以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.中央装置の構成:
A−4.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技制御処理:
C−2.特別図柄遊技処理:
C−3.特別電動役物遊技処理:
D.遊技球振分演出処理:
D−1.確変報知演出処理:
D−2.振分装置における遊技球の動き:
E.変形例:
E−1.第1の変形例:
E−2.第2の変形例:
E−3.第3の変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置40が設けられている。中央装置40は、後述するように、遊技球を振り分ける振分装置や、各種図柄の表示装置、演出用のランプ類などが組み込まれて構成されており、遊技の進行状況に応じて、遊技球の振り分けを行ったり、各種図柄が変動表示したり、あるいはランプ類が点灯するようになっている。中央装置40の構成については、別図を用いて詳しく説明する。
中央装置40の上方には、始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図7参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図7参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。始動口17に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出されるとともに、中央装置40に設けられた各種図柄の表示装置では、入球が契機となって図柄の変動表示が開始されるようになっている。
中央装置40の下方には、大入賞口31dが設けられている。大入賞口31dは、通常時は、遊技球が入球不能な状態に閉鎖されているが、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態(特別遊技状態と呼ばれることもある)が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31s(図7参照)が設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
また、遊技者の側から見て大入賞口31dの左側には三つ、右側には二つ、合計で五つの入球口が設けられており、これらの入球口に遊技球が入球すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出されるようになっている。尚、以下では、前述した始動口17と区別するために、始動口17ではない入球口を指す場合には、一般入球口19と呼ぶことにする。
遊技領域11の左端(中央装置40の左側)には、始動口作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。また、始動口17の斜め上方左右にもランプ風車24が一つずつ設けられ、遊技領域11の下端には、アウト口35が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
A−3.中央装置の構成 :
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された中央装置40の大まかな構成を示す説明図である。本実施例の中央装置40は、枠体41が硬質樹脂によって形成されており、中央には、上側から、回数表示装置45、変動表示装置47、保留数表示装置49、振分演出部50などが組み込まれている。また、振分演出部50の左右には、それぞれに特別図柄表示部42が組み込まれ、更に、それら特別図柄表示部42の外側左右と、変動表示装置47の左右との合計四箇所には、演出用ランプ70が組み込まれている。
振分演出部50の左右に組み込まれた特別図柄表示部42には、それぞれ7つずつのLEDが設けられており、それぞれのLEDの点灯パターンによって種々の特別図柄を表示することが可能となっている。また、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄表示部42を構成する各LEDが点灯あるいは点滅することによって、特別図柄の変動表示が開始され、所定時間の経過の後に何れかの表示態様で停止表示するようになっている。この特別図柄表示部42の変動表示中に、始動口17に遊技球が入球すると、その入球は保留として蓄えられて、保留数表示装置49に表示される。保留数表示装置49には四つのLEDが設けられており、保留として蓄えられている入球数(保留数)に応じた数だけLEDが点灯することで、保留数を表示することが可能となっている。変動表示装置47には、三つの7セグメントLEDが組み込まれている。これら7セグメントLEDは、特別図柄表示部42で特別図柄が変動表示すると同時に変動表示を開始し、特別図柄とともに停止表示するようになっている。また、回数表示装置45には、二つの7セグメントLEDが組み込まれている。回数表示装置45は二桁の数字を表示することにより、特別図柄表示部42および変動表示装置47で行う変動表示の回数を計数するようになっている。
振分演出部50の内部には、遊技球が振り分けられる様子が遊技者から目視可能に構成された振分装置や、振分装置に遊技球を供給するための機構、遊技盤面に向けて発射された遊技球を取り込んで貯留しておく機構などが組み込まれている。
図4は、本実施例の遊技機1で採用されている振分装置51の構成を例示した説明図である。図4(a)には、振分装置51の斜視図が示されている。図示されているように、本実施例で採用されている振分装置51は、中央に設けられた中央回転部52と、中央回転部52を取り巻くように設けられた中間回転部54と、その外周に設けられた外周固定部56などから構成されている。中間回転部54には、中央回転部52を中心として円環状の通路が二重に形成されており、外周固定部56には、円環状に一重の通路が形成されている。これら通路は遊技球が転動可能な幅に形成されており、通路の底面は、中心側が僅かに低くなった斜面状に形成され、通路を隔てる側壁の所々には、遊技球が通過可能な連絡口が設けられている。また、外周固定部56の通路には、振分装置51に遊技球を供給するための供給通路58が接続されている。
図4(b)は、振分装置51に設けられた各種の通路と、各通路の側壁に設けられた連絡口との位置関係を表す説明図である。図4(b)では、振分装置51を上方から見ることによって、通路と連絡口との位置関係を表しており、通路の側壁に対応する部分は細かい斜線を付して表示されている。図示されているように、外周固定部56には、円環状に一重の外周通路56uが形成されており、外周通路56uの内側の側壁には、等間隔に4つの連絡口が設けられている。図4(b)に示した「A」ないし「D」の表示は、これら連絡口の位置を表している。
外周固定部56の内側に設けられた中間回転部54には、第1の中間通路54uと、第2の中間通路54vとが設けられている。外側に設けられた第1の中間通路54uと、内側に設けられた第2の中間通路54vとを隔てる側壁には、等間隔に2つの連絡口が設けられている。図4(b)に示した「E」および「F」の表示は、これら連絡口の位置を表している。
中央回転部52には、遊技球の通過可能な特定領域52aと、遊技球の通過可能な非特定領域52bとが設けられている。図4(b)に示した「V」の表示は特定領域52aを表しており、「X」の表示は非特定領域52bを表している。尚、特定領域52aは、V領域と呼ばれることもある。また、中央回転部52は回転可能に設けられていることから、遊技者が、特定領域52aと非特定領域52bとを容易に識別可能となるように、中央回転部52の中心にはメダルを模した装飾部材52pが立設されている(図4(a)を参照のこと)。そして、特定領域52aの側のメダル表面には金メッキが施され、非特定領域52bの側のメダル表面には銀メッキが施されている。このため、メダル表面に金メッキあるいは銀メッキの何れが施されているかによって、遊技者は、遊技球が通過した領域が、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れであるかを容易に認識することが可能となっている。
図5は、中央回転部52および中間回転部54が回転する様子を示した説明図である。図示した例では、中央回転部52および中間回転部54の回転方向は、何れも上方から見て時計方向に回転するように設定されている。図5では、中央回転部52は細かい斜線を付して示されており、中間回転部54は粗い斜線を付して示されている。また、回転速度については、中央回転部52の回転速度は、中間回転部54の2倍に設定されており、従って、中間回転部54が一回転する間に、中央回転部52はちょうど二回転するようになっている。
以上に説明した構成を有する本実施例の振分装置51では、次のようにして遊技球の振り分けが行われる。先ず、供給通路58から遊技球を供給すると、遊技球は、初めのうちは外周通路56uを転動する。しかし、通路の底面は中心側が低くなるような斜面状に形成されているため、やがて、「A」ないし「D」の何れかの連絡口から第1の中間通路54uに侵入する。ここで、上述したように中間回転部54は回転していることから、遊技球は、「A」ないし「D」の何れの連絡口からも第1の中間通路54uに侵入し得るようになっている。そして、第1の中間通路54uに侵入した後は、第1の中間通路54uを転動した後、「E」または「F」の連絡口から第2の中間通路54vに侵入する。ここで、中央回転部52は、中間回転部54とは異なる速度で回転していることから、2つの連絡口「E」および「F」と、特定領域52aあるいは非特定領域52bとの位置関係は常に変化しており、中央回転部52に設けられた特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかの領域に振り分けられることになる。
図6は、遊技盤面に向けて発射された遊技球を取り込んで貯留しておき、振分装置51に遊技球を供給するための構成を示した説明図である。始動口17に入球した遊技球は、始動口スイッチ17sによって入球が検出された後、排出通路60を介して遊技球貯留部62に供給される。遊技球貯留部62には、所定個数(図示した例では5個)の遊技球を貯留しておくことが可能となっており、それ以上の遊技球が遊技球貯留部62に供給された場合には、バイパス通路66から排出されるようになっている。
遊技球貯留部62の下端側には遊技球供給部64が設けられており、遊技球供給部64の内部には羽根車状のカムが組み込まれている。そして、カムを所定角度だけ回転させると、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球が1球ずつ排出されて、供給通路58を介して振分装置51に供給されるようになっている。図6に示した例では、遊技球供給部64に組み込まれたカムには4枚の羽根が設けられているから、カムを90度回転させる度に1球ずつ遊技球が振分装置51に供給されることになる。カムの回転軸は、図示しないステップモータに接続されており、ステップモータは演出制御基板230によって制御されている。従って、演出制御基板230が所定のタイミングでステップモータを駆動することにより、遊技球供給部64のカムが回転して、遊技球貯留部62に貯留されている遊技球を1球ずつ振分装置51に供給することが可能となっている。
尚、本実施例の遊技球貯留部62は、本発明における「遊技球貯留手段」に対応しており、本実施例の遊技球供給部64は、本発明における「遊技球供給手段」に対応している。また、本実施例の振分装置51は、上述したように、一見したところでは、あたかも遊技球を特定領域52aまたは52bの何れかの領域に振り分けているように見えるが、後ほど詳細に説明するように、遊技球を供給するタイミング(具体的には、中間回転部54の回転位置がどの範囲内にあるか)によって、実際は、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに振り分けられるかは決まってしまう。このことから、遊技球を供給するタイミングを決定している本実施例の演出制御基板230は、本発明における「遊技球誘導手段」に対応するものとなっている。
