JP2010089466A - 積層部材の接合方法、積層部材、キーシート、及び押釦用プランジャ構造体 - Google Patents

積層部材の接合方法、積層部材、キーシート、及び押釦用プランジャ構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】互いに直接接合し難い材料からなる構造部間を、接着剤等の他の材料層を介在させることなく強固に接合し易い接合方法を提供する。
【解決手段】第1の構造部11と第2の構造部21とを積層して接合する接合方法であり、第1の構造部11及び/又は第2の構造部21は、紫外線が照射されることで表面を改質可能な材料からなり、第1の構造部11と第2の構造部21とを密着させると共に界面に紫外線を照射することで、第1の構造部11と第2の構造部21とを界面で直接接合する。
【選択図】図2

Description

この発明は、複数の構造部を積層状態で接合するための接合方法と、複数の構造部が直接接合された積層部材と、そのような積層部材を用いたキーシートと、そのような積層部材を用いた押釦用プランジャ構造体とに関する。
従来、複数の構造部が積層された積層部材としては、複数の材料層からなる構造部が積層状態で接合された積層シートや積層板、或いは所定形状に形成された構造部が、他の構造部に接合された積層体など、多数のものが存在する。これらの積層部材では、互いに隣接する構造部間が、接着剤等を介在させて強固に固着されているものが多数存在する。
例えば、携帯電話等の各種スイッチ装置の操作パネルとして、図1に示すような、積層シート又は積層板からなるキーシートが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
このキーシート10は、PET等の硬質の樹脂シートからなり、操作部位毎に貫通孔19が設けられたフレーム11と、フレーム11より軟質のポリウレタン等の樹脂シートからなり、フレーム11の背面側に積層されて貫通孔19を塞ぐように配置された基材シート21と、ポリカーボネート等の硬質樹脂の薄肉成形体からなり、基材シート21の表面側の貫通孔19の開口部分に固定されたキートップ部13とを備える。
このキーシート10では、詳細な図示は省略されているが、フレーム11と基材シート21との間や、基材シート21とキートップ部13との間が接着剤により接合されている。フレーム11の構成材料と基材シート21の構成材料とは、互いに相溶性が低く、溶融状態或いは軟化状態で接合しても十分な接合強度が得られないため、接着剤を介在させることで、十分な接合強度が確保されている。
このようなキーシート10では、スイッチ装置の薄肉化を図るため、キーシート10を出来るだけ薄肉に形成することが望まれている。そのため、フレーム11、キートップ部13、基材シート21、更には、接着剤層などが出来るだけ薄肉に形成されている。
使用時には、キーシート10を図示しない筐体等に装着して配置し、各キートップ部13を押圧操作することで、各キートップ部13に対応した位置に配置される図示しない接点部を接離させ、これにより各キートップ部13に対応した操作入力を行うことができる。
また、背面側にLED等の光源25が配置されており、背面側から照光することで、キーシート10を透過した光を表面側から放射させ、これによりキーシート10の地色や表示部15、或いはフレーム11の地色や表示部15等を点灯させて、視認し易くすることができる。
携帯電話等の各種スイッチ装置に使用するものとして、図4に示すような押釦スイッチ用部材も知られている。
この押釦スイッチ用部材30は、ウレタン等の変形可能な樹脂シートなどからなる基材シート32と、PET等の硬質の樹脂からなり、各操作部位の基材シート32の背面に固定されたプランジャ33とを有するプランジャシート31を備えると共に、ポリカーボネート等の硬質の樹脂等からなり、プランジャシート31の表面の各操作部位に固定された押釦成形体37を備えている。
この押釦スイッチ用部材30では、詳細な図示は省略されているが、基材シート32と押釦成形体37との間や、基材シート32とプランジャ33との間が接着剤により接合されている。基材シート32の構成材料とプランジャ33の構成材料とは相溶性が低く、溶融状態或いは軟化状態で接合しても十分な接合強度が得られないため、接着剤を介在させることで、十分な接合強度が確保されている。
この押釦スイッチ用部材30は、押釦スイッチ用部材30を図示しない筐体に収容し、押釦成形体37を筐体の開口から露出させた状態で配置して使用される。筐体内には、基板41と、基板41に設けられた配線の接点部43と、弾性変形可能で接点部43を接離させるための被押圧部としての金属製のドーム部45とを備えた回路部が収容されている。
使用時には、各操作部位に配置された押釦成形体37を押圧すると、基材シート32が変形されて押釦成形体37と共にプランジャ33が下降変位し、このプランジャ33によりドーム部45を弾性変形させて、ドーム部45により接点部43が電気的に接続され、各押釦成形体37に対応した操作入力を行うことができる。
なお、プランジャシート33を基板41側に配置したものも知られている(例えば、下記特許文献2参照)
特開2007−66818号公報 特開2004ー186020号公報
しかしながら、上記キーシート10のような積層部材では、フレーム11と基材シート21との間等の各構造部間が、接着剤等の他の材料層を介在させて接合されているので、積層部材の厚さには接着剤等の他の材料層の厚さが含まれており、積層部材を所望の厚さに精度良く形成することが容易でなく、積層部材の薄肉化を図り難かった。
また、上記キーシート10のような積層部材では、製造時にフレーム11と基材シート21との間等の各構造部間に介在させる接着剤等の他の材料層の存在量が少ない場合には、構造部間の接合強度にムラが生じ易く、その一方、接着剤等の他の材料層の存在量が過剰の場合には、例えば、フレーム11の貫通孔19の縁等、構造部の周囲から接着剤等の他の材料がはみ出し易く、外観品質等を低下し易かった。
特に、上記押釦スイッチ用部材30のような積層部材では、プランジャ33の接合面積が小さいため、接着剤を適量塗布することが容易でなかった。そのため、図7(a)に示すように、接着剤33aが少ない場合には、十分な接着強度が得られなかった。一方、接着剤33aが過剰の場合には、図7(b)に示すように、基材シート32からのプランジャ33の突出量にばらつきが生じたり、プランジャ33の周囲から接着剤33aがはみ出し易かった。接着剤33aがはみ出して硬化した場合には、プランジャ33周囲に硬化塊33bが形成され易く、使用時に硬化塊33bがドーム部45に当接して、例えば、押釦成形体37の押圧操作時の操作感を悪化させたり、ドーム部45に損傷を与えて耐久性を低下させ易かった。更に、適度に接着剤33aを塗布したとしても、図7(c)に示すように、使用中に接着剤33a等が膨潤して、変形や接着強度の低下が起こることがあった。
加えて、上記キーシート10のように背面側から照光される積層部材では、接着剤等の他の材料層が存在する場合、その層による光の透過率の低下、屈折、乱反射等が生じ、更に、接着剤等層の他の材料層にムラが存在すると、積層部材の表面側に放射される光が不均一になり、照光時の表面側の外観品質を低下させ易かった。
そこで、この発明は、互いに直接接合し難い材料からなる構造部間を、接着剤等の他の材料層を介在させることなく強固に直接接合し易い接合方法を提供することを課題とし、また、直接接合可能な各構造部に用いる材料の選択の自由度を向上し易い接合方法を提供することを課題とする。
また、積層部材を所望の厚さに精度良く形成し易い接合方法を提供することを他の課題とし、また、積層部材の薄肉化を図り易い接合方法を提供することを他の課題とする。
更に、接合された構造部の周囲に接着剤等層の他の材料層がはみ出すことを確実に防止でき、品質低下を防止し易い接合方法を提供することを更に他の課題とし、また、構造部間の接合強度にムラが生じ難い接合方法を提供することを更に他の課題とする。
加えて、この発明は、所望の厚さに精度良く接合され、構造部間の接合強度にムラが生じ難くて各構造部の周囲に接着剤等の他の材料層のはみ出しが生じない積層部材、キーシート、又は押釦用プランジャ構造体を提供することを別の課題とする。
更に、背面側から照光された際、表面側に放射される光にムラが生じ難い積層部材又はキーシートを提供することを更に別の課題とする。
