以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(遊技機の基本構成)
図1は、この発明にかかる実施の形態の遊技機の一例を示す正面図である。この発明にかかる実施の形態の遊技機は、顧客の携帯端末装置を用いて遊技機における遊技をおこなう遊技システムに用いられる。図1において遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の盤面には、ガラス枠ランプ(図2における符号262を参照)が設けられている。遊技機は、ランプ制御部(図2における符号230を参照)によってガラス枠ランプを駆動制御して、ガラス枠ランプを点灯あるいは点滅させる。これによって、遊技の演出効果を高めることができる。
遊技盤101の下部位置には、発射部(図示を省略する)が配置されている。発射部は、遊技領域103内に遊技球を発射する。発射部によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。
遊技領域103には、複数の釘(図示を省略する)が設けられている。また、遊技領域103には、風車(図示を省略する)などが配設されている。複数の釘や風車などは、遊技領域103内を落下する遊技球の落下方向を変化させる。遊技領域103の中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104は、たとえば液晶表示器(LCD)によって実現することができる。図柄表示部104の側方には、入賞ゲート106が配設されている。遊技機は、遊技球が入賞ゲート106を通過したことを検出した場合に、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる。
図柄表示部104の下方には、始動入賞口105が配設されている。遊技機は、始動入賞口105に遊技球が入賞した場合に、大当たり判定をおこない、大当たり判定結果にしたがって所定の演出をおこなう。所定の演出は、大当たり判定結果を報知する画像や、大当たり判定結果に応じて発生する所定の遊技モードを演出する画像などの所定の演出内容を図柄表示部104に表示する処理を含んでいる。大当たり判定結果は、具体的には、たとえば変動表示される複数(たとえば3つ)の図柄を所定の順序で停止し、「777」、「394」、「757」などの任意の3つの図柄を表示することによって報知するとよい。
図柄表示部104には、現在保留中の演出があることをあらわす球体画像(保留球画像)Gを表示する所定の領域(以下、「保留数表示領域」という)104aが確保されている。保留数表示領域104aは、たとえば遊技機に正対した場合に図柄表示部104における右上端部など、遊技状態をあらわす画像の表示の妨げとならない位置とするとよい。保留数表示領域104aにおいては、表示された球体画像Gの数によって現在保留されている演出の数、すなわち保留数と同数の球体画像Gが表示される。これによって、遊技者に対して、保留数を分かり易く報知することができる。保留数表示領域104aに表示可能な球体画像Gの数すなわち保留数は、たとえば4つなどのようにあらかじめ決められている。
図柄表示部104の側方や下方には、複数の普通入賞口107が配設されている。遊技機は、複数の普通入賞口107の中のいずれか1つの普通入賞口107に遊技球が入賞すると、普通入賞時の賞球数(たとえば10個)の遊技球を払い出す。遊技領域103の下方には、大入賞口109が設けられている。遊技機は、大当たり状態になると、大入賞口109を一定の期間開放する。そして、遊技機は、大入賞口109の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返し、遊技球の入賞数に対応した所定数の賞球を払い出す。
大入賞口109は、大当たり状態以外の状態では、大入賞扉109aによって閉塞されている。大入賞口109および大入賞扉109aは、大入賞口109の開閉を検出する大入賞口開閉スイッチや、大入賞口109に入賞した遊技球を検出する左カウントスイッチや右カウントスイッチ(いずれも図示を省略する)などとともにアタッカーを構成する。遊技領域103の最下部には、回収口108が設けられている。回収口108は、上述したいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材110は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。これにより、この実施の形態の遊技機を、枠部材110を備えていない他機種の遊技機よりも目立たせることができる。遊技機を目立たせることにより、遊技機の稼働率の向上を図るとともに、遊技機に対する不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110において、遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト部111が設けられている。演出ライト部111は、それぞれ、複数のライト112を備えている。各ライト112は、装飾LED(図2における符号261を参照)を含み、光の照射方向を上下方向に変更することができる。また、演出ライト部111は、光の照射方向を回転させることができる。遊技機は、各ライト112が照射する光の照射方向を変更するモータ(図示を省略する)などを備えている。
遊技機は、たとえば大当たり状態となった場合に、演出ライト部111による光の照射方向を変更し、遊技機が大当たり状態となっていることを周囲に知らしめる。これによって、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができ、遊技者に対して注目されていることによる高揚感を与えることができる。また、光の照射方向は、たとえば通常の遊技時とは異なる異常事態が発生した場合に変更するようにしてもよい。ここでいう異常事態は、たとえば遊技機に対する何らかの不正行為がおこなわれた場合などである。これにより、不正行為を迅速に発見するとともに、遊技機に対する次回以降の不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110の下部位置には、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル113は、上記の枠部材110と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。
操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。操作ハンドル113は、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどを備えている。
遊技盤101には、図柄表示部104の表示領域以外の位置に、演出用の役物(以下、「演出役物」という)が設けられていてもよい。演出役物は、たとえば上述した装飾LEDなどを備えている。この場合、遊技機は、演出役物が備えるLEDの発光タイミングを制御することによって演出効果を高めることができる。
