本発明は、半導体発光素子及びその製造方法に関する。
低閾値電流Ithを有する半導体レーザとして、1回のエピタキシャル成長工程によって形成し得るSDH(Separated Double Hetero Junction)構造を有する半導体レーザ(以下、SDH型半導体レーザと呼ぶ)が、例えば、特許第2990837号から周知である。
このSDH型半導体レーザにおいては、先ず、主面として{100}面を有する基板に、{110}A面方向に延びる凸部を形成する。そして、この基板の主面上において結晶成長を行うと、凸部の頂面である{100}面(便宜上、凸部頂面と呼ぶ)の上に化合物半導体層が積層されて成る発光部が形成される。発光部は、例えば、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層された構造を有する。凸部の延びる方向に対して垂直方向の仮想平面でこの発光部を切断したときの断面形状は例えば二等辺三角形であり、発光部の側面(斜面)は{111}B面から構成されている。一般に、MOCVD法(MOVPE法とも呼ばれる)においては、特殊な結晶成長条件を除けば、{111}B面は非成長面として知られている。従って、SDH型半導体レーザの場合、側面が{111}B面である発光部が形成されると、その後、MOCVDを継続しても、発光部の結晶成長は「自己成長停止」が保持される。ここで、{111}B面の傾斜角(α)は、54.7度である。
尚、結晶面の表記、
を、便宜上、本明細書においては、(hkl)面、(hk−l)面と表記し、以下に例示する方向の表記、
を、便宜上、本明細書においては、[hkl]方向、[hk−l]方向と表記する。
一方、凸部を除く基板の主面である{100}面の部分(便宜上、凹部面と呼ぶ)においては、非成長面が存在しないので、MOCVDを継続すると、やがて凹部面から結晶成長する化合物半導体層が、自己成長停止している発光部を完全に埋め尽くすようになる。凹部面から結晶成長した化合物半導体層は、第2化合物半導体層上に、電流ブロック層位置調整層、電流ブロック層、及び、埋込層が順次形成された構造を有する。ここで、通常、電流ブロック層位置調整層の厚さを制御することによって、凹部面から結晶成長する化合物半導体層が発光部を埋め尽くす前の途中段階で(特に、発光部に形成された活性層の両側面近傍に差掛かったときに)、電流ブロック層を形成することにより、発光部の活性層のみに電流注入が可能な構造を形成することができる。
このように、SDH型半導体レーザにおいては、1回の結晶成長工程に基づき各化合物半導体層を形成することができ、しかも、発光部内で活性層を上下で挟む化合物半導体層(第1化合物半導体層及び第2化合物半導体層)に用いる材料や、発光部の外側に位置する電流ブロック層や埋込層、電流ブロック層位置調整層に用いる材料として、エネルギーバンドギャップが活性層よりも十分に高い材料、即ち、低屈折率の材料を選択することにより、光閉込めに好都合な化合物半導体層によって活性層を完全に囲むことが可能となる。そして、これによって、凸部の端面を光出射面として有する半導体レーザから出射されたビーム形状を、真円に近づけることができる。即ち、ファー・フィールド・パターン(Far Field Pattern,FFP)において、
θ//≒θ⊥
を達成することができる。
あるいは又、例えば、レンズとのカップリング効率等に依っては、半導体レーザから出射されたビーム形状を楕円とすることが求められる場合がある。このような場合には、例えば、凸部の端面付近の幅を拡げた、所謂フレア・ストライプ構造を採用することにより(例えば、特許第3399018号参照)、FFPのθ//を小さく制御することができる。しかも、フレア・ストライプ構造を採用することにより、高光出力を達成することができる。
ところで、上述したとおり、SDH型半導体レーザにおいては、先ず、主面として{100}面を有する基板に、{110}A面方向に延びる凸部を形成する(図34の(A)参照)。従って、発光部の大きさは、凸部の幅(WP)によって規定される。一方、活性層の幅(WA)は、SDH型半導体レーザの仕様に基づき決定される。それ故、凸部の幅(WP)が狭い場合、所望の幅(WA)の活性層を形成したとき、活性層から凸部までの距離(H1)が自ずと短くなる(図34の(B)参照)。ここで、H1,WP,WAには、以下の関係がある。
H1={(WP−WA)/2}×tan(α)
そして、活性層から凸部までの距離(H1)が短い場合、活性層で発生した光が凸部を構成する基板に吸収され、光閉込め効果が不完全となり、発光効率(光出力/注入電流にて表されるスロープ効率)が低下してしまうといった問題がある。従って、現状では、例えば、活性層の幅を1.2μmとした場合、距離(H1)の最低値は約1.4μmである。
また、発光部の高さ(H2)も、凸部の幅(WP)によって規定される。ここで、H2,WPには、以下の関係がある。
H2=(WP/2)×tan(α)
そこで、図35の(A)に図示するように、凸部の高さ(H0)が低く、凸部の幅(WP)が広い、所謂低アスペクト比の凸部に基づきSDH型半導体レーザを製造した場合、図35の(B)に図示するように、活性層の側面に電流ブロック層を形成する余地が無くなってしまう場合がある。
更には、SDH型半導体レーザの高集積化を試みた場合、即ち、単位面積当たりのSDH型半導体レーザの個数を増加させる場合、即ち、図36の(A)に示すようなSDH型半導体レーザの形成ピッチPT1を形成ピッチPT2に縮小しようとした場合、発光部の大きさ(例えば、WAの値)を小さくする必要があるが、このような場合、活性層の幅を一定に保つには、図36の(B)に示すように、活性層から凸部までの距離をH1からH1’へと短くしなければならないので、やはり、上述した問題が生じてしまう。あるいは又、光が凸部を構成する基板に吸収されないように、活性層から凸部までの距離を充分に確保するには、図36の(C)に示すように、凸部の高さをH0からH0’へと低くしなければならないので、やはり、上述した問題が生じてしまう。
従って、本発明の目的は、発光部を形成するための基部の設計自由度を高くすることができ、高い発光効率を得ることができ、しかも、高集積化を達成し得る半導体発光素子、及び、係る半導体発光素子を製造する方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る半導体発光素子は、
(A){100}面を主面として有する発光素子製造用基板の該主面に形成され、発光素子製造用基板の<110>方向と平行に延びる凸部、
(B)少なくとも凸部を覆う下地層、
(C)下地層の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る発光部、並びに、
(D)凸部が形成されていない発光素子製造用基板の主面の部分に形成され、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、並びに、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る積層構造体、及び、該積層構造体上に形成され、発光部を構成する活性層の側面を少なくとも覆う電流ブロック層、
を具備した半導体発光素子であって、
下地層は、凸部を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成り、
凸部を覆う下地層の部分を発光素子製造用基板の前記<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの下地層表面の断面形状は台形の一部を構成し、該台形の2つの斜辺に相当する下地層の斜面は{111}B面であり、台形の上辺に相当する下地層の頂面は{100}面であることを特徴とする。
尚、本発明の第1の態様に係る半導体発光素子において、下地層は少なくとも凸部を覆っているが、具体的には、下地層が凸部を覆っている形態、並びに、下地層が、凸部、及び、凸部が形成されていない発光素子製造用基板を覆っている形態(即ち、下地層が全面を覆っている形態)を挙げることができる。
また、上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る半導体発光素子の製造方法は、
(a){100}面を主面として有する発光素子製造用基板の該主面に<110>方向に延びる凸部を形成し、次いで、
(b)少なくとも凸部上に、凸部を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る下地層をエピタキシャル成長させ、以て、凸部上において、発光素子製造用基板の前記<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの表面の断面形状が台形の一部を構成し、該台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面である下地層を得た後、
(c)下地層の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る発光部を形成し、併せて、凸部が形成されていない発光素子製造用基板の主面の部分に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る積層構造体を形成し、その後、
(d)該積層構造体上に、発光部を構成する活性層の側面を少なくとも覆う電流ブロック層を形成する、
工程を具備することを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る半導体発光素子あるいはその製造方法(以下、これらを総称して、単に、『本発明の第1の態様』と呼ぶ)にあっては、
第1のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
第2のIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体である形態とすることができ、この場合、具体的には、
第1のIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができ、
第2のIII−V族化合物半導体材料として、InP系化合物半導体(より具体的には、例えば、GaInP、AlGaInP、又は、AlInP)を挙げることができる。
あるいは又、本発明の第1の態様にあっては、
下地層は、第2のIII−V族化合物半導体材料から成る第1下地層と、第2のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第3のIII−V族化合物半導体材料から成る第2下地層とが、順次、積層された構造を有し、
第1のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
第2のIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体であり、
第3のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
第2下地層は、第1下地層の頂面上に形成され、且つ、第1下地層の斜面上には形成されない形態とすることができ、この場合、具体的には、
第1のIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができ、
第2のIII−V族化合物半導体材料として、InP系化合物半導体(より具体的には、例えば、GaInP、AlGaInP、又は、AlInP)を挙げることができ、
第3のIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができる。
ここで、下地層を構成する第1下地層と第2下地層の積層形態として、下から順に、
凸部、第1下地層、第2下地層
凸部、第1下地層、第2下地層、第1下地層
凸部、(第1下地層、第2下地層)j
凸部、(第1下地層、第2下地層)j、第1下地層
を例示することができる。尚、j=2,3・・・Jであり、(第1下地層、第2下地層)jとは、(第1下地層、第2下地層)の組がj組、積層されていることを意味し、例えば、j=3の場合、
凸部、第1下地層、第2下地層、第1下地層、第2下地層、第1下地層、第2下地層
である。以下においても同様である。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る半導体発光素子は、
(A)支持基板、
(B)支持基板上に、第2電極を介して配置されたコンタクト層、
(C)コンタクト層上に配置され、第2導電型を有する第2化合物半導体層、活性層、及び、第1導電型を有する第1化合物半導体層が順次積層されて成る発光部、
(D)コンタクト層上に配置され、発光部を構成する活性層の側面を少なくとも覆う電流ブロック層、並びに、該電流ブロック層上に配置され、発光部の側面を覆い、第2導電型を有する第2化合物半導体層、活性層、及び、第1導電型を有する第1化合物半導体層が順次積層されて成る積層構造体、並びに、
(E)第1化合物半導体層と電気的に接続された第1電極、
を具備した半導体発光素子であって、
発光部は、発光部を構成する化合物半導体層の<110>方向と平行に延びており、
該<110>方向に垂直な仮想平面で発光部を切断したときの発光部の断面形状は逆二等辺三角形であり、該逆二等辺三角形の2つの斜辺に相当する発光部の斜面は{111}B面であり、該逆二等辺三角形の底辺に相当する発光部の頂面は{100}面であり、
該逆二等辺三角形の底辺に相当する発光部の頂面から支持基板までの距離をD1、積層構造体の頂面から支持基板までの距離をD2としたとき、D1<D2であることを特徴とする。ここで、逆二等辺三角形とは、逆二等辺三角形の2つの斜辺の交点である頂点が、逆二等辺三角形の底辺よりも、支持基板側に位置していることを意味する。
本発明の第2の態様に係る半導体発光素子にあっては、少なくとも積層構造体の頂面は、発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料とは異なるIII−V族化合物半導体材料から成る下地層で覆われており、第1電極は下地層上に配置されている形態とすることができる。尚、積層構造体の頂面から発光部の頂面に亙り下地層で覆われている形態とすることもできる。あるいは又、積層構造体の頂面から発光部の側面に亙り下地層で覆われている形態(発光部の頂面は露出している状態)とすることもできるし、積層構造体の頂面が下地層で覆われている形態(発光部の頂面及び側面は露出している状態)とすることもできる。また、第1電極は、露出した発光部の頂面上に形成されている形態、あるいは又、露出した発光部の側面上に形成されている形態、あるいは又、露出した発光部の頂面及び側面上に形成されている形態とすることもできる。そして、これらの場合、
発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
下地層を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体である形態とすることができ、具体的には、
発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができ、
下地層を構成するIII−V族化合物半導体材料として、InP系化合物半導体(より具体的には、例えば、GaInP、AlGaInP、又は、AlInP)を挙げることができる。あるいは又、この場合、
発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
下地層を構成するIII−V族化合物半導体材料も、As含有化合物半導体である形態とすることができ、この場合、具体的には、
発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができ、
下地層を構成するIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができる。
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る半導体発光素子の製造方法は、
(a){100}面を主面として有する発光素子製造用基板の該主面に<110>方向に延びる凸部を形成し、次いで、
(b)少なくとも凸部上に、凸部を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る下地層をエピタキシャル成長させ、以て、凸部上において、発光素子製造用基板の前記<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの表面の断面形状が台形の一部を構成し、該台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面である下地層を得た後、
(c)下地層の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る発光部を形成し、併せて、凸部が形成されていない発光素子製造用基板の主面の部分に、第1導電型を有する第1化合物半導体層、活性層、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層が順次積層されて成る積層構造体を形成し、その後、
(d)該積層構造体上に、発光部を構成する活性層の側面を少なくとも覆う電流ブロック層を形成し、次に、
(e)全面にコンタクト層を形成し、該コンタクト層上に第2電極を形成した後、
(f)第2電極を介して発光素子製造用基板を支持基板に貼り合わせ、次いで、凸部を含む発光素子製造用基板を除去し、その後、
(g)第1化合物半導体層と電気的に接続された第1電極を形成する、
工程を具備することを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る半導体発光素子の製造方法にあっては、
第1のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
第2のIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体であり、
発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体である形態とすることができ、この場合、具体的には、
第1のIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができ、
第2のIII−V族化合物半導体材料として、InP系化合物半導体(より具体的には、例えば、GaInP、AlGaInP、又は、AlInP)を挙げることができ、
発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができる。
あるいは又、本発明の第2の態様に係る半導体発光素子の製造方法にあっては、
下地層は、第2のIII−V族化合物半導体材料から成る第1下地層と、第2のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第3のIII−V族化合物半導体材料から成る第2下地層とが、順次、積層された構造を有し、
第1のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
第2のIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体であり、
第3のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、
第2下地層は、第1下地層の頂面上に形成され、且つ、第1下地層の斜面上には形成されない形態とすることができ、この場合、具体的には、
第1のIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができ、
第2のIII−V族化合物半導体材料として、InP系化合物半導体(より具体的には、例えば、GaInP、AlGaInP、又は、AlInP)を挙げることができ、
第3のIII−V族化合物半導体材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができる。また、下地層は、第1下地層と第2下地層の2層構造を有し、前記工程(f)に引き続き、第1下地層を除去する構成とすることもできる。尚、第1下地層の除去は、第1下地層の一部分の除去とする形態とすることもできる。
また、本発明の第1の態様、あるいは又、本発明の第2の態様に係る半導体発光素子の製造方法にあっては、下地層は、第2のIII−V族化合物半導体材料から成る第1下地層及び第2下地層が、エピタキシャル成長法に基づき、順次、積層された構造を有し、
第1下地層の{111}B面の結晶成長速度をRt1-111B、第1下地層の{100}面の結晶成長速度をRt1-100、第2下地層の{111}B面の結晶成長速度をRt2-111B、第2下地層の{100}面の結晶成長速度をRt2-100としたとき、
(Rt1-111B/Rt1-100)≠(Rt2-111B/Rt2-100)
である構成とすることができる。尚、このような結晶成長速度の要件は、第1下地層及び第2下地層をエピタキシャル成長法させるときの下地(例えば、発光素子製造用基板)の温度設定を最適化することで達成することができる。尚、
(Rt1-111B/Rt1-100)>(Rt2-111B/Rt2-100)
であってもよいし、
(Rt1-111B/Rt1-100)<(Rt2-111B/Rt2-100)
であってもよい。
ここで、下地層を構成する第1下地層と第2下地層の積層形態として、下から順に、
凸部、第1下地層、第2下地層
凸部、第1下地層、第2下地層、第1下地層
凸部、(第1下地層、第2下地層)j
凸部、(第1下地層、第2下地層)j、第1下地層
を例示することができる。
また、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体発光素子の製造方法にあっては、前記工程(a)は、
(a−1){100}面を主面として有する発光素子製造用基板の該主面上に前記<110>方向に延びる複数の選択成長用マスク層を形成し、選択成長用マスク層と選択成長用マスク層との間に発光素子製造用基板の主面の一部分を露出させ、次いで、
(a−2)露出した発光素子製造用基板の主面の部分の上に、発光素子製造用基板の該<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの断面形状が台形であって、該台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面であり、第1のIII−V族化合物半導体から成る凸部をエピタキシャル成長させた後、選択成長用マスク層を除去する、
工程から成る形態とすることができる。ここで、選択成長用マスク層を構成する材料として、SiO2、SiN、SiONといった半導体酸化物層あるいは半導体窒化物層、高融点金属層、高融点金属酸化物層、高融点金属窒化物層を例示することができる。そして、選択成長用マスク層の形成方法として、スパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)を挙げることができる。選択成長用マスク層の除去は、選択成長用マスク層を構成する材料に依存して、ウエットエッチング法を採用してもよいし、ドライエッチング法を採用してもよい。
尚、この形態にあっては、選択エピタキシャル成長をさせるべき凸部を構成する材料として、GaAs系化合物半導体を挙げることができる。また、n型導電型を有する凸部のエピタキシャル成長において使用される原料には、凸部をn型導電型とするために、不純物として、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物、及び、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物が添加されている形態とすることができる。ここで、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物は、ケイ素及び錫から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物であり、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物は、セレン、テルル及びイオウから成る群から選択された少なくとも1種類の不純物である形態とすることができる。また、発光素子製造用基板はn型導電型を有する構成とすることができる。あるいは又、p型導電型を有する凸部のエピタキシャル成長において使用される原料には、凸部をp型導電型とするために、不純物として、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物、及び、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物が添加されている形態とすることができる。ここで、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物は、亜鉛、マグネシウム、ベリリウム及びマンガンから成る群から選択された少なくとも1種類の不純物であり、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物は炭素である形態とすることができる。また、発光素子製造用基板はp型導電型を有する構成とすることができる。
以下の説明において、セレン(Se)、テルル(Te)及びイオウ(S)という3種類の不純物から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物を、便宜上、第VI族不純物と呼び、ケイ素(Si)及び錫(Sn)という2種類の不純物から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物を、便宜上、第IV族不純物と呼び、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)及びマンガン(Mn)という4種類の不純物から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物を、便宜上、第II族不純物と呼ぶ。
あるいは又、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体発光素子の製造方法にあっては、前記工程(a)は、
(a−1){100}面を主面として有する発光素子製造用基板の該主面上に前記<110>方向に延びる複数のエッチング用マスク層を形成し、エッチング用マスク層とエッチング用マスク層との間に発光素子製造用基板の主面の一部分を露出させ、次いで、
(a−2)露出した発光素子製造用基板の主面の部分をエッチングし、以て、発光素子製造用基板の一部から成る凸部を得た後、エッチング用マスク層を除去する、
工程から成る形態とすることができる。尚、エッチングとして、ウエットエッチング法、及び、RIE法を含むドライエッチング法を挙げることができ、また、それ以外の方法として、サンドブラスト法を挙げることができる。ウエットエッチング法を採用した場合と、RIE法を含むドライエッチング法を採用した場合では、得られた凸部の断面形状が異なる場合がある。ここで、エッチング用マスク層を構成する材料として、SiO2、SiN、SiON、W、Ti、Cr、TiW、TiN、CrN、TiWN等、発光素子製造用基板を構成する材料と比較的、エッチング選択比が取り易い材料を挙げることができる。また、エッチング用マスク層の形成方法として、CVD法やスパッタリング法(ECRスパッタリング法を含む)を用いることができる。エッチング用マスク層の除去として、エッチング用マスク層を構成する材料に依存して、フッ酸系、硝酸系、リン酸系、硫酸系、塩酸系のエッチャントを、必要に応じて、適宜、組み合わせればよい。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の第2の態様に係る半導体発光素子あるいはその製造方法(以下、これらを総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある)において、下地層の表面の断面形状は台形であり、あるいは又、凸部の断面形状は台形である。ところで、台形にあっては、一般に、上辺と下辺が平行であるが、本発明にあっては、製造に起因して上辺と下辺が完全に平行ではない場合が生じ得るが、係る形状も『台形』に包含する。また、この台形の2つの斜辺に相当する下地層の斜面は{111}B面であるが、製造に起因して、{111}B面だけでなく、{111}B面以外の面が含まれる場合もある。更には、台形の上辺に相当する下地層の頂面は{100}面であるが、製造に起因して、{100}面だけでなく、{100}面以外の面が含まれる場合もある。更には、第2下地層は、第1下地層の頂面上に形成され、且つ、第1下地層の斜面上には形成されないが、より具体的には、第2下地層は、第1下地層の頂面において、少なくとも{100}面上に成長し、且つ、第1下地層の斜面において、少なくとも{111}B面上には成長しない。また、発光部の断面形状は逆二等辺三角形であるが、本発明にあっては、製造に起因して、正確な逆二等辺三角形ではない場合が生じ得るが、係る形状も『逆二等辺三角形』に包含する。更には、逆二等辺三角形の2つの斜辺に相当する発光部の斜面は{111}B面であるが、製造に起因して、{111}B面だけでなく、{111}B面以外の面が含まれる場合もある。また、逆二等辺三角形の底辺に相当する発光部の頂面は{100}面であるが、製造に起因して、{100}面だけでなく、{100}面以外の面が含まれる場合もある。
