JP2010073939A - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】面内バラツキの少ない凸部を設ける方法を含み、活性層で発生した光が素子製造用基板に吸収されることの無い半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】素子製造用基板の{100}面に<110>方向と平行に延びる凸部を形成し、次いで、凸部の頂面上に発光部を形成し、最終的に素子製造用基板を除去する工程を含み、凸部形成工程は、(a)素子製造用基板110の主面に、<110>方向と平行に延びるマスク層161を形成した後、(b)エッチング液を用いてウェットエッチングを行い、断面形状が等脚台形であり、側面の傾斜角がθUである凸部上層を形成し、次いで、(c)エッチング液の温度を変えて、マスク層及び凸部上層の側面をエッチング用マスクとして用いてウェットエッチングを行い、等脚台形であり、且つ、側面の傾斜角がθD(但し、θD≠θU)である凸部下層を形成する各工程から成る。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体発光素子の製造方法に関する。
低閾値電流Ithを有する半導体レーザとして、1回のエピタキシャル成長工程によって形成し得るSDH(Separated Double Hetero Junction)構造を有する半導体レーザ(以下、SDH型半導体レーザと呼ぶ)が、例えば、特許第2990837号から周知である。
このSDH型半導体レーザにおいては、先ず、主面として{100}面を有する素子製造用基板に、{110}A面方向に延びる凸部を形成する。そして、この素子製造用基板の主面上において結晶成長を行うと、凸部の頂面である{100}面(便宜上、『凸部頂面』と呼ぶ)の上に化合物半導体層が積層されて成る発光部が形成される。発光部は、例えば、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層された構造を有する。凸部の延びる方向に対して垂直方向の仮想平面({110}面に相当する)でこの発光部を切断したときの断面形状は例えば二等辺三角形であり、発光部の側面(斜面)は{111}B面から構成されている。一般に、MOCVD法(MOVPE法とも呼ばれる)においては、特殊な結晶成長条件を除けば、{111}B面は非成長面として知られている。従って、SDH型半導体レーザの場合、側面が{111}B面である発光部が形成されると、その後、MOCVDを継続しても、発光部の結晶成長は「自己成長停止」が保持される。ここで、{111}B面の傾斜角(θ111B)は、54.7度である。
尚、結晶面の表記、
Figure 2010073939
を、便宜上、本明細書においては、(hkl)面、(hk−l)面と表記し、以下に例示する方向の表記、
Figure 2010073939
を、便宜上、本明細書においては、[hkl]方向、[hk−l]方向と表記する。
一方、凸部を除く素子製造用基板の主面である{100}面の部分(便宜上、凹部面と呼ぶ)においては、非成長面が存在しないので、MOCVDを継続すると、やがて凹部面から結晶成長する化合物半導体層が、自己成長停止している発光部を完全に埋め尽くすようになる。凹部面から結晶成長した化合物半導体層は、第2化合物半導体層上に、電流ブロック層位置調整層、電流ブロック層、及び、埋込層が順次形成された構造を有する。ここで、通常、電流ブロック層位置調整層の厚さを制御することによって、凹部面から結晶成長する化合物半導体層が発光部を埋め尽くす前の途中段階で(特に、発光部に形成された活性層の両側面近傍に差掛かったときに)、電流ブロック層を形成することにより、発光部の活性層のみに電流注入が可能な構造を形成することができる。
このように、SDH型半導体レーザにおいては、1回の結晶成長工程に基づき各化合物半導体層を形成することができ、しかも、発光部内で活性層を上下で挟む化合物半導体層(第1化合物半導体層及び第2化合物半導体層)に用いる材料や、発光部の外側に位置する電流ブロック層や埋込層、電流ブロック層位置調整層に用いる材料として、エネルギーバンドギャップが活性層よりも十分に高い材料、即ち、低屈折率の材料を選択することにより、光閉込めに好都合な化合物半導体層によって活性層を完全に囲むことが可能となる。そして、これによって、凸部の端面を光出射面として有する半導体レーザから出射されたビーム形状を、真円に近づけることができる。即ち、ファー・フィールド・パターン(Far Field Pattern,FFP)において、θ//≒θ⊥を達成することができる。
あるいは又、例えば、レンズとのカップリング効率等に依っては、半導体レーザから出射されたビーム形状を楕円とすることが求められる場合がある。このような場合には、例えば、凸部の端面付近の幅を拡げた、所謂フレア・ストライプ構造を採用することにより(例えば、特許第3399018号参照)、FFPのθ//を小さく制御することができる。しかも、フレア・ストライプ構造を採用することにより、高光出力を達成することができる。
特許第2990837号 特許第3399018号 特開2001−332530
ところで、上述したとおり、SDH型半導体レーザにおいては、先ず、主面として{100}面を有する素子製造用基板に、{110}A面方向に延びる凸部を形成する(図9の(A)参照)。従って、発光部の大きさは、凸部の幅(WP)によって規定される。一方、活性層の幅(WA)は、SDH型半導体レーザの仕様に基づき決定される。それ故、凸部の幅(WP)が狭い場合、所望の幅(WA)の活性層を形成したとき、活性層から凸部までの距離(H1)が自ずと短くなる(図9の(B)参照)。ここで、H1,WP,WAには、以下の関係がある。
1={(WP−WA)/2}×tan(θ111B
そして、活性層から凸部までの距離(H1)が短い場合、活性層で発生した光が凸部を構成する素子製造用基板に吸収され、光閉込め効果が不完全となり、発光効率(光出力/注入電流にて表されるスロープ効率)が低下してしまうといった問題がある。従って、現状では、例えば、活性層WAの幅を1.2μmとした場合、距離(H1)の最低値は約1.4μmである。
また、発光部の高さ(H2)も、凸部の幅(WP)によって規定される。ここで、H2,WPには、以下の関係がある。
2=(WP/2)×tan(θ111B
そこで、図10の(A)に図示するように、凸部の高さ(H0)が低く、凸部の幅(WP)が広い、所謂低アスペクト比の凸部に基づきSDH型半導体レーザを製造した場合、図10の(B)に図示するように、活性層の側面に電流ブロック層を形成する余地が無くなってしまう場合がある。
更には、SDH型半導体レーザの高集積化を試みた場合、即ち、単位面積当たりのSDH型半導体レーザの個数を増加させる場合、即ち、図11の(A)に示すようなSDH型半導体レーザの形成ピッチPT1を形成ピッチPT2に縮小しようとした場合、発光部の大きさ(例えば、WAの値)を小さくする必要があるが、このような場合、活性層の幅を一定に保つには、図11の(B)に示すように、活性層から凸部までの距離をH1からH1’へと短くしなければならないので、やはり、上述した問題が生じてしまう。あるいは又、光が凸部を構成する素子製造用基板に吸収されないように、活性層から凸部までの距離を充分に確保するには、図11の(C)に示すように、凸部の高さをH0からH0’へと低くしなければならないので、やはり、上述した問題が生じてしまう。
これらの問題は、凸部の高さ(H0)を任意に設定できれば、解決が可能である。然るに、凸部の側面を{111}B面に保持しつつ、高さの高い凸部を形成することは、即ち、凸部の側面を{111}B面に保持しつつ、素子製造用基板を深くエッチングすることは極めて困難である。そして、このような困難さを解消するために、例えば、特開2001−332530には、2種類のウェットエッチング法にて凸部を形成する技術が開示されている。係る技術は極めて有効な技術であるが、2種類のウェットエッチング法にて凸部を形成するのでエッチング工程が煩雑になる。それ故、より一層、簡素な工程で高さの高い凸部を形成する技術が求められている。また、1枚の素子製造用基板内において、{110}A面方向に延びる凸部の各部の寸法のバラツキ(上述した、凸部の幅(WP)や凸部の高さ(H0)、更には、凸部の幅(WP)と凸部の高さ(H0)との比率等の面内バラツキ)を出来る限り小さくすることに対する強い要望もある。特に、凸部の幅(WP)と凸部の高さ(H0)との比率を素子製造用基板内において一定に保つためのエッチング技術は、各凸部の幅(WP)の設計仕様が広くなるほど、あるいは又、凸部の高さ(H0)の設計仕様が高くなるほど、難易度を増す傾向がある。ここで、このような凸部の各部の寸法のバラツキが発生すると、発光部の大きさにバラツキが生じ、その結果、SDH型半導体レーザから出射されるレーザビームの形状やFFPのθ//のバラツキ、SDH型半導体レーザの閾値電流のバラツキ等が生じる。