また、演出役物は、たとえば図示を省略するモータやソレノイドなどの駆動力を受けて動作する可動式の演出役物であってもよい。可動式の演出役物は、図柄表示部104における画像の表示動作に連動して動作してもよい。遊技機は、このように演出役物の動作と図柄表示部104における画像の表示動作とを連動することによって演出効果を高めることができる。
枠部材110の下部には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。この実施の形態において、チャンスボタン117は、凸状ボタン形状を有している。チャンスボタン117は、凸状ボタンの他、タッチパネル方式を採用した入力パッドなどであってもよい。チャンスボタン117の操作は、たとえば遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
枠部材110において、チャンスボタン117の隣には、十字キー118が設けられている。十字キー118は、図柄表示部104に表示される文字や図形などを指し示す位置を変更するカーソルキーと、カーソルキーの操作によって選択された文字や図形などを確定する「ENTER」キー(図示を省略する)と、を備えている。チャンスボタン117や十字キー118は、たとえば特定の演出に際して、チャンスボタン117や十字キー118の操作を促す表示画面が図柄表示部104に表示された場合に操作される。
なお、遊技機は、チャンスボタン117や十字キー118などのように押下することによって操作するボタン式に限らず、たとえばトラックボール、トラックパッドあるいはマウスなどのように図柄表示部104上での入力位置や座標を指定する入力機器を備えていてもよい。また具体的には、たとえば赤外線を発する投光器と投光器が発した赤外線を受光する受光器とで構成され、投光器と受光器との間で赤外線が遮断されたか否かを検出する赤外線センサを利用して遊技者の入力操作を受け付けてもよい。この場合、遊技者が遊技盤101の所定の位置に手をかざすなどして赤外線センサが発する赤外線を遮断することによって遊技機に対する入力操作をおこなうことができる。
また、枠部材110には、音声を出力する下部バスSP(図2における符号271を参照)や上部ステレオスピーカ(図2における符号272を参照)が組み込まれている。遊技機は、上部ステレオスピーカや下部バスSPから、たとえば図柄表示部104の表示内容に応じた音声を出力する。これによって演出効果を高めることができる。
(遊技機の制御部の内部構成)
図2は、遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。遊技機の制御部は、複数の制御部により構成されている。図2において、制御部は、主制御部210と、図柄制御部220と、ランプ制御部230と、音声制御部240と、を有する。主制御部210、図柄制御部220、ランプ制御部230および音声制御部240は、それぞれ別々の基板に設けられている。
主制御部210は、遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。主制御部210は、たとえばメイン基板によってその機能を実現することができる。主制御部210は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、I/O214〜216と、ラムクリアスイッチ217と、を備えて構成される。CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行する。
RAM213は、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。CPU211は、上記の数値群を構成する所定数の整数をループするように順次カウントアップし、始動入賞があった場合におけるカウント値を大当たり判定用乱数として取得する。RAM213は、たとえばこのような大当たり判定用乱数の取得に際してのカウンタとして機能する。
具体的には、CPU211は、たとえば1ループが0〜306までの数値で+1ずつカウントアップする。CPU211によるこのようなカウントアップは、主制御部210への電源供給時から開始される。CPU211は、たとえば「0〜306」までの1ループ分のカウント後は、つぎの1ループ分のカウントとして「157〜306、0〜156」の1ループ分のカウントをおこなう、というように1ループのカウントを開始するごとに開始する数値が異なるループ状のカウントをおこなう。
大当たり判定用乱数は、始動入賞した時点におけるカウント値であるため、始動入賞したタイミングによって異なる。始動入賞の判断については後述する。この実施の形態においては、上述したように0〜306までの整数を含む数値群の中の任意の1つの数値が大当たり値であるため、このようなカウント設定がなされた遊技機において大当たりが発生する確率は1/307とされている。
CPU211は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とを比較して、大当たり判定をおこなう。大当たり値は、たとえば遊技機の製造時などに、遊技機ごとにあらかじめ定められ、ROM212などの所定の記憶領域に記憶されている。大当たり判定は、たとえば大当たり判定用乱数を取得するごとにおこなう。大当たり判定に際して、CPU211は、大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致するか否かを判定し、一致する場合を大当たりと判定し、一致しない場合をハズレと判定する。
I/O214は、始動スイッチ(始動SW)251が出力した信号と、ゲートスイッチ(ゲートSW)252が出力した信号と、をCPU211に入力する。始動SW251およびゲートSW252は、たとえば近接センサなどによって実現することが可能である。この場合、始動SW251およびゲートSW252は、遊技球が各スイッチ251、252に接近したタイミングでオン状態を示す信号を出力する。
CPU211は、一定時間(たとえば4msec)ごとに始動SW251およびゲートSW252の出力を監視している。遊技機は、たとえば遊技球が始動入賞口105を通過した場合、始動SW251からの出力は2回以上連続してオン状態となる。CPU211は、始動SW251からの出力が2回以上連続してオン状態となった場合を、遊技球が始動入賞口105を通過したものとして判断する。
また、I/O214は、大入賞口スイッチ(大入賞口SW)253からの出力信号をCPU211に入力する。大入賞口SW253は、たとえば近接センサなどによって実現することが可能である。CPU211は、大入賞口SW253からの出力信号に基づいて、遊技球が大入賞口109に入賞したことを検出する。また、CPU211は、遊技球が大入賞口109に入賞したことを受信すると、賞球制御部(図示を省略する)に対して、賞球制御信号を出力する。
賞球制御部は、賞球制御の処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMと、主制御部210や払出部(図示を省略する)に対するデータの出力をおこなうI/Oなどを備えて構成される。賞球制御部は、主制御部210からの賞球制御信号を受信すると、賞球制御部に接続される払出部に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。払出部は、遊技球の貯留部(図示を省略する)から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
