JP2009073172A - 染料受容層用樹脂分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れ、かつ優れた転写画像性能が得られる熱転写受像シート、該受像シートの製造方法及び該受像シートの染料受容層を形成するための樹脂分散液を提供する。
【解決手段】水性媒体中にポリエステルを分散した樹脂分散液、及び離型剤を含有する染料受容層用樹脂分散液であって、該ポリエステルが、(a)2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)上記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分を用いて得られる、染料受容層用樹脂分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱転写受像シート、その製造方法、及び該熱転写受像シートの受容層用樹脂分散液に関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。これは加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。
上記熱転写受像シートの染料受容層としては、染料の染着性に優れる点から、ポリエステルが使用されることがある。このようなポリエステルを用いた熱転写受像シートとしては、例えば、染料受容層が、60〜70モル%のビスフェノールAのアルキレングリコール付加物を含むジオール成分と、50モル%以上のテレフタール酸を含むジカルボン酸成分より得られるポリエステル重合体、及びその架橋体を主成分として含有する染料熱転写画像受容シート(特許文献1)、ポリエステル樹脂を主成分として含む昇華性染料熱転写画像受容層を有し、ポリエステル樹脂が、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよび40〜60モル%のビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物を含むジオール成分と、テレフタル酸およびイソフタル酸を含むジカルボン酸成分との共重縮合生成物である昇華性染料熱転写画像受容シート(特許文献2)、染料受容層が、溶剤に不〜難溶性のポリエステル樹脂水性分散液と該ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂の水性分散液との混合物又は両樹脂の混合物の水性分散液から形成される熱転写受像シート(特許文献3)等が開示されている。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをアルコール成分とするポリエステルを用いた組成物を、電子写真トナー用の印刷媒体に塗布する紙用表面処理剤として使用することが開示されている(特許文献4、実施例1)
特許第2933338号公報 特開平3−124492号公報 特開平6−24156号公報 特開平5−295100号公報
前記特許文献1〜3の技術では、いずれも熱転写時における受像シートへの染料の染着性、又は受像シートと転写シートとの熱融着に伴う離型性が十分でなく、その結果、得られる転写画像の画像性能が十分でないという課題があった。特に、画像濃度を高めていくと染料の付着量が高くなるが、受像シートの離型性が低下し、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高い画像濃度が得られないという問題があった。また、前記特許文献4の技術は、電子写真トナーを印刷することを目的とするものであり、熱転写による印刷に使用すると、上記と同様の課題、問題が生じる。これは、電子写真トナーの印刷工程が、記録剤であるトナーを媒体に電気的・機械的に転写後、熱ローラー等で転写されたトナーを加熱して媒体に定着させる方式であるのに対して、熱転写では、記録剤である昇華染料の媒体への転写と定着を加熱下で同時に行う方式であるために、離型性に対するメカニズム、要求特性が異なるためである。
本発明は、熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れ、かつ優れた転写画像性能が得られる熱転写受像シート、該受像シートの製造方法及び該受像シートの染料受容層を形成するための樹脂分散液を提供する。
本発明は、
(1)水性媒体中にポリエステルを分散した樹脂分散液、及び離型剤を含有する染料受容層用樹脂分散液であって、該ポリエステルが、(a)式(1)
Figure 2009073172
(式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)上記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分を用いて得られる、染料受容層用樹脂分散液、
(2)(1)ポリエステルを水性媒体に分散させて樹脂分散液を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた樹脂分散液及び離型剤を用いて染料受容層を形成する工程、を含む熱転写受像シートの製造方法であって、前記ポリエステルが、(a)上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分から得られる、熱転写受像シートの製造方法、及び
(3)基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成してなる熱転写受像シートであって、上記染料受容層が、ポリエステルを水性媒体に分散させた樹脂分散液及び離型剤から形成され、前記ポリエステルが、(a)上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分から得られる、熱転写受像シート、
に関する。
本発明によれば、熱転写時の染料の染着性に優れるとともに、転写シートとの離型性にも優れ、かつ優れた画像性能が得られる熱転写受像シートを提供することができる。
[染料受容層用樹脂分散液]
本発明の染料受容層用樹脂分散液(以下、「本発明の樹脂分散液」ということがある)は、水性媒体中にポリエステルを分散した樹脂分散液、及び離型剤を含有する樹脂分散液であって、該ポリエステルが、(a)前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)上記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分を用いて得られるものである。
ポリエステル
本発明において、ポリエステルは、下記アルコール成分を原料モノマーとして得られるものである。すなわち、
(a)前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ
(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100である。
