明の分離膜エレメントは、シート状分離膜の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを複数積層し、その分離膜ユニットの一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路の何れか一方が開口するように樹脂封止部材で封止してあることを特徴とする。
本発明の分離膜エレメントによると、シート状分離膜の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを複数積層した構造であるため、分離膜の端辺同士を封止する工程が簡略化できる。また、流路の一方が開口するように樹脂封止部材で封止した簡易な構造であるため、原料コストの軽減や製造工程の簡略化を図ることができる。
上記において、前記樹脂封止部材は、側面視の外形が矩形であり、端面に垂直な周壁を有することが好ましい。樹脂封止部材の側面視の外形が矩形であると、エレメント同士を上下前後左右に配置・連結できるため、ろ過装置内に装填する際の容積効率が良くなる。その際、樹脂封止部材同士を圧接させてシールすることが可能であるため、部品点数が少なく、安価なろ過装置となる。
また、前記シート状分離膜の少なくとも片面には、膜面に沿った流路を形成する凹凸を設けてあり、前記凹凸を設けた面同士が接触した構造であることが好ましい。この構成によると、膜面自体に凹凸を設けて流路を形成しているため、分離膜エレメントを製造する際に流路材(スペーサ)を省略することができるので、分離膜エレメントの原料コストの軽減や製造工程の簡略化、環境負荷の低減を図ることができる。また、単位体積当たりの有効膜面積をより大きくすることができる。
あるいは、前記シート状分離膜の両面には、膜面に沿った流路を形成する凹凸を設けてあり、前記凹凸を設けた面同士が両面において各々接触した構造であることが好ましい。この構成によると、分離膜の両面において流路材(スペーサ)を省略することができるので、分離膜エレメントの原料コストの軽減や製造工程の簡略化、環境負荷の低減をより図ることができる。また、単位体積当たりの有効膜面積をより大きくすることができる。
一方、本発明の分離膜モジュールは、上記いずれかに記載の本発明の分離膜エレメントの複数を、前記樹脂封止部材の周壁同士が隣接するように、函体内に装填してあることを特徴とする。この分離膜モジュールによると、エレメント同士を隣接して複数配置できるため、ろ過装置内に装填する際の容積効率が良くなる。その際、樹脂封止部材同士を圧接させてシールすることが可能であるため、部品点数が少なく、安価なろ過装置となる。
上記において、複数の前記分離膜エレメントが、側面視で縦横に複数ずつ、前記樹脂封止部材の周壁同士が隣接するように、函体内に装填してあることが好ましい。この分離膜モジュールによると、エレメント同士を隣接して縦横に複数ずつ配置するため、ろ過装置内に装填する際の容積効率を更に高めることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の分離膜エレメントの一例を示す斜視図であり、図2は本発明の分離膜エレメントの一例を模式的に示す側面図であり、図3は、本発明の分離膜エレメントの製造工程を示す工程図である。
(分離膜エレメント)
本発明の分離膜エレメントは、シート状分離膜の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを複数積層し、その分離膜ユニットの一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路の何れか一方が開口するように樹脂封止部材で封止してある。
本発明の分離膜エレメントは、シート状分離膜の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを複数積層し、その分離膜ユニットの一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路の何れか一方が開口するように樹脂封止部材で封止してある。