従って、本発明の目的は、設計自由度が高く、しかも、簡素な工程で、面内バラツキの少ない、高さの高い凸部を素子製造用基板に設ける方法を含み、活性層で発生した光が素子製造用基板に吸収されることの無い半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の半導体発光素子の製造方法は、
(A){100}面を主面として有する素子製造用基板の該主面に、素子製造用基板の<110>方向と平行に延びる凸部を形成し、次いで、
(B)凸部の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る発光部を形成し、併せて、凸部が形成されていない素子製造用基板の主面の部分に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る積層構造体を形成し、その後、
(C)該積層構造体上に、発光部を構成する活性層の側面を少なくとも覆う電流ブロック層を形成し、次に、
(D)全面にコンタクト層を形成し、該コンタクト層上に第2電極を形成した後、
(E)第2電極を介して素子製造用基板を支持基板に貼り合わせ、次いで、素子製造用基板を除去し、その後、
(F)第1化合物半導体層と電気的に接続された第1電極を形成する、
工程を具備し、
前記工程(A)は、
(a)素子製造用基板の主面に、<110>方向と平行に延びるマスク層を形成した後、
(b)マスク層をエッチング用マスクとして用いて、エッチング液を用いたウェットエッチング法にて素子製造用基板の主面をエッチングし、{110}面で切断したときの断面形状が、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、側面の傾斜角がθUである凸部上層を形成し、次いで、
(c)エッチング液の温度を変えて、マスク層及び凸部上層の側面をエッチング用マスクとして用いて、素子製造用基板の主面をウェットエッチング法にて更にエッチングし、{110}面で切断したときの断面形状が、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、且つ、側面の傾斜角がθD(但し、θD≠θU)である凸部下層を形成する、
各工程から成る。
本発明の半導体発光素子の製造方法において、凸部上層を{110}面で切断したときの断面形状における底辺は、凸部下層を{110}面で切断したときの断面形状における上辺であり;凸部の側面が(111)B面であるときの側面の傾斜角をθ111Bとしたとき、
θD≦θ111B≦θU(但し、θD≠θU
を満足する形態とすることができ、この場合、前記工程(b)におけるエッチング液の温度を、前記工程(c)におけるエッチング液の温度よりも低くすることが好ましい。尚、どの程度、エッチング温度を高くすべきかは、使用するエッチング液、エッチングすべき被エッチング材料に依存するので、各種の試験を行い、適宜、決定すればよい。
上記の好ましい形態、構成を含む本発明の半導体発光素子の製造方法においては、凸部上層の厚さをHU、凸部下層の厚さをHDとしたとき、
U/(HU+HD)≧0.5
好ましくは、
U/(HU+HD)≧0.7
を満足することが望ましい。
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の半導体発光素子の製造方法においては、凸部上層の厚さをHU、凸部下層の厚さをHD、凸部上層の幅をWUとしたとき、
(HU+HD)/WU≧0.4
好ましくは、
(HU+HD)/WU≧0.9
を満足することが望ましい。
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の半導体発光素子の製造方法において、前記工程(A)に引き続き、全面にエッチングストップ層を形成する工程を含めることができる。尚、凸部の側面は非成長面ではないので、凸部の側面の上にもエッチングストップ層は形成される。エッチングストップ層は、素子製造用基板を除去した後、除去してもよいし、活性層で発生した光を吸収しない限り、そのまま残しておいてもよい。後者の場合、エッチングストップ層は、発光部を構成する活性層で発生した光よりもエネルギーバンドギャップが広い化合物半導体層、例えば、AlGaAs層から構成すればよい。第1電極は、エッチングストップ層の少なくとも一部の上に形成すればよく、あるいは又、所望の厚さのエッチングストップ層を残し、その上に形成されたコンタクト層(例えば、GaAsコンタクト層)上に形成すればよい。また、エッチングストップ層は、単層構成とすることもできるし、AlAs層/GaAs層あるいはAlGaAs層/GaAs層の周期構造を繰り返して成る積層構造体から構成することもできる。このような構成とすることで、素子製造用基板を除去する際に、エッチングストップ層の少なくとも一部、あるいは、一定の厚さを残しても、発光部を構成する活性層で発生した光の光吸収を抑制しつつ、第1化合物半導体層上に、コンタクト層を介した第1電極の形成が可能となり、良好な電気的特性を得ることができる。尚、活性層にSbあるいはBiを含有するような半導体発光素子にあっては、AlSbあるいはAlBiを含有するエッチングストップ層を用いることもできる。従って、AlAs層を有する積層構造体から成るエッチングストップ層において、AlAs層をAlSb層、AlBi層で置き換えた積層構造体、あるいは、AlAs層にAlSb、AlBiの少なくとも何れかを含有させた積層構造体とすることもできる。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の半導体発光素子の製造方法(以下、これらを総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある)において、θD≦θ111B≦θU(但し、θD≠θU)である場合、具体的には、
θD<θ111B<θU
θD=θ111B<θU
θD<θ111B=θU
の3態様を含む。ここで、θ111Bの値は、具体的には、54.7度である。θ111B<θUの場合のθUの値として、56度乃至64度を挙げることができるし、θD<θ111Bの場合のθDの値として、46度乃至54度を挙げることができる。
凸部上層の厚さHU、凸部下層の厚さHDの値として、具体的には、上述したとおり、
U/(HU+HD)≧0.5
を満足することに加えて、
0.1μm≦HU≦6μm
0.1μm≦HD≦3μm
より好ましくは、
0.1μm≦HD≦6μm
0.1μm≦WU≦2.5μm
一層好ましくは、
0.1μm≦HD≦3μm
0.1μm≦WU≦2.5μm
を満足することが望ましい。更には、上述したとおり、
U/(HU+HD)≧0.7
を満足することに加えて、
0.1μm≦HU≦6μm
0.1μm≦HD≦3μm
より好ましくは、
0.1μm≦HD≦6μm
0.1μm≦WU≦2.5μm
一層好ましくは、
0.1μm≦HD≦3μm
0.1μm≦WU≦2.5μm
を満足することが望ましい。
凸部は、全体として、素子製造用基板の<110>方向と平行に延びるが、凸部の厚さ方向は、素子製造用基板の<100>方向と平行であり、凸部の頂面は、素子製造用基板の主面である{100}面である。尚、凸部の延びる方向をX方向、凸部の厚さ方向をZ方向とした場合、凸部の幅方向はY方向に相当する。凸部は、上層及び下層の2層構成に限定されず、3層以上の構成することもでき、この場合には、凸部を構成する或る層(便宜上、第M番目の層と呼ぶ)の側面の傾斜角θMは、第(M−1)番目の層の側面の傾斜角θ(M-1)、及び、第(M+1)番目の層の側面の傾斜角θ(M+1)と異なっている。そして、第M番目の層の側面(傾斜面)、第(M−1)番目の層の側面(傾斜面)、第(M−2)番目の層の側面(傾斜面)、・・・、第(M−n)番目の層の側面(傾斜面)(但し、M>nであり、Mとnは1以上の整数)、及び、マスク層(最初のエッチング用マスク)等の全てが、エッチング用マスクとして機能し、第M番目の層の傾斜角θMを有する側面が形成される。尚、以下の説明において、凸部が形成されていない素子製造用基板の主面の部分を、『凹部面』と呼ぶ場合がある。
台形にあっては、一般に、上辺と底辺(下辺)が平行であるが、本発明にあっては、凸部の形成条件等に起因して上辺と底辺(下辺)が完全に平行ではない場合が生じ得るが、係る形状も『台形』に包含する。また、凸部の形成条件等に起因して2つの側面の斜面に沿った長さが完全に同じではない場合が生じ得るが、係る形状も『等脚台形』に包含する。更には、本発明にあっては、得られた発光部を{110}面で切断したときの発光部の断面形状は、二等辺三角形であるが、発光部の形成条件等に起因して、正確な二等辺三角形ではない場合が生じ得る。
