以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(遊技機の基本構成)
まず、この発明の遊技機の一例について説明する。図1は、この発明の遊技機の一例を示す正面図である。この発明の遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の盤面には、ガラス枠ランプ(図2における符号262を参照)が設けられている。遊技機は、ランプ制御部(図2における符号230を参照)によってガラス枠ランプを駆動制御して、ガラス枠ランプを点灯あるいは点滅させる。これによって、遊技の演出効果を高めることができる。
遊技盤101の下部位置には、発射部(図示を省略する)が配置されている。発射部は、遊技領域103内に遊技球を発射する。発射部によって発射された遊技球は、レール102a、102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。
遊技領域103には、遊技球が落下する際に遊技球が衝突する複数の釘(図示を省略する)が設けられている。また、遊技領域103には、遊技球によって回転する風車(図示を省略する)などが配設されている。複数の釘や風車などは、遊技領域103内を落下する遊技球の落下方向を変化させる。遊技領域103の中央部分には、演出部104が配置されている。
演出部104は、液晶表示器(LCD)などの表示装置104aと、表示装置104aの前側(遊技者側)に設けられた演出用の役物(以下、「演出役物」という)104bと、によって構成されている。遊技者は、演出役物104bを通して、当該演出役物104bのうしろ側(背面側)にある表示画面の表示内容を見ることになる。演出部104は、表示装置104aにおける画像の表示動作と演出役物104bの動作とを連動させた演出を実行する。そうすることによって、遊技者は、演出役物104bによる演出と、表示装置104aによる演出を視線をずらすことなく、同時に見ることができるため、表示装置104aにおける画像の表示動作と演出役物104bの動作とを連動することにより演出効果を高めることができる。以下、表示装置104aによって画像が表示され、演出役物104bが配置された領域を、演出領域として説明する。
遊技領域103において演出部104の周囲には、始動入賞口105、入賞ゲート106、複数の普通入賞口107などが配設されている。始動入賞口105、入賞ゲート106、複数の普通入賞口107には、各入賞口105〜107における遊技球の入賞の有無に応じて出力が変化するスイッチ(図2における符号251を参照)が設けられている。遊技領域103の下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109は、大当たり状態以外の状態では大入賞扉109aによって閉塞されており、大当たり状態になると一定の期間だけ開放される。
大入賞口109および大入賞扉109aは、大入賞口109の開閉を検出する大入賞口開閉スイッチや、大入賞口109に入賞した遊技球を検出する左カウントスイッチや右カウントスイッチ(いずれも図示を省略する)などとともにいわゆるアタッカーを構成する。遊技領域103の最下部には、回収口108が設けられている。回収口108は、上述したいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材110は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。これにより、この実施の形態の遊技機を、枠部材110を備えていない他機種の遊技機よりも目立たせることができる。遊技機を目立たせることにより、多くの遊技者の関心を引き、それによって遊技機の稼働率の向上を図るとともに、遊技機に対する不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110において、遊技領域103よりも上側の縁および下側の縁には、演出ライト部111が設けられている。演出ライト部111は、それぞれ複数のライト112を備えている。各ライト112は、装飾LED(図2における符号261を参照)を含み、光の照射方向を上下方向に変更することができる。また、演出ライト部111は、光の照射方向を回転させることができる。遊技機は、各ライト112が照射する光の照射方向を変更するモータ(図示を省略する)などを備えている。
枠部材110の下部位置には、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル113は、上記の枠部材110と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。また操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。操作ハンドル113は、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどを備えている。
遊技盤101は、演出部104の表示領域以外の位置に、演出役物を備えていてもよい。この演出役物は、装飾用のLEDなどを備えていてもよい。この場合、遊技機は、演出役物が備える装飾用のLEDの発光タイミングを制御することによって演出効果を高めることができる。また、演出役物は、たとえばモータやソレノイド(いずれも図示を省略する)などの駆動力を受けて動作する可動式の演出役物であってもよい。
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。この実施の形態において、チャンスボタン117は、凸状ボタン形状を有している。チャンスボタン117は、凸状ボタンの他、タッチパネル方式を採用した入力パッドなどであってもよい。チャンスボタン117の操作は、たとえば遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。枠部材110において、チャンスボタン117の隣には、十字キー118が設けられている。十字キー118は、演出部104に表示される文字や図形などを指し示す位置を変更するカーソルキーと、カーソルキーの操作によって選択された文字や図形などを確定する「ENTER」キー(図示を省略する)と、を備えている。チャンスボタン117や十字キー118は、たとえば特定の演出に際して、チャンスボタン117や十字キー118の操作を促す表示画面が演出部104における表示装置104aの表示画面に表示された場合に操作される。