本実施形態では、図1〜図3に示すように、シート状分離膜10の供給側面10a同士が対向する筒状(封筒状でもよい)の分離膜ユニット11を複数積層し、その分離膜ユニット11の両端部を供給側流路14が開口するように樹脂封止部材12で封止してある例を示す。但し、本発明の分離膜エレメントは、シート状分離膜10の透過側面10b同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニット11を複数積層し、その分離膜ユニット11の両端部を透過側流路が開口するように封止したものでもよく、分離膜ユニット11の一端部のみを封止したものでもよい。
図2に示すように、供給側流路14が開口する場合、透過側流路に相当する分離膜ユニット11同士の間隙部分13は、封止樹脂により封止され、樹脂封止部材12と一体化されている。
また、本発明の分離膜エレメントは、供給側流路材のみを有するもの、透過側流路材のみを有するもの、供給側流路材および透過側流路材を有するもの、両者を有しないものの何れでもよい。
本実施形態では、図2に示すように、供給側流路材および透過側流路材を有しないものを例示するが、供給側流路材を用いる場合、分離膜ユニット11の内側の供給側流路14に供給側流路材が配置される。その場合、供給側流路材が移動しないように、分離膜ユニット11の内側に部分的に接着しておくことが好ましい。例えば、シート状分離膜10を2つ折りにして端辺を接着して、筒状又は封筒状の分離膜ユニット11を作製する際に、2つ折りにしたシート状分離膜10に供給側流路材を挟み込んで、供給側流路材の端辺をシート状分離膜10の端辺と共に接着すればよい。
また、透過側流路材を用いる場合、分離膜ユニット11の外側の透過側流路に透過側流路材が配置される。その場合、分離膜ユニット11と透過側流路材とを交互に積層しておき、分離膜ユニット11の一端部又は両端部を樹脂封止部材12で封止する際に、透過側流路材を樹脂封止部材12で固着することができる。例えば、図2に示す例の場合、分離膜ユニット11同士の間隙部分13に透過側流路材が介在する状態で、透過側流路材が樹脂封止部材12と一体化される。
筒状又は封筒状の分離膜ユニット11は、1枚のシート状分離膜10を2つ折りにして、又は2枚のシート状分離膜10を重ねて、1つ又は両側の端辺又は3辺の端辺を接着剤を用いた接着や熱融着で封止することで作製できる。更に、筒状又は封筒状の分離膜ユニット11は、最初から筒状又は封筒状に製造(例えば成型)したものを使用することも可能である。
分離膜ユニット11の一端部又は両端部を封止する方法としては、樹脂による封止が採用される。封止樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられるが、接着剤の形態で使用することも可能である。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。また、耐熱性樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、芳香族系のポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。これらの樹脂は、分離膜およびエレメントの用途により適宜選択することが可能である。
樹脂封止部材12は、側面視の外形が矩形であり、端面に垂直な周壁12aを有することが好ましく、側面視における樹脂封止部材12の端面12bが平坦であることがより好ましい。
透過側流路又は供給側流路の何れか一方を開口させる方法としては、樹脂による封止を行う際に、予め個々の分離膜ユニット11の一端部又は両端部の先端のみを封止又は接着等により塞いだものを使用し、積層した分離膜ユニット11の一端部又は両端部の全体を封止して樹脂封止部材12を注型成形した後に、分離膜ユニット11の端部を樹脂封止部材12と共に切断して、開口させる方法が好ましい。
側面視における樹脂封止部材12の外形のサイズとしては、例えば長辺が100〜2500mm、短辺が50〜1000mm程度である。また、樹脂封止部材12の周壁12aの幅としては、分離膜の有効膜面積を維持しながら、分離膜ユニット11の封止性を高める観点から、5〜100mmが好ましく、10〜50mmがより好ましい。ここで、周壁12aの幅が変化する場合、その平均値を基準とする(以下の他の寸法についても同じ)。