本発明において、素子製造用基板として、GaN基板、GaAs基板、GaP基板、AlN基板、AlP基板、InN基板、InP基板、AlGaInN基板、AlGaN基板、AlInN基板、GaInN基板、AlGaInP基板、AlGaP基板、AlInP基板、GaInP基板、ZnS基板、サファイア基板、SiC基板、アルミナ基板、ZnO基板、LiMgO基板、LiGaO2基板、MgAl24基板、Si基板、Ge基板を挙げることができる。更には、これらの基板の表面(主面)に、バッファ層や中間層が形成されたものを素子製造用基板として用いることもできる。また、これらの基板の主面に関しては、結晶構造(例えば、立方晶型や六方晶型等)によっては、所謂A面、B面、C面、R面、M面、N面、S面等の名称で呼ばれる結晶方位面、あるいは、これらを特定方向にオフさせた面等を用いることもできる。本発明にあっては、特に、閃亜鉛鉱(ジンク・ブレンド)型の結晶構造を有する基板あるいは結晶膜が形成された基板を用いることが好ましく、ここで、ジンク・ブレンド型の結晶構造を有する基板を構成する原子として、少なくとも、As、SbあるいはBi等を挙げることができる。このようなAs、SbあるいはBi等の原子が添加ひいては混晶として含まれている基板においては、エッチングによって特定の斜面を側面として有する凸部を形成し易い。また、エッチングによって形成した凸部上に、As、SbあるいはBi等の原子が添加ひいては混晶として含まれている結晶を再成長させる場合にも、例えば、最表面にV族トリマーを形成した{111}B面等の非成長面が現れ易い性質があるので、本発明においても、この性質を積極的に利用するSDH型半導体レーザの製造が可能になる。尚、本発明においては、素子製造用基板の{100}面を主面としているが、係る主面には、0度を含むオフ角を付けた面、更には、オフ角±5(度)以内の面が含まれる。
第2電極を介した素子製造用基板と支持基板との貼り合わせ方法として、金属−金属接合法を挙げることができる。そして、この場合、支持基板として、金属−金属接合のための導電材料層(導電材料層には回路が形成されていてもよい)を表面に有する半導体基板や絶縁性基板を挙げることができる。ここで、絶縁性基板とは、樹脂、レジストあるいは誘電体といった絶縁材料で表面が被覆されている基板、あるいは又、それ自身が、樹脂、レジストあるいは誘電体といった絶縁材料で構成される基板を指す。貼り合わせ後のチップ化、ウェーハ分離等の容易性を考慮すると、支持基板として半導体基板を用いることが好ましく、例えば、GaAs基板、Ge基板、Si基板、SiC基板、GaP基板、InP基板を挙げることができる。仕様に応じて、適宜、n型導電性を有する半導体基板、あるいは、p型導電性を有する半導体基板、あるいは、半絶縁性を有する半導体基板を使い分ければよい。一方、放熱性を重視する場合、例えば、ガラス・エポキシプリント基板、メタルコア基板、セラミック基板を挙げることができるし、あるいは又、リードフレームに直接貼り合わせるか、実装する形態を挙げることもできる。導電材料層を構成する材料として、Au、Ag、Ti、W、Cr、In、Al、B、Ga、Zn、Sn、Mgを例示することができるし、あるいは又、これらの合金を挙げることができるし、更には、これらの酸化物、窒化物層を挙げることができる。導電材料層として、これらの材料から成る単層構造あるいは積層構造を挙げることができる。更には、第2電極を介した素子製造用基板と支持基板との貼り合わせ方法として、上述した金属−金属接合法以外にも、金属−誘電体接合法、金属−半導体接合法、半導体−半導体接合法等を挙げることができるし、粘着剤や接着剤を用いて貼り合わせることもできる。支持基板は、最終的には、除去してもよい。素子製造用基板の除去方法として、ウェットエッチング法やドライエッチング法を挙げることができる。
活性層を含む各種化合物半導体層として、例えば、GaN系化合物半導体(AlGaN混晶あるいはAlGaInN混晶、GaInN混晶を含む)、GaInNAs系化合物半導体(GaInAs混晶あるいはGaNAs混晶を含む)、AlGaInP系化合物半導体、AlAs系化合物半導体、AlGaInAs系化合物半導体、AlGaAs系化合物半導体、GaInAs系化合物半導体、GaInAsP系化合物半導体、GaInP系化合物半導体、GaP系化合物半導体、InP系化合物半導体、InN系化合物半導体、AlN系化合物半導体を例示することができる。化合物半導体層に添加されるn型不純物として、例えば、ケイ素(Si)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、錫(Sn)を挙げることができるし、p型不純物として、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)を挙げることができる。活性層は、単一の化合物半導体層から構成されていてもよいし、単一量子井戸構造[QW構造]あるいは多重量子井戸構造[MQW構造]を有していてもよい。活性層を含む各種化合物半導体層の形成方法(成膜方法)として、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法、MOVPE法)や有機金属分子線エピタキシー法(MOMBE法)、ハロゲンが輸送あるいは反応に寄与するハイドライド気相成長法(HVPE法)、プラズマアシステッド物理的気相成長法(PPD法)を挙げることができる。第1導電型をn型、第2導電型をp型としてもよいし、第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよい。
マスク層を構成する材料として、SiO2、SiN、SiONといった半導体酸化物あるいは半導体窒化物;Ti、W、Ni、Au、Ptといった金属や高融点金属、あるいは、これらの金属を適切な組成で調整した合金(例えば、TiW、TiWCr、TiWNi、NiCr、TiNiCr、又は、これら合金とAu、あるいは、これら合金とPtとの合金等);高融点金属(合金)酸化物;高融点金属(合金)窒化物;これらの異なる金属や合金、合金酸化物、合金窒化物を組み合わせた多層膜;レジスト材料を例示することができる。マスク層の形成方法として、スパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)や化学的気相成長法(CVD法)、塗布法と、リソグラフィ技術やエッチング技術との組合せを挙げることができる。また、マスク層の除去は、マスク層を構成する材料に依存して、ウェットエッチング法を採用してもよいし、ドライエッチング法を採用してもよいし、アッシング技術を用いてもよい。マスク層は、帯状等の1次元的配置であってもよいし、点在し、あるいは、散在する曲線形状(円形、楕円形等)や多角形形状(三角形、四角形、六角形等の)を有する2次元的配置であってもよい。
エッチング液として、クエン酸と過酸化水素水と水とを混合した、所謂クエン酸過水を挙げることができるし、クエン酸の代わりに、酒石酸、酢酸、シュウ酸、ギ酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸等のカルボン酸を挙げることができる。凸部上層の形成と凸部下層の形成との間で、エッチング液の交換を行ってもよいし、被エッチング物の水洗等を行ってもよい。あるいは又、凸部上層の形成と凸部下層の形成とを、異なるエッチング装置で行ってもよい。
半導体発光素子において、第1化合物半導体層は第1電極に電気的に接続されており、第2化合物半導体層は第2電極に電気的に接続されている。尚、第1電極は、第1化合物半導体層上に形成されている場合もあるし、導電材料層を介して第1化合物半導体層と接続されている場合もある。また、第2化合物半導体層は、第2化合物半導体層の頂面上に形成されている場合もあるし、導電材料層を介して第2化合物半導体層と接続されている場合もある。
