JP2010090761A - 内燃機関のegrクーラ - Google Patents

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Abstract

【課題】EGRクーラの冷却効率の低下を抑制する技術を提供する。
【解決手段】EGRガスと冷媒との熱交換によってEGRガスを冷却するEGRクーラであって、前記EGRクーラは、EGRガスと冷媒との熱的な接触部におけるEGRガスの流通側の壁面にコーティング材がコートされ、前記コーティング材は、EGRガスの流通により前記コーティング材が経時的に劣化することによる前記接触部を介した熱伝導の効率の上昇度合と、EGRガスの流通により前記接触部におけるEGRガスの流通側の壁面へ排気成分が付着することによる前記接触部を介した熱伝導の効率の低下度合と、が略同等となるように、コートされる。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関のEGRクーラに関する。
ディーゼルエンジンでは、燃焼温度を抑制してNOxを低減する目的で排気の一部を吸気系に戻すEGRが行われている。EGRによるNOx低減効果を高めるためには、EGRガスの流通経路上にEGRクーラを備えてEGRガスを冷却することが有効である。
EGRクーラ内壁に排気中の煤が付着するとEGRガスの冷却効率が低下してEGRガス量が減少するため、NOx低減効果が落ちる。これに対して、EGRクーラの排気流通路に煤の付着防止効果に優れるコーティング材をコートする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−330394号公報
煤の付着防止効果の高いコーティング材をコートしても、EGRクーラ内における煤の堆積を完全に防止することは困難であり、煤の堆積に伴ってEGRクーラの冷却効率が低下してエミッションが悪化する虞があった。また、EGRクーラに煤が堆積してEGRクーラの冷却効率が最も低下した場合においても排気規制に適合するように、例えば噴射時期をリタードする燃焼制御を行うため、EGRクーラが新品時の燃費性能が制限されるという問題もあった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、EGRクーラの冷却効率の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関のEGRクーラは、
EGRガスと冷媒との熱交換によってEGRガスを冷却するEGRクーラであって、
前記EGRクーラは、EGRガスと冷媒との熱的な接触部におけるEGRガスの流通側の壁面にコーティング材がコートされ、
前記コーティング材は、
EGRガスの流通により前記コーティング材が経時的に劣化することによる前記接触部を介した熱伝導の効率の上昇度合と、
EGRガスの流通により前記接触部におけるEGRガスの流通側の壁面へ排気成分が付着することによる前記接触部を介した熱伝導の効率の低下度合と、
が略同等となるように、コートされることを特徴とする。
EGRガスと冷媒との熱的な接触部とは、例えば、EGRガスの流通路内に冷媒の流通路が設けられる構成では、EGRガスの流通路と冷媒の流通路とを隔てる隔壁である。
この接触部におけるEGRガスの流通側の壁面にコートされたコーティング材は、酸性の排気成分や排気の熱によって経時的に劣化して減少していく。コーティング材の減少に伴ってEGRガスと冷媒との熱交換に対する抵抗が減少するため、接触部を介した熱伝導の効率は上昇する。すなわち、EGRクーラにおけるEGRガスの冷却効率が上昇する。
一方、接触部におけるEGRガスの流通側の壁面には排気成分が付着・堆積していく。
排気成分としては、煤や未燃燃料(炭化水素)などが挙げられる。このような排気成分の壁面への付着・堆積に伴ってEGRガスと冷媒との熱交換に対する抵抗が増大するため、接触部を介した熱伝導の効率は低下する。すなわち、EGRクーラにおけるEGRガスの冷却効率が低下する。
EGRクーラが新品に近い使用過程初期においては、コーティング材はほとんど劣化していないため、コーティング材の存在によりEGRガスの冷却効率が制限される一方、排気成分はまだほとんど付着・堆積していないため、排気成分の存在によるEGRガスの冷却効率の低下は少ない。
一方、EGRクーラの使用期間が長くなるに従い、コーティング材が徐々に劣化していくため、コーティング材の減少によりEGRガスの冷却効率が高くなっていく一方、排気成分の付着・堆積量が増大によりEGRガスの冷却効率が低くなっていく。
本発明においては、このようなコーティング材の経時劣化に伴うEGRガスの冷却効率の上昇の度合と、EGRクーラ内壁面への排気成分の付着・堆積に伴うEGRガスの冷却効率の低下の度合と、が略同等となるように、コーティング材がコートされるので、EGRクーラの新品時から、長期の使用過程に亘って、常に略一定のEGRガスの冷却効率を維持することができる。
従って、EGRクーラの新品時における燃費性能が制限されないような燃焼制御を行うことができる。
本発明におけるコーティング材としては、前記接触部を構成する材料の熱伝導率よりその熱伝導率が低く、EGRガスに対する耐食性が所定レベルより低いものを用いると良い。
耐食性が所定レベルより低いとは、長期間のEGRガスの流通に伴う経時的な排気成分の付着・堆積による接触部における熱伝導率の低下度合と、同程度の熱伝導率の上昇をもたらすような劣化が、経時的にコーティング材に生じるような耐食性である。
接触部を構成する材料より熱伝導率が低いコーティング材を接触部壁面にコートすることにより、当該接触部を介したEGRガスと冷媒との熱交換の効率は、コーティング材をコートしない場合よりも低くなる。そして、接触部における熱伝導率は、コーティング材の劣化に伴って、接触部を構成する材料の熱伝導率と等しい熱伝導率に向かって徐々に増加していくことになる。