本発明において、下地層は、発光部から出射された光に対して透明である化合物半導体材料から成ることが好ましく、具体的には、発光部を構成するIII−V族化合物半導体材料がAs含有化合物半導体(具体的には、GaAs系化合物半導体)である場合、上述したとおり、少なくとも下地層の一部を構成するIII−V族化合物半導体材料として、InP系化合物半導体(具体的には、例えば、GaInP、AlGaInP、又は、AlInP)を挙げることができる。
本発明において、下地層を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg)は、発生した光の吸収を抑制するといった観点から、発生した光のエネルギーバンドギャップよりも高く、しかも、凸部を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg-0)よりも高いことが望ましい。尚、このような要件を、便宜上、『エネルギーバンドギャップ条件−A』と呼ぶ。
あるいは又、上記の好ましい形態を含む本発明において、下地層を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg)は、発生した光の吸収を抑制するといった観点から、発生した光のエネルギーバンドギャップよりも高く、しかも、第1化合物半導体層を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg-1)よりも高いことが望ましい。尚、このような要件を、便宜上、『エネルギーバンドギャップ条件−B』と呼ぶ。
尚、この場合、(凸部を構成するIII−V族化合物半導体,下地層を構成するIII−V族化合物半導体,第1化合物半導体層を構成するIII−V族化合物半導体)の組合せとして、エネルギーバンドギャップ条件−Aを満足する限りにおいて、あるいは、エネルギーバンドギャップ条件−Bを満足する限りにおいて、あるいは、エネルギーバンドギャップ条件−A及びエネルギーバンドギャップ条件−Bを同時に満足する限りにおいて、
組成−A:(GaAs,{Alx1Ga(1-x1)}x2In(1-x2)P,AlyGa(1-y)As)
[但し、0≦x1≦1,0≦x2≦1,0<y≦1であり、(GaAsのEg)<({Alx1Ga(1-x1)}x2In(1-x2)PのEg-0),({Alx1Ga(1-x1)}x2In(1-x2)PのEg)≧(AlyGa(1-y)AsのEg-1)]
を例示することができる。
更には、エネルギーバンドギャップ条件−Aを満足する限りにおいて、あるいは、エネルギーバンドギャップ条件−Bを満足する限りにおいて、あるいは、エネルギーバンドギャップ条件−A及びエネルギーバンドギャップ条件−Bを同時に満足する限りにおいて、凸部を構成するIII−V族化合物半導体としてGaSb(As)あるいはGaBi(As)を用いるとき、組成−Aにあっては、As(ヒ素)を含有する化合物半導体層の内、少なくとも1層において、Asよりも原子半径が大きく、しかも、蒸気圧が低いSb(アンチモン)あるいはBi(ビスマス)を含有する組成を挙げることができるし、あるいは又、As(ヒ素)を含有する化合物半導体層の内、少なくとも1層において、Asよりも原子半径が大きく、しかも、蒸気圧が低いSb(アンチモン)あるいはBi(ビスマス)でAsが置換されている組成を挙げることができる。
本発明において、発光素子製造用基板として、GaN基板、GaP基板、AlN基板、AlP基板、InN基板、InP基板、AlGaInN基板、AlGaN基板、AlInN基板、GaInN基板、AlGaInP基板、AlGaP基板、AlInP基板、GaInP基板、ZnS基板等を例示することができるが、特に、閃亜鉛鉱(ジンク・ブレンド)型の結晶構造を有する基板あるいは結晶膜が形成された基板を用いることが好ましく、ここで、ジンク・ブレンド型の結晶構造を有する基板を構成する原子として、少なくとも、As、SbあるいはBi等を挙げることができる。本発明にあっては、これらのAs、SbあるいはBi等の原子が添加ひいては混晶として含まれている光吸収性の高い基板における光吸収を抑制することができる結果、半導体発光素子の特性の高性能化、均一化を達成することができる。更には、これらの基板の表面(主面)に、バッファ層や中間層が形成されたものを発光素子製造用基板として用いることもできる。
第2電極を介した発光素子製造用基板と支持基板との貼り合わせ方法として、金属−金属接合法を挙げることができる。そして、この場合、支持基板として、金属−金属接合のための導電材料層(導電材料層には回路が形成されていてもよい)を表面に有する半導体基板や絶縁性基板を挙げることができる。ここで、絶縁性基板とは、樹脂、レジストあるいは誘電体といった絶縁材料で表面が被覆されている基板、あるいは又、それ自身が、樹脂、レジストあるいは誘電体といった絶縁材料で構成される基板を指す。貼り合わせ後のチップ化、ウェーハ分離等の容易性を考慮すると、支持基板として半導体基板を用いることが好ましく、例えば、GaAs基板、Ge基板、Si基板、SiC基板、GaP基板、InP基板を挙げることができる。仕様に応じて、適宜、n型導電性を有する半導体基板、あるいは、p型導電性を有する半導体基板、あるいは、半絶縁性を有する半導体基板を使い分ければよい。一方、放熱性を重視する場合、例えば、ガラス・エポキシプリント基板、メタルコア基板、セラミック基板を挙げることができるし、あるいは又、リードフレームに直接貼り合わせるか、実装する形態を挙げることもできる。導電材料層を構成する材料として、Au、Ag、Ti、W、Cr、In、Al、B、Ga、Zn、Sn、Mgを例示することができるし、あるいは又、これらの合金を挙げることができるし、更には、これらの酸化物、窒化物層を挙げることができる。導電材料層として、これらの材料から成る単層構造あるいは積層構造を挙げることができる。更には、第2電極を介した発光素子製造用基板と支持基板との貼り合わせ方法として、上述した金属−金属接合法以外にも、金属−誘電体接合法、金属−半導体接合法、半導体−半導体接合法等を挙げることができる。凸部を含む発光素子製造用基板の除去方法として、ウエットエッチング法やドライエッチング法を挙げることができる。凸部を含む発光素子製造用基板の除去時、下地層がエッチングストップ層として機能することが望ましく、上述した第1のIII−V族化合物半導体材料と第2のIII−V族化合物半導体材料の組合せは、下地層をエッチングストップ層として機能させるといった要請に合致する好ましい材料の組合せでもある。
本発明において、第2電極を介した発光素子製造用基板と支持基板との貼り合わせ方法としてAu−Au接合法といった金属−金属接合法を採用する場合であって、第2電極をn型電極とする場合、第2電極として、例えば、Au/Pt/Ti、Au/Pt/TiW(/Ti)、Au/Pt/TiW/Pd/TiW(/Ti)を挙げることができるし、第2電極をp型電極とする場合、例えば、Au/Ni/AuGe、Au/AuZn、Au/AuNi、Au/AuPd、Au/Pt/Ti(/Au)/AuZn、Au/Pt/TiW(/Ti)(/Au)/AuZn、Au/Pt/Ti(/Au)/AuNi、Au/Pt/TiW(/Ti)(/Au)/AuNi、Au/Pt/Ti(/Au)/Ni/AuGe、Au/Pt/TiW(/Ti)/Ni/AuGe、Au/Pt/Ti(/Au)/AuPd、Au/Pt/TiW(/Ti)(/Au)/AuPdを挙げることができる。尚、「/」の前の層ほど、発光部から離れたところに位置する。一方、第1電極をn型電極とする場合、第1電極として、例えば、Ti/Pt/Au、(Ti/)TiW/Pt/Au、(Ti/)TiW/Pd/TiW/Pt/Auを挙げることができるし、第1電極をp型電極とする場合、例えば、AuGe/Ni/Au、AuZn/Au、AuNi/Au、AuPd/Auを挙げることができる。尚、「/」の前の層ほど、発光部に近いところに位置する。あるいは又、第1電極を、ITO、IZO、ZnO:Al、ZnO:Bといった透明導電材料から構成することもできる。尚、透明導電材料から成る層を電流拡散層として用いて、第1電極をn型電極とする場合、あるいは、第1電極をp型電極とする場合に挙げた金属積層構造とを組み合わせてもよい。
本発明にあっては、半導体発光素子として、半導体レーザや発光ダイオード(LED)を挙げることができる。
本発明において、下地層や凸部のエピタキシャル成長法、活性層を含む各種化合物半導体層の形成方法(成膜方法)として、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法、MOVPE法)や有機金属分子線エピタキシー法(MOMBE法)、ハロゲンが輸送あるいは反応に寄与するハイドライド気相成長法(HVPE法)を挙げることができる。
本発明の第1の態様に係る半導体発光素子あるいはその製造方法にあっては、凸部を覆う下地層が形成されており、係る下地層は、凸部を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る。しかも、この下地層の斜面は{111}B面であり、下地層の頂面は{100}面である。従って、下地層の上に発光部を形成したとき、発光部は下地層の頂面上にのみ形成され、下地層の斜面上には形成されない。そして、幅の狭い下地層の上に所望の幅の活性層を形成したとき、活性層から下地層までの距離が短くなったとしても、活性層で発生した光が下地層で吸収されないように下地層を構成する材料を選択すればよいので、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を抑制することができる。また、発光部の高さも下地層の幅によって規定されるが、発光素子製造用基板の主面から下地層までの高さとその高さにおける頂面の幅との比であるアスペクト比を、所望のアスペクト比の範囲内に、成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)によって調整することができるので、活性層の側面に電流ブロック層を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる。更には、高集積化のために凸部の形成ピッチを小さくしても、活性層で発生した光が下地層で吸収されないように下地層を構成する材料を選択することができるので、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を抑制することができるし、発光素子製造用基板の主面から下地層までの高さとその高さにおける頂面の幅との比であるアスペクト比を、所望のアスペクト比の範囲内に、成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)によって調整し直すことができるので、活性層の側面に電流ブロック層を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる結果、半導体発光素子の高集積化を達成することができる。更には、一般に、下地層のエピタキシャル成長速度は、他の化合物半導体層のエピタキシャル成長速度よりも早いので、半導体発光素子の製造時間の短縮、ひいては、製造コストの低減を図ることができる。
特に、アスペクト比を調整し直す場合のポイントは、凸部の頂面である{100}面と、凸部の裾面(頂面以外の主面)の{100}面との間で、それぞれの{100}面上に下地層を成長した場合の成長速度に自然に差が生じることを、積極的に利用することにある。このような成長速度に差が生じる理由は、凸部の{100}頂面と、頂面以外の{100}主面において、供給原料密度に差が生じるからであり、更に、{111}B面を有する斜面における下地層の成長を極力抑制しながら、出来る限り{100}頂面の成長のみを促進させることによって、下地層の高さとその高さにおける下地層の頂面の幅との比であるアスペクト比を、元々の凸部のアスペクト比に対して、確実に所望の範囲に収まるように調整し直すことが可能になる。これにより、活性層の側面に電流ブロック層を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる。
また、本発明の第2の態様に係る半導体発光素子あるいはその製造方法にあっては、そもそも、発光素子製造用基板や凸部が除去されるので、活性層で発生した光が、発光素子製造用基板や凸部で吸収されることがない。その結果、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を防止することができるし、半導体発光素子の高集積化を達成することができる。更には、発光素子製造用基板や凸部を除去するので、半導体発光素子の直列抵抗値を低減することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る半導体発光素子及びその製造方法に関する。
実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例19においては、セレン(Se)、テルル(Te)及びイオウ(S)から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物(第VI族不純物)として、具体的には、セレン(Se)を使用し、ケイ素(Si)及び錫(Sn)から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物(第IV族不純物)として、具体的には、ケイ素(Si)を使用し、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)及びマンガン(Mn)から成る群から選択された少なくとも1種類の不純物(第II族不純物)として、具体的には、亜鉛(Zn)を使用するが、これらに限定するものではない。
また、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例19における半導体発光素子は、半導体レーザ、より具体的には、SDH型半導体レーザから構成されている。
実施例1の半導体発光素子の模式的な一部断面図を図1の(A)に示し、発光素子製造用基板、凸部及び下地層の模式的な一部断面図を図2に示すが、実施例1の半導体発光素子は、
(A){100}面を主面として有する発光素子製造用基板10のこの主面に形成され、発光素子製造用基板の<110>方向(具体的には、例えば[011]方向)と平行に延びる凸部(突起部)11、
(B)少なくとも凸部11を覆う(具体的には、全面を覆う)下地層12、
(C)下地層12の頂面上に、第1導電型(実施例1にあっては、n型)を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型(実施例1にあっては、p型)を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る発光部20、並びに、
(D)凸部11が形成されていない発光素子製造用基板10の主面の部分(発光素子製造用基板10の露出面と呼ぶ場合がある)に形成され、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る積層構造体20’、並びに、この積層構造体20’上に形成され、発光部20を構成する活性層23の側面を少なくとも覆う電流ブロック層40、
を具備している。
そして、下地層12は、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る。また、凸部11を覆う下地層12の部分を発光素子製造用基板10の前記<110>方向(具体的には、[011]方向)に垂直な仮想平面で切断したときの下地層12の表面の断面形状は台形の一部を構成し、この台形の2つの斜辺に相当する下地層12の斜面は{111}B面(具体的には、(11−1)B面及び(1−11)B面)であり、台形の上辺に相当する下地層12の頂面は{100}面(具体的には(100)面)である。即ち、下地層12は、所謂メサ構造を有し、具体的には、[011]方向に延びている。
より具体的には、実施例1にあっては、発光素子製造用基板10はn−GaAsから成り、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体(具体的には、例えば、n−GaAs:Se、あるいは、n−Alx1Ga(1-x1)As:Se[但し、0<x1≦1]であり、より具体的には、例えば、x1=0.1、或いは、x1=0.2、あるいは、x1=0.3、あるいは、x1=0.4、あるいは、x1=0.47等)であり、下地層12を構成する第2のIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体(具体的には、InP系化合物半導体、より具体的には、GaAsと格子整合させ易いn−{Alx1Ga(1-x1)}x2In(1-x2)P:Se[但し、0≦x1≦1,x2=0.5であり、具体的には、例えば、x1=0、あるいは、x1=0.1、あるいは、x1=0.2、あるいは、x1=0.3、あるいは、x1=1]である。また、第1化合物半導体層21は、As含有化合物半導体であるn−Al0.4Ga0.6As:Seから成る。従って、下地層12を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg)は、凸部11を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg-0)よりも高く、第1化合物半導体層21を構成する材料のエネルギーバンドギャップ(Eg-1)よりも高くなるといった、望ましい形態の組み合わせを得ることが可能である。
このように、下地層12は、凸部11の{111}B面上にも成長し、発光部20から出射された光(例えば、波長:780nm帯以上)に対して透明であり、しかも、凸部11と格子整合させることが可能である化合物半導体材料から成る。
また、第1電極51は、Ti/TiW/Pt/Au、から構成されており、第2電極52は、Au/Ni/AuGe又はAu/AuZnから構成されている。
更には、電流ブロック層40は、第1導電型(n型)を有する第3化合物半導体層43、及び、第2導電型(p型)を有し、第3化合物半導体層43に接した第4化合物半導体層44から構成されている。図面の簡素化のため、図面においては、同一の導電型あるいは同一の不純物サイトを有し、屈折率が異なる2層以上の層(例えば、2層の場合:第2化合物半導体層22A、第2化合物半導体層22B)を纏めて1層(第2化合物半導体層22)で表した。尚、図1の(B)に、第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44の一部を拡大した模式的な一部断面図を示す。実施例1の半導体発光素子における発光部20を構成する各化合物半導体層の組成、電流ブロック層40を構成する各化合物半導体層の組成の詳細は、後述する。
実施例1の半導体発光素子にあっては、発光素子製造用基板10に設けられた凸部11の頂面及び斜面上には第1導電型を有する下地層12が形成され、下地層12の頂面には、順次、第1導電型を有する下地層12、第1化合物半導体層21、活性層23、第2化合物半導体層22Aが形成され、第2化合物半導体層22A上には、更に、第2化合物半導体層22Bが形成され、頂点を形成している。ここで、{110}面で発光部20を切断したときの第2化合物半導体層22Bを含む発光部20の断面形状は二等辺三角形であり、発光部20の側面は、{111}B面(より具体的には、(11−1)B面及び(1−11)B面)から構成されている。第2化合物半導体層22Aと第2化合物半導体層22Bの組成を変えることで、断面形状が二等辺三角形の発光部20を正確に形成することができる。一般に、MOCVD法(MOVPE法とも呼ばれる)においては、特殊な結晶成長条件を除けば、{111}B面は、Asトリマーで覆われた非成長面として知られている。従って、SDH型半導体レーザの場合、斜面(側面)が{111}B面である発光部20が形成されると、その後、MOCVDを継続しても、発光部20の結晶成長は「自己成長停止」が保持される。{111}B面の角度は54.7度である。
一方、発光素子製造用基板10の露出面(主面)である{100}面(図示した例では、(100)面)の部分)にあっては、発光部20と同じ構造を有する積層構造体20’、電流ブロック層位置調整層30(実質的に第2化合物半導体層22の続きである)、電流ブロック層40、及び、埋込層(埋込み用クラッド層)31が順次形成されている。
また、全体は、第2導電型を有するGaAsから成るコンタクト層(キャップ層)32によって覆われている。そして、発光素子製造用基板10の裏面には、第1電極51が形成されており、コンタクト層(キャップ層)32上には第2電極52が形成されている。
実施例1の半導体発光素子の製造方法を、以下、説明する。
[工程−100]
先ず、{100}面を主面として有する発光素子製造用基板10のこの主面に<110>方向に延びる凸部11を形成する。
実施例1にあっては、具体的には、{100}面を主面として有する発光素子製造用基板10のこの主面上に<110>方向に延びる複数の選択成長用マスク層11Aを形成し、選択成長用マスク層11Aと選択成長用マスク層11Aとの間に発光素子製造用基板10の主面の一部分を露出させる。次いで、露出した発光素子製造用基板10の主面の部分の上に、発光素子製造用基板10のこの<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの断面形状が台形であって、この台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面であり、第1のIII−V族化合物半導体から成る凸部11をエピタキシャル成長させた後、選択成長用マスク層11Aを除去する。尚、この工程を、便宜上、『凸部のエピタキシャル成長法』と呼ぶ場合がある。
より具体的には、先ず、n−GaAsから成る発光素子製造用基板10の{100}結晶面、例えば(100)結晶面から成る主面上に、SiO2から成り、[011]A方向に延びる選択成長用マスク層11AをCVD法及びフォトリソグラフィ技術に基づき形成する(図4の(A)参照)。
次いで、例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)あるいはトリエチルアルミニウム(TEAl)をアルミニウム(Al)源の原料ガスとして用い、トリメチルガリウム(TMGa)あるいはトリエチルガリウム(TEGa)をガリウム(Ga)源の原料ガスとして用い、ターシャリー・ブチル・アルシン(TBAs)あるいはアルシン(AsH3)をヒ素(As)源の原料ガスとして用いる。また、n型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがIII族サイトである場合、ジシラン(Si2H6)、モノシラン(SiH4)あるいはトリメチルスズ(TMSn)を用いる。更には、n型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがV族サイトである場合、硫化化水素(H2S)、セレン化水素(H2Se)あるいはテルル化水素(H2Te)を用いる。そして、MOCVD法に基づき、これらのIII族ガス、V族ガス、不純物ガスを反応室に導入し、600゜C〜900゜Cの温度範囲で熱分解反応させて、高温成長させることによって、III族原料のマイグレーションを促進させ、{100}面の平坦性が高く、結晶品質が高い化合物半導体層をエピタキシャル成長させることができる。そして、これにより、所望の頂面の幅と高さを有する台形状の凸部11を形成することができる。
こうして、[011]A方向に延びる凸部11を得ることができる(図4の(B)参照)。凸部11は発光素子製造用基板10の主面上には堆積するが、選択成長用マスク層11A上には堆積しない。凸部11の幅方向は、[0−11]B方向に平行である。その後、ウエットエッチング法に基づき、SiO2から成る選択成長用マスク層11Aを除去する。こうして、所望の頂面の幅と高さを有する台形状の凸部11を形成することができる。ここで、n型導電型を有する凸部11のエピタキシャル成長において使用される原料には、凸部11をn型導電型とするために、不純物として、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物、及び、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物が添加されている。
[工程−110]
次に、少なくとも凸部11上に(実施例1にあっては、具体的には全面に)、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る下地層12をエピタキシャル成長させ、以て、凸部11上において、発光素子製造用基板10の<110>方向(具体的には、[011]方向)に垂直な仮想平面で切断したときの表面の断面形状が台形の一部を構成し、この台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面(具体的には、(11−1)B面及び(1−11)B面)であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面(具体的には(100)面)である下地層12を得る。尚、下地層12は、{111}B面である凸部11の斜面(側面)上にも成長する。
具体的には、例えば、トリメチルアルミニウム(TMAl)あるいはトリエチルアルミニウム(TEAl)をアルミニウム(Al)源の原料ガスとして用い、トリメチルガリウム(TMGa)あるいはトリエチルガリウム(TEGa)をガリウム(Ga)源の原料ガスとして用い、トリメチルインジウム(TMIn)あるいはトリエチルインジウム(TEIn)をインジウム(In)源の原料ガスとして用い、ターシャリー・ブチル・ホスフィン(TBP)あるいはホスフィン(PH3)をリン(P)源の原料ガスとして用いる。また、n型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがIII族サイトである場合、ジシラン(Si2H6)、モノシラン(SiH4)あるいはトリメチルスズ(TMSn)を用いる。更には、n型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがV族サイトである場合、硫化化水素(H2S)、セレン化水素(H2Se)あるいはテルル化水素(H2Te)を用いる。そして、MOCVD法に基づき、これらのIII族ガス、V族ガス、不純物ガスを反応室に導入し、600゜C〜900゜Cの温度範囲で熱分解反応させて、高温成長させることによって、III族原料のマイグレーションを促進させ、{100}面の平坦性が高く、結晶品質が高い化合物半導体層から成る下地層12をエピタキシャル成長させることができる。
