JP2010087012A - 積層コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 セラミックグリーンシートを積層した際に発生したずれを精度よく簡便に検出するとともに、クラックの発生を抑制することができる積層コンデンサを提供すること。
【解決手段】 第1のセラミックグリーンシート11の第1の領域13に電極ペーストを印刷することにより、第1の配列方向X1に配列した複数の第1の内部電極パターン21〜35を、第1の領域13の第1の配列方向X1における両端側に位置する第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35の孔部61〜66とともに形成する。第2のセラミックグリーンシート12の第2の領域14に電極ペーストを印刷することにより、第2の配列方向X2に配列した複数の第2の内部電極パターン41〜55を形成する。
【選択図】 図5
【解決手段】 第1のセラミックグリーンシート11の第1の領域13に電極ペーストを印刷することにより、第1の配列方向X1に配列した複数の第1の内部電極パターン21〜35を、第1の領域13の第1の配列方向X1における両端側に位置する第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35の孔部61〜66とともに形成する。第2のセラミックグリーンシート12の第2の領域14に電極ペーストを印刷することにより、第2の配列方向X2に配列した複数の第2の内部電極パターン41〜55を形成する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、積層コンデンサの製造方法に関する。
積層コンデンサの製造方法として、スクリーン印刷により複数の内部電極パターンが形成された複数のセラミックグリーンシートを積層してシート積層体を形成し、このシート積層体をチップ状に切断してグリーンチップを形成する方法がある。グリーンチップは、焼成により内部電極パターンが内部電極となり、外部には外部電極が形成されて積層コンデンサとなる。
この種の方法において、セラミックグリーンシートの積層時に、積層方向で隣接する内部電極パターン間においてずれが発生するおそれがある。そこで、内部電極パターンにずれ検出マークを設ける方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
特開平9−312238号公報
特許文献1に記載の方法では、積層ずれが発生していなかった場合には、ずれ検出マークが形成された内部電極パターンを含むグリーンチップも良品として取り扱われる。しかしながら、ずれ検出マークが形成された内部電極パターンから得られた内部電極は、端子電極との接続においてクラックが発生するおそれがある。
そこで本発明は、セラミックグリーンシートを積層した際に発生したずれを精度よく簡便に検出するとともに、クラックの発生を抑制することができる積層コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層コンデンサの製造方法は、第1の領域を有する第1のセラミックグリーンシートと、第1の領域と同一の形状を呈する第2の領域を有する第2のセラミックグリーンシートとを準備する準備工程と、第1のセラミックグリーンシートの第1の領域に電極ペーストをスクリーン印刷することにより、第1の配列方向に配列した複数の第1の内部電極パターンを形成する工程であって、当該形成された複数の第1の内部電極パターンのうち、前記第1の配列方向における前記第1の領域の一端側に位置する第1の内部電極パターンにずれ検出マークを形成する第1の電極印刷工程と、第2のセラミックグリーンシートの第2の領域に電極ペーストをスクリーン印刷することにより、第2の配列方向に配列した複数の第2の内部電極パターンを、第1の領域と第2の領域とを重ね合わせるように積層したときに第1及び第2の配列方向は平行であって且つ第1及び第2の内部電極パターンが第1及び第2の配列方向に所定ピッチずれるように形成する第2の電極印刷工程と、第1のセラミックグリーンシートにおける第1の領域と第2のセラミックグリーンシートにおける第2の領域とが重なり合うように、第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートとを積層してシート積層体を得る積層工程と、シート積層体を、第1及び第2の配列方向に垂直な方向及びシート積層体の積層方向の双方に平行な切断面に沿って、第1の配列方向において隣接する第1の内部電極パターンの間及び第2の配列方向において隣接する第2の内部電極パターンの間を何れも切断して複数のチップ積層体を得る切断工程と、複数の積層チップのうち第1の領域において第1の配列方向の一端側に位置していた第1の内部電極パターンを含む積層チップの切断面を観察し、当該切断面のずれ検出マークの観察結果に基づいて切断工程において得られた複数の積層チップが良品か不良品かを判定する良品判定工程と、良品判定工程後に、第1のセラミックグリーンシートにおいて第1の配列方向の一端側に位置していた第1の内部電極パターンを含む積層チップと、良品判定工程において不良品と判定された場合には複数の積層チップすべてとを取り除く除去工程と、を含むことを特徴とする。