EGRガスに対する耐食性が比較的弱いコーティング材をコートするので、EGRクーラの使用過程での経時的なコーティング材の劣化が確実に起こるようになる。これにより、接触部における排気成分の付着・堆積による熱伝導の効率の低下と好適にバランスするように、接触部におけるコーティング材の劣化由来の熱伝導率の上昇を生じせしめることが可能となる。
上述したように、接触部におけるEGRガスと冷媒との間の熱伝導の効率は、接触部における排気成分の付着・堆積により低下する。本発明は、この低下の度合を相殺するような熱伝導率の上昇が生じるように、比較的耐食性の弱いコーティング材を接触部にコートすることを特徴とする技術である。
ここで、接触部の壁面に付着する排気成分量は、EGRクーラ内の位置や排気成分の種類に応じたばらつきが生じる。従って、排気成分の付着に起因する熱伝導の効率の低下度
合も、EGRクーラ内の位置や排気成分の種類に応じてばらつくと考えられる。従って、コーティング材は、このEGRクーラ内の位置や排気成分の種類に応じた熱伝導の効率の低下度合のばらつき応じて、接触部壁面にコートすることが好ましい。
例えば、EGRガスの流通により前記接触部の壁面に付着する排気成分量のEGRクーラ内の位置によるばらつきに応じて、前記コーティング材の厚みを異ならせるようにすると良い。
接触部における排気成分の付着量が多い箇所ほど、熱伝導の効率の低下の度合が大きい。従って、そのような箇所は熱伝導の効率の上昇が生じ易くなるように、言い換えると、コーティング材の劣化が進行し易くなるように、コーティング材の厚みを薄くすると良い。逆に、接触部における排気成分の付着量が少ない箇所では、熱伝導の効率の低下の度合が小さいので、コーティング材の劣化が進行しにくくなるように、コーティング材の厚みを厚くすると良い。
例えば、排気中の煤は、EGRクーラの入口に近いほど壁面に堆積し易い。従って、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下の度合は、EGRクーラの入口に近い位置ほど大きい。よって、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下を好適に相殺するような熱伝導の効率の上昇を、コーティング材の劣化によって生じせしめるためには、EGRクーラのEGRガスの流入口からの距離が短いほど、コーティング材の厚みを薄くすると良い。
こうすることにより、煤の堆積に起因して熱伝導の効率が低下し易いEGRクーラの入口に近い位置ほど、コーティング材の劣化が進行し易くなるので、コーティング材の劣化に起因して経時的に熱伝導の効率が上昇し易くなる。よって、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。
排気中の未燃燃料等の炭化水素(HC)は、EGRクーラの入口から遠いほど壁面に付着し易い。これは、EGRクーラの入口から遠いほど温度が低いからである。EGRクーラにおけるHCの付着は、例えば、酸化触媒後の排気をEGRガスとして取り出すように構成されたEGRシステム(例えばLPL−EGRシステム)において、酸化触媒が活性化していない低温条件で、起こり易い。
HCの付着に起因する熱伝導の効率の低下の度合は、EGRクーラの入口から遠い位置ほど大きい。よって、HCの付着に起因する熱伝導の効率の低下を好適に相殺するような熱伝導の効率の上昇を、コーティング材の劣化によって生じせしめるためには、EGRクーラのEGRガスの流入口からの距離が長いほど、コーティング材の厚みを薄くすると良い。
こうすることにより、HCの付着に起因して熱伝導の効率が低下し易いEGRクーラの入口から遠い位置ほど、コーティング材の劣化が進行し易くなるので、コーティング材の劣化に起因して経時的に熱伝導の効率が上昇し易くなる。よって、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。
また、煤はEGRクーラの中心軸付近ほど堆積し易い。従って、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下の度合は、EGRクーラの中心軸に近い位置ほど大きい。よって、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下を好適に相殺するような熱伝導の効率の上昇を、コーティング材の劣化によって生じせしめるためには、EGRクーラの中心軸からの距離が短いほど、コーティング材の厚みを薄くすると良い。
こうすることにより、煤の堆積に起因して熱伝導の効率が低下し易いEGRクーラの中
心軸から近い位置ほど、コーティング材の劣化が進行し易くなるので、コーティング材の劣化に起因して経時的に熱伝導の効率が上昇し易くなる。よって、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。
以上のように、EGRクーラ内の位置による煤やHCの付着・堆積量のばらつきに応じて、コーティング材の厚みを異ならせることにより、EGRクーラの全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。すなわち、EGRガスの冷却効率の時間的(経時的)な変動のみならず空間的な変動をも抑制することが可能となり、より一層の燃費の向上が可能となる。
また、本発明において、EGRクーラ内の位置や排気成分の種類に応じた熱伝導の効率の低下度合のばらつきに応じてコーティング材をコートするために、
前記コーティング材は、EGRガスに対する耐食性が比較的弱い第1成分と、EGRガスに対する耐食性が比較的強い第2成分と、を含み、
EGRガスの流通により前記接触部の壁面に付着する排気成分量のEGRクーラ内の位置によるばらつきに応じて、前記コーティング材の前記第1成分と前記第2成分との成分比率を異ならせるようにしても良い。