第1導電型をn型、第2導電型をp型とする場合、第1電極はn側電極であり、第2電極はp側電極となる。一方、第1導電型をp型、第2導電型をn型とする場合、第1電極はp側電極であり、第2電極はn側電極となる。ここで、p側電極として、Au/AuZn、Au/Pt/Ti(/Au)/AuZn、Au/Pt/TiW(/Ti)(/Au)/AuZn、Au/AuPd、Au/Pt/Ti(/Au)/AuPd、Au/Pt/TiW(/Ti)(/Au)/AuPd、Au/Pt/Ti、Au/Pt/TiW(/Ti)、Au/Pt/TiW/Pd/TiW(/Ti)を挙げることができる。また、n側電極として、Au/Ni/AuGe、Au/Pt/Ti(/Au)/Ni/AuGe、Au/Pt/TiW(/Ti)/Ni/AuGe、あるいは、これらの金属層の界面、特に最下層に、Al層、Pd層あるいはAg層を挿入した電極構造を挙げることができる。そして、n側電極、p側電極を問わず、電極に用いる各合金の組成は、電極の下地の材質に合わせ、下地にダメージを与えないように適切に選べばよい。尚、「/」の前の層ほど、活性層から電気的に離れたところに位置する。あるいは又、第1電極を、ITO、IZO、ZnO:Al、ZnO:Bといった透明導電材料から構成することもできる。透明導電材料から成る層を電流拡散層として用いて、第1電極をn側電極とする場合、第1電極をp側電極とする場合に挙げた金属積層構造とを組み合わせてもよい。
また、第1電極や第2電極、あるいは、第2電極延在部に対して、必要に応じて、例えば、Ti層/Pt層/Au層等といった[接着層(Ti層やCr層等)]/[バリアメタル層(Pt層、Ni層、TiW層やMo層等)]/[実装に対して融和性の良い金属層(例えばAu層)]のような積層構成とした多層メタル層から成るコンタクト部(パッド部)を設けてもよい。第1電極や、第2電極延在部を含む第2電極、コンタクト部(パッド部)は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法といった各種のPVD法、各種の化学的気相成長法(CVD法)、メッキ法によって形成することができる。
本発明における半導体発光素子として、端面発光型の半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)を挙げることができる。より具体的には、限定するものではないが、本発明における半導体発光素子として、SDH型半導体レーザを挙げることができる。
本発明にあっては、凸部上層と凸部下層の、少なくとも2層構造から成る凸部を設けるので、凸部の高さ(素子製造用基板のエッチング深さ)、凸部頂面の幅等の設計自由度を高くすることができるし、半導体発光素子の設計自由度を高めることができる結果、種々の仕様や要求に応じた半導体発光素子を提供することができる。また、同じエッチング液を使用し、エッチング温度を変えるだけで、凸部上層と凸部下層の、少なくとも2層構造から成る凸部を設けることができるので、簡素な工程で高さの高い凸部を形成することができる。しかも、凸部上層の側面はウェットエッチングにおけるエッチング安定結晶面であり、マスク層及び凸部上層の側面をエッチング用マスクとして用いることができるので、1枚の素子製造用基板内における凸部の各部の寸法のバラツキ(面内バラツキ)を極めて小さくすることができる。そして、その結果、均一な特性を有する半導体発光素子を製造することができる。
また、本発明にあっては、そもそも、素子製造用基板が除去されるので、活性層で発生した光が、素子製造用基板で吸収されることがない。その結果、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を防止することができるし、半導体発光素子の高集積化を達成することができる。更には、素子製造用基板を除去するので、半導体発光素子の直列抵抗値を低減することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の半導体発光素子の製造方法に関する。尚、以下の説明において、「上」、「下」の表現にあっては、原則として、素子製造用基板を基準として、素子製造用基板に近い場合を「下」、遠い場合を「上」と表現する。
実施例1の半導体発光素子の製造方法によって得られる半導体発光素子は、半導体レーザ、より具体的には、SDH型半導体レーザから構成されており、素子製造用基板110を除去する前の模式的な一部断面図を図6に示すように、実施例1の半導体発光素子の製造方法の途中の工程において得られる半導体発光素子の中間物は、
(イ){100}面を主面として有する素子製造用基板110のこの主面に設けられ、素子製造用基板110の<110>方向(具体的には、例えば[011]方向であり、以下においても同様である)と平行に延びる凸部(突起部)111、
(ロ)凸部111の頂面上に、第1導電型(実施例1にあっては、具体的には、n型)を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型(実施例1にあっては、具体的には、p型)を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る発光部120、並びに、
(ハ)凸部が形成されていない素子製造用基板110の主面の部分(素子製造用基板110の凹部面あるいは露出面と呼ぶ場合がある)に形成され、第1導電型(n型)を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型(p型)を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る積層構造体120’、並びに、この積層構造体120’上に形成され、発光部120を構成する活性層123の側面を少なくとも覆う電流ブロック層140、
を具備している。そして、凸部111は、凸部下層111A及び凸部上層111Bの2層構造を有している。
また、実施例1の半導体発光素子の製造方法によって得られる半導体発光素子は、模式的な一部断面図を図1に示すように、
(ロ’)第1導電型(実施例1にあっては、具体的には、n型)を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型(実施例1にあっては、具体的には、p型)を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る発光部120、
(ハ’)第1導電型(n型)を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型(p型)を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る積層構造体120’、並びに、この積層構造体120’上に形成され、発光部120を構成する活性層123の側面を少なくとも覆う電流ブロック層140、
(ニ’)全面を覆うコンタクト層132、
(ホ’)コンタクト層132上に形成された第2電極152、
(ヘ’)金属層181を介して第2電極152と貼り合わされた支持基板180、並びに、
(ト’)第1化合物半導体層121と電気的に接続された第1電極151、
を具備している。
実施例1の半導体発光素子の製造方法の中間の工程において得られる凸部111は、図3に模式的な一部断面図を示すように、{100}面(具体的には、(100)面であり、以下においても同様である)を頂面とする素子製造用基板110に設けられている。具体的には、素子製造用基板110に設けられた凸部111は、{100}面を主面として有する素子製造用基板110のこの主面に設けられ、素子製造用基板110の<110>方向と平行に延びる凸部である。そして、凸部下層111A及び凸部上層111Bの2層構造を有している。
ここで、凸部上層111Bを{110}面(具体的には、(011)面であり、以下においても同様である)で切断したときの断面形状は、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、凸部下層111Aを{110}面で切断したときの断面形状は、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、凸部上層111Bを{110}面で切断したときの断面形状における底辺は、凸部下層111Aを{110}面で切断したときの断面形状における上辺である。
そして、凸部上層111Bの側面111bの傾斜角をθU、凸部下層111Aの側面111aの傾斜角をθD、凸部の側面が(111)B面であるときの側面の傾斜角をθ111Bとしたとき、
θD≠θU
具体的には、
θD≦θ111B≦θU(但し、θD≠θU
を満足する。より具体的には、
θD<θ111B<θU
を満足する。より一層具体的には、実施例1にあっては、θ111B=54.7度であり、θD=50度、θU=60度である。
ここで、凸部上層111Bの厚さをHU、凸部下層111Aの厚さをHD、凸部上層111Bの幅をWUとしたとき、
U/(HU+HD)≧0.5
(HU+HD)/WU≧0.4
を満足している。より具体的には、HU=2μm、HD=2μm、WU=4μmである。