CPU211は、大当たりが発生した場合に、I/O214を介して、大入賞口ソレノイド254に対して大入賞口ソレノイド254の開閉信号を出力する。また、CPU211は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109を一定期間開放するように大入賞口ソレノイド254の開閉を制御する。さらに、CPU211は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返すように大入賞口ソレノイド254の開閉を制御する。
また、I/O214は、普通入賞口スイッチ(普通入賞口SW)255、256からの出力信号を、CPU211に入力する。普通入賞口SW255、256は、たとえば近接センサなどによって実現することが可能である。CPU211は、普通入賞口SW255、256からの出力信号に基づいて、遊技球が普通入賞口107に入賞したことを検出する。また、CPU211は、遊技球が普通入賞口107に入賞したことを受信すると、上述した賞球制御部に対して賞球制御信号を出力する。
I/O215は、ラムクリアスイッチ217からの出力信号を、CPU211に入力する。ラムクリアスイッチ217は、押圧操作されている状態でオン状態を示す信号を出力する。そして、ラムクリアスイッチ217は、押圧操作が解除された場合に、オフ状態を示す信号を出力(あるいは、信号の出力を停止)する。ラムクリアスイッチ217は、たとえばメイン基板などに設けられており、これによってラムクリアスイッチ217を操作することによる操作信号を直接主制御部210に入力し、ラムクリア信号を遊技機の外部から入力できないようにすることができる。
CPU211は、たとえば電源スイッチ(図示を省略する)が操作されるなどして電源の供給があった場合、ラムクリアスイッチ217からオン状態を示す信号が出力されていると、遊技の遊技情報を初期化(ラムクリア)する。CPU211は、ラムクリアに際して、たとえばRWM領域に記憶された初期値乱数や初期値データなどを0(ゼロ)にする。
CPU211は、始動SW251、ゲートSW252、大入賞口SW253、普通入賞口SW255、256から受信した各種の出力信号に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をI/O216を介して図柄制御部220に出力する。また、CPU211は、電源の供給状態とラムクリアスイッチ217からの出力信号に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をI/O216を介して図柄制御部220に出力する。
図柄制御部220は、主制御部210が出力した制御信号に基づいて、遊技機の演出制御をおこなう。この実施の形態では、図柄制御部220が、演出制御基板として機能する。図柄制御部220は、CPU221と、ROM222と、RAM223と、I/O224〜226と、を備えて構成される。
CPU221は、I/O224を介して主制御部210からの制御信号およびROM212に記憶されたプログラムに基づいて、遊技内容を演出する演出処理を実行する。ROM222は、演出処理の実行にかかる各種プログラムや、図柄表示部104に表示する各種画像データを記憶する。各種画像データは、背景画像、図柄画像、キャラクター画像などである。RAM223は、CPU221の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
CPU221は、たとえばROM222に記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行する。また、CPU221は、各種画像処理の実行に際し、適宜必要な画像データをROM222から読み出し、読み出した画像データを、I/O225を介して図柄表示部104に出力する。CPU221は、このような各種画像処理を含む所定の演出を、大当たり判定結果にしたがっておこなう。
CPU221は、大当たり判定結果にしたがった所定の演出の実行に際して、図柄表示部104において所定の演出内容を表示する。所定の演出内容は、図柄表示部104において大当たり判定結果をあらわす画像を含んでいる。大当たり判定結果は、図柄表示部104において複数(たとえば3つ)の図柄を変動表示し、所定時間後に各図柄の変動表示を所定の順序で停止して、任意の3つの図柄をあらわす画像を表示することによってあらわすとよい。
大当たり状態において実行する所定の演出に際しては、図柄表示部104において3つの図柄を変動表示し、変動する3つの図柄を順次停止し、3つの図柄が停止した時点ですべての図柄が一致している画像を表示する。具体的には、たとえば大当たり状態において変動表示を停止したときに特定図柄(たとえば「777」)が揃うような画像を表示する。ハズレ状態においておこなわれる所定の演出に際しては、図柄表示部104において3つの図柄を変動表示し、変動する3つの図柄を順次停止し、3つの図柄が停止した時点ですべての図柄が異なっている画像、あるいは3つ目に停止した図柄が先に停止した2つの図柄と異なっている画像を表示する。具体的には、たとえば変動表示を停止したときに、「394」や「757」が並んだ画像を表示する。
大当たり判定結果にしたがった所定の演出には、先に停止した2つの図柄が一致している状態(以下「リーチ状態」という)においておこなうリーチ演出が含まれる。CPU221は、リーチ演出に際して、大当たりへの期待感を高める内容の画像を図柄表示部104に表示させたり、遊技者の気持ちを高揚させるような軽快な音楽や効果音を出力したりする。リーチ演出に際しては、具体的には、たとえば先に停止した2つの図柄が一致したタイミングで「り〜ち!」などのメッセージを表示する(図6−4、図7−3、図8−1、図8−2、図8−3を参照)。リーチ演出は、大当たり判定により大当たりと判定された場合に実行する演出に限るものではなく、ハズレと判定された場合に実行する演出にも含まれる。この場合、リーチ演出がおこなわれた後、3つ目の図柄が先に停止している2つの画像とは異なる図柄で停止する画像を表示することによってハズレを演出する。
遊技機においては、CPU221から出力された画像データを用いた、大当たり判定結果に応じた表示処理を含む演出の実行中に始動入賞があった場合、当該始動入賞を保留し、実行中の演出が終了してから保留した始動入賞に対応した演出をおこなう。具体的には、たとえば演出の実行中に始動入賞があった場合には、当該始動入賞時に取得した大当たり判定用乱数をRAM223に設けられた保留数記憶領域に記憶する。保留数記憶領域は、大当たり判定用乱数を各大当たり判定用乱数が取得された順番で記憶する。
そして、遊技機は、始動入賞時に実行中の演出が終了してから保留した大当たり判定用乱数に対応した演出をおこなう。保留数記憶領域に記憶される大当たり判定用乱数は所定数(たとえば4つ)に限定されており、保留数記憶領域に所定数の大当たり判定用乱数が記憶されている状態において始動入賞があった場合は大当たり判定用乱数の取得あるいは大当たり判定用乱数の記憶はおこなわない。