接触部における排気成分の付着量が多い箇所ほど、熱伝導の効率の低下の度合が大きいので、そのような箇所は熱伝導の効率の上昇が生じ易くなるように、言い換えると、コーティング材の劣化が進行し易くなるように、コーティング材の成分構成において、耐食性の弱い第1成分の比率を高くすると良い。逆に、接触部における排気成分の付着量が少ない箇所では、熱伝導の効率の低下の度合が小さいので、コーティング材の劣化が進行しにくくなるように、コーティング材の成分構成において、耐食性の強い第2成分の比率を高くすると良い。
例えば、排気中の煤はEGRクーラの入口に近いほど壁面に堆積し易い。従って、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下の度合は、EGRクーラの入口に近い位置ほど大きい。よって、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下を好適に相殺するような熱伝導の効率の上昇を、コーティング材の劣化によって生じせしめるためには、EGRクーラのEGRガスの流入口からの距離が短いほど、耐食性の弱い第1成分の比率を高くすると良い。
こうすることにより、煤の堆積に起因して熱伝導の効率が低下し易いEGRクーラの入口に近い位置ほど、コーティング材の劣化が進行し易くなるので、コーティング材の劣化に起因して経時的に熱伝導の効率が上昇し易くなる。よって、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。
排気中のHCは、上述したように、EGRクーラの入口から遠いほど壁面に付着し易い。従って、HCの付着に起因する熱伝導の効率の低下の度合は、EGRクーラの入口から遠い位置ほど大きい。よって、HCの付着に起因する熱伝導の効率の低下を好適に相殺するような熱伝導の効率の上昇を、コーティング材の劣化によって生じせしめるためには、EGRクーラのEGRガスの流入口からの距離が長いほど、耐食性の弱い第1成分の比率を高くすると良い。
こうすることにより、HCの付着に起因して熱伝導の効率が低下し易いEGRクーラの入口から遠い位置ほど、コーティング材の劣化が進行し易くなるので、コーティング材の劣化に起因して経時的に熱伝導の効率が上昇し易くなる。よって、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。
また、煤はEGRクーラの中心軸付近ほど堆積し易い。従って、煤の堆積に起因する熱
伝導の効率の低下の度合は、EGRクーラの中心軸に近い位置ほど大きい。よって、煤の堆積に起因する熱伝導の効率の低下を好適に相殺するような熱伝導の効率の上昇を、コーティング材の劣化によって生じせしめるためには、EGRクーラの中心軸からの距離が短いほど、耐食性の弱い第1成分の比率を高くすると良い。
こうすることにより、煤の堆積に起因して熱伝導の効率が低下し易いEGRクーラの中心軸から近い位置ほど、コーティング材の劣化が進行し易くなるので、コーティング材の劣化に起因して経時的に熱伝導の効率が上昇し易くなる。よって、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。
以上のように、EGRクーラ内の位置による煤やHCの付着・堆積量のばらつきに応じて、コーティング材の成分比率を異ならせることにより、EGRクーラ全体に亘って、EGRガスの冷却効率を一定にすることが可能となる。すなわち、EGRガスの冷却効率の時間的(経時的)な変動のみならず空間的な変動をも抑制することが可能となり、より一層の燃費の向上が可能となる。
EGRガスに対する耐食性が比較的弱い第1成分としては、例えば、アルミナ−チタン・カーバイド系セラミック(Al−TiC)を例示できる。また、EGRガスに対する耐食性が強い第2成分としては、例えば、アルミナ系セラミック(Al)を例示できる。
本発明により、EGRクーラの冷却効率の低下を抑制することが可能になる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明に係るEGRクーラを適用する内燃機関及びその吸気系、排気系の概略構成を模式的に示す概念図である。
エンジン1は4つの気筒4を有するディーゼルエンジンである。各気筒4には筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁10が備えられている。
各気筒4は図示しない吸気ポートを介して吸気マニホールド17に連通している。吸気マニホールド17は吸気通路2に接続している。吸気通路2には後述するEGR通路26が接続され、その上流側にスロットル弁9が備えられ、その上流側にインタークーラ6が備えられ、その上流側にターボチャージャ13のコンプレッサ11が備えられ、その上流側にエアフローメータ7が備えられている。
各気筒4は図示しない排気ポートを介して排気マニホールド18に連通している。排気マニホールド18は排気通路3に接続している。排気通路3にはEGR通路26、その下流側にターボチャージャ13のタービン12、その下流側に排気浄化装置8が備えられている。排気浄化装置8は、ディーゼルパティキュレートフィルタ、酸化触媒、吸蔵還元型NOx触媒等を含んで構成される。
EGR通26は、排気通路3と吸気通路2とを連通し、エンジン1からの排気の一部を取り出してEGRガスとして吸気通路2に流入させる。EGR通路26には、EGR通路
26内を流通するEGRガスを冷却するEGRクーラ27が備えられている。EGRクーラ27より下流側(吸気通路2側)にはEGRガス量を調節するEGR弁25が備えられている。
エンジン1には、アクセルペダル22の開度を測定するアクセル開度センサ19、エンジン1のクランクシャフトの回転角度を測定するクランク角度センサ20が備えられている。