ポリエステルを形成する原料モノマーとして、上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有するアルコール成分を用いる。一般式(1)において、Rはエチレン基又はプロピレン基を表わす。x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を表わし、各々正の数である。各Rは同一でも異なっていてもよい。xとyの和の平均値は、カルボン酸との反応性の観点から、2〜7であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2以上4未満である。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物としては、具体的には、上記付加モル数を有するポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、そのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100である。上記含有比率が、上記範囲内であれば離型性に優れることから好ましい。上記観点から、上記含有比率は、40/60〜0/100であることが好ましく、より好ましくは30/70〜0/100である。
上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、原料アルコール成分中に80モル%以上含有されるが、好ましくは90モル%以上含有され、より好ましくは100モル%含有される。
本発明においては、原料成分であるアルコール成分として、上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物とともにこれ以外の公知のアルコール成分を使用することができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、原料成分としてのカルボン酸成分としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸を用いることが好ましく、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基で置換されたコハク酸を用いることがより好ましく、炭素数炭素数8〜22の、より好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数炭素数8〜22の、より好ましくは炭素数10〜20の、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基がより好ましい。
具体的には、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸において、アルキル基としては、例えば各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基などを挙げることができる。
また、アルケニル基としては、例えば各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基などを挙げることができる。
アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸は、カルボン酸成分中に5〜50モル%含有されることが好ましく、これにより、熱転写受像シートへの染料の染着性が向上する。これは、上記のコハク酸の側鎖にあるアルキル基及び/又はアルケニル基の存在により、ポリエステル間の相互作用が弱まり、染料がポリエステル内部に染み込むためと推察され、染料の浸透性の観点から、上記コハク酸は、カルボン酸成分中に
10〜40モル%含有されることがより好ましく、20〜40モル%含有されることが更に好ましい。
ポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができるが、本発明の熱転写受像シートの型性の観点から、原料のポリエステルはシャープな分子量分布を有することが好ましく、エステル化触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、2酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられる。
熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。酸価は、ポリエステルを含む樹脂を水性媒体中での分散性、すなわち乳化性の観点から、1〜35mgKOH/gが好ましく、5〜35mgKOH/gがより好ましい。ガラス転移点、軟化点及び酸価は、いずれも用いるモノマーの種類・配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、熱転写受像シートを得る際の成膜性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルには、上記範囲範囲内において、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明において、ポリエステルは、ポリエステル以外の他の樹脂とともに用いることができる。ポリエステル以外の樹脂としては、熱転写受像シートの受容層として用いられる公知の樹脂、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル、ポリビニルアセタール等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等を挙げることができ、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートが好ましい。
ポリエステルを分散した樹脂分散液
本発明においては、ポリエステルは、環境性の観点から、これを含む樹脂を水性媒体中に分散させてなる樹脂分散液中の樹脂粒子として、離型剤とともに本発明の樹脂分散液中に含有されることが好ましい。ポリエステルを含む樹脂中のポリエステルの含有量は、染料の染着性の観点から、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、100重量%であることが更に好ましい。
上記ポリエステルを分散させる水性媒体とは、水を主成分とするもの、すなわち、水が50%以上のものである。環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
ポリエステルを分散した樹脂分散液中の樹脂粒子は、熱転写受像シートを得る際の造膜性の観点から、その体積中位粒径(D50)が1μm以下であることが好ましく、20nm〜1μmであることがより好ましく、更に好ましくは50〜800nmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。その測定方法は後述の通りである。
ポリエステル又はこれを含む樹脂は、熱転写受像シートへの染料の染着性の観点から、上記樹脂分散液の固形分中に、80〜100重量%含有されることが好ましく、より好ましくは85〜100重量%含有され、更に好ましくは90〜100重量%含有される。