上記積層コンデンサの製造方法では、除去工程において、ずれ検出マークが形成された第1の内部電極パターンを含む積層チップは、良品判定された場合であっても取り除かれる。したがって、ずれ検出マークに起因するクラックの発生は抑制される。また、スクリーン印刷により形成した複数の内部電極パターンは、印刷の始端側及び終端側の厚さが中間部に比べて厚くなる。さらに、印刷の始端側及び終端側では、電極パターンににじみが発生しやすい。これに対し、上記積層コンデンサの製造方法では、除去工程で取り除かれる積層チップに含まれるずれ検出マークは、第1の領域に形成された複数の第1の内部電極パターンのうち、第1の配列方向における一端に位置するものに形成されている。そのため、上記積層コンデンサの製造方法によれば、印刷の観点からにじみや厚みのばらつきが発生しやすい箇所に、除去対象となるずれ検出マークを形成しているため、不良品の発生をさらに有効に抑制することが可能となる。また、ずれ検出マークを第1の領域の第1の配列方向における一端側の内部電極パターンに形成したことで、取り除きやすく、またずれの検知が容易となる。
ずれ検出マークは、第1の領域の第1の配列方向の一端側に位置する第1の内部電極パターンに形成された孔部であることが好ましい。この場合、ずれを容易に検出することが可能となる。
第1の電極印刷工程では、第1のセラミックグリーンシートの第1の領域に配列して印刷された複数の第1の内部電極パターンのうち、第1の領域の第1の配列方向における他端側に位置する第1の内部電極パターンにもずれ検出マークを形成し、良品判定工程では、複数の積層チップのうち第1のセラミックグリーンシートにおいて第1の配列方向の他端側に位置していた第1の内部電極パターンを含む積層チップの切断面をさらに観察し、当該切断面のずれ検出マークの観察結果に基づいて切断工程において得られた複数の積層チップが良品か不良品かをさらに判定することが好ましい。
ずれ検出マークを第1の領域の第1の配列方向における一端側の内部電極パターンだけでなく、第1の領域の第1の配列方向における他端側の内部電極パターンにも形成することで、ずれの検出精度をより一層向上させることが可能となる。
第1の電極印刷工程では、第1の配列方向の一端側に位置する第1の内部電極パターンの、第1の配列方向と直交する方向における両隣にずれ検出導体パターンを印刷形成することが好ましい。これにより、第1の配列方向に関するずれだけでなく、第1の配列方向に直交する方向に関しても積層ずれを検出することが可能となる。
本発明によれば、セラミックグリーンシートを積層した際に発生したずれを精度よく簡便に検出するとともに、クラックの発生を抑制することができる積層コンデンサを提供することができる。
以下、添付図面を参照して、最良の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。本実施形態に係る積層コンデンサ1は、直方体形状のコンデンサ素体4と、コンデンサ素体4の互いに対向する両端面にそれぞれ形成された第1の端子電極2及び第2の端子電極3とを備える。
図2は、本実施形態に係る積層コンデンサ1の断面を示す。コンデンサ素体4は、誘電体セラミック材料で形成され、内部に複数の第1の内部電極層5及び第2の内部電極層6が交互に配置されている。第1及び第2の内部電極層5、6は、誘電体セラミックを間に挟んで、互いに対向するように配置されている。第1の内部電極層5は、第1の端子電極2が形成された側面側にずれて配置される。第2の内部電極層6は、第2の端子電極3が形成された側面側にずれて配置される。そして、第1の内部電極層5は、第1の端子電極2と電気的且つ機械的に接続され、第2の内部電極層6は、第2の端子電極3と電気的且つ機械的に接続されている。
引き続いて、この積層コンデンサ1の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法を示すフロー図である。本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法は、準備工程S1、第1の電極印刷工程S2、第2の電極印刷工程S3、積層工程S4、切断工程S5、良品判定工程S6、除去工程S7、焼成工程S8、及び端子電極形成工程S9を含む。以下、各工程について説明する。