エンジン1には、エンジン1の運転状態を制御するコンピュータユニットであるECU16が備えられている。ECU16は制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納したROM、測定データや演算結果を一時的に格納するRAM等を有する。ECU16には上述したエアフローメータ7、アクセル開度センサ19、クランク角度センサ20の他、各種センサが接続され、それら各センサによる計測値がECU16に入力される。また、ECU16には上述した燃料噴射弁10、スロットル弁9、EGR弁25の他、各種機器が接続され、それら各機器の動作がECU16からの制御信号により制御される。
図2は、EGRクーラ27の断面図を表す図である。図2に示すように、EGRクーラ27内部は、EGRガスが流通するEGRガス流路28と、冷媒であるエンジン1の冷却水が流通する冷却水流路29と、が形成されており、両者の間の隔壁30を介して、EGRガスと冷媒との間で熱交換が行われることにより、EGRガスが冷却される。隔壁30が本発明における「EGRガスと冷媒との熱的な接触部」に相当する。
隔壁30のEGRガス流路28側の壁面には、経時的にEGRガス中の煤が堆積し、隔壁30を介したEGRガスと冷媒との熱交換の効率を低下させ、EGRガス量が減少する要因となる。図3は、EGRクーラ27の使用期間とEGRガス量との関係を示す図である。図3の横軸はEGRクーラ27の使用期間を月単位で示し、縦軸はEGRガス量を示している。図3に示すように、EGRクーラ27の使用期間が長くなるにつれて、EGRガス量が低下していく。
EGRガス量が減少すると十分なNOx低減効果が得られなくなる。従来、このようにEGRガス量の減少によりNOx低減効果が低下した条件下においても、排気規制に適合可能なように、燃料噴射時期をリタードする等の燃焼制御を行うことによって、EGRクーラの長期に亘る使用過程において排気規制に適合するようにしていた。
しかしながら、そのようなNOx低減効果の最も不利な条件で燃焼制御を適合させると、EGRクーラの新品時における燃費性能が制限されるという問題がある。図4は、EGRクーラが新品の状態と、EGRクーラに煤が堆積してEGRガス量が減少した状態と、のそれぞれの状態においてこのような燃焼制御を行った場合の筒内圧の変化の様子を示す図である。図4の横軸はクランク角度を表し、縦軸は筒内圧を表す。図4に示すように、EGRクーラに煤が堆積してEGRガス量が減少した状態において、NOx排出量が排気規制に適合するように、燃料噴射時期をリタードしておくと、EGRクーラに煤が堆積していない新品状態では筒内圧が十分に上昇せず、燃費の面で不利になる。
このような問題に鑑みて、本実施例では、EGRクーラ27内の隔壁30のEGRガス流路28側の壁面に、隔壁30を構成する材料の熱伝導率よりその熱伝導率が低く、且つ、EGRガス中の硝酸等の酸性成分に対する耐食性が強過ぎないコーティング材をコートし、コーティング材が経時的に劣化していくようにした。
このコーティング材は、硝酸などの排気成分や排気の熱によって経時的に劣化して減少
していく。コーティング材の減少に伴ってEGRガスと冷却水との熱交換に対する抵抗が減少するため、隔壁30を介した熱伝導の効率は上昇する。すなわち、経時的にEGRクーラ27におけるEGRガスの冷却効率が上昇する。
一方、隔壁30におけるEGRガス流路28側の壁面には排気中の煤が堆積していく。煤の堆積に伴ってEGRガスと冷却水との熱交換に対する抵抗が増大するため、隔壁30を介した熱伝導の効率は低下する。すなわち、経時的にEGRクーラ27におけるEGRガスの冷却効率が低下する。
EGRクーラ27が新品に近い使用過程初期においては、コーティング材はほとんど劣化していないため、コーティング材の存在によりEGRガスの冷却効率が制限される一方、煤はまだほとんど堆積していないため、煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の低下は少ない。
一方、EGRクーラ27の使用期間が長くなるに従い、コーティング材が徐々に劣化していくため、コーティング材の減少によりEGRガスの冷却効率が高くなっていく一方、煤の堆積量の増大によりEGRガスの冷却効率は低くなっていく。
本実施例では、このようなコーティング材の経時的な劣化に伴うEGRガスの冷却効率の上昇の度合と、EGRクーラ27の隔壁30のEGRガス流路28側の壁面への煤の堆積に伴うEGRガスの冷却効率の低下の度合と、が略同等となるように、コーティング材をコートするようにした。
ここで、EGRクーラ27の入口からの距離と煤の堆積量との関係を図5に示す。図5において、横軸はEGRクーラ27の入口からの距離xを表し、縦軸は煤の堆積量を表す。EGRクーラ27の入口からの距離xは、図6に示すように、EGRクーラ27の入口を原点として張ったEGRガスの流れる向き(図6の矢印の向き)を正とする座標軸上の値である。図5に示すように、EGRクーラ27の入口からの距離が短い箇所では、煤が堆積し易く、従って煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が起こり易い。一方、EGRクーラ27の入口からの距離が長くなるほど、煤が溜まりにくくなるので、煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下は起こりにくくなる。すなわち、EGRクーラ27の入口側ほど、煤の堆積に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な低下の度合が大きくなる。
そこで、本実施例では、EGRクーラ27の入口からの距離が短いほど、コーティング材の厚さを薄くするようにした。図7は、EGRクーラ27の入口からの距離とコーティング材の厚さとの関係を表す図である。図7の横軸はEGRクーラ27の入口からの距離xを表し、縦軸はコーティング材の厚さを表す。