また、枠部材110には、音声を出力する下部バスSP(図2における符号271を参照)や上部ステレオスピーカ(図2における符号272を参照)が組み込まれている。遊技機は、上部ステレオスピーカや下部バスSPから、たとえば演出部104における表示装置104aの表示画面の表示内容に応じた音声を出力する。これによって演出効果を高めることができる。
(遊技機の制御部の内部構成)
つぎに、遊技機の制御部の内部構成について説明する。図2は、遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。遊技機の制御部は、複数の制御部により構成されている。図2において、制御部は、主制御部210と、演出制御部220と、ランプ制御部230と、音声制御部240と、役物制御部280と、を有する。主制御部210、演出制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240および役物制御部280は、それぞれ別々の基板に設けられている。
主制御部210は、遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。主制御部210は、たとえばメイン基板によってその機能を実現することができる。主制御部210は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、I/O214〜216と、ラムクリアスイッチ217と、を備えて構成される。
CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行する。ROM212は、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行するための各種プログラムや、大当たり判定に用いる大当たり値などを記憶している。RAM213は、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
たとえば大当たり確率が1/307に設定されている遊技機の場合、CPU211は、遊技機が起動している間中、1ループが0〜306までの数値で+1ずつカウントアップする。CPU211は、このカウントアップを、主制御部210への電源供給時から開始し、1ループ分のカウント後は、つぎの1ループ分のカウントをおこなう、というようにループ状のカウントをおこなう。RAM213は、このような大当たり判定用乱数の取得に際してのカウンタとして機能する。
CPU211は、発射部によって発射された遊技球が始動入賞口105に入賞(以下「始動入賞」という)すると、始動入賞した時点のカウント値を大当たり判定用乱数として取得する。大当たり判定用乱数は、始動入賞したタイミングによって異なる。具体的には、たとえば上記の大当たり確率が設定されている遊技機であれば、CPU211は、0〜306までの整数を含む数値群から、始動入賞した時点でカウントされた数値を、大当たり判定用乱数として取得する。上記の例であれば、0〜306までの整数によって構成される数値群の中の数値を大当たり判定用乱数として取得する。
CPU211は、大当たり判定用乱数を取得するごとに、取得した大当たり判定用乱数とROM212に記憶されている大当たり値とを比較して、大当たり判定をおこなう。CPU211は、具体的には、たとえば大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致するか否かを判定し、一致する場合を大当たりと判定する。
I/O214は、始動スイッチ(始動SW)251が出力した信号と、ゲートスイッチ(ゲートSW)252が出力した信号と、をCPU211に入力する。始動SW251およびゲートSW252は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。この場合、始動SW251およびゲートSW252は、遊技球が各スイッチ251、252に接近したタイミングでオン状態を示す信号を出力する。
CPU211は、一定時間(たとえば4msec)ごとに始動SW251およびゲートSW252の出力を監視している。遊技機は、たとえば遊技球が始動入賞口105を通過した場合、始動SW251からの出力は2回以上連続してオン状態となる。CPU211は、始動SW251からの出力が2回以上連続してオン状態となった場合を、遊技球が始動入賞口105を通過した(始動入賞した)ものとして判断する。
また、I/O214は、大入賞口スイッチ(大入賞口SW)253からの出力信号をCPU211に入力する。大入賞口SW253は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。CPU211は、大入賞口SW253からの出力信号に基づいて、遊技球が大入賞口109に入賞したことを検出する。また、CPU211は、遊技球が大入賞口109に入賞したことを受信すると、賞球制御部(図示を省略する)に対して、賞球制御信号を出力する。
賞球制御部は、主制御部210からの賞球制御信号を受信すると、賞球制御部に接続される払出部に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。賞球制御部は、賞球制御の処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMと、主制御部210や図示を省略する払出部に対するデータの出力をおこなうI/Oなどを備えて構成される。賞球制御部については図示を省略する。
