JP2010095634A - 熱転写シート用ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】得られる熱転写シートの熱転写時の染料の耐キックバック性、及び耐光性にも優れ、有機溶剤溶解性にも優れる熱転写シート用ポリエステルを提供する。
【解決手段】2価のアルコール成分を80モル%以上含むアルコール成分と、2価のカルボン酸成分を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合して得られる熱転写シート用ポリエステルであって、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%がイソフタル酸から成る、熱転写シート用ポリエステル。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱転写シート用ポリエステル、及び該ポリエステルの製造方法及び該ポリエステルを用いた熱転写シートに関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。この方法は加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。
上記熱転写シートには、通常、染料を含有する染料層とは別に、保護層及び接着層が設けられている。保護層は、染料を受像した熱転写で得られる画像(染料を受像した染料受容層)上に保護膜を形成するために、接着層は保護層と染料受容層とを接着するために設けられてる。
上記熱転写シートの接着層としては、染料受容層との接着性の観点から、ポリエステルが使用されている(特許文献1)。しかし、同文献には具体的なポリエステルの開示はない。一方、接着層用ポリエステルとして、接着性の観点から、酸成分としてエチレンジカルボン酸及び/又は脂環族化合物を、アルコール成分としてアルキレンオキサイド付加ビスフェノールA及び/又は脂環族化合物を有するポリエステルが開示されている(特許文献2)。
特開2002−240404号公報[請求項7] 特開2004−74768号公報[0027][0029]
しかしながら、近年の高画質化の要望により、接着層においても、接着性のみならず、高画像濃度を得るために、熱転写時の染料の非吸着性(耐キックバック性)、及び耐光性が要求されている。
しかし、特許文献2で用いられているアルキレンオキサイド付加ビスフェノールAは染料吸着性が高いため、耐キックバック性に劣る結果となる。また同文献記載の脂環族化合物は、耐光性が高いものの、例えば、アルコール成分に脂環族化合物を100モル%使用したポリエステルは有機溶剤には溶解しないため、他のモノマー成分を併用することが必要となる。このため、十分な耐光性を得ることができないのみならず、ポリエステルの設計にも制限がある。
本発明は、
[1] 2価のアルコールを80モル%以上含むアルコール成分と、2価のカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合して得られる熱転写シート用ポリエステルであって、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%以上がイソフタル酸から成る、熱転写シート用ポリエステル、
[2] Sn-C結合を有しない錫(II)化合物存在下、2価のアルコールを80モル%以上含むアルコール成分と、2価のカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合する熱転写シート用ポリエステルの製造方法であって、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%以上がイソフタル酸から成る、熱転写シート用ポリエステルの製造方法、及び、
[3] (1)上記[1]記載のポリエステルを有機溶剤に溶解若しくは分散、又は水系媒体に分散させて接着層組成物を調製する工程、(2)熱転写シート用の基材の少なくとも一方の面上に、工程(1)で得られた接着層組成物を塗布して接着層を形成する工程、を含む熱転写シートの製造方法、
に関する。
本発明は、得られる熱転写シートの熱転写時の染料の耐キックバック性、及び耐光性にも優れ、設計の自由度の高い熱転写シート用ポリエステルを提供する。
[熱転写シート用ポリエステル及びその製造方法]
本発明の熱転写シート用ポリエステル(以下、「本発明のポリエステル」ということがある)は、2価のアルコールを80モル%以上含むアルコール成分と、 2価のカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合して得られるものであり、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%以上がイソフタル酸から成るものである。
本発明のポリエステルは、従来、耐光性の観点から必要とされていた脂環族化合物を原料モノマーの主成分として使用せずに、イソフタル酸を主成分とするカルボン酸成分と分岐型脂肪族ジオールを主成分とするアルコール成分とを原料とすることに特徴を有する。その詳細なる理由は不明であるが、カルボン酸成分としてテレフタル酸やフタル酸を主成分として使用すると本発明の効果である耐光性を奏し難いことから、ベンゼン環に置換されたカルボキシル基の位置により耐光性に影響し、及びイソフタル酸と分岐型脂肪族ジオールとの反応性が高まるためか、熱転写シートの耐光性と耐キックバック性の両立が可能となったと考えられる。また、分岐型脂肪族ジオールを原料モノマーとするポリエステルは有機溶剤に容易に溶解されるため、ポリエステル設計の自由度も高いという効果も奏する。すなわち、本発明において、ポリエステルの設計の自由度は、有機溶剤の溶解性により判断できる。
アルコール成分は、2価のアルコール成分を80モル%以上含み、前記2価のアルコール成分の80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成る。本発明において分岐型脂肪族ジオールとは、2つのOH基が結合するアルキレン基が分岐を有するジオール又は2級のOH基を有するジオールを指す。