準備工程S1において、セラミックグリーンシートを準備する。可撓性支持体P1の一面上に、誘電体ペーストを塗布し、乾燥することにより、図4に示すように、セラミックグリーンシート10を形成する。セラミックグリーンシート10は、後述するように、第1の領域を有する第1のセラミックグリーンシートと、第2の領域を有する第2のセラミックグリーンシートとを含む。なお、図4は、可撓性支持体P1の一面側から見た図である。可撓性支持体P1は、例えば、PET(ポリエチレン.テレフタレート)フィルムで構成された帯状の長尺フィルムである。
次に、第1の電極印刷工程S2、及び第2の電極印刷工程S3を行う。図5に示すように、第1の電極印刷工程S2においては、セラミックグリーンシート10の第1のセラミックグリーンシート11の第1の領域13に第1の内部電極パターン群G1を形成する。第2の電極印刷工程S3においては、セラミックグリーンシート10の第2のセラミックグリーンシート12の第2の領域14に第2の内部電極パターン群G2を形成する。
第1のセラミックグリーンシート11及び第2のセラミックグリーンシート12は、同形状でそれぞれ長方形状である。第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12は、セラミックグリーンシート10の長手方向にそって隣接して交互に位置する。第1のセラミックグリーンシート11及び第2のセラミックグリーンシート12の長手方向は、セラミックグリーンシート10の長手方向と平行である。
第1の領域13及び第2の領域14は、同形状でそれぞれ長方形状である。第1及び第2の領域13、14は、セラミックグリーンシート10の長手方向にそって所定間隔をおいて交互に複数ずつ設定された領域である。第1の領域13及び第2の領域14の長手方向は、セラミックグリーンシート10の長手方向と平行である。
第1の内部電極パターン群G1は、複数の第1の内部電極パターン21〜35を含む。第2の内部電極パターン群G2は、複数の第2の内部電極パターン41〜55を含む。複数の第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55は、それぞれ長方形状を呈する。
複数の第1の内部電極パターン21〜35は、第1の領域13において、2次元に配列して形成される。本実施形態では、セラミックグリーンシート10の長手方向を第1の配列方向X1とし、当該第1の配列方向X1に沿って5列の第1の内部電極パターンを形成する。また、この第1の配列方向X1に直交する方向に沿って3列の第1の内部電極パターンを形成する。
第1のセラミックグリーンシート11の第1の領域13に配列して印刷された複数の第1の内部電極パターン21〜35のうち、第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側に位置する第1の内部電極パターン21、26、31及び第1の領域13の第1の配列方向X1における他端側に位置する第1の内部電極パターン25、30、35にずれ検出マークである孔部61〜66をそれぞれ形成する。各孔部61〜66は、第1の内部電極パターン21、26、31、25、30、35の第1の配列方向X1における中央付近に矩形状に形成される。矩形状の各孔部61〜66は、その短手方向が第1の配列方向と平行であって、その長手方向が第1の配列方向X1に直行する方向に平行である。
複数の第2の内部電極パターン41〜55は、第2の領域14において、2次元に配列して形成される。本実施形態では、セラミックグリーンシート10の長手方向を第2の配列方向X2とし、当該第2の配列方向X2に沿って5列の第2の内部電極パターンを形成する。また、この第2の配列方向X2に直交する方向に沿って3列の第2の内部電極パターンを形成する。
複数の第2の内部電極パターン41〜55は、第1の領域13と第2の領域14とを重ね合わせるように積層したときに第1及び第2の配列方向X1、X2は平行であって且つ第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55が第1及び第2の配列方向X1、X2に所定ピッチずれるように形成する。本実施形体では、第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55が第1及び第2の配列方向X1、X2に配列されているピッチDの半ピッチ分D/2だけずれるように、第2の内部電極パターン41〜55は第2の領域14に配列されている。
ここで、第1の内部電極パターン群G1及び第2の内部電極パターン群G2は、それぞれスクリーン印刷を用いて形成する。図6(a)に示すように、スクリーン印刷は、印刷製版82の一面上で、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して摺動させ、印刷製版82の一面上に供給された電極ペースト83を、印刷製版82のメッシュを通して押出すことによって実行される。
