以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(遊技機の基本構成)
まず、この発明の遊技機の一例について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の遊技機の一例を示す正面図である。この発明の遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の盤面には、ガラス枠ランプ(図2における符号262を参照)が設けられている。遊技機は、ランプ制御部(図2における符号230を参照)によってガラス枠ランプを駆動制御して、ガラス枠ランプを点灯あるいは点滅させる。これによって、遊技の演出効果を高めることができる。
遊技盤101の下部位置には、発射部(図示を省略する)が配置されている。発射部は、遊技領域103内に遊技球を発射する。発射部によって発射された遊技球は、レール102a、102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、遊技球が落下する際に遊技球が衝突する複数の釘(図示を省略する)が設けられている。また、遊技領域103には、遊技球によって回転する風車(図示を省略する)などが配設されている。複数の釘や風車などは、遊技領域103内を落下する遊技球の落下方向を変化させる。遊技領域103の中央部分には、演出部104が配置されている。
演出部104は、液晶表示器(LCD)などの表示装置104aと、表示装置104aの前側(遊技者側)に設けられた演出用の役物(以下「演出役物」という)104bと、によって構成されている。遊技者は、演出役物104bを通して、当該演出役物104bのうしろ側(背面側)にある表示画面の表示内容を見ることになる。演出部104は、表示装置104aにおける画像の表示動作と演出役物104bの動作とを連動させた演出を実行する。
これによって、遊技者は、演出役物104bによる演出と表示装置104aによる演出とを、視線をずらすことなく同時に見ることができるため、表示装置104aにおける画像の表示動作と演出役物104bの動作とを連動させることにより演出効果を高めることができる。以下、表示装置104aによって画像が表示され、演出役物104bが配置された領域を、演出領域として説明する。演出役物104bについては後述する。
演出領域の周囲は、図示を省略するフレーム部材によって囲まれている。フレーム部材は、表示装置104aや演出役物104bを支持しており、遊技盤101に取り付けられている。フレーム部材が遊技盤101に取り付けられた状態では、フレーム部材および遊技盤101によって演出領域の内側(表示装置104aにおける表示画面の正面)と演出領域の外側とが分けられた状態とされる。演出領域の内側とされる空間は、通常の遊技に用いる遊技球が落下する遊技領域103よりも、遊技機の背面側に入り込んだ位置に設けられている。
遊技盤101は、演出部104の表示領域以外の位置に、演出役物を備えていてもよい。そして、この演出役物は、装飾用のLEDなどを備えていてもよい。この場合、遊技機は、演出役物が備える装飾用のLEDの発光タイミングを制御することによって演出効果を高めることができる。また、演出役物は、たとえばモータやソレノイド(図2における符号286、287を参照)などの駆動力を受けて動作する可動式の演出役物であってもよい。
遊技領域103において演出部104の周囲には、始動入賞口105、入賞ゲート106、複数の普通入賞口107などが配設されている。始動入賞口105、入賞ゲート106、複数の普通入賞口107には、各入賞口105〜107における遊技球の入賞の有無に応じて出力が変化するスイッチ(図2における符号251を参照)が設けられている。遊技領域103の下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109は、大当たり状態以外の状態では大入賞扉109aによって閉塞されており、大当たり状態になると一定の期間だけ開放される。
大入賞口109および大入賞扉109aは、大入賞口109の開閉を検出する大入賞口開閉スイッチや、大入賞口109に入賞した遊技球を検出する左カウントスイッチや右カウントスイッチ(いずれも図示を省略する)などとともにいわゆるアタッカーを構成する。遊技領域103の最下部には、回収口108が設けられている。回収口108は、上述したいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材110は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。これにより、この実施の形態の遊技機を、枠部材110を備えていない他機種の遊技機よりも目立たせることができる。遊技機を目立たせることにより、多くの遊技者の関心を引き、それによって遊技機の稼働率の向上を図るとともに、遊技機に対する不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110において、遊技領域103よりも上側の縁および下側の縁には、演出ライト部111が設けられている。演出ライト部111は、それぞれ複数のライト112を備えている。各ライト112は、装飾LED(図2における符号261を参照)を含み、光の照射方向を上下方向に変更することができる。また、演出ライト部111は、光の照射方向を回転させることができる。遊技機は、各ライト112が照射する光の照射方向を変更するモータ(図示を省略する)などを備えている。
枠部材110の下部位置には、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル113は、上記の枠部材110と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。また操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。
発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。操作ハンドル113は、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどを備えている。また、枠部材110には、音声を出力する下部バスSP(図2における符号271を参照)や上部ステレオスピーカ(図2における符号272を参照)が組み込まれている。遊技機は、上部ステレオスピーカや下部バスSPから、たとえば演出部104の表示内容に応じた音声を出力する。これによって演出効果を高めることができる。
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。この実施の形態において、チャンスボタン117は、凸状ボタン形状を有している。チャンスボタン117は、凸状ボタンの他、タッチパネル方式を採用した入力パッドなどであってもよい。チャンスボタン117の操作は、たとえば遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
枠部材110において、チャンスボタン117の隣には、十字キー118が設けられている。十字キー118は、演出部104に表示される文字や図形などを指し示す位置を変更するカーソルキーと、カーソルキーの操作によって選択された文字や図形などを確定する「ENTER」キー(図示を省略する)と、を備えている。チャンスボタン117や十字キー118は、たとえば特定の演出に際して、チャンスボタン117や十字キー118の操作を促す表示画面が演出部104に表示された場合に操作される。
(遊技機の制御部の内部構成)