また、シート状分離膜10の端辺と樹脂封止部材12の周壁12aとの間隔W1は、エレメント当たりの分離膜の有効膜面積を維持しながら、分離膜ユニット11の封止性を高める観点から、1〜20mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。更に、両端のシート状分離膜10と樹脂封止部材12の周壁12aとの間隔W2は、同様の観点から、1〜20mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。
分離膜ユニット11の長さ(即ち分離膜エレメントの長さ)は100mmから2500mmが好ましく、250〜1000mmがより好ましい。100mmより短いとエレメントに充填できる有効膜面積が小さくなり、実用上のろ過性能が発現しなくなる。また、2500mmを超えるとエレメントの取扱いが難しくなる。
筒状又は封筒状の分離膜ユニット11の円周長さは100mmから5000mmが好ましく、400〜2000mmがより好ましい。100mmより短いとエレメントに充填できる有効膜面積が小さくなり、実用上のろ過性能が発現しなくなる。また、5000mmを超えるとエレメントの取扱いが難しくなる。
本実施形態の分離膜エレメントでは、樹脂封止部材12の端面の一方の開口から原液を供給して、他方の開口から濃縮液を取り出しながら、積層した分離膜ユニット11の外側に分離された透過液を取り出すことにより、クロスフローによるろ過が可能となる。
また、シート状分離膜10の透過側面10b同士が対向する筒状の分離膜ユニット11を複数積層し、その分離膜ユニット11の両端部を透過側流路が開口するように封止する場合、積層した分離膜ユニット11の隙間の一方から原液を供給して、分離膜で分離された透過液を樹脂封止部材12の端面の開口から取り出しながら、濃縮液を他方から排出することにより、クロスフローによるろ過が可能となる。
また、分離膜ユニット11の一端部のみを透過側流路又は供給側流路の何れか一方が開口するように封止してある場合、分離膜ユニット11の他端部は、開口せずに閉塞させて筒状にしてある。これにより、全ろ過型の分離膜エレメントを作製することができる。例えば、供給側面同士が接触した筒状の分離膜ユニット11を複数積層した平膜型の分離膜エレメントでは、一方の開口から原液を供給して、分離膜で分離された透過液を分離膜ユニット11の外部に取り出しながら、全ろ過による分離が可能となる。
本発明の分離膜エレメントEは、図6に示すように、樹脂封止部材12が当接するように、容器15内において上下、左右に配置することで、膜モジュールとすることができる。その際、樹脂封止部材12がある程度弾性を有する樹脂であれば、一定以上の圧力で圧接させるだけで、分離膜エレメントE同士の隙間をシールすることができる。また、必要に応じて、樹脂封止部材12の周壁にシール材(例えばOリング)を介在させることも可能である。
更に、分離膜エレメントEの両端部が開口するものであれば、分離膜エレメントE同士を直列に連結することも可能である。その場合、樹脂封止部材12の端面にシール材(例えばOリング)を介在させて、連結具を用いて分離膜エレメントE同士を押圧固定すればよい。
このようにして、本発明の分離膜エレメントEを用いることで、設備装填時の容積効率を高めることができる。また、分離膜エレメントEを装填した膜モジュールを直方体にすることができ、これを複数配置する場合を考慮すると、膜モジュールについても容積効率を高めることができる。
(シート状分離膜)
本発明の分離膜エレメントは、両面に凹凸を設けていないものも使用することができるが、透過側面又は供給側面の少なくとも一方に凹凸を設けることも可能である。図4は、その場合におけるシート状分離膜の例を示す透過側から見た平面図であり、図5はシート状分離膜の例を示す縦断面図である。
本発明の分離膜エレメントは、両面に凹凸を設けていないものも使用することができるが、透過側面又は供給側面の少なくとも一方に凹凸を設けることも可能である。図4は、その場合におけるシート状分離膜の例を示す透過側から見た平面図であり、図5はシート状分離膜の例を示す縦断面図である。