上記樹脂分散液は、前記ポリエステル又はこれを含む樹脂をケトン系溶剤に溶解させ、中和剤を加えて該ポリエステル又はこれを含む樹脂のカルボキシル基をイオン化し、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する方法により得ることができる。具体的には、例えば、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下ロート、窒素ガス導入管のついた反応器を準備し、ケトン系溶剤に溶解したポリエステル又はこれを含む樹脂に、中和剤等を加え、カルボキシル基をイオン化し(すでにイオン化されている場合は不要)、次いで水を加えた後、ケトン系溶剤を留去して水系に転相する。ケトン系溶剤への溶解、中和剤の添加は、通常ケトン系溶剤の沸点以下の温度で行い、また、ここで用いられる水としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
ここで用いられるケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等が挙げられ、樹脂の溶解性及び溶剤の留去の容易性の観点から、好ましくは、メチルエチルケトンである。
また中和剤としては、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、アリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、n−プロパノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−4−ペンタノール、2−アミノ−3−ヘキサノール、5−アミノ−4−オクタノール、3−アミノ−3−メチル−2−ブタノール、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、ジグリコールアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノドデカン、二量体脂肪酸ジアミン、2,2,4,−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4,−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、N−アミノプロピルジピペリジプロパン、ピペラジン等のアミン類等を挙げることができる。これらの中和剤の使用量は、少なくともポリエステルを含む樹脂の酸価を中和できる量であればよい。
上記樹脂分散液は、保存安定性及び、本発明の樹脂分散液を用いて得られた熱転写受像シートの保存安定性、離型性の観点から、その固形分のガラス転移点が40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは50〜75℃である。また軟化点は80〜250℃であることが好ましく、より好ましくは120〜220℃である。数平均分子量は、前記ポリエステルの分子量と同様である。
上記樹脂分散液中の固形分濃度は、生産性の観点から、20〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜40重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。また、樹脂分散液の25℃におけるpHは樹脂分散液の保存安定性の観点から、5〜10であることが好ましく、より好ましくは6〜9、更に好ましくは7〜8である。
離型剤
本発明の樹脂分散液は、上記ポリエステルとともに離型剤を含有する。離型剤としては、例えば、水分散性あるいは水溶性の変性シリコーンオイル及び/又は無水珪酸の微粒子のコロイド溶液(例えば、コロイダルシリカ)等を使用することが好ましい。上記無水珪酸の微粒子のコロイド溶液中における平均粒径は熱転写受像シート中の分散性の観点から、100nm以下が好ましく、20nm以下のコロイダルシリカを使用することがより好ましい。本発明の樹脂分散液には、上記離型剤以外に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の離型剤を含有することができる。これらの離型剤は、熱転写受像シートの離型性、染料の染着性の観点から、本発明の樹脂分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部含有することができる。
染料受容層用樹脂分散液
本発明の樹脂分散液は、前記ポリエステルを分散した樹脂分散液、及び前記離型剤を含有する。
また、本発明の樹脂分散液には、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を含有することができる。これらの顔料や充填剤は、熱転写受像シートの白色度の観点から、本発明の樹脂分散液中に、ポリエステルを含む樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部含有することができる。
本発明の樹脂分散液には、更に必要に応じて、例えば、ブチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトールなどの造膜剤、架橋剤、硬化剤、触媒等の添加剤を含有することもできる。
なお、上記本発明の樹脂分散液には、得られるポリエステルが自己分散性を有すること、及び熱転写受像シートの疎水性を向上させる観点から、界面活性剤を含有しないことが好ましい。
[熱転写受像シート]
本発明の熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成してなり、上記染料受容層が、ポリエステルを水性媒体に分散させた樹脂分散液及び離型剤から形成され、前記ポリエステルが、(a)上記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分から得られるものである。
染料受容層
本発明の熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に、上記本発明の樹脂分散液を塗工液として、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって得られる。
以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmの厚さであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、受容層1m2当たり3〜15gであることが好ましい。
染料受容層には、転写時に熱転写シートとの離型性を更に向上させる観点から、離型剤を含む離型層を形成することができる。好ましい離型層としては、ヒドロキシ変性、アミノ変性、カルボキシ変性、メルカプト変性等の各反応性シリコーンを用いることが好ましく、この反応性シリコーンは、必要に応じて架橋剤を用いて架橋させてもよい。
熱転写受像シート