分岐型脂肪族ジオールとしては、得られるポリエステルを用いて得られた熱転写シートの耐キックバック性、耐光性、及びポリエステルの合成時の生産性の観点から、炭素数3〜12の分岐鎖型脂肪族ジオールが好ましく、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。具体的には、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、熱転写シートの保存安定性の観点から1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましく、1,2−プロパンジオールがより好ましい。このジオール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる分岐型脂肪族ジオールは、熱転写シートの保存安定性および接着性の観点から、2価のアルコールに80モル%以上含有されるが、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、実質100モル%含有されることがよりさらに好ましい。
本発明においては、アルコール成分中2価のアルコールとして、上記分岐型脂肪族ジオールとともに、これ以外の公知の2価のアルコールを使用することができる。例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ブテンジオール等の直鎖脂肪族ジオールや、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環族ジオール、並びに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオールが挙げられる。この分岐型脂肪族ジオール以外の2価のアルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、熱転写シートの保存安定性およびポリエステルの設計自由度の確保の観点から、直鎖脂肪族ジオール、脂環族ジオール及び芳香族ジオールの含有量は、総量で2価のアルコール中、5モル%以下が好ましく、3モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、実質0%であることがさらに好ましい。
さらに、本発明のポリエステルのアルコール成分には、熱転写シートの耐擦過性の観点から、3価以上の多価アルコールが含有されていることが好ましい。3価以上のアルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられるが、これらの中では、熱転写シートの耐擦過性の観点から、グリセリンが好ましい。
3価以上の多価アルコールの含有量は、熱転写シートの耐擦過性の観点から、アルコール成分中、5〜20モル%が好ましい。
2価のアルコールと3価のアルコールのアルコール成分中のモル比(2価のアルコール/3価のアルコール)は、熱転写シートの耐擦過性およびポリエステルの設計自由度の確保の観点から、80/20〜95/5が好ましく、85/15〜95/5がさらに好ましい。
一方、本発明のポリエステルのカルボン酸成分として用いられるイソフタル酸は、テレフタル酸及びフタル酸に対して熱転写シートの耐光性の向上に有効であり、2価のカルボン酸中80モル%以上含有されるが、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、実質100モル%含有されることがよりさらに好ましい。
本発明においては、カルボン酸成分中に、2価のカルボン酸として、上記イソフタル酸とともに、これ以外の公知のジカルボン酸成分を使用することができる。例えば、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
このカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、熱転写シートの耐擦過性および耐光性の観点から、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸及びフタル酸の含有量は、2価のカルボン酸中、総量で5モル%以下が好ましく、3モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、実施0モル%であることが好ましい。
また、本発明のポリエステルのカルボン酸成分には、2価のカルボン酸以外に、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等、それらの酸無水物及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等の3価以上の多価カルボン酸や1価のモノカルボン酸を使用することができる。
本発明においては、2価のカルボン酸がカルボン酸成分中、80モル%以上であるが、熱転写シートの耐擦過性およびポリエステルの設計の自由度の観点から、85モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、実質100モル%含有されることがよりさらに好ましい。
本発明のポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができるが、熱転写シートの耐キックバック性及び耐光性の観点から、ポリエステルは、エステル化触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、二酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられるが、これらの中でも、縮重合反応の反応性、及び得られるポリエステルを含有する熱転写シートの耐キックバック性及び耐光性の観点から、錫触媒及びチタン触媒が好ましく、錫化合物がより好ましく、Sn−C結合を有していない錫(II)化合物がよりさらに好ましい。