尚、下地層12の頂面の平坦性を一層改善するためには、反応室に導入する供給ガスの流速を高く調整したり、(V族ガス)/(III族ガス)のモル供給比を小さく調整して、III族原料のマイグレーションを促進させた成長条件とすればよい。更には、下地層12のn型不純物の濃度を高くするためには、供給する原料(有機金属)ガスに含有されるメチル基(CH3−)やエチル基(C2H5−)、ターシャリー・ブチル基((CH3)3C−)に起因するカーボン(C)のオートドーピング量(即ち、V族サイトを置換してホール(p型導電型層)を形成する量)を低減すればよい。そのためには、n型導電型層を形成する際に、V族サイトにおける置換では、メチル基(CH3−)やエチル基(C2H5−)、ターシャリー・ブチル基((CH3)3C−)に起因するカーボン(C)と同じV族サイトにおける置換が可能なn型用不純物とが競合する条件を積極的に活用すればよい。具体的には、対カーボン比率を相対的に増加させればよく、より具体的には、n型用不純物原料ガス(例えば、H2S、H2Se、H2Te等)のカーボン(C)に対するモル供給比を増大させたり、あるいは又、カーボン(C)自身の絶対量を減らすために発光層で発生した光を下地層12が吸収しない範囲で、例えば、ここでは、下地層12のAl混晶比(TMAlのガス供給量)を減らして、カーボン(C)の取り込みを低減させればよい。これは、一般に、下地層12の成長時、例えば、TMAlは2量体を形成しているので、Alと共にメチル基(CH3−)やエチル基(C2H5−)も結晶に取り込まれ易く、下地層12のAl混晶比を下げることによって、カーボン(C)の取り込みの低減が可能となり、ひいては、オートドーピング量を低減することができるからである。
こうして、[011]A方向に延びる下地層12を得ることができる(図2参照)。下地層12には、(11−1)B面及び(1−11)B面から構成された斜面(側面)が形成されており、下地層12の頂面は(100)面である。また、得られた下地層12には、下地層12をn型とするために、不純物としてセレン(置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物)及びケイ素(置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物)が含まれている。
[工程−120]
その後、下地層12の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る発光部20を形成し、併せて、下地層12が形成されていない発光素子製造用基板10の主面(発光素子製造用基板10の露出面)の部分に、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層された積層構造体20’を形成する。
具体的には、通常のMOCVD法、即ち、有機金属や水素化合物を原料ガスとするMOCVD法に基づき、下地層12の頂面上、及び、発光素子製造用基板10の露出面上に、第1化合物半導体層21、活性層23、第2化合物半導体層22A,22Bをエピタキシャル成長させる。このとき、下地層12上の化合物半導体層の斜面(側面)は{111}B面から構成され、上述したとおり、{111}B面は非成長面である。従って、第1化合物半導体層21、活性層23、第2化合物半導体層22A,22Bは、下地層12の上の領域と、発光素子製造用基板10の露出面上の領域とでは、分断された状態で形成(積層)される。こうして、図5に示す構造を得ることができる。
尚、凸部11の頂面の幅と凸部11の高さ、下地層12の頂面の幅と下地層12の高さを適切に選択し、更には、第1化合物半導体層21、活性層23、第2化合物半導体層22A,22Bの厚さを適切に選択することで、下地層12の上に、断面が二等辺三角形である発光部20の積層構造を得ることができる。
[工程−130]
その後、積層構造体20’上に、発光部20を構成する活性層23の側面を少なくとも覆う電流ブロック層40を形成する。具体的には、第2化合物半導体層22Bの形成に連続して、全面に、電流ブロック層位置調整層30をMOCVD法に基づき形成し、更に、例えば、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43から成る電流ブロック層40を、順次、MOCVD法に基づき形成する(図6参照)。電流ブロック層40は、{111}B面上には成長しない。また、電流ブロック層40の端面が、少なくとも活性層23の側面を覆うように、電流ブロック層40を形成する。このような構成、構造は、下地層12の頂面の幅と下地層12の高さ、電流ブロック層位置調整層30の厚さを適切に選択することで達成することができる。第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44の構成、構造の詳細は、後述する。
[工程−140]
次いで、全面に、埋込層31及びコンタクト層(キャップ層)32を、順次、MOCVD法に基づき形成する。尚、MOCVDを継続すると、やがて発光素子製造用基板10の露出面の上方において結晶成長する化合物半導体から成る埋込層31が、自己成長停止している発光部20を完全に埋め尽くすようになる。その後、コンタクト層32上に第2電極52を真空蒸着法に基づき形成し、一方、発光素子製造用基板10を裏面側から適切な厚みにラッピングした後、第1電極51を真空蒸着法に基づき形成する。
[工程−150]
その後、半導体発光素子を分離することによって、半導体発光素子を得ることができる。半導体発光素子を1つずつ分離してもよいし、多数個(例えば、4個、8個、16個等)を1群として纏めて、各群を相互に分離してもよい。尚、後述する実施例2〜実施例5の半導体発光素子も、基本的には、以上に説明した方法と同様の方法に基づき作製することができる。
実施例1にあっては、発光部20を形成するために下地層12を形成する。ところで、下地層12は、凸部11上に、凸部11と別個に設けられている。即ち、凸部11を覆う下地層12が形成されており、係る下地層12は、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る。しかも、この下地層12の斜面は{111}B面であり、下地層12の頂面は{100}面である。従って、下地層12の上に発光部20を形成したとき、発光部20は下地層12の頂面上にのみ形成され、下地層12の斜面上には形成されない。そして、幅の狭い凸部11の上方に下地層12を介して所望の幅の活性層23を形成したとき、たとえ、活性層23から下地層12までの距離が短くなったとしても、活性層23で発生した光が下地層12で吸収されないように、下地層12を構成する材料を選択することができる。その結果、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を抑制することができる。また、発光部20の高さ20は下地層12の幅によって規定されるが、発光素子製造用基板10の主面から下地層までの高さとその高さにおける頂面の幅との比であるアスペクト比を、所望のアスペクト比の範囲内に、成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)によって調整し直すことができる。下地層12までの高さを所望の高さに設計することができる。即ち、活性層23の側面に電流ブロック層40の形成を可能にするためには、所望の活性層23の幅に対応した下地層12のアスペクト比(例えば、『高さ/幅』の値)には或る範囲が存在するので、その範囲にアスペクト比を収めなければならない。ここで、下地層12の側面(台形斜面)である{111}B面の{100}面に対する角度が常に一定(54.7度の結晶面)であることも考慮して、選択成長用マスク層11Aの開口部(選択成長用マスク層11Aの窓)の幅の設計を行えば、凸部11の頂面の幅とアスペクト比を、凸部11のエピタキシャル成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)によって同時に制御することが可能となり、その結果、凸部11上に形成される下地層12の断面形状を制御することが可能となる。以上の結果として、活性層23の側面に電流ブロック層40を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる。このように、従来、発光素子製造用基板のエッチング(制御に揺らぎのあるエッチング)によって得られる凹凸基板のアスペクト比は、凸部の幅や高さに関して、発光素子製造用基板内、更には、1つの選択成長用マスク層11Aの開口部内でバラツキが生じ、その結果、一部の発光素子製造用基板の領域においては、凸部の頂面上に形成した発光部20における活性層の側面に電流ブロック層を形成することができないといった問題が生じていた。然るに、実施例1にあっては、所望の活性層23の幅に対応した所望の下地層12のアスペクト比を、選択成長用マスク層11Aの設計、並びに、凸部11及び下地層12のエピタキシャル成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)によって調整し直すことが可能となり、高キャリア濃度の改善だけでなく、発光素子製造用基板内の凹凸構造の面内均一性に関しても大幅な改善が可能となった。更には、実施例1にあっては、n型導電型を有する下地層12のエピタキシャル成長において使用される原料には、下地層12をn型導電型とするために、不純物として、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物、及び、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物が添加されているので、下地層12の導電型を確実にn型導電型とすることができる。更には、高集積化のために凸部11の形成ピッチを小さくしても、活性層23で発生した光が下地層12で吸収されないように下地層12を構成する材料を選択することができるので、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を抑制することができるし、発光素子製造用基板10の主面から下地層12までの高さとその高さにおける頂面の幅との比であるアスペクト比を、所望のアスペクト比の範囲内に、エピタキシャル成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)によって調整し直すことができるので、活性層23の側面に電流ブロック層40を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる結果、半導体発光素子の高集積化を達成することができる。
即ち、SDH型半導体レーザの高集積化を試みた場合、云い換えれば、単位面積当たりのSDH型半導体レーザの個数を増加させる場合、図3の(A)に示すような従来のSDH型半導体レーザにおける形成ピッチPT1を、図3の(B)に示すような形成ピッチPT2に縮小する必要がある。この場合、例えば、図3の(B)に示すように、活性層から下地層までの距離はH1”と短くなってしまうが、活性層から凸部までの距離はH1を保持し得るので、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を抑制することができる。あるいは又、図3の(C)に示すように、もともと、最初の凸部のアスペクト比が所望の範囲に達しておらず、不良扱いとなる筈の基板を、下地層のエピタキシャル成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)を適切に制御することで、所望の範囲に収まるようなアスペクト比に調整し直すことができるので、活性層23の側面に電流ブロック層40を形成することができなくなるといった問題の発生も抑制することができる。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1にあっては下地層12を1層構成とした。一方、実施例2においては、下地層12を多層構成(より具体的には、J=2であり、4層構成)とする。具体的には、下地層12は、第2のIII−V族化合物半導体材料から成る第1下地層12Aと、第2のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第3のIII−V族化合物半導体材料から成る第2下地層12Bとが、順次、積層された構造を有する。ここで、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料は、実施例1と同様のAs含有化合物半導体(具体的には、例えば、n−GaAs:Se、あるいは、n−Alx1Ga(1-x1)As:Se[但し、0<x1≦1]であり、より具体的には、例えば、x1=0.1、或いは、x1=0.2、あるいは、x1=0.3、あるいは、x1=0.4、あるいは、x1=0.47等)であり、第2のIII−V族化合物半導体材料は、実施例1と同様のAs非含有化合物半導体(n−{Alx1Ga(1-x1)}x2In(1-x2)P:Se)であり、第3のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体(具体的には、例えば、n−GaAs:Se、あるいは、n−Alx1Ga(1-x1)As:Se[但し、0<x1≦1]であり、より具体的には、例えば、x1=0.1、或いは、x1=0.2、あるいは、x1=0.3、あるいは、x1=0.4、あるいは、x1=0.47等)である。第2下地層12Bは、As含有化合物半導体から成る第3のIII−V族化合物半導体材料にて構成されているので、第2下地層12Bは、第1下地層12Aの頂面上に形成されるが、第1下地層12Aの斜面上には形成されない。
実施例2にあっては、実施例1の[工程−110]と同様の工程において、先ず、実施例1の[工程−110]における下地層12のエピタキシャル成長と同様のエピタキシャル成長を実行することで、第1下地層12Aを得た後、実施例1の[工程−100]における凸部11のエピタキシャル成長と同様のエピタキシャル成長を行うことで、図7の(A)に示す断面構造を得ることができる。そして、この操作を、所望の回数(実施例2にあっては、2回)、繰り返すことで、図7の(B)に示す断面構造を得ることができる。
以上の点を除き、実施例2の半導体発光素子及びその製造方法は、実施例1と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例2において、第1下地層12Aは、
(1){100}面上
において成長し、
(2){111}B面上
においても成長し、更には、第2下地層12Bを下地として成長させた場合、例えば、
(3){311}B面上
においても成長する。一方、第2下地層12Bは、
(4)第1下地層12Aの頂面上、及び、第1下地層12Aの頂面以外の主面である{100}面上
において成長し、更に、
(5){311}B面上
においても成長するが、
(6)第1下地層12Aの斜面における{111}B面上
には成長しない。ここで、第1下地層12A及び第2下地層12Bにおいて、特に、成長条件(成長時間、成長温度、成長速度等)を適切に選択することで、上記(1)〜(3)及び(4)の間で成り立つ各結晶面の成長速度の比率を変化させることが可能である。従って、特に{111}B面上における成長を極力抑制する成長条件を採用し、更には、頂面の{100}面の成長速度が、頂面以外の{100}面の成長速度よりも、供給原料密度の差によって自然に早くなる性質を利用することによって、アスペクト比を所望の範囲に調整しながら、下地層の頂面の幅も狭くならないようにすることが可能である。このように、第1下地層12A及び第2下地層12Bを組み合わせながら、下地層のアスペクト比の改善と、下地層の頂面の幅の確保とを両立させることによって、発光部20を形成するための基部の設計自由度を一層高くすることができる。後述する実施例7においても同様である。
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3において、下地層は、第2のIII−V族化合物半導体材料(組成は実施例1に説明したと同様である)から成る第1下地層112A及び第2下地層112Bが、エピタキシャル成長法に基づき、順次、積層された多層構成(より具体的には、J=2であり、4層構成)を有する。ここで、第1下地層112Aの{111}B面の結晶成長速度をRt1-111B、第1下地層112Aの{100}面の結晶成長速度をRt1-100、第2下地層112Bの{111}B面の結晶成長速度をRt2-111B、第2下地層112Bの{100}面の結晶成長速度をRt2-100としたとき、
(Rt1-111B/Rt1-100)≠(Rt2-111B/Rt2-100)
具体的には、
(Rt1-111B/Rt1-100)>(Rt2-111B/Rt2-100)
である構成とすることができる。尚、このような結晶成長速度の要件は、Asを含有する第2下地層112Bを用いる場合、もともと{111}B面の成長速度が極端に抑制される傾向があるので、第1下地層112A及び第2下地層112Bをエピタキシャル成長法させるときの下地(例えば、発光素子製造用基板10)の温度を広い範囲で設定することができる。より具体的には、例えば、第1下地層112Aをエピタキシャル成長法させるときの発光素子製造用基板10の温度を600゜C〜900゜Cとし、第2下地層112Bをエピタキシャル成長法させるときの発光素子製造用基板10の温度を700゜C〜900゜Cとすればよい。
実施例3にあっては、実施例1の[工程−110]と同様の工程において、第1下地層112A及び第2下地層112Bを、順次、形成し(図8の(A)参照)、更に、第1下地層112A及び第2下地層112Bを、順次、形成する(図8の(B)参照)。尚、下地層の低温成長と高温成長の順序を逆とし、高温成長、低温成長の順としてもよい。
このように、第1下地層112Aと第2下地層112Bとを用いた場合の{111}B面における結晶成長抑制の制御(抑制)が重要である。ここで、Asを含有しない第1下地層と第2下地層とを用いても、
(Rt1-111B/Rt1-100)>(Rt2-111B/Rt2-100)
を満足させることが可能である。具体的には、第1下地層の成長温度を低温とし(例えば、700゜C以下の成長温度とする)、第2下地層の成長温度を高温とすることで(例えば、750゜C以上の成長温度とする)、低温での成長と高温での成長との間で温度差が大きいほど、{111}B面成長抑制能力の差が大きくなり、{111}B面の成長があまり抑制されない第1下地層と、{111}B面の成長が抑制された第2下地層とが得られる。このようにして、特に図8の(B)に示すような、第1下地層112Aと第2下地層112Bとが示す交互成長の形態を、Asを含有しない下地層のみで、成長温度を切り替えるだけで、容易に得ることが可能である。尚、正確には、Asを含有する第2下地層の場合、頂面を除いた領域においては、{100}面の成長の他にも、{311}B面等の成長もあるが、図8では、{100}面と{111}B面のみを図示している。
以上を纏めると、凸部に対して下地層を複数層、形成する場合、下記の場合が考えられる。
[1]Asを含有する下地層
[2]Asを含有しない下地層
[3]{111}B面成長を抑制する下地層
[4]{111}B面成長を抑制しない下地層
そして、上記[1]〜[4]を適宜組み合わせることが可能であり、これに、更に、頂面の{100}面と、頂面を除いた{100}面との間に発生する成長速度の差が加わることによって、凸部の設計の自由度が大幅に増加し、更に一層の発光素子の高集積化を実現することが可能になる。また、実施例では、GaAs基板を用いた場合の格子整合系材料層の一例を主に述べているが、特に、{111}B面成長制御や、選択エッチングの重要なポイントとなるAs(ヒ素)とP(リン)とを同時に含有する材料系層を下地層の少なくとも一部に用いたり、あるいは、更に、GaAs基板とは異なる基板(例えば、一般的に普及しているInP基板、GaP基板等)を用いてもよい。
以上の点を除き、実施例3の半導体発光素子及びその製造方法は、実施例1と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、実施例2において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例2において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例3に適用することができる。
実施例4も、実施例1の変形である。実施例4にあっては、実施例1の[工程−100]と同様の工程において、代替的に、{100}面を主面として有する発光素子製造用基板10のこの主面上に前記<110>方向に延びる複数のエッチング用マスク層を形成し、エッチング用マスク層とエッチング用マスク層との間に発光素子製造用基板10の主面の一部分を露出させ、次いで、露出した発光素子製造用基板10の主面の部分をエッチングし、以て、発光素子製造用基板10の一部から成る凸部11’を得た後、エッチング用マスク層を除去する。
エッチングを、ドライエッチング法であるRIE法にて実行したときの凸部11’の断面構造を、図9の(A)に示す。また、エッチングを、ウエットエッチング法にて実行したときの凸部11’の断面構造を、図9の(B)に示す。
以上の点を除き、実施例4の半導体発光素子及びその製造方法は、実施例1と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、実施例2において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例2において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例4に適用することができるし、実施例3において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例3において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例4に適用することができる。
実施例5も、実施例1の半導体発光素子及びその製造方法の変形である。実施例1にあっては、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とした。一方、実施例5にあっては、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型とする。
実施例5の半導体発光素子の模式的な一部断面図を図10の(A)に示し、第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44の一部を拡大した模式的な一部断面図を図10の(B)に示す。尚、発光素子製造用基板10、凸部11及び下地層12の模式的な一部断面図は、基本的に、図2に示したと同様である。実施例5の半導体発光素子は、一部の化合物半導体層の導電型が実施例1の半導体発光素子と異なる点を除き、実施例1の半導体発光素子と同じ構造を有する。実施例5の半導体発光素子の製造方法を、以下、説明する。
[工程−500]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、{100}面を主面として有する発光素子製造用基板10のこの主面に<110>方向に延びる複数の選択成長用マスク層11Aを形成し、選択成長用マスク層11Aと選択成長用マスク層11Aとの間に発光素子製造用基板10の主面の一部分を露出させる。具体的には、p−GaAsから成る発光素子製造用基板10の{100}結晶面、例えば(100)結晶面から成る主面上に、SiO2から成り、所要の幅を有し、[011]A方向に延びる選択成長用マスク層11AをCVD法及びフォトリソグラフィ技術に基づき形成する。次いで、実施例1の[工程−100]と同様にして、露出した発光素子製造用基板10の主面の部分の上に、発光素子製造用基板10のこの<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの断面形状が台形であって、この台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面であり、第1のIII−V族化合物半導体から成る凸部11をエピタキシャル成長させ、次いで、選択成長用マスク層11Aを除去する。ここで、p型導電型を有する凸部11のエピタキシャル成長において使用される原料には、凸部11をp型導電型とするために、不純物として、置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物、及び、置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物が添加されている。
具体的には、例えば、実施例1と同じように、トリメチルアルミニウム(TMAl)あるいはトリエチルアルミニウム(TEAl)をアルミニウム(Al)源の原料ガスとして用い、トリメチルガリウム(TMGa)あるいはトリエチルガリウム(TEGa)をガリウム(Ga)源の原料ガスとして用い、ターシャリー・ブチル・アルシン(TBAs)あるいはアルシン(AsH3)をヒ素(As)源の原料ガスとして用いる。また、p型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがIII族サイトである場合、例えば、トリメチル亜鉛(TMZn)、トリエチル亜鉛(TEZn)、ビス・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(Cp2Mg)、ビス・エチル・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)、ビス・イソプロピル・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(i−PrCp2Mg)、ビス・メチルシクロペンタ・ジエニルマグネシウム(MeCp2Mg)あるいはトリメチルマンガン(TMMn)等を用いる。更に、p型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがV族サイトである場合、四塩化炭素(CCl4)、四臭化炭素(CBr4)あるいは四ヨウ化炭素(CI4)等をカーボン(C)源の原料ガスとして用いればよい。また、その他のカーボン(C)源として、実施例1の[工程−110]において説明したように、Al源、Ga源あるいはIn源の原料ガス(有機金属ガス)等に含有されるメチル基やエチル基が結晶に積極的に取り込まれる(オートドーピングされる)成長条件を用いてもよい。そして、MOCVD法に基づき、これらのIII族ガス、V族ガス、不純物ガスを反応室に導入し、600゜C〜900゜Cの温度範囲で熱分解反応させて、高温成長させることによって、III族原料のマイグレーションを促進させ、{100}面の平坦性が高く、結晶品質が高い化合物半導体層をエピタキシャル成長させることができる。そして、これにより、所望の頂面の幅と高さを有する台形状の凸部11を形成することができる。
こうして、[011]A方向に延びる凸部11を得ることができる。凸部11は発光素子製造用基板10の主面上には堆積するが、選択成長用マスク層11A上には堆積しない。凸部11の幅方向は、[0−11]B方向に平行である。その後、ウエットエッチング法に基づき、SiO2から成る選択成長用マスク層11Aを除去する。尚、凸部11には、(11−1)B面及び(1−11)B面から構成された斜面(側面)が形成されており、凸部11の頂面は(100)面である。また、得られた凸部11には、凸部11をp型とするために、不純物として亜鉛(置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物)及び炭素(置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物)が含まれている。
[工程−510]
次に、少なくとも凸部11上に(実施例5にあっては、具体的には全面に)、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る下地層12をエピタキシャル成長させ、以て、凸部11上において、発光素子製造用基板10の前記<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの表面の断面形状が台形の一部を構成し、この台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面である下地層12を得る。