コーティング材の厚さが薄い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こり易い。従って、コーティング材の劣化によってEGRガスの冷却効率が経時的に上昇し易い。一方、コーティング材の厚さが厚い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こりにくいので、EGRガスの冷却効率の経時的な上昇が起こりにくい。よって、図7に示すように、EGRクーラ27の入口側ほどコーティング材の厚さを薄くすることにより、EGRクーラ27の入口側ほど、コーティング材の劣化に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な上昇の度合が大きくなる。
本実施例では、煤の堆積に起因する経時的なEGRガスの冷却効率の低下度合と略同等の度合のEGRガスの冷却効率の上昇が、コーティング材の劣化に起因して経時的に生じるように、耐食性の強過ぎないコーティング材を、EGRクーラ27における煤の堆積量
のEGRクーラ27の入口からの距離によるばらつきに応じてその厚みを異ならせて、コーティング材をコートするようにした。
こうすることで、煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が、コーティング材の劣化による経時的なEGRガスの冷却効率の上昇によって相殺され、結果としてEGRクーラ27のEGRガスの冷却効率が時間的に一定に保たれる。また、EGRクーラ27のEGRガスの流れ方向の位置の相違による煤の堆積量のばらつきに応じて、コーティング材の厚さを異ならせるようにしたので、EGRクーラ27のEGRガスの冷却効率が空間的にも一定に保たれる。
このように、本実施例のEGRクーラ27においては、EGRガスの冷却効率の経時的な変動やEGRクーラ27内の位置によるばらつきを抑制することができるので、EGRクーラ27の新品状態と長期間の使用過程を経た後とで、EGRガス量の変動を抑制することができる。従って、EGRクーラ27の新品状態においても長期間の使用過程を経た後においても燃費を最適化するとともに排気規制に適合させることも可能な燃焼制御を行うことが可能となる。
実施例1では、EGRクーラ27における煤の堆積による経時的な冷却効率の低下の度合を相殺するような冷却効率の上昇が、コーティング材の経時的な劣化によってもたらされるようにするために、煤の堆積し易い箇所ほどコーティング材の厚さを薄くする例について説明した。
本実施例では、コーティング材の経時的な劣化に伴うEGRガスの冷却効率の上昇の度合と、EGRクーラ27の隔壁30のEGRガス流路28側の壁面への煤の堆積に伴うEGRガスの冷却効率の低下の度合と、が略同等となるように、煤の堆積し易さに応じてコーティング材の成分比率を異ならせてコーティング材をコートする例について説明する。
本実施例では、EGRガス中の酸性成分に対する耐食性が強いアルミナ系セラミック(Al)と、EGRガス中の酸性成分に対する耐食性がアルミナ系セラミックと比較して弱いアルミナ・チタン・カーバイド系セラミック(Al−TiC)と、の複数の成分を主要成分として含有するコーティング材を、EGRクーラ27内のEGRガス流路28と冷却水流路29との隔壁30におけるEGRガス流路28側の壁面にコートする。そして、当該隔壁30の壁面において、煤が堆積し易く、経時的にEGRガスの冷却効率が低下し易い箇所ほど、耐食性の比較的弱いAl−TiCの成分比率を高くするようにした。
図8は、EGRクーラ27の入口からの距離とコーティング材のAl−TiCの成分比率との関係を表す図である。図8の横軸はEGRクーラ27の入口からの距離xを表し、縦軸はコーティング材のAl−TiCの成分比率を表す。
コーティング材のAl−TiCの成分比率が高い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こり易い。従って、コーティング材の劣化によってEGRガスの冷却効率が経時的に上昇し易い。一方、コーティング材のAl−TiCの成分比率が低い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こりにくいので、EGRガスの冷却効率の経時的な上昇が起こりにくい。よって、図8に示すように、EGRクーラ27の入口側ほどコーティング材のAl−TiCの成分比率を高くすることにより、EGRクーラ27の入口側ほど、コーティング材の劣化に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な上昇の度合が大きくなる。
本実施例では、煤の堆積に起因する経時的なEGRガスの冷却効率の低下度合と略同等の度合のEGRガスの冷却効率の上昇が、コーティング材の劣化に起因して経時的に生じるように、コーティング材における耐食性の比較的弱いAl−TiCの成分比率を、EGRクーラ27における煤の堆積量のばらつきに応じて異ならせたコーティング材をコートするようにした。
こうすることで、煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が、コーティング材の劣化による経時的なEGRガスの冷却効率の上昇によって相殺され、結果としてEGRクーラ27のEGRガスの冷却効率が時間的に一定に保たれる。また、EGRクーラ27のEGRガスの流れ方向の位置の相違による煤の堆積量のばらつきに応じて、コーティング材における耐食性の比較的弱い成分の比率を異ならせるようにしたので、EGRクーラ27のEGRガスの冷却効率が空間的にも一定に保たれる。
従って、本実施例においても、EGRクーラ27のEGRガスの冷却効率の経時的な変動やEGRクーラ27内の位置によるばらつきを抑制することができるので、EGRクーラ27の新品時から長期の使用過程に亘って、排気規制に適合しかつ燃費を最適化する燃焼制御を行うことが可能となる。
上記各実施例では、EGRクーラ27内のEGRガスの流れ方向の位置の相違による煤の堆積量のばらつきに応じて、コーティング材の厚さやコーティング材の成分比率を異ならせることにより、EGRクーラ27のEGRガス冷却効率の空間的なばらつきを抑制する例について説明したが、煤の堆積量のばらつきは、EGRクーラ27の中心軸からの距離によっても生じる。
EGRクーラ27の中心軸からの距離と煤の堆積量との関係を図9に示す。図9において、横軸はEGRクーラ27の中心軸からの距離rを表し、縦軸は煤の堆積量を表す。EGRクーラ27の中心軸からの距離rは、図2に示すように、EGRクーラ27の中心軸を原点として外側に向かう径方向の座標軸上の値である。図9に示すように、EGRクーラ27の中心軸に近い箇所では、煤が堆積し易く、従って煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が起こり易い。一方、EGRクーラ27の中心軸から遠くなるほど(外側に近くなるほど)、煤が溜まりにくくなるので、煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下は起こりにくくなる。すなわち、EGRクーラ27の中心軸側ほど、煤の堆積に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な低下の度合が大きくなる。
そこで、本実施例では、EGRクーラ27の中心軸からの距離が短いほど、コーティング材の厚さを薄くするようにした。図10は、EGRクーラ27の中心軸からの距離とコーティング材の厚さとの関係を表す図である。図10の横軸はEGRクーラ27の中心軸からの距離rを表し、縦軸はコーティング材の厚さを表す。
上述したように、コーティング材の厚さが薄い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こり易く、コーティング材の劣化によるEGRガスの冷却効率の経時的な上昇が生じ易い。一方、コーティング材の厚さが厚い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こりにくく、コーティング材の劣化によるEGRガスの冷却効率の経時的な上昇が生じにくい。よって、図10に示すように、EGRクーラ27の中心軸側ほどコーティング材の厚さを薄くすることにより、EGRクーラ27の中心軸側ほど、コーティング材の劣化に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な上昇の度合が大きくなる。
このように、本実施例では、煤の堆積に起因する経時的なEGRガスの冷却効率の低下
度合と略同等の度合のEGRガスの冷却効率の上昇が、コーティング材の劣化に起因して経時的に生じるように、耐食性の強過ぎないコーティング材を、EGRクーラ27における煤の堆積量のEGRクーラ27の中心軸からの距離によるばらつきに応じてその厚みを異ならせて、コーティング材をコートするようにした
こうすることで、煤の堆積によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が、コーティング材の劣化による経時的なEGRガスの冷却効率の上昇によって相殺され、結果としてEGRクーラ27のEGRガスの冷却効率が時間的に一定に保たれる。また、EGRクーラ27の中心軸からの距離の相違による煤の堆積量のばらつきに応じて、コーティング材の厚さを異ならせるようにしたので、EGRクーラ27のEGRガスの冷却効率が空間的にも一定に保たれる。
なお、本実施例では、EGRクーラ27の中心軸からの距離に応じてコーティング材の厚さを異ならせることによって、EGRクーラ27における煤の堆積に起因する冷却効率の低下度合のEGRクーラ27の中心軸からの距離によるばらつきを吸収するようにしたが、実施例2と同様に、コーティング材における耐食性の異なる2つの成分の混合比率をEGRクーラ27の中心軸からの距離に応じて異ならせることによって、当該冷却効率の低下度合のばらつきを吸収するようにしても良い。
その場合、EGRクーラ27の中心軸からの距離が短いほど、コーティング材における耐食性の比較的弱いAl−TiCの成分比率を高くするようにすればよい。
次に、本発明をLPL−EGRシステムに適用した例について説明する。
図11は、LPL−EGRシステムを備えたエンジンの概略構成を示す図である。図11において、図1で説明したエンジン構成と実質的に同一の構成要素については、同一の名称及び符号を用いて詳細な説明を割愛する。
図11に示すシステムでは、図1で説明したEGR通路26とは別の系統のEGRシステムを備える。排気浄化装置8より下流側の排気通路3と、コンプレッサ11より上流側の吸気通路2とを連通し、エンジン1から排出されて排気浄化装置8を通過した排気の一部を取り出してEGRガスとして吸気通路2に流入させるLPL−EGR通路36を備える。LPL−EGR通路36には、LPL−EGR通路36内を流通するEGRガスを冷却するLPL−EGRクーラ37が備えられている。LPL−EGRクーラ37より下流側(吸気通路2側)にはEGRガス量を調節するLPL−EGR弁35が備えられている。LPL−EGR弁35の開度はECU16によって制御される。LPL−EGRクーラ37も、図2に示したEGRクーラ27と同様の構造を有し、その内部にEGRガス流路28及び冷却水流路29を有し、両者が隔壁30によって物理的に隔てられ、且つ熱的に接触している。
LPL−EGR通路36を流通するEGRガスは、上記のように排気浄化装置8を通過した排気であり、含有する煤の大部分が排気浄化装置8のディーゼルパティキュレートフィルによって捕集された排気である。従って、LPL−EGR通路36に設けられたLPL−EGRクーラ37においては、上記各実施例で説明したような、EGRガス量の顕著な低下をもたらすほどの煤の堆積は起こりにくい。