すなわち、本発明は、Sn-C結合を有しない錫(II)化合物存在下、2価のアルコールを80モル%以上含むアルコール成分と、2価のカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合する熱転写シート用ポリエステルの製造方法であって、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%以上がイソフタル酸から成る、熱転写シート用ポリエステルの製造方法に関する。
アルコール成分及びカルボン酸成分については前述のとおりである。
Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、オクチル酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、オクチル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)がさらに好ましく、オクチル酸錫(II)がより好ましい。
触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましい。
熱転写シートの染料受容層との接着性の観点から、本発明のポリエステルの軟化点は80〜170℃が好ましく、より好ましくは80〜150℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。また、ガラス転移点は、熱転写シートの保存安定性の観点から、50〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、55〜75℃がさらに好ましい。酸価は、熱転写シートの染料受容層との接着性および耐光性の観点から、1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜35mgKOH/gがより好ましい。ガラス転移点、軟化点及び酸価は、いずれも用いるモノマーの種類・配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、熱転写シートの染料受容層との接着性の観点から、本発明のポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
さらに、熱転写シートの染料受容層との接着性の観点から、本発明のポリエステルの重量平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、1,500〜8,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
尚、本発明のポリエステルには、上記範囲内において、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明のポリエステルは熱転写シートの接着層に用いられることが好ましい。熱転写シートには、本発明のポリエステルと共に他の樹脂も用いることができる。本発明のポリエステル以外の樹脂としては、熱転写フィルムの保護層として用いられる公知の樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、熱転写シートの耐擦過性の観点から、ポリカーボネート、ポリアクリルエステルが好ましい。
[熱転写シート及びその製造方法]
本発明の熱転写シートは、熱転写シート用基材の少なくとも一方の面に本発明のポリエステルを含有する接着層を形成してなり、上記接着層は、本発明のポリエステルを含有する接着層組成物を塗布して形成されるが、好ましくは、熱転写シート用基材の少なくとも一方の面に保護層及び本発明のポリエステルを含有する接着層をこの順に形成してなり、上記接着層は、本発明のポリエステルを含有する接着層組成物を塗布して形成される。
図1は、好ましい熱転写シートの概略断面図である。図1によれば、熱転写シート1は、熱転写シート用基材2上に、保護層3、接着層4がこの順に形成されている。
接着層組成物
本発明に係る接着層組成物は、例えば、本発明のポリエステルを有機溶剤に溶解若しくは分散、又は水に分散させて製造される。
上記ポリエステルを溶解する有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤が挙げられる。この中でもポリエステルの溶解性、乾燥時の揮発性の観点からメチルエチルケトン(MEK)、トルエンが好ましく、より好ましくはメチルエチルケトン/トルエンの混合溶剤である。
本発明のポリエステルを有機溶剤に溶解する方法としては、ポリエステルと有機溶剤を混合して、常温又は加温状態、すなわち、20〜50℃の温度下で攪拌することで溶解させる方法が挙げられる。得られる塗工液中の固形分濃度は操作性と生産性の観点から、10〜45重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。
接着層組成物には、熱転写シートの耐光性の観点から、上記ポリエステルとともに紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。これら紫外線吸収剤に中でも、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように、種類の異なるものを組み合わせて使用したり、非反応性紫外線吸収剤は紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
接着層
本発明に係る接着層は、熱転写シートの基材の少なくとも一方の面に、好ましくは該面上に形成された保護層面上に、前記接着層組成物を、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布し乾燥して形成することができる。
以上の如く形成される接着層の厚さは、一般には0.1〜50μmの厚さであり、画質及び生産性の観点から、0.5〜15μmであることが好ましい。