A−4.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図7は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で、回数表示装置45や、変動表示装置47や、振分演出部50、演出用ランプ70などを用いて行われる演出の具体的な制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図7中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図7では、主制御基板200に搭載されたCPU201、ROM202、およびサブ制御基板220に搭載されたCPU221、RAM223のみが図示されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口17の内部に組み込まれた始動口スイッチ17sや、一般入球口19の内部に組み込まれた一般入球口19スイッチs、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、中央装置40に組み込まれた特別図柄表示部42や保留数表示装置49などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31mや、特別図柄表示部42や保留数表示装置49などに向かって信号を出力することにより、これらの動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、中央装置40に組み込まれた回数表示装置45や、変動表示装置47、振分演出部50、演出用ランプ70制御を行う演出制御基板230に対して演出内容を指定するコマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた始動口作動ゲート36を通過すると、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、中央装置40に組み込まれた特別図柄表示部42において特別図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、特別図柄表示部42は、中央装置40の左右にそれぞれ7つずつ設けられたLEDによって構成されており、これら合計14個のLEDのうち、何れのLEDを点灯させるかによって種々の特別図柄を表示することが可能となっている。始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄表示部42に表示された特別図柄が次々と切り換わり、そして所定時間が経過すると何れかの図柄の状態で停止表示される。このとき、所定の点灯状態(当り図柄)で停止表示されると、いわゆる特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。特別遊技状態では、大入賞口31dが開口状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球する。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
また、特別図柄表示部42に表示される当り図柄には、「通常当り図柄」と「確変当り図柄」が設けられている。特別図柄が「通常当り図柄」で停止表示されると、特別遊技の終了後、特別図柄の変動表示が所定回数(本実施例では100回)行われるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開口時間が長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。
これに対して、特別図柄が「確変当り図柄」で停止表示された場合には、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、何れかの当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確変遊技状態(若しくは、単に確変状態)と呼ばれる。また、「確変当り図柄」が停止表示されたことによる特別遊技が終了した後は、次の特別遊技が開始されるまでの間(確変状態中)は、上述の時短状態と同様に特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開口時間が長くなる。
このように、特別図柄表示部42で停止表示される特別図柄が「当り図柄」か否か、「当り図柄」の場合は、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」の何れであるかによって、その後の遊技の進行が大きく左右される。もっとも、特別図柄表示部42は、遊技者の目に付き易い態様で設けられているわけではなく、加えて、停止表示される図柄も遊技者にとって分かり易い態様で表示されるわけではない。そこで、特別図柄表示部42で行われる特別図柄の変動表示に合わせて、変動表示装置47では、3つの7セグメントLEDの変動表示が開始され、特別図柄が「通常当り図柄」または「確変当り図柄」の何れかで停止表示される場合には、3つの7セグメントLEDが「7」のゾロ目で停止表示され、特別図柄が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの7セグメントLEDが何れも異なる数字で停止表示される。すなわち遊技者は、変動表示装置47の停止図柄を見ている限りでは、当りか外れかは分かるものの、当りの場合に、その当り態様が、通常当りあるいは確変当りの何れであるかまでは分からないようになっている。そして、当り態様の報知は、振分演出部50を用いて行われるようになっている。
先ず、大当り遊技が終了すると、回数表示装置45に数字が表示される。そして、その後に変動表示装置47が変動表示を行う度に、回数表示装置45の数字が1つずつカウントダウンしていき、回数表示装置45の数字が「0」になると、振分演出部50の内部に組み込まれた振分装置51に、遊技球が1球だけ供給される。図4および図5を用いて前述したように遊技球は、外周通路56uから、第1の中間通路54u、第2の中間通路54vと順番に転動した後、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかに振り分けられる。そして、遊技球が特定領域52aに振り分けられた場合には、当り態様が「確変当り」であった旨の演出が演出用ランプ70によって行われる。これに対して、遊技球が非特定領域52bに振り分けられた場合には、当り態様が「通常当り」であった旨の演出が行われる。
実際には、大当りが発生した段階で、当り態様が「通常当り」または「確変当り」の何れであるかは既に決まっている。そして、当り態様が「通常当り」であった場合には、遊技球が非特定領域52bに振り分けられるタイミングで、振分装置51に遊技球を供給し、逆に、当り態様が「確変当り」であった場合には特定領域52aに振り分けられるタイミングで遊技球を供給することによって、既に定まっている当り態様の報知を行っている。しかし、遊技者には、遊技球の供給タイミングによって振り分けの結果が制御されていることは分からない。このため、遊技球の振り分け結果によって当り態様が決定され、遊技球が特定領域52aに振り分けられた場合には、確変当り態様となって、再び当りの発生し易い遊技状態が開始されるように感じられることになる。その結果、遊技者は遊技球の振り分け結果に大いに注目するため、遊技に対する興趣を大きく喚起することができる。その一方で、実際には、当り態様は、大当りが発生した段階で既に決まっており、遊技球が振り分けられた結果に依存して当り態様が決まるわけではない。このため、振り分け結果を検出したり、検出した結果に応じて遊技状態を切り換えるといった複雑な制御を行う必要がなく、遊技機1の構造および制御を簡素なものに保っておくことが可能となる。
C.遊技機の制御内容 :
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例の遊技機1が行っている制御内容について詳しく説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図8は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通電動役物遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや、一般入球口スイッチ19s、大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通電動役物遊技処理を行うか否かを判断する(S100)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通電動役物遊技処理を行うものと判断し(S100:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通電動役物遊技処理は行わないものと判断する(S100:no)。そして、普通電動役物遊技処理を行うと判断された場合は(S100:yes)、以下に説明する普通電動役物遊技処理を行う(S150)。一方、普通電動役物遊技処理を行わないと判断された場合は(S100:no)、普通電動役物遊技処理(S150)はスキップする。
普通電動役物遊技処理(S150)では、遊技球が始動口作動ゲート36を通過したか否か、すなわち、ゲートスイッチ36sが遊技球を検出したか否かを判断し、遊技球が始動口作動ゲート36を通過した(ゲートスイッチ36sが遊技球を検出した)と判断されると、普通電動役物の作動を開始させる。こうして普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通電動役物遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図9は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように普通電動役物停止処理を開始すると、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図8に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して(S206)、図9に示した普通電動役物停止処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図9に示した普通電動役物停止処理を終了して、図8に示した遊技制御処理に復帰する。
遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図10は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S252)。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が始動口17に入球している場合は(S252:yes)、特別図柄の保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S254)。図3を用いて前述したように特別図柄の保留数は4つまで蓄えることができ、保留数表示装置49に設けられたLEDが点灯することによって表示されている。特別図柄の保留数が上限値に達していなければ(S254:no)、特別図柄当否判定乱数、特別図柄の図柄決定乱数、特別図柄の変動パターン決定乱数を取得する(S256)。ここで、特別図柄当否判定乱数は、中央装置40の特別図柄表示部42で変動表示される特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、特別図柄の図柄決定乱数は、特別図柄の当否判定結果に応じて、停止表示させる特別図柄を決定するための乱数であり、また、特別図柄の変動パターン決定乱数は、後述する特別図柄変動パターンを決定するために用いられる乱数である。このように特別図柄の保留数が「4」に達していない場合は(S254:no)、各種の乱数を取得した後(S256)、特別図柄の保留数に「1」を加算する(S258)。一方、特別図柄の保留数が「4」に達している場合は(S254:no)、これら各種乱数の取得は行わない。