上記課題を解決する請求項1に記載の積層部材の接合方法は、第1の構造部と第2の構造部とを積層して接合する接合方法であり、前記第1の構造部及び/又は前記第2の構造部は、紫外線が照射されることで表面を改質可能な材料からなり、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを密着させると共に界面に前記紫外線を照射することで、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを前記界面で直接接合することを特徴とする。
請求項2に記載の積層部材の接合方法は、請求項1に記載の構成に加え、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを密着させた状態で、前記第1又は第2の構造部を透過させて前記紫外線を前記界面に照射することを特徴とする。
請求項3に記載の積層部材の接合方法は、請求項2に記載の構成に加え、前記第1の構造部は、前記第2の構造部より前記紫外線の透過率が低い材料からなり、前記第2の構造部を透過させて前記紫外線を前記界面に照射することを特徴とする。
請求項4に記載の積層部材の接合方法は、請求項2又は3に記載の構成に加え、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを、少なくとも一方が溶融状態又は軟化状態で積層することで密着させ、その後、前記密着状態を維持して前記紫外線を照射することで接合することを特徴とする。
請求項5に記載の積層部材の接合方法は、請求項2又は3に記載の構成に加え、互いに粘着性を有する前記第1の構造部と前記第2の構造部とを、所定位置に位置決めして粘着させ、その後前記紫外線を照射して前記第1の構造部と前記第2の構造部とを接合することを特徴とする。
請求項6に記載の積層部材の接合方法は、請求項2乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記紫外線を遮蔽可能な遮蔽部を有するマスキング部を入射面に配置して前記紫外線を照射することにより、前記遮蔽部に対応する領域を除く領域の前記界面を接合することを特徴とする。
請求項7に記載の積層部材の接合方法は、請求項1乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを積層すると共に、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを接合する前記紫外線とは異なる波長を有する他の紫外線で硬化可能な未硬化の紫外線硬化性樹脂を積層し、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを接合するための前記紫外線と、前記紫外線硬化樹脂を硬化する前記他の紫外線とを順次或いは同時に照射することで、前記第1の構造部、前記第2の構造部、及び前記紫外線硬化樹脂を接合一体化することを特徴とする。
請求項8に記載の積層部材は、第1の構造部と第2の構造部とが積層されて接合された積層部材であり、前記第1の構造部及び/又は前記第2の構造部は、紫外線が照射されることで表面を改質可能な材料からなり、前記第1の構造部と前記第2の構造部との界面は、前記第1の構造部及び/又は前記第2の構造部の表面が前記紫外線により改質された状態で直接接合されて形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の積層部材は、請求項8に記載の構成に加え、背面側から照光されて前記第1及び第2の構造部を透過した光を表面側から視認可能に構成されたことを特徴とする。
請求項10に記載の積層部材は、請求項8又は9に記載の構成に加え、前記第1の構造部はポリエステルからなり、前記第2の構造部はポリウレタンからなることを特徴とする。
請求項11に記載の積層部材は、請求項8乃至10の何れか一つに記載の構成に加え、前記第1の構造部と前記第2の構造部とが互いに非接合状態で対向する非接合領域を備えることを特徴とする。
請求項12に記載のキーシートは、請求項8乃至11の何れか一つに記載の積層部材からなり、前記第1の構造部は、操作部位に貫通孔を備えたフレームからなり、前記第2の構造部は、前記フレームより軟質の材料により前記貫通孔より大きく形成されると共に、前記貫通孔周囲の前記フレームに接合されて前記貫通孔内に配置され、前記操作部位が押圧操作されることで変形可能な基材シートからなることを特徴とする。
請求項13に記載の押釦用プランジャ構造体は、請求項8乃至11の何れか一つに記載の積層部材からなり、前記第2の構造部は、操作部位を含む範囲に配置される変形可能な基材シートからなり、前記第1の構造部は、前記基材シートより小さく形成され、前記基材シートの前記操作部位に接合されたプランジャからなり、押圧操作により前記プランジャにより被押圧部が押圧されるように構成されたことを特徴とする。
請求項1に記載の積層部材の接合方法によれば、第1の構造部及び/又は第2の構造部は紫外線が照射されることで表面を改質可能な材料からなり、第1の構造部と第2の構造部とを密着させると共に界面に紫外線を照射することで直接接合するので、間に接着剤等の他の材料層を介在させることなく、第1の構造部と第2の構造部とを改質された界面の相互作用により強固に接合することができる。そのため、互いに接合し難い材料からなる第1の構造部と第2の構造部とであっても直接接合が可能であり、各構造部に用いる材料の選択の自由度を向上し易い。
また、第1の構造部と第2の構造部との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、第1の構造部と第2の構造部とを接合すると、各構造部の厚さにのみに依存した所望の厚さに積層部材を精度良く形成し易い。そのため、薄肉の積層部材では薄肉化を図り易い。
更に、第1の構造部と第2の構造部との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、接着剤等の他の材料層の過不足や配置ムラなどが生じることがない。そのため、接着剤等の他の材料が過剰に配置されて接合部位からはみ出るようなことがなく、また、不足して接合位置や接合強度にムラが生じることがない。
しかも、第1の構造部と第2の構造部との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、得られる積層部材では、使用時に接着剤等の他の材料層が膨潤するようなこともなく、使用中に変形したり剥離するようなことを防止し易い。
また、界面に紫外線を照射することで直接接合するので、接合のために加熱する必要がなく、耐熱性の低い材料が周囲に配置されていても、熱による悪影響を防止して十分な接合を行うことが可能である。また、接合のために有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の揮発等による周囲への悪影響や作業環境の悪化なども防止できる。
更に、第1の構造部と第2の構造部との間に接着剤等の他の材料層を配置する操作が不要であるため、接合作業を簡略化し易い。
請求項2に記載の積層部材の接合方法によれば、第1の構造部と第2の構造部とを密着させた状態で、第1又は第2の構造部を透過させて紫外線を界面に照射するので、第1の構造部と第2の構造部との間が確実に近接状態で界面を改質することができ、界面の改質作用により第1の構造部と第2の構造部との間の十分な接合強度を実現し易い。
請求項3に記載の積層部材の接合方法によれば、第1の構造部が第2の構造部より紫外線の透過率が低い材料からなり、第2の構造部を透過させて紫外線を界面に照射するので、第1の構造部側から紫外線を照射する場合に比べて、界面により強い紫外線を照射し易く、接合強度を向上し易い。
請求項4に記載の積層部材の接合方法によれば、第1の構造部と第2の構造部とを少なくとも一方が溶融状態又は軟化状態で積層することで密着させ、その後、密着状態を維持して紫外線を照射することで接合するので、第1の構造部と第2の構造部との界面全体を均一且つ十分に密着させることができ、界面の接合強度をより向上し易い。