つぎに、遊技機の制御部の内部構成について説明する。図2は、遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。遊技機の制御部は、複数の制御部により構成されている。図2において、制御部は、主制御部210と、演出制御部220と、ランプ制御部230と、音声制御部240と、役物制御部280と、を有する。主制御部210、演出制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240および役物制御部280は、それぞれ別々の基板に設けられている。
主制御部210は、遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。主制御部210は、たとえばメイン基板によってその機能を実現することができる。主制御部210は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、I/O214〜216と、ラムクリアスイッチ217と、を備えて構成される。
CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行する。ROM212は、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行するための各種プログラムや、大当たり判定に用いる大当たり値などを記憶している。RAM213は、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。CPU211は、遊技内容の進行にともなう基本処理として、たとえば大当たり判定用乱数のカウントをおこなう。
具体的には、たとえば大当たり確率が1/307に設定されている遊技機の場合、CPU211は、遊技機が起動している間中、1ループが0〜306までの数値で+1ずつカウントアップする。CPU211は、このカウントアップを、主制御部210への電源供給時から開始し、1ループ分のカウント後は、つぎの1ループ分のカウントをおこなう、というようにループ状のカウントをおこなう。RAM213は、このような大当たり判定用乱数のカウントに際してのカウンタとして機能する。
そして、CPU211は、発射部によって発射された遊技球が始動入賞口105に入賞(以下「始動入賞」という)すると、始動入賞した時点のカウント値を大当たり判定用乱数として取得する。大当たり判定用乱数は、始動入賞したタイミングによって異なる。具体的には、たとえば上記の大当たり確率が設定されている遊技機であれば、CPU211は、0〜306までの整数を含む数値群から、始動入賞した時点でカウントされた数値を、大当たり判定用乱数として取得する。上記の例であれば、0〜306までの整数によって構成される数値群の中の数値を大当たり判定用乱数として取得する。
CPU211は、大当たり判定用乱数を取得するごとに、取得した大当たり判定用乱数とROM212に記憶されている大当たり値とを比較して、大当たり判定をおこなう。CPU211は、具体的には、たとえば大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致するか否かを判定し、一致する場合を大当たりと判定する。大当たり判定は、当該大当たり判定をおこなうための大当たり判定用乱数を取得した時点、すなわち始動入賞があった時点において先の始動入賞に対応した演出の実行中である場合、当該実行中の演出が終了してからおこなう。
I/O214は、始動スイッチ(始動SW)251が出力した信号と、ゲートスイッチ(ゲートSW)252が出力した信号と、をCPU211に入力する。始動SW251およびゲートSW252は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。この場合、始動SW251およびゲートSW252は、遊技球が各スイッチ251、252に接近したタイミングでオン状態を示す信号を出力する。
CPU211は、一定時間(たとえば4msec)ごとに始動SW251およびゲートSW252の出力を監視している。遊技機は、たとえば遊技球が始動入賞口105を通過した場合、始動SW251からの出力は2回以上連続してオン状態となる。CPU211は、始動SW251からの出力が2回以上連続してオン状態となった場合を、遊技球が始動入賞口105を通過した(始動入賞があった)ものとして判断する。
また、I/O214は、大入賞口スイッチ(大入賞口SW)253からの出力信号をCPU211に入力する。大入賞口SW253は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。CPU211は、大入賞口SW253からの出力信号に基づいて、遊技球が大入賞口109に入賞したことを検出する。また、CPU211は、遊技球が大入賞口109に入賞したことを受信すると、賞球制御部(図示を省略する)に対して、賞球制御信号を出力する。
賞球制御部は、主制御部210からの賞球制御信号を受信すると、賞球制御部に接続される払出部に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。賞球制御部は、賞球制御の処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMと、主制御部210や図示を省略する払出部に対するデータの出力をおこなうI/Oなどを備えて構成される。賞球制御部については図示を省略する。
払出部は、遊技球を貯留する貯留部(図示を省略する)に連通しており、遊技球の払い出しに際して駆動されるモータを備えている。払出部は、モータの駆動時間(駆動量)を調整することによって、入賞した遊技球に対応した賞球数分の遊技球を払い出す。賞球制御部は、このモータを駆動制御することによって入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
CPU211は、大当たりが発生した場合に、I/O214を介して、大入賞口ソレノイド254に対して大入賞口ソレノイド254の開閉信号を出力する。また、CPU211は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109を一定期間開放するように大入賞口ソレノイド254の開閉を制御する。さらに、CPU211は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返すように大入賞口ソレノイド254の開閉を制御する。
I/O214は、普通入賞口スイッチ(普通入賞口SW)255、256からの出力信号を、CPU211に入力する。普通入賞口SW255、256は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。CPU211は、普通入賞口SW255、256からの出力信号に基づいて、遊技球が普通入賞口107に入賞したことを検出する。また、CPU211は、遊技球が普通入賞口107に入賞したことを受信すると、上述した賞球制御部に対して賞球制御信号を出力する。
I/O215は、ラムクリアスイッチ217からの出力信号を、CPU211に入力する。ラムクリアスイッチ217は、押圧操作されている状態でオン状態を示す信号を出力する。そして、ラムクリアスイッチ217は、押圧操作が解除された場合に、オフ状態を示す信号を出力(あるいは、信号の出力を停止)する。ラムクリアスイッチ217は、たとえばメイン基板などに設けられており、これによってラムクリアスイッチ217を操作することによる操作信号を直接主制御部210に入力し、ラムクリア信号を遊技機の外部から入力できないようにすることができる。
CPU211は、たとえば電源スイッチ(図示を省略する)が操作されるなどして電源の供給があった場合、ラムクリアスイッチ217からオン状態を示す信号が出力されていると、遊技の遊技情報を初期化(ラムクリア)する。CPU211は、ラムクリアに際して、たとえばRWM領域に記憶された初期値乱数や初期値データなどを0(ゼロ)にする。