しかしながら、排気浄化装置8に含まれる酸化触媒が十分に活性化していない場合等においては、排気中の未燃燃料(炭化水素、HC)が排気浄化装置8において十分に除去されないので、HCを多く含む排気がLPL−EGRクーラ37に流入することになる。従
って、LPL−EGRクーラ37において、隔壁30のEGR流路28側の壁面には、HCが付着する。HCが付着すると、煤が堆積した場合と同様に、EGRガスと冷却水との隔壁30を介した熱交換に対する抵抗となり、LPL−EGRクーラ37のEGRガスの冷却効率が低下する要因となる。
従って、本実施例では、LPL−EGRクーラ37におけるHCの付着による経時的な冷却効率の低下の度合と、コーティング材の経時的な劣化に伴うEGRガスの冷却効率の上昇の度合と、が略同等となるように、コーティング材をコートすることとした。
ここで、LPL−EGRクーラ37の入口からの距離とHCの付着量との関係を図12に示す。図12において、横軸はLPL−EGRクーラ37の入口からの距離xを表し、縦軸はHCの付着量を表す。LPL−EGRクーラ37の入口からの距離xは、図6に示したEGRクーラ27の場合と同様に、LPL−EGRクーラ37の入口を原点として張ったEGRガスの流れる向きを正とする座標軸上の値である。LPL−EGRクーラ37の入口側ほど温度が高く、入口から離れるほど温度が低くなる。HCは低温の場所ほど付着し易いので、図12に示すように、LPL−EGRクーラ37の入口からの距離が短い箇所では、HCが付着しにくく、従ってHCの付着によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が起こりにくい。一方、LPL−EGRクーラ37の入口からの距離が長くなるほど、HCが付着し易くなるので、HCの付着によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が起こり易くなる。すなわち、LPL−EGRクーラ37の入口から離れるほど、HCの付着に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な低下の度合が大きくなる。
そこで、本実施例では、LPL−EGRクーラ37の入口からの距離が長いほど、コーティング材の厚さを薄くするようにした。図13は、LPL−EGRクーラ37の入口からの距離とコーティング材の厚さとの関係を表す図である。図13の横軸はLPL−EGRクーラ37の入口からの距離xを表し、縦軸はコーティング材の厚さを表す。
コーティング材の厚さが薄い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こり易い。従って、コーティング材の劣化によってEGRガスの冷却効率が経時的に上昇し易い。一方、コーティング材の厚さが厚い箇所では、EGRガス中の酸性成分によるコーティング材の劣化が起こりにくいので、EGRガスの冷却効率の経時的な上昇が起こりにくい。よって、図13に示すように、LPL−EGRクーラ37の出口側ほどコーティング材の厚さを薄くすることにより、LPL−EGRクーラ37の出口側ほど、コーティング材の劣化に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な上昇の度合が大きくなる。
本実施例では、HCの付着に起因するEGRガスの冷却効率の経時的な低下度合と略同等の度合のEGRガスの冷却効率の上昇が、コーティング材の劣化に起因して経時的に生じるように、耐食性の強過ぎないコーティング材を、LPL−EGRクーラ37におけるHCの付着量のLPL−EGRクーラ37の入口からの距離によるばらつきに応じてその厚みを異ならせて、コーティング材をコートするようにした。
こうすることで、HCの付着によるEGRガスの冷却効率の経時的な低下が、コーティング材の劣化による経時的なEGRガスの冷却効率の上昇によって相殺され、結果としてLPL−EGRクーラ37のEGRガスの冷却効率が時間的に一定に保たれる。また、LPL−EGRクーラ37のEGRガスの流れ方向の位置の相違によるHCの付着量のばらつきに応じて、コーティング材の厚さを異ならせるようにしたので、LPL−EGRクーラ37のEGRガスの冷却効率が空間的にも一定に保たれる。
このように、本実施例のLPL−EGRクーラ37においては、EGRガスの冷却効率
の経時的な変動やLPL−EGRクーラ37内の位置によるばらつきを抑制することができるので、LPL−EGRクーラ37の新品状態と長期間の使用過程を経た後とで、EGRガス量の変動を抑制することができる。従って、LPL−EGRクーラ37の新品状態においても長期間の使用過程を経た後においても燃費を最適化するとともに排気規制に適合させることも可能な燃焼制御を行うことが可能となる。
なお、LPL−EGRクーラ37に本発明を適用する場合においても、EGRクーラ27についての上記各実施例と同様に、LPL−EGRクーラ37内の位置によるHCの付着量のばらつきに応じて、コーティング材における耐食性の比較的弱いAl−TiCの成分比率を異ならせるようにしても良い。その場合、上述のようにLPL−EGRクーラ37の入口からの距離が長くなるほどHCの付着量が多くなる傾向があるので、LPL−EGRクーラ37の入口からの距離が長くなるほど、耐食性の比較的弱いAl−TiCの成分比率を高くすると良い。
また、LPL−EGRクーラ37内の中心軸からの距離の相違によるHCの付着量のばらつきに応じて、コーティング材の厚さや耐食性に弱い成分比率を異ならせるようにしても良い。
なお、以上述べた実施例は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施例には種々の変更を加え得る。例えば、上記の各実施例ではEGRクーラの入口からの距離xに対してコーティングの厚さやAl−TiCの成分比率を連続的且つリニアに変化させる例について説明したが、距離xに対してこれらの量を段階的に変化させても良いし、リニアでない関数関係で変化させても良い。例えば、実施例1の場合であれば距離xの増加に対してコーティング厚さを厚くする、実施例2の場合であれば距離xの増加に対してAl−TiCの成分比率を低くする、という変化の傾向であれば、どのような変化のさせ方であっても良い。