具体的には、例えば、実施例1と同じアルミニウム(Al)源、ガリウム(Ga)源、インジウム(In)源、リン(P)源の原料ガスを用いる。また、p型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがIII族サイトである場合、例えば、トリメチル亜鉛(TMZn)、トリエチル亜鉛(TEZn)、ビス・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(Cp2Mg)、ビス・エチル・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)、ビス・イソプロピル・シクロペンタ・ジエニルマグネシウム(i−PrCp2Mg)、ビス・メチルシクロペンタ・ジエニルマグネシウム(MeCp2Mg)あるいはトリメチルマンガン(TMMn)等を用いる。更に、p型不純物ドーピング用のガスとして、不純物で置換するサイトがV族サイトである場合、四塩化炭素(CCl4)、四臭化炭素(CBr4)あるいは四ヨウ化炭素(CI4)等をカーボン(C)源の原料ガスとして用いればよい。また、その他のカーボン(C)源として、実施例1の[工程−110]において説明したように、Al源、Ga源あるいはIn源の原料ガス(有機金属ガス)等に含有されるメチル基やエチル基が結晶に積極的に取り込まれる(オートドーピングされる)成長条件を用いてもよい。そして、MOCVD法に基づき、これらのIII族ガス、V族ガス、不純物ガスを反応室に導入し、600゜C〜900゜Cの温度範囲で熱分解反応させて、高温成長させることによって、III族原料のマイグレーションを促進させ、{100}面の平坦性が高く、結晶品質が高い化合物半導体層から成る下地層12をエピタキシャル成長させることができる。
尚、下地層12の頂面の平坦性を一層改善するためには、反応室に導入する供給ガスの流速を高く調整したり、(V族ガス)/(III族ガス)のモル供給比を小さく調整して、III族原料のマイグレーションを促進させた成長条件とすればよい。更には、下地層12のp型不純物の濃度を高くするためには、ドーパントの絶対量を増やすことは云うまでもないが、その他、メチル基(CH3−)やエチル基(C2H5−)に起因するカーボン(C)と、不純物の置換サイトとが競合しないカーボン(C)以外のp型不純物を一緒に用いることが有効である。具体的には、カーボン(C)が置換するサイトはV族サイトであることから、V族サイトと競合しないサイトはIII族サイトである。従って、II族の不純物原料ガスをカーボン(C)含有ガスと一緒に用いればよい。また、オートドーピングにおいてカーボン(C)自身の絶対量を増やすためには、発光層で発生した光を下地層12が吸収しない範囲で、例えば、下地層12のAl混晶比(TMAlのガス供給量)を増やしてカーボン(C)の取り込みを増大させてもよい。これは、下地層12の成長時、例えば、TMAlは2量体を形成しているため、Alと共にメチル基(CH3−)やエチル基(C2H5−)も結晶に取り込まれ易く、下地層12のAl混晶比を上げることによって、カーボン(C)の取り込みの増大が可能となり、ひいては、オートドーピング量を増大することができ、これによって結晶のV族サイトで置換されるカーボン(C)の量が増え、ひいては、ホール濃度を増やすことが可能となる。
こうして、導電型を除き、図2に示したと同様に、[011]A方向に延びる下地層12を得ることができる。下地層12には、(11−1)B面及び(1−11)B面から構成された斜面(側面)が形成されており、下地層12の頂面は(100)面である。また、得られた下地層12には、下地層12をp型とするために、不純物として亜鉛(置換サイトがIII族原子が占めるサイトである不純物)及び炭素(置換サイトがV族原子が占めるサイトである不純物)が含まれている。
[工程−520]
その後、実施例1の[工程−120]〜[工程−150]と同様の工程を実行することで、実施例5の半導体発光素子を得ることができる。
尚、実施例2、実施例3、実施例4において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例2、実施例3、実施例4において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例5に適用することができる。
実施例6は、本発明の第2の態様に係る半導体発光素子及びその製造方法に関する。実施例1の半導体発光素子の模式的な一部断面図を図11に示すが、実施例6の半導体発光素子は、
(A)支持基板60、
(B)支持基板60上に、第2電極152を介して配置されたコンタクト層32、
(C)コンタクト層32上に配置され、第2導電型(実施例6にあっては、p型)を有する第2化合物半導体層22、活性層23、及び、第1導電型(実施例6にあっては、n型)を有する第1化合物半導体層21が順次積層されて成る発光部20、
(D)コンタクト層32上に配置され、発光部20を構成する活性層23の側面を少なくとも覆う電流ブロック層40、並びに、この電流ブロック層40上に配置され、発光部20の側面を覆い、第2導電型を有する第2化合物半導体層22、活性層23、及び、第1導電型を有する第1化合物半導体層21が順次積層されて成る積層構造体20’、並びに、
(E)第1化合物半導体層21と電気的に接続された第1電極151、
を具備している。
そして、発光部20は、発光部20を構成する化合物半導体層の<110>方向(具体的には、例えば、[011]方向)と平行に延びており、この<110>方向に垂直な仮想平面で発光部20を切断したときの発光部20の断面形状は逆二等辺三角形であり、この逆二等辺三角形の2つの斜辺に相当する発光部20の斜面は{111}B面(具体的には、(11−1)B面及び(1−11)B面)であり、この逆二等辺三角形の底辺に相当する発光部20の頂面は{100}面(具体的には(100)面)であり、この逆二等辺三角形の底辺に相当する発光部20の頂面(より具体的には、発光部20を構成する第1の化合物半導体層21の頂面)から支持基板60までの距離をD1、積層構造体20’の頂面(より具体的には、積層構造体20’を構成する第1の化合物半導体層21の頂面)支持基板までの距離をD2としたとき、D1<D2である。
また、実施例6の半導体発光素子にあっては、少なくとも積層構造体20’の頂面は、具体的には、積層構造体20’の頂面から発光部20の頂面に亙り、発光部20を構成するIII−V族化合物半導体材料とは異なるIII−V族化合物半導体材料から成る下地層12で覆われており、第1電極151は下地層12上に配置されている。そして、この場合、発光部20を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、下地層12を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体である。より具体的には、発光部20を構成するIII−V族化合物半導体材料はGaAs系化合物半導体であり、下地層12を構成するIII−V族化合物半導体材料はInP系化合物半導体(より具体的にはAlGaInP)である。
あるいは又、後述する第1のIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、第2のIII−V族化合物半導体材料は、As非含有化合物半導体であり、発光部20を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体である。より具体的には、第1のIII−V族化合物半導体材料はGaAs系化合物半導体であり、第2のIII−V族化合物半導体材料はInP系化合物半導体(より具体的には、AlGaInP、又は、AlInP)であり、発光部20を構成するIII−V族化合物半導体材料はGaAs系化合物半導体である。
具体的には、実施例6にあっては、支持基板60は、表面に金(Au)から成る金属層61が設けられた半導体基板から構成されており、第1電極151は、Ti/TiW/Pt/Au、から構成されており、第2電極152は、Au/Ni/AuGe又はAu/AuZnから構成されている。実施例6の半導体発光素子を構成するその他の構成要素は、実施例1と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例6の半導体発光素子の製造方法を、以下、説明する。
[工程−600]
先ず、{100}面を主面として有する発光素子製造用基板10のこの主面に<110>方向に延びる凸部11を形成する。具体的には、実施例1の[工程−100]と同様にして、凸部のエピタキシャル成長法を実行すればよい。
[工程−610]
次いで、少なくとも凸部11上に、凸部11を構成する第1のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第2のIII−V族化合物半導体材料から成る下地層12をエピタキシャル成長させ、以て、凸部11上において、発光素子製造用基板10の前記<110>方向に垂直な仮想平面で切断したときの表面の断面形状が台形の一部を構成し、この台形の2つの斜辺に相当する斜面が{111}B面であり、台形の上辺に相当する頂面が{100}面である下地層12を得る。具体的には、実施例1の[工程−110]と同様の工程を実行すればよい。
[工程−620]
その後、下地層12の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る発光部20を形成し、併せて、凸部11が形成されていない発光素子製造用基板10の主面の部分に、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る積層構造体20’を形成する。具体的には、実施例1の[工程−120]と同様の工程を実行すればよい。
[工程−630]
その後、この積層構造体20’上に、発光部20を構成する活性層23の側面を少なくとも覆う電流ブロック層を形成する。具体的には、実施例1の[工程−130]と同様の工程を実行すればよい。
[工程−640]
次に、全面にコンタクト層32を形成する。具体的には、全面に、埋込層31及びコンタクト層(キャップ層)32を、順次、MOCVD法に基づき形成する。尚、MOCVDを継続すると、やがて発光素子製造用基板10の露出面の上方において結晶成長する化合物半導体から成る埋込層31が、自己成長停止している発光部20を完全に埋め尽くすようになる。その後、コンタクト層32に平坦化処理を施す。そして、平坦化されたコンタクト層32上に第2電極152を真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図12に示す構造を得ることができる。尚、第2電極152を、所望に応じてパターニングしてもよい。
[工程−650]
次に、第2電極152を介して発光素子製造用基板10を支持基板60に貼り合わせる。具体的には、支持基板60の表面に設けられた金属層61と第2電極152とを密着させる。そして、金属層61と第2電極152とを金属−金属接合法に基づき接合する。より具体的には、1気圧乃至10気圧程度の圧力を金属層61と第2電極152との間に加えて熱圧着する方法によって、均一な貼り合わせを行うことができる。尚、B、Al、Ga、In、Sn、Ag等を含んだ接着用部材を貼り合わせ面の間に介在させてもよい。
[工程−660]
その後、凸部11を含む発光素子製造用基板10を除去する。具体的には、アンモニア溶液+過酸化水素水、硫酸溶液+過酸化水素水、塩酸溶液+過酸化水素水、リン酸溶液+過酸化水素水等を用い、各溶液の混合比を変えることによって、凸部に含まれるAlの含有量、Inの含有量、Gaの含有量、Asの含有量、Pの含有量に応じた酸化還元反応を調整することで、凸部11を含む発光素子製造用基板10をエッチングすることができる。ここで、係る条件によっては、下地層12はエッチングされない。即ち、下地層12は、所謂エッチングストップ層として機能する。
[工程−670]
次いで、第1化合物半導体層21と電気的に接続された第1電極151を形成する。具体的には、下地層12の適切な部位に第1電極151を真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図11に示した構造を有する実施例6の半導体発光素子を得ることができる。尚、半導体発光素子を1つずつ分離してもよいし、多数個(例えば、4個、8個、16個等)を1群として纏めて、各群を相互に分離してもよい。
図11においては、逆台形状の凹部の底面、逆台形状の凹部の側面(斜面)及び積層構造体20’の頂面を下地層12が覆っており、第1電極151は、係る下地層12上に形成されている形態を示したが、第1電極151の形成形態は、これに限定するものではない。例えば、下地層12の一部が除去され、積層構造体20’あるいは発光部20の一部が露出した状態とされ、係る露出した部分の上に第1電極151が形成されている形態とすることができる。特に、凸部11を含む発光素子製造用基板10を除去することによって露出した面を光取り出し面とする発光素子においては、第1電極151の位置や第1電極151を構成する材料が光取り出しの妨げとならないよう、逆台形状の凹部における第1電極の形成を出来る限り避け、あるいは又、第1電極を透明導電材料から構成することで、第1電極での光の吸収を出来る限り減らすことが好ましい。
実施例6にあっては、実施例1において説明した効果を達成することができるだけでなく、そもそも、発光素子製造用基板10や凸部11が除去されるので、活性層23で発生した光が、発光素子製造用基板10や凸部11で吸収されることがない。その結果、発光効率が低下してしまうといった問題の発生を防止することができるし、半導体発光素子の高集積化を確実に達成することができる。更には、発光素子製造用基板10や凸部11を除去するので、半導体発光素子の直列抵抗値を低減することができる。
尚、実施例6において説明した種々の化合物半導体層の導電型を、実施例5において説明したと同様に、逆にすることができる。即ち、実施例6にあっても、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としてもよい。
実施例7は、実施例6の変形である。実施例6にあっては、下地層12を1層構成とした。一方、実施例7においては、実施例2と同様に、下地層を多層構成(より具体的には、2層構成)とする。具体的には、下地層は、第2のIII−V族化合物半導体材料から成る第1下地層12Aと、第2のIII−V族化合物半導体材料とは異なる第3のIII−V族化合物半導体材料から成る第2下地層12Bとが、順次、積層された構造を有する。尚、第1のIII−V族化合物半導体材料、第2のIII−V族化合物半導体材料及び第3のIII−V族化合物半導体材料は、実施例2において説明したと同様とすることができる。ここで、第2下地層12Bは、As含有化合物半導体から成る第3のIII−V族化合物半導体材料にて構成されているので、第2下地層12Bは、第1下地層12Aの頂面上に形成されるが、第1下地層12Aの斜面上には形成されない。
実施例7にあっては、実施例6の[工程−610]と同様の工程において、先ず、実施例6の[工程−610]における下地層12のエピタキシャル成長と同様のエピタキシャル成長を実行することで、第1下地層12Aを得た後、実施例6の[工程−100]における凸部11のエピタキシャル成長と同様のエピタキシャル成長を行うことで、図7の(A)に示した断面構造と同様の断面構造を得ることができる。
以上の点を除き、実施例7の半導体発光素子及びその製造方法は、実施例6と同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
実施例7にあっては、第2下地層12Bは、第1下地層12の頂面上に形成されるが、第1下地層12Aの斜面上には形成されないので、下地層全体としては、下地層の頂面の幅に対して、下地層の高さを高くすることができる。即ち、下地層の傾斜角を、{111}B面の傾斜角(α)よりも大きくすることができる。従って、発光部20を形成するための基部の設計自由度を一層高くすることができる。
尚、実施例7において、実施例6の[工程−660]に引き続き、下地層12を構成する第2下地層12Aをエッチングによって除去してもよい。この場合には、発光部20を構成するIII−V族化合物半導体材料は、As含有化合物半導体であり、下地層12(より具体的には、第2下地層12B)を構成するIII−V族化合物半導体材料も、As含有化合物半導体である。そして、実施例6の[工程−670]と同様の工程にあっては、第2下地層12Bの適切な部位に第1電極151を真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図11に示した構造を有する実施例6の半導体発光素子を得ることができるが、このような下地層の構造を有する半導体発光素子にあっては、下地層と第1電極との間で一層良好なオーミック特性を得ることができるので、第1化合物半導体層21と第1電極151との間の導通を一層確実なものとすることができる。
実施例8も、実施例6の変形である。実施例8においては、実施例3と同様に、下地層12は、第2のIII−V族化合物半導体材料(組成は、実施例6に説明したと同様である)から成る第1下地層112A及び第2下地層112Bが、エピタキシャル成長法に基づき、順次、積層された多層構成(より具体的には、J=2であり、4層構成)を有する。ここで、第1下地層112Aの{111}B面の結晶成長速度をRt1-111B、第1下地層112Aの{100}面の結晶成長速度をRt1-100、第2下地層112Bの{111}B面の結晶成長速度をRt2-111B、第2下地層112Bの{100}面の結晶成長速度をRt2-100としたとき、
(Rt1-111B/Rt1-100)≠(Rt2-111B/Rt2-100)
である構成とすることができる。尚、このような結晶成長速度の要件は、第1下地層112A及び第2下地層112Bをエピタキシャル成長法させるときの下地(例えば、発光素子製造用基板10)の温度設定を最適化することで達成することができる。具体的には、例えば、第1下地層112Aをエピタキシャル成長法させるときの発光素子製造用基板10の温度、第2下地層112Bをエピタキシャル成長法させるときの発光素子製造用基板10の温度は、実施例3にて説明したと同様とすればよい。
以上の点を除き、実施例8の半導体発光素子及びその製造方法は、実施例6と同様とすることができるので詳細な説明は省略する。また、実施例7において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例7において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例8に適用することができる。
実施例9も、実施例6の変形である。実施例9にあっては、実施例4と同様に、実施例6の[工程−100]と同様の工程において、代替的に、{100}面を主面として有する発光素子製造用基板10の該主面上に前記<110>方向に延びる複数のエッチング用マスク層を形成し、エッチング用マスク層とエッチング用マスク層との間に発光素子製造用基板10の主面の一部分を露出させ、次いで、露出した発光素子製造用基板10の主面の部分をエッチングし、以て、発光素子製造用基板10の一部から成る凸部11’を得た後、エッチング用マスク層を除去する。
以上の点を除き、実施例9の半導体発光素子及びその製造方法は、実施例6と同様とすることができるので詳細な説明は省略する。また、実施例7において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例7において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例9に適用することができるし、実施例8において説明した構成、構造の半導体発光素子、あるいは又、実施例8において説明した半導体発光素子の製造方法を、実施例9に適用することができる。
発光素子製造用基板10の露出面の上方における結晶成長によって得られる電流ブロック層40は、発光部20の側面から延びる{311}B結晶面領域、発光素子製造用基板10の主面に沿って延びる{100}結晶面領域、及び、{311}B結晶面領域と{100}結晶面領域との間に位置する{h11}B結晶面領域(但し、hは4以上の整数であり、便宜上、高次の結晶面領域と呼ぶ場合がある)から構成されている(図1の(B)参照)。
そして、特に、{h11}B結晶面領域、あるいは、係る領域の近傍において、電流ブロック層40を構成するn型化合物半導体層とp型化合物半導体層との間での不純物相互拡散によって、電流ブロック層40が消滅し、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなり、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題が生じる場合がある。上述した特許第2990837号においては、このような問題を解決するために、基板としてp型基板を使用し、更には、電流ブロック層40をp型化合物半導体層から構成する。ところで、{311}B結晶面領域はn型化し易く、高次の結晶面領域においてはp型化し易い。従って、{311}B結晶面領域は結果的に本来のp型エピタキシャル成長膜厚より厚さが減少して膜薄部となり、他方、高次の結晶面領域は結果的にp型化によって厚さが増加して膜厚部となる。その結果、電流ブロック層40の高次の結晶面領域の厚さが大となるため、この部分におけるリーク電流を確実に回避することができる。このように、特許第2990837号に開示された技術は、上述した問題の解決のために非常に有効な技術であるが、n型基板の使用に対する強い要望がある。また、p型基板を使用した場合にあっても、電流ブロック層におけるリーク電流の一層の低減を図ることが望ましい。以上に説明した問題を、以下の説明のために、第2の問題と呼ぶ。
実施例10、あるいは、後述する実施例11〜実施例14における半導体発光素子によって、このような第2の問題を解決することができる。
半導体発光素子の概念図を図22の(A)に示す実施例10の半導体発光素子にあっては、電流ブロック層40は、第1導電型(n型)を有する第3化合物半導体層43、及び、第2導電型(p型)を有し、第3化合物半導体層43に接した第4化合物半導体層44から構成されている。具体的には、図1の(A)及び(B)に示したように、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が形成されている。第4化合物半導体層44(p型)とその上の第3化合物半導体層43(n型)とのpn接合界面は、{311}B結晶面に沿って延びており、その端部が発光部20(特に、活性層23の側面)で接することで、新たな接合界面が2つ形成される。即ち、第2化合物半導体層22A,22B/第3化合物半導体層43のpn接合界面、第3化合物半導体層43/第4化合物半導体層44のnp接合界面、第4化合物半導体層44/第1化合物半導体層21のpn接合界面といった、pnpn接合構造から構成された電流経路が形成され、電流ブロック構造として望ましい設計である。
一方、このような積層構造とは逆に、第3化合物半導体層43(n型)と第4化合物半導体層44(p型)との位置関係を逆にして形成してもよい。この場合には、第4化合物半導体層44(p型)とその下の第3化合物半導体層43(n型)とのpn接合界面は、{311}B結晶面に沿って延びており、その端部が発光部20(特に、活性層23の側面)で接することで、新たな接合界面が2つ形成される。即ち、第2化合物半導体層22A,22B/第4化合物半導体層44のpp接合界面、第4化合物半導体層44/第3化合物半導体層43のpn接合界面、第3化合物半導体層43/第1化合物半導体層21のnn接合界面である。このように、第2化合物半導体層22A,22B/第4化合物半導体層44/第3化合物半導体層43/第1化合物半導体層21によって、ppnn接合構造となってしまうが、電流ブロック層40と発光部20との接合面積(特に、nn接合面積)を減らすことにより、接触面における抵抗を増大させ、電流ブロック構造として望ましい設計にすることが可能となる。
ここで、実施例10の半導体発光素子の模式的な一部断面図は、図1の(A)及び(B)に示したと同様である。尚、図22〜図33のそれぞれの(A)及び(B)においては、「化合物半導体層」を単に「層」と表現した。即ち、例えば、第1層とは、第1化合物半導体層を意味する。また、図26〜図33のそれぞれの(A)は、半導体発光素子のフレアストライプ中央部における概念図であり、図26〜図33のそれぞれの(B)は、半導体発光素子のフレアストライプ両端部における概念図である。
そして、第1化合物半導体層21を第1導電型(n型)とするための不純物は、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトが、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトと競合しない不純物から成る。また、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための不純物は、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトが、第3化合物半導体層43と接する第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。後述する実施例15にあっても、同様とすることができる。
具体的には、実施例10の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。
あるいは又、別の表現で表せば、実施例10の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21を第1導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物であり、
第3化合物半導体層43を第1導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物である。
あるいは又、実施例10の半導体発光素子は、更に別の表現で表せば、第1化合物半導体層21を第1導電型(n型)とするための不純物は、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための不純物とは異なる。
具体的には、実施例10の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表1Aあるいは表1Bに示す構成を有するが、第1化合物半導体層21及び第2化合物半導体層22A,22B、更には、電流ブロック層40を構成する化合物半導体は、活性層23を構成する化合物半導体と比較して、バンドギャップが大、即ち、屈折率が低い化合物半導体から成る。ここで、表1Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表1Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。表1A、表1B、あるいは、後述する表2A、表2B、表3A、表3B、表4A、表4B、表5A〜表5D、表6A、表6B、あるいは、後述する表7A、表7B、表8A、表8B、表9A、表9B、表10A〜表10Dに示す積層構造にあっては、上段に記した層ほど、上層(第2電極に近い層)を占めている。
以下の表に示す構造を有する活性層を、表1A、表1B、表3A、表3BA、表5A、表5C、表6A、表6B、表8A、表8BA、表10A、表10Cにおいては、[活性層−A]と表現する。この積層構造にあっては、上段に記した層ほど、上層(第2電極に近い層)を占めている。
[活性層−A]
閉じ込め層 ・・・p−Al0.3Ga0.7As:Zn
閉じ込め層 ・・・i−Al0.3Ga0.7As
多重量子井戸構造・・・i−Al0.1Ga0.9As(井戸層)
i−Al0.3Ga0.7As(障壁層)及び
i−Al0.1Ga0.9As(井戸層)
閉じ込め層 ・・・i−Al0.3Ga0.7As
閉じ込め層 ・・・n−Al0.3Ga0.7As:Se
また、以下の表に示す構造を有する活性層を、表2A、表2B、表4A、表4B、表5B、表5D、表7A、表7B、表9A、表9B、表10B、表10Dにおいては、[活性層−B]と表現する。この積層構造にあっては、上段に記した層ほど、上層(第2電極に近い層)を占めている。
[活性層−B]
閉じ込め層 ・・・n−Al0.3Ga0.7As:Se
閉じ込め層 ・・・i−Al0.3Ga0.7As
多重量子井戸構造・・・i−Al0.1Ga0.9As(井戸層)
i−Al0.3Ga0.7As(障壁層)及び
i−Al0.1Ga0.9As(井戸層)
閉じ込め層 ・・・i−Al0.3Ga0.7As
閉じ込め層 ・・・p−Al0.3Ga0.7As:Zn
[表1A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表1B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)埋込層31は、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、埋込層31と第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