図6(a)に示すように、第1の電極印刷工程S2と第2の電極印刷工程S3とを同時に実行することができる。具体的には、セラミックグリーンシート10の長手方向に沿って隣接して位置する第1の領域13と第2の領域14とに一つの印刷製版82を用いて第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55が印刷される。印刷製版82の第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35に対応するパターンには、孔部61〜66に対応するパターンが形成されている。
第1及び第2の電極印刷工程S2、S3では、第1の領域13において、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して第1の配列方向X1に摺動させて複数の第1の内部電極パターン21〜35を形成した後、そのまま連続して第2の領域14において、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して第2の配列方向X2に摺動させて複数の第2の内部電極パターン41〜55を形成する。そして、そのままスキージ81を印刷製版82から離すことなく、第2の領域14において、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して第2の配列方向X2とは逆向きに摺動させ、その後連続して、第1の領域13において、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して第1の配列方向X1と逆向きに摺動させる。このように、第1及び第2の電極印刷工程S2、S3では、第1及び第2の領域13、14上に配置した印刷製版82上を、スキージ81は往復して摺動することで第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55を、第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35の孔部61〜66とともに印刷形成している。また、このようにスキージ81を動かすことで、印刷の開始箇所と終了箇所とが一致する。
スクリーン印刷では、セラミックグリーンシート10が形成されている可撓性支持体P1をセラミックグリーンシート10の長手方向に沿った一方向に間欠移動させ、可撓性支持体P1が停止しているときに第1の電極印刷工程S2及び第2の電極印刷工程S3を行う。
図6(b)に、図6(a)に示す方法で内部電極パターンを印刷した場合の内部電極層の厚みを概略的に表したグラフを示す。図6(b)に示されているように、印刷の開始及び終了箇所とスキージ81が折り返す箇所とにおいて、他の箇所より厚みが厚くなる。また、図6(b)から理解されるように、第1及び第2の領域13、14の境界では、スキージ81を印刷製版82から離すことがないため、厚みは一定を保つ。
あるいは、 図7(a)に示すように、第1の電極印刷工程S2と第2の電極印刷工程S3とを別々に交互に実行してもよい。具体的には、セラミックグリーンシート10の長手方向に沿って交互に位置する第1の領域13と第2の領域14とに交互に第1の内部電極パターン21〜35、第2の内部電極パターン41〜55が印刷される。印刷製版82の第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35に対応するパターンには、孔部61〜66に対応するパターンが形成されている。
図7(a)に示すように、第1の電極印刷工程S2では、第1の領域13において、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して第1の配列方向X1に摺動させ、さらに第1の配列方向X1とは逆向きに連続して摺動させて、複数の第1の内部電極パターン21〜35を、第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35の孔部61〜66とともに形成する。第2の電極印刷工程S3では、第2の領域14において、スキージ81をセラミックグリーンシート10に対して第2の配列方向X2に摺動させ、さらに第2の配列方向X2とは逆向きに連続して摺動させて、複数の第2の内部電極パターン41〜55を形成する。
この場合、スクリーン印刷では、セラミックグリーンシート10が形成されている可撓性支持体P1をセラミックグリーンシート10の長手方向に沿った一方向に間欠移動させ、可撓性支持体P1が停止しているときに第1の電極印刷工程S2または第2の電極印刷工程S3を行う。