払出部は、遊技球を貯留する貯留部(図示を省略する)に連通しており、遊技球の払い出しに際して駆動されるモータを備えている。払出部は、モータの駆動時間(駆動量)を調整することによって、入賞した遊技球に対応した賞球数分の遊技球を払い出す。賞球制御部は、このモータを駆動制御することによって入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
CPU211は、大当たりが発生した場合に、I/O214を介して、大入賞口ソレノイド254に対して大入賞口ソレノイド254の開閉信号を出力する。また、CPU211は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109を一定期間開放するように大入賞口ソレノイド254の開閉を制御する。さらに、CPU211は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返すように大入賞口ソレノイド254の開閉を制御する。
I/O214は、普通入賞口スイッチ(普通入賞口SW)255、256からの出力信号を、CPU211に入力する。普通入賞口SW255、256は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。CPU211は、普通入賞口SW255、256からの出力信号に基づいて、遊技球が普通入賞口107に入賞したことを検出する。また、CPU211は、遊技球が普通入賞口107に入賞したことを受信すると、上述した賞球制御部に対して賞球制御信号を出力する。
I/O215は、ラムクリアスイッチ217からの出力信号を、CPU211に入力する。ラムクリアスイッチ217は、押圧操作されている状態でオン状態を示す信号を出力する。そして、ラムクリアスイッチ217は、押圧操作が解除された場合に、オフ状態を示す信号を出力(あるいは、信号の出力を停止)する。ラムクリアスイッチ217は、たとえばメイン基板などに設けられており、これによってラムクリアスイッチ217を操作することによる操作信号を直接主制御部210に入力し、ラムクリア信号を遊技機の外部から入力できないようにすることができる。
CPU211は、たとえば電源スイッチ(図示を省略する)が操作されるなどして電源の供給があった場合、ラムクリアスイッチ217からオン状態を示す信号が出力されていると、遊技の遊技情報を初期化(ラムクリア)する。CPU211は、ラムクリアに際して、たとえばRWM領域に記憶された初期値乱数や初期値データなどを0(ゼロ)にする。
CPU211は、始動SW251、ゲートSW252、大入賞口SW253、普通入賞口SW255、256から受信した各種の出力信号に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をI/O216を介して演出制御部220に出力する。また、CPU211は、電源の供給状態とラムクリアスイッチ217からの出力信号に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をI/O216を介して演出制御部220に出力する。
演出制御部220は、主制御部210が出力した制御信号に基づいて、遊技機の演出制御をおこなう。この実施の形態では、演出制御部220が、演出制御基板として機能する。演出制御部220は、CPU221と、ROM222と、RAM223と、I/O224〜226と、を備えて構成される。
CPU221は、I/O224を介して主制御部210からの制御信号およびROM222に記憶されたプログラムに基づいて、遊技内容を演出する演出処理を実行する。ROM222は、演出処理の実行にかかる各種プログラムや、演出部104における表示装置104aに表示する各種画像データを記憶する。各種画像データは、背景画像、図柄画像、キャラクター画像などである。RAM223は、CPU221の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
CPU221は、たとえばROM222に記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行する。また、CPU221は、各種画像処理の実行に際し、適宜必要な画像データをROM222から読み出し、読み出した画像データを、I/O225を介して表示装置104aに出力する。ここで、CPU221は、具体的には、たとえば入賞するまでの間遊技内容を演出する図柄や、リーチ(3つの図柄のうち2つが揃った状態)図柄、大当たり時の遊技内容を演出する図柄などをあらわす画像データを出力する。
演出部104は、表示装置104aに所定の画像を表示するための画像データを、演出制御部220が備えるVRAMなどに書き込む。演出部104は、演出制御部220が備えるVRAMへの画像データの書き込みに際して、図柄画像やキャラクター画像が背景画像よりも手前に見えるように、画像データの加工をおこなう。
具体的には、たとえば演出部104が表示する背景画像と図柄画像の表示位置が表示画面内の同一位置に重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図示を省略するVRAMなどに図柄画像を優先して記憶させる。表示装置104aは、VRAMに書き込まれた画像データに基づいて、図柄画像やキャラクター画像が背景画像よりも手前に見える画像を表示する。
I/O225は、上述したチャンスボタン117からのチャンスボタン操作信号を、CPU221に入力する。また、I/O225は、十字キー118や「ENTER」ボタンなど、チャンスボタン117以外の別のボタンからの操作信号を、CPU221に入力してもよい。
CPU221は、I/O226を介して、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、装飾LED261、ガラス枠ランプ262およびサイドランプ263などの遊技機が備える各種の光源の発光動作の制御に関する制御信号をランプ制御部230に出力する。また、CPU221は、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272からの音声出力制御に関する制御信号を音声制御部240に出力する。CPU221は、I/O226を介して、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、演出役物104bなどの役物の制御に関する制御信号を、役物制御部280に出力する。