次いで、特別図柄遊技処理を行うか否かを判断するために、現在、大当り遊技中か否かを判断する(S260)。後述する特別図柄遊技処理は、特別図柄を変動表示させ、当り図柄が停止表示された場合には、遊技者にとって有利な特別遊技である大当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、上述した特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中であるか否かを判断し(S260)、大当り遊技中で無かった場合には(S260:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S250:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中であった場合は(S278:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S250:no)。
以上のようにして、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S250:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S250:no)、特別図柄遊技処理(S300)はスキップする。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図11は、特別図柄遊技処理の一部を示したフローチャートである。また、図12は、特別図柄遊技処理の残りの部分を示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では中央装置40に特別図柄表示部42が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部42の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されたかを、遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。そして、特別図柄の保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図8に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を行う処理(特別図柄当否判定処理)を開始する(S330)。
図13は、特別図柄の当否判定を行う処理の流れを示したフローチャートである。図示するように、特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄当否判定乱数を読み出す処理を行う(S3300)。特別図柄当否判定乱数とは、図10を用いて前述した特別図柄遊技開始判断処理の中で、遊技球が始動口17に入球したと判断されると、特別図柄の保留数が4個に達するまで、4個を限度として取得される乱数である。図13に示した特別図柄当否判定処理では、先ず初めに、予め記憶しておいた特別図柄当否判定乱数を1つ読み出す処理を行う。
次いで、現在の遊技状態が確変状態か否かを判断し(S3302)、確変状態であれば(S3302:yes)、確変用の当否判定テーブルを選択し(S3304)、確変状態でなければ(S3302:no)、非確変用の当否判定テーブルを選択する(S3306)。ここで当否判定テーブルとは、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、特別図柄の当否判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図14は、本実施例の遊技機1に記憶されている特別図柄の当否判定テーブルを例示した説明図である。図14(a)には非確変用の当否判定テーブルが示されており、図14(b)には確変用の当否判定テーブルが示されている。図示するように、当否判定テーブルには、特別図柄の当否判定乱数に対応付けて、「当り」あるいは「外れ」の特別図柄の当否判定結果が設定されている。また、図14(a)と図14(b)とを比較すれば明らかなように、図14(b)に示した確変用の当否判定テーブルは、図14(a)に示した非確変用の当否判定テーブルよりも多くの乱数に、「当り」の当否判定結果が設定されている。
次いで、先に読み出した特別図柄当否判定乱数に基づいて、選択した当否判定テーブルを参照することにより、特別図柄の当否判定結果が「当り」か否かを判断する(図13のS3308)。上述したように、確変状態の時に参照する確変用の当否判定テーブルは、確変状態ではないときに参照する非確変用の当否判定テーブルに比べて、多くの特別図柄当否判定乱数に「当り」の当否判定結果が設定されていることから、確変中は非確変中よりも高い確率で「当り」の当否判定結果が発生することになる。
そして、特別図柄の当否判定結果が当りと判断された場合には(S3308:yes)、特別図柄の図柄決定乱数を読み出した後(S3310)、特別図柄の大当り図柄を決定する処理を行う(S3312)。ここで、特別図柄の図柄決定乱数とは、始動口に遊技球が入球すると、図10に示した特別図柄遊技開始判断処理の中で、特別図柄当否判定乱数とともに取得される乱数である。主制御基板200のROM202には、特別図柄の図柄決定乱数に対応付けて、特別図柄の当り図柄が予め記憶されており、図柄決定乱数に基づいて、当り図柄を容易に決定することができる。また、決定された当り図柄に応じて、「通常当り」あるいは「確変当り」の当り態様も決定されるようになっている。
一方、当別図柄の当否判定結果が「外れ」であった場合は(S3308:no)、「当り」の場合と同様に図柄決定乱数を読み出した後(S3314)、特別図柄の外れ図柄を決定する処理を行う(S3316)。外れ図柄を決定する処理も、図柄決定乱数に基づいて行う。
以上に説明したように、図13に示した特別図柄当否判定処理では、先に取得しておいた特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数を読み出して、特別図柄の当否判定を行うとともに、当否判定結果に応じて、特別図柄の大当り図柄あるいは外れ図柄を決定する処理を行う(S3312またはS3316)。そして、大当り図柄あるいは外れ図柄を決定したら、特別図柄当否判定処理を終了して、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
尚、上述したように、特別遊技を開始するか否かは、主制御基板200に搭載されたCPU201が、上述した特別図柄当否判定処理を行うことによって決定されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載された201は、本発明における「特別遊技抽選手段」に対応するものとなっている。また、特別遊技を開始する場合、すなわち当否判定結果が当りであった場合に、その当り態様を「通常当り」あるいは「確変当り」の何れの当り態様とするかについても、主制御基板200に搭載されたCPU201が、特別図柄当否判定処理を実行することによって決定されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「確変抽選手段」に対応するものとなっている。
図11に示されているように、特別図柄遊技処理では、特別図柄当否判定処理(S330)から復帰すると、続いて、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を開始する(S338)。
図15は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理も特別図柄遊技処理と同様に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄の当否判定結果が当りであるか否かを判断する(S3380)。特別図柄の当否判定は、特別図柄変動パターン設定処理に先立って、図13を用いて前述した特別図柄当否判定処理において既に行われているので、主制御基板200のCPU201は、当否判定結果が当りであるか否かを直ちに判断することができる。そして、特別図柄の当否判定結果が当りであった場合には(S3380:yes)、現在の遊技状態が時短中(すなわち時短機能の作動中)であるか否かを判断し(S3382)、時短中であれば(S3382:yes)、当否判定結果が当りで且つ時短中の場合に用いられる変動パターンテーブル(当り・時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3384)。これに対して、時短中でない場合は(S3382:no)、当否判定結果が当りで且つ時短中ではない場合に用いられる変動パターンテーブル(当り・非時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3386)。これらの変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め設定されている。なお、ここで言う「時短中」とは、変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を指すもので、確変遊技中を含んでいる。
図16は、主制御基板200のROM202に設定されている当り・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように変動パターンテーブルには、変動パターン決定乱数の値に対応付けて、特別図柄の変動パターンが設定されている。ここで、変動パターン決定乱数とは、特別図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数であり、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数とともに取得される乱数である。また、それぞれの変動パターンには、特別図柄の変動時間が予め設定されている。例えば、変動パターン決定乱数が「0〜85」の範囲の値に対しては、「パターン特3」という変動パターンが設定されており、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が25.1秒間の変動パターンである旨が設定されている。同様に、「86〜172」の範囲の乱数値に対しては、「パターン特3」という変動パターンが設定され、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が35.2秒間である旨が設定されている。
また、図17は、当り・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図16に示した当り・時短用の変動パターンテーブルと同様に、当り・非時短用の変動パターンテーブルについても、変動パターン決定乱数に対応付けて、特別図柄の変動パターンと変動時間とが設定されている。尚、図16の変動パターンテーブルは時短用のテーブルであり、図17の変動パターンテーブルは非時短用のテーブルであることに対応して、図16に設定されている変動パターンは、図17に設定されている変動パターンよりも、変動時間が短めのパターンが設定されている。
以上に説明したように、特別図柄の当否判定結果が当りであると判断された場合には(図15のS3380:yes)、時短中か否かに応じて、当り・時短用の変動パターンテーブルまたは当り・非時短用の変動パターンテーブルの何れかを選択すると、続いて、変動パターン決定乱数を読み出す(S3388)。そして、読み出した変動パターン決定乱数に基づいて変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「当り」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3390)。
以上、特別図柄の当否判定結果が当りの場合に(S3380:yes)、特別図柄の変動パターンを決定する処理について説明したが、当否判定結果が外れの場合には(S3380:no)、次のようにして特別図柄の変動パターンを決定する。