スキージ81は、第1及び第2の電極印刷工程S2,S3が交互に実行されている間、第1及び第2の領域13,14の長手方向の長さの範囲をそれぞれ往復運動することとなる。スキージ81は、第1の電極印刷工程S2においては、第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側から他端側までを往復し、第2の電極印刷工程S3においては、第2の領域14の第2の配列方向X2における一端側から他端側までを往復する。そのため、第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側で印刷開始箇所及び印刷終了箇所が一致し、第1の配列方向X1における他端側がスキージ81の折り返し箇所となる。
スクリーン印刷では、第1及び第2の領域13,14毎にスキージ81を往復摺動させて、複数の第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55をそれぞれ印刷するので、形成された内部電極パターン21〜35、41〜55の電極の厚みは、印刷の開始箇所及び終了箇所並びにスキージ81の折り返し箇所ほど厚くなる。
図7(b)に、図7(a)に示す方法で内部電極パターンを印刷した場合の内部電極の厚みを概略的に表したグラフを示す。図7(b)に示されているように、第1及び第2の領域13、14それぞれで、印刷の開始及び終了箇所とスキージ81が折り返す箇所とにおいて、他の箇所より厚みが厚くなる。
続いて、積層工程S4において、セラミックグリーンシート10を切断して、複数の第1のセラミックグリーンシート11と複数の第2のセラミックグリーンシート12とを分離する。第1のセラミックグリーンシート11は、第1の領域13を含み、第1の内部電極パターン群G1が形成されたシートである。第2のセラミックグリーンシート12は、第2の領域14を含み、第2の内部電極パターン群G2が形成されたシートである。
積層工程S4において、複数の第1のセラミックグリーンシート11と第2のセラミックグリーンシート12とを交互に積層する。図8に第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12の積層方法を説明するための図を示す。図9に、複数の第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12を積層して得られるシート積層体71の断面を模式的に表す図を示す。
図8に示されるように、第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12を、同一形状の第1の領域13と第2の領域14とが重ね合うように積層する。このとき、第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55は、第1及び第2の配列方向X1、X2と直交する方向では、その位置が一致する。一方、第1及び第2の内部電極パターン21〜35、41〜55は、第1及び第2の配列方向X1、X2では、図8に示されるように、その位置が半ピッチD/2ずれる。
そのため、第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12はオフセットを付することなく、端を合わせて積層しても、一部を除く各第1の内部電極パターン21〜35は積層方向において2つの異なる第2の内部電極パターン41〜55と対向し、且つ一部を除く各第2の内部電極パターン41〜55は積層方向において2つの異なる第1の内部電極パターン21〜35と対向する。
図8から理解されるように、複数の第1の内部電極パターン21〜35のうち、第1の配列方向X1の一端側に位置する第1の内部電極パターン21、26、31は、積層方向においてそれぞれ第2の内部電極パターン41、46、51と対向する。それ以外の第1の内部電極22〜25、27〜30、32〜35は、積層方向において2つの異なる第2の内部電極パターン41〜55と対向する。
一方、複数の第2の内部電極パターン41〜55のうち、第2の配列方向X2の他端側に位置する第2の内部電極パターン45、50、55は、積層方向においてそれぞれ第1の内部電極パターン25、30、35と対向する。それ以外の第2の内部電極41〜44、46〜49、51〜54は、積層方向において2つの異なる第1の内部電極パターン21〜35と対向する。
この後、切断工程S5において、図10に示すように、シート積層体71を、矢印D1の方向に切断し、複数の積層チップ72を形成する。一点鎖線C1〜C10は、切断箇所を示す。具体的には、第1及び第2の配列方向X1、X2に垂直な方向及びシート積層体71の積層方向の双方と平行な切断面に沿って、第1の配列方向において隣接する第1の内部電極パターン21〜35の間及び第2の配列方向X2において隣接する第2の内部電極パターン41〜55の間を何れも切断する。さらに、第1及び第2の配列方向X1、X2に平行な方向及びシート積層体71の積層方向の双方と平行な切断面に沿って、第1の配列方向と垂直な方向において隣接する第1の内部電極パターン21〜35の間及び第2の配列方向X2と垂直な方向において隣接する第2の内部電極パターン41〜55の間を何れも切断する。