凸部上層111Bの頂面には、順次、第1化合物半導体層121、活性層123、第2化合物半導体層122Aが形成され、第2化合物半導体層122A上には、更に、第2化合物半導体層122Bが形成され、頂点を形成している。ここで、{110}面で発光部120を切断したときの第2化合物半導体層122Bを含む発光部120の断面形状は二等辺三角形であり、発光部120の側面は、{111}B面(より具体的には、(11−1)B面及び(1−11)B面)から構成されている。第2化合物半導体層122Aと第2化合物半導体層122Bの組成を変えることで、断面形状が二等辺三角形の発光部120を正確に形成することができる。一般に、MOCVD法(MOVPE法とも呼ばれる)においては、特殊な結晶成長条件を除けば、{111}B面は、Asトリマーで覆われた非成長面として知られている。従って、SDH型半導体レーザの場合、斜面(側面)が{111}B面である発光部120が形成されると、その後、MOCVDを継続しても、発光部120の結晶成長は「自己成長停止」が保持される。{111}B面の角度θ111Bは54.7度である。
一方、素子製造用基板110の凹部面である{100}面(図示した例では、(100)面)の部分)にあっては、発光部120と同じ構造を有する積層構造体120’、電流ブロック層位置調整層130(実質的に第2化合物半導体層122の続きである)、電流ブロック層140、及び、埋込層(埋込み用クラッド層)131が順次形成されている。また、全体は、第2導電型を有するGaAsから成るコンタクト層(キャップ層)132によって覆われている。そして、実施例1にあっては、凸部111を含む素子製造用基板110は、n−GaAsから成る。更には、第1化合物半導体層121に電気的に接続された第1電極151(具体的には、第1化合物半導体層121上に形成された第1電極151)は、Ti/TiW/Pt/Auから構成されており、第2化合物半導体層122に電気的に接続された第2電極152(具体的には、第2化合物半導体層122の上方、より具体的には、コンタクト層(キャップ層)132の上に形成された第2電極152)は、Au/Ni/AuGe又はAu/AuZnから構成されている。
発光部120及び積層構造体120’を構成する化合物半導体層の組成を、以下の表1に例示する。尚、「Zn,Mg,C」は、不純物として、亜鉛(Zn)を添加してもよいし、マグネシウム(Mg)を添加してもよいし、炭素(C)を添加してもよいことを意味する。
[表1]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層122B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn,Mg,C
第2化合物半導体層122A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn,Mg,C
活性層123 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層121 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Si
(電流ブロック部の構成)
埋込層131 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn,Mg,C
電流ブロック層140 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層130・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn,Mg,C

[活性層−A]
閉じ込め層 ・・・p−Al0.3Ga0.7As:Zn,Mg,C
閉じ込め層 ・・・i−Al0.3Ga0.7As
多重量子井戸構造・・・i−Al0.1Ga0.9As(井戸層)
i−Al0.3Ga0.7As(障壁層)及び
i−Al0.1Ga0.9As(井戸層)
閉じ込め層 ・・・i−Al0.3Ga0.7As
閉じ込め層 ・・・n−Al0.3Ga0.7As:Si
尚、電流ブロック層140の一部を構成する化合物半導体層は、図5の(B)に示すように、
発光部120の側面から延びる{311}B結晶面領域(より具体的には、(31−1)B面及び(3−11)B面)、
素子製造用基板110の主面に沿って延びる{100}結晶面領域、及び、
{311}B結晶面領域と{100}結晶面領域との間に位置する{h11}B結晶面領域(より具体的には、(h1−1)B面及び(h−11)B面であり、ここで、hは4以上の整数である)、
から構成されている。尚、{h11}B結晶面領域(但し、hは4以上の整数)を、便宜上、高次の結晶面領域と呼ぶ場合がある。
凸部111の上に形成された活性層123は、活性層123よりも屈折率が低い電流ブロック層140によって横方向(側面)が囲まれ、活性層123よりも屈折率が低い第1化合物半導体層121及び第2化合物半導体層122A,122Bによって上下方向が囲まれている。従って、活性層123の上下方向及び横方向は完全なる光閉込め構造となっている。しかも、素子製造用基板110の凹部面の上方にあっては、活性層123の側面近傍は、p−n−p−n構造(p型埋込層131−n型電流ブロック層140−p型電流ブロック層位置調整層130−n型第1化合物半導体層121)の、いわばサイリスタ構造が形成される。従って、素子製造用基板110の凹部面において電流が流れることが阻止され、これによって活性層123に電流が集中し、低閾値電流化を図ることができる。
以下、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明する。
[工程−100]
先ず、{100}面を主面として有する素子製造用基板110のこの主面に、素子製造用基板110の<110>方向と平行に延びる凸部111を形成する。以下、この[工程−100]を、[工程−100A]〜[工程−100C]に分けて、説明する。
[工程−100A]
そのために、先ず、素子製造用基板110の主面に、<110>方向と平行に延びるマスク層161を形成する。具体的には、実施例1にあっては、CVD法にて素子製造用基板110の主面(下地)にSiO2から成るマスク層161を形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術によって、{100}面を主面として有する素子製造用基板110のこの主面上に、<110>方向(より具体的には、[011]A方向)と平行に延びるマスク層161を形成する(図2の(A)参照)。
[工程−100B]
次いで、マスク層161をエッチング用マスクとして用いて、エッチング液を用いたウェットエッチング法にて素子製造用基板110の主面(露出した素子製造用基板110の主面の部分)をエッチングする。エッチング液として、クエン酸:純水:過酸化水素水=3:3:2(容積比)としたクエン酸過水を使用し、エッチング液を6〜9゜Cとしてウェットエッチングを行った。その結果、図2の(B)に示すように、{110}面で切断したときの断面形状が、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、側面111bの傾斜角がθUである凸部上層111Bを形成することができる。
[工程−100C]
次いで、エッチング液の温度を変えて、マスク層161及び凸部上層111Bの側面111bをエッチング用マスクとして用いて、素子製造用基板110の主面(下地)をウェットエッチング法にて更にエッチングする。具体的には、上述した組成のクエン酸過水を使用し、エッチング液を2〜5゜Cとしてウェットエッチングを行った。ところで、[工程−100B]にて得られた凸部上層111Bの側面111bはウェットエッチングにおけるエッチング安定結晶面であり、マスク層161及び凸部上層111Bの側面111bをエッチング用マスクとしてウェットエッチングを行うことができ、この[工程−100C]においては、凸部上層111Bの側面111bはエッチングされることが無い。こうして、{110}面で切断したときの断面形状が、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、且つ、側面111aの傾斜角がθD(但し、θD≠θU)である凸部下層111Aを形成することができる(図2の(C)参照)。尚、[工程−100B]におけるエッチング液の温度を、この[工程−100C]におけるエッチング液の温度よりも高くしたので、θD<θ111B<θUとなった。こうして、[011]A方向に延び、所望の頂面の幅と全体の高さを有する2重の台形状の凸部111を形成することができる。ここで、凸部111の幅方向は、[0−11]B方向に平行である。
[工程−110]
次に、ウェットエッチング法に基づきマスク層161を除去した後(図3参照)、凸部111の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る発光部120を形成し、併せて、凸部111が形成されていない素子製造用基板110の主面の部分(凹部面,露出面)に、第1導電型を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る積層構造体120’を形成する。