ランプ制御部230は、演出制御部220がおこなう演出処理のうち、装飾LED261、ガラス枠ランプ262、サイドランプ263などの発光体の発光制御をおこなう。ランプ制御部230は、CPU231と、ROM232と、RAM233と、I/O234、235と、を備えて構成される。
CPU231は、I/O234によって入力された演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM232に記憶されたプログラムを読み込む。そして、CPU231は、読み込んだプログラムを実行することにより、I/O235から出力した制御信号によって装飾LED261、ガラス枠ランプ262、サイドランプ263などの発光体の発光/消灯を制御する。RAM233は、CPU231の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU231による発光体の発光/消灯に際して適宜必要なデータが書き込まれる。
音声制御部240は、演出制御部220がおこなう演出処理のうち、音声出力に関する音声出力処理をおこなう。音声制御部240は、CPU241と、ROM242と、RAM243と、I/O244、245と、を備えて構成される。CPU241は、I/O244によって入力した演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM242に記憶されたプログラムを読み込んで音声出力処理をおこなって音声信号を生成する。RAM243は、音声出力処理に際して、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU241による音声出力処理に際して適宜必要なデータが書き込まれる。
CPU241は、音声出力処理に際して、演出に用いるBGM、キャラクターの台詞、効果音などを含む音声信号を生成する。CPU241は、生成した音声信号をI/O245を介して下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272へ出力する。下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272は、ボイスコイル(図示を省略する)を備えており、音声制御部240から出力された音声信号にしたがった電気信号をボイスコイルに印加することによって音声を出力する。
役物制御部280は、演出制御部220がおこなう演出処理のうち、演出役物140bを含む各種の演出役物に関する駆動制御処理をおこなう。役物制御部280は、CPU281と、ROM282と、RAM283と、I/O284、285と、を備えて構成される。CPU281は、I/O284によって入力した演出制御部220からの制御信号に基づいて、ROM282に記憶されたプログラムを読み込んで駆動制御処理をおこなって演出役物140bを含む各種の演出役物を動作させるためのモータ286やソレノイド287などを駆動制御する。RAM283は、音声出力処理に際して、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU281による音声出力処理に際して適宜必要なデータが書き込まれる。
図2に示したように、この実施の形態においては、上記構成の主制御部210と、演出制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240および役物制御部280は、それぞれ異なるプリント基板(メイン基板、サブ基板、ランプ制御基板、音声制御基板および役物制御基板)に設けられる。主制御部210、演出制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240および役物制御部280は、各々が異なる基板に設けられている形態に限らない。たとえば、演出制御部220とランプ制御部230と音声制御部240と役物制御部280とを同一のプリント基板上に設けるなど、一部あるいはすべての制御部を同一のプリント基板上に設けることも可能である。
(遊技機の基本動作)
上記の構成を備えた遊技機は、発射部によって発射された遊技球が始動入賞口105、入賞ゲート106あるいは普通入賞口107のいずれに入賞したかに応じて、所定の動作を実行する。遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば入賞ゲート106に入賞した場合、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる。また、遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば複数の普通入賞口107の中のいずれか1つの普通入賞口107に入賞した場合、普通入賞時の賞球数(たとえば10個)の遊技球の払い出しをおこなう。
また、遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば始動入賞口105に入賞した場合、大当たり判定用の数値としての大当たり判定用乱数を取得する。そして、遊技機は、取得した大当たり判定用乱数と、あらかじめ定められた数値(大当たり値)と、が一致するか否かを判断する。遊技機は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致しない場合をハズレ状態とし、演出部104においてハズレ演出を実行する。
一方、遊技機は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致する場合を大当たり状態とし、演出部104において大当たり演出を実行する。また、遊技機は、大当たり状態になると、大入賞口109を一定の期間開放する。遊技機は、大入賞口109の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返し、その間に入賞した遊技球に対応した数の賞球を払い出す。