本発明の分離膜エレメントでは、透過側流路材又は供給側流路材を使用しない場合、図4に示すように、シート状分離膜10の少なくとも片面には、膜面に沿った流路2を形成する凹凸を設けてあり、凹凸を設けた面同士が接触した構造であることが好ましい。また、透過側流路材及び供給側流路材を使用しない場合、シート状分離膜10の両面に、膜面に沿った流路を形成する凹凸を設けてあり、前記凹凸を設けた面同士が両面において各々接触した構造であることが好ましい。
シート状分離膜の凹凸は、図5(a)〜(c)に示すように、透過側面Sa又は供給側面Sbの何れかの片面又は両面に設けられる。図4に示す例では、複数の凸部1を透過側面Saに有し、その凸部1同士の間の凹部2により、膜面に沿った流路が形成されている。
凸部1の形状は、膜面に沿った流路を形成できるものであれば何れでもよく、例えば上面の形状が菱形、平行四辺形、楕円形、長円形、円形、正方形、三角形、その他の多角形のもの等が挙げられる。なかでも、長径D1/短径D2の比率を2/1〜4/1とすることが可能な菱形、平行四辺形、楕円形、長円形などが好ましい。
凸部1の上面の長径D1は0.3〜5.0mmが好ましく、0.5〜3.0mmがより好ましい。上面の短径D2は0.3〜3.0mmが好ましく、0.5〜1.0mmがより好ましい。
凸部1の配置は、流路を妨げないものであれば何れでもよく、ランダムな配置、凸部1が縦横に配列されたマトリックス状の配置(図4(a)、(c)、(e)参照)、凸部1の縦の配列が1列毎に交互になっている千鳥状の配置(図4(b)、(d)、(f)参照)が挙げられる。なかでも、斜め方向の流路を形成することができ、流路の圧力損失を最も小さくできる観点から、千鳥状の配置が好ましい。
凹部2の面積率は、凸部1の上面を基準とした場合に55〜70%であることが好ましい。この面積率は、千鳥状の配置の場合に有効であり、特に、菱形の凸部1を千鳥状に配置する場合(図4(f)参照)に有効である。ここで、凹部2の面積率は、凸部1の上面の面積が占める割合(百分率)を100%から引いた値である。
本発明では、図5(a)に示すように、透過側面Saのみに凸部1を設けてもよく、あるいは供給側面Sbのみに凸部1を設けてもよい。更に、図5(b)に示すように、透過側面Saに凸部1aを設ける際に、供給側面Sbから凸型を型押しして、供給側面Sbに凹部2bが形成されるようにしてもよい。更に、図5(c)に示すように、供給側面Sbから凸型を型押しして透過側面Saに凸部1aを形成すると同時に、透過側面Saから凸型を型押しして供給側面Sbに凸部1bを形成するようにしてもよい。
いずれの場合においても、透過側面Saの凸部1aの高さH1は、0.2〜0.5mmであることが好ましい。また、供給側面Sbの凸部1bの高さH2は0.4〜1.0mmであることが好ましい。
本発明における分離膜は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、透析膜、ガス分離膜、浸透気化膜、脱気膜など何れでも良いが、供給側の圧力と透過液の流量などの関係から、逆浸透膜、ナノろ過膜、限外ろ過膜である場合に有効である。これらの分離膜のうち、透過側面と供給側面とが決まっているもの(例えば逆浸透膜等)については、供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを作製する場合、筒状又は封筒状の分離膜ユニットの内側に供給側面(活性層側)が配置される。
分離膜の材質としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。また、耐熱性樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、芳香族系のポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、原料コストを低減でき、凹凸加工のし易さの観点から、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンが好ましい。