CPU211は、始動SW251、ゲートSW252、大入賞口SW253、普通入賞口SW255、256から受信した各種の出力信号に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をI/O216を介して演出制御部220に出力する。また、CPU211は、電源の供給状態とラムクリアスイッチ217からの出力信号に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をI/O216を介して演出制御部220に出力する。
演出制御部220は、主制御部210が出力した制御信号に基づいて、遊技機の演出制御をおこなう。演出制御部220は、たとえば演出制御基板によって実現することができる。演出制御部220は、CPU221と、ROM222と、RAM223と、I/O224〜226と、を備えて構成される。
CPU221は、I/O224を介して主制御部210からの制御信号およびROM222に記憶されたプログラムに基づいて、遊技内容を演出する演出処理を実行する。ROM222は、演出処理の実行にかかる各種プログラムや、演出部104における表示装置104aに表示する各種画像データを記憶する。各種画像データは、背景画像、図柄画像、キャラクター画像などである。RAM223は、CPU221の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
CPU221は、たとえばROM222に記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行する。また、CPU221は、各種画像処理の実行に際し、適宜必要な画像データをROM222から読み出し、読み出した画像データを、I/O225を介して表示装置104aに出力する。ここで、CPU221は、具体的には、たとえば入賞するまでの間遊技内容を演出する図柄や、リーチ(3つの図柄のうち2つが揃った状態)図柄、大当たり時の遊技内容を演出する図柄などをあらわす画像データを出力する。
演出部104は、表示装置104aに所定の画像を表示するための画像データを、演出制御部220が備えるVRAMなどに書き込む。演出部104は、演出制御部220が備えるVRAMへの画像データの書き込みに際して、図柄画像やキャラクター画像が背景画像よりも手前に見えるように、画像データの加工をおこなう。具体的には、たとえば演出部104が表示する背景画像と図柄画像の表示位置が表示画面内の同一位置に重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図示を省略するVRAMなどに図柄画像を優先して記憶させる。表示装置104aは、VRAMに書き込まれた画像データに基づいて、図柄画像やキャラクター画像が背景画像よりも手前に見える画像を表示する。
I/O225は、上述したチャンスボタン117からのチャンスボタン操作信号を、CPU221に入力する。また、I/O225は、十字キー118や「ENTER」ボタンなど、チャンスボタン117以外の別のボタンからの操作信号を、CPU221に入力してもよい。I/O226は、CPU221によって制御されて、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、装飾LED261、ガラス枠ランプ262およびサイドランプ263などの遊技機が備える各種の光源の発光動作の制御に関する制御信号をランプ制御部230に出力する。ランプ制御部230は、演出制御部220がおこなう演出処理のうち、装飾LED261、ガラス枠ランプ262、サイドランプ263などの発光体の発光制御をおこなう。ランプ制御部230は、CPU231と、ROM232と、RAM233と、I/O234、235と、を備えて構成される。
また、I/O226は、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272からの音声出力制御に関する制御信号を音声制御部240に出力する。また、I/O226は、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、演出役物104bなどの役物の制御に関する制御信号を、役物制御部280に出力する。役物制御部280については後述する。
CPU231は、I/O234によって入力された演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM232に記憶されたプログラムを読み込む。そして、CPU231は、読み込んだプログラムを実行することにより、I/O235から出力した制御信号によって装飾LED261、ガラス枠ランプ262、サイドランプ263などの発光体の発光/消灯を制御する。RAM233は、CPU231の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU231による発光体の発光/消灯に際して適宜必要なデータが書き込まれる。
音声制御部240は、演出制御部220がおこなう演出処理のうち、音声出力に関する音声出力処理をおこなう。音声制御部240は、CPU241と、ROM242と、RAM243と、I/O244、245と、を備えて構成される。CPU241は、I/O244によって入力した演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM242に記憶されたプログラムを読み込み、読み込んだプログラムにしたがって音声出力処理をおこなって音声信号を生成する。RAM243は、音声出力処理に際して、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU241による音声出力処理に際して適宜必要なデータが書き込まれる。
CPU241は、音声出力処理に際して、演出に用いるBGM、キャラクターの台詞、効果音などを含む音声信号を生成する。CPU241は、生成した音声信号をI/O245を介して下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272へ出力する。下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272は、ボイスコイル(図示を省略する)を備えており、音声制御部240から出力された音声信号にしたがった電気信号をボイスコイルに印加することによって音声を出力する。
役物制御部280は、演出制御部220がおこなう演出処理のうち、演出役物104bを含む各種の演出役物に関する駆動制御処理をおこなう。役物制御部280は、CPU281と、ROM282と、RAM283と、I/O284、285と、を備えて構成される。CPU281は、I/O284によって入力した演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM282に記憶されたプログラムを読み込み、読み込んだプログラムにしたがって駆動制御処理をおこなって演出役物104bを含む各種の演出役物を動作させるためのモータ286やソレノイド287などを駆動制御する。
また、CPU281は、I/O284によって入力した演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM282に記憶されたプログラムを読み込み、読み込んだプログラムにしたがって駆動制御処理をおこなって循環機構部(図8における符号801を参照)を動作させるためのモータ290を駆動制御する。RAM283は、音声出力処理に際して、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU281による音声出力処理に際して適宜必要なデータが書き込まれる。循環機構部については後述する。
I/O284は、疑似球検出センサ288からの出力信号をCPU281に入力する。疑似球検出センサ288は、演出領域中へ投入される疑似球が移動する経路上であって、疑似球Fの移動方向において、演出領域におけるもっとも上流側に設けられる演出役物(図3における符号311を参照)よりも上流側に設けられており(たとえば図8を参照)、演出領域中へ投入される疑似球の通過の有無に応じて出力が変化する。