請求項5に記載の積層部材の接合方法によれば、互いに粘着性を有する第1の構造部と第2の構造部とを所定位置に位置決めして粘着させ、その後紫外線を照射して第1の構造部と第2の構造部とを接合するので、第1の構造部と第2の構造部との粘着性を利用してこれらを精度良く位置合わせした後、十分な接合強度で接合することが可能であり、第1の構造部と第2の構造部とを確実に所定位置に接合することが容易である。
請求項6に記載の積層部材の接合方法によれば、紫外線を遮蔽可能な遮蔽部を有するマスキング部を入射面に配置して紫外線を照射することにより、遮蔽部に対応する領域を除く領域の界面を接合するので、遮蔽部の形状を調整することで、第1の構造部と第2構造部との界面を所望の形状で接合させることが可能である。そのため、第1の構造部と第2の構造部とが接合された接合領域と接合されずに対向する非接合領域とを任意の形状で有する種々の積層部材を製造することが容易である。
請求項7に記載の積層部材の接合方法によれば、第1の構造部と第2の構造部とを積層すると共に、第1の構造部と第2の構造部とを接合する紫外線とは異なる波長を有する他の紫外線で硬化可能な未硬化の紫外線硬化性樹脂を積層し、第1の構造部と第2の構造部とを接合するための紫外線と、紫外線硬化樹脂を硬化する他の紫外線とを順次或いは同時に照射することで、第1の構造部、第2の構造部、及び紫外線硬化樹脂を接合一体化するので、第1の構造部と第2の構造部とを接合するための紫外線と、紫外線硬化樹脂を硬化する他の紫外線とを照射する順序を選択することで、第1の構造部、第2の構造部、及び紫外線硬化樹脂の接合順序を選択することができる。そのため、多数の層を接合する際にその順序を最適化し易く、効率良く製造することが容易である。
請求項8に記載の積層部材によれば、第1の構造部と第2の構造部との界面が、第1の構造部及び/又は第2の構造部の表面を紫外線により改質した状態で直接接合されて形成されているので、間に接着剤等の他の材料層が介在しない。そのため、第1の構造部と第2の構造部との厚さにのみに依存した所望の厚さに精度良く形成することができる。
また、第1の構造部と第2の構造部との間に接着剤等の他の材料層が存在しないため、接合部位の接合強度にむらが生じ難く、また、接着剤等の他の材料層が過剰に配置されて接合部位からはみ出るようなことがなく、接合による品質低下を確実に防止することができる。そのため、積層部材の所望の機能を実現し易い。
請求項9に記載の積層部材によれば、第1の構造部と第2の構造部との間に接着剤等の他の材料層が存在しない状態で、背面側から照光されて第1及び第2の構造部を透過した光を表面側から視認可能に構成されているので、積層部材を透過した光が接着剤等の他の材料層による減衰、屈折、乱反射等を受けることがなく、接着剤等の他の材料層のムラ等により表面側に放射される光にムラが生じ難ることがない。そのため、背面側から照光された際の表面側の外観品質を向上し易い。
請求項10に記載の積層部材によれば、第1の構造部がポリエステルからなり、第2の構造部がポリウレタンからなるため、第1の構造部と第2の構造部とを溶融或いは軟化した状態でも直接接合し難いが、紫外線により界面を改質することで接合するため、互いに直接接合し難い材料であっても、十分な接合強度で接合された積層部材を得ることが可能である。
請求項11に記載の積層部材によれば、第1の構造部と第2の構造部とが互いに非接合状態で対向する非接合領域を備えるので、界面において互いに直接接合された接合領域と非接合領域との形状を調整することで、種々の性質等を有する積層部材を提供することが可能である。
請求項12に記載のキーシートによれば、第1の構造部が操作部位に貫通孔を備えたフレームからなり、第2の構造部が、フレームより軟質の材料により前記貫通孔より大きく形成されると共に、貫通孔周囲の前記フレームに接合されて貫通孔内に配置され、操作部位が押圧操作されることで変形可能な基材シートからなるので、フレームと基材シートとが接着剤等の他の材料層を介在させることなく改質された界面の相互作用により接合されている。そのため、キーシートを所望の厚さに精度良く形成し易く、薄肉化を図り易い。また、フレームと基材シートとの接合強度にムラが生じ難く、接着剤等の他の材料層のはみ出すことがなくて外観品質を確保し易い。しかも、背面側から照光された際、表面側に放射される光に接着剤等の他の材料層に起因する光ムラが生じることがない。
請求項13に記載の押釦用プランジャ構造体によれば、第2の構造部が操作部位を含む範囲に配置される変形可能な基材シートからなり、第1の構造部が、基材シートより小さく形成され、基材シートの操作部位に接合されたプランジャからなり、押圧操作によりプランジャにより被押圧部が押圧されるように構成されているので、基材シートとプランジャとが接着剤等の他の材料層を介在させることなく改質された界面の相互作用により接合されている。そのため、プランジャの一方の面全体を基材シートに十分な接合強度で確実に接合できると共に、プランジャの周囲に接着剤等の他の材料層がはみ出て硬化した硬化塊などが生じることがない。そのため、押圧操作時に違和感を生じたり、プランジャが当接する部位に損傷等を与え難くすることがない。
以下、この発明の実施の形態について説明する。
この発明において、積層部材とは、少なくとも第1の構造部と第2の構造部を含む複数の構造部が積層状態で接合された部材であり、第1の構造部と第2の構造部とが、界面において、好ましくは界面全体において、直接接合されており、第1の構造部と第2の構造部との間には接着剤等の他の材料層が存在しない部材である。この積層部材は、2層構造であってもよく、3層以上であってもよい。また、各構造部はそれぞれ異なる材料からなるものであっても、同一の材料からなるものであってもよい。
このような積層部材としては、例えば、複数の材料層が積層された軟質の積層シートや硬質の積層板等であってもよく、また、少なくとも一つの構造体が所定形状を有し、所定形状又は不定形状の他の構造部に積層された積層体であってもよい。
第1の構造部及び第2の構造部は、接合前に常温常圧下で固体の材料であり、紫外線で照射されることで、一方又は双方の表面が直接及び/又は間接に改質可能な材料からなる。紫外線が照射されることで直接及び/又は間接に改質可能な材料とは、紫外線のエネルギーにより第1及び/又は第2の構造部を構成する材料の構造等を変化させて、表面性状を変化させることが可能な材料であり、一方の構造部の表面が改質されることで他方の表面との相互作用が得られ、その相互作用により接合強度を向上できる材料であることが必要である。
紫外線が照射されることで直接に及び/又は間接に改質するには、例えば、紫外線のエネルギーにより材料の化学結合を切断したり、官能基を変化させて材料の表面性状を変化させてもよく、紫外線のエネルギーにより周囲に存在する酸素からオゾンや活性酸素を生成させて、表面を酸化するなどにより表面性状を変化させてもよい。
このような第1及び/又は第2の構造部の材料は、各種の樹脂、各種の金属、各種のセラミックス等でよい。従来より紫外線照射による表面改質が行われている材料は好適に使用可能である。なお、変形により界面を密着させ易く、改質し易いなどの理由で、第1及び/又は第2の構造部の材料として樹脂を用いるのは好適である。
用いる樹脂は、目的の積層部材の用途や要求される機能に応じて適宜選択可能であり、熱硬化性樹脂であっても、熱可塑性樹脂であってもよい。第1の構造部と第2の構造部とが何れも樹脂からなる場合、第1の構造部を構成する樹脂と第2の構造部を構成する樹脂とは、溶融状態又は軟化状態で密着させることで直接接合可能な樹脂の組合わせとなるものでもよいが、相溶性が低いなどの理由で、溶融状態又は軟化状態で密着させても、直接接合困難な樹脂の組合わせ、或いは、粘着するものの所望の接合強度が得られない樹脂の組合わせとなるものであれば、この発明を適用することで顕著な効果が得られて好適である。
そのような第1の構造部と第2の構造部との樹脂の組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などポリエステルと、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、アクリル系などのポリウレタンとの組み合わせ、前記のようなポリエステルとポリアミドとの組み合わせなどが挙げられる。ポリウレタンを用いる場合、例えば、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタンが好適である。単量体として芳香族イソシアネートを用いて作製された芳香族イソシアネート由来の構成単位を有するポリウレタンは、紫外線照射により、例えばキノンイミドのような共鳴構造を作り易く、黄変し易いためである。