図柄制御部220は、図柄表示部104において表示する画像データを、図柄制御部220が備えるVRAMなどに書き込む。図柄表示部104は、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示する。具体的には、たとえば図柄表示部104が表示する背景画像と図柄画像の表示位置が表示画面内の同一位置に重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図示を省略するVRAMなどに図柄画像を優先して記憶させる。
I/O225は、上述したチャンスボタン117からのチャンスボタン操作信号を、CPU221に入力する。また、I/O225は、チャンスボタン117以外の別のボタンからの操作信号を、CPU221に入力してもよい。別のボタンとしては、たとえば、上述した十字キー118によって選択された文字や図形などを特定するとともに、特定された文字や図形を確定する「ENTER」ボタンなどを設けてもよい。
CPU221は、I/O226を介して、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、装飾LED261、ガラス枠ランプ262およびサイドランプ263などの遊技機が備える各種の光源の発光動作の制御に関する制御信号をランプ制御部230に出力する。また、CPU221は、演出処理をおこなうための各種の信号のうち、下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272からの音声出力制御に関する制御信号を音声制御部240に出力する。
ランプ制御部230は、図柄制御部220がおこなう演出処理のうち、装飾LED261、ガラス枠ランプ262、サイドランプ263などの発光体の発光制御をおこなう。ランプ制御部230は、CPU231と、ROM232と、RAM233と、I/O234、235と、を備えて構成される。
CPU231は、I/O234によって入力された図柄制御部220からの制御信号に基づいて、ROM232に記憶されたプログラムを読み込む。そして、CPU231は、読み込んだプログラムを実行することにより、I/O235から出力した制御信号によって装飾LED261、ガラス枠ランプ262、サイドランプ263などの発光体の発光/消灯を制御する。RAM233は、CPU231の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU231による発光体の発光/消灯に際して適宜必要なデータが書き込まれる。
音声制御部240は、図柄制御部220がおこなう演出処理のうち、音声出力に関する音声出力処理をおこなう。音声制御部240は、CPU241と、ROM242と、RAM243と、I/O244、245と、を備えて構成される。
CPU241は、I/O244によって入力された図柄制御部220からの制御信号に基づいて、ROM242に記憶されたプログラムを読み込んで音声出力処理をおこなって音声信号を生成する。RAM243は、音声出力処理に際して、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能し、CPU241による音声出力処理に際して適宜必要なデータが書き込まれる。CPU241は、音声出力処理に際して、演出に用いるBGM、キャラクターの台詞、効果音などを含む音声信号を生成する。
CPU241は、生成した音声信号をI/O245を介して下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272へ出力する。下部バスSP271や上部ステレオスピーカ272は、ボイスコイル(図示を省略する)を備えており、音声制御部240から出力された音声信号にしたがった電気信号をボイスコイルに印加することによって音声を出力する。
図2に示したように、この実施の形態においては、上記構成の主制御部210と、図柄制御部220、ランプ制御部230および音声制御部240は、それぞれ異なるプリント基板(メイン基板、サブ基板、ランプ制御基板および音声制御基板)に設けられる。主制御部210、図柄制御部220、ランプ制御部230、音声制御部240は、各々が異なる基板に設けられている形態に限らない。たとえば、図柄制御部220とランプ制御部230と音声制御部240とを同一のプリント基板上に設けるなど、一部あるいはすべての制御部を同一のプリント基板上に設けることも可能である。
(遊技機の基本動作)
上記の構成を備えた遊技機は、発射部によって発射された遊技球が始動入賞口105、入賞ゲート106あるいは普通入賞口107のいずれに入賞したかに応じて、所定の動作を実行する。遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば入賞ゲート106に入賞した場合、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる。また、遊技機は、発射部によって発射された遊技球がたとえば複数の普通入賞口107の中のいずれか1つの普通入賞口107に入賞した場合、普通入賞時の賞球数(たとえば10個)の遊技球の払い出しをおこなう。
また、遊技機は、発射部によって発射された遊技球が始動入賞口105に入賞した場合に上記の大当たり判定をおこない、判定結果に応じてハズレ演出あるいは大当たり演出などの所定の演出をおこなう。すなわち、ハズレ演出をおこなうか大当たり演出をおこなうかは、該当する所定の演出を開始する前、遊技球が始動入賞口105に入賞した時点ですでに決定している。具体的には、たとえば取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致しない場合をハズレ状態とし、図柄表示部104においてハズレ演出を実行する。一方、遊技機は、具体的には、たとえば取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致する場合を大当たり状態とし、図柄表示部104において大当たり演出を実行する。また、遊技機は、大当たり状態になると、大入賞口109を一定の期間開放する。このような大入賞口109の開放は所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返され、その間に入賞した遊技球に対応した数の賞球が払い出される。
また遊技機は、始動入賞があったことを判断してから大入賞口109の開放を開始するまでの間に、図柄表示部104において、3つの図柄を変動表示するとともに順次停止する画像を表示する。各図柄は、それぞれが上から下などの所定方向に移動するように表示される。変動表示される3つの図柄は、たとえば遊技機に正対して左側に位置する図柄→右側に位置する図柄→中央に位置する図柄の順序で停止する。
この実施の形態の遊技機においては、変動表示される3つの図柄のすべてが停止した時点で、すべての図柄を一致させることによって大当たり状態が確定したことを報知するようにしているが、大当たり状態が確定したことを報知する方法はこれに限るものではない。たとえば図柄表示部104において縦横に3つずつ配列された、計9つの図柄を変動表示し、有効ラインとなる任意の一直線上に配列された3つの図柄をすべて一致させることによって大当たり状態が確定したことを報知してもよい。
(遊技機の機能的構成)