疑似球検出センサ288は、たとえば疑似球Fの移動方向における演出役物の直近に設けられていることが好ましく、これによって疑似球が演出役物中に確実に投入されたことを検出することができる。CPU281は、疑似球検出センサ288からの出力信号に基づいて、演出領域中に疑似球が投入されたことを検出する。疑似球検出センサ288による演出領域中への疑似球の投入の有無は、始動SW251による遊技球の始動入賞の有無の判断方法と同様であるため説明を省略する。疑似球については説明を後述する。
疑似球検出センサ288は、疑似球の移動方向において演出役物から所定距離離間した位置に設けられていてもよい。これによって、演出領域中への疑似球の投入がおこなわれてから、表示装置104aにおいて所定の演出画像を表示するまでの処理時間を確保することができる。また、疑似球検出センサ288は、I/O214を介して主制御部210が備えるCPU211に接続されていてもよい。
この場合CPU211は、疑似球検出センサ288からの出力信号に基づいて演出領域中に疑似球が投入されたことを検出し、検出結果を演出制御部220を介して役物制御部280に対して出力する。また疑似球検出センサ288は、I/O225を介して演出制御部220が備えるCPU221に接続されていてもよい。この場合CPU221は、疑似球検出センサ288からの出力信号に基づいて演出領域中に疑似球が投入されたことを検出し、検出結果を役物制御部280に対して出力する。
また、I/O284は、回収口通過センサ289およびVゾーン通過センサ291からの出力信号をCPU281に入力する。回収口通過センサ289は、演出領域の外へ排出される疑似球が移動する経路上に設けられている(図8を参照)。回収口通過センサ289は、Vゾーン(図3における符号343を参照)あるいは疑似球回収用スリット(図10における符号1001を参照)を介して、演出領域の外部に排出される疑似球が移動する経路上に設けられており、疑似球の移動方向において、Vゾーンおよび疑似球回収用スリットよりも下流側に設けられている。
回収口通過センサ289は、演出領域の外部に排出される疑似球の通過の有無に応じて出力が変化する。CPU281は、回収口通過センサ289からの出力信号に基づいて、疑似球が演出領域の外部に排出されたことを検出する。回収口通過センサ289による演出領域中への疑似球の投入の有無は、始動SW251による遊技球の始動入賞の有無の判断方法と同様であるため説明を省略する。
Vゾーン通過センサ291は、Vゾーンの近傍に設けられており、疑似球FがVゾーン343を通過したことを検出する(図8を参照)。Vゾーン通過センサ291からの出力信号は、I/O284を介してCPU281に入力される。これによって、演出領域中に排出された疑似球がVゾーンを通過したか否かを検出することができ、疑似球が、大当たり判定結果にしたがって正しい位置を通過したか否かを判定することができる。
図2に示したように、この実施の形態においては、上記構成の主制御部210と、演出制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240および役物制御部280は、それぞれ異なるプリント基板(メイン基板、サブ基板、ランプ制御基板、音声制御基板および役物制御基板)に設けられる。主制御部210、演出制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240および役物制御部280は、各々が異なる基板に設けられている形態に限らない。たとえば、演出制御部220とランプ制御部230と音声制御部240と役物制御部280とを同一のプリント基板上に設けるなど、一部あるいはすべての制御部を同一のプリント基板上に設けることも可能である。
(遊技機の基本動作)
上記の構成を備えた遊技機は、発射部によって発射された遊技球が始動入賞口105、入賞ゲート106あるいは普通入賞口107のいずれに入賞したかに応じて、所定の動作を実行する。遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば入賞ゲート106に入賞した場合、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる。また、遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば複数の普通入賞口107の中のいずれか1つの普通入賞口107に入賞した場合、普通入賞時の賞球数(たとえば10個)の遊技球の払い出しをおこなう。
また、遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば始動入賞口105に入賞した場合、大当たり判定用の数値としての大当たり判定用乱数を取得する。そして、遊技機は、取得した大当たり判定用乱数と、あらかじめ定められた数値(大当たり値)と、が一致するか否かを判断する。遊技機は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致しない場合をハズレ状態とし、演出部104においてハズレ演出を実行する。
一方、遊技機は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致する場合を大当たり状態とし、演出部104において大当たり演出を実行する。また、遊技機は、大当たり状態になると、大入賞口109を一定の期間開放する。遊技機は、大入賞口109の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返し、その間に入賞した遊技球に対応した数の賞球を払い出す。
遊技機は、演出部104における各種演出(ハズレ演出あるいは大当たり演出)に際して、所定の球体形状の移動部材を用いる。所定の球体形状の移動部材は、表示装置104aの表示画面に表示される仮想的な物体ではなく、質量や具体的な形をもって空間に存在している物体であればよい。すなわち遊技機は、表示装置104aの表示画面に表示する仮想的な物体あるいは空間と、質量や具体的な形をもって空間に存在している物体と、を用いた演出をおこなう。
所定の球体形状の移動部材は、演出役物104bによって構成される移動経路に沿って移動可能な物体であれば特に限定されるものではないが、移動経路中を自重によって上方から下方に向かって移動可能な球体形状の物体であることが好ましい。この実施の形態においては、所定の球体形状の移動部材として疑似球を用いる。
疑似球は、遊技機における遊技に用いる遊技球と同じ実球であるが、遊技の進行(当たりやハズレの決定)に関与しない。疑似球としては、具体的には、たとえばハズレが確定し回収口108に回収される前の遊技球や、遊技に用いる遊技球とは別の経路を通るように、遊技に用いる遊技球とは隔離された経路を循環する、遊技球と同じいわゆる実球を用いることができる。疑似球は、各種演出に際して、演出部104に設けられた演出役物104bによって、表示装置104aの前側(遊技者側)に設けられた所定の経路中のみを案内される。
遊技機は、疑似球を保持するとともに演出領域中に疑似球を排出する疑似球保持機構を備えている。疑似球保持機構は、役物制御部280によって駆動制御されるモータ286によって駆動されて、演出領域中に疑似球を1球ずつ排出する。疑似球保持機構によって演出領域中に排出された疑似球は、演出領域中から排出された後に循環機構部によって搬送されて、再び疑似球保持機構によって演出領域中に投入される。すなわち、遊技機においては、所定の疑似球が繰り返して演出に用いられている。
(演出役物104bの構成)