遊技機は、演出部104における各種演出(ハズレ演出あるいは大当たり演出)に際して、所定の移動部材を用いる。所定の移動部材は、表示装置104aの表示画面に表示される仮想的な物体ではなく、質量や具体的な形をもって空間に存在している物体であればよい。すなわち遊技機は、表示装置104aの表示画面に表示する仮想的な物体あるいは空間と、質量や具体的な形をもって空間に存在している物体と、を用いた演出をおこなう。
所定の移動部材は、演出役物104bによって構成される移動経路に沿って移動可能な物体であれば特に限定されるものではないが、移動経路中を自重によって上方から下方に向かって移動可能な物体であることが好ましい。この実施の形態においては、所定の移動部材として疑似球を用いる。この実施の形態において、移動経路は、演出役物104bによって構成され、疑似球Fが自重によって移動することが可能な経路によって実現される。
疑似球は、遊技機における遊技に用いる遊技球と同じ実球であるが、遊技の進行(当たりやハズレの決定)に関与しない。疑似球としては、具体的には、たとえばハズレが確定し回収口108に回収される前の遊技球や、遊技に用いる遊技球とは別の経路を通るように、遊技に用いる遊技球とは隔離された経路を循環する、遊技球と同じいわゆる実球を用いる。疑似球は、各種演出に際して、演出部104に設けられた演出役物104bによって、表示装置104aの前側(遊技者側)に設けられた所定の経路中のみを案内される。
遊技機は、疑似球を保持するとともに演出領域中に疑似球を投入する疑似球保持機構を備えている。疑似球保持機構は、役物制御部280によって駆動制御されるモータ286によって駆動されて、演出領域中に疑似球を投入する。疑似球保持機構については、公知の各種技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
(演出役物104bの構成)
つぎに、演出部104における演出役物104bの構成について説明する。図3は、演出部104における演出役物104bの構成を示す説明図である。図3において、演出部104における演出領域は、変動開始領域310と、第1の予告区間領域320と、第2の予告区間領域330と、結果確定領域340と、に分割されている。演出役物104bは、変動開始領域310、第1の予告区間領域320、第2の予告区間領域330および結果確定領域340の各領域にそれぞれ設けられており、各領域310、320、330、340を疑似球Fが順次連続して移動できるように連結されている。
演出役物104bのうち、変動開始領域310に設けられた演出役物311は、演出領域中に疑似球Fを投入する経路を構成している。第1の予告区間領域320に設けられた演出役物321は、変動開始領域310側から第2の予告区間領域330側に疑似球Fが転がるように傾斜したブリッジであり、変動開始領域310と第2の予告区間領域330とを連結する経路を構成している。
演出役物311、演出役物(ブリッジ)321は、透明なプラスチック材料などを用いて形成されているとよい。これによって、背面側に設けられた表示装置104aが表示する画像の視認性を大きく損なうことなく、演出領域において疑似球Fを移動させることができる。
ブリッジ321には、疑似球Fの転がりを停止する位置に突出するツメ322、323が設けられている。ツメ322、323は、疑似球Fの転がりを停止する突出位置とブリッジ321から退避する退避位置との間でそれぞれ変位可能に設けられている。また、ツメ322、323は、役物制御部280によって駆動制御されるモータ286の駆動力を受けて突出位置あるいは退避位置のいずれか一方に選択的に位置付けられる。
ツメ322、323は、ブリッジ321によって形成される、疑似球Fが移動する経路上の2箇所に設けられており、各々独立して突出位置あるいは退避位置に変位する。突出位置に位置付けられているツメ322、323は、ブリッジ321上を転がってきた疑似球Fを停止させ、疑似球Fの転がりを停止する。疑似球Fの転がりを停止しているツメ322、323が退避位置に変位すると、疑似球Fは再びブリッジ321上を変動開始領域310側から第2の予告区間領域330側に向かって転がる。
ブリッジ321には、ツメ322、323を遊技者側から覆うガード部材322a、323aが設けられている。ガード部材322a、323aは、不透明な材料によって形成されており、ツメ322、323の動きを遊技者側から視認しにくくしている。ガード部材322a、323aは、ブリッジ321と同じ透明なプラスチック材料などを用いて形成されていてもよい。この場合、ブリッジに塗装を施すか、シールを貼るなどしてツメ322、323の動きを遊技者側から視認されないようにするとよい。
各ツメ322、323の上方には、突起324、325が設けられている。突起324、325は、ブリッジ321上を転がる疑似球Fに接触せず、かつ、突出位置に位置付けられたツメ322、323の先端との間隔が疑似球Fの直径未満の間隔となる位置に設けられている。これによって、ブリッジ321上を転がってきた疑似球Fが、突出位置に位置付けられているツメ322、323を乗り越えて転がり続けることを防止し、ツメ322、323が突出位置に位置付けられている場合には疑似球Fをツメ322、323の位置で確実に停止させることができる。
疑似球Fをツメ322、323の位置で確実に停止させることができない場合、たとえば表示装置104aにおいて疑似球Fを停止させる画像を表示する演出をおこなっているにもかかわらず、疑似球Fの動きが演出内容に一致せず、演出自体が台無しになる。疑似球Fをツメ322、323の位置で確実に停止させることができなければ演出としての形をなさなくなり、面目を失うこととなるが、この実施の形態においては、ツメ322、323が突出位置に位置付けられている場合に疑似球Fをツメ322、323の位置で確実に停止させることによって、表示装置104aが表示する演出画像と疑似球Fの動きとをリンクさせ、演出を効果的におこなうことができる。