分離膜の厚みとしては、凹凸を形成して形状保持させる観点から、0.05〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。なお、分離膜は単一素材あるいは複合素材が使用でき、例えば不織布等の支持体上に形成されているものでもよく、分離活性層が表面に形成されている複合膜でもよい。
本発明において、分離膜に凹凸を形成する方法としては、製膜時に凹凸を形成する方法、製膜後に凹凸を形成する方法、複合膜の場合(例えば複合半透膜等)には支持膜を製膜後に凹凸を形成した後、分離活性層を形成する方法、などが挙げられる。
製膜時に凹凸を形成する方法では、例えば製膜溶液をキャストする基材に凹凸を設ける方法や、両面から基材で挟み込む場合には両面の基材に凹凸を設ける方法が挙げられる。
製膜後に凹凸を形成する方法では、例えば加熱プレス、加圧プレス、連続ラミネート、ロールエンボス加工などが挙げられるが、分離膜の多孔質構造を維持し易くする観点から、ロールエンボス加工を行うのが好ましい。なお、複合膜の場合の場合には、平坦な表面を有する支持膜を用いる場合と同様にして、凹凸形成後に分離活性層を形成することができる。
(分離膜エレメントの製法)
本発明の分離膜エレメントは、例えば次のようにして製造される。まず、図3(a)に示すように、筒状の分離膜ユニット11を準備する。
本発明の分離膜エレメントは、例えば次のようにして製造される。まず、図3(a)に示すように、筒状の分離膜ユニット11を準備する。
筒状の分離膜ユニット11は、最初から筒状に成型したものを使用することも可能であるが、1枚のシート状分離膜10を2つ折りにして、又は2枚のシート状分離膜10を重ねて、1つ又は両側の端辺を接着剤を用いた接着や熱融着で封止することで作製できる。
次に、図3(b)に示すように、筒状の分離膜ユニット11を偏平に変形させ、両端が開口した筒状の分離膜ユニット11を得る。この際、供給流体の流路確保と撹伴効果を付与するために、分離膜ユニット11の内側に供給側流路材を挿入して、部分的に固着しても良い。供給側流路材はネット、織物、編み物などが使用でき、その材料は供給流体に応じて任意に選択できる。
次に、図3(c)に示すように、複数の分離膜ユニット11を所定枚数積層する。積層枚数は例えば2〜500枚であり、30〜250枚が好ましい。500枚より多くなるとエレメントが厚く、重たくなるため装填が難しくなる。
この際、透過流体の流路を確保する効果を付与するために、分離膜ユニット11の間に透過側流路材を挿入しても良い。透過側流路材はネット、織物、編み物などが使用でき、その材料は供給流体に応じて任意に選択できる。
次に、図3(d)に示すように、複数の分離膜ユニット11の積層物の一端部又は両端部を注型等して分離膜エレメントを得る。その際。分離膜ユニット11の開口部を開口したまま注型する、あるいは注型により一時開口部を封止した後、注型部に切削等の処理を行い開口する。樹脂を固化する際の条件としては、使用する樹脂に応じて決定することができる。
なお、封筒状の分離膜ユニット11を用いる場合、複数の分離膜ユニット11の積層物の一端部を注型等して分離膜エレメントを得ることができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
実施例1
不織布で補強された逆浸透膜(日東電工(株)製ES20)シートを1000mm×1000mmの寸法に切断し、活性層を内側として向かい合う2辺を接着し、長さ1000mm×円周1000mmの円筒状フィルターを得た。これを押しつぶして長さ1000mm×500mmの両端が開口している偏平筒状フィルターを得た。この偏平筒状フィルターの中にポリプロピレン製ネット(厚み0.7mm×長さ1000mmx幅480mm)を挿入してフィルターユニットを得た。前記フィルターユニットを30枚とポリエステル製トリコット網物(厚み0.3mm×長さ1000mm×幅500mm)31枚を交互に積み重ね、その両端をウレタン接着剤を用い、深さ40mmで注型した。注型後、フィルター両端が開口するまで注型接着剤を削り取り、フィルターエレメントを得た。