つぎに、遊技機の機能的構成について説明する。図3は、遊技機の機能的構成を示すブロック図である。図3において、遊技機は、始動入賞検出部301と、大当たり判定用乱数取得部302と、演出実行判定部303と、保留数判定部304と、保留数記憶部305と、大当たり判定部306と、表示制御部307と、記憶部308と、表示部309と、を備えている。
始動入賞検出部301は、遊技球が始動入賞口105に入賞したこと(始動入賞)を検出する。具体的には、始動SW251からの出力信号に基づいて、始動SW251からの出力が2回以上連続してオン状態となったか否かをCPU211によって判断し、始動SW251からの出力が2回以上連続してオン状態となった場合を遊技球が始動入賞口105に入賞したと判断することができる。この実施の形態においては、具体的には、たとえばCPU211、始動SW251および始動入賞検出部301としての機能を実現することができる。
大当たり判定用乱数取得部302は、始動入賞検出部301によって始動入賞を検出した場合に、上記の大当たり判定用の乱数を取得する。この実施の形態においては、具体的には、たとえばCPU211、RAM213によって大当たり判定用乱数取得部302としての機能を実現することができる。
演出実行判定部303は、始動入賞検出部301によって始動入賞を検出したタイミングにおいて実行中の演出があるか否かを判断する。演出実行判定部303は、たとえば、始動入賞検出部301によって始動入賞を検出したタイミングにおいて、CPU221によってRAM223をワークエリアとしながらROM222に記憶されている演出用プログラムを実行中であるか否かを判断する。この実施の形態においては、具体的には、たとえばCPU221、ROM222およびRAM223によって演出実行判定部303としての機能を実現することができる。
保留数判定部304は、演出実行判定部303によって実行中の演出があると判定された場合に、当該判定時において保留数記憶部305に記憶されている保留数が、所定数以下であるか否かを判定する。保留数判定部304は、たとえばRAM223に設けられた保留数記憶領域に記憶されている大当たり判定用乱数の数が3以下であるか否かをCPU221によって判定する。この実施の形態においては、具体的には、たとえばCPU221によって保留数判定部304としての機能が実現され、RAM223によって保留数記憶部305を実現することができる。
大当たり判定部306は、保留数記憶部305に記憶された大当たり判定用乱数が大当たりであるか否かを判定する。大当たり判定部306は、たとえばCPU211によって保留数記憶部305に記憶された大当たり判定用乱数と大当たり値とを比較し、大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致する場合を大当たりと判定し、一致しない場合をハズレと判定する。この実施の形態においては、具体的には、たとえばCPU221によって大当たり判定部306としての機能を実現することができる。
表示制御部307は、大当たり判定部306の判定結果にしたがって、記憶部308に記憶されているプログラムに基づいた所定の演出を実行し、表示部309において所定の画像を表示させる。記憶部308は、たとえば大当たり演出処理の実行にかかるプログラムやハズレ演出処理の実行にかかるプログラムを、それぞれ複数種類ずつ記憶している。この実施の形態においては、具体的には、たとえばROM222によって記憶部308としての機能を実現することができる。
表示部309は、表示制御部307が実行する各種プログラムに応じて、大当たり判定部306の判定結果にしたがった所定の演出内容を表示する。表示部309は、たとえば表示制御部307が大当たり演出処理にかかるプログラムを実行した場合に、大当たり演出用の画像を図柄表示部104に表示する。この実施の形態においては、具体的には、たとえば図柄表示部104によって表示部309としての機能を実現することができる。
表示制御部307は、始動入賞検出部301による検出結果に基づいて、演出処理の実行にかかるプログラムの実行中に始動入賞を検出した場合には、検出した始動入賞に対応する球体画像Gおよび当該球体画像Gが所定の位置に移動する画像を、表示部309において表示させる。球体画像Gおよび当該球体画像Gが所定の位置に移動する画像を表示部309において表示させるための球体画像データは、記憶部308に記憶されている。記憶部308は、たとえば球体画像Gの移動先、球体画像Gの種類(形状、色、大きさなど)が異なる複数パターンの球体画像データを記憶している。たとえば球体画像Gは、遊技に用いる遊技球の外見と同等、あるいは遊技球の外見に類似した球体形状の画像とするとよい。
球体画像Gは、始動入賞のタイミングにあわせて、始動入賞直後に表示部309における表示画面に出現するように表示する。球体画像Gの出現位置は、始動入賞口105の近傍であって表示部309における表示画面の端となる位置とすることが好ましい。また球体画像Gは、表示部309における表示画面の端であって始動入賞口105にもっとも近い位置から表示画面の内側へ向かって移動しているような画像を表示することによって出現させてもよい。これによって、始動入賞口105に入賞した遊技球が、始動入賞口105を通って表示画面内に出現したような演出をおこなうことができる。
表示制御部307は、表示画面内に出現させた球体画像Gが所定の位置に移動する画像を、表示部309において表示させる。球体画像Gの表示に際して表示制御部307は、保留数判定部304による判定結果に基づいて、球体画像Gの移動先となる所定の位置を異ならせる。具体的には、たとえば始動入賞の検出時における保留数が所定数以下である場合、保留数をあらわすための保留数表示領域104aを所定の位置とし、最終的に保留数表示領域104aに移動する球体画像Gを表示する。これにより、所定の位置に移動した後の球体画像Gによって現在の保留数を報知することができる。これに対して、具体的には、たとえば始動入賞を検出したにもかかわらず保留数が所定数より大きい場合には、保留数表示領域104a以外の位置を所定の位置とし、表示部による表示領域外となる位置など、保留数表示領域104a以外の位置に移動する球体画像Gを表示する。これによって、保留数表示領域104aにおいて球体画像Gが5つ以上表示されることをなくし、実際の保留数と表示上の球体画像G数との不一致によって遊技者を混乱させることを防止できる。
また、表示制御部307は、表示部309において所定の演出にかかる画像が表示されるとともに球体画像Gが所定の位置に移動する間に、当該球体画像Gが実行中の演出内容に影響を与える画像を表示する。表示制御部307は、たとえばリーチ演出がおこなわれている場合に、球体画像Gの移動によって遊技の展開(大当たりかハズレか)に影響を与えるような画像を表示する。具体的には、たとえば3つの図柄を所定の順番で停止させる際に、所定の位置へ移動する球体画像Gが複数の図柄の1つに衝突し、球体画像Gが衝突した図柄の表示内容を衝突前から変化させる画像を表示する。これによって、始動入賞によって出現した球体画像Gによって実行中の演出内容に影響を与える画像を表示することができる。この実施の形態においては、具体的には、たとえばCPU221およびRAM223によって表示制御部307としての機能を実現することができる。
(遊技機の演出内容)