具体的には、これらの各化合物半導体層をMOCVD法にて成膜する。MOCVD法にあっては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)あるいはトリエチルアルミニウム(TEAl)をアルミニウム(Al)源の原料ガスとして用い、トリメチルガリウム(TMGa)あるいはトリエチルガリウム(TEGa)をガリウム(Ga)源の原料ガスとして用い、ターシャリー・ブチル・アルシン(TBAs)あるいはアルシン(AsH3)をヒ素(As)源の原料ガスとして用いればよい。また、n型不純物ドーピング用のガスとして、ジシラン(Si26)、モノシラン(SiH4)あるいはトリメチルスズ(TMSn)、硫化水素(H2S)、セレン化水素(H2Se)あるいはテルル化水素(H2Te)を用いればよい。一方、p型不純物ドーピング用のガスとして、例えば、トリメチル亜鉛(TMZn)、トリエチル亜鉛(TEZn)、ビス・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(Cp2Mg)、ビス・エチル・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)、ビス・イソプロピル・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(i−PrCp2Mg)、ビス・メチルシクロペンタ・ジエニルマグネシウム(MeCp2Mg)、トリメチルマンガン(TMMn)、四塩化炭素(CCl4)、四臭化炭素(CBr4)あるいは四ヨウ化炭素(CI4)等を用いればよい。そして、上述したとおり、MOCVD法に基づき、これらのIII族ガス、V族ガス、不純物ガスを反応室に導入し、600゜C〜900゜Cの温度範囲で熱分解反応させて、結晶成長させることによって、凸部上層111Bの頂面上、凸部111の側面上、及び、素子製造用基板110の凹部面上に、第1化合物半導体層121、活性層123、第2化合物半導体層122A,122Bをエピタキシャル成長させる。
凸部111の側面は、{111}B面ではなく、結晶成長面であるが故に、凸部111の側面上に、第1化合物半導体層121、活性層123、第2化合物半導体層122A,122Bが、順次、結晶成長していく。つまり、図4の(A)〜(C)に模式的に図示するように、凸部111の側面を構成する側面111b及び側面111aは、{111}B非成長面ではないので、側面の結晶成長の際には両者共に結晶成長する。特に、図4の(A)〜(C)に示すように、θ111B≦θUを満たす側面111bが結晶成長する際には、その傾斜角(θU)を保持したまま結晶成長するが、同時に、{111}B非成長面を側面に形成しながら結晶成長を続ける(図4の(A)参照)。一方、側面を構成するもう1つの側面である側面111aにおいては、図4の(A)のように、θD≦θ111Bを満たす場合、{111}B非成長面を形成することができないので、その傾斜角(θD)を保持したまま結晶成長する。
従って、実際には、側面111bの結晶成長と側面111aの結晶成長とが同時に進行するとき、傾斜角θUを有する側面111bは、その面で結晶成長しながらも、{111}B非成長面の形成を伴っている。それ故、この{111}B非成長面と側面111aの結晶成長とによって挟まれ、傾斜角θUを有する側面111bが占める面積は次第に減少し、消滅する場合がある。つまり、別の結晶面で側面111bが覆われる場合がある。尚、このような状態を、便宜上、『消滅パターン1』と呼ぶ。あるいは又、傾斜角θUを有する側面111bが消滅する以前に、側面111aが、新たに発生した{311}B面の結晶成長(化合物半導体層173が該当する)によって覆われて、側面111aが消滅し、{311}B面(化合物半導体層173)の結晶成長と、{111}B非成長面の結晶成長に伴い、傾斜角θUを有する側面111bが占める面積が次第に減少し、消滅する場合もある。尚、このような状態を、便宜上、『消滅パターン2』と呼ぶ。このように、傾斜角θUを有する側面111bあるいは側面111aのどちらか一方が先に消滅した時点における側面形状は、傾斜角θDを有する側面111aと{111}B非成長面とによって側面全体が構成されている形態、あるいは、{311}B面(化合物半導体層173)と傾斜角θUを有する側面111bとによって側面全体が構成されている形態となる。この状態は、図示していないが、図4の(A)と図4の(B)との中間に相当する状態である。
その後、消滅パターン1にあっては、残った側面111aは、側面111bの結晶成長の際に形成された{111}B非成長面を埋め込むように、傾斜角θDを保持したまま結晶成長を継続し、次第に{111}B非成長面上を占有していくようになる。ところが、この傾斜角θDを保持したまま結晶成長する側面111aは、最下端から発生した{311}B面の結晶成長(化合物半導体層173)によって急速に追いつかれてしまう。従って、最終的には、凸部の側面は、この{311}B面と{111}B非成長面だけから構成される。一方、消滅パターン2にあっては、残った側面111bは、傾斜角θUを保持したまま結晶成長するが、側面111bの結晶成長に伴って形成された{111}B非成長面、及び、側面111aを消滅させた{311}B成長面とによって挟まれて、次第にその占有面積を減らし続けて消滅してしまう。従って、最終的には、凸部の側面は、この{311}B面と{111}B非成長面だけから構成される。そして、これらの消滅パターン1及び消滅パターン2の最終形態を示しているのが図4の(B)であり、化合物半導体層171と化合物半導体層172の境界部分には、{311}B面が最表面に現れた化合物半導体層173が図示されている。一方、凸部上層111Bの頂面及び素子製造用基板110の凹部面は{100}面であるが故に、凸部上層111Bの頂面上及び素子製造用基板110の凹部面上では、特殊な結晶面の発生や消滅が生じることはなく、順番通りに単純に各化合物半導体層が積層され続ける。
従って、発光部120及び積層構造体120’の形成を開始すると、先ず、凸部111の側面上における化合物半導体層の結晶成長、並びに、凸部上層111Bの頂面上及び素子製造用基板110の凹部面上における化合物半導体層といった主立った3箇所で結晶成長が同時に開始し、最終的には、上述したとおり、凸部111の側面上における化合物半導体層の結晶成長によって、表面が{111}B面から構成された化合物半導体層171が凸部111の側面上に形成される。一方、素子製造用基板110の凹部面上には、表面が{100}面から構成された化合物半導体層172が形成され、凸部上層111Bの頂面上には、表面が{100}面から構成された化合物半導体層174が、{111}B非成長面の形成を伴って形成される。尚、この{111}B非成長面の形成は、上述したとおり、{111}B非成長面の形成を伴った側面111bの結晶成長とは別個独立しており、発生している場所が異なっていることは云うまでもない。
そして、図4(C)に示すように、最終的には、凸部111周辺における全ての結晶成長に関して、化合物半導体層172、化合物半導体層173及び化合物半導体層174の3箇所で結晶成長が進行する。その結果、{111}B面は非成長面であるが故に、第1化合物半導体層121、活性層123、第2化合物半導体層122A,122Bは、凸部111の上の領域と、素子製造用基板110の凹部面上の領域とでは、分断された状態で形成(積層)される。こうして、図5の(A)に示す構造を得ることができる。尚、凸部111の頂面の幅WUと凸部111の高さ(HU+HD)との比率を適切に選択することによって、図5の(A)に示すように、断面形状が二等辺三角形状の発光部が完成した時点において、第2化合物半導体層122の位置(高さ)が、活性層123の位置(高さ)よりも低いところに位置するような構造とすることが可能になる。そして、その結果、活性層123の側面に電流ブロック層を確実に形成することが可能となるので、電流パスを活性層に集中させる構造が得られる。また、高さ(HU+HD)におけるHU,HDのそれぞれの構成比率を適切に選択することによって、上述したように、2つの側面111b,111aの消滅するタイミングを早期に生じさせることや、消滅の順番を制御することが可能となる。特に、傾斜角θDを保持したまま結晶成長する側面111aを消滅させるタイミングが遅れ、側面111aがいつまでも残った状態でその他の面の結晶成長が続くと、最終的に側面111aを消滅させることができたとしても、図6に示す電流ブロック層140と活性層123の側面との間に、傾斜角θDを有する面がスパイク状に挿入された構造となる場合がある。このような構造が形成されてしまうと、電流リークの原因となる。従って、高さ(HU+HD)におけるHU,HDのそれぞれの構成比率は、電流リーク防止のために重要な役割を果たしている。凸部111の頂面においては、第1化合物半導体層121、活性層123、第2化合物半導体層122A,122Bの厚さを適切に選択することで、凸部111の上に、{111}B面非成長面を二辺とする断面が二等辺三角形である発光部120の積層構造を得ることができる。