電流ブロック層の一部を構成する第3化合物半導体層43は、
発光部20の側面から延びる{311}B結晶面領域(より具体的には、(31−1)B面及び(3−11)B面)、
発光素子製造用基板10の主面に沿って延びる{100}結晶面領域、及び、
{311}B結晶面領域と{100}結晶面領域との間に位置する{h11}B結晶面領域(より具体的には、(h1−1)B面及び(h−11)B面であり、ここで、hは4以上の整数である)、
から構成されている。尚、{h11}B結晶面領域(但し、hは4以上の整数)を、便宜上、高次の結晶面領域と呼ぶ。
更には、第3化合物半導体層43の下に形成された第4化合物半導体層44も、
第3化合物半導体層43と同様に、発光部20の側面から延びる{311}B結晶面領域、
発光素子製造用基板10の主面に沿って延びる{100}結晶面領域、及び、
{311}B結晶面領域と{100}結晶面領域との間に位置する高次の結晶面領域、
から構成されている。
尚、後述する実施例11〜実施例19における半導体発光素子においても、第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44は、層の上下の位置関係を除き、基本的には、上記の構造と同様の構造を有する。
ところで、実施例1の[工程−130]において、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43から成る電流ブロック層40をMOCVD法に基づき形成する。ここで、第4化合物半導体層44はp−Al0.47Ga0.53As:Znから成り、第3化合物半導体層43は、n−Al0.47Ga0.53As:Siから成る。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための不純物(Si)の第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。また、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための不純物(Zn)の第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトも、III族原子が占めるサイトである。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための不純物は、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトが、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。後述する実施例15にあっても同様である。
従って、第3化合物半導体層43を成膜した後、第4化合物半導体層44、埋込層31を成膜したとき、電流ブロック層40を構成する第3化合物半導体層43と第4化合物半導体層44との間で不純物相互拡散が生じ難い。また、電流ブロック層40と、電流ブロック層40に接する上下の2層との間の不純物相互拡散も生じ難い。その結果、電流ブロック層40が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を回避することができる。後述する実施例15にあっても同様である。
また、第1化合物半導体層21を第1導電型(n型)とするための不純物は、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト(V族原子が占めるサイト)が、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成るので、第1化合物半導体層21と第2化合物半導体層22A,22Bとの間での意図的な不純物相互拡散により設計されるpn接合制御が、各層不純物の濃度調整やドーピング位置調整によって細かく設計し易くなるため、発光特性の向上を図ることができる。後述する実施例15にあっても同様である。
ここで、実施例10の半導体発光素子にあっては、下地層12の上に形成された活性層23は、活性層23よりも屈折率が低い電流ブロック層40によって横方向(側面)が囲まれ、活性層23よりも屈折率が低い第1化合物半導体層21及び第2化合物半導体層22A,22Bによって上下方向が囲まれている。従って、活性層23の上下方向及び横方向は完全なる光閉込め構造となっている。しかも、発光素子製造用基板10の露出面の上方にあっては、活性層23の側面近傍は、p−n−p−n構造(p型埋込層31−n型第3化合物半導体層43−p型第4化合物半導体層44、p型電流ブロック層位置調整層30(p型第2化合物半導体層22B)及びp型第2化合物半導体層22A−n型第1化合物半導体層21)の、いわばサイリスタ構造が形成される。従って、発光素子製造用基板10の露出面において電流が流れることが阻止され、これによって活性層23に電流が集中し、低閾値電流化を図ることができる。ここで、p型電流ブロック層位置調整層30は、p型第4化合物半導体層44あるいはp型第2化合物半導体層22Bと見做すこともできる。後述する実施例12、実施例15、実施例17においても、同様である。
図1、あるいは、後述する図13、図14、図19及び図20には、電流ブロック層40の端面が活性層23の側面に接している構造を示したが、電流ブロック層40の端面は、第2化合物半導体層22A,22Bの側面に接している構造としてもよいし、第1化合物半導体層21の側面に接している構造としてもよく、これによっても、リーク電流を実用上抑制することが可能である。しかしながら、望ましくは、電流ブロック層40と発光部20とが接する端面の位置としては、少なくとも電流ブロック層40の一部が、活性層23の側面と接していることが望ましい。後述する実施例11〜実施例19においても、同様である。
第3化合物半導体層43の形成(成膜)においては、第3化合物半導体層43は、発光部20の側面から延びる{311}B結晶面領域、発光素子製造用基板10の主面に沿って延びる{100}結晶面領域、及び、{311}B結晶面領域と{100}結晶面領域との間に位置する高次の結晶面領域が形成される。そして、その結果、安定した(均一な)不純物濃度を有する第3化合物半導体層43の形成(積層)が可能となり、第3化合物半導体層43と接する別の伝導型を有する層との濃度バランスの調整が容易になる。従って、高い電流阻止能力を有する電流ブロック層40を得ることができる。しかも、安定した不純物濃度を有する第3化合物半導体層43の形成(積層)が可能となるので、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43を形成したとき、あるいは又、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44を形成したとき、第3化合物半導体層43や第4化合物半導体層44が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を一層確実に回避することができる。
尚、実施例10、あるいは、後述する実施例11〜実施例14にあっては、実施例1の[工程−100]〜[工程−150]と同様の工程を実行することで、実施例1と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例2〜実施例4にて説明した方法を実行することで、実施例2〜実施例4と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例5の[工程−500]〜[工程−520]と同様の工程を実行することで、実施例5と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例6の[工程−600]〜[工程−670]と同様の工程を実行することで、実施例6と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例7〜実施例9にて説明した方法を実行することで、実施例7〜実施例9と同様の半導体発光素子を得ることができる。
実施例11は実施例10の変形である。但し、実施例11における導電型を、実施例10における導電型と逆とした。即ち、実施例11における第1導電型はp型であり、第2導電型はn型である。ここで、模式的な一部断面図は、図10の(A)及び(B)に示したと同様である。
具体的には、図23の(A)に概念図を示すように、実施例11の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。
あるいは又、別の表現で表せば、実施例11の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21を第1導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物であり、
第3化合物半導体層43を第1導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)である。
更に別の表現で表せば、実施例11の半導体発光素子にあっては、第1化合物半導体層21を第1導電型(p型)とするための不純物は、第3化合物半導体層43を第1導電型(p型)とするための不純物とは異なる。
より具体的には、実施例11の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表2Aあるいは表2Bに示す構成を有する。ここで、表2Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表2Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表2A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Se(又はSi)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表2B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Se(又はSi)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)埋込層31は、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、埋込層31と第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例11にあっても、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、例えば、電流ブロック層位置調整層30、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43から成る電流ブロック層40を、順次、MOCVD法に基づき形成する。ここで、第3化合物半導体層43は、p−Al0.47Ga0.53As:Cから成り、第4化合物半導体層44はn−Al0.47Ga0.53As:Seから成る。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型(p型)とするための不純物(C)の第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。また、第4化合物半導体層44を第2導電型(n型)とするための不純物(Se)の第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトも、V族原子が占めるサイトである。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための不純物は、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトが、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための第4化合物半導体層における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。後述する実施例16にあっても同様である。
従って、第3化合物半導体層43を成膜した後、第4化合物半導体層44を成膜したとき、あるいは又、第4化合物半導体層44を成膜した後、第3化合物半導体層43を成膜したとき、電流ブロック層40を構成する第3化合物半導体層43と第4化合物半導体層44との間で不純物相互拡散が生じ難い。その結果、電流ブロック層40が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を回避することができる。後述する実施例16にあっても同様である。
また、第1化合物半導体層21を第1導電型(p型)とするための不純物は、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)が、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(n型)とするための第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイト(V族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成るので、第1化合物半導体層21と第2化合物半導体層22A,22Bとの間での意図的な不純物相互拡散により設計されるpn接合制御が、各層不純物の濃度調整やドーピング位置調整によって細かく設計し易くなるため、発光特性の向上を図ることができる。後述する実施例16にあっても同様である。
ここで、実施例11の半導体発光素子にあっても、下地層12の上に形成された活性層23は、活性層23よりも屈折率が低い電流ブロック層40によって横方向(側面)が囲まれ、活性層23よりも屈折率が低い第1化合物半導体層21及び第2化合物半導体層22A,22Bによって上下方向が囲まれている。従って、活性層23の上下方向及び横方向は完全なる光閉込め構造となっている。しかも、発光素子製造用基板10の露出面の上方にあっては、活性層23の側面近傍は、n−p−n−p構造(n型埋込層31−p型第3化合物半導体層43−n型第4化合物半導体層44−n型電流ブロック層位置調整層30(n型第2化合物半導体層22B)及びn型第2化合物半導体層22A−p型第1化合物半導体層21)の、いわばサイリスタ構造が形成される。従って、発光素子製造用基板10の露出面において電流が流れることが阻止され、これによって活性層23に電流が集中し、低閾値電流化を図ることができる。ここで、n型電流ブロック層位置調整層30は、n型第4化合物半導体層44あるいは、n型第2化合物半導体層22Bと見做すこともできる。後述する実施例13、実施例16、実施例18においても、同様である。
MOCVD法において、第3化合物半導体層43の成膜時、炭素(C)を添加するための原料ガスとして、III族原子用の原料ガスの分解で得られるメチル基あるいはエチル基を意図的に用いればよいし、あるいは又、MOCVD法において、第3化合物半導体層43の成膜時、CBr4ガスやCCl4ガスを添加してもよい。後述する実施例16にあっても同様である。
実施例12も、実施例10の変形である。
具体的には、実施例12の半導体発光素子は、図22の(B)に概念図を示すように、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。尚、実施例12の半導体発光素子の模式的な一部断面図は、図1の(A)及び(B)に示したと同様である。
また、別の表現で表せば、実施例12の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)は、III−V族化合物半導体から成り、
第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物であり、
第4化合物半導体層44を第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)である。
あるいは又、更に別の表現で表せば、実施例12の半導体発光素子にあっては、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための不純物は、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための不純物とは異なる。
より具体的には、実施例12の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表3Aあるいは表3Bに示す構成を有する。ここで、表3Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表3Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表3A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表3B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)埋込層31は、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、埋込層31と第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例12にあっても、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、例えば、電流ブロック層位置調整層30、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43から成る電流ブロック層40を、順次、MOCVD法に基づき形成する。ここで、第4化合物半導体層44はp−Al0.47Ga0.53As:Cから成り、第3化合物半導体層43は、n−Al0.47Ga0.53As:Seから成る。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための不純物(Se)の第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。また、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための不純物(C)の第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトも、V族原子が占めるサイトである。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための不純物は、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトが、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための第4化合物半導体層における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。後述する実施例17にあっても同様である。
従って、第4化合物半導体層44を成膜した後、第3化合物半導体層43を成膜したとき、あるいは又、第3化合物半導体層43を成膜した後、第4化合物半導体層44を成膜したとき、電流ブロック層40を構成する第3化合物半導体層43と第4化合物半導体層44との間で不純物相互拡散が生じ難い。その結果、電流ブロック層40が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を回避することができる。後述する実施例17にあっても同様である。
また、第1化合物半導体層21を第1導電型(n型)とするための不純物は、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト(V族原子が占めるサイト)が、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成るので、第1化合物半導体層21と第2化合物半導体層22A,22Bとの間での意図的な不純物相互拡散により設計されるpn接合制御が、各層不純物の濃度調整やドーピング位置調整によって細かく設計し易くなるため、発光特性の向上を図ることができる。後述する実施例17にあっても同様である。
ここで、実施例12の半導体発光素子にあっても、下地層12の上に形成された活性層23は、活性層23よりも屈折率が低い電流ブロック層40によって横方向(側面)が囲まれ、活性層23よりも屈折率が低い第1化合物半導体層21及び第2化合物半導体層22A,22Bによって上下方向が囲まれている。従って、活性層23の上下方向及び横方向は完全なる光閉込め構造となっている。しかも、発光素子製造用基板10の露出面の上方にあっては、活性層23の側面近傍は、p−n−p−n構造(p型埋込層31−n型第3化合物半導体層43−p型第4化合物半導体層44、p型電流ブロック層位置調整層30(n型第2化合物半導体層22B)及びp型第2化合物半導体層22A−n型第1化合物半導体層21)の、いわばサイリスタ構造が形成される。従って、発光素子製造用基板10の露出面において電流が流れることが阻止され、これによって活性層23に電流が集中し、低閾値電流化を図ることができる。後述する実施例17にあっても同様である。
実施例13は、実施例12の変形である。但し、実施例13における導電型を、実施例12における導電型と逆とした。即ち、実施例13における第1導電型はp型であり、第2導電型はn型である。
具体的には、図23の(B)に概念図を示すように、実施例13の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。尚、実施例13の半導体発光素子の模式的な一部断面図は、図10の(A)及び(B)に示したと同様である。
あるいは又、別の表現で表せば、実施例13の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)は、III−V族化合物半導体から成り、
第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物であり、
第4化合物半導体層44を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物である。
更に別の表現で表せば、実施例13の半導体発光素子にあっては、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための不純物は、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための不純物とは異なる。
より具体的には、実施例13の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表4Aあるいは表4Bに示す構成を有する。ここで、表4Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表4Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表4A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Si(又はSe)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表4B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Si(又はSe)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)埋込層31は、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、埋込層31と第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例13にあっても、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、例えば、電流ブロック層位置調整層30、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43から成る電流ブロック層40を、順次、MOCVD法に基づき形成する。ここで、第3化合物半導体層43は、p−Al0.47Ga0.53As:Znから成り、第4化合物半導体層44はn−Al0.47Ga0.53As:Siから成る。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型(p型)とするための不純物(Zn)の第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。また、第4化合物半導体層44を第2導電型(n型)とするための不純物(Si)の第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトも、III族原子が占めるサイトである。即ち、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための不純物は、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトが、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための第4化合物半導体層における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。後述する実施例18にあっても同様である。
従って、第3化合物半導体層43を成膜した後、第4化合物半導体層44を成膜したとき、あるいは又、第4化合物半導体層44を成膜した後、第3化合物半導体層43を成膜したとき、電流ブロック層40を構成する第3化合物半導体層43と第4化合物半導体層44との間で不純物相互拡散が生じ難い。その結果、電流ブロック層40が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を回避することができる。後述する実施例18にあっても同様である。
また、第1化合物半導体層21を第1導電型(p型)とするための不純物は、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)が、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(n型)とするための第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイト(V族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成るので、第1化合物半導体層21と第2化合物半導体層22A,22Bとの間での意図的な不純物相互拡散により設計されるpn接合制御が、各層不純物の濃度調整やドーピング位置調整によって細かく設計し易くなるため、発光特性の向上を図ることができる。後述する実施例18にあっても同様である。
ここで、実施例13の半導体発光素子にあっても、下地層12の上に形成された活性層23は、活性層23よりも屈折率が低い電流ブロック層40によって横方向(側面)が囲まれ、活性層23よりも屈折率が低い第1化合物半導体層21及び第2化合物半導体層22A,22Bによって上下方向が囲まれている。従って、活性層23の上下方向及び横方向は完全なる光閉込め構造となっている。しかも、発光素子製造用基板10の露出面の上方にあっては、活性層23の側面近傍は、n−p−n−p構造(n型埋込層31−p型第3化合物半導体層43−n型第4化合物半導体層44−n型電流ブロック層位置調整層30(n型第2化合物半導体層22B)及びn型第2化合物半導体層22A−p型第1化合物半導体層21)の、いわばサイリスタ構造が形成される。従って、発光素子製造用基板10の露出面において電流が流れることが阻止され、これによって活性層23に電流が集中し、低閾値電流化を図ることができる。後述する実施例18にあっても同様である。