ブリッジ321は、分岐ブリッジ321aを含んで構成されている。分岐ブリッジ321aは、第2の予告区間領域330側に設けられたツメ323よりも第2の予告区間領域330側に設けられており、疑似球Fを第2の予告区間領域330に案内する案内位置と疑似球Fを第1の予告区間領域320から排出する排出位置との間で変位可能に設けられている。分岐ブリッジ321aは、透明なプラスチック材料などを用いて形成されているとよい。
分岐ブリッジ321aは、遊技機に対して位置固定された回動軸を中心として、ツメ323側に位置する自由端部が変位するように回動可能な状態で設けられている。分岐ブリッジ321aは、回動することによってブリッジ321に開口を形成し、この開口から疑似球Fを落下させることによって、転がってきた疑似球Fが第2の予告区間領域330に移動することを防止する。
分岐ブリッジ321aは、重心の位置を調整するなどして、疑似球Fの自重が加わらない状態では常に案内位置に位置するように付勢されている。重心の位置は、分岐ブリッジ321aの自由端部に疑似球Fの自重以上の力が加わった場合に分岐ブリッジ321aを回動させる程度の付勢力を作用させるように調整されている。
分岐ブリッジ321aの自由端部側には、分岐ブリッジ321aの自由端部を支持する、図示を省略する分岐ツメが係合している。分岐ツメは、ブリッジ321の本体側に設けられており、分岐ツメは、分岐ブリッジ321aが回動しないように分岐ブリッジ321aの自由端部に係合する回動停止位置と、分岐ブリッジ321aの回動を許容する回動許容位置と、に変位可能に設けられている。分岐ツメが回動停止位置に位置付けられている状態では、疑似球Fは分岐ブリッジ321a上を転がって第2の予告区間領域330に到達する。
分岐ブリッジ321aは、分岐ツメが回動許容位置に位置付けられている状態で疑似球Fが転がってきた場合、疑似球Fの自重によって、固定された一端を中心として回動する。これにより、疑似球Fは第1の予告区間領域320から排出され、第2の予告区間領域330を経由することなく結果確定領域340に至る。第2の予告区間領域330を経由することなく結果確定領域340に至った疑似球Fは、図示を省略する疑似球回収口から演出部104の外部に排出される。
分岐ブリッジ321aは、疑似球Fが転がってくる側すなわち疑似球Fの進行方向において上流側が開口するように設けられていることが好ましい。これにより分岐ブリッジ321aは、疑似球Fが分岐ブリッジ321aに乗った時点から回動しはじめ、疑似球Fが転がってきた向きとは逆向きの傾斜をなすため、疑似球Fの転がる勢いを減少させ、疑似球Fが移動する経路上から疑似球Fを確実に排出することができる。
第2の予告区間領域330に設けられた演出役物331は、分岐ブリッジ321aを通過して転がってきた疑似球Fが上側から下側に転がる(落下する)ような経路を構成している。演出役物331は、疑似球Fが螺旋状の軌跡を描きながら転がる(落下する)ように、螺旋状の経路(以下「螺旋経路」という)を構成している。第2の予告区間領域330に進入した疑似球Fは、自重によって演出役物331中を落下し、分岐ボックス332に至る。演出役物331および螺旋経路については後述する。
分岐ボックス332は、螺旋経路を落下してきた疑似球Fを、受け皿333あるいはそれ以外に分配する。分岐ボックス332は、演出役物331の下方に設けられて、支点332aを中心に回動可能に設けられた振り子332bを備えている。振り子332bは、役物制御部によって駆動制御されるモータあるいはソレノイドなどの駆動力を受けて所定方向に回動する。
図4−1および図4−2は、分岐ボックス332の構造を示す説明図である。図4−1においては分岐ボックス332を構成する各部を斜め方向から見た状態を示し、図4−2においては分岐ボックス332の一部を斜め方向から見た状態を示している。図4−1および図4−2において、分岐ボックス332は、遊技者側からの振り子332bの視認を遮るためのカバー410を備えている。
カバー410は、振り子332bには接触しない位置に設けられている。また、カバー410は、不透明なプラスチック材料などを用いて形成されている。カバー410を設けることによって、分岐ボックス332における振り子332bの動きを遊技者から視認しにくくすることができ、演出の展開を事前に予測できにくくすることができる。カバー410は、ブリッジ321と同じ透明なプラスチック材料などを用いて形成されていてもよく、この場合はブリッジに塗装を施すかシールを貼るなどして振り子332bの動きを遊技者側から視認しにくくすることが好ましい。
図5−1、図5−2および図5−3は、振り子332bの動作を示す説明図である。図5−1においては振り子332bが基準位置にある状態を示し、図5−2においては振り子332bがハズレ演出に際して動作した状態を示し、図5−3においては振り子332bが大当たり演出に際して動作した状態を示している。
図5−1、図5−2および図5−3において、振り子332bは、遊技を待機している状態や非演出時などは基準位置に位置付けられており、始動入賞時の判定結果に応じて時計回りあるいは反時計回りに回動する。振り子332bは、具体的には、ハズレ演出に際しては支点332aを中心に反時計回り方向に回動し、大当たり演出に際しては支点332aを中心に時計回り方向に回動する。
この実施の形態においては、振り子332bが時計回り方向に回動した場合に、螺旋状の経路を落下してきた疑似球Fを受け皿333に分配することができる。また、この実施の形態においては、振り子332bが反時計回り方向に回動した場合に、螺旋状の経路を落下してきた疑似球Fを受け皿333の外に分配する。
受け皿333の外に分配された疑似球Fは、疑似球回収口から演出部104の外部に排出される。受け皿333は振り子332b側ほど高くなるように傾斜して設けられており、受け皿333に排出された疑似球Fは受け皿333における低い方の端部で停止する。
結果確定領域340に設けられた演出役物341は受け皿333に排出された疑似球FをVゾーンに移動するリフト機構を構成し、結果確定領域340に設けられた演出役物342は疑似球FをVゾーン343に導く経路を構成する。演出役物341、342は、透明なプラスチック材料などを用いて形成されている。これによって、背面側に設けられた表示装置104aが表示する画像の視認性を大きく損なうことなく、演出領域において疑似球Fを移動させることができる。