つぎに、演出部104における演出役物104bの構成について説明する。演出役物104bは、疑似球を用いた演出にかかわる。図3は、演出部104における演出役物104bの構成を示す説明図である。図3において、演出部104における演出領域は、変動開始領域310と、第1の予告区間領域320と、第2の予告区間領域330と、結果確定領域340と、に分割されている。演出役物104bは、変動開始領域310、第1の予告区間領域320、第2の予告区間領域330および結果確定領域340の各領域にそれぞれ設けられており、各領域310、320、330、340を疑似球が順次連続して移動できるように連結されている。
この実施の形態においては、演出役物104bによって構成され、疑似球が各領域310、320、330、340を順次連続して移動できるような経路によって移動経路が実現されている。移動経路は、演出役物104bによって各領域310、320、330、340中に構成される空間によって実現することができる。
演出役物104bのうち、変動開始領域310に設けられた演出役物311は、演出領域中に疑似球を投入する経路を備えている。第1の予告区間領域320に設けられた演出役物321は、変動開始領域310側から第2の予告区間領域330側に疑似球が転がるように傾斜したブリッジであり、変動開始領域310と第2の予告区間領域330とを連結する経路を構成している。
演出役物311、演出役物(ブリッジ)321は、透明なプラスチック材料などを用いて形成されているとよい。これによって、背面側に設けられた表示装置104aが表示する画像の視認性を大きく損なうことなく、演出領域において疑似球を移動させることができる。
ブリッジ321には、疑似球の転がりを停止する位置に突出するツメ322、323が設けられている。ツメ322、323は、疑似球の転がりを停止する突出位置とブリッジ321から退避する退避位置との間でそれぞれ変位可能に設けられている。また、ツメ322、323は、役物制御部280によって駆動制御されるモータ286の駆動力を受けて突出位置あるいは退避位置のいずれか一方に選択的に位置付けられる。
ツメ322、323は、ブリッジ321によって形成される移動経路上の2箇所に設けられており、各々独立して突出位置あるいは退避位置に変位する。突出位置に位置付けられているツメ322、323は、ブリッジ321上を転がってきた疑似球を停止させ、疑似球の転がりを停止する。疑似球の転がりを停止しているツメ322、323が退避位置に変位すると、疑似球は再びブリッジ321上を変動開始領域310側から第2の予告区間領域330側に向かって転がる。
ブリッジ321には、ツメ322、323を遊技者側から覆うガード部材322a、323aが設けられている。ガード部材322a、323aは、不透明な材料によって形成されており、ツメ322、323の動きを遊技者側から視認しにくくしている。ガード部材322a、323aは、ブリッジ321と同じ透明なプラスチック材料などを用いて形成されていてもよい。この場合、ブリッジに塗装を施すか、シールを貼るなどしてツメ322、323の動きを遊技者側から視認されないようにするとよい。
各ツメ322、323の上方には、突起324、325が設けられている。突起324、325は、ブリッジ321上を転がる疑似球に接触せず、かつ、突出位置に位置付けられたツメ322、323の先端との間隔が疑似球の直径未満の間隔となる位置に設けられている。これによって、ブリッジ321上を転がってきた疑似球が、突出位置に位置付けられているツメ322、323を乗り越えて転がり続けることを防止し、ツメ322、323が突出位置に位置付けられている場合には疑似球をツメ322、323の位置で確実に停止させることができる。
疑似球をツメ322、323の位置で確実に停止させることができない場合、たとえば表示装置104aにおいて疑似球を停止させる画像を表示する演出をおこなっているにもかかわらず、疑似球の動きが演出内容に一致せず、演出自体が台無しになる。疑似球をツメ322、323の位置で確実に停止させることができなければ演出としての形をなさなくなるが、この実施の形態においては、ツメ322、323が突出位置に位置付けられている場合に疑似球をツメ322、323の位置で確実に停止させることによって、表示装置104aが表示する演出画像と疑似球の動きとをリンクさせ、演出を効果的におこなうことができる。
ブリッジ321は、分岐ブリッジ321aを含んで構成されている。分岐ブリッジ321aは、第2の予告区間領域330側に設けられたツメ323よりも第2の予告区間領域330側に設けられており、疑似球を第2の予告区間領域330に案内する案内位置と疑似球を第1の予告区間領域320から排出する排出位置との間で変位可能に設けられている。分岐ブリッジ321aは、透明なプラスチック材料などを用いて形成されているとよい。
分岐ブリッジ321aは、遊技機に対して位置固定された回動軸を中心として、ツメ323側に位置する自由端部が変位するように回動可能な状態で設けられている。分岐ブリッジ321aは、回動することによってブリッジ321に開口を形成し、この開口から疑似球を落下させることによって、転がってきた疑似球が第2の予告区間領域330に移動することを防止する。
分岐ブリッジ321aは、重心の位置を調整するなどして、疑似球の自重が加わらない状態では常に案内位置に位置するように付勢されている。重心の位置は、分岐ブリッジ321aの自由端部に疑似球の自重以上の力が加わった場合に分岐ブリッジ321aを回動させる程度の付勢力を作用させるように調整されている。
分岐ブリッジ321aの自由端部側には、分岐ブリッジ321aの自由端部を支持する、図示を省略する分岐ツメが係合している。分岐ツメは、ブリッジ321の本体側に設けられており、分岐ツメは、分岐ブリッジ321aが回動しないように分岐ブリッジ321aの自由端部に係合する回動停止位置と、分岐ブリッジ321aの回動を許容する回動許容位置と、に変位可能に設けられている。分岐ツメが回動停止位置に位置付けられている状態では、疑似球は分岐ブリッジ321a上を転がって第2の予告区間領域330に到達する。
分岐ブリッジ321aは、分岐ツメが回動許容位置に位置付けられている状態で疑似球が転がってきた場合、疑似球の自重によって、固定された一端を中心として回動する。これにより、疑似球は第1の予告区間領域320から排出され、第2の予告区間領域330を経由することなく結果確定領域340に至る。第2の予告区間領域330を経由することなく結果確定領域340に至った疑似球は、図示を省略する疑似球回収口から演出部104の外部に排出される。
分岐ブリッジ321aは、疑似球が転がってくる側すなわち疑似球の進行方向において上流側が開口するように設けられていることが好ましい。これにより分岐ブリッジ321aは、疑似球が分岐ブリッジ321aに乗った時点から回動しはじめ、疑似球が転がってきた向きとは逆向きの傾斜をなすため、疑似球の転がる勢いを減少させ、疑似球をブリッジ321上から確実に排出することができる。
第2の予告区間領域330に設けられた演出役物331は、分岐ブリッジ321aを通過して転がってきた疑似球が上側から下側に転がる(落下する)ような経路を構成している。演出役物331は、疑似球が螺旋状の軌跡を描きながら転がる(落下する)ように、螺旋状の経路(以下「螺旋経路」という)を構成している。第2の予告区間領域330に進入した疑似球は、自重によって演出役物331中を落下し、分岐ボックス332に至る。
分岐ボックス332は、螺旋経路を落下してきた疑似球を、受け皿333あるいはそれ以外に分配する。分岐ボックス332は、演出役物331の下方に設けられて、支点332aを中心に回動可能に設けられた振り子332bを備えている。振り子332bは、役物制御部280によって駆動制御されるモータ286あるいはソレノイド287などの駆動力を受けて所定方向に回動する。
図4−1および図4−2は、分岐ボックス332の構造を示す説明図である。図4−1においては分岐ボックス332を構成する各部を斜め方向から見た状態を示し、図4−2においては分岐ボックス332の一部を斜め方向から見た状態を示している。図4−1および図4−2において、分岐ボックス332は、遊技者側からの振り子332bの視認を遮るためのカバー410を備えている。