不織布で補強された逆浸透膜(日東電工(株)製ES20)シートを1000mm×1000mmの寸法に切断し、活性層を内側として向かい合う2辺を接着し、長さ1000mm×円周1000mmの円筒状フィルターを得た。これを押しつぶして長さ1000mm×500mmの両端が開口している偏平筒状フィルターを得た。この偏平筒状フィルターの中にポリプロピレン製ネット(厚み0.7mm×長さ1000mmx幅480mm)を挿入してフィルターユニットを得た。前記フィルターユニットを30枚とポリエステル製トリコット網物(厚み0.3mm×長さ1000mm×幅500mm)31枚を交互に積み重ね、その両端をウレタン接着剤を用い、深さ40mmで注型した。注型後、フィルター両端が開口するまで注型接着剤を削り取り、フィルターエレメントを得た。
得られたフィルターエレメントを圧力容器に装填し、流量100L/min、圧力0.74MPaで500ppmNaCl水溶液を供給し、ろ過水を13L/minの流量で得、ろ過水中のNaCl濃度は5ppmであった。
実施例2
不織布で補強された限外ろ過膜(日東電工(株)製、NTU−3150)シートに高さ0.5mmの凹凸加工(凹凸形状はひし形、大きさは1×2mm)を施し、1000mm×1000mmの寸法に切断し、活性層を内側として向かい合う2辺を接着し、長さ1000mm×円周1000mmの円筒状フィルターを得た。これを押しつぶして長さ1000mm×500mmの両端が開口している偏平筒状フィルターを得た。前記偏平筒状フィルターを30枚を積み重ね、その両端をウレタン接着剤を用い深さ40mmで注型した。注型後、フィルター両端が開口するまで注型接着剤を削り取り、フィルターエレメントを得た。得られたフィルターエレメントを圧力容器に装填し、流量100L/min、圧力0.03MPaで水道水を供給し、ろ過水を54L/minの流量で得た。
不織布で補強された限外ろ過膜(日東電工(株)製、NTU−3150)シートに高さ0.5mmの凹凸加工(凹凸形状はひし形、大きさは1×2mm)を施し、1000mm×1000mmの寸法に切断し、活性層を内側として向かい合う2辺を接着し、長さ1000mm×円周1000mmの円筒状フィルターを得た。これを押しつぶして長さ1000mm×500mmの両端が開口している偏平筒状フィルターを得た。前記偏平筒状フィルターを30枚を積み重ね、その両端をウレタン接着剤を用い深さ40mmで注型した。注型後、フィルター両端が開口するまで注型接着剤を削り取り、フィルターエレメントを得た。得られたフィルターエレメントを圧力容器に装填し、流量100L/min、圧力0.03MPaで水道水を供給し、ろ過水を54L/minの流量で得た。
1 凸部
1a 透過側面の凸部
1b 供給側面の凸部
2 凹部(流路)
3 樹脂封止部材
3a 開口
10 シート状分離膜
11 分離膜ユニット
12 樹脂封止部材
12a 周壁
14 供給側流路
E 分離膜エレメント
1a 透過側面の凸部
1b 供給側面の凸部
2 凹部(流路)
3 樹脂封止部材
3a 開口
10 シート状分離膜
11 分離膜ユニット
12 樹脂封止部材
12a 周壁
14 供給側流路
E 分離膜エレメント
Claims (6)
- シート状分離膜の透過側面同士又は供給側面同士が対向する筒状又は封筒状の分離膜ユニットを複数積層し、その分離膜ユニットの一端部又は両端部を透過側流路又は供給側流路の何れか一方が開口するように樹脂封止部材で封止してある分離膜エレメント。
- 前記樹脂封止部材は、側面視の外形が矩形であり、端面に垂直な周壁を有する請求項1に記載の分離膜エレメント。
- 前記シート状分離膜の少なくとも片面には、膜面に沿った流路を形成する凹凸を設けてあり、前記凹凸を設けた面同士が接触した構造である請求項1又は2に記載の分離膜エレメント。
- 前記シート状分離膜の両面には、膜面に沿った流路を形成する凹凸を設けてあり、前記凹凸を設けた面同士が両面において各々接触した構造である請求項1又は2に記載の分離膜エレメント。
- 請求項2〜4いずれかに記載の分離膜エレメントの複数を、前記樹脂封止部材の周壁同士が隣接するように、函体内に装填してある分離膜モジュール。
- 複数の前記分離膜エレメントが、側面視で縦横に複数ずつ、前記樹脂封止部材の周壁同士が隣接するように、函体内に装填してある請求項5に記載の分離膜モジュール。
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