実施例1〜3におけるエンジン及びその吸気系・排気系の概略構成を示す図である。 EGRクーラ及びLPL−EGRクーラの断面図である。 EGRクーラの使用期間とEGRガス量との関係を示す図である。 EGRクーラが新品状態の場合とEGRクーラに煤が堆積した状態とのそれぞれの場合における筒内圧の変化を表す図である。 EGRクーラの入口からの距離と煤の堆積量との関係を表す図である。 EGRクーラの入口からの距離を表す座標を示す図である。 EGRクーラの入口からの距離とコーティング材の厚さとの関係を表す図である。 EGRクーラの入口からの距離とコーティング材におけるAl−TiCの成分比率との関係を表す図である。 EGRクーラの中心軸からの距離と煤の堆積量との関係を表す図である。 EGRクーラの中心軸からの距離とコーティング材の厚さとの関係を表す図である。 実施例4におけるエンジン及びその吸気系・排気系の概略構成を示す図である。 LPL−EGRクーラの入口からの距離とHCの付着量との関係を表す図である。 LPL−EGRクーラの入口からの距離とコーティング材の厚さとの関係を表す図である。
符号の説明
1 エンジン
2 吸気通路
3 排気通路
4 気筒
6 インタークーラ
7 エアフローメータ
8 排気浄化装置
9 スロットル弁
10 燃料噴射弁
11 コンプレッサ
12 タービン
13 ターボチャージャ
16 ECU
17 吸気マニホールド
18 排気マニホールド
19 アクセル開度センサ
20 クランク角度センサ
22 アクセルペダル
25 EGR弁
26 EGR通路
27 EGRクーラ
35 LPL−EGR弁
36 LPL−EGR通路
37 LPL−EGRクーラ

Claims (11)

  1. EGRガスと冷媒との熱交換によってEGRガスを冷却するEGRクーラであって、
    前記EGRクーラは、EGRガスと冷媒との熱的な接触部におけるEGRガスの流通側の壁面にコーティング材がコートされ、
    前記コーティング材は、
    EGRガスの流通により前記コーティング材が経時的に劣化することによる前記接触部を介した熱伝導の効率の上昇度合と、
    EGRガスの流通により前記接触部におけるEGRガスの流通側の壁面へ排気成分が付着することによる前記接触部を介した熱伝導の効率の低下度合と、
    が略同等となるように、コートされることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  2. 請求項1において、
    前記コーティング材は、前記接触部を構成する材料の熱伝導率よりその熱伝導率が低く、EGRガスに対する耐食性が所定レベルより低いことを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  3. 請求項1又は2において、
    EGRガスの流通により前記接触部の壁面に付着する排気成分量のEGRクーラ内の位置によるばらつきに応じて、前記コーティング材の厚みを異ならせることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  4. 請求項3において、
    前記EGRクーラのEGRガス流入口からの距離が短いほど、前記コーティング材の厚みを薄くすることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  5. 請求項3において、
    前記EGRクーラのEGRガス流入口からの距離が長いほど、前記コーティング材の厚みを薄くすることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  6. 請求項3において、
    前記EGRクーラの中心軸からの距離が短いほど、前記コーティング材の厚みを薄くすることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  7. 請求項1又は2において、
    前記コーティング材は、EGRガスに対する耐食性が比較的弱い第1成分と、EGRガスに対する耐食性が比較的強い第2成分と、を含み、
    EGRガスの流通により前記接触部の壁面に付着する排気成分量のEGRクーラ内の位置によるばらつきに応じて、前記コーティング材の前記第1成分と前記第2成分との成分比率を異ならせることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  8. 請求項7において、
    前記EGRクーラのEGRガス流入口からの距離が短いほど、前記第1成分の比率を高くすることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  9. 請求項7において、
    前記EGRクーラのEGRガス流入口からの距離が長いほど、前記第1成分の比率を高くすることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  10. 請求項7において、
    前記EGRクーラの中心軸からの距離が短いほど、前記第1成分の比率を高くすることを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
  11. 請求項7において、
    前記第1成分は、アルミナ−チタン・カーバイド系セラミックであり、
    前記第2成分は、アルミナ系セラミックである
    ことを特徴とする内燃機関のEGRクーラ。
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