また、シート積層体71の切断後、図11及び図12に示すように、一部の積層チップ72の上面にテープ91を貼付する。テープ91は、第1及び第2の配列方向X1、X2における両端側に位置する積層チップ72に、第1及び第2の配列方向X1、X2に垂直な方向に沿って連続して貼付する。
図11は、湿式切断の場合の例を示す図である。湿式切断を行う場合、発泡シート92上にシート積層体71を積層して、発泡シート92上でシート積層体71を切断する。発泡シート92は、乾燥機へシート積層体71ごと投入し熱を加えることで、シート積層体71から剥離される。一方、図12は押切り切断の場合の例を示す図である。押切り切断を行う場合は、発泡シート92は用いることなくシート積層体71を積層して切断する。
続いて、良品判定工程S6では、切断工程S5で得られた複数の積層チップ72のうち第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側に位置していた第1の内部電極パターン21、26、31を含む積層チップ72の切断面における孔部61〜63及び第1の領域13の第1の配列方向X1における他端側に位置していた第1の内部電極パターン25、30、35を含む積層チップ72の切断面における孔部64〜66を観察する。そして、その観察結果に基づいて切断工程S5において得られた複数の積層チップ72が良品か不良品かを判定する。
図13に積層チップ72の切断面を示す。図13(a)に示すように、孔部61〜66が切断面で確認できた場合、シート積層体71の積層ずれが許容差内であり、良品として判定される。一方、図13(a)に示すように、孔部61〜66が切断面で確認できない場合、シート積層体71の積層ずれが許容差範囲外であり、不良品と判定される。なお、切断面の確認は目視でもよい。なお、押切り切断の場合には、孔部61〜66の幅そのものがギャップの許容量となる。一方、湿式切断の場合には、刃の厚みと孔部61〜66の半幅がギャップの許容量となる。
良品判定工程S6において積層チップ72が不良品と判定された場合、続いての除去工程S7において複数の積層チップ72はすべて取り除かれ、廃棄処分される。さらに、除去工程S7では、第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側に位置していた第1の内部電極パターン21、26、31を含む積層チップと、第1の領域13の第1の配列方向X1における他端側に位置していた第1の内部電極パターン25、30、35を含む積層チップとを取り除き、廃棄処分する。本実施形態に係る製造方法では、良品判定の結果に関わらず廃棄処分の対象となる積層チップ72には、図11及び図12で示したようにテープ91が貼付されている。そのため、廃棄処分はテープ91で連なっている一連の積層チップ72をまとめて廃棄することができる。
次に、焼成工程S8において、積層チップ72に含まれる樹脂成分を除去し、焼成して上述したコンデンサ素体4を得る。その後、端子電極形成工程S9において、コンデンサ素体4の異なる側面に第1及び第2の端子電極2、3を形成する。以上の工程により、積層コンデンサ1が完成する。
本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法では、除去工程S7において、ずれ検出マークである孔部61〜66が形成された第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35を含む積層チップ72は、良品判定工程S6において良品と判定された場合であっても取り除かれる。孔部61〜66が切断面に露出した積層チップ72から得られるコンデンサ素体に端子電極を形成した場合、孔部61〜66が形成されている部分と形成されていない部分との間に高さの差が生じてしまい、クラックの発生を誘発してしまうおそれがある。したがって、本実施形態に係る製造方法では、そうしたおそれのある積層チップ72を廃棄してしまうので、得られる積層コンデンサにおいて、孔部61〜66に起因するクラックの発生は抑制される。
また、本実施形態では、孔部61〜66を第1の内部電極パターンにのみ形成し、第2の内部電極パターン41〜55には形成していない。第2の内部電極パターン41〜55にも孔部61〜66を形成すると、クラックの発生を抑制すべく廃棄する積層チップ72がさらに増えてしまう。そのため、セラミックグリーンシート1枚から製造される積層チップ72の数は減少してしまう。これに対し、本実施形態では、孔部61〜66を第1の内部電極パターン21〜35にのみ形成しているため、取り除くチップは最小限ですむ。