[工程−120]
その後、積層構造体120’上に、発光部120を構成する活性層123の側面を少なくとも覆う電流ブロック層140を形成する。具体的には、第2化合物半導体層122Bの形成に連続して、全面に、電流ブロック層位置調整層130をMOCVD法に基づき形成し、更に、例えば、電流ブロック層140を、順次、MOCVD法に基づき形成する(図6参照)。電流ブロック層140は、{111}B面上には結晶成長しない。また、電流ブロック層140の端面が、少なくとも活性層123の側面を覆うように、電流ブロック層140を形成する。このような構成、構造は、凸部上層111Bの頂面の幅WUと凸部111の高さ(HU+HD)、電流ブロック層位置調整層130の厚さを適切に選択することで達成することができる。このときの効果も、上述したとおりである。
[工程−130]
次いで、全面に、埋込層131及びコンタクト層(キャップ層)132を、順次、MOCVD法に基づき形成する。尚、MOCVDを継続すると、やがて素子製造用基板110の凹部面の上方において結晶成長する化合物半導体から成る埋込層131が、自己成長停止している発光部120を完全に埋め尽くすようになる。その後、コンタクト層132に平坦化処理を施す。そして、平坦化されたコンタクト層132上に第2電極152を真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図7に示す構造を得ることができる。尚、第2電極152を、所望に応じてパターニングしてもよい。
[工程−140]
次に、第2電極152を介して素子製造用基板110を支持基板180に貼り合わせる。具体的には、支持基板180の表面に設けられた金属層181と第2電極152とを密着させる。そして、金属層181と第2電極152とを金属−金属接合法に基づき接合する。より具体的には、1気圧乃至10気圧程度の圧力を金属層181と第2電極152との間に加えて熱圧着する方法によって、均一な貼り合わせを行うことができる。尚、B、Al、Ga、In、Sn、Ag等を含んだ接着用部材を貼り合わせ面の間に介在させてもよい。
[工程−150]
その後、素子製造用基板110を除去する。具体的には、アンモニア溶液+過酸化水素水、硫酸溶液+過酸化水素水、塩酸溶液+過酸化水素水、リン酸溶液+過酸化水素水等を用い、各溶液の混合比を変えることによって、種々の不純物の含有量に応じた酸化還元反応を調整することで、素子製造用基板110をエッチングすることができる。
[工程−160]
次いで、第1化合物半導体層121と電気的に接続された第1電極151を形成する。具体的には、第1化合物半導体層121の適切な部位に第1電極151を真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図1に示した構造を有する実施例1の半導体発光素子を得ることができる。尚、半導体発光素子を1つずつ分離してもよいし、多数個(例えば、4個、8個、16個等)を1群として纏めて、各群を相互に分離してもよい。尚、第1電極151の位置や第1電極151を構成する材料が光取り出しの妨げとならないよう、逆台形状の凹部における第1電極151の形成を出来る限り避け、あるいは又、第1電極151を透明導電材料から構成することで、第1電極151での光の吸収を出来る限り減らすことが好ましい。
実施例1にあっては、発光部120を形成するために凸部111を形成する。ところで、凸部111は、凸部上層111Bと凸部下層111Aの2層構造を有する。従って、凸部上層111Bの頂面の幅WUと、凸部上層111Bの高さHU、凸部下層111Aの高さHDを、幅広く選択し、組み合わせることができる。また、上述したとおり、発光部120の高さ(大きさ)は凸部上層111Bの幅WUによって規定されるが、素子製造用基板110の凹部面から凸部111の頂面までの高さ(HU+HD)とその高さにおける頂面の幅WUとの比であるアスペクト比{(HU+HD)/WU}を、所望のアスペクト比の範囲内に、素子製造用基板110のウェットエッチングの制御によって調整することができる。即ち、活性層123の側面に電流ブロック層140の形成を可能にするためには、所望の活性層123の幅に対応した凸部111のアスペクト比(例えば、『高さ/幅』の値)には或る範囲が存在するので、その範囲にアスペクト比を収めなければならないが、係るアスペクト比の設計自由度が高い。それ故、アスペクト比の最適化を図ることで、活性層123の側面に電流ブロック層140を形成することができなくなるといった問題の発生を抑制することができる。このように、従来、素子製造用基板110のエッチング(制御に揺らぎのあるエッチング)によって得られる凹凸基板のアスペクト比は、凸部の幅や高さに関して、素子製造用基板内でバラツキが生じ、その結果、一部の素子製造用基板の領域においては、凸部の頂面上に形成した発光部における活性層の側面に電流ブロック層を形成することができないといった問題が生じていた。然るに、実施例1にあっては、所望の活性層123の幅に対応した所望の凸部111のアスペクト比を、素子製造用基板110のウェットエッチングの制御によって行うことが可能となり、素子製造用基板内の凹凸構造の面内均一性に関して、大幅な改善が可能となった。更には、高集積化のために凸部111の形成ピッチを小さくしても、活性層123で発生した光が素子製造用基板110で吸収されないし、凸部111のアスペクト比を、所望のアスペクト比の範囲内に制御することができるので、活性層123の側面に電流ブロック層140を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる結果、半導体発光素子の高集積化を達成することができる。
また、実施例1にあっては、そもそも、素子製造用基板110が除去されるので、活性層123で発生した光が、素子製造用基板110で吸収されることがない。その結果、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を防止することができるし、半導体発光素子の高集積化を確実に達成することができる。更には、素子製造用基板110を除去するので、半導体発光素子の直列抵抗値を低減することができる。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2にあっては、凸部の形成後、発光部及び積層構造体を形成する前に、全面にエッチングストップ層を形成する。
具体的には、実施例2の半導体発光素子の製造方法にあっては、先ず、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行し、[工程−110]と同様の工程において、ウェットエッチング法に基づきマスク層161を除去した後、全面に、例えば、Al0.3Ga0.7から成るエッチングストップ層191を形成する。
次いで、エッチングストップ層191上の凸部111の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る発光部120を形成し、併せて、凸部111が形成されていない素子製造用基板110の主面の部分(凹部面,露出面)の上のエッチングストップ層191上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層121、活性層123、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層122が順次積層されて成る積層構造体120’を形成する。
実施例1の[工程−120]と同様の工程が完了した時点の素子製造用基板等の模式的な一部断面図を図8に示す。
従来の技術にあっては凸部の側面は、非成長面である{111}B面から構成されている。従って、例えば、Al0.3Ga0.7で代表されるAs材料系の化合物半導体層をエッチングストップ層として用いようとした場合、この材料系は、{111}B面で結晶成長することができないので、凸部の両側面の一部が被覆されず、結果的にエッチングストップ層の役割を果たすことができない(図12の素子製造用基板等の模式的な一部断面図を参照)。一方、実施例2にあっては、図8に示すように、凸部111の側面111a,111bは、{111}B面から構成されておらず、凸部上層111Bと凸部下層111Aの安定した2つのエッチング面であり、しかも、非成長面ではなく、結晶成長面から構成されている。従って、凸部111の側面111a,111bの上にもエッチングストップ層191は形成される。その結果、凸部111の両側面の全てがエッチングストップ層191によって確実に被覆される。