接着層には、熱転写シートの耐光性の観点から、前記ポリエステルとともに前記紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明に係る熱転写シートは、基材の少なくとも一方の面に前記接着層を有するものであり、好ましくは、基材の少なくとも一方の面に保護層、及び前記接着層をこの順に有するものである。
基材
基材としては、例えば、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルム、これらの材料の表面に易接着性処理等を施したもの、これらの材料を積層したものが挙げられる。
この基材の厚さは、強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、一般には1〜100μmの厚さである。
保護層
保護層は、熱転写で形成される画像を保護するために、基材上に形成されるものであり、熱転写の際に印字画像に転写され画像保護シートとして機能するものである。
保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ウレタン、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル系樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。
上記保護層は、前記保護層形成用樹脂を1種又は2種以上を使用できる。
上記保護層は、上記樹脂に加え、必要に応じ、紫外線遮断樹脂、紫外線吸収剤、導電性樹脂、フィラー等の添加剤を適宜含有することができる。
上記保護層は、1層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる2層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。
上記保護層は、層全体で、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜5μmの厚みとすることができる。
離型層
本発明に係る熱転写シートには、熱転写時における熱転写シートの基材と保護層の剥離性の観点から、離型層を形成することができる。すなわち、基材上に離型層、保護層、接着層をこの順に設けることが好ましい。離型層は、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂、及びこれらの樹脂群の共重合体を少なくとも1種以上含有する塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成することができる。離型層の厚みは乾燥状態で通常0.5〜5μmである。
熱転写シートの製造方法
本発明は、(1)請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルを有機溶剤に溶解若しくは分散、又は水系媒体に分散させて接着層組成物を調整する工程、(2)熱転写シートの基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた接着層組成物を用いて接着層を形成する工程、を含む熱転写シートの製造方法に関するが、好ましくは、前記工程(2)は、熱転写シートの基材の少なくとも一方の面に形成されてなる保護層面上に工程(1)で得られた接着層組成物を用いて接着層を形成する工程であることが好ましい。
工程(1)におけるポリエステル、有機溶媒及び接着層組成物の詳細については前述の通りである。本発明の熱転写シートは、前記基材の少なくとも一方の面上に、好ましくは、前記基材の少なくとも一方の面上に保護層を形成してなるシートの保護層面上に、工程(1)で得られた接着層組成物を、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布し乾燥して接着層を形成して得られる。基材、保護層の詳細については前述の通りである。
[熱転写方法]
本発明においては、前述の基材上に上記ポリエステルを有する熱転写シートを、合成紙や上質紙等の基材に受容層を設けてなる熱転写受像シートの受容層面に、加熱下圧着し、染料、接着層、保護層の転写を行って、転写画像を得る。
本発明のポリエステルを用いた熱転写シートを使用して熱転写を行う際に使用する熱転写受像シートは、通常、紙やポリエステルフィルム上に受容層を設けたものであり、従来公知の熱転写受像シートをいずれも使用することができる。
熱転写受像シート
熱転写受像シートに好適に使用できる樹脂としては、公知のものが使用できるが、染料の染着性及び本発明の熱転写フィルムとの組合せによる相乗効果、すなわち、熱転写シートの耐光性、耐キックバック性、及び熱転写受像シートの染料の染着性のさらなる向上の観点からポリエステルが好ましい。
熱転写受像シートに使用できるポリエステル(熱転写受像シート用ポリエステルともいう)としては特に制限はなく、公知のアルコール成分と公知とカルボン酸成分とを縮重合して得られる。
上記熱転写受像シート用ポリエステルのアルコール成分としては、熱転写受像シートの染料の染着性の観点から、式(1)
Figure 2010095634
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、上記観点から、熱転写受像シート用ポリエステルのアルコール成分中に50モル%以上含有されることが好ましく、より好ましくは70モル%以上含有され、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは100モル%含有される。
一般式(1)において、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基を表わす。x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を表わし、各々正の数である。各Rは同一でも異なっていてもよいが、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7であり、好ましくは2〜5である。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、具体的には、上記付加モル数を有するポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、熱転写受像シート用ポリエステルのカルボン酸成分としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。カルボン酸成分中には、熱転写受像シートの離型性及び染料の染着性の観点から、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましく、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が好ましい。上記芳香族ジカルボン酸は、全カルボン酸中50モル%以上含有することが好ましく、60モル%以上含有することがより好ましい。上記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、熱転写受像シートの離型性の観点から、上記カルボン酸成分として、3価以上のカルボン酸を用いることが好ましく、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸を用いることがより好ましく、更に好ましくはトリメリット酸である。
熱転写受像シート用ポリエステルは、本発明のポリエステルと同様に製造することができる。
熱転写受像シートの離型性の観点から、熱転写受像シート用ポリエステルの軟化点は80〜250℃が好ましく、より好ましくは80〜200℃が好ましく、100〜180℃がより好ましい。また、ガラス転移点は、熱転写シートの保存安定性および染料染着性の観点から、50〜85℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、55〜75℃がさらに好ましい。酸価は、熱転写受容シートの染料染着性および耐光性の観点から、1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜35mgKOH/gがより好ましい。ガラス転移点、軟化点及び酸価は、いずれも用いるモノマーの種類・配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、染料の染着性の観点から、熱転写受像シート用ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
熱転写受像シートは、例えば、熱転写受像シート用ポリエステルを水性媒体中に分散又は、有機溶媒中に分散又は溶解させて受容層組成物を調整する工程、及び基材の少なくとも一方の面に、前記工程で得られた受容層組成物を用いて染料受容層を形成する工程、を含む製造方法により製造することができる。
熱転写を行なう際に使用する染料を含有する熱転写シートは、通常、紙やポリエステルの基材上に昇華型染料を含む染料層を設けたものであるが、本発明の熱転写シートを構成する基材上面に前記染料層を設けてもよい。
本発明の熱転写シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[ポリエステルの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[ポリエステルの数平均分子量及び重量平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[樹脂の製造]
実施例1(ポリエステルaの製造)
表1に示すアルコール成分、イソフタル酸、触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器、分留管及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で10時間、200℃で2時間反応させ、更に8.3kPaの減圧下で反応した。200℃で無水トリメリット酸を加え1時間反応させた後、減圧(20kPa)下にて所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルaを得た。軟化点は、ASTM D36−86に従って測定した。
実施例2〜5(ポリエステルb〜eの製造)
表1に示す原料を窒素導入管、脱水管、攪拌器、分留管及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃で10時間、200℃で2時間反応させ、更に20kPaの減圧下にて所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルb〜eを得た。軟化点は、ASTM D36−86に従って測定した。
比較例1(ポリエステルfの製造)
カルボン酸成分をイソフタル酸からテレフタル酸に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステルfを得た。
比較例2(ポリエステルgの製造)
表1に示すアルコール成分、イソフタル酸、触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、190℃で10時間、210℃で2時間反応させ、更に8.3kPaの減圧下で反応した。210℃で無水トリメリット酸を加え1時間反応させた後、20kPaの減圧下にて所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルgを得た。軟化点は、ASTM D36−86に従って測定した。
比較例3(ポリエステルhの製造)
表1に示すアルコール成分、イソフタル酸、触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で8時間反応させ、更に減圧(8.3kPa)下で反応した。210℃で無水トリメリット酸を加え1時間反応させた後、減圧(20kPa)下にて所望の軟化点に達するまで反応させて、ポリエステルgを得た。軟化点は、ASTM D36−86に従って測定した。