さらに、本実施形態では、孔部61〜66を複数の第1の内部電極パターン21〜35のうち一部にのみ形成している。孔部61〜66等のずれ検出マークを第1の領域13に印刷された第1の内部電極パターン21〜35すべてに形成した場合、チップ内に電極回路要素が入るため、ショート不良やクラックの原因になり得る。これに対し、実施形態に係る製造方法では、第1の配列方向における両端側の第1の内部電極に限定して孔部を形成し、当該孔部が形成されている積層チップは取除いている。そのため、製造された積層コンデンサではショート不良やクラックの発生は抑制されている。
本実施形態に係る製造方法では、第1及び第2の電極印刷工程S2、S3において、第1の内部電極パターン21〜35と第2の内部電極パターン41〜55とを、半ピッチずらして印刷している。そのため、第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12を積層する際、オフセットを付さなくてもよい。そのため、積層ずれの発生を低減することが可能となる。
また、スクリーン印刷により形成した複数の内部電極パターン21〜35、41〜55は、印刷の始端側及び終端側の厚さが中間部に比べて厚くなる。さらに、印刷の始端側及び終端側では、内部電極パターンににじみが発生しやすい。これに対し、本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法では、除去工程S7で取り除かれる積層チップ72に含まれる孔部61〜66は、第1の領域13に形成された複数の第1の内部電極パターン21〜35のうち、第1の配列方向における一端側に位置するものに形成されている。すなわち、本実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によれば、印刷の観点からにじみや厚みのばらつきが発生しやすい箇所に、除去対象となるずれ検出マークを形成しているため、不良品の発生をさらに有効に抑制することが可能となる。
また、ずれ検出マークである孔部61〜66を第1の領域13の第1の配列方向における両端側の内部電極パターン21、25、26、30、31、35に形成している。そのため、孔部61〜66が形成された第1の内部電極パターンが形成された積層チップ72を容易に取り除くことができる。また、さらには、ずれの検知も容易となる。
ずれ検出マークとして孔部が形成されている。そのため、外観において積層チップ72の切断面における孔部61〜66の有無を確認することで、ずれを容易に検出することができる。
ずれ検出マークである孔部を第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側だけでなく、両端側の第1の内部電極パターン21、25、26、30、31、35に形成している。そのため、例えば一端側から他端側に向かって徐々にずれが発生してしまったような場合であっても、そのずれを検出することが可能となる。そのため、ずれの検出精度をより一層向上させることが可能となる。
なお、第1の電極印刷工程S2では、図14に示すように、第1の領域13の第1の配列方向X1における一端側に位置する第1の内部電極パターン21、26、31の、第1の配列方向X1と直交する方向における両隣、及び第1の領域13の第1の配列方向X1における他端側に位置する第1の内部電極パターン25、30、35の、第1の配列方向X1と直交する方向における両隣にずれ検出導体パターン100を形成してもよい。これにより、第1の配列方向X1に関するずれだけでなく、第1の配列方向X1に直交する方向に関しても積層ずれを検出することが可能となる。
本発明は、上記実施形態及び上述した変形例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第1の電極形成工程において、ずれ検出マークである孔部61〜66を、第1の内部電極パターン21〜35が印刷形成された後に形成してもよい。例えば、第1及び第2の領域13、14に印刷された第1及び第2の内部電極パターンの数は、上記実施形態で印刷された数に限られない。また、第1及び第2のセラミックグリーンシート11、12の積層数は、上記実施形態で積層された数に限られない。また、孔部61〜66の形状は、上記実施形態で示された形状に限られない。さらに、ずれ検出マークは、孔部61〜66に限られず、例えば端縁から形成されたスリットであってもよい。