リフト機構341は、具体的には、たとえば受け皿333に排出された疑似球Fを把持する把持部341aと、把持部341aを開閉する図示を省略するソレノイドと、把持部341aに連結されたアーム341bと、アーム341bに連結された図示を省略するモータと、を備えている。またリフト機構341は、受け皿333の位置にある把持部341aをソレノイドの駆動によって開閉することにより疑似球Fを把持し、疑似球Fを把持した状態でモータを駆動してアーム341bを移動することにより、疑似球Fを受け皿333からVゾーン343の上方へ移動する。
リフト機構341は、受け皿333からVゾーン343の上方へ移動する間に、把持部341aをソレノイドの駆動によって開放することにより疑似球Fを落下させる。Vゾーン343の上方において把持部341aを開放した場合、疑似球FはVゾーン343に落下する。Vゾーン343の上方以外において把持部341aを開放した場合、把持部341aから落下した疑似球Fは、疑似球回収口から演出部104の外部に排出される。
Vゾーン343には、疑似球FがVゾーン343を通過したことを検出する図示を省略するVゾーン通過センサが設けられている。Vゾーン通過センサは、疑似球FがVゾーン343を通過した場合、Vゾーン343に設けられたVゾーン通過センサの出力が所定時間(あるいは所定パルス数)連続してオン状態となる。オン状態が連続する回数は、疑似球Fの大きさによって適宜所定の範囲内に定められる。
Vゾーン343に設けられたVゾーン通過センサは、演出部104において発生した異常の検出に利用することもできる。具体的には、Vゾーン343に設けられたVゾーン通過センサの出力が所定時間(あるいは所定パルス数)以上連続してオン状態となった場合を、Vゾーン343に疑似球Fが詰まっているなど、演出部104に異常が発生していることを検出することができる。
(演出役物331の構造)
つぎに、演出役物331の構造について説明する。図6、図7および図8は、演出役物331の構造を示す説明図である。図6においては演出役物331を斜め方向から見た状態を示し、図7においては演出役物331を上方から見た状態を示し、図8は演出役物331を一部拡大して示している。図6、図7および図8において、演出役物331は、略円筒形状をなす筒状部材601と、筒状部材601の内側に設けられた螺旋棒602とを備えている。筒状部材601の内側には、螺旋棒602によって、疑似球Fが螺旋状の軌跡を描きながら転がる(落下する)螺旋経路600が形成されている。演出役物331(筒状部材601および螺旋棒602)は、透明なプラスチック材料などを用いて形成されている。
筒状部材601は、上端面および下端面に、それぞれ開口603、604を備えている。開口603、604は、それぞれ筒状部材601の軸心位置よりも遊技盤101の盤面側に設けられている。上端面に設けられた開口603には、筒状部材601の上端面よりも上側に突出するガイド部材605が立設されている。ガイド部材605によって、ブリッジ321を転がってきた疑似球Fが開口603を通り越してしまうことを防止し、ブリッジ321を転がってきた疑似球Fを開口603を介して確実に演出役物331内に導くことができる。
螺旋棒602は、筒状部材601の軸心方向を長手方向とする棒形状をなし、筒状部材601の軸心位置に設けられている。螺旋棒602の外周面には、螺旋をなす溝602aおよび突条部602bが設けられている。溝602aの断面形状は、略円弧形状とされている。溝602aは、突条部602bによって、螺旋棒602の長手方向における突条部602bの間に設けられている。螺旋棒602の長手方向における突条部602bの間隔、すなわち溝602aの幅(図8における符号D1を参照)は、疑似球Fの直径寸法と同等とされている。
筒状部材601の半径方向において、筒状部材601の内周面と溝602aの位置における螺旋棒602の外周面との距離(図8における符号D2を参照)は、疑似球Fの直径と同等以上とされている。筒状部材601の半径方向において、筒状部材601の内周面と突条部602bの位置における螺旋棒602の外周面との距離(図8における符号D3を参照)は、疑似球Fの直径より小さい。これによって、螺旋経路600中を転がる疑似球Fは、螺旋経路600の途中で螺旋経路600から逸脱して落下することなく、開口603から開口604までの螺旋経路600全体を確実に移動することができる。
水平方向に対する螺旋経路600の傾斜角度(図8における符号θ1を参照)は、水平方向に対するブリッジ321の傾斜角度(図8における符号θ2を参照)よりも大きい。これによって、螺旋経路600を転がる疑似球Fの移動速度は、ブリッジ321を転がる疑似球Fの移動速度よりも速くなり、疑似球Fを用いた演出にスピード感をもたせ、遊技者の高揚感をあおることができる。
図9は、螺旋経路600を移動する疑似球Fを示す説明図である。図9において、演出役物331が透明なプラスチック材料などを用いて形成されていることから、螺旋経路600を転がる疑似球Fを遊技者に視認させることができ、遊技者に疑似球Fが螺旋経路600を落ちている様子を見て楽しませることができる。疑似球Fは、螺旋経路600を回転しながら落下するため、移動方向が刻々と変化し、多様な動きを見せることができる。
また、疑似球Fは、回転しながら落下することによって、鉛直方向に落下する場合と比較して、演出役物331の上端から下端に到達するまでの時間を稼ぐことができる。これによって、疑似球Fが演出役物331中を落下する間に演出役物331の背面においておこなう、表示画面を用いた演出に趣向を凝らし、疑似球Fの落下動作も伴って、より演出効果を向上させることができ、遊技者の高揚感を増大させることができる。