以上得られたポリエステルa〜hの各々について、その原料組成、軟化点、ガラス転移点、酸価、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びMw/Mnの値を表1に示す。
Figure 2010095634
実施例6〜10及び比較例4〜6(熱転写シートの製造)
熱転写シートの製造
ポリエステル、有機溶剤及び離型剤を表2に示す種類、配合で25℃で混合し接着層組成物(塗工液)A〜Hを作製した(なお、ポリエステルgは有機溶剤に溶解せず、塗工液Gは作製できなかった)。塗工液A〜Hの各々を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、50℃15時間で乾燥させて熱転写シートを得た。また、塗工液A〜H(Gは除く)と熱転写シート用基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用して、同様に熱転写シートを得ることができた。
耐キックバック性及び耐光性を評価するために、熱転写シート用基材として合成紙を用いて得られた熱転写シートに、市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターンを熱転写で染料を染着し印画画像を形成し、染着性(印字感度、最高濃度)、及び耐光性を評価した。結果を表2に示す。なお、有機溶剤溶解性は、各ポリエステルのトルエン/メチルエチルケトン(重量比:50/50)への溶解性を評価し、溶解した場合を〇、溶解しなかった場合を×とした。
[印字感度(耐キックバック性)]
低濃度印画(9階調目(L=120))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。転写色濃度が低い程、染料の染着性が少ないことを示すことから、熱転写フィルムの耐キックバック性に優れることを意味する。
[最高濃度(耐キックバック性)]
高濃度印画(18階調目(L=0))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。画像濃度が低い程、染料の染着性が少ないことを示すことから、熱転写フィルムの耐キックバック性に優れることを意味する。
[耐光性]
下記条件のキセノンウェザーメーターにより耐光性試験を行なった。
・照射試験機:スガ試験機社製SX75
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=石英フィルター、外側=#275
・パネル温度:50℃
・槽内湿度:35〜50%RH
・照射強度:50(W/m2 )……300〜400(nm)での測定値
・積算照度:10000(kJ/m2 )……300〜400(nm)での積算値
・色相変化量:光学濃度計(グレタグで測定)を用い、階調パターン印画物の黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)の光学反射濃度を測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、照射前後におけるL* a* b* を色彩色差計(グレタグで測定)を用い測定し、下記式により、色相変化量を算出した。耐光性は、黒(K)の印画物の色相変化量、及び黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)の印画物の色相変化量の合計の値で評価した。色相変化量の少ない方が耐光性に優れることを示す。
Figure 2010095634
照射前L*** 値:L* 1 、a* 1 、b* 1
照射後L* ** 値:L* 2 、a* 2 、b* 2
Figure 2010095634
得られる熱転写シートの熱転写時の染料の耐キックバック性、及び耐光性にも優れ、設計の自由度も高い熱転写シート用ポリエステルを提供する。
本発明のポリエステルを含有する熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1・・・熱転写シート
2・・・熱転写シート用基材
3・・・保護層
4・・・接着層

Claims (6)

  1. 2価のアルコールを80モル%以上含むアルコール成分と、2価のカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合して得られる熱転写シート用ポリエステルであって、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%以上がイソフタル酸から成る、熱転写シート用ポリエステル。
  2. 2価のアルコールが、直鎖脂肪族ジオール及び脂環族ジオールを、総量で5モル%以下含有する、請求項1記載の熱転写シート用ポリエステル。
  3. 2価のカルボン酸成分が、テレフタル酸、フタル酸及び脂環族ジカルボン酸を、総量で5モル%以下含有する、請求項1又は2記載の熱転写シート用ポリエステル。
  4. 熱転写シートの接着層に用いられる、請求項1〜3いずれか記載の熱転写シート用ポリエステル。
  5. Sn-C結合を有しない錫(II)化合物存在下、2価のアルコールを80モル%以上含むアルコール成分と、2価のカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分とを縮重合する熱転写シート用ポリエステルの製造方法であって、前記2価のアルコールの80モル%以上が分岐型脂肪族ジオールから成り、前記2価のカルボン酸の80モル%以上がイソフタル酸から成る、熱転写シート用ポリエステルの製造方法。
  6. (1)請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルを有機溶剤に溶解若しくは分散、又は水系媒体に分散させて接着層組成物を調製する工程、(2)熱転写シート用の基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた接着層組成物を塗布して接着層を形成する工程、を含む熱転写シートの製造方法。
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