本発明の熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に上記染料受容層を形成してなるものであるが、上記基材としては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種の樹脂のフイルム又はシート等が使用でき、また、これらの樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルムあるいは発泡させた発泡シート等も使用できる。また、上記基材を組み合わせた積層体も使用できる。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。上記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
上記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフイルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
また、熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
[熱転写受像シートの製造方法]
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、(1)ポリエステルを水性媒体に分散させて樹脂分散液を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた樹脂分散液及び離型剤を用いて染料受容層を形成する工程、を含む熱転写受像シートの製造方法であって、前記ポリエステルが、(a)前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分から得られるものである。
工程(1)におけるポリエステル、水性媒体、樹脂分散液及び工程(2)における離型剤の詳細については、前述の通りである。本発明の熱転写受像シートは、前記基材の少なくとも一方の面に、前記工程(1)で得られた樹脂分散液及び離型剤を用いて染料受容層を形成して得られる。基材、染料受容層の詳細についても前述の通りである。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[ポリエステル及び樹脂粒子及び固形分の軟化点及びガラス転移点]
(1)フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[ポリエステルを含む樹脂粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定する。
[ポリエステルを分散した樹脂分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[ポリエステルを分散した樹脂分散液の軟化点及びガラス転移点]
ポリエステルを分散した樹脂分散液を凍結乾燥機(FDU−2100 東京理化器機社製)を用いて−10℃で9時間凍結乾燥させた後、前述のポリエステルの軟化点及びガラス転移点の測定と同様に測定した。
製造例1(ポリエステルaの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1,050g、フマル酸355g、ハイドロキノン1g及びジブチル錫オキサイド1.4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下、210℃で5時間反応させた。減圧下210℃でASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステルaを得た。得られたポリエステルaの軟化点は100℃、ガラス転移点は59℃、酸価は21mgKOH/g、数平均分子量は4280であった。
製造例2(ポリエステルbの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1,040g、ポリオキシエチレン(2.0)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10g、テレフタル酸199g、ジブチル錫オキサイド4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応をした。温度を210℃に冷却し、フマル酸209g、ハイドロキノン1gを加え、5時間反応した後に更に減圧下でASTM D36−86に従って測定した軟化点が110℃に達するまで反応させて、ポリエステルbを得た。得られたポリエステルbの軟化点は108℃、ガラス転移点は69℃、酸価は22mgKOH/g、数平均分子量は4110であった。
製造例3(ポリエステルcの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17,500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16,250g、テレフタル酸11,454g、ドデセニルコハク酸無水物1,608g、トリメリット酸無水物4,800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルcを得た。得られたポリエステルcの軟化点は125℃、ガラス転移点は65℃、酸価は19mgKOH/g、数平均分子量は3580であった。
製造例4(ポリエステルdの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3920g、ポリオキシエチレン(2.0)―2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1560g、ドデセニルコハク酸無水物1672g、テレフタル酸1354g、オクチル酸錫25gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応をした。無水トリメリット酸304gを加え、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルdを得た。得られたポリエステルdの軟化点は115℃、ガラス転移点は57℃、酸価は15mgKOH/g、数平均分子量は4200であった。
製造例5(ポリエステルeの製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン525g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1,950g、テレフタル酸1,552g、グリセリン138g及びオクチル酸錫21gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルeを得た。得られたポリエステルeの軟化点は121℃、ガラス転移点は73℃、酸価は21mgKOH/g、数平均分子量は3870であった。
製造例6(ポリエステルfの製造)
ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6,500g、テレフタル酸2,656g、ジブチル錫オキサイド46gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応をした。無水トリメリット酸384gを加え、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステルfを得た。得られたポリエステルfの軟化点は101℃、ガラス転移点は62℃、酸価は21mgKOH/g、数平均分子量は2660であった。