特別図柄の当否判定結果が外れと判断された場合にも(S3380:no)、当りと判断された場合と同様に、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S3392)。そして、時短中であれば(S3392:yes)。当否判定結果が外れで且つ時短中の場合に用いられる変動パターンテーブル(外れ・時短用変動パターンテーブル)を選択し(S3394)、一方、時短中でなければ(S3392:no)、当否判定結果が外れで且つ時短中ではない場合に用いられる変動パターンテーブル(外れ・非時短用変動パターンテーブル)を選択する(S3396)。これら外れの場合に用いられる変動パターンテーブルも、当りの場合の変動パターンテーブルと同様に、主制御基板200に搭載されたROM222に設定されている。
図18は、主制御基板200のROM202に設定されている外れ・時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。また、図19は、外れ・非時短用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定結果が外れの場合の変動パターンテーブルにも、特別図柄の変動パターンおよび変動時間が、変動パターン決定乱数に対応付けて設定されている。
このように、特別図柄の当否判定結果が外れの場合にも(S3380:no)、時短中か否かに応じて、外れ・時短用の変動パターンテーブルまたは外れ・非時短用の変動パターンテーブルの何れかを選択する。続いて、変動パターン決定乱数を読み出した後(S3398)、選択した変動パターンテーブルを参照することにより、当否判定結果が「外れ」の場合の特別図柄の変動パターンを決定する(S3400)。
図15に示した特別図柄変動パターン設定処理では、以上のようにして、特別図柄の当否判定結果に応じて、特別図柄の変動パターンを決定した後、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
図11に示されているように、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、主制御基板200のCPU201は特別図柄表示部42における特別図柄の変動表示を開始した後(S340)、特別図柄の保留数から1を減算する処理を行う(S342)。また、特別図柄の変動表示が開始されると特別図柄の保留数が1つ消化されるので、特別図柄の保留数を1つだけ減算しておくのである。そして、先に決定しておいた特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力した後(S344)、特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)を、同じくサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。
サブ制御基板220のCPU221は、このようにして特別図柄変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ることにより、特別図柄表示部42で変動表示される特別図柄の変動時間、および特別図柄の停止図柄についての情報を知ることができる。そして、これらの情報に応じて、変動表示装置47や、回数表示装置45、振分演出部50などで行う演出態様を決定した後、決定した演出態様を指示する制御コマンドを演出制御基板230へ向けて出力する。こうすることにより、特別図柄表示部42で行われる特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、変動表示装置47や、回数表示装置45、振分演出部50などにおいても、各種の演出が行われることになる。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定し、変動パターン指定コマンド、特別図柄停止情報指定コマンドをサブ制御基板220に向けて出力したら、図11に示した特別図柄遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
以上、特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図11のS322:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、特別図柄が変動中に、図11の特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS322の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S322:yes)。この場合は、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されている場合に該当する。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図8に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S350)とともに、特別図柄表示部42で変動表示されている特別図柄を、予め設定しておいた図柄で停止表示させる(S352)。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定した後(S354)、設定した表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。そして、表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図8に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図12のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、前述した当り図柄である。図12のS358では、特別図柄表示部42で停止表示された特別図柄が、これら当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)、および役物連続作動装置の連続作動回数を設定する(S359)。本実施例では、大入賞口の開口時間(大入賞口開口時間)は約26秒間、連続作動回数は15回に設定される。
こうして、大入賞口の開口時間および連続作動回数を設定した後、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が当り図柄で停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置である。条件装置および役物連続作動装置は、何れも主制御基板200に搭載されたCPU201によって主に構成されている。詳細には後述するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図8の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、特別図柄表示部42および変動表示装置47で図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図12のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。そして、確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これらの機能を停止させる(S364,S366)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、続いて、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S366)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、始動口17(普通電動役物)の開口時間を延長する機能も働いているので、時短機能を停止したら(S366)、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S368)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。一方、条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、特別図柄表示部42で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
まず、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S374)。そして、時短中と判断された場合は(S374:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S378)。前述したように本実施例の遊技機1では、「確変当り」または「通常当り」の何れの当り態様の場合にも特別遊技の終了後に時短状態が開始され、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数変動するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中と判断された場合は(S374:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数の計数値が所定回数に達したか否かを判断するのである。そして、所定回数に達していれば(S378:yes)、時短機能を停止させ(S380)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S368)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S378:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。
図8に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図20は、特別電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図20を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技状態が終了する。以下、上述した特別遊技を実行するために、主制御基板200のCPU201が行う特別電動役物遊技処理について、図20を参照しながら説明する。
主制御基板200のCPU201は、特別電動役物遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように特別電動役物とは、大入賞口31dを開口させる装置であり、特別遊技状態が発生すると特別電動役物が所定回数だけ作動して、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断する(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図20に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図8に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図8に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図20に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図20に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図20に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図8の遊技制御処理に復帰する。
図8の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(S410:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技状態を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止する(S416)。