つぎに、遊技機の演出内容について説明する。図4、図5−1、図5−2、図6−1、図6−2、図6−3、図6−4、図7−1、図7−2、図7−3、図7−4、図8−1、図8−2および図8−3は、遊技機の演出内容を示す説明図である。図4、図5−1、図5−2、図6−1、図6−2、図6−3、図6−4、図7−1、図7−2、図7−3、図7−4、図8−1、図8−2および図8−3において、遊技機は、始動SW251からの出力信号に基づいて始動入賞があったと判断した時点において、図柄表示部104における演出がおこなわれている場合には、直近の始動入賞を保留し、当該保留をあらわす球体画像Gを図柄表示部104に表示する。
球体画像Gの表示に際して、遊技機は、まず図柄表示部104の端の位置であって、図柄表示部104における始動入賞口105の近傍となる位置に球体画像Gを表示する(図4を参照)。これにより始動入賞した遊技球が、始動入賞口105を経由して表示画面中に出現したような演出をおこなうことができる。つぎに、図柄表示部104における始動入賞口105の近傍であって端となる位置に表示した球体画像Gが図柄表示部104における所定の位置に移動するように、球体画像Gの表示位置を連続的に変化させる(図5−1および図5−2を参照)。
また球体画像Gの表示に際して、遊技機は図柄表示部104における始動入賞口105の近傍であって端となる位置に表示した球体画像Gが図柄表示部104における所定の位置に移動する間に、実行中の演出内容に影響を与える画像を表示する。具体的には、たとえば大当たり演出に際して、図柄表示部104において変動する3つの図柄がすべて停止するまでの間に、すでに停止している任意の図柄に球体画像Gが衝突し、衝突した位置の図柄が衝突前の図柄から変化する画像を表示する。これによって球体画像Gが衝突したことによって図柄が変動したような演出をおこなうことができる。
すでに停止している任意の図柄に球体画像Gが衝突するタイミングは、たとえば2つの図柄が停止し、3つ目の図柄が変動している間とすることができる。この場合、2つ目に停止した図柄に球体画像Gが衝突し(図6−1および図6−2を参照)、これによって停止中の2つの図柄が一致する(リーチ状態の)画像を表示する(図6−3および図6−4を参照)ことによって、「ハズレだったのに、保留球がぶつかったためにリーチになった」という演出をおこなうことができる。
すでに停止している任意の図柄に球体画像Gが衝突するタイミングは、たとえば2つの図柄が一致するリーチ状態から3つ目の図柄が停止した直後としてもよい。この場合、3つ目に停止する画像を先に停止している2つの画像とは異なる画像とし(図7−1を参照)、3つ目に停止した図柄に球体画像Gが衝突する画像を表示する(図7−2を参照)。そして、この衝突により、一旦停止した3つ目の図柄が再度変動してから(図7−3を参照)、3つ目の図柄が先に停止している2枚の図柄と一致する画像を表示する(図7−4を参照)。これによって、「ハズレが確定したと思ったのに、保留球がぶつかったために大当たりになった」という演出をおこなうことができる。
球体画像Gが衝突することによる影響は、球体画像Gが衝突した図柄を確定することに限らない。たとえば、変動停止が近いために変動速度が遅くなり、低い変動速度で変動する図柄に球体画像Gが衝突することによって(図8−1および図8−2を参照)、衝突した位置における図柄の変動速度が速くなるような画像を表示してもよい(図8−3を参照)。この場合、「ハズレが確定しそうだったのに、保留球がぶつかったために再度変動がはじまった」という演出をおこなうことができる。
逆に、たとえば高速で変動する図柄に球体画像Gが衝突することによって、衝突した位置における図柄の変動速度が目で見て分かる程度に低下した画像を表示するようにしてもよい。さらに、変動速度が低下した図柄が停止するまでの間に始動入賞があった場合、変動速度が低下した図柄に衝突し、衝突するごとに図柄を変動させる(切り替える)ような球体画像Gを表示してもよい。この場合、「ハズレが確定しそうだけど、図柄が停止する前に保留球をぶつけて図柄を切り替えれば大当たりになるかもしれない」という期待をもたせ、遊技球を発射する遊技者の行為を促進することができる。
また、球体画像Gが衝突することによる影響は、変動中の図柄を停止あるいは減速させるだけに限らない。具体的には、たとえば、変動中の図柄に球体画像Gが衝突することによって、図柄の変動方向が反転するような画像を表示してもよい。たとえば通常は上から下に移動しながら変動する図柄(あるいはすでに停止している図柄)に、下から上に向かって移動する球体画像Gが衝突することによって、下から上に移動しながら変動するように図柄の変動方向を反転させた画像を表示してもよい。
また、リーチ状態から3つ目に停止した図柄が先に停止している2枚の図柄とは異なる図柄で停止した画像、および、3つの図柄のいずれにも衝突せずに図柄表示部104における所定の位置に移動する球体画像Gを表示してもよい(図5−1および図5−2を参照)。これによって、「球体画像Gがうまく衝突すれば大当たりになる可能性があったのに、保留球がぶつからなかったためにハズレが確定した」という演出をおこなうことができる。このような演出をおこなうことにより、遊技者の心境を、球体画像Gによって図柄の内容を変えるために遊技球を発射したくなる心境にさせ、保留球数が保留可能数の上限となった場合にも遊技球を発射する遊技者の行為を促進することができる。これによって保留数にかかわらず、遊技に対する遊技者の参加意識の高さを持続させ、継続して遊技者を楽しませることができる。
(遊技機の処理手順)
つぎに、遊技機の処理手順について説明する。図9は、遊技機の処理手順を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、始動SW251からの出力信号に基づいて、始動入賞があったと判断するまで待機する(ステップS901:No)。始動入賞があった場合(ステップS901:Yes)は、大当たり判定用乱数を取得する(ステップS902)。ステップS902においては、RAM213をワークエリアとしながらCPU211がカウントアップする乱数のうち、始動入賞した時点のカウント値となる乱数を大当たり判定用乱数として取得する。
つぎに、図柄表示部104において演出実行中であるか否かを判断する(ステップS903)。図柄表示部104において演出実行中である場合(ステップS903:Yes)は、現在の保留数が3以下であるか否かを判断する(ステップS904)。現在の保留数が3以下ではない、すなわち現在の保留数が4以上である場合(ステップS904:No)は、ステップS907へ移行する。
ステップS904において、現在の保留数が3以下である場合(ステップS904:Yes)は、ステップS902において取得した大当たり判定用乱数を用いて大当たり判定をおこなう(ステップS905)とともに、RAM223における保留数記憶領域に記憶する保留数を1つ増やす(ステップS906)。ステップS906においては、ステップS902において取得した大当たり判定用乱数を保留数記憶領域に記憶することによって保留数を1つ増やす。