カバー410は、振り子332bには接触しない位置に設けられている。また、カバー410は、不透明なプラスチック材料などを用いて形成されている。カバー410を設けることによって、分岐ボックス332における振り子332bの動きを遊技者から視認しにくくすることができ、演出の展開を事前に予測できにくくすることができる。カバー410は、ブリッジ321と同じ透明なプラスチック材料などを用いて形成されていてもよく、この場合はブリッジに塗装を施すかシールを貼るなどして振り子332bの動きを遊技者側から視認しにくくすることが好ましい。
図5−1、図5−2および図5−3は、振り子332bの動作を示す説明図である。図5−1においては振り子332bが基準位置にある状態を示し、図5−2においては振り子332bがハズレ演出に際して動作した状態を示し、図5−3においては振り子332bが大当たり演出に際して動作した状態を示している。
図5−1、図5−2および図5−3において、振り子332bは、遊技を待機している状態や非演出時などは基準位置に位置付けられており、始動入賞時の判定結果に応じて時計回りあるいは反時計回りに回動する。振り子332bは、具体的には、ハズレ演出に際しては支点332aを中心に反時計回り方向に回動し、大当たり演出に際しては支点332aを中心に時計回り方向に回動する。
この実施の形態においては、振り子332bが時計回り方向に回動した場合に、螺旋状の経路を落下してきた疑似球Fを受け皿333に分配することができる。また、この実施の形態においては、振り子332bが反時計回り方向に回動した場合に、螺旋状の経路を落下してきた疑似球Fを受け皿333の外に分配する。受け皿333の外に分配された疑似球Fは、疑似球回収口から演出部104の外部に排出される。受け皿333は振り子332b側ほど高くなるように傾斜して設けられており、受け皿333に排出された疑似球Fは受け皿333における低い方の端部で停止する。
結果確定領域340に設けられた演出役物(リフト機構)341は受け皿333に排出された疑似球FをVゾーン343に移動させ、結果確定領域340に設けられた演出役物342は疑似球FをVゾーン343に導く経路を構成する。リフト機構341、演出役物342は、透明なプラスチック材料などを用いて形成されている。これによって、背面側に設けられた表示装置104aが表示する画像の視認性を大きく損なうことなく、演出領域において疑似球を移動させることができる。
リフト機構341は、具体的には、たとえば受け皿333に排出された疑似球Fを把持する把持部341aと、把持部341aを開閉するソレノイド287と、把持部341aに連結されたアーム341bと、アーム341bに連結されたモータ286と、を備えている。またリフト機構341は、受け皿333の位置にある把持部341aをソレノイド287の駆動によって開閉することにより疑似球Fを把持し、疑似球Fを把持した状態でモータ286を駆動してアーム341bを移動することにより、疑似球Fを受け皿333からVゾーン343の上方へ移動する。
リフト機構341は、受け皿333からVゾーン343の上方へ移動する間に、把持部341aをソレノイド287の駆動によって開放することにより疑似球Fを落下させる。Vゾーン343の上方において把持部341aを開放した場合、疑似球FはVゾーン343に落下する。Vゾーン343の上方以外において把持部341aを開放した場合、把持部341aから落下した疑似球Fは、疑似球回収口から演出部104の外部に排出される。
Vゾーン343には、疑似球FがVゾーン343を通過したことを検出するVゾーン通過センサ291が設けられている。Vゾーン通過センサ291は、疑似球FがVゾーン343を通過した場合に、出力が所定時間(あるいは所定パルス数)連続してオン状態となる。オン状態が連続する回数は、疑似球Fの大きさによって適宜所定の範囲内に定められる。
Vゾーン343に設けられたVゾーン通過センサは、演出部104において発生した異常の検出に利用することもできる。具体的には、Vゾーン343に設けられたVゾーン通過センサの出力が所定時間(あるいは所定パルス数)以上連続してオン状態となった場合を、Vゾーン343に疑似球Fが詰まっているなど、演出部104に異常が発生していることを検出することができる。
つぎに、疑似球保持機構について説明する。図6は、疑似球保持機構の構成を示す説明図である。図6において、疑似球保持機構600は、演出役物311を介して演出領域内に疑似球Fを投入する機構であって、遊技盤101の背面側に設けられている。疑似球保持機構600は、誘導部602を備えている。誘導部602は、循環機構部(図8、図9および図10を参照)と演出役物311によって形成される移動用経路601とを連通する。誘導部602は、筒形状あるいは管形状をなす誘導経路603を備え、循環機構部に連通される開口602aを備えている。誘導経路603の内径は疑似球F1、F2の直径と同等あるいは疑似球F1、F2の直径よりも若干大きい。
誘導経路603は、開口602a側よりも演出役物311側の方が低くなるように傾斜した状態で設けられている。これによって、開口602aから誘導部602内に導入された疑似球Fが、開口602a側から演出役物311側へ、自重によって誘導経路603を転がりながら移動する。
疑似球保持機構600は、誘導経路603における演出役物311側に設けられた規制部材604を備えている。規制部材604は、誘導経路603中を移動する疑似球F1、F2を停止させるように誘導経路603の内側に突き出している。始動入賞口105に入賞し、誘導経路603中を移動する疑似球F1、F2は、規制部材604によって規制される位置で停止する。誘導経路603においては、誘導経路603の長さに応じた所定数の遊技球を保留することができる。この実施の形態においては、誘導経路603によって所定の空間としての機能を実現することができる。
規制部材604は、回動軸605を中心として回動自在とされている。回動軸605は、誘導経路603中を移動する遊技球F1、F2の移動を妨げることのない位置に設けられている。規制部材604は、回動軸605を中心として回動することによって誘導経路603の内側に突き出した位置と、誘導経路603から退避した位置と、の間で変位する。規制部材604は、複数設けられており、いずれも回動軸605を中心とする円の半径方向に突き出している。
この実施の形態においては、規制部材604は4つ設けられており、回動軸605は1回の回動において90度ずつ回動する。規制部材604と規制部材604との間隔は遊技球1個分程度とされている。回動軸605にはモータ286が連結されており、回動軸605はモータ286の回転駆動力が伝達されることによって回動する。複数の規制部材604は、それぞれ回動軸の回動にともなって回動する。回動軸605に連結されたモータ286は、役物制御部280によって駆動制御され、保留数が1以上の状態で演出が終了した場合に回転駆動する。この実施の形態においては、複数の規制部材604、回動軸605、回動軸605に連結されたモータ286および役物制御部280によって排出手段が実現されている。
つぎに、疑似球保持機構600の動作について説明する。図7−1、図7−2および図7−3は、疑似球保持機構600の動作を示す説明図である。図7−1、図7−2および図7−3において、誘導経路603中に疑似球F(F1、F2)が保留されている状態(図7−1を参照)で規制部材604aが、誘導経路603から退避した位置に変位すると(図7−2および図7−3を参照)、規制部材604aによって移動を規制されていた疑似球F1が演出役物311によって形成される移動用経路601中に排出される(図7−3を参照)。