また、第1及び/又は第2の構造部の材料の少なくとも一方は、界面を改質するために用いる紫外線が透過可能な材料からなるのが好ましい。第1の構造部と第2の構造部とを密着させた状態で紫外線を透過させて界面に照射することができ、接合作業が行い易いからである。
紫外線が透過可能な材料は、第1の構造部と第2の構造部との界面を改質可能な光量の紫外線が到達できる透過率及び厚さを有していればよいが、照射される紫外線の透過率が高い程、透過する材料内部の変質を少なく抑えることができて好適である。
なお、紫外線が透過可能な材料は、改質に必要な紫外線を界面に照射可能な範囲で、他の成分を含有させることができ、例えば、着色材、紫外線吸収剤等の添加剤が添加されていてもよい。
一方、改質に使用される紫外線は、真空紫外線、短波長紫外線、中波長紫外線、長波長紫外線から、第1及び/又は第2の構造部に応じて適宜選択して使用することが可能である。通常、184.9nm、253.7nm、及び/又は365.0nmの波長の紫外線が使用される。これらの紫外線であれば、電磁波エネルギーが多くの有機物の原子間結合エネルギーより大きく、化学結合の切断により改質が可能である。特に、184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線であれば、周囲に存在する酸素からオゾンを生成し、オゾンから活性酸素を形成することができるため、より改質効果を確保し易くできる。
このような紫外線を照射して第1の構造部と第2の構造部とを界面で直接接合するには、第1の構造部と第2の構造部とを密着させると共に界面に紫外線を照射することで行う。ここでは、第1及び第2の構造部を密着させてから紫外線を照射して接合するのが好適である。第1の構造部の表面と第2の構造部の表面とが近接位置で改質されるため、周囲の雰囲気中の物質等により改質作用が阻害され難いからである。
その場合、第1の構造部と第2の構造部とを、例えば側縁側から、徐々に密着させつつ、一方の構造部の表面側から紫外線を透過させて界面に照射したり、側方から界面に直接照射してもよいが、予め第1の構造部と第2の構造部とを密着させた後、一方の構造部の表面側から紫外線を透過させて界面に照射するのが好適である。第1の構造部と第2の構造部との相対位置を位置決めしてから接合できるため、第1の構造部と第2の構造部との位置ズレなどを防止し易いからである。
第1の構造部と第2の構造部とを予め密着させるには、第1及び第2の構造部の一方を他方の表面に溶融状態で供給して成形してもよく、少なくとも一方を軟化状態にして積層し、必要に応じて加圧することで行ってもよい。溶融状態又は軟化状態で積層すれば、第1の構造部と第2の構造部との間の界面に局部的に離間した部位が形成され難いからである。更に、第1の構造部と第2の構造部との一方又は双方が粘着性を有する材料からなる場合には、第1の構造部と第2の構造部とを別々に所定形状に作製してから、粘着性を利用して両者を密着させてもよい。そのようにすれば、第1の構造部と第2の構造部との位置合わせを容易に行うことができる。
第1又は第2の構造部を透過させて紫外線を照射する場合、第1の構造部を構成する材料が第2の構造部を構成する材料に比べて紫外線の透過率が低いとき、或いは第1の構造部が照射される紫外線を透過不能なときには、第2の構造部側から紫外線を照射するのが好適である。第1の構造部から紫外線を照射する場合に比べ、界面に到達する紫外線を多く確保し易いからである。
第1の構造部と第2の構造部とを予め密着させてから紫外線を照射する際、第1の構造部と第2の構造部との界面全体に紫外線を照射して全面を接合させてもよいが、紫外線を遮蔽可能な遮蔽部を有するマスキング部を入射面に配置して紫外線を照射することにより、第1の構造部と第2の構造部との界面の一部だけを接合することも可能である。このマスキング部としては、例えば、遮光部が所定形状に設けられたマスキング治具、紫外線が照射される表面に遮光性の印刷層や被膜等を用いて遮蔽部を形成したマスキング層など、紫外線を遮光可能なものであればよい。
このようなマスキング部を用いれば、遮蔽部の位置や形状を調整することで、第1の構造部と第2の構造部との界面のうちの遮蔽部に対応した領域を除く領域だけに紫外線を照射することができ、第1の構造部と第2の構造部とが接合された接合領域と、接合されることなく対向した非接合領域とを任意の形状に形成することが可能である。
そのため、各種の積層部材を任意の形状で接合して、種々の性質等を有する積層部材を提供することができる。例えば、非接合領域を接合領域で囲むように形成すれば、周囲が十分な強度で接合された状態で非接合領域の第1の構造部と第2の構造部とを離間させることができ、第1の構造部と第2の構造部との間に中空部を形成したり、第1の構造部と第2の構造部を離間し易くすることで接合領域に比べて非接合領域の曲げ易さを向上させたりすることが可能である。
なお、紫外線の強度、照射時間、光量等は、界面を改質可能な程度のものであることが必要であり、第1又は第2の構造部を透過させて界面を照射する場合、透過後の紫外線により界面を構成する少なくとも一方の表面を改質可能なものであることが必要である。
このような紫外線照射による改質で得られる第1及び/又は第2の構造部の表面性状の変化は、界面における接合力を向上するものであることが必要である。一般に、界面を構成する互いに密着している表面が物理的相互作用により互いを引付けあうような場合に界面の接合力が向上できるため、第1及び/又は第2の構造部の改質による表面性状の変化は、例えば、第1及び/又は第2の構成部の表面の水に対する濡れ性の向上として把握してもよい。水に対する濡れ性は水滴の接触角等を指標として測定可能である。この接触角は、第1の構造部及び第2の構造部に用いる材料により適宜な範囲とすることができるが、第1の構造部の表面の接触角及び/又は第2の構造部の表面の接触角を15度以上低下させるのが好適である。
次に、このような発明の積層部材及びその製造方法について、具体的な実施の形態を用いて説明する。
[発明の実施の形態1]
図1及び2は、この発明の実施の形態1のキーシートを示す。
このキーシート10は、携帯電話の操作パネルに使用されるものであり、図1に示すように、一方の面から他方の面まで貫通する貫通孔19が操作部位毎に設けられた第1の構造部としてのフレーム11と、貫通孔19より大きく形成され、フレーム11の背面側に積層されて貫通孔19を塞いで配置され、貫通孔19の周囲のフレーム11に接合された第2の構造部としての基材シート21と、基材シート21の表面側の貫通孔19内に固定されたキートップ部13とを備える。基材シート21はフレーム11の外周形状と同一の外周形状を有している。
また、フレーム11は、基材シート21より硬質のPET製の硬質樹脂シートからなり、基材シート21は、ポリウレタン製の軟質樹脂シートからなる。更に、キートップ部13は、ポリカーボネート製の硬質樹脂の薄肉成形体からなる。
このキーシート10では、フレーム11と基材シート21との間には、接着剤等の他の材料層が存在せず、界面では、一方又は双方を構成する樹脂の表面が紫外線により改質された状態で、対向面全体が表面の相互作用により直接接合されている。一方、基材シート21とキートップ部13との間は、接着剤層23により接着されて固定されている。
このキーシート10は、筐体等の表面に装着されて使用される。使用時には、各キートップ部13を押圧操作することで、筐体内の各キートップ部13に対応した位置に配置される図示しない接点部を接離させ、各キートップ部13に対応した電気的な操作入力を行うことができる。
また、キーシート10の背面側には、LED等の光源25が配置されており、光源25により背面側から照光することで、キーシート10を透過した光を表面側から放射させ、これにより、キートップ部13の地色や表示部15、或いはフレーム11の地色や表示部15等を点灯させて、視認し易くすることができる。
次に、このようなキーシート10の製造方法について説明する。ここでは、具体例を用いて説明する。
図2に示すように、厚さが100μmのPETシート ルミラーT60(東レ株式会社製、商品名)を用い(a)、片面に表示部15を含む加飾コーティング層17を設け(b)、更に、NC加工等により切断して操作部位毎に貫通孔19を設けてフレーム11を作製する(c)。