ステップS907においては、図柄表示部104において実行中の演出において、現在変動中の図柄の位置を特定する(ステップS907)とともに、球体画像Gの移動経路を決定する(ステップS908)。ステップS907においては、具体的には、たとえば図柄表示部104において実行中の演出を開始してからの経過時間および実行中の演出の内容に基づいて現在変動中の図柄の位置を特定することができる。各図柄が変動を開始してから停止するまでの時間は、ROM222に記憶された演出処理の実行にかかる各種プログラムに基づいて特定することができるので、実行中の演出を開始してからの経過時間が分かれば現在変動中の図柄の位置を特定することができる。
ステップS908においては、たとえばステップS907において特定した変動中の図柄の位置が3つ目に停止する図柄の位置である場合には、始動入賞口105の近傍の位置から2つ目に停止する図柄を通って所定の位置に移動する移動経路を決定する。また、たとえばステップS907において特定した変動中の図柄の位置が1つ目に停止する図柄の位置である場合には、いずれの図柄も通らずに所定の位置に移動する移動経路を決定する。
つぎに、ステップS908において決定した移動経路にしたがって移動するように、球体画像Gを移動表示する(ステップS909)。ステップS909においては、実行中の演出に重ねて球体画像Gを表示するとともに、球体画像Gが変動中の図柄に重なる位置まで移動したタイミングで当該変動中の図柄に球体画像Gが衝突した画像を表示する。変動中の図柄に球体画像Gが衝突した画像は、図柄表示部104に表示する各種画像データの1つとしてROM222に記憶されている。そして、変動中の図柄に球体画像Gが衝突した画像を表示した後、球体画像Gが所定の位置に移動する画像を表示する。
また、ステップS909においては、球体画像Gが衝突した位置の図柄(以下「対象図柄」という)を変動させる。対象図柄の変動は、最終的にすべての図柄が実行中の演出に対してあらかじめ決定している大当たり判定結果に一致するようにおこなう。具体的には、たとえばハズレが決定している場合には、対象図柄が、すでに停止している図柄とは異なる図柄で停止する画像を表示する。また、具体的には、たとえば大当たりが決定している場合には、対象図柄が、大当たりとなる図柄で停止する画像を表示する。
対象図柄の変動に際して、対象図柄の変動速度や変動方向は、たとえば乱数あるいは大当たり判定用乱数などを用いて任意に決定するとよい。具体的には、たとえば対象図柄の変動速度は、乱数あるいは大当たり判定用乱数が偶数であれば高速とし、乱数あるいは大当たり判定用乱数が奇数であれば低速とすることができる。また、乱数あるいは大当たり判定用乱数が素数であれば1つだけ変動するようにしてもよい。対象図柄の変動方向は、乱数あるいは大当たり判定用乱数が偶数であれば上から下向きとし、乱数あるいは大当たり判定用乱数が奇数であれば下から上向きとすることができる。
そして、全図柄が停止したか否かを判断して(ステップS910)、全図柄が停止していない場合、すなわち3つの図柄のうちで変動中の図柄がある場合(ステップS910:No)は、ステップS901へ戻り、始動入賞があったか否かを判断する。全図柄が停止した場合(ステップS910:Yes)は、RAM223における保留数記憶領域に記憶する保留数(大当たり判定用乱数)を1つ減らす(ステップS911)。ステップS911においては、記憶した順序で、先に記憶した大当たり判定用乱数を消去することによって保留数記憶領域に記憶する保留数(大当たり判定用乱数)を1つ減らす。
つぎに、ステップS911において1つ減らした後の保留数が1以上であるか否かを判断する(ステップS912)。そして、減らした後の保留数が1以上である場合(ステップS912:Yes)は、ステップS913へ移行する。減らした後の保留数が0である、すなわち保留中の演出がない場合(ステップS912:No)は、一連の処理を終了する。
上記のステップS903において、図柄表示部104において演出実行中ではない場合(ステップS903:No)は、ステップS902において取得した大当たり判定用乱数を用いて大当たり判定をおこない(ステップS913)、大当たり判定結果にしたがって該当する内容の演出を開始する(ステップS914)。
ステップS903:Noを経由した場合のステップS913においては、始動入賞時には演出がおこなわれていないため、ステップS901:Yesにおける始動入賞によって取得された、直近の大当たり判定用乱数を用いて大当たり判定をおこなう。この場合、ステップS914においては、ステップS901:Yesにおける始動入賞によって取得された、直近の大当たり判定用乱数を用いた大当たり判定の結果に対応する演出が当該始動入賞後すぐにおこなわれる。
一方、ステップS912:Yesを経由した場合のステップS913においては、保留数記憶領域に記憶されている大当たり判定用乱数のうち、先に記憶した大当たり判定用乱数を用いて大当たり判定をおこなう。この場合、ステップS914においては、ステップS906において記憶された大当たり判定用乱数のうち、もっとも早くに記憶された大当たり判定用乱数を用いた大当たり判定の結果に対応する演出がおこなわれる。
そして、ステップS914においては、ステップS913においてハズレと判定された場合にはハズレに該当する演出(ハズレ演出)をおこない、ステップS913において大当たりと判定された場合には大当たりに該当する演出(大当たり演出)をおこなう。大当たり演出は、リーチ演出の後に3つの図柄が一致した画像を表示し、その後大入賞口109が所定ラウンド数開閉されている間大当たりを演出する画像を図柄表示部104に表示する。
ステップS915においては、ステップS914において開始した演出が終了したか否かを判断する(ステップS915)。ステップS914において開始した演出が終了していない場合(ステップS915:No)は、演出の実行中に始動入賞があったか否かを判断する(ステップS916)。ステップS914において開始した演出の実行中に始動入賞がない場合(ステップS916:No)は、ステップS915に戻り、実行中の演出を継続しておこなう。
ステップS915において、ステップS914において開始した演出の実行中に始動入賞がないまま演出が終了した場合(ステップS915:Yes)は、一連の処理を終了する。ステップS916において、ステップS914において開始した演出の実行中に始動入賞があった場合(ステップS916:Yes)は、ステップS902へ移行する。このように、演出の実行中に始動入賞があった場合にはステップS902〜ステップS910までの処理が繰り返しておこなわれる。
ぱちんこ遊技機などの遊技上のルールから、演出の実行中に所定数以上の始動入賞があった場合、当該始動入賞(あるいは当該始動入賞に対応した演出)を保留することはできないが、この実施の形態の遊技機によれば、演出の実行中に所定数以上の始動入賞があった場合であっても、各始動入賞を演出に反映させることができる。
上述したように、この実施の形態の遊技機によれば、所定の演出内容を表示する図柄表示部104を備えた遊技機であって、遊技球が始動入賞口105に入賞した場合には図柄表示部104を制御して、当該図柄表示部104に遊技球の外見と同等の外見の球体画像Gを図柄表示部104の始動入賞口105近傍の端の位置に表示し、当該球体画像Gを当該表示位置から所定の位置へ移動するように表示し、図柄表示部104上で所定の演出がおこなわれている場合に、球体画像Gの移動によって所定の演出に影響を与えるような画像を表示することを特徴とするため、始動入賞口105を経由して表示画面中に出現した遊技球が図柄表示部104における表示画面中を移動することによって大当たり判定の結果(大当たりかハズレかの確定)に影響を与えたような演出をおこなうことができる。