上述したように、この実施の形態の遊技機によれば、遊技機が備える表示画面の前面に設けられた移動経路の途中において疑似球Fが自重で落下する際に、疑似球Fの落下速度を調整することを特徴とするため、実在する物体(実体)である疑似球Fを自重により移動させる演出に所定の演出内容を表示画面に表示する演出をあわせることによって立体感および迫力のある演出をおこなうことができる。また疑似球Fの移動を停止させることなく疑似球Fが表示画面の前面に滞在する時間を確保あるいは調整することができる。これによって、表示画面を用いた演出を効果的におこなうとともに、疑似球Fの移動と表示画面を用いた演出との一致を図ることができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、移動経路は疑似球Fが自重によって上方から下方へと移動する経路(螺旋経路600)であることを特徴とするため、モータ286などの駆動源を用いることなく疑似球Fを移動させることができる。これによって、消費電力を増大させることなく疑似球Fを移動させて実体を用いることによる立体感および迫力のある演出をおこなうことができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、疑似球Fが通過する螺旋経路600を用いて疑似球Fの落下速度(演出役物331における滞在時間)を調整することを特徴とするため、くるくると、いわゆる円弧を描くように回転しながら上から下へ移動する疑似球Fの動きを遊技者に目で追わせることによって遊技者の高揚感を増大させることができる。また、螺旋経路600を転がる疑似球Fの移動速度を、ブリッジ321を転がる疑似球Fの移動速度よりも速くすることによって、螺旋経路600を移動する疑似球Fによる演出にスピード感をもたせ、遊技者の高揚感をあおることができる。さらに、疑似球Fが螺旋経路600を移動することにより、上から下に直線的に落下する場合と比較して疑似球Fの移動距離が長くなるので、落下中に疑似球Fのスピードが増加し、より一層のスピード感を遊技者に感じさせ、遊技者の興奮度を高めることができる。
また、螺旋経路600とすることにより、螺旋棒602よりも手前(遊技者)側や螺旋棒602の陰になる背面側など、遊技者に対する疑似球Fの位置を切り替えることができる。すなわち螺旋棒602の背面側を回ることによって、疑似球Fが遊技者の視界から一瞬消え、その後また現れるという演出をおこなうことができる。このように、演出中の役物が遊技者の視界から消えたりまた現れたりする演出を実体でおこなうことによって、遊技者のどきどき・わくわく感を高め、遊技性の向上を図ることができる。
また、疑似球Fが螺旋経路600を移動することにより、上から下に直線的に落下する場合と比較して、遊技者を退屈させることなく疑似球Fが表示画面の前面に滞在する時間を長くすることができる。これによって、疑似球Fが螺旋経路600を移動している時間に、当該疑似球Fによる演出を増長するような演出内容を表示画面に表示し、螺旋経路600中を移動している疑似球Fによる演出の効果を増長し、疑似球Fの動きを目で追う遊技者の高揚感を一層増大させることができる。
また、この発明にかかる遊技機において、螺旋経路600に代えてあるいは加えて、疑似球Fが衝突する複数本の釘を用いて、疑似球Fの落下速度を調整することを特徴としてもよい。この場合、遊技機を構成するために必須となる釘を流用して疑似球Fを用いた演出をおこなうことができる。具体的には、たとえば螺旋経路600と同様に、疑似球Fが自重によって落下する経路を釘によって形成し、当該経路に導かれるように疑似球Fを落下させることによって、疑似球Fの落下時間が所定時間となるようにすることができる。疑似球Fの落下に要する所定時間は、演出領域における移動経路の全長や、始動入賞してから大入賞口109が開くまでの演出時間の長さなどに応じて適宜設定してもよい。
釘を用いた経路によって疑似球Fの落下速度(疑似球Fの落下時間)を調整する場合、釘を用いた経路に導かれた疑似球Fは、釘に衝突すると、衝突した釘からの反発力によってはね返り、つぎの釘に衝突し、つぎの釘からの反発力によってはね返り、・・・を繰り返しながら自重によって徐々に落下する。このとき、疑似球Fの動きを、複数の釘の間を飛び跳ねながらわたっていくような独特の動きとすることで、遊技者に弾むような楽しい気持ちを感じさせ、遊技者の高揚感を高めることができる。
そして、この場合も、釘を用いて疑似球Fの落下速度(疑似球Fの落下時間)を調整している時間に、当該疑似球Fによる演出を増長するような演出内容を表示画面に表示し、疑似球Fの動きによる演出の効果を増長し、疑似球Fの動きを目で追う遊技者の高揚感を一層増大させることができる。釘を用いた経路や螺旋経路600などによって、疑似球Fに多彩な動きをさせることによって、自重により落下する疑似球Fの移動を止めることなく、疑似球Fの移動時間を調整することができる。
これによって疑似球Fの動きに制限されることなく、表示画面を用いた自由な演出をおこなうことができ、遊技性を高めることができる。また、釘を用いて疑似球Fの落下速度(疑似球Fの落下時間)を調整することによって、あらたな部品の設計や調達をおこなわずに、疑似球Fの落下速度(疑似球Fの落下時間)を調整する経路を形成することができる。
また、この発明にかかる遊技機において、疑似球Fが球体形状の部材であることを特徴とするため、自重による疑似球Fの移動をよりなめらかかつ少ない抵抗でおこなって疑似球Fをスムーズに移動させることができるので、疑似球Fを移動させるための駆動源を不要とするとともに、疑似球Fが途中で引っかかって停止するなどして疑似球Fを用いた演出と表示画面を用いた演出とが矛盾することを防止して、演出の信頼性を確保することができる。
また、この発明にかかる遊技機において、疑似球Fが少なくとも遊技球の外見と同等の外見によって形成されていることを特徴とするため、実際の遊技と演出領域においておこなわれる演出との一体感をもたせ、演出領域のみを過剰に際立たせることなく遊技者の期待感を高める演出をおこなうことができる。
以上説明したように、この実施の形態の遊技機によれば、演出役物331を用いた演出と表示画面を用いた演出との利点を維持しつつ、各演出の協働を図ることによって遊技機全体での演出効果や遊技性の向上を図ることができ、それによって遊技者の高揚感や射幸心の向上を図ることによって、遊技者に満足感を与えることができる。