尚、どのタイミングでエッチングストップ層191の結晶成長から第1化合物半導体層121の結晶成長へと切り替えるかによって、凸部側面を覆うエッチングストップ層191の形状が変化し得るが、いずれにせよ、凸部111の側面111a,111bを覆うエッチングストップ層191の形状が、図4(A)、図4(B)あるいは図4(A)と図4(B)との中間的な工程に位置する形状となることは云うまでもない。また、活性層123がSbあるいはBiを含有する場合、前述したとおり、エッチングストップ層に用いる材料に、少なくともAlSbあるいはAlBiを含有する層を含ませることによって、エッチングストップ層としての機能を得ることが可能である。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した半導体発光素子の構成、構造、半導体発光素子を構成する材料、半導体発光素子の製造条件や各種数値は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたが、これとは逆に、第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよい。また、フレア・ストライプ構造を採用してもよい。あるいは又、素子製造用基板を除去するが、素子製造用基板の一部を残しておき、係る残された素子製造用基板の一部をコンタクト層として用い、係る残された素子製造用基板の一部の上に第1電極を形成してもよい。
図1は、実施例1の半導体発光素子であるSDH型半導体レーザの模式的な一部断面図である。 図2の(A)〜(C)は、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。 図3は、図2の(C)に引き続き、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図であり、凸部の模式的な一部断面図である。 図4の(A)〜(C)は、実施例1の半導体発光素子の製造において、積層構造体が結晶成長していく過程を模式的に示す、素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。 図5の(A)は、図4の(C)に引き続き、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図であり、図5の(B)は、化合物半導体層の詳細を説明するために化合物半導体層の一部を拡大した模式的な一部断面図である。 図6は、図5の(A)に引き続き、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。 図7は、図6に引き続き、実施例1の半導体発光素子であるSDH型半導体レーザの製造工程における模式的な一部断面図である。 図8は、実施例2の半導体発光素子であるSDH型半導体レーザの製造工程における実施例1の[工程−120]と同様の工程が完了した時点の素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。 図9の(A)及び(B)は、従来の半導体発光素子における問題点を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。 図10の(A)及び(B)は、従来の半導体発光素子における別の問題点を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。 図11の(A)〜(C)は、従来の半導体発光素子における問題点を纏めた素子製造用基板等の概念図である。 図12は、エッチングストップ層を有する従来の半導体発光素子の製造方法における問題点を説明するための素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
符号の説明
110・・・素子製造用基板、111・・・凸部、111A・・・凸部下層、111a・・・凸部下層の側面、111B・・・凸部上層、111b・・・凸部上層の側面、120・・・発光部、120’,・・・積層構造体、121・・・第1化合物半導体層、122・・・第2化合物半導体層、123・・・活性層、130,・・・電流ブロック層位置調整層、131,・・・埋込層、132,・・・コンタクト層(キャップ層)、140,・・・電流ブロック層、151・・・第1電極、152・・・第2電極、161・・・マスク層、171,172,173,174・・・化合物半導体層、180・・・支持基板、181・・・金属層、191・・・エッチングストップ層

Claims (8)

  1. (A){100}面を主面として有する素子製造用基板の該主面に、素子製造用基板の<110>方向と平行に延びる凸部を形成し、次いで、
    (B)凸部の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る発光部を形成し、併せて、凸部が形成されていない素子製造用基板の主面の部分に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る積層構造体を形成し、その後、
    (C)該積層構造体上に、発光部を構成する活性層の側面を少なくとも覆う電流ブロック層を形成し、次に、
    (D)全面にコンタクト層を形成し、該コンタクト層上に第2電極を形成した後、
    (E)第2電極を介して素子製造用基板を支持基板に貼り合わせ、次いで、素子製造用基板を除去し、その後、
    (F)第1化合物半導体層と電気的に接続された第1電極を形成する、
    工程を具備し、
    前記工程(A)は、
    (a)素子製造用基板の主面に、<110>方向と平行に延びるマスク層を形成した後、
    (b)マスク層をエッチング用マスクとして用いて、エッチング液を用いたウェットエッチング法にて素子製造用基板の主面をエッチングし、{110}面で切断したときの断面形状が、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、側面の傾斜角がθUである凸部上層を形成し、次いで、
    (c)エッチング液の温度を変えて、マスク層及び凸部上層の側面をエッチング用マスクとして用いて、素子製造用基板の主面をウェットエッチング法にて更にエッチングし、{110}面で切断したときの断面形状が、底辺の長さが上辺の長さよりも長い等脚台形であり、且つ、側面の傾斜角がθD(但し、θD≠θU)である凸部下層を形成する、
    各工程から成る半導体発光素子の製造方法。
  2. 凸部上層を{110}面で切断したときの断面形状における底辺は、凸部下層を{110}面で切断したときの断面形状における上辺であり、
    凸部の側面が(111)B面であるときの側面の傾斜角をθ111Bとしたとき、
    θD≦θ111B≦θU(但し、θD≠θU
    を満足する請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
  3. 前記工程(b)におけるエッチング液の温度は、前記工程(c)におけるエッチング液の温度よりも高い請求項2に記載の半導体発光素子の製造方法。
  4. 凸部上層の厚さをHU、凸部下層の厚さをHDとしたとき、
    U/(HU+HD)≧0.5
    を満足する請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
  5. U/(HU+HD)≧0.7
    を満足する請求項4に記載の半導体発光素子の製造方法。
  6. 凸部上層の厚さをHU、凸部下層の厚さをHD、凸部上層の幅をWUとしたとき、
    (HU+HD)/WU≧0.4
    を満足する請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
  7. (HU+HD)/WU≧0.9
    を満足する請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記工程(A)に引き続き、全面にエッチングストップ層を形成する請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
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