第3化合物半導体層43の形成(成膜)においては、第3化合物半導体層43は、発光部20の側面から延びる{311}B結晶面領域、発光素子製造用基板10の主面に沿って延びる{100}結晶面領域、及び、{311}B結晶面領域と{100}結晶面領域との間に位置する高次の結晶面領域が形成される。そして、その結果、安定した(均一な)不純物濃度を有する第3化合物半導体層43の形成(積層)が可能となり、第3化合物半導体層43と接する別の伝導型を有する層との濃度バランスの調整が容易になる。従って、高い電流阻止能力を有する電流ブロック層40を得ることができる。しかも、安定した不純物濃度を有する第3化合物半導体層43の形成(積層)が可能となるので、第3化合物半導体層43上に第4化合物半導体層44を形成したとき、あるいは又、第4化合物半導体層44上に第3化合物半導体層43を形成したとき、第3化合物半導体層43や第4化合物半導体層44が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を一層確実に回避することができる。後述する実施例18にあっても同様である。
第2の問題を解決するために、図24の(A)に概念図を示し、図1の(A)に模式的な一部断面図を示し、拡大された模式的な一部断面図を図1の(B)に示したと同様に、実施例14の半導体発光素子にあっては、電流ブロック層40は、少なくとも、第2導電型を有する第4化合物半導体層44、及び、第1導電型を有する第3化合物半導体層43が順次積層された積層構造体から構成されている。そして、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための不純物は、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトが、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトと競合する不純物から成り、且つ、第1化合物半導体層21を第1導電型とするための第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。また、第2化合物半導体層22を第2導電型とするための不純物は、第2化合物半導体層22における不純物の置換サイトが、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。更には、第1化合物半導体層21、電流ブロック層40、及び、第2化合物半導体層22を通る迂回経路を想定したとき、各化合物半導体層の界面から構成されたpn接合界面が迂回経路内に少なくとも3つ、存在する。
第4化合物半導体層44は第1化合物半導体層21の側面と接しており、第3化合物半導体層43は第2化合物半導体層22の側面と接している。そして、具体的には、迂回経路は、第1化合物半導体層21、第4化合物半導体層44、第3化合物半導体層43、及び、第2化合物半導体層22から構成されており、pn接合界面は、第1化合物半導体層21の側面/第4化合物半導体層44、第4化合物半導体層44/第3化合物半導体層43、及び、第3化合物半導体層43/第2化合物半導体層22の側面の3つである。また、実施例14の半導体発光素子にあっても、第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43は、III−V族化合物半導体から成る。
ここで、実施例14にあっては、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト、第2化合物半導体層22における不純物の置換サイト、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイト、及び、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。そして、第1化合物半導体層21及び第3化合物半導体層43を第1導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物(具体的には、ケイ素,Si)であり、第2化合物半導体層22及び第4化合物半導体層44を第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物(具体的には、亜鉛,Zn)である。
より具体的には、実施例14の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表5Aに示す構成を有する。
[表5A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Si
(電流ブロック層)
埋込層31 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、電流ブロック層位置調整層30と第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
ここで、図1の(B)に示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が形成されている。そして、第3化合物半導体層43(n型)とその下の第4化合物半導体層44(p型)とのpn接合界面は、{311}B結晶面に沿って延びており、その端部が発光部20(特に、活性層23の側面)で接することで、新たな接合界面が2つ形成される。即ち、第2化合物半導体層22A,22B/第3化合物半導体層43のpn接合界面、第3化合物半導体層43/第4化合物半導体層44のnp接合界面、第4化合物半導体層44/第1化合物半導体層21のpn接合界面といった、pnpn接合構造から構成された電流経路が形成され、電流ブロック構造として望ましい設計である。後述する実施例19にあっても同様である。
しかも、実施例14にあっては、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイト、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、第2化合物半導体層22における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。即ち、第1化合物半導体層21を第1導電型(n型)とするための不純物は、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)が、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための第4化合物半導体層44における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)と競合する不純物から成る。また、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための不純物は、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)が、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための第4化合物半導体層44における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)と競合する不純物から成る。更には、第2化合物半導体層22を第2導電型(p型)とするための不純物は、第2化合物半導体層22における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)が、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト(III族原子が占めるサイト)と競合する不純物から成る。従って、第4化合物半導体層44を成膜したとき、電流ブロック層40を構成する第4化合物半導体層44と第1化合物半導体層21との間で不純物相互拡散が生じ難く、また、第3化合物半導体層43を成膜したとき、電流ブロック層40を構成する第3化合物半導体層43と第4化合物半導体層44との間で、あるいは又、第3化合物半導体層43と第2化合物半導体層22との間で、不純物相互拡散が生じ難く、高い信頼性を有する電流ブロック層40を形成することができる。即ち、電流ブロック層40が消滅したり、あるいは又、電流ブロック層40が薄くなったりして、電流ブロック層40の効果が安定せず、漏れ電流が増加するといった問題の発生を確実に回避することができる。後述する実施例19にあっても同様である。
尚、以上の点を除き、実施例14の半導体発光素子は、基本的に、実施例10の半導体発光素子と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例14の半導体発光素子の変形例を説明する。
図24の(B)に概念図を示す実施例14の半導体発光素子の変形例にあっては、
第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層を第1導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物(具体的には、Zn)であり、
第2化合物半導体層及び第4化合物半導体層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物(具体的には、Si)である。
より具体的には、実施例14の半導体発光素子のこの変形例にあっては、各層は、以下の表5Bに示す構成を有する。尚、表5Aの(注1)及び(注2)と同じ注が付される(後述する表5C〜表5Dにおいても同様)。
[表5B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第2化合物半導体層・・・n−Al0.4Ga0.6As:Si
活性層 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
埋込層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
図25の(A)及び(B)に概念図を示す実施例14の半導体発光素子の変形例において、第1化合物半導体層における不純物の置換サイト、第2化合物半導体層における不純物の置換サイト、第4化合物半導体層における不純物の置換サイト、及び、第3化合物半導体層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。
そして、図25の(A)に概念図を示す実施例14の半導体発光素子の変形例にあっては、第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層を第1導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物(具体的には、Se)であり、第2化合物半導体層及び第4化合物半導体層を第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)である。
より具体的には、実施例14の半導体発光素子のこの変形例にあっては、各層は、以下の表5Cに示す構成を有する。
[表5C]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第2化合物半導体層・・・p−Al0.4Ga0.6As:C
活性層 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
埋込層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第4化合物半導体層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
電流ブロック層位置調整層・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
あるいは又、図25の(B)に概念図を示す実施例14の半導体発光素子の変形例にあっては、
第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層を第1導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、
第2化合物半導体層及び第4化合物半導体層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物(具体的には、Se)である。
より具体的には、実施例14の半導体発光素子のこの変形例にあっては、各層は、以下の表5Dに示す構成を有する。
[表5D]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層・・・p−Al0.4Ga0.6As:C
(電流ブロック層)
埋込層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第4化合物半導体層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
電流ブロック層位置調整層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
次に、従来のフレア・ストライプ構造を有する半導体レーザの製造方法の概要を、説明し、更に、問題点を説明する。
[工程−10]
先ず、n−GaAsから成る発光素子製造用基板10の{100}結晶面、例えば(100)結晶面から成る主面上に、所要の幅を有し、[011]A方向に延びる概ねストライプ状の凸部211Aを形成する。尚、凸部211Aの幅方向は、[0−11]B方向に平行である。こうして、図37の(A)に示す構造を得ることができる。凸部211Aには、{111}B面から構成された斜面(側面)が形成される。図37の(B)に凸部211Aの平面形状を模式的に示すが、凸部211Aは、中央部の幅が両端部の幅よりも狭い帯状の形状を有する。ここで、図37の(B)において、凸部211Aを明確化するために、凸部211Aに斜線を付した。
[工程−20]
次いで、通常のMOCVD法、即ち、有機金属や水素化合物を原料ガスとするMOCVD法に基づき、凸部211A及び凹部面211Bの上に、バッファ層212、n型第1化合物半導体層21、活性層23、p型第2化合物半導体層22をエピタキシャル成長させる。このとき、凸部211Aの化合物半導体層の斜面(側面)は{111}B面から構成され、上述したとおり、{111}B面は非成長面である。従って、バッファ層212、第1化合物半導体層21、活性層23、第2化合物半導体層22によって形成される積層構造(所謂、ダブルヘテロ型構造)は、凸部211Aの上の領域と、凹部面211Bの上の領域とでは、係るダブルヘテロ型構造が分断された状態(Separated Double Heterostructure)で形成(積層)される。
[工程−30]
その後、第2化合物半導体層22の形成に連続して、全面に、p型化合物半導体層から成る電流ブロック層位置調整層30をMOCVD法に基づき形成する。更に、例えば、p型化合物半導体層及びn型化合物半導体層の積層構造から成る電流ブロック層40を、順次、MOCVD法に基づき形成する。電流ブロック層40は、{111}B面上には成長しない。また、電流ブロック層40の端面が、少なくとも活性層23の側面を覆うように、電流ブロック層40を形成する。こうして、凸部211Aの中央部にあっては、図38に示す断面構造を得ることができ、凸部211Aの両端部にあっては、図39に示す断面構造を得ることができる。
ここで、凸部211Aの中央部にあっては、発光部20の側面にのみ電流ブロック層40が形成される(図38参照)。一方、この時点では、凸部211Aの両端部にあっては、発光部20の側面に電流ブロック層40が形成されるだけでなく、発光部20の積層構造の頂面({100}面)上には、{111}Bファセット面(側面)を形成しながら頂面の幅を狭めるように、電流ブロック層40と同じ積層構造が形成される(図39参照)。尚、発光部20の積層構造の頂面に形成された電流ブロック層40と同じ積層構造を、便宜上、『堆積層40”』と呼ぶ。また、堆積層40”と発光部20の積層構造の頂面との間には、電流ブロック層位置調整層30と同じ構成を有する化合物半導体層30’が形成されている。
[工程−40]
次いで、全面に、埋込層31及びコンタクト層(キャップ層)32を、順次、MOCVD法に基づき形成する。一方、この時点では、凸部211Aの両端部にあっては、堆積層40”の頂面({100}面)上には、{111}Bファセット面(側面)を形成しながら頂面の幅を狭めるように埋込層が形成され、頂面の幅が十分に広い場合には、更に、コンタクト層(キャップ層)32と同じ積層構造が形成される。尚、堆積層40”上の埋込層を埋込層31”で表す。その後、最表層として形成されたコンタクト層32上に第2電極52を真空蒸着法に基づき形成し、一方、発光素子製造用基板10を裏面側から適切な厚みにラッピングした後、第1電極51を真空蒸着法に基づき形成する(図40及び図41参照)。
ところで、上述の[工程−30]において、凸部211Aの両端部にあっては、発光部20の積層構造の頂面には、電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層40”が形成される。この堆積層40”は、p型化合物半導体層及びn型化合物半導体層の積層構造から成るので、電流を通過させない。従って、第2電極52から供給される電流は、コンタクト層(キャップ層)32及び埋込層31へ到達し、堆積層40”の周囲から埋込層31と接触している{111}B側面(接触面)を通じて第2化合物半導体層22へと流れ込む。その結果、活性層への電流注入経路が{111}B側面(接触面)に限定されることに起因して、電気抵抗の増加による発熱や消費電流の増加といった問題、ひいては、半導体発光素子の発光効率が低下するといった問題が生じる。以下の説明のために、これらの問題を、第3の問題と呼ぶ。
実施例15、あるいは、後述する実施例16〜実施例19における半導体発光素子によって、このような第3の問題を解決することができる。
実施例15の半導体発光素子の概念図を図26の(A)及び(B)に示し、模式的な一部断面図を図13及び図14に示し、拡大された模式的な一部断面図を図15の(A)〜(C)に示す。ここで、図26の(A)は、半導体発光素子の中央部における概念図であり、図26の(B)は、半導体発光素子の端部における概念図である。また、図13は、半導体発光素子の中央部における半導体発光素子の模式的な一部断面図であり、図14は、半導体発光素子の端部における半導体発光素子の模式的な一部断面図である。更には、図15の(A)は、電流ブロック層周りの拡大された模式的な一部断面図であり、図15の(B)及び(C)は、半導体発光素子の端部における発光部周りの拡大された模式的な一部断面図である。図13に示した半導体発光素子の両端部における半導体発光素子の断面構造における各化合物半導体層の厚さと、図14に示した半導体発光素子の両端部における半導体発光素子の断面構造における各化合物半導体層の厚さが異なっている場合があるが、実際には同じ厚さである。
そして、実施例15の半導体発光素子は、電流ブロック層40及び発光部20上に形成された埋込層31を更に備えており、活性層23は、図37の(B)に平面形状を模式的に示す凸部211Aと同様の平面形状を有する下地層112(所謂メサ構造である)の上方に積層されることにより、中央部の幅が両端部の幅よりも狭い帯状の平面形状を有する。即ち、実施例15、あるいは、後述する実施例16〜実施例19の半導体発光素子は、所謂フレア・ストライプ構造を有する。
第2導電型を有する埋込層31は、第1埋込層31A及び第2埋込層31Bが順次積層された積層構造体から構成されており、電流ブロック層40の上方に位置する埋込層31において、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイトが、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトと競合しない不純物から成る。更には、電流ブロック層40の上方に位置する埋込層31において、第1埋込層31Aを第2導電型とするための不純物は、第1埋込層31Aにおける不純物の置換サイトが、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。また、電流ブロック層40の上方に位置する埋込層31において、第1埋込層31Aを第2導電型とするための不純物は、第1埋込層31Aにおける不純物の置換サイトが、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。後述する実施例16〜実施例19の半導体発光素子においても、同様である。
ここで、図13及び図14に示した例にあっては、実施例10にて説明したと同様に、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が形成されている。あるいは又、実施例10にて説明したと同様に、第3化合物半導体層43(n型)と第4化合物半導体層44(p型)との位置関係を逆にして形成してもよい。
また、実施例15の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、第3化合物半導体層43、第4化合物半導体層44、第1埋込層31A及び第2埋込層31Bは、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第1埋込層31Aにおける不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。
あるいは又、別の表現で表せば、実施例15の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、第3化合物半導体層43、第4化合物半導体層44、第1埋込層31A及び第2埋込層31Bは、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21を第1導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物であり、
第3化合物半導体層43を第1導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物であり、
第1埋込層31Aを第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物であり、
第2埋込層31Bを第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)である。
あるいは又、実施例15の半導体発光素子は、更に別の表現で表せば、第1化合物半導体層21を第1導電型(n型)とするための不純物は、第3化合物半導体層43を第1導電型(n型)とするための不純物とは異なる。
第1埋込層31Aの厚さは、電流ブロック層40の上で成長してきた第1埋込層31Aが、軸線に垂直な仮想平面で切断したときの発光部20の断面形状が頂面及び両側面から構成された発光部20の中央部あるいは発光部20の両端部において、頂面と側面によって構成される稜線に到達するような厚さ、あるいは、それ以下の厚さとすることが望ましい。即ち、発光部20の側面を覆う厚さ、あるいは、それ以下の厚さとすることが望ましい。一方、第2埋込層31Bの厚さは、発光部20の両端部の頂面上に電流ブロック層40と同じタイミングで形成された堆積層40”の側面を少なくとも覆うような厚さとすることが好ましく、より望ましくは、第1埋込層31Aと第2埋込層31Bの積層によって、活性層23で発生した光が吸収されない距離まで、頂面(頂点)を十分に覆うように厚く層を堆積することが好ましく、更には、より屈折率の低い材料を第1埋込層31Aと第2埋込層31B用の材料として選択することが好ましい。
更に、電流ブロック層40を構成する化合物半導体層の1層当たりの発光部20の側面との接触面に関して、より望ましい形態として、電流ブロック層40を構成する化合物半導体層の1層当たりの接触面の幅(発光部20の側面の上下方向に沿った接触面の長さ)を、第1化合物半導体層21と第2化合物半導体層22とによって挟まれている活性層23の総膜厚の幅(発光部20の側面の上下方向に沿った活性層23の長さ)以下とすることが望ましい。あるいは又、活性層23が量子井戸構造を有する場合、電流ブロック層40を構成する化合物半導体層の1層当たりの接触面の幅を、量子井戸構造を構成する井戸層1層の幅(発光部20の側面の上下方向に沿った井戸層の長さ)以下とすることが望ましい。このような形態は、電流ブロック層40を構成する各化合物半導体層の膜厚を非常に薄くする必要に迫られるため、従来の技術にあっては、先に説明したとおり、n型化合物半導体層/p型化合物半導体層(あるいはp型化合物半導体層/n型化合物半導体層)界面における不純物の相互拡散による導電型の中和によって、{311}B面やより高次の結晶面で構成される電流ブロック層40の一部が、消滅してしまったり、逆に、異常に厚くなってしまったりするといった問題があった。然るに、以上に説明した種々の実施例における半導体発光素子にあっては、電流ブロック層40を構成する各化合物半導体層において所望の導電型を得る際、不純物の置換サイトの競合関係を考慮した組み合わせを電流リーク抑制の視点から総合的に判断することにより、電流ブロック層40を構成する各化合物半導体層の膜厚を非常に薄くした場合においても、不純物の相互拡散による導電型の中和を抑制して、電流ブロック層40自身の電流ブロック品質を高め、更には、発光部20の側面のリーク電流を確実に抑制する構造を実現することが可能となった。
具体的には、実施例15の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表6Aあるいは表6Bに示す構成を有するが、第1化合物半導体層21及び第2化合物半導体層22A,22B、更には、電流ブロック層40を構成する化合物半導体は、活性層23を構成する化合物半導体と比較して、バンドギャップが大、即ち、屈折率が低い化合物半導体から成る。ここで、表6Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表6Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表6A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第1埋込層31A ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表6B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第1埋込層31A ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第1埋込層31Aは、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第1埋込層31Aと第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例15にあっては、半導体発光素子の製造過程において、発光部20の形成が完了した時点では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の中央部を切断したときの断面形状は三角形である。このとき、同時に一方では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の端部を切断したときの断面形状は台形である。従って、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)を形成するとき、発光部20の中央部にあっては、発光部20の側面にのみ電流ブロック層40が形成される。このとき、同時に一方では、発光部20の端部にあっては、発光部20の側面に電流ブロック層40が形成されるだけでなく、発光部20の頂面にも、電流ブロック層40と同じ積層構造を有する層(堆積層40”)が形成される(図15の(B)参照)。ここで、堆積層40”が形成された時点において、堆積層40”を構成する第4化合物半導体層を堆積層第4化合物半導体層44’と呼び、堆積層40”を構成する第3化合物半導体層を堆積層第3化合物半導体層43”と呼ぶ。尚、堆積層40”と発光部20の積層構造の頂面との間には、電流ブロック層位置調整層30と同じ構成を有する化合物半導体層30’が形成されている。