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった当り図柄の態様が「確変当り」であったか否かを判断する(S418)。そして、確変当りであったと判断された場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始する(S420)。こうして確変機能の作動が開始されると、いわゆる確変状態となって、次回以降に行われる左特別図柄あるいは右特別図柄の当否判定において、通常の状態よりも、当りの判定が高い確率で発生する高確率状態となる。これに対して、条件装置を作動させた当り図柄の態様が「確変当り」ではないと判断された場合は(S418:no)、確変機能を作動させる処理(S420)は行わない。
次いで、時短機能の作動を開始し(S422)、更に、普通電動役物の開口時間延長機能の作動を開始した後(S424)、図20に示した特別電動役物遊技処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。いわゆる大当り遊技(特別遊技)は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以上のような特別電動役物遊技処理を実行することによって行われている。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行う。その結果、始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の当否判定が行われ、判定結果が当りの場合には、「通常当り」あるいは「確変当り」の何れかの当り態様が決定されるとともに、いわゆる大当り遊技が開始される。そして、大当り遊技の終了後は、当り態様に応じて、時短状態あるいは確変状態での遊技が開始される。主制御基板200のCPU201は、こうした処理を繰り返し実行している。これに対して、サブ制御基板220では、大当りの発生については、変動表示装置47を用いて報知する演出は行うものの、当り態様については大当り遊技の終了後に、振分装置51で遊技球が特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに振り分けられるかによって報知する演出を行う。このため、遊技者にとっては、あたかも振り分け結果によって、「確変当り」あるいは「通常当り」の当り態様が決定されるように感じられ、遊技球が振り分けられる様子に思わず注意を引き付けられるので、遊技に対する興趣が掻き立てられるようになっている。こうした演出は、もっぱらサブ制御基板220を中心として行われている。以下では、サブ制御基板220で行われる演出制御処理について説明する。
D.演出制御処理 :
図21は、主制御基板200からのコマンドに基づいて本実施例のサブ制御基板220が実行する演出制御処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように、演出制御処理では、先ず初めに、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1002)。特別図柄の変動パターンは、始動口17への入球が検出されると、図15を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理の中で決定されて、主制御基板200からサブ制御基板220に向かって出力される。サブ制御基板220が未だ変動パターン指定コマンドを受信していないと判断した場合は(図21のS1002:no)、コマンドを監視しながら待機状態となる。そして、遊技を続けている間に、始動口17に遊技球が入球して、主制御基板200から変動パターン指定コマンドが出力され、このコマンドをサブ制御基板220が受信したら(S1002:yes)、続いて、主制御基板200から特別図柄停止情報指定コマンドを受信したか否かを判断する(S1004)。図11を用いて前述した特別図柄遊技処理では、主制御基板200は特別図柄の変動パターン指定コマンドを出力すると(図11のS344)、直ぐに続いて、特別図柄停止情報指定コマンドも出力するので(S346)、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信すると、やがて特別図柄の停止情報指定コマンドも受信することができる。
こうして、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受信したら(S1004:yes)、受け取った変動パターンに従って、変動表示装置47に組み込まれた3つの7セグメントLEDの変動表示を開始する(S1006)。図16ないし図19に示したように、変動パターンに応じて特別図柄の変動時間が決まっており、変動表示装置47における7セグメントLEDも、変動パターンに応じた時間だけ変動表示するようになっている。
変動表示装置47の7セグメントLEDの変動表示を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S1008)。図11を用いて説明したように、主制御基板200で行われる特別図柄遊技処理では、特別図柄の変動表示を開始してから、変動パターンに応じて定まる変動時間が経過すると、サブ制御基板220に向かって図柄停止コマンドを出力する(S350)。そこで、サブ制御基板220で行う演出制御処理では、変動表示装置47での変動表示を開始したら(図21のS1006)、主制御基板200から図柄停止コマンドが送られてきたか否かを確認し(S1008)、未だ送られて来ていない場合は(S1008:no)、そのまま待機状態となる。
そして、図柄停止コマンドの受信を確認したら(S1008:yes)、変動表示装置47で変動表示中の7セグメントLEDを、先に受け取っていた特別図柄停止情報指定コマンドによって指定された図柄で停止表示させる(S1010)。すなわち、特別図柄停止情報指定コマンドで指定された図柄が当り図柄であった場合は、その当り図柄が通常当り図柄であるが、確変当り図柄であるかに拘わらず、変動表示装置47に組み込まれた3つの7セグメントLEDを何れも「7」で停止表示させる。これに対して、特別図柄停止情報指定コマンドによって指定された図柄が当り図柄ではなかった場合は、3つの7セグメントLEDを何れも異なる数字で停止表示させる。
こうして変動表示装置47を停止表示させた後、表示された図柄が当り図柄(すなわち、7のゾロ目)か否かを判断して(S1012)、当り図柄であれば(S1012:yes)、主制御基板200で大当り遊技が開始されるのに合わせて、サブ制御基板220でも大当り遊技の演出を行う(S1014)。これに対して、変動表示装置47で停止表示された図柄が当り図柄でなかった場合は(S1012:no)、大当り遊技に伴う演出は行わない。そして、停止表示された図柄が当り図柄があった場合には(S1012:yes)、大当り遊技の演出後に、停止表示された図柄が当り図柄がなかった場合には(S1012:no)、図柄の停止後に、確変報知演出のための処理を行う(S2000)。そして、確変報知演出処理を終了すると、再び、演出制御処理の先頭に戻って、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受け取ったか否かの監視を行い(S1002)、コマンドを受け取っていれば(S1002:yes)、前述した続く一連の処理を行う。
このように、サブ制御基板220のCPU221が行う演出では、大当りの発生時には、その当り態様が「通常当り」または「確変当り」の何れであるかの報知は行わず、大当り遊技の終了後に確変報知演出処理を行って、当り態様を報知している。そして、報知の態様は、変動表示装置47による図柄の変動表示を用いた単純な態様ではなく、あたかも振分装置51で遊技球が振り分けられているかのような演出を行うことにより、遊技者の興趣を大きく高めることを可能としている。以下では、かかる演出を行うための処理内容、および振分装置51で遊技球が振り分けられる様子について説明する。
D−1.確変報知演出処理 :
図22は、本実施例のサブ制御基板220が確変報知の演出を行うために行う確変報知演出処理の流れを示したフローチャートである。前述したように本実施例の遊技機1では、振分装置51によって遊技球が振り分けられるような態様で、当り態様が確変当りであったか否かの報知を行うが、この演出は以下に説明する確変報知演出処理を実行することによって実現されている。
確変報知演出処理を開始すると、先ず初めに大当り遊技の終了後か否かを判断する(S2002)。すなわち、図21の演出制御処理の中で説明したように、確変報知演出処理は、変動表示装置47で停止表示された図柄が当り図柄であった場合は、それに伴う大当り遊技の終了後に開始され、変動表示装置47で停止表示された図柄が当り図柄でなかった場合は、図柄の停止表示後に直ちに行われる。従って、確変報知演出処理を開始すると、何れの状態で開始されたのかを判断するのである。
確変報知演出処理が、大当り遊技の終了後に開始された場合は(S2002:yes)、回数表示装置45に表示する回転数の初期値を決定する(S2004)。前述したように回数表示装置45には2つの7セグメントLEDが組み込まれており、2桁の数字を表示することが可能である。そして、変動表示装置47が変動表示を行う度に、回数表示装置45に表示された数値が1つずつカウントダウンしていき、数値が「0」になったら確変状態か否かの報知を行うようになっている。S2004では、初期値として回数表示装置45に表示すべき数字を、抽選によって決定する。
次いで、決定した初期値を回数表示装置45に表示する演出を行う(S2006)。大当り遊技を行った後は、遊技者は、遊技状態が確変状態(すなわち、大当りが再び発生し易い状態)になっているか否かを早く知りたいと思うものであり、そして、回数表示装置45に表示される初期値が小さければ、遊技状態が確変状態か否かを早く知ることができるから、遊技者は大当りの終了後は、回数表示装置45に出来るだけ小さな値になることを願いながら、回数表示装置45に設定される初期値に注目する。そこで、S2006では、回数表示装置45に組み込まれた2つの7セグメントLEDを変動表示させて、遊技者の注意を引き付けた後、抽選によって決定しておいた初期値の数字を表示する処理を行う。
こうして回数表示装置45の初期値を設定したら、確変報知フラグをオンに設定する(S2008)。ここで確変報知フラグとは、回数表示装置45の値が「0」に達したら、その時の遊技状態が確変状態であるか否かの報知演出を行うことを表すフラグである。確変報知フラグは、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに「1」を書き込むことによって設定することができる。
次いで、先に大当り遊技を行うこととなった当り態様が「確変当り」であったか否かを判断する(S2010)。図21を用いて前述したように、サブ制御基板220には主制御基板200から特別図柄停止情報指定コマンドが送信されているので、かかるコマンドに基づいて、当り態様が確変当りか否かは容易に判断することが可能である。そして、当り態様が確変当りであった場合は(S2010:yes)、確変フラグをオンに設定する(S2012)。ここで確変フラグとは、先に行われた大当り遊技を発生させた当り態様が確変当りであり、従って、現在の遊技状態が確変状態であることを表すフラグである。確変フラグも、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに割り当てられており、そのアドレスに「1」を書き込むことによって設定することができる。これに対して、大当り遊技を発生させた当り態様が確変当りではなかった場合は(S2010:no)、確変フラグをオフに設定する(S2014)。RAM223の所定アドレスに「0」を書き込むことによって、確変フラグをオフに設定することができる。
以上に説明したように、大当り遊技の終了後に確変報知演出処理を開始した場合は、回数表示装置45に初期値を設定して(S2004,S2006)、確変報知フラグをオンに設定した後(S2008)、大当り遊技を発生させた当り態様(換言すれば、現在の遊技状態が確変状態か否か)に応じて、確変フラグをオンまたはオフの何れかに設定して(S2012,S2014)、図22に示す確変報知演出処理を一旦終了し、図21の演出制御処理に復帰する。
これに対して、確変報知演出処理が、変動表示装置47で外れ図柄が停止表示された後に開始された場合は(S2002:no)、確変報知フラグがオンに設定されているか否かを判断する(S2016)。確変報知フラグは、前述したように、大当り遊技の終了後に確変報知演出処理が開始された場合に、回数表示装置45の初期値の設定とともにオンに設定されるフラグであり、確変報知フラグがオンに設定されている間は、回数表示装置45がカウントダウン中であることを意味している。そこで、大当り遊技の終了後ではないタイミングで確変報知演出処理が開始された場合には(S2002:no)、現在、回数表示装置45のカウントダウン中か否かを知るために、確変報知フラグがオンに設定されているか否かを判断するのである。その結果、確変報知フラグがオンに設定されていなかった場合は(S2016:no)、確変報知を行う必要はないと判断されるので、そのまま、図22に示した確変報知演出処理を終了して、図21の演出制御処理に復帰する。
一方、確変報知フラグがオンに設定されていた場合は(S2016:yes)、現在、回数表示装置45のカウントダウン中であると判断できるから、回数表示装置45に表示されている数値を1つ減算する(S2018)。そして、回数表示装置45に表示された数値が「0」になったか否かを判断する(S2020)。その結果、回数表示装置45に表示された値が「0」に達していない場合は(S2020:no)、そのまま図22に示した確変報知演出処理を終了して、図21の演出制御処理に復帰する。
このような処理を繰り返しているうちに、回数表示装置45の表示値が「0」になったと判断されたら(S2020:yes)、いよいよ、遊技球の振り分けを用いた確変の報知演出を開始する。遊技球の振り分けによる演出に際しては、先ず、確変フラグがオンに設定されているか否かを判断する(S2022)。前述したように確変フラグは、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを表すフラグである。そして、確変フラグがオンに設定されていれば(S2022:yes)、現在の遊技状態が確変状態であることを示している。
そこで、この場合は、振分装置51の中央回転部52に設けられた特定領域52a(いわゆるV領域)に遊技球が入球するようなタイミングで、振分装置51に遊技球を供給する(S2024)。一方、確変フラグがオンに設定されていない場合は(S2022:no)、遊技球が特定領域52aに入球しないタイミング(すなわち、非特定領域52bに入球するタイミング)で、振分装置51に遊技球を供給する(S2030)。別図を用いて詳しく説明するが、本実施例の振分装置51では、振分装置51に設けられた中央回転部52や中間回転部54が回転しており、これらの位置関係と、遊技球を供給するタイミングによって、遊技球が特定領域52aあるいは非特定領域52bの何れに振り分けられるかを制御することが可能となっている。
尚、上述したように回数表示装置45の表示値が「0」に達したら、遊技球が振分装置51に供給されることから、本実施例の回数表示装置45は、本発明における「抽選回数表示手段」に対応するものとなっている。
そして、遊技球が特定領域52aに振り分けられる(いわゆるV入賞する)タイミングで遊技球を供給した場合は(S2024)、遊技球が振り分けられた頃合いを見計らって、中央装置40に設けられた演出用ランプ70において、現在の遊技状態が確変状態である旨を報知する演出を行った後(S2026)、確変報知フラグをオフに設定する(S2028)。すなわち、確変報知フラグは、遊技球の振り分けによる報知演出を行うことを記憶しておくために設定されたフラグであるから、振り分けによる演出を実行したら、確変報知フラグはオフに戻しておくのである。一方、遊技球が非特定領域52bに振り分けられる(いわゆるV入賞しない)タイミングで遊技球を供給した場合は(S2030)、確変状態である旨を報知する演出は行うことなく、確変報知フラグをオフに設定した後(S2028)、図22に示した確変報知演出処理を終了して、図21の演出制御処理に復帰する。
以上に説明した確変報知演出処理では、遊技状態が確変状態の場合には、遊技球が特定領域52aに振り分けられ、確変状態でない場合には、非特定領域52bに振り分けられるような演出を行う。このように、確変状態か否かを、遊技球の振り分けを用いて報知することで、遊技者には、あたかも、遊技球が特定領域52aに振り分けられたために、遊技状態が確変状態になったように感じられるようになる。その結果、遊技者は、振分装置51で行われる演出に注意を引きつけられて、遊技に対する興趣がかき立てられることになる。
こうしたことが可能となるためには、現在の遊技状態に応じて、遊技球を特定領域52aあるいは非特定領域52bへと、自在に振り分けることが可能であり、しかも、遊技者には、偶然に特定領域52aまたは非特定領域52bに振り分けられたかのように感じられるようにしておくことが重要である。本実施例の遊技機1では、こうしたことを実現するために、振分装置51において次のようにして遊技球を振り分けている。
D−2.振分装置における遊技球の動き :
図3および図4を用いて前述したように、振分装置51には、中央回転部52と中間回転部54とが組み込まれており、そして、図5を用いて前述したように、中間回転部54が1回転する間に、中央回転部52は2回転するようになっている。従って、中央回転部52の回転位置が同じであっても、中間回転部54の回転位置は2通り存在することになる。
図23は、中央回転部52に設けられた特定領域52aが手前側にある状態で、中間回転部54が取り得る2つの回転位置を示した説明図である。例えば、図23(a)に示した状態から、中央回転部52が1回転して同じ位置に戻ったとする。この間に中間回転部54は半回転しかしないから、中央回転部52および中間回転部54は図23(b)に示した位置関係となる。このように、中央回転部52と中間回転部54との位置関係は、実際に2通りの状態を取り得るのであるが、本実施例の振分装置51では、このことを遊技者に悟られないようにするために、次のように構成されている。
先ず、中間回転部54の外側の側壁に設けられた4つの連絡口は、中間回転部54が半回転しても1回転しても、区別が付かない位置に設けられている。実際、図23(a)と図23(b)とを比較すれば明らかなように、中間回転部54が半回転すると、連絡口Aと連絡口Cとが入れ替わり、連絡口Bと連絡口Dとが入れ替わるが、遊技者にとっては連絡口Aないし連絡口Dは何れも同じに見えるから、遊技者にはこうしたことは全く分からない。一方、内側の側壁に設けられた連絡口の位置については、若干事情は異なっており、中間回転部54が半回転したときと1回転したときとで、連絡口の位置が完全に同じ位置にはならない。すなわち、図23(a)と図23(b)とを比較すれば明らかなように、図23(a)では、2つの連絡口Eおよび連絡口Fが若干奥側の位置にあるのに対して、図23(b)では、若干手前側に位置している。しかし、内側の連絡口は外側の連絡口よりも目に付き難いため、このような僅かな違いに遊技者が気付くことは困難である。
しかも、中央回転部52には装飾部材52pが設けられており、この装飾部材52pの片面側には金メッキが、そして、反対面側には銀メッキが施されている。このため、遊技者の注意は、目立たない連絡口よりもメッキが施された装飾部材52pに引き付けられる傾向があり、装飾部材52pは、図23(a)あるいは図23(b)の何れの場合でも、金メッキされた側が遊技者を向いている。このため、遊技者は中間回転部54の内側の側壁に設けられた連絡口の位置が、僅かに異なっていることに気付くことはない。
加えて、このような連絡口の位置の僅かな違いは、図23のように静止した状態で比較すれば分かるものの、実際には中間回転部54は回転している。このため、図23(a)に示した連絡口Eは、図23(b)の連絡口Fの位置に直ぐに移動し、また、図23(b)の連絡口Eは、図23(a)の連絡口Fの位置に直ぐに移動する。従って、よほど注意深く観察しない限り、図23(a)に示した状態と図23(b)に示した状態との違いが、遊技者には気付かれないようになっている。
そして、本実施例の振分装置51では、中央回転部52と中間回転部54との位置関係が何れの状態にあるタイミングで遊技球を供給するかによって、遊技球を、特定領域52aあるいは非特定領域52bの何れに振り分けるかを制御することが可能となっている。以下、この点について詳しく説明する。
D−2−1.特定領域に振り分ける場合 :
図24ないし図28は、振分装置51に遊技球を供給するタイミングを制御することにより、遊技球を特定領域52aに振り分けることが可能なことを示す説明図である。先ず、中央回転部52と中間回転部54とが図24に示した位置関係となっているタイミングで、遊技球を供給する。このタイミングは、特定領域52a(すなわちV領域)が手前側、換言すれば、遊技者からは装飾部材52pの金メッキが施された側が見えているタイミングとなっている。遊技球は、図6を用いて前述したように、始動口17に入球した遊技球が遊技球貯留部62で蓄えられており、遊技球供給部64に組み込まれたカムを回転させることで、供給通路58を介して供給することができる。また、中間回転部54の回転位置をセンサによって検出することで、遊技球を供給すべきタイミングを決定することができる。
供給通路58から供給された遊技球は、初めのうちは速度が高いので、外周通路56uを外側の側壁に沿って周回する。図24には、供給通路58から供給された遊技球が、外周通路56uを周回する様子が、破線の矢印によって示されている。
こうして外周通路56uを周回しているうちに球速が低下するので、やがて遊技球は外周通路56uの内側の側壁に沿って周回するようになる。本実施例では、遊技球が外周通路56uをほぼ1周した辺りから、内側の側壁に沿って周回するものとしている。図25には、遊技球が外周通路56uの内側の側壁に沿って周回する様子を表している。尚、このように遊技球が周回している間も、中央回転部52および中間回転部54は回転している。このことと対応して、図25に示した連絡口、特定領域、および非特定領域の位置は、図24の状態から移動している。
そして、外周通路56uの内側の側壁に沿って周回していると、やがて、連絡口が設けられた位置に達するので、ここから第1の中間通路54uに侵入する。図26には、外周通路56uを周回していた遊技球が、連絡口Dから、第1の中間通路54uに侵入した様子を表している。こうして第1の中間通路54uに侵入した直後は、まだ球速が残っているので、暫くは第1の中間通路54uを周回するが、やがて球速が低下して、第1の中間通路54uの内側の側壁に沿って周回するようになる。図27には、第1の中間通路54uの内側の側壁に沿って、遊技球が第1の中間通路54uを周回する様子が示されている。
こうして第1の中間通路54uの内側の側壁に沿って周回していると、やがて連絡口から、更に内側に設けられた第2の中間通路54vに侵入する。この段階では、遊技球の球速はかなり低下しているから、第2の中間通路54vでは遊技球は内側の側壁(すなわち、中央回転部52)に沿って周回しようとする。そして、図28に示すように、中央回転部52に設けられた特定領域52aに振り分けられることになる。
以上に説明した例では、振分装置51に供給されて、外周通路56uを周回する遊技球が、連絡口Dから第1の中間通路54uに侵入し、更に連絡口Eから第2の中間通路54vに侵入して、その結果、特定領域52aに振り分けられるものとした。しかし、連絡口Aから第1の中間通路54uに侵入した場合でも、連絡口Eから第2の中間通路54vに侵入して、同様に特定領域52aに遊技球を振り分けることが可能である。
D−2−2.非特定領域に振り分ける場合 :
次に、遊技球を非特定領域52bに振り分ける場合について説明する。図29ないし図34は、振分装置51に遊技球を供給するタイミングを制御することにより、遊技球を非特定領域52bに振り分けることが可能なことを示す説明図である。先ず、遊技球を特定領域52aに振り分ける場合と同様に、遊技者からは装飾部材52pの金メッキが施された側が見えているタイミングで、遊技球を振分装置51に供給する。但し、中間回転部54については、遊技球が特定領域52aに振り分けられる場合とは半回転分だけ異なっているが、前述したように、このことに遊技者が気付くことはない。
遊技球が特定領域52aに振り分けられる場合と同様に、供給通路58から供給された遊技球は、初めのうちは、外周通路56uを外側の側壁に沿って周回する。図29には、供給通路58から供給された遊技球が、外周通路56uを周回する様子が、破線の矢印によって示されている。次いで、図30に示すように、外周通路56uをほぼ1周した辺りから、遊技球は、内側の側壁に沿って周回し、図31に示したように、連絡口Bから、第1の中間通路54uに侵入する。
第1の中間通路54uに侵入した直後は、まだ球速が残っているので、図32に示したように、暫くは第1の中間通路54uを周回するが、やがて球速が低下して、図33に示すように、連絡口Fから第2の中間通路54vに侵入する。この段階では、遊技球の球速はかなり低下しているから、遊技球は、第2の中間通路54vの内側の側壁(すなわち、中央回転部52)に沿って周回し、そして、図34に示すように、中央回転部52に設けられた非特定領域52bに振り分けられることになる。
以上に説明した例では、振分装置51に供給されて、外周通路56uを周回する遊技球が、連絡口Bから第1の中間通路54uに侵入し、更に連絡口Fから第2の中間通路54vに侵入して、その結果、非特定領域52bに振り分けられるものとした。しかし、連絡口Cから第1の中間通路54uに侵入した場合でも、連絡口Fから第2の中間通路54vに侵入して、同様に非特定領域52bに遊技球を振り分けることが可能である。
このように本実施例の振分装置51では、供給した遊技球が連絡口Dまたは連絡口Aを通過した場合と、連絡口Bまたは連絡口Cを通過した場合とで、遊技球の振り分け結果が異なるようになっている。すなわち、遊技球が連絡口Dまたは連絡口Aを通過して第1の中間通路54uに侵入した場合には、その内側の連絡口Eを通過して特定領域52aに遊技球が振り分けられ、逆に、遊技球が連絡口Bまたは連絡口Cから第1の中間通路54uに侵入した場合には、連絡口Fを通過して非特定領域52bに振り分けられるようになっている。そして、振分装置51に遊技球を供給するタイミングを調整してやれば、遊技球が連絡口Aないし連絡口Dの何れを通過するかは自由に制御することができる。しかも、特定領域52aに振り分けられる連絡口Aと非特定領域52bに振り分けられる連絡口Cとは、互いに対象な位置に設けられているので、遊技球が何れの連絡口を通過する場合でも装飾部材52pの向きは同じとなって、遊技者には何れの連絡口を通過したかを識別することができない。同様に、特定領域52aに振り分けられる連絡口Dと非特定領域52bに振り分けられる連絡口Bとについても、互いに対象な位置に設けられているので、遊技者は何れの連絡口を通過したかを識別することができない。結局、本実施例の振分装置51では、遊技球を供給するタイミングを制御することで、特定領域52aあるいは非特定領域52bの狙った側に遊技球を振り分けることが可能となっている。
しかし、遊技球の供給タイミングによって振り分け結果が制御されていることに、遊技者が気付くことはなく、従って、遊技者は、普通の振り分けが行われているとしか認識しない。その結果、遊技球が特定領域52aに振り分けられた場合には、遊技状態が確変状態となるように感じることになる。もちろん実際には、大当り遊技の終了後に確変状態になるか否かは、大当り遊技が開始される前に既に決定されており、大当り遊技の終了後は、単に決定されている内容を報知しているのに過ぎない。しかし、遊技者にとっては、あたかも遊技球の振り分け結果によって、確変状態になるか否かが決定されるかのように感じられるので、遊技者は遊技球が振り分けられる様子に思わず注目して、遊技に対する興趣を掻き立てられることになる。
このように、遊技者の興趣を大きく掻き立てることが可能でありながら、本実施例の遊技機1では、主制御基板200もサブ制御基板220も、何ら複雑な制御を行う必要がない。すなわち、主制御基板200では、特別図柄の当否判定を行って、当否判定結果が当りの場合には、「通常当り」または「確変当り」の何れかの当り態様を決定した後、サブ制御基板220に各種のコマンドを出力する。サブ制御基板220では、これらコマンドを受け取ると、変動表示装置47を変動表示させ、当否判定結果が当りであれば「7」のゾロ目で停止表示させ、当否判定結果が外れであれば、いわゆるバラケ目で停止表示させる。本実施例の遊技機1では、こうした一般的な制御に加えて、当り態様が確変当りか否かに応じて、所定のタイミングで遊技球を振分装置51に供給する制御が追加されているだけである。このような簡単な構成であるにも拘わらず、本実施例の遊技機1では、遊技者に悟られないように遊技球の振り分け結果を制御することで、遊技者の興趣を大きく高めることが可能となっているのである。
E.変形例 :
以上に説明した実施例では、遊技球を振分装置51に供給するタイミングを制御することによって、遊技球の振り分け結果を制御するものとして説明した。しかし、遊技者に悟られることなく、遊技球の振り分け結果を制御する方法には種々の方法を考えることができる。以下では、これらの変形例について簡単に説明する。
E−1.第1の変形例 :
上述した実施例では、中間回転部54(あるいは中央回転部52)の回転速度は、一定であるものとして説明した。しかし、中間回転部54(あるいは中央回転部52)の回転速度を、遊技者に気付かれないように制御することによって、遊技球の振り分け結果を制御するようにしてもよい。
例えば、全く同じタイミングで遊技球を供給したとしても、中間回転部54が回転している速度に応じて、遊技球が振り分けられる結果は異なってくるはずである。また、全く同じ回転数であれば、振り分け結果も同じになるはずである。そこで、遊技球が特定領域52aに振り分けられるときの中間回転部54の回転速度と、非特定領域52bに振り分けられる時の中間回転部54の回転速度とを、予め実験によって求めておく。そして、遊技球の振り分けを行わないときは、これらの回転速度の中間の速度で回転させておき、回数表示装置45でカウントダウンしている値が「0」に近付いたら、遊技球を振り分けたい側に対応する回転速度になるように、中間回転部54の回転速度を徐々に変化させる。
図35は、中間回転部54の回転速度を制御することによって遊技球の振り分け結果を制御する第1の変形例において、遊技球の供給時期に合わせて中間回転部54の回転速度を変化させている様子を示した説明図である。回数表示装置45でカウントダウンしている値が所定値に達したら、中間回転部54の回転速度をゆっくりと変化させれば、遊技者に気付かれることなく、中間回転部54の回転速度を目的の速度に設定することができる。こうして、中間回転部54を予め求めておいた速度で回転させた状態で、遊技球を供給してやれば、遊技者に気付かれることなく、遊技球の振り分け結果を制御することが可能となる。このように、第1の変形例においても、上述した実施例と同様に、あたかも遊技球の振り分け結果によって確変状態になるか否かが決定される印象を遊技者に与えることができる。
尚、上述した第1の変形例では、中間回転部54の回転速度を所定の速度に制御することで、遊技球を、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れか定められた側に誘導している。従って、第1の変形例において中間回転部54の回転速度を制御する演出制御基板230は、本発明における「遊技球誘導手段」に対応するものとなっている。
E−2.第2の変形例 :
あるいは、遊技者からは見えない位置に電磁石を仕込んでおき、電磁石に通電するか否かによって、遊技球の振り分け結果を制御するようにしてもよい。
図36は、第2の変形例において、電磁石に通電するか否かによって遊技球の振り分け結果を制御する様子を示した説明図である。図示した振分装置では、上方から供給された遊技球は、初めの三叉路で左右何れかに振り分けられ、その下流の三叉路で更に左右何れかに振り分けられて、最終的には、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかに振り分けられるようになっている。ここで、初めの三叉路の内部には、遊技者からは見えない位置に電磁石が組み込まれており、電磁石に通電させることによって、遊技球の経路を僅かに変化させることが可能となっている。
図36に示した破線の矢印は、電磁石に通電しない場合に、遊技球が辿る経路を示したものである。遊技球は初めの三叉路では、左右何れに振り分けられるかは分からないが、何れに振り分けられた場合でも、遊技球には横方向(左側に振り分けられた場合には左方向、右側に振り分けられた場合には右方向)の速度成分が付与されるので、下流側の三叉路では破線で示した経路を通って、非特定領域52bに振り分けられることになる。
これに対して電磁石に通電した場合には、初めの三叉路で左右何れに振り分けられた場合でも、遊技球の経路は僅かに内側に引き寄せられ、その結果、下流側の三叉路では、必ず特定領域52aの側に振り分けられる。図中には、電磁石に通電した場合に遊技球が辿る軌跡を、実線の矢印によって表している。
このように、第2の変形例では、電磁石に通電するか否かによって、遊技球を、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに振り分けるかを制御することが可能である。このため、予め決定されている当り態様を遊技球の振り分けによって報知することで、遊技者の興趣を大きく掻き立てながら、遊技機の制御が複雑になってしまうことを回避することが可能となる。
尚、上述した第2の変形例では、電磁石に通電するか否かを制御することで、遊技球を、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れか定められた側に誘導している。従って、第2の変形例において電磁石への通電を制御する演出制御基板230は、本発明における「遊技球誘導手段」に対応するものとなっている。
E−3.第3の変形例 :
上述した各種実施例および変形例は、何れも供給通路58から供給された遊技球が、振分装置51内を自ら転がりながら、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかに誘導されるものとして説明した。しかし、遊技球の転動に委ねるのではなく、遊技球を運ぶようにして、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れかに誘導するものとしても良い。以下では、このような第3の変形例の振分装置51について説明する。
図37は、第3の変形例における振分装置51の構成を例示した説明図である。図37(a)には、第3の変形例における振分装置51の斜視図が示されている。第3の変形例においても、図4を用いて前述した本実施例の振分装置51と同様に、中央には回転する中央回転部52が設けられており、中央回転部52には特定領域52a(V領域)および非特定領域52b(X領域)が設けられている。また、最外周には、図4に示した本実施例の振分装置51と同様に、供給通路58から供給された遊技球が転動する外周固定部56が設けられている。
しかし、第3の変形例の振分装置51には、中央回転部52と外周固定部56との間には、第1の中間回転部540と、第2の中間回転部542とが設けられており、それぞれの中間回転部が別個に回転可能となっている。また、外周固定部56の直ぐ内周側に設けられた第1の中間回転部540には、遊技球が1つだけ入る大きさの溝が4箇所に形成され、第1の中間回転部540の内周側に設けられた第2の中間回転部542には、遊技球が1つだけ入る溝が3箇所に形成されている。
図37(b)は、振分装置51を上方から見て、第1の中間回転部540に設けられた4つの溝と、第2の中間回転部542に設けられた3つの溝と、中央回転部52に設けられた特定領域52a(V領域)および非特定領域52b(X領域)との位置関係を示した説明図である。図示されているように、第1の中間回転部540には、ほぼ等間隔に4つの溝(A,B,C,D)が設けられており、第2の中間回転部542には、ほぼ等間隔に3つの溝(E,F,G)が設けられている。また、第3の変形例においては、第1の中間回転部540、第2の中間回転部542、中央回転部52は、それぞれ別個のステップモータによって駆動され、それぞれの回転速度を別個に制御可能となっている。なお、本第3の変形例では、第1の中間回転部540、第2の中間回転部542および中央回転部52は、すべて同一の方向(本例では時計回り)に回転する。