このように、遊技球を発射するという遊技者の行為が遊技の展開に影響を与えたような演出をおこなうことにより、遊技球を発射する遊技者の行為に意味をもたせ、保留数にかかわらず遊技に対する遊技者の参加意識の高さを持続させ、継続して遊技者を楽しませることができる。そして、継続して遊技者を楽しませることによって遊技者に満足感を与えることができる。
この実施の形態の遊技機によれば、保留可能数が限られているために保留数が所定の数になると以降の遊技球の発射を中断する遊技者に対しても、球体画像Gによって図柄の内容を変えるために遊技球を発射したくなる心境にさせ、保留球数が保留可能数の上限となった場合にも遊技球を発射する遊技者の行為を促進することができる。これによって保留数にかかわらず、遊技に対する遊技者の参加意識の高さを持続させ、遊技球を発射する遊技者の行為を促進することができ、継続して遊技者を楽しませることができる。そして遊技球を発射する遊技者の行為を促進することにより、遊技球の消費量が増え、ぱちんこホールなどの遊技機の管理・運営者の利益増加を図ることができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、始動入賞口105を表示画面よりも下側に設け、図柄表示部104において球体画像Gを始動入賞口105近傍の端の位置から所定の位置へ向かって上昇する方向に移動する画像を表示することを特徴とするため、球体画像の動きを、重力によって上側から下側に落下する遊技球の動きとは明らかに異ならせることができる。このように、表示画面を下から上に縦断する球体画像Gを表示し、球体画像Gの動きを遊技球の動きとは異ならせることで、球体画像Gを強調し、保留球の発生が遊技の展開に影響を与えたような演出を目立たせることができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、表示画面における保留数表示領域104a内に表示されている球体画像Gのうちの少なくともいずれかの球体画像Gの形状、サイズおよび色の少なくともいずれかを変更するように表示することを特徴とするため、球体画像Gを強調することにより、「保留されている演出の中に大当たりがあるかもしれない」などの、遊技者の期待感や高揚感の向上を図ることができる。これによって、遊技者を飽きさせることなく長時間にわたって楽しく遊技をおこなわせることができる。
また、この実施の形態の遊技機によれば、表示画面上を移動中の球体画像Gの形状、サイズ、色および移動速度の少なくともいずれかを選択的に変更するように表示することを特徴とするため、表示画面を移動する球体画像Gを選択的に強調した演出をおこなうことにより、大当たりに対する遊技者の期待感や高揚感を向上させ、遊技性の向上を図ることができる。
上述した実施の形態においては、変動する3つの図柄によって大当たりであるかハズレであるかをあらわすようにしたが、大当たりであるかハズレであるかをあらわす画像は変動する3つの図柄に限らない。また、上述した実施の形態においては、始動入賞ごとに球体画像Gが表示画面に出現する画像を表示したが、始動入賞ごとに表示画面に出現する画像は球体画像Gのみに限らない。
たとえば、球体画像Gに加えて所定のキャラクターを登場させ、キャラクターの行動によってハズレあるいは大当たりが確定するような演出をおこなってもよい。この場合、具体的には、たとえば上記のように球体画像Gが衝突することによって大当たりであるかハズレであるかに影響が生じる画像に加えて、移動中の球体画像Gをキャッチして、図柄表示部104における球体画像Gの衝突による図柄の変動を阻止するキャラクターの画像を表示する演出をおこなう。これによって、キャラクターが球体画像Gをキャッチした場合にはハズレとなる可能性が高く、球体画像Gの衝突によって大当たりとなる可能性を高くすることができ、遊技性の一層の向上を図ることができる。
また、具体的には、たとえば移動中の球体画像Gが移動中に所定のキャラクターに変化(変身)し、当該所定のキャラクターが表示画面内を移動する間に、3つの図柄のうちのすべてあるいは任意の図柄に対してアクションをおこなうことによって、図柄の変動パターンに変化を生じさせるような画像を表示してもよい。この場合、たとえば所定のキャラクターが、ロールプレイングゲームの要領で、表示画面内に構築された架空の状況下にて冒険をおこない、与えられた試練、問題、戦闘などを経験しながら、大当たり図柄を揃えるという目的の達成に向かって行動するような画像を表示する。
これによって、遊技者に対して始動入賞した遊技球がそのまま演出に供されているように思わせ、所定のキャラクターを介して演出への感情移入を図り、演出に対する興味や関心を高めることができる。すなわち、遊技の展開に影響を与える所定のキャラクターを、遊技者が遊技球を発射するという行為によって発生させることによって、遊技者に対して所定のキャラクターに対する主従関係あるいは親子関係のようなつながりを擬似的に感じさせ、これによって演出への感情移入を図り、演出に対する興味や関心を高めることができる。
また、あるいは所定のキャラクターを戦士とし、表示画面内において3つの図柄の内容をかけた戦争をおこなっているストーリーの演出をおこない、保留数が4つある状況で始動入賞が発生した場合は、始動入賞数に対応した数の戦士のキャラクターを出現させるようにしてもよい。これによって、戦士の数が多いほど遊技の展開に有利となるような演出をおこなうことができ、遊技球を発射したくなる心境にさせ、保留球数が保留可能数の上限となった場合にも遊技球を発射する遊技者の行為を促進することができる。
上記のような演出をおこなうことにより、保留数にかかわらず、遊技に対する遊技者の参加意識の高さを持続させ、遊技球を発射する遊技者の行為を促進することができ、継続して遊技者を楽しませることができる。そして遊技球を発射する遊技者の行為を促進することにより、遊技球の消費量が増え、ぱちんこホールなどの遊技機の管理・運営者の利益増加を図ることができる。
なお、表示画面に表示される、最終的な大当たり判定結果は始動入賞時に取得した大当たり判定用乱数にしたがって決定され、遊技者の発射行為による演出内容への影響には左右されることはない。このように、この実施の形態の遊技機によれば、大当たり判定結果や出玉数などにかかわるような不正をおこなうことなく、遊技に対する遊技者の参加意識を高め、遊技者を遊技に深く関与させ、遊技者を楽しませることができる。
また、球体画像Gを遊技球ではなく野球ボールの画像として表示し、この野球ボールを所定のキャラクターがバットで打ち分けることによって球体画像Gの移動方向が決定されるような演出をおこなってもよい。同様に、球体画像Gをサッカーボールの画像として表示し、このサッカーボールを所定のキャラクターがキックすることによって球体画像Gの移動方向が決定されるような演出をおこなってもよい。
以上説明したように、この実施の形態の遊技機によれば、遊技球を発射するという遊技者の行為が遊技の展開に影響を与えたような演出をおこなうことにより、遊技球を発射すること自体に意味をもたせ、保留数にかかわらず遊技に対する遊技者の参加意識の高さを持続させ、継続して遊技者を楽しませることができる。これによって、遊技者に満足感を提供することができる。