1…積層コンデンサ、2…第1の端子電極、3…第2の端子電極、4…コンデンサ素体、5…第1の内部電極層、6…第2の内部電極層、P1…可撓性支持体、10…セラミックグリーンシート、11…第1のセラミックグリーンシート、12…第2のセラミックグリーンシート、13…第1の領域、14…第2の領域、21〜35…第1の内部電極パターン、41〜55…第2の内部電極パターン、G1…第1の内部電極パターン群、G2…第2の内部電極パターン群、孔部61〜66、71…シート積層体、72…積層チップ、100…ずれ検出導体パターン、81…スキージ、82…印刷製版、83…電極ペースト、91…テープ。
Claims (4)
- 第1の領域を有する第1のセラミックグリーンシートと、前記第1の領域と同一の形状を呈する第2の領域を有する第2のセラミックグリーンシートとを準備する準備工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートの前記第1の領域に電極ペーストをスクリーン印刷することにより、第1の配列方向に配列した複数の第1の内部電極パターンを形成する工程であって、当該形成された複数の第1の内部電極パターンのうち、前記第1の配列方向における前記第1の領域の一端側に位置する第1の内部電極パターンにずれ検出マークを形成する第1の電極印刷工程と、
前記第2のセラミックグリーンシートの前記第2の領域に電極ペーストをスクリーン印刷することにより、第2の配列方向に配列した複数の第2の内部電極パターンを、前記第1の領域と前記第2の領域とを重ね合わせるように積層したときに前記第1及び第2の配列方向は平行であって且つ前記第1及び第2の内部電極パターンが前記第1及び第2の配列方向に所定ピッチずれるように形成する第2の電極印刷工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートにおける前記第1の領域と前記第2のセラミックグリーンシートにおける前記第2の領域とが重なり合うように、前記第1のセラミックグリーンシートと前記第2のセラミックグリーンシートとを積層してシート積層体を得る積層工程と、
前記シート積層体を、前記第1及び第2の配列方向に垂直な方向及びシート積層体の積層方向の双方に平行な切断面に沿って、前記第1の配列方向において隣接する前記第1の内部電極パターンの間及び前記第2の配列方向において隣接する前記第2の内部電極パターンの間を何れも切断して複数のチップ積層体を得る切断工程と、
前記複数の積層チップのうち前記第1の領域において前記第1の配列方向の前記一端側に位置していた前記第1の内部電極パターンを含む積層チップの切断面を観察し、当該切断面の前記ずれ検出マークの観察結果に基づいて前記切断工程において得られた前記複数の積層チップが良品か不良品かを判定する良品判定工程と、
前記良品判定工程後に、前記第1のセラミックグリーンシートにおいて前記第1の配列方向の前記一端側に位置していた前記第1の内部電極パターンを含む前記積層チップと、前記良品判定工程において不良品と判定された場合には前記複数の積層チップすべてとを取り除く除去工程と、
を含むことを特徴とする積層コンデンサの製造方法。 - 前記ずれ検出マークは、前記第1の領域の前記第1の配列方向の前記一端側に位置する第1の内部電極パターンに形成された孔部であることを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサの製造方法。
- 前記第1の電極印刷工程では、前記第1のセラミックグリーンシートの前記第1の領域に配列して印刷された前記複数の第1の内部電極パターンのうち、前記第1の領域の前記第1の配列方向における他端側に位置する第1の内部電極パターンにもずれ検出マークを形成し、
前記良品判定工程では、前記複数の積層チップのうち前記第1のセラミックグリーンシートにおいて前記第1の配列方向の前記他端側に位置していた前記第1の内部電極パターンを含む積層チップの切断面をさらに観察し、当該切断面の前記ずれ検出マークの観察結果に基づいて前記切断工程において得られた前記複数の積層チップが良品か不良品かをさらに判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサの製造方法。 - 前記第1の電極印刷工程では、前記第1の配列方向の前記一端側に位置する第1の内部電極パターンの、前記第1の配列方向と直交する方向における両隣にずれ検出導体パターンを印刷形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の積層コンデンサの製造方法。
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CN115235395A (zh) * | 2022-09-22 | 2022-10-25 | 广东微容电子科技有限公司 | 一种mlcc的长轴偏移量检测方法 |
-
2008
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