第3の変形例の振分装置51においても、供給通路58から供給された遊技球は、初めのうちは外周通路56uを転動し、やがて、第1の中間回転部540に設けられたA,B,C,Dの何れかの溝に捕捉される。尚、第3の変形例においては、遊技球が何れの溝に捕捉されるかに拘わらず、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の何れか定められた側に、適切に誘導することが可能となっている。この点については、後ほど詳しく説明する。
遊技球が第1の中間回転部540の何れかの溝に入っても、その溝が直ちに第2の中間回転部542に設けられた何れかの溝と一致することは極めて稀である(実際には、決して一致しないように、第1の中間回転部540および第2の中間回転部542の回転が制御されている)から、遊技球は溝に入ったまま、第1の中間回転部540が回転する動きとともに移動する。ここで、第1の中間回転部540と第2の中間回転部542とは異なる速度で回転しているから、やがては、遊技球の入った溝が第2の中間回転部542の何れかの溝と一致して、遊技球は、第1の中間回転部540の溝から第2の中間回転部542の溝へと移動する。
遊技球が第2の中間回転部542の溝に入った後も、第1の中間回転部540の溝に入った場合と同様に、遊技球は、初めは第2の中間回転部542の回転とともに移動し、やがて、中央回転部52に設けられた特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の何れかに振り分けられるようになっている。
尚、第1の中間回転部540の溝と、第2の中間回転部542の溝とが決して一致しないように、これら中間回転部540,542の回転を制御する方法としては、最も簡単には、溝が一致しない状態のまま、第1の中間回転部540および第2の中間回転部542を同じ速度で回転させることが考えられるが、より巧妙な方法としては、溝が一致しない範囲で、第1の中間回転部540と第2の中間回転部542とが互いに追い抜いたり追い抜かれたりするように、それぞれの回転速度を制御しておけばよい。
以上のような第3の変形例の振分装置51では、遊技球が自ら転がって振り分けられるわけではないものの、次の理由から、遊技者にとっては如何にも遊技球が振り分けられているかのように感じられる。先ず、供給通路58から供給された遊技球が、第1の中間回転部540に設けられた何れの溝に入るかは、偶然によって決定されるものである。そして、第1の中間回転部540、第2の中間回転部542、中央回転部52の回転速度はそれぞれ異なっているから、第1の中間回転部540に設けられた溝と、第2の中間回転部542に設けられた溝との位置関係は常に変化しており、同様に、第2の中間回転部542の溝と、中央回転部52に設けられた特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)との位置関係も常に変化している。このため、第1の中間回転部540の何れかの溝に入った遊技球が、第2の中間回転部542の何れの溝に移動するかは、遊技者にとっては偶然によって決まるものであるかのように感じられ、同様に、遊技球を受け取った第2の中間回転部542の溝が、中央回転部52の特定領域52aまたは非特定領域52bの何れと一致するかは、偶然によるもののように感じられる。結局、供給通路58から供給された遊技球が、中央回転部52の特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに振り分けられるかは、偶然によって決まるかのように感じられるのである。
しかし実際には、遊技球が、特定領域52aまたは非特定領域52bの何れに振り分けられるかは既に決まっており、供給通路58から遊技球が供給されると、予め決められた側に誘導されるようになっている。以下では、この点について詳しく説明する。
第3の変形例の振分装置51では、第1の中間回転部540の溝に入って移動する遊技球を検出する遊技球センサ550が設けられている。図37(b)では、遊技球センサ550を、破線の矩形によって表している。遊技球センサ550の搭載位置は、できるだけ遊技者の目に止まり難い位置が望ましく、振分装置51の裏面側、あるいは遊技者から見て奥側に搭載したり、遊技球センサ550を図示しない装飾部材で覆うことで遊技者が遊技球センサ550を直接視認できないようにしたりすることが望ましい。また、遊技球を検出する位置は、最低、第1の中間回転部540の溝に入った遊技球が通過する1箇所で良いが、複数箇所で検出しても良い。こうすれば検出精度を上げることができるとともに、回転方向や回転速度を検出することも可能となる。更に加えて、第2の中間回転部542の溝に入った遊技球の通過を検出することとしても良い。図37(b)に示した例では、遊技球センサ550は、第1の中間回転部540および第2の中間回転部542の溝に入った遊技球の通過を検出可能となっている。また、もう一箇所にも、同様な遊技球センサ552を設けて、遊技球の通過を検出可能となっている。
このようにして、溝に入って移動する遊技球の通過を検出しておけば、第1の中間回転部540、第2の中間回転部542、および中央回転部52の回転速度を適切に制御することで、遊技球を特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の定められた側に誘導することが可能となる。以下、具体的に説明する。
図38は、第3の変形例の振分装置51において、遊技球を特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の定められた側に誘導する様子を示す説明図である。例えば、図38(a)に示したように、外周通路56uを転動した遊技球が第1の中間回転部540の「B」と表示された溝に入ったものとする。このとき、溝「B」と第2の中間回転部542に設けられた溝「E」,「F」,「G」とが連続した状態とならない(一致しない)ように、第1の中間回転部540と第2の中間回転部542の回転制御が、演出制御基板230(図7参照)の図示しないCPUによって行われる。そして、第1の中間回転部の溝「B」に入った遊技球は、第1の中間回転部540の回転とともに該回転方向に移動して、遊技球センサ550によって検出される。この遊技球センサ550による検出信号は、演出制御基板230のCPUに入力される。これにより、演出制御基板230では、遊技球が第1の中間回転部540上に存在していることを把握することができる。
図38(b)は、遊技球が遊技球センサ550によって検出された瞬間の状態を表している。図38(b)を見れば明らかなように、この状態からは、溝「B」に入っている遊技球は、第2の中間回転部542に設けられた溝「E」または溝「F」の何れかにしか入り得ない。遊技球が溝「B」に入った図38(b)の状態から、第1の中間回転部540の回転速度が第2の中間回転部542の回転速度よりも遅くなるように、第1の中間回転部540と第2の中間回転部542の両方または一方の回転速度を制御すれば、遊技球は溝「E」に入るし、逆に、第1の中間回転部540の回転速度が第2の中間回転部542の回転速度よりも速くなるように、第1の中間回転部540と第2の中間回転部542の両方または一方の回転速度を制御すれば、遊技球は溝「F」に入ることになる。
そして、仮に遊技球を溝「E」に導いたとして、図38(b)に示すように、特定領域52a(V領域)が溝「E」の前方にあるのであれば、第2の中間回転部542の回転速度が中央回転部52の回転速度よりも速くなるように、第2の中間回転部542と中央回転部52の両方または一方の回転速度を制御してやれば、遊技球を特定領域52a(V領域)に誘導することができる。逆に、非特定領域52b(X領域)に誘導したいのであれば、第2の中間回転部542の回転速度が中央回転部52の回転速度よりも遅くなるように、第2の中間回転部542と中央回転部52の両方または一方の回転速度を制御してやればよい。また、遊技球が溝「E」に移動した時に、特定領域52a(V領域)が溝「E」の前方にあるのか後方にあるかは、第1の中間回転部540、第2の中間回転部542、中央回転部52の回転速度によって決定される。そして、これらの回転速度は、演出制御基板230によって制御されているから、遊技球センサ550で遊技球を検出した時点で、演出制御基板230は、何れの状態となるかを予測することが可能である。
なお、第1の中間回転部540、第2の中間回転部542および中央回転部52の回転速度の制御は、その速度変化が如実に現れない様に、各々の回転部の速度を徐々に変化させるように行うことが望ましい。このようにすれば、遊技球が特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)に偶発的に振り分けられる様子を表現(演出)することができる。
上述の説明では、第1の中間回転部540の溝「B」に入った遊技球を、第2の中間回転部542の溝「E」に導いた場合について説明したが、溝「F」に導いた場合についても、全く同様にして、遊技球を、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の何れか定められた側に誘導することが可能である。
このように第1の中間回転部540の溝「B」に入った遊技球を、第2の中間回転部542の溝「E」あるいは溝「F」の何れに導いた場合でも、予め定められた側に遊技球を誘導することが可能である。もっとも、演出上の観点からすれば、遊技球が、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の何れかに入球する瞬間の様子を、遊技者が視認できることが望ましい。従って、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の何れかに振り分けられるにしろ、振り分けられる側が、手前側(遊技者の側)に来たときに、遊技球が入球することが望ましい。そこで、実際には、溝「E」または溝「F」のうち、手前側(遊技者の側)で遊技球を入球させ易い方が演出制御基板230のCPUにより選択されて遊技球が導かれ、最終的には、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の予め定められた側に誘導されることになる。
尚、上述した第3の変形例では、演出制御基板230が第1の中間回転部540、第2の中間回転部542、および中央回転部52の回転速度を、遊技球センサ550からの遊技球の検出信号に基づいて制御することによって、遊技球を、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の予め定められた側に誘導している。従って、第3の変形例においても、演出制御基板230は、本発明の「遊技球誘導手段」の一態様を構成するものとなっている。
以上に説明した第3の変形例における振分装置51では、実際には、第1の中間回転部540あるいは第2の中間回転部542に設けられた溝で遊技球を捕捉して、予め定められた側に運んでいる。このため、遊技台の設置角度が多少狂っていたり、あるいは遊技中に地震が発生するなど、何らかの理由で遊技台の傾きが動いたとしても、こうしたことには何ら影響されることなく、遊技球を、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の予め定められた側に、確実に誘導することが可能となる。そして、第3の変形例においても、上述した実施例と同様に、あたかも遊技球の振り分け結果によって確変状態になるか否かが決定される印象を遊技者に与えることができる。
また、上述したように、第1の中間回転部540での遊技球の位置に加えて、第2の中間回転部542での遊技球の位置も検出しておけば、遊技中に、遊技球が何らかの理由で飛び跳ねて、いきなり第2の中間回転部542の溝に入ってしまった場合でも、遊技球センサ550(あるいは遊技球センサ552)で検出して、第2の中間回転部542と中央回転部52との回転を制御することにより、特定領域52a(V領域)または非特定領域52b(X領域)の予め定められた側に、遊技球を誘導することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。