厚さが100μmのポリウレタンシートDUS451(シーダム株式会社製、商品名)をフレーム11の外形形状で切断して基材シート21を作製し、フレーム11の加飾コーティング層17が設けられていない面を基材シート21の片面に当接させ、間に空気や異物が混入しない状態で密着させる。フレーム11と基材シート21とが互いに粘着性を有するため、密着させることで剥離可能な程度の強度で粘着した状態となる(d)。
このとき、フレーム11と基材シート21との相対位置にズレが存在する場合には、剥離して再び位置決めして粘着させればよく、この時点で、フレーム11と基材シート21とを精度良く位置決めする。
その後、基材シート21のフレーム11が配置されていない表面側から、バッチ式紫外線洗浄炉VUM−3073−B(株式会社オーク製作所製、商品名)を用いて、184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線を、基材シート21を透過する積算光量が1000mJ/cmとなるように照射する(e)。基材シート21側から紫外線を照射するのは、基材シート21を構成する樹脂が、フレーム11を構成する樹脂に比べて紫外線の透過率が高いからである。
このとき、紫外線は基材シート21内で減衰しつつ透過し、基材シート21とフレーム11との界面に達する。この紫外線のエネルギーにより、基材シート21及び/又はフレーム11の材料の界面を構成する表面が改質され、改質された表面の相互作用により粘着状態よりも格段に強い接合強度で接合される。ここでは、基材シート21とフレーム11とが対向する界面全体に均一に紫外線を照射することで、全面を均一に接合させる。なお、紫外線照射時には、基材シート21及びフレーム11の内部でも紫外線のエネルギーが吸収されることで改質されていてもよい。
次に、予め作製されたキートップ部13を、基材シート21のフレーム11が接合された側の貫通孔19の内側となる位置に、紫外線硬化型接着剤からなる接着剤層23を介して圧着する(f)。
このキートップ部13は、ポリカーボネート系樹脂(例えば、カリバー301−22、住友ダウ株式会社製、商品名)を用いて射出成形し、片面に蒸発乾燥型インキ(例えば、CAVメイバン、セイコーアドバンス株式会社製、商品名)にて、記号、数字、文字等の表示部15を含む加飾コーティング層17を5μmの厚さで印刷し、乾燥温度80℃、乾燥時間30minにて乾燥させた後、ランナー、ゲート等の余剰部分を切除し、更に紫外線硬化型接着剤(例えば、A−1527B、株式会社テスク製、商品名)からなる接着剤層23を加飾コーティング層17上にスクリーン印刷により塗布することで、予め作製したものである。
そして、300nm〜450nmの波長の紫外線を基材シート21側から照射して、接着剤層23を硬化させる(g)。これにより、キーシート10が製造される。
このようにしてキーシート10を製造すれば、フレーム11及び/又は基材シート21が紫外線が照射されることで直接及び/又は間接に表面を改質可能な材料からなり、フレーム11と基材シート21とを密着させると共に界面に紫外線を照射することで直接接合するので、間に接着剤等の他の材料層を介在させることなく、改質された界面の相互作用により十分な接合強度が得られる。そのため、互いに直接接合し難い材料からなるフレーム11と基材シート21であっても十分な接合強度で接合できる。
また、フレーム11と基材シート21との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、フレーム11と基材シート21とを接合すると、キーシート10をフレーム11と基材シート21との厚さにのみに依存した所望の厚さに精度良く形成し易い。そのため、キーシート10の薄肉化を図り易い。
更に、フレーム11と基材シート21との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、接着剤等の他の材料層が過剰に配置されて接合部位からはみ出るようなことがなく、例えば貫通孔19の周縁などから接着剤等の他の材料がはみ出ることがない。そのため、外観品質を確保し易い。同時に、紫外線を均一に照射すれば、接合強度にむらが生じるようなこともない。そのため、フレーム11と基材シート21との当接面全体を確実に接合できて剥離を防止でき、キーシート10の十分な強度を確保し易い。
しかも、フレーム11と基材シート21との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、使用時に接着剤等の他の材料層が膨潤するようなこともなく、キーシート10が使用時に変形したり、剥離するようなことを防止し易い。
また、フレーム11と基材シート21との界面に紫外線を照射することで接合するので、接合のためにこれらを加熱する必要がなく、例えば、加飾コーティング層17が熱により変色し易いような場合など、周囲に耐熱性の低い材料が配置されていても、劣化させることなく十分な接合を行うことが可能である。また、接着剤等のように接合のために有機溶剤を使用する必要がないため、有機溶剤の揮発等による周囲への悪影響や作業環境の悪化なども防止できる。
更に、フレーム11と基材シート21との間に接着剤等の他の材料層を配置する操作が不要であるため、キーシート10の製造のための工程数を少なくでき、接合作業を簡略化し易い。
また、フレーム11と基材シート21とを密着させた状態で、基材シート21を透過させて紫外線を界面に照射するので、フレーム11表面と基材シート21表面とを確実に近接状態にして改質でき、フレーム11と基材シート21との間の十分な接合強度を実現し易い。
更に、互いに粘着性を有するフレーム11と基材シート21とを、所定位置に位置決めして粘着させ、その後紫外線を照射してフレーム11と基材シート21とを接合するので、フレーム11と基材シート21とを所望の位置に精度よく接合することが容易である。
また、このキーシート10は、背面側から照光されてフレーム11及び基材シート21を透過した光を表面側から視認可能であるが、フレーム11と基材シート21との間に接着剤等の他の材料層が存在しないので、キーシート10を透過する光が接着剤等の他の材料層による減衰、屈折、乱反射等を受けることがなく、また、接着剤等の他の材料層のムラ等により表面側に放射される光にムラが生じることがない。そのため、照光時の表面側の外観品質を向上することができる。
[発明の実施の形態2]
この発明の実施の形態2のキーシートは、実施の形態1と一部異なる製造方法により製造されたものであり、実施の形態1と同様に図1で示される。
このキーシート10では、図3(c)に示すように、フレーム11と基材シート21との界面の一部の領域が、紫外線により表面改質された状態で直接接合された接合領域29aとなっており、残りの領域が、表面改質されることなく互いに非接合状態で対向した非接合領域29bとなっている。ここでは、非接合領域29bはフレーム11の各貫通孔19周縁の全周囲に設けられており、接合領域29aは各非接合領域29bを囲むように隣接して設けられている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
このようなキーシート10は、フレーム11と基材シート21との界面を紫外線照射して接合する工程を異ならせる他は、発明の実施の形態1の図2に示される手順と同様にして製造することができる。
即ち、まず、実施の形態1と同様に図2に示されるように、操作部位毎に貫通孔19を有するフレーム11を作製し(a)〜(c)、フレーム11と基材シート21とを粘着させる(d)。
そして、図3(a)に示すように、紫外線を透過可能な透過部27aと遮蔽可能な遮蔽部27bとを有するマスキング治具27を、入射面である基材シート21の表面を覆うように配置する。透過部27a及び遮蔽部27bは、所定の位置及び形状に形成されており、遮蔽部27bがフレーム11の各貫通孔19の位置に各貫通孔19より大きく形成され、透過部27aが残部となっている。
次いで、マスキング治具27を配置した状態で、基材シート21側のマスキング治具27の外側から紫外線を照射する。これにより、図3(b)に示すように、マスキング治具27の透過部27aに対応する部分では、紫外線が基材シート21を減衰しつつ透過して基材シート21とフレーム11との界面に照射され、基材シート21及び/又はフレーム11の界面が改質されて強固に接合され、接合領域29aが形成される。
一方、マスキング治具27の遮蔽部27bに対応する部分では、紫外線が照射されない。ここでは、各遮蔽部27bが各貫通孔19より大きく形成されているため、各貫通孔19の周縁のフレーム11と基材シート21との界面に紫外線が照射されず、フレーム11と基材シート21とが接合されることなく互いに対向した状態で維持され、非接合領域29bが形成される。
その後、図2と同様に、キートップ部13を紫外線硬化型接着剤からなる接着剤層23を介して所定位置に圧着し(f)、接着剤層23を硬化させる(g)ことで、図3(c)に示すようなキーシート10を製造することができる。
このようにして製造されたキーシート10であっても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
特に、この実施の形態2のキーシート10の場合、フレーム11の各貫通孔19の周囲、即ち、押圧操作されるキートップ部13の周囲に、フレーム11と基材シート21とが互いに非接合状態で対向する非接合領域29bが設けられているため、キートップ部13が押圧操作された際、非接合領域29bにおいてフレーム11と基材シート21とを離間することができる。その際、接合領域29aにより各キートップ部13の周囲が確実に固定されているため、基材シート21がフレーム11から離脱することがなく、また、押圧操作により隣接するキートップ部13間で基材シート21がフレーム11から剥離されて連続するようなことを防止でき、各キートップ13の適切な操作力や操作量などを維持することができる。そのため、十分な強度を確保しつつ、各貫通孔19周囲のフレーム11と基材シート21とが全て接合されている場合に比べてキートップ部13を押圧操作し易くできる。
更に、このようにしてキーシート10を製造すれば、遮蔽部27bの形状を調整することで、フレーム11と基材シート21との界面を所望の形状で接合させることが可能であるため、種々のキーシート10において操作性等の性質を向上することが可能である。
なお、上記では、紫外線を照射して接合する際、マスキング部として、透光部27aと遮光部27bとを有するマスキング治具27を基材シート21の表面に接触して配置した例について説明したが、特に限定されるものではなく、マスキング治具27を基材シート21の表面から離間して配置して紫外線を照射することも可能である。更に、マスキング治具27を用いる代わりに、フレーム11の貫通孔19の周囲の基材シート21の表面に、紫外線が透過不能なインクや金属膜などからなるマスキング層を遮蔽部27bの形状に設けて紫外線を照射することで接合領域29aを接合することも可能である。
[発明の実施の形態3]
図4及び図5は、この発明の実施の形態2の押釦スイッチ用部材を示す。
この押釦スイッチ用部材30は、携帯電話の操作パネルに配置されるものであり、図4に示すように、押釦用プランジャ構造体としてのプランジャシート31と、プランジャシート31の複数の操作部位にそれぞれ固定された押釦成形体37とを備える。
プランジャシート31は、複数の押釦成形体37に対応する操作部位に連続して配置される変形可能な基材シート32と、基材シート32の操作部位に接合されたプランジャ33とを備えている。各プランジャ33は各押釦成形体37にそれぞれ対応して配置されている。
基材シート32は、ポリウレタン製の軟質樹脂シートからなり、プランジャ33は、基材シート32より硬質のPET製の硬質樹脂からなる。また、キートップ部13は、ポリカーボネート製の硬質樹脂の成形体からなる。
この押釦スイッチ用部材30では、基材シート32とプランジャ33との間には、接着剤等の他の材料層が存在せず、界面では、一方又は双方を構成する樹脂の表面が紫外線により改質された状態で、表面の相互作用により直接接合されている。一方、基材シート32と押釦成形体37との間は紫外線硬化型接着剤により接着されている。
この押釦スイッチ用部材30は、図示しない筐体に収容され、各押釦成形体37を筐体の開口から露出させた状態で配置されて使用される。筐体内には、基板41と、基板41の表面に設けられた配線の接点部43と、弾性変形可能で接点部43を接離させるための被押圧部としての金属製のドーム部45とを備えた回路部が収容されている。
そして、各操作部位に配置された押釦成形体37を押圧すると、基材シート32が変形されて押釦成形体37と共にプランジャ33を下降変位させ、このプランジャ33によりドーム部45を弾性変形させて接点部43を電気的に接続させて各押釦成形体37に対応した操作入力を行うことができる。
使用時には、各操作部位に配置された押釦成形体37が押圧操作されると、基材シート32が変形されて押釦成形体37と共にプランジャ33が下降変位する。そして、このプランジャ33がドーム部45に当接して加圧することでドーム部45を弾性変形させ、ドーム部45が接点部43に当接して接点部43間が電気的に接続され、これにより各押釦成形体37に対応した操作入力を行うことができる。
次に、このようなプランジャシート31及び押釦スイッチ用部材30を製造する方法について説明する。ここでは、具体的な例を用いて説明する。
図5に示すように、例えば厚さが100μmのポリウレタンシートDUS451(シーダム株式会社製、商品名)を刃治具により所定の外形形状に切断して基材シート32を形成する(a)。
一方、例えば厚さが100μmのPETシートSLA(帝人デュポン株式会社製、商品名)を刃治具により直径2mmの円形に切断してプランジャ33を形成し、このプランジャ33を基材シート32の一方の表面に、空気や異物が混入しない状態で密着させる(b)。プランジャ33と基材シート32とが粘着性を有するため、互いに密着させることで剥離可能な程度の強度で粘着した状態となる。このとき、プランジャ33の基材シート32に対する相対位置を精度よく位置決めする。
その後、基材シート32のプランジャ33が配置されていない表面側から、バッチ式紫外線洗浄炉VUM−3073−B(株式会社オーク製作所製、商品名)を用いて、184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線を、基材シート32を透過する積算光量が500mJ/cmとなるように照射する(c)。これによりプランジャ33を基材シート32に接合し、プランジャシート31を製造する。基材シート32側から紫外線を照射するのは、基材シート32を構成する樹脂が、プランジャ33を構成する樹脂に比べて紫外線の透過率が高いからである。
このとき、紫外線は基材シート32内で減衰しつつ透過し、基材シート32とプランジャ33との界面に達する。この紫外線のエネルギーにより、基材シート32及び/又はプランジャ33の材料の界面を構成する表面が改質され、粘着状態よりも格段に強い接合強度で接合される。ここでは、プランジャ33の基材シート32と接触する全面が基材シート32と確実に接合される。この紫外線照射時には、基材シート32及びプランジャ33の内部でも紫外線のエネルギーが吸収されることで改質されていてもよい。
次に、基材シート32のプランジャ33が設けられていない面のプランジャ33に対応する位置に、両面粘着テープ35を貼着する(d)。そして、この両面粘着テープ35に予め作製された押釦成形体37を貼着する(e)。
この押釦成形体37は、ポリカーボネート系樹脂 カリバー301−22(住友ダウ株式会社製、商品名)を所定の立体形状に射出成形し、外表面側に蒸発乾燥型インクCAVメイバン(セイコーアドバンス株式会社製、商品名)にて、記号、数字、文字等の表示部39を5μmの厚さで印刷し、乾燥温度80℃、乾燥時間30minにて乾燥させた後、ランナー、ゲート等の余剰部分を切除することで予め作製したものである。
そして、両面粘着テープ35により押釦成形体37とプランジャシート31とを接着することにより、押釦スイッチ用部材30を製造することができる。
このようにしてプランジャシート31及び押釦スイッチ用部材30を製造すれば、プランジャ33及び/又は基材シート32が紫外線照射により直接及び/又は間接に表面を改質可能な材料からなり、プランジャ33と基材シート32とを密着させると共に紫外線を界面に照射することで直接接合するので、間に接着剤等の他の材料層を介在させることなく、改質された界面の相互作用により十分な接合強度で接合することができる。そのため、互いに直接接合し難い材料からなるプランジャ33と基材シート32であっても十分な接合強度で接合することが可能である。
また、プランジャ33と基材シート32との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、接着剤等の他の材料層が過剰に配置されてプランジャ33の周囲からはみ出るようなことがなく、プランジャ33の一方の面全体を基材シート32に十分な接合強度で接合させたとしても、接着剤層等の他の材料がはみ出て硬化するようなことがない。そのため、押釦成形体37を押圧操作する際、プランジャ33周囲の塊状物等がドーム部45に当接して、操作感を低下させるようなことを確実に防止でき、また、塊状物がないためドーム部45に損傷等を与えることがない。
しかも、プランジャ33と基材シート32との間に接着剤等の他の材料層を存在させないため、使用時に接着剤等の他の材料層が膨潤するようなこともなく、使用時にプランジャ33の突出量が変化したり、使用途中でプランジャ33が基材シート32から剥離するようなことを防止し易い。
また、プランジャ33と基材シート32との界面に紫外線を照射することで接合するので、接合のためにこれらを加熱する必要がなく、接合を行うことが可能である。また、接着剤等のように接合のために有機溶剤を使用する必要もない。更に、プランジャ33と基材シート32との間に接着剤等の他の材料層を配置する操作が不要であるため、接合作業も簡略化し易い。
また、プランジャ33と基材シート32とを密着させた状態で、プランジャ33又は基材シート32を透過させて紫外線を界面に照射するので、プランジャ33表面と基材シート32表面とを確実に近接状態にして改質でき、プランジャ33と基材シート32との間の十分な接合強度を実現し易い。
更に、互いに粘着性を有するプランジャ33と基材シート32とを、所定位置に位置決めして粘着させ、その後紫外線を照射してプランジャ33と基材シート32とを接合するので、プランジャ33と基材シート32とを所望の位置に精度良く配置して接合することが容易である。
なお、上記発明の実施の形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記では、予め作製されたプランジャ33及び基材シート32を粘着させて密着した例について説明したが、基材シート32の一方の表面に、プランジャ33を構成するためのPETを溶融状態或いは軟化状態で供給して、成形することで、基材シート32の所定位置にプランジャ33を設けることも可能である。このようにすれば、プランジャ33と基材シート32との界面全体を均一且つ十分に密着させることが容易であり、界面の接合強度をより向上し易い。逆に、プランジャ33及び/又は基材シート32に紫外線を照射してから、その直後に両者を密着することで接合してもよい。
また、上記では、押釦成形体37とプランジャシート31とを両面粘着テープ35により接着したが、例えば紫外線硬化型接着剤により接着することも可能である。その場合、上記のように、プランジャ33と基材シート32とに184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線を照射してプランジャ33と基材シート32とを接合した後、紫外線硬化型接着剤塗布した押釦成形体37をプランジャシート31に仮固定して、300nm〜450nmの波長の紫外線を照射して押釦成形体37とプランジャシート31とを接合してもよい。
更に、プランジャ33と基材シート32とを粘着状態とすると共に、押釦成形体37とプランジャシート31との間に紫外線硬化型接着剤層を介在させて仮固定し、その後、184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線と、300nm〜450nmの波長の紫外線とを同時に照射することで、各部を同時に接合することも可能である。このようにすれば、紫外線を照射する工程を少なくしたり、工程を簡略化し易くできる。
更に、プランジャ33を粘着状態とすると共に押釦成形体37を仮固定した後、異なる波長の紫外線の照射順序を選択すれば、プランジャ33と押釦成形体37との接合順序を調整することも可能である。
また、上記のプランジャシート31は、押釦成形体37が固定された押釦スイッチ用部材30とした例について説明したが、特に限定される必要はなく、例えば、回路部側に配置してもよく、金属製のドーム部45を基板41と共に被覆するドーム固定用シートなどに、押釦成形体37に対面するようにプランジャ33を固定することも可能である。
以下、この発明の実施例について説明する。
(積算光量の測定)
厚さ100μmのポリウレタンシートDUS451(シーダム株式会社製、商品名)と厚さ50μmのPETシート ルミラーT60(東レ株式会社製、商品名)とに、紫外線照射装置VUM−3073−B(株式会社オーク製作所製、商品名)により184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線を照射した際、各シートの透過量を測定した。このときの紫外線の強度は後述する実施例1〜5及び比較例と同一である。
得られた結果を表1に示す。表中PUはポリウレタンシートを示す。また、透過量は各シートを透過後の積算光量を示す。
(表1)
Figure 2010089466
表1の結果から明らかなように、ポリウレタンシートは紫外線を一部透過するが、PETシートでは紫外線が全量吸収される。そのため、ポリウレタンシートとPETシートとを積層して紫外線を照射する場合、ポリウレタンシート側から紫外線を照射すれば界面を照射することができることが分かる。

(実施例1〜7及び比較例)
厚さ100μmのポリウレタンシートDUS451(シーダム株式会社製、商品名)と厚さ50μmのPETシート ルミラーT60(東レ株式会社製、商品名)とを用いて実施例及び比較例の積層部材からなる試験片を作製し、接合強度を確認すると共に、試験片の外観を評価した。
試験片は、ポリウレタンシートとPETシートとを、間に空気や異物が介在されないようにして密着させた後、紫外線照射装置VUM−3073−B(株式会社オーク製作所製、商品名)を用いて184.9nm及び253.7nmの波長の紫外線を、下記表2に示すように種々の積算光量で照射することにより接合した。接合された積層部材の厚さは150μmであった。
紫外線はポリウレタンシート面側からポリウレタンシート面全体を均一に照射した。ポリウレタンシート面側から照射したときの照射時間と積算光量との関係を図6に示す。図6中、実践Aはポリウレタンシートの表面に照射された紫外線の積算光量を示し、一点鎖線Bはポリウレタンシートを透過後の積算光量を示す。なお、確認のために、PETシート面側から照射したものも作製した。
このようにして紫外線を照射することにより接合した後、幅10mmの短冊状に切断して試験片を作製した。
なお、接合時に積層部材の端部にマスキング治具を配置して紫外線を照射しないようにすることで、粘着状態で容易に剥離可能な状態のつかみ代を所定幅で形成し、各試験片の端部につかみ代が配置されるように試験片を作製した。
接合強度の試験は、試験片のつかみ代を支持して、ポリウレタンシートとPETシートとを180度反対方向に、ポリウレタンシートが塑性変形するまで引張ることで、接合強度を比較した。同一の照射時間により得られた複数の試験片の接合強度は安定していた。
得られた結果を表2に示す。なお、接合強度の判定基準は次の通りとした。
○:ポリウレタンシートが100%以上塑性変形しても、PETシートと接合状態を維持できた。
△:ポリウレタンシートが100%未満で塑性変形した状態で、PETシートと剥離した。
×:ポリウレタンシートが塑性変形することなく、PETシートと剥離した。
また、各試験片の外観は次の評価基準で評価した。
○:ポリウレタンシートの変色(黄変)が目視で確認できなかった。
△:ポリウレタンシートの変色(黄変)が目視で確認できた。
×:ポリウレタンシートの変色(黄変)が著しくて実用不能な程度となった。
(表2)
Figure 2010089466
表2の結果から明らかなように、比較例のように紫外線を照射しない場合、或いは、参考例のようにPET面側から照射した場合のように、紫外線により界面を照射しない場合には、ポリウレタンシートとPETシートとは粘着状態のままであり、つかみ代を支持して引張ると簡単に剥離した。