そして、電流ブロック層40の形成に引き続き、特に両端部においては、発光部20の側面と、発光部20の上に更に積層された堆積層40”の内の少なくとも1層の側面を覆うように、第1埋込層31Aを形成する。次いで、第1埋込層31Aが発光部20の側面あるいは化合物半導体層30’の側面を少なくとも覆い終わった時点で、第2埋込層31Bの形成を開始し、全面を第2埋込層31Bで被覆する。このとき、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイト(実施例15にあってはV族原子が占めるサイト)が、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層における不純物の置換サイト(実施例15にあってはIII族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成る(表6Aあるいは表6B参照)。従って、例えば最終的に頂点を覆うように厚く積層された第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、発光部20の両端部における頂面上に形成された堆積層第3化合物半導体層43”中に拡散し、係る堆積層第3化合物半導体層43”を第2導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43’へと変化させる(図15の(C)参照)。尚、このような状態となった堆積層を堆積層痕40’と呼ぶ。更には、堆積層痕40’上に形成された第1埋込層及び第2埋込層を、それぞれ、第1埋込層31A’、第2埋込層31B’と呼ぶ。また、図26〜図33の(A)のそれぞれにおいて、堆積層第3化合物半導体層43’を第3’層と呼び、堆積層第4化合物半導体層44’を第4’層と呼ぶ。ここで、特に、堆積層40”を構成する層として第1導電型を有する化合物半導体層が含まれる場合、この堆積層40”を構成する第1導電型を有する化合物半導体層の不純物の置換サイトと競合しない第2導電型を有する埋込層31が、堆積層40”の側面の少なくとも一部で接していることが望ましい。これにより、埋込層31(例えば、埋込層31B層)における第2導電型の不純物が堆積層40”の側面の少なくとも一部から拡散する結果、電流ブロックの原因となる堆積層40”を構成する第1導電型化合物半導体層を、先ずは導電型補償し、ひいては、第2導電型化することが可能となる。
実施例15の半導体発光素子は、例えば、以下に説明する方法に基づき製造することができる。即ち、実施例1の[工程−100]〜[工程−110]と同様の工程に基づき、図37の(B)に示す平面形状を有する凸部111の上に、図37の(B)に示す平面形状を有する下地層112を設ける。ここで、図37の(B)において、下地層112を明確化するために、下地層112に斜線を付した。
次いで、実施例1の[工程−120]と同様にして、下地層112の頂面上に、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る発光部20を形成し、併せて、発光素子製造用基板10の露出面の上方に、第1導電型を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型を有する第2化合物半導体層22が順次積層された積層構造体を形成する。尚、下地層112の幅と深さを適切に選択し、更には、第1化合物半導体層21、活性層23、第2化合物半導体層22A,22Bの厚さを適切に選択することで、下地層112の中央部上に、断面が三角形である発光部20の積層構造を得ることができる。このとき、同時に一方では、下地層112の両端部においては、断面が台形である発光部20の積層構造を得ることができる。ここで、その後、第2化合物半導体層22以降の層の成長が継続される過程で、中央部においては、成長停止状態にある三角形の側面が覆われながら、最終的に三角形の頂点も第2埋込層によって完全に埋め込まれる。一方、両端部においても、第2化合物半導体層22以降の層の成長が継続される過程で、台形の頂面({100}面)で化合物半導体層の成長が継続するので、例えば、最終的に中央部の場合に比べて、断面が大きな三角形(頂点)が形成され、更に、その三角形の側面が覆われながら最終的に頂点も第2埋込層によって完全に埋め込まれる。
具体的には、第2化合物半導体層22Bの形成に連続して、全面に、電流ブロック層位置調整層30をMOCVD法に基づき形成する。そして、更に、例えば、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43の積層構造から成る電流ブロック層40を、順次、MOCVD法に基づき形成する。こうして、下地層112の中央部にあっては、図5に示す断面構造を得ることができ、下地層112の両端部にあっては、図16に示す断面構造を得ることができる。電流ブロック層40は、{111}B面上には成長しない。また、電流ブロック層40の端面が、少なくとも活性層23の側面を覆うように、電流ブロック層40を形成する。このような構成、構造は、下地層112の頂面の幅と下地層112の高さを適切に選択し、更には、電流ブロック層位置調整層30の厚さを適切に選択することで達成することができる。第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44の構成、構造は、上述したとおりである。
次いで、全面に、第1埋込層31A、第2埋込層31B、並びに、コンタクト層(キャップ層)32を、順次、MOCVD法に基づき形成する。即ち、MOCVDを継続すると、やがて発光素子製造用基板10の露出面の上方において結晶成長する化合物半導体から成る第1埋込層31Aが、自己成長停止している発光部20の側面と、両端部においては更に発光部20の上に積層された堆積層40”の側面の内の少なくとも1層の側面を完全に埋め尽くすようになる。この状態で、第1埋込層31Aの成長を停止させ、次いで、第2埋込層31Bを成長させて、全面を第2埋込層31Bで完全に埋め尽くす。こうして、下地層112の中央部にあっては、図17に示す断面構造を得ることができ、下地層112の両端部にあっては、図18に示す断面構造を得ることができる。その後、コンタクト層32上に第2電極52を真空蒸着法に基づき形成し、一方、発光素子製造用基板10を裏面側から適切な厚みにラッピングした後、第1電極51を真空蒸着法に基づき形成する。こうして、下地層112の中央部にあっては、図13に示す断面構造を得ることができ、下地層112の両端部にあっては、図14に示す断面構造を得ることができる。
その後、各半導体発光素子を分離することによって、半導体発光素子を得ることができる。尚、後述する実施例16〜実施例19の半導体発光素子も、基本的には、以上に説明した方法と同様の方法に基づき作製することができる。
尚、実施例15、あるいは、後述する実施例16〜実施例19にあっては、実施例1の[工程−100]〜[工程−150]と同様の工程を実行することで、実施例1と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例2〜実施例4にて説明した方法を実行することで、実施例2〜実施例4と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例5の[工程−500]〜[工程−520]と同様の工程を実行することで、実施例5と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例6の[工程−600]〜[工程−670]と同様の工程を実行することで、実施例6と同様の半導体発光素子を得ることができるし、実施例7〜実施例9にて説明した方法を実行することで、実施例7〜実施例9と同様の半導体発光素子を得ることができる。
ところで、電流ブロック層40の上方に位置する埋込層31にあっては、第1埋込層31Aを第2導電型とするための不純物は、第1埋込層31Aにおける不純物の置換サイトが、第4化合物半導体層44を第2導電型とするための第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトと競合する不純物から成る。従って、第1埋込層31Aの不純物が第4化合物半導体層44に拡散することを確実に防止することができる。一方、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイトが、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトと競合しない不純物から成る。従って、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、発光部20の両端部における頂面上に電流ブロック層と同じタイミングで形成された堆積層40”における第1導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43”中に拡散し、係る堆積層第3化合物半導体層43”を第2導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43’へと変化させる。そして、以上の結果として、発光部20の両端部における発光部20の上方に位置する化合物半導体層は、全て、第2導電型を有するようになる。それ故、発光部20の積層構造の頂面に電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層が存在しなくなり、活性層23への電流注入経路が{111}B側面(接触面)に限定されないので、電気抵抗の増加による発熱や消費電流の増加といった問題、ひいては、半導体発光素子の発光効率が低下するといった問題の発生を確実に回避することができる。後述する実施例16〜実施例19にあっても、基本原理は同様である。
実施例16は、実施例15の変形である。但し、実施例16における導電型を、実施例15における導電型と逆とした。即ち、実施例16における第1導電型はp型であり、第2導電型はn型である。
具体的には、発光部の中央部における概念図を図27の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図27の(B)に示し、模式的な一部断面図を図19及び図20に示し、拡大された模式的な一部断面図を図21の(A)〜(C)に示す。ここで、図19は、半導体発光素子の中央部における半導体発光素子の模式的な一部断面図であり、図20は、半導体発光素子の端部における半導体発光素子の模式的な一部断面図である。更には、図21の(A)は、電流ブロック層周りの拡大された模式的な一部断面図であり、図21の(B)及び(C)は、半導体発光素子の端部における発光部周りの拡大された模式的な一部断面図である。
実施例16の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)、第1埋込層及び第2埋込層は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第1埋込層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第2埋込層における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。
あるいは又、別の表現で表せば、実施例16の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)、第1埋込層及び第2埋込層は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21を第1導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物であり、
第3化合物半導体層43を第1導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、
第1埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物であり、
第2埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物である。
更に別の表現で表せば、実施例16の半導体発光素子にあっては、第1化合物半導体層21を第1導電型(p型)とするための不純物は、第3化合物半導体層43を第1導電型(p型)とするための不純物とは異なる。
より具体的には、実施例16の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表7Aあるいは表7Bに示す構成を有する。ここで、表7Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表7Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表7A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第1埋込層31A ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Se(又はSi)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表7B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第1埋込層31A ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Se(又はSi)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第1埋込層31Aは、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第1埋込層31Aと第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例16にあっても、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、発光部20の形成が完了した時点では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の中央部を切断したときの断面形状は三角形である。このとき、同時に一方では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の端部を切断したときの断面形状は台形である。従って、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)を形成するとき、発光部20の中央部にあっては、発光部20の側面にのみ電流ブロック層40が形成される。このとき、同時に一方では、発光部20の端部にあっては、発光部20の側面に電流ブロック層40が形成されるだけでなく、発光部20の頂面にも、電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層40”が形成される。そして、電流ブロック層40の形成に引き続き、特に両端部においては、発光部20の側面と、発光部20の上に更に積層された堆積層40”の内の少なくとも1層の側面を覆うように第1埋込層31Aを形成する。次いで、第1埋込層31Aが発光部20の側面あるいは化合物半導体層30’の側面を少なくとも覆い終わった時点で、第2埋込層31Bの形成を開始し、全面を第2埋込層31Bで被覆する。このように、特に堆積層40”を構成する層として第1導電型を有する化合物半導体層が含まれる場合、この堆積層40”を構成する第1導電型を有する化合物半導体層の不純物の置換サイトと競合しない第2導電型を有する埋込層31(例えば、埋込層31B層)が、堆積層40”の側面の少なくとも一部で接していることが望ましい。これにより、埋込層31(例えば、埋込層31B層)における第2導電型の不純物が堆積層40”の側面の少なくとも一部から拡散し、電流ブロックの原因となる堆積層40”を構成する第1導電型化合物半導体層を、先ずは導電型補償し、ひいては、第2導電型化することが可能となる。このとき、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイト(実施例16にあってはIII族原子が占めるサイト)が、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層における不純物の置換サイト(実施例16にあってはV族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成る(表7Aあるいは表7B参照)。従って、例えば、最終的に頂点を覆うように厚く積層した第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、発光部20の両端部における頂面上に形成された第1導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43”中に拡散し、係る堆積層第3化合物半導体層43”を第2導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43’へと変化させる。そして、以上の結果として、発光部20の両端部における発光部20の上方に位置する化合物半導体層は、全て、第2導電型を有するようになる。それ故、発光部20の積層構造の頂面に電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層が存在しなくなり、活性層への電流注入経路が{111}B側面(接触面)に限定されないので、電気抵抗の増加による発熱や消費電流の増加といった問題、ひいては、半導体発光素子の発光効率が低下するといった問題の発生を確実に回避することができる。
実施例17も、実施例15の変形である。具体的には、実施例17の半導体発光素子は、発光部の中央部における概念図を図28の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図28の(B)に示すように、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)、第1埋込層及び第2埋込層は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第1埋込層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第2埋込層における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。尚、実施例17の半導体発光素子の模式的な一部断面図は、図19及び図20に示したと同様である。
また、別の表現で表せば、実施例17の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)、第1埋込層及び第2埋込層は、III−V族化合物半導体から成り、
第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物であり、
第4化合物半導体層44を第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、
第1埋込層を第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、
第2埋込層を第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物である。
更に別の表現で表せば、実施例17の半導体発光素子にあっては、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための不純物は、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための不純物とは異なる。
より具体的には、実施例17の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表8Aあるいは表8Bに示す構成を有する。ここで、表8Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表8Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表8A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第1埋込層31A ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表8B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第1埋込層31A ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第1埋込層31Aは、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第1埋込層31Aと第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例17にあっても、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、発光部20の形成が完了した時点では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の中央部を切断したときの断面形状は三角形である。このとき、同時に一方では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の端部を切断したときの断面形状は台形である。従って、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)を形成するとき、発光部20の中央部にあっては、発光部20の側面にのみ電流ブロック層40が形成される。このとき、同時に一方では、発光部20の端部にあっては、発光部20の側面に電流ブロック層40が形成されるだけでなく、発光部20の頂面にも、電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層40”が形成される。そして、電流ブロック層40の形成に引き続き、特に両端部においては、発光部20の側面と、発光部20の上に更に積層された堆積層40”の内の少なくとも1層の側面を覆うように覆うように第1埋込層31Aを形成する。次いで、第1埋込層31Aが発光部20の側面あるいは化合物半導体層30’の側面を少なくとも覆い終わった時点で、第2埋込層31Bの形成を開始し、全面を第2埋込層31Bで被覆する。このように、特に堆積層40”を構成する層として第1導電型を有する化合物半導体層が含まれる場合、この堆積層40”を構成する第1導電型を有する化合物半導体層の不純物の置換サイトと競合しない第2導電型を有する埋込層31(例えば、埋込層31B層)が、堆積層40”の側面の少なくとも一部で接していることが望ましい。これにより、埋込層31(例えば、埋込層31B層)における第2導電型の不純物が堆積層40”の側面の少なくとも一部から拡散し、電流ブロックの原因となる堆積層40”を構成する第1導電型化合物半導体層を、先ずは導電型補償し、ひいては、第2導電型化することが可能となる。このとき、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイト(実施例17にあってはIII族原子が占めるサイト)が、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層における不純物の置換サイト(実施例17にあってはV族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成る(表8Aあるいは表8B参照)。従って、例えば、最終的に頂点を覆うように厚く積層した第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、発光部20の両端部における頂面上に形成された第1導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43”中に拡散し、係る堆積層第3化合物半導体層43”を第2導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43’へと変化させる。そして、以上の結果として、発光部20の両端部における発光部20の上方に位置する化合物半導体層は、全て、第2導電型を有するようになる。それ故、発光部20の積層構造の頂面に電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層が存在しなくなり、活性層への電流注入経路が{111}B側面(接触面)に限定されないので、電気抵抗の増加による発熱や消費電流の増加といった問題、ひいては、半導体発光素子の発光効率が低下するといった問題の発生を確実に回避することができる。
実施例18は、実施例17の変形である。但し、実施例18における導電型を、実施例17における導電型と逆とした。即ち、実施例18における第1導電型はp型であり、第2導電型はn型である。
具体的には、発光部の中央部における概念図を図29の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図29の(B)に示すように、実施例18の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)、第1埋込層及び第2埋込層は、III−V族化合物半導体から成り、
第1化合物半導体層21における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第2化合物半導体層22A,22Bにおける不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、
第3化合物半導体層43における不純物の置換サイト、及び、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第1埋込層における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、
第2埋込層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。尚、実施例18の半導体発光素子の模式的な一部断面図は、図19及び図20に示したと同様である。
あるいは又、別の表現で表せば、実施例18の半導体発光素子にあっては、
第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22A,22B、電流ブロック層40(第3化合物半導体層43及び第4化合物半導体層44)、第1埋込層及び第2埋込層は、III−V族化合物半導体から成り、
第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物であり、
第4化合物半導体層44を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物であり、
第1埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物であり、
第2埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物である。
更に別の表現で表せば、実施例18の半導体発光素子にあっては、第2化合物半導体層22A,22Bを第2導電型(p型)とするための不純物は、第4化合物半導体層44を第2導電型(p型)とするための不純物とは異なる。
より具体的には、実施例18の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表9Aあるいは表9Bに示す構成を有する。ここで、表9Aに示した例にあっては、第4化合物半導体層44の上に第3化合物半導体層43が積層されており、表9Bに示した例にあっては、第3化合物半導体層43の上に第4化合物半導体層44が積層されている。
[表9A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第1埋込層31A ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Si(又はSe)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第4化合物半導体層44と電流ブロック層位置調整層30との間に境界は存在しない。