規制部材604aが疑似球F1を排出するように回動すると、同時に規制部材604bが誘導経路603に突き出して別の疑似球F2の移動を規制する。すなわち、ある規制部材604aがもっとも演出役物311側に保留されている疑似球F1を排出するように回動すると同時に、回動軸605の回動方向における上流側に位置する別の規制部材604bが誘導経路603に突き出し、排出した疑似球F1の直後に並んでいた疑似球F2の移動を規制する。これによって、疑似球F1、F2を1つずつ演出領域内に排出することができる。
遊技機においては、排出手段を実現する疑似球保持機構600の動作によって移動経路中に排出された疑似球Fを、大当たり情報に基づいて、Vゾーン343を経由させて、あるいは、Vゾーン343を経由させないで、演出領域の外へ移動させる。具体的には、たとえば大当たり状態では、疑似球Fが各領域310、320、330、340を順次連続して移動した後にVゾーン343に到達するように、疑似球Fを移動させる。また、具体的には、たとえば大当たり状態以外の状態では、移動経路を移動する疑似球FがVゾーン343に到達する以前に演出領域の外に移動するように、疑似球Fを移動させる。
この実施の形態においては、分岐ブリッジ321a、振り子332b、リフト機構341によって移動手段を実現することができる。また、この実施の形態においては、分岐ブリッジ321aの動作を規制する分岐ツメ、振り子332bに駆動力を与えるモータ286あるいはソレノイド287などを駆動制御する役物制御部280、リフト機構341における把持部341aを開閉するソレノイド287などによって移動手段を実現してもよい。
(循環機構部の構成)
つぎに、循環機構部の構成について説明する。図8、図9および図10は、循環機構部の構成を示す説明図である。図8においては、循環機構部の全体構成を示している。図9においては、循環機構部における一部を斜め上側から見た状態を示している。図10においては、循環機構部における一部を側方から見た状態を示している。
図8、図9および図10において、循環機構部801は、回収部802と移動部803とを備えている。回収部802は、演出領域内を経由した疑似球Fを回収して移動部803に導く傾斜面部804を備えている。傾斜面部804は、疑似球回収用スリット1001の底面をなし、図8における紙面左右方向において、左側よりも右側の方が下側となるように傾斜している。
演出領域内を経由した疑似球Fは、大当たり判定結果にしたがって、演出役物342あるいは受け面805を介して、疑似球回収用スリット1001に導入される。演出領域内を経由した疑似球Fは、大当たり演出に際しては、Vゾーン343を介して疑似球回収用スリット1001に導入され、傾斜面部804の傾斜にしたがって移動部803側へ転がる。
演出役物342は、受け面805を構成する板状部材901に連結されている。板状部材901、および、板状部材901を支持するとともに疑似球回収用スリット1001の一部を構成する壁部材902には、演出役物342によって形成される経路に連続し、当該経路を傾斜面部804上の空間に連通する貫通経路806が設けられている。Vゾーン343に導かれた疑似球Fは、貫通経路806を介して傾斜面部804上に導入される。
また、演出領域内を経由した疑似球Fは、ハズレ演出に際して、Vゾーン343を通過せずに受け面805を介して疑似球回収用スリット1001に導入され、傾斜面部804の傾斜にしたがって移動部803側へ転がる。受け面805は、傾斜面部804側ほど低くなるように(図8における紙面手前側ほど低くなるように)傾斜している(図10を参照)。ハズレ演出に際しては、受け面805を介さず、Vゾーン343を通過せずに、分岐ボックス332あるいは把持部341aから疑似球回収用スリット1001に直接導入されてもよい。
傾斜面部804における移動部803側には、傾斜面部804上における疑似球Fの移動位置を案内するガイド板807が設けられている。ガイド板807は、傾斜面部804上における疑似球Fの移動範囲が移動部803側ほど小さくなるように、疑似球Fの移動方向に対して傾斜した状態で設けられている。これによって、傾斜面部804に導入された疑似球Fをスムーズに移動部803に導入することができる。
疑似球回収用スリット1001は、移動部803側の端部において、連通口808を介して移動部803に連通している。Vゾーン343および疑似球回収用スリット1001よりも下流側に設けられた回収口通過センサ289の出力は、疑似球Fが連通口808を通過した場合に変化して、疑似球Fが演出領域の外部に排出されたことを検出する。
移動部803は、回収部802で回収された疑似球Fを疑似球保持機構600に移動させる。移動部803は、連通口808と疑似球保持機構600における開口602aとを連通する移動用スリット809を構成するガイド部材810を備えている。ガイド部材810は、移動用スリット809が、図8における紙面上下方向に直線状に延びるように、表示装置104aの端部に沿って設けられている。
移動用スリット809が延びる方向に直交する平面でガイド部材810を切断した場合の断面は、略コの字形状とされている。移動用スリット809は、略コの字形状をなすガイド部材810の窪んだ部分によって実現されている。移動用スリット809の幅方向の寸法は、疑似球Fの直径と同程度とされている。
ガイド部材810の近傍には、移動用スリット809に対向するようにしてスクリュー部材811が設けられている。スクリュー部材811は、ガイド部材810の長手方向に平行に延びる軸部材812と、軸部材812を中心とする螺旋形状をなす羽根部材813と、を備えている。軸部材812の長手方向において、羽根部材813と羽根部材813との間隔は、疑似球Fの直径と同程度とされている。
ガイド部材810における移動用スリット809と、軸部材812と、羽根部材813とによって構成される空間(以下「移動用空間」という)は疑似球F1個分と同程度の大きさとされている。ガイド部材810とスクリュー部材811との対向方向において、ガイド部材810の端部から軸部材812までの距離は、疑似球Fの直径よりも小さい。この実施の形態においては、回収部802における傾斜面部804上の空間と、移動部803における移動用空間と、によって循環経路を実現することができる。
演出領域は、演出役物342によって形成される経路あるいは疑似球回収用スリット1001を介して回収部802と繋がっている。回収部802は、連通口808を介して移動部803における移動用空間と繋がっている。移動用空間は、開口602aを介して誘導経路603と繋がっている。誘導経路603は、演出役物311によって形成される経路によって演出領域と繋がっている。
演出領域、回収部802、移動用空間および誘導経路603は、それぞれ、互いに連結された部材以外の外部に対して閉じられている。フレーム部材が遊技盤101に取り付けられた状態では、演出領域の内側とされる空間が遊技領域103よりも、遊技機の背面側に入り込んだ位置となるため、疑似球Fが移動する循環経路は外部に対して閉じられた経路をなす。
循環経路が外部に対して閉じられた経路をなすことにより、遊技領域103を落下する遊技球が循環経路内に進入することはない。また、循環経路を移動する疑似球Fは、遊技盤101によって遮られるので循環経路の外側へ出て行くことがない。これによって、遊技球と疑似球Fとが混ざってしまうことが防止されている。
軸部材812の一端には、ギア列814を介してモータ290が連結されている。ギア列814は、ギア814aとギア814bとによって構成されている。ギア814aは、軸部材812に取り付けられて、軸部材812と一体に回転する。ギア814bは、ギア814aに噛み合わされており、モータ290の駆動軸に取り付けられて、モータ290の駆動軸と一体に回転する。
モータ290は、CPU281によって駆動制御されて、駆動されることによって軸部材812を回転させる。モータ290は、スクリュー部材811が図8における矢印800で示す方向に回転するように、軸部材812を回転させる。スクリュー部材811が図8における矢印800で示す方向に回転すると、移動用空間は、連通口808側から開口602a側に向かって移動する。