製造例1〜6で得られたポリエステルa〜fの各々の組成及び性状を下記表1に示す。
Figure 2009073172
製造例7(樹脂分散液Aの製造)
窒素導入管、還流冷却管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコにポリエステルa 300gを入れ、40℃でメチルエチルケトン540gに溶解させた。次いで、25%アンモニア水7.64gを添加して、攪拌下で脱イオン水720gを加えた後、減圧下50℃でメチルエチルケトンを留去し、樹脂分散液Aを得た。得られた樹脂分散液A中の樹脂粒子の体積中位粒径は360nm、固形分は33重量%であり、pHは7.0であった。
製造例8〜12(樹脂分散液B〜Fの製造)
製造例7において、各成分を表2に示すような量にした以外は同様にして、樹脂分散液B〜Fをそれぞれ得た。

製造例7〜12で得られた樹脂分散液A〜Fの各々について、その組成及び性状をまとめて下記表2に示す。各成分に対する値は、その配合量(g)を示す。
Figure 2009073172
実施例1〜4及び比較例1、2(染料受容層用樹脂分散液及び熱転写受像シートの製造)
キャストコート紙(厚さ210μm)に表3に記載の各樹脂分散液及び添加剤を混合して得られた本発明の樹脂分散液の各々を塗工液としてワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように、25℃で塗布した後60℃で乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY ES−1)を用いてモノクロの階調パターン(18階調)を印画した。モノクロの階調パターンとは、L値を0から255まで15刻みで変化させた0.6cm四方のベタ画像である。評価項目は、印字感度、最高濃度、印画時のインクリボンとの熱融着性であり、それぞれ下記のように測定し評価した。結果を表3に示す。なお、表3に示す各数字は各成分の配合量を示し、いずれもグラム(g)を表わす。
評価方法
[印字感度(染料の染着性の評価)]
低濃度印画(9階調目(L=120))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH社製)で測定した。転写色濃度が高い程染料の染着性に優れることを意味する。
[最高濃度(染料の染着性及び転写シートとの離型性の評価)]
高濃度印画(18階調目(L=0))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH社製)で測定した。画像濃度が高い程染料の染着性に優れることを意味する。濃度が高くなるに従い染料の付着量が高くなるが、離型性が劣る場合、画像部の表面状態が不均一となり乱反射が生じるため、高画像濃度が得らない。
[熱融着性(転写シートとの離型性の評価)]
階調パターン印画時のインクリボンと染料受容シートの剥離音から、下記基準で熱融着性を判断した。
A:剥離時に異音はなく、熱転写受容シートとインクリボンとの熱融着に起因する問題もない
B:剥離時に若干の異音が聞こえるものの、熱融着に起因する問題はない
C:熱融着しており、剥離が困難である
Figure 2009073172
本発明の樹脂分散液は、得られる熱転写受像シートへの染料の染着性に優れるとともに、離型性にも優れていることから、画像性能に優れた熱転写受像シートに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 水性媒体中にポリエステルを分散した樹脂分散液、及び離型剤を含有する染料受容層用樹脂分散液であって、該ポリエステルが、(a)式(1)
    Figure 2009073172
    (式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)上記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物中における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分を用いて得られる、染料受容層用樹脂分散液。
  2. 式(1)で表わされる2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物におけるxとyの和の平均値が4未満である、請求項1記載の染料受容層用樹脂分散液。
  3. ポリエステルが、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸を5〜50モル%含有するカルボン酸成分を用いて得られるものである、請求項1又は2に記載の染料受容層用樹脂分散液。
  4. ポリエステルの酸価が5〜35mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の染料受容層用樹脂分散液。
  5. ポリエステルを分散した樹脂分散液中の樹脂粒子の体積中位粒径が1μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の染料受容層用樹脂分散液。
  6. ポリエステルを分散した樹脂分散液中の固形分濃度が20〜45重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の染料受容層用樹脂分散液。
  7. (1)ポリエステルを水性媒体に分散させて樹脂分散液を調製する工程、及び(2)基材の少なくとも一方の面に、工程(1)で得られた樹脂分散液及び離型剤を用いて染料受容層を形成する工程、を含む熱転写受像シートの製造方法であって、前記ポリエステルが、(a)式(1)
    Figure 2009073172
    (式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分から得られる、熱転写受像シートの製造方法。
  8. 基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成してなる熱転写受像シートであって、上記染料受容層が、ポリエステルを水性媒体中に分散させた樹脂分散液及び離型剤から形成され、前記ポリエステルが、(a)式(1)
    Figure 2009073172
    (式中、ROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、かつxとyの和の平均値が2〜7である。)
    で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を80モル%以上含有し、かつ(b)該2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物における、エチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の含有比率(エチレンオキサイド付加物/プロピレンオキサイド付加物)がモル比で50/50〜0/100であるアルコール成分から得られる、熱転写受像シート。
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