これに対し、実施例1〜7のように、紫外線により界面を照射すると、粘着状態とは顕著に異なり、つかみ代を支持して引張っても容易に剥離しない程度の接合強度で接合することができ、紫外線の照射時間が多い程、接合強度を向上できた。
更に、このような結果より、ポリウレタンシートとPETシートとを接合する場合、PETシートの表面に照射される紫外線の積算光量が71mJ/cm以上、特に、141mJ/cm以上とするのが好ましいことが分かった。
また、実施例1〜6に比べて実施例7では、紫外線の積算光量やポリウレタンシートの透過積算光量(PU透過量)が多いために、やや変色が生じて外観品質が多少低下することが確認された。
具体的には、厚さ100μmのポリウレタンシート表面に照射される紫外線が12213mJ/cmで、ポリウレタンシートを透過後の紫外線の積算光量が2534mJ/cmより大きくなる場合、ポリウレタンシートが黄変するため、外観に影響がでたり、内部光源による照光時の透過光色が変化した。そのため、ポリウレタンシート100μm当たり吸収される紫外線の積算光量の損失量を11000mJ/cm以下の範囲、或いは、ポリウレタンシートを透過後の紫外線の積算光量を2000mJ/cm以下の範囲の範囲とすることが好適であった。

(水に対する接触角度の測定)
紫外線照射によるPET表面の改質効果を確認した。
PETの表面に、比較例及び実施例1〜5に相当する積算光量となるように紫外線を照射し、照射直後に7μLの水滴を表面に滴下し、接触角試験器DM500(協和界面科学株式会社製、商品名)を用いて接触角を測定した。試験回数は5回とした。
結果を表3に示す。
(表3)
Figure 2010089466
表3から明らかなように、PET表面は紫外線が照射されることでPETシート表面に対する水滴の接触角が小さくなっていた。この接触角の減少はPETシート表面が紫外線照射により酸化されて極性基が発生したためと推定できる。ここでは、PETシート表面の積算光量に伴い、水に対する接触角が小さくなり、接触角が小さい程ポリウレタンシートとの接合強度が増加している。そのため、ポリウレタンシートとPETシートとを接合するための改質程度を、接触角を指標として把握できることが推定できた。
そして、第1及び第2の構造部の材料としてポリウレタンとPETとを用い、ポリウレタンからなる構造部を透過させて界面を紫外線照射することで接合する場合には、PETからなる構造部の表面に対する水の接触角を、61.3度以下、特に54.6度以下とするのが好ましいことが分かった。
この発明の実施の形態1及び従来のキーシートを示し(a)は平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。 この発明の実施の形態1のキーシートの製造工程を説明する図である。 この発明の実施の形態2のキーシートの製造工程を説明する図である。 この発明の実施の形態3及び従来の押釦スイッチ用部材を示す断面図である。 この発明の実施の形態3の押釦スイッチ用部材の製造工程を説明する図である。 実施例及び比較例の照射時間と積算光量との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は従来の押釦スイッチ用部材のプランジャ部の拡大断面図である。
符号の説明
10 キーシート(積層部材)
11 フレーム(第1の構造部)
13 キートップ部
19 貫通孔
21 基材シート(第2の構造部)
30 押釦スイッチ用部材(積層部材)
31 プランジャシート(押釦用プランジャ構造体)
32 基材シート(第2の構造部)
33 プランジャ(第1の構造部)
37 押釦成形体
45 ドーム部(被押圧部)

Claims (13)

  1. 第1の構造部と第2の構造部とを積層状態で接合する接合方法であり、
    前記第1の構造部及び/又は前記第2の構造部は、紫外線が照射されることで表面を改質可能な材料からなり、
    前記第1の構造部と前記第2の構造部とを密着させると共に界面に前記紫外線を照射することで、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを前記界面で直接接合することを特徴とする積層部材の接合方法。
  2. 前記第1の構造部と前記第2の構造部とを密着させた状態で、前記第1又は第2の構造部を透過させて前記紫外線を前記界面に照射することを特徴とする請求項1に記載の積層部材の接合方法。
  3. 前記第1の構造部は、前記第2の構造部より前記紫外線の透過率が低い材料からなり、
    前記第2の構造部を透過させて前記紫外線を前記界面に照射することを特徴とする請求項2に記載の接合方法。
  4. 前記第1の構造部と前記第2の構造部とを、少なくとも一方が溶融状態又は軟化状態で積層することで密着させ、その後、前記密着状態を維持して前記紫外線を照射することで接合することを特徴とする請求項2又は3に記載の積層部材の接合方法。
  5. 互いに粘着性を有する前記第1の構造部と前記第2の構造部とを、所定位置に位置決めして粘着させ、その後前記紫外線を照射して前記第1の構造部と前記第2の構造部とを接合することを特徴とする請求項2又は3に記載の積層部材の接合方法。
  6. 前記紫外線を遮蔽可能な遮蔽部を有するマスキング部を入射面に配置して前記紫外線を照射することにより、前記遮蔽部に対応する領域を除く領域の前記界面を接合することを特徴とする請求項2乃至5の何れか一つに記載の積層部材の接合方法。
  7. 前記第1の構造部と前記第2の構造部とを積層すると共に、前記第1の構造部と前記第2の構造部とを接合する前記紫外線とは異なる波長を有する他の紫外線で硬化可能な未硬化の紫外線硬化性樹脂を積層し、
    前記第1の構造部と前記第2の構造部とを接合するための前記紫外線と、前記紫外線硬化樹脂を硬化する前記他の紫外線とを順次或いは同時に照射することで、前記第1の構造部、前記第2の構造部、及び前記紫外線硬化樹脂を接合一体化することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の積層部材の接合方法。
  8. 第1の構造部と第2の構造部とが積層状態で接合された積層部材であり、
    前記第1の構造部及び/又は前記第2の構造部は、紫外線が照射されることで表面を改質可能な材料からなり、
    前記第1の構造部と前記第2の構造部との界面は、前記第1の構造部及び/又は前記第2の構造部の表面が前記紫外線により改質された状態で直接接合されて形成されていることを特徴とする積層部材。
  9. 背面側から照光されて前記第1及び第2の構造部を透過した光が、表面側から視認可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の積層部材。
  10. 前記第1の構造部はポリエステルからなり、前記第2の構造部はポリウレタンからなることを特徴とする請求項8又は9に記載の積層部材。
  11. 前記第1の構造部と前記第2の構造部とが互いに非接合状態で対向する非接合領域を備えることを特徴とする請求項8乃至10の何れか一つに記載の積層部材。
  12. 請求項8乃至11の何れか一つに記載の積層部材からなり、
    前記第1の構造部は、操作部位に貫通孔を備えたフレームからなり、
    前記第2の構造部は、前記フレームより軟質の材料により前記貫通孔より大きく形成されると共に、前記貫通孔周囲の前記フレームに接合されて前記貫通孔内に配置され、前記操作部位が押圧操作されることで変形可能な基材シートからなることを特徴とするキーシート。
  13. 請求項8乃至11の何れか一つに記載の積層部材からなり、
    前記第2の構造部は、操作部位を含む範囲に配置される変形可能な基材シートからなり、
    前記第1の構造部は、前記基材シートより小さく形成され、前記基材シートの前記操作部位に接合されたプランジャからなり、
    押圧操作により前記プランジャにより被押圧部が押圧されるように構成されたことを特徴とする押釦用プランジャ構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016186200A1 (ja) * 2015-05-20 2016-11-24 ウシオ電機株式会社 ワークの貼り合わせ方法および光照射装置

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