スクリュー部材811において、開口602aの端部には、ストッパー815が設けられている。ストッパー815は、羽根部材813において開口602aの底面と同等となる位置に設けられている。ストッパー815は、軸部材812の回転方向における上流側に向かって突出するように湾曲した形状をなしている。
循環機構部801においては、疑似球Fが連通口808を通過することによって、Vゾーン343および疑似球回収用スリット1001よりも下流側に設けられた回収口通過センサ289の出力が変化する。連通口808を通過した疑似球F(図8における符号Faを参照)は、移動用空間に収まる。循環機構部801は、疑似球Fが連通口808を通過したことを検出するとモータ290を駆動し、連通口808を通過した疑似球Fが移動用空間に収まった状態でスクリュー部材811を回転させる。これによって、移動用空間が、連通口808側から開口602a側に向かって移動する。
移動用空間の大きさは、疑似球F1個分程度とされており、ガイド部材810とスクリュー部材811との対向方向におけるガイド部材810の端部から軸部材812までの距離が疑似球Fの直径よりも小さいため、スクリュー部材811が回転した場合にも疑似球Fは移動用スリット809から逸脱することなく、移動用スリット809に沿って連通口808側から開口602a側に向かって移動する。
疑似球Fが開口602aの高さまで移動すると、開口602aの高さよりも上方への移動がストッパー815によって規制され、ストッパー815によって案内されて開口602aから誘導経路603内へ導入される(図8における符号Fbを参照)。誘導経路603内へ導入された疑似球Fは、疑似球保持機構600の動作によって再び演出領域内に排出され、演出に供される。
以上説明したように、この実施の形態の遊技機は、所定の移動部材としての疑似球Fが移動する移動経路を備え、始動入賞があった場合に、誘導経路603に収容されている疑似球Fを所定のタイミングで移動経路中に排出し、排出された疑似球Fを大当たり情報に基づいてVゾーン343あるいはそれ以外の位置に移動させるように構成し、当該移動の後に移動経路から排出された疑似球Fを、移動経路に繋がる循環経路を介して誘導経路603に移動させる循環機構部801と、を備えたことを特徴としている。
上記の構成によれば、遊技機の外部からの汚れが疑似球Fに付着することがないので、長期間使用しても疑似球Fが汚れることがなく、汚れにより転がり抵抗が大きくなることによって疑似球Fが停止するなどの動作不良を防止することができる。これによって、実在する物体(実体)である疑似球Fを用いた演出をおこなうことによって立体感および迫力のある演出をおこないつつ、遊技機の稼働時間の長さにかかわらず疑似球Fの動きを大当たり判定結果に一致させることができる。
このように、遊技機の稼働時間の長さにかかわらず疑似球Fの動きを大当たり判定結果に一致させることによって、遊技機の稼働時間の長さにかかわらず演出の信頼性を確保しつつ、実体を用いることによって立体感および迫力をもたせた演出をおこなうことができるので、遊技者を楽しませ、遊技者に満足感を与えることができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、循環経路が、遊技球が通る経路とは独立していることを特徴とするため、疑似球Fが移動の途中で遊技球に接触して汚れることがないので、疑似球Fが汚れて転がり抵抗が大きくなることによって停止するなどの動作不良を防止することができる。これによって、実在する物体(実体)である疑似球Fを用いた演出をおこなうことによって立体感および迫力のある演出をおこないつつ、疑似球Fの動きを大当たり判定結果に一致させることができる。
このように、立体感および迫力のある演出をおこないつつ、疑似球Fの動きを大当たり判定結果に一致させることによって、遊技機の稼働時間の長さにかかわらず演出の信頼性を確保しつつ、演出内容を充実させることができ、これによって遊技者を楽しませ、遊技者に満足感を与えることができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、所定の演出内容を表示する表示画面を備え、表示画面の演出内容に同期させて疑似球Fを移動させることを特徴とするため、実体である疑似球Fを用いた演出と表示画面を用いた演出とを協働させ、実体が実現できる立体感のある演出に、映像が実現できるバーチャル世界(あたかも現実のように見える仮想空間)を重ね合わせた演出をおこなうことができる。
そして、このような演出をおこなうことによって遊技者の期待感や興奮を高めることができるので、疑似球Fの動きを大当たり判定結果に一致させることによって、遊技機の稼働時間の長さにかかわらず演出の信頼性を確保しつつ、遊技者を楽しませ、遊技者に満足感を与えることができる。
また、この実施の形態の遊技機においては、表示画面の演出内容にしたがって、少なくとも形状、大きさおよび色が異なる疑似球Fを、疑似球保持機構600によって排出するようにしてもよい。具体的には、たとえば通常は遊技球と同じ外見からなる銀色の球体を演出に用い、特定の演出に際しては金色の球体や赤色の球体など、通常とは異なる色の球体を、疑似球保持機構600によって演出領域に排出するようにしてもよい。また、具体的には、たとえば通常は遊技球と同じ外見からなる銀色の球体を演出に用い、特定の演出に際しては通常よりも大きい球体を疑似球保持機構600によって演出領域に排出するようにしてもよい。
さらに、具体的には、たとえば通常は遊技球と同じ外見からなる銀色の球体を演出に用い、特定の演出に際しては所定のキャラクター、魚、車、動物、星形、ハート形、などの球体以外の物体(フィギュア)を疑似球保持機構600によって演出領域に排出するようにしてもよい。この場合に用いるフィギュアは、移動経路上を回転して移動する車輪を備えていてもよいし、ブリッジ321などと接触する位置にスライダを備えていてもよい。これによって、疑似球Fに代えて別の実体を用いた場合にも、演出の進行に支障をきたすことなく演出をおこなうことができる。
この場合の特定の演出は、たとえば始動入賞時に取得した大当たり判定用乱数に応じて、特定の数値が大当たり判定用乱数として取得された場合におこなう演出とすることができる。このように、遊技中に通常とは異なる球体(物体)を演出領域中に排出することにより、演出領域においておこなわれている演出が、大当たりに対する期待度が高い(激アツ)演出であることを案内する、あるいは、演出の期待度(激アツ度合い)を案内することができる。
この場合、疑似球保持機構600は、疑似球Fに加えて通常とは異なる各種の球体(フィギュア)を種類別に保持する保持機構を備え、各保持機構と誘導経路603とを連通しておく。そして、該当する保持機構が保持する疑似球Fあるいは通常とは異なる球体(フィギュア)を誘導経路603および演出役物311を介して演出領域内に投入する。
このように、演出に用いる球体の、少なくとも形状、大きさおよび色を変化させることにより、遊技者の期待度を高め、どきどきわくわくする興奮とともに遊技をおこなわせることができる。具体的には、たとえば通常のリーチ演出から確率変動をともなう大当たり演出に移行する可能性の高いリーチ演出(激アツリーチ演出)に変わったなどのように、演出内容に変化が生じていることを確実に案内することができ、遊技者の期待感や興奮の一層の向上を図ることができる。そして、これによって遊技者を楽しませ、遊技者に満足感を与えることができる。
また、このように実体を用いて期待度を案内することにより、表示画面に表示されるテロップなどに代えてあるいは加えて、保留球の形状や色を複数パターンで異ならせることによって、テロップなどを用いて期待度を案内する場合よりも分かりやすく確実に激アツ度合いを案内することができる。さらに、保留球の形状や色を複数パターンで異ならせることにより、保留球の画像によって案内される保留中の演出の期待度(激アツ度合い)を案内するようにしてもよい。