[表9B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層22A・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層23 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層21 ・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第1埋込層31A ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第4化合物半導体層44 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第3化合物半導体層43 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
電流ブロック層位置調整層30・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
(全体)
コンタクト層32 ・・・n−GaAs:Si(又はSe)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第1埋込層31Aは、第4化合物半導体層44に引き続き、連続的に形成され、実質的には、第1埋込層31Aと第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例18にあっても、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、発光部20の形成が完了した時点では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の中央部を切断したときの断面形状は三角形である。このとき、同時に一方では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の端部を切断したときの断面形状は台形である。従って、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)を形成するとき、発光部20の中央部にあっては、発光部20の側面にのみ電流ブロック層40が形成される。このとき、同時に一方では、発光部20の端部にあっては、発光部20の側面に電流ブロック層40が形成されるだけでなく、発光部20の頂面にも、電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層40”が形成される。そして、電流ブロック層40の形成に引き続き、特に両端部においては、発光部20の側面と、発光部20の上に更に積層された堆積層40”の内の少なくとも1層の側面を覆うように第1埋込層31Aを形成する。次いで、第1埋込層31Aが発光部20の側面あるいは化合物半導体層30’の側面を少なくとも覆い終わった時点で、第2埋込層31Bの形成を開始し、全面を第2埋込層31Bで被覆する。このように、特に堆積層40”を構成する層として第1導電型を有する化合物半導体層が含まれる場合、この堆積層40”を構成する第1導電型を有する化合物半導体層の不純物の置換サイトと競合しない第2導電型を有する埋込層31(例えば、埋込層31B層)が、堆積層40”の側面の少なくとも一部で接していることが望ましい。これにより、埋込層31(例えば、埋込層31B層)における第2導電型の不純物が堆積層40”の側面の少なくとも一部から拡散し、電流ブロックの原因となる堆積層40”を構成する第1導電型化合物半導体層を、先ずは導電型補償し、ひいては、第2導電型化することが可能となる。このとき、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイト(実施例18にあってはV族原子が占めるサイト)が、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層における不純物の置換サイト(実施例18にあってはIII族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成る(表9Aあるいは表9B参照)。従って、例えば、最終的に頂点を覆うように厚く積層した第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、発光部20の両端部における頂面上に形成された第1導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43”中に拡散し、係る堆積層第3化合物半導体層43”を第2導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43’へと変化させる。そして、以上の結果として、発光部20の両端部における発光部20の上方に位置する化合物半導体層は、全て、第2導電型を有するようになる。それ故、発光部20の積層構造の頂面に電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層が存在しなくなり、活性層への電流注入経路が{111}B側面(接触面)に限定されないので、電気抵抗の増加による発熱や消費電流の増加といった問題、ひいては、半導体発光素子の発光効率が低下するといった問題の発生を確実に回避することができる。
実施例19の半導体発光素子は、発光部の中央部における概念図を図30の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図30の(B)に示し、図13、図14に模式的な一部断面図を示し、拡大された模式的な一部断面図を図15の(A)〜(C)に示したと同様に、
(A)第1導電型(実施例19にあっては、n型)を有する第1化合物半導体層21、活性層23、及び、第2導電型(実施例19にあっては、p型)を有する第2化合物半導体層22が順次積層されて成る発光部20、並びに、
(B)発光部20の側面に接して設けられた電流ブロック層40、
を備えている。
そして、電流ブロック層40は、実施例14にて説明したと同様の構成、構造を有するし、電流ブロック層40と発光部20の側面との位置関係も実施例14にて説明したと同様である。ここで、実施例19の半導体発光素子にあっても、第1化合物半導体層21、第2化合物半導体層22、第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43は、III−V族化合物半導体から成る。
実施例19にあっては、第1化合物半導体層21における不純物の置換サイト、第2化合物半導体層22における不純物の置換サイト、第4化合物半導体層44における不純物の置換サイト、及び、第3化合物半導体層43における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。また、第1埋込層における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトであり、第2埋込層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトである。そして、第1化合物半導体層21及び第3化合物半導体層43を第1導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物(具体的には、ケイ素,Si)であり、第2化合物半導体層22及び第4化合物半導体層44を第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物(具体的には、亜鉛,Zn)であり、第1埋込層31Aを第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物(具体的には、亜鉛,Zn)であり、第2埋込層31Bを第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)である。
より具体的には、実施例19の半導体発光素子にあっては、各層は、以下の表10Aに示す構成を有する。
[表10A]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層22B・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第2化合物半導体層22A・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
活性層23 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層21 ・・・n−Al0.4Ga0.6As:Si
(電流ブロック層)
第2埋込層31B ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第1埋込層31A ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第3化合物半導体層43 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第4化合物半導体層44 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
電流ブロック層位置調整層30・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
(注1)第2化合物半導体層22Bに引き続き、電流ブロック層位置調整層30が形成される。
(注2)第4化合物半導体層44は、電流ブロック層位置調整層30に引き続き、連続的に形成され、実質的には、電流ブロック層位置調整層30と第4化合物半導体層44との間に境界は存在しない。
実施例19にあっても、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、発光部20の形成が完了した時点では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の中央部を切断したときの断面形状は三角形である。このとき、同時に一方では、発光部20の軸線に垂直な仮想平面で発光部20の端部を切断したときの断面形状は台形である。従って、電流ブロック層40(第4化合物半導体層44及び第3化合物半導体層43)を形成するとき、発光部20の中央部にあっては、発光部20の側面にのみ電流ブロック層40が形成される。このとき、同時に一方では、発光部20の端部にあっては、発光部20の側面に電流ブロック層40が形成されるだけでなく、発光部20の頂面にも、電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層40”が形成される。そして、電流ブロック層40の形成に引き続き、特に両端部においては、発光部20の側面と、発光部20の上に更に積層された堆積層40”の内の少なくとも1層の側面を覆うように第1埋込層31Aを形成する。次いで、第1埋込層31Aが発光部20の側面あるいは化合物半導体層30’の側面を少なくとも覆い終わった時点で、第2埋込層31Bの形成を開始し、全面を第2埋込層31Bで被覆する。このように、特に堆積層40”を構成する層として第1導電型を有する化合物半導体層が含まれる場合、この堆積層40”を構成する第1導電型を有する化合物半導体層の不純物の置換サイトと競合しない第2導電型を有する埋込層31(例えば、埋込層31B層)が、堆積層40”の側面の少なくとも一部で接していることが望ましい。これにより、埋込層31(例えば、埋込層31B層)における第2導電型の不純物が堆積層40”の側面の少なくとも一部から拡散し、電流ブロックの原因となる堆積層40”を構成する第1導電型化合物半導体層を、先ずは導電型補償し、ひいては、第2導電型化することが可能となる。このとき、第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、第2埋込層31Bにおける不純物の置換サイト(実施例19にあってはV族原子が占めるサイト)が、第3化合物半導体層43を第1導電型とするための第3化合物半導体層における不純物の置換サイト(実施例19にあってはIII族原子が占めるサイト)と競合しない不純物から成る(表10Aあるいは表10B参照)。従って、例えば、最終的に頂点を覆うように厚く積層した第2埋込層31Bを第2導電型とするための不純物は、発光部20の両端部における頂面上に形成された第1導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43”中に拡散し、係る堆積層第3化合物半導体層43”を第2導電型を有する堆積層第3化合物半導体層43’へと変化させる。そして、以上の結果として、発光部20の両端部における発光部20の上方に位置する化合物半導体層は、全て、第2導電型を有するようになる。それ故、発光部20の積層構造の頂面に電流ブロック層40と同じ積層構造を有する堆積層が存在しなくなり、活性層への電流注入経路が{111}B側面(接触面)に限定されないので、電気抵抗の増加による発熱や消費電流の増加といった問題、ひいては半導体発光素子の発光効率が低下するといった問題の発生を確実に回避することができる。
尚、以上の点を除き、実施例19の半導体発光素子は、基本的に、実施例15の半導体発光素子と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例19の半導体発光素子の変形例を説明する。
発光部の中央部における概念図を図31の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図31の(B)に示す実施例19の半導体発光素子の変形例にあっては、
第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層を第1導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物(具体的には、Zn)であり、
第2化合物半導体層及び第4化合物半導体層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物(具体的には、Si)であり、
第1埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物であり、第2埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物である。
より具体的には、実施例19の半導体発光素子のこの変形例にあっては、各層は、以下の表10Bに示す構成を有する。尚、表10Aの(注1)及び(注2)と同じ注が付される(後述する表10C〜表10Dにおいても同様)。
[表10B]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第2化合物半導体層・・・n−Al0.4Ga0.6As:Si
活性層 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層・・・p−Al0.4Ga0.6As:Zn
(電流ブロック層)
第2埋込層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第1埋込層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第3化合物半導体層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第4化合物半導体層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
電流ブロック層位置調整層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
発光部の中央部における概念図を図32の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図32の(B)に示すように、あるいは又、発光部の中央部における概念図を図33の(A)に示し、発光部の端部における概念図を図33の(B)に示すように、実施例19の半導体発光素子のこれらの変形例にあっては、第1化合物半導体層における不純物の置換サイト、第2化合物半導体層における不純物の置換サイト、第4化合物半導体層における不純物の置換サイト、及び、第3化合物半導体層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、第1埋込層における不純物の置換サイトは、V族原子が占めるサイトであり、第2埋込層における不純物の置換サイトは、III族原子が占めるサイトである。
そして、図32の(A)及び(B)に概念図を示す実施例19の半導体発光素子の変形例にあっては、
第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層を第1導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物(具体的には、Se)であり、
第2化合物半導体層及び第4化合物半導体層を第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、
第1埋込層を第2導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、第2埋込層を第2導電型であるp型とするための不純物は、第II族不純物である。
より具体的には、実施例19の半導体発光素子のこの変形例にあっては、各層は、以下の表10Cに示す構成を有する。
[表10C]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第2化合物半導体層・・・p−Al0.4Ga0.6As:C
活性層 ・・・[活性層−A]
第1化合物半導体層・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
(電流ブロック層)
第2埋込層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
第1埋込層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第3化合物半導体層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第4化合物半導体層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
電流ブロック層位置調整層・・・p−Al0.47Ga0.53As:Zn
(全体)
コンタクト層32 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
あるいは又、図33の(A)及び(B)に概念図を示す実施例19の半導体発光素子の変形例にあっては、
第1化合物半導体層及び第3化合物半導体層を第1導電型であるp型とするための不純物は、炭素(C)であり、
第2化合物半導体層及び第4化合物半導体層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物(具体的には、Se)であり、
第1埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第VI族不純物であり、第2埋込層を第2導電型であるn型とするための不純物は、第IV族不純物である。
より具体的には、実施例19の半導体発光素子のこの変形例にあっては、各層は、以下の表10Dに示す構成を有する。
[表10D]
(発光部の構成)
第2化合物半導体層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第2化合物半導体層・・・n−Al0.4Ga0.6As:Se
活性層 ・・・[活性層−B]
第1化合物半導体層・・・p−Al0.4Ga0.6As:C
(電流ブロック層)
第2埋込層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Si
第1埋込層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
第3化合物半導体層 ・・・p−Al0.47Ga0.53As:C
第4化合物半導体層 ・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
電流ブロック層位置調整層・・・n−Al0.47Ga0.53As:Se
(全体)
コンタクト層 ・・・p−GaAs:Zn(又はC)
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した半導体発光素子の構造、構成、構成材料等、あるいは、半導体発光素子の製造方法は例示であり、種々、変更することができる。前述したとおり、実施例10〜実施例19において説明した半導体発光素子の構成、構造を、実施例1〜実施例9にて説明した構造を有する半導体発光素子に適用することができることは云うまでもない。半導体発光素子を発光ダイオード(LED)として機能させ、第1化合物半導体層21から光を出射される場合、実施例1〜実施例9において説明した構造を有する半導体発光素子にあっては、第1電極51,151が第1化合物半導体層21から出射された光を遮らないように、第1電極51,151を透明電極材料から構成するか、第1電極51,151を第1化合物半導体層21から出射された光を遮らないような位置に設ける必要がある。
図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の半導体発光素子の模式的な一部断面図、及び、第3化合物半導体層及び第4化合物半導体層の一部を拡大した模式的な一部断面図である。
図2は、実施例1の半導体発光素子における発光素子製造用基板、凸部及び下地層の模式的な一部断面図である。
図3は、従来の半導体発光素子における問題点を本発明の半導体発光素子によって如何に解決し得るかを説明するための概念図である。
図4の(A)及び(B)は、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図5は、図4の(B)に引き続き、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図6は、図5に引き続き、実施例1の半導体発光素子の製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図7の(A)及び(B)は、実施例2における半導体発光素子の製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図8の(A)及び(B)は、実施例3における半導体発光素子の製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図9の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例4における半導体発光素子の製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図10の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5の半導体発光素子の模式的な一部断面図、及び、第3化合物半導体層及び第4化合物半導体層の一部を拡大した模式的な一部断面図である。
図11は、実施例6の半導体発光素子の模式的な一部断面図である。
図12は、実施例6の半導体発光素子及びその製造方法を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図13は、実施例15の半導体発光素子の両端部における半導体発光素子の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の中央部)である。
図14は、実施例15の半導体発光素子の両端部における半導体発光素子の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の両端部)である。
図15の(A)〜(C)は、実施例15の半導体発光素子の拡大された模式的な一部断面図である。
図16は、実施例15の半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の両端部)である。
図17は、実施例15の半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の両端部)である。
図18は、実施例15の半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の両端部)である。
図19は、実施例16の半導体発光素子の中央部における半導体発光素子の模式的な一部断面図である。
図20は、実施例16の半導体発光素子の両端部における半導体発光素子の模式的な一部断面図である。
図21の(A)〜(C)は、実施例16の半導体発光素子の拡大された模式的な一部断面図である。
図22の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例10及び実施例12の半導体発光素子の概念図である。
図23の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例11及び実施例13の半導体発光素子の概念図である。
図24の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例14の半導体発光素子の概念図である。
図25の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例14の半導体発光素子の変形例の概念図である。
図26の(A)及び(B)は、実施例15の半導体発光素子の概念図である。
図27の(A)及び(B)は、実施例16の半導体発光素子の概念図である。
図28の(A)及び(B)は、実施例17の半導体発光素子の概念図である。
図29の(A)及び(B)は、実施例18の半導体発光素子の概念図である。
図30の(A)及び(B)は、実施例19の半導体発光素子の変形例の概念図である。
図31の(A)及び(B)は、実施例19の半導体発光素子の別の変形例の概念図である。
図32の(A)及び(B)は、実施例19の半導体発光素子の更に別の変形例の概念図である。
図33の(A)及び(B)は、実施例19の半導体発光素子の更に別の変形例の概念図である。
図34の(A)及び(B)は、従来の半導体発光素子における問題点を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図35の(A)及び(B)は、従来の半導体発光素子における別の問題点を説明するための発光素子製造用基板等の模式的な一部断面図である。
図36の(A)〜(C)は、従来の半導体発光素子における問題点を纏めた発光素子製造用基板等の概念図である。
図37の(A)は、従来の半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図であり、図37の(B)は、フレア・ストライプ構造を有する半導体発光素子を製造するための凸部あるいは下地層の模式的な平面図である。
図38は、図37の(A)に引き続き、フレア・ストライプ構造を有する半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の中央部に相当する)である。
図39は、図37の(A)に引き続き、フレア・ストライプ構造を有する半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の両端部に相当する)である。
図40は、図38に引き続き、フレア・ストライプ構造を有する半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の中央部に相当する)である。
図41は、図39に引き続き、フレア・ストライプ構造を有する半導体発光素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図(但し、半導体発光素子の両端部に相当する)である。
符号の説明
10・・・発光素子製造用基板、11,111・・・凸部、11A・・・選択成長用マスク層、11B・・・エッチング用マスク層、12,112・・・下地層、12A,112A・・・第1下地層、12B,112B・・・第2下地層、20・・・発光部、20’・・・積層構造体、21・・・第1化合物半導体層、22,22A,22B・・・第2化合物半導体層、23・・・活性層、30・・・電流ブロック層位置調整層、31・・・埋込層、31A・・・第1埋込層、31B・・・第2埋込層、32・・・コンタクト層(キャップ層)、40・・・電流ブロック層、40’・・・堆積層痕、40”・・・堆積層、43・・・第3化合物半導体層、44・・・第4化合物半導体層、51,151・・・第1電極、52,152・・・第2電極、60・・・支持基板、61・・・金属層