JP2010071881A - 障害物検知システム - Google Patents

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Abstract

【課題】周囲のノイズレベルが大きい状況下でも、障害物検知の精度低下を抑制しつつ、障害物の検知を行なうことのできる障害物検知システムを提供する。
【解決手段】障害物検知システム1は、超音波センサ10による障害物検知動作を繰り返し実行するとともに、各障害物検知動作において受信した反射波レベルが判定閾値Thを超えることが判定回数Nだけ連続した場合には、障害物が周囲に位置する旨を判断する。また、障害物検知システム1は、超音波センサ10によるノイズ監視動作を実行するとともに、このノイズ監視動作にて受信した超音波をノイズとしてその電圧レベルを判断し、この判断したノイズレベルに応じて、判定閾値Thを設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、周囲に位置する障害物を超音波によって検知する障害物検知システムに関する。
従来、この種の障害物検知システムとして、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この文献に記載の技術は、超音波センサによって周囲に超音波を発信することなく周囲の超音波を受信し、この受信した超音波をノイズとしてその電圧レベルがノイズ判定値以上であるか否かを判定するノイズ判定モードと、超音波センサによって周囲に超音波を発信するとともに、周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信し、この受信した反射波の電圧レベルが障害物判定閾値を超える場合には、周囲に位置する障害物がある旨を判断する障害物検知モードを有する。そして、ノイズ判定モードにおいてノイズの電圧レベルがノイズ判定値以上であると判定する場合、ノイズに起因して障害物を精度良く検知することができないおそれがあるため、障害物検知モードに移行しないようにして、障害物検知を実行しないようにしている。
特開2003−270345号公報
しかしながら、上記従来技術では、ノイズの電圧レベルがノイズ判定値以上であると判定する場合には一律に、障害物検知モードに移行せず、ノイズの電圧レベルがノイズ判定値に満たないと判定する場合には一律に、障害物検知モードに移行する。
そのため、ノイズの電圧レベルがノイズ判定値以上ではあるものの、障害物からの反射波の電圧レベルが十分に大きい場合(例えば障害物が近距離に位置する場合等)、障害物の検知が可能であるにもかかわらず、障害物検知モードに移行しないため、障害物の検知を行なうことができなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、周囲のノイズレベルが大きい状況下でも、障害物検知の精度低下を抑制しつつ、障害物の検知を行なうことのできる障害物検知システムを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、周囲に位置する障害物を超音波によって検知する障害物検知システムであって、周囲に超音波を発信する超音波発信部と、周囲から超音波を受信する超音波受信部と、前記超音波発信部によって周囲に超音波を発信し前記超音波受信部によって周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信する障害物検知動作を実行するとともに、この障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルが判定閾値を超える場合には、障害物が周囲に位置する旨を判断する障害物検知手段と、前記超音波発信部によって周囲に超音波を発信することなく前記超音波受信部によって周囲の超音波を受信するノイズ監視動作を実行するとともに、このノイズ監視動作にて受信した超音波をノイズとしてその電圧レベルを判断するノイズ監視手段と、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルに応じて、前記障害物検知手段によって使用される前記判定閾値を設定する判定閾値設定手段とを備えることを特徴とする。
障害物検知システムとしてのこのような構成では、ノイズ監視手段によって、上記ノイズ監視動作にて受信した超音波をノイズとしてその電圧レベルが判断され、判定閾値設定手段によって、ノイズの電圧レベルに応じて判定閾値が設定されるようになる。そして、障害物検知手段によって、このように設定された上記判定閾値を反射波の電圧レベルが超える場合には、障害物が周囲に位置する旨が判断されるようになる。このように、ノイズの電圧レベルに応じて判定閾値が設定されるため、周囲のノイズレベルが大きい状況下であっても、障害物検知の精度低下を抑制しつつ、障害物の検知を行なうことができるようになる。
なお、ノイズ監視手段によって判断されたノイズの電圧レベルが大きいほど反射波とノイズとの判別ができないことが多くなるため、判定閾値設定手段によって判定閾値をより大きな値に設定することが望ましい。換言すれば、ノイズ監視手段によって判断されたノイズの電圧レベルが小さいほど反射波とノイズとの判別ができることが多くなるため、判定閾値設定手段によって判定閾値をより小さな値に設定することが望ましい。
また、こうした態様としては、上記請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明のように、前記判定閾値設定手段は、前記障害物検知手段によって使用される前記判定閾値を、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルよりも所定幅だけ大きな値に設定するとよい。あるいは、上記請求項1に記載の構成において、請求項3に記載の発明のように、前記判定閾値設定手段は、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルと前記障害物検知手段によって使用される前記判定閾値との比が所定の比となるように、前記判定閾値を設定するとよい。
ところで、この種の障害物検知システムでは、ノイズの影響を受け易いため、障害物検知手段は、障害物検知動作を繰り返し実行するとともに、各障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルが判定閾値を超えることが一定回数だけ連続した場合に、障害物が周囲に位置する旨を判断することが多い。こうした構成では、反射波の電圧レベルが判定閾値を超えることが連続して一定回数に達したか否かを一律に判断する。
しかしながら、ノイズの電圧レベルが大きい場合、反射波とノイズを判別することができないことが多いため、反射波の電圧レベルが判定閾値を超えることが連続して一定回数に達したとしても、障害物が周囲に位置すると判断することが難しく、より多い回数に達しなければ判断できない場合がある。一方、ノイズの電圧レベルが小さい場合、反射波とノイズを判別可能なことが多いため、反射波の電圧レベルが判定閾値を超えることが連続して一定回数まで達しなくても、より少ない回数に達すれば判断することができる場合がある。
そこで、上記請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、請求項4に記載の発明では、前記障害物検知手段は、前記障害物検知動作を繰り返し実行するとともに、各障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルが判定閾値を超えることが判定回数連続した場合に、障害物が周囲に位置する旨を判断するものであり、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルに応じて、前記障害物検知手段によって使用される前記判定回数を設定する判定回数設定手段をさらに備えるとよい。これにより、判定回数設定手段によって、ノイズの電圧レベルに応じて判定回数を設定することができるようになる。
こうした態様としては、上記請求項4に記載の構成において、請求項5に記載の発明のように、前記判定回数設定手段は、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルが大きいほど、前記判定回数を大きな回数に設定してもよい。あるいは、請求項6に記載の発明のように、前記判定回数設定手段は、前記判定閾値に対する前記障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルの比が小さいほど、前記判定回数を大きな回数に設定するとよい。これら請求項5に記載の構成及び請求項6に記載の構成により、ノイズの電圧レベルが大きい状況下において、障害物が周囲に位置する旨の判断精度を向上することができるようになる。
また、上記請求項5に記載の構成は、換言すれば、判定回数設定手段は、ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルが小さいほど、判定回数を小さな回数に設定することになる。そのため、ノイズの電圧レベルが小さい状況下において、障害物が周囲に位置する旨の判断応答性を向上することができるようになる。
なお、請求項1〜6のいずれかに記載の障害物検知システムにおいて、請求項7に記載の発明のように、前記超音波発信部によって周囲に超音波を発信してから前記超音波受信部によって周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信するまでに経過した時間を計測する計時手段と、前記障害物検知手段によって障害物が周囲に位置する旨が判断された場合、前記計時手段によって計測された経過時間及び超音波の速度に基づいて、前記障害物までの距離を算出する距離算出手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、周囲に位置する障害物までの距離を算出することができるようになる。
以下、本発明に係る障害物検知システムの一実施の形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。なお、図1は、本実施の形態の障害物検知システム1について、その全体構成を示すブロック図である。まず、障害物検知システム1の構成及び機能について図1を参照しつつ説明する。
図1に示されるように、障害物検知システム1は、超音波センサ10、制御装置20、表示部30等々を備えて構成されており、図示しない車両に搭載され、車両の周囲に位置する障害物を超音波によって検知している。
このうち、超音波センサ10は、図1では便宜上「1個」のみ図示しているが、実際には、車両の前進側のバンパ及び後退側のバンパにそれぞれ複数個(例えば「4[個]」ずつ)搭載されている。超音波センサ10は、周囲に超音波を発信するあるいは周囲から超音波を受信するマイクロホンや、増幅/残響調整/感度調整等々を行なう回路(いずれも図示略)が内蔵されており、後述の制御装置20に接続されている。そして、超音波センサ10は、制御装置20から各種指令を受けると、所定の周波数にて車両の周囲に超音波を発信したり、車両の周囲から超音波を受信したりする。なお、この超音波センサ10が特許請求の範囲に記載した超音波発信部及び超音波受信部に相当する。また、超音波センサ10については周知であるため、ここでのこれ以上の詳細な説明を割愛する。
表示部30は、例えば車室内に設置され、後述の制御装置20(詳しくは障害物検知部22)に接続されている。そして、表示部30は、障害物検知部22によって車両の周囲の障害物までの距離が算出されると、その距離算出結果をテキストや画像、動画等によって表示する。また、その距離算出結果に基づきブザー等の報知手段(図示せず)で所定の報知を行う。なお、表示部30についても周知であるため、ここでのこれ以上の詳細な説明を割愛する。
制御装置20は、図示しないCPU及びメモリ等々を備えた公知のコンピュータであり、メモリ等に予め記憶されたプログラムに従って種々の処理を実行する。ここでは概念的に、制御装置20は次の機能を有して構成されているものとする。詳しくは、図1に示されるように、制御装置20は、ノイズ監視に係る機能を示すノイズ監視部21、障害物検知に係る機能を示す障害物検知部22、判定閾値Thの設定に係る機能を示す判定閾値設定部23、判定回数の設定に係る機能を示す判定回数設定部24、並びに、車両の周囲に位置する障害物までの距離算出に係る機能である計時部25及び距離算出部26等々を備えて構成されている。
ノイズ監視部21は、超音波センサ10に接続されており、この超音波センサ10にノイズ監視指令を送信する。このノイズ監視指令を受信すると、超音波センサ10は、周囲に超音波を発信することなく周囲から超音波を受信し(ノイズ監視動作)、受信した超音波を内部で適宜信号処理した上でノイズ監視部21に送信する。ノイズ監視部21は、超音波センサ10から受信した超音波をノイズとし、このノイズの電圧レベル(ノイズレベル)を判断する。また、ノイズ監視部21は、後述の判定閾値設定部23及び判定回数設定部24にそれぞれ接続されており、ノイズレベルに関する判断結果をこれら判定閾値設定部23及び判定回数設定部24に送信する。
障害物検知部22は、超音波センサ10に接続されており、この超音波センサ10に障害物検知指令を送信する。この障害物検知指令を受信すると、超音波センサ10は、所定の周波数にて周囲に超音波を発信し、周囲に位置する障害物に反射した超音波(反射波)を受信する(障害物検知動作)。そして、超音波センサ10は、この受信した反射波を内部で適宜信号処理した上で障害物検知部22に送信する。障害物検知部22は、超音波センサ10から受信した超音波を反射波として、この反射波の電圧レベル(反射波レベル)が判定閾値Thを超えるか否かを判断する。なお、障害物検知部22は、後述の判定閾値設定部23に接続されており、判定閾値設定部23によって設定された判定閾値Thを用いて、反射波レベルを判断する。
また、障害物検知部22は、計時部25及び距離算出部26を有している。このうち、計時部25は、超音波センサ10によって周囲に超音波を発信した時点を起点として、周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信した時点までの経過時間を計測する。なお、こうした計時部25は例えば公知の計時カウンタ回路等によって実現される。また、距離算出部26は、当該障害物検知部22によって上記反射波レベルが判定閾値Thを超えると判断される場合、超音波の速度(常温にておよそ「340[m/秒]」)と上記計時部25によって計測された経過時間を用いて、周囲に位置する障害物までの距離を算出する。なお、こうした距離算出結果は、算出した都度、図示しないメモリに記憶される。
また、障害物検知部22は、上記障害物検知動作及び反射波レベルについての判断を所定時間毎に繰り返し実行する。そして、障害物検知部22は、各障害物検知動作において受信した反射波レベルが判定閾値Thを超えることが判定回数Nだけ連続すると判断する場合には、障害物が周囲に位置する旨を判断する。一方、障害物検知部22は、各障害物検知動作において受信した反射波レベルが判定閾値Thを超えることが判定回数Nだけ連続しないと判断する場合には、障害物が周囲に位置する旨を判断しない、すなわち、周囲に位置する障害物はない旨を判断する。なお、障害物検知部22は、後述の判定回数設定部24に接続されており、判定回数設定部24によって設定された判定回数を用いて連続回数を判断する。
また、障害物検知部22は上記表示部30に接続されている。障害物検知部22は、障害物が周囲に位置する旨を判断すると、上記距離算出部26によって算出された障害物までの距離をこの表示部30に出力・表示する。なお、上記距離算出部26は、上記所定時間毎に繰り返し障害物までの距離を算出するが、判定回数Nに達したと判断した際にのみ、算出した距離を表示部30に出力・表示する。
判定閾値設定部23は、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルに応じて、障害物検知部22によって使用される上記判定閾値Thを設定する。具体的には、本実施の形態では、判定閾値設定部23は、障害物検知部22によって使用される上記判定閾値Thを、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルよりも例えば「100[mv]」(所定幅)だけ大きな値に設定する。これにより、判定閾値Thはノイズレベルよりも所定幅だけ大きな値に設定されるため、ノイズレベルが大きいほど、大きな判定閾値Thを用いることができ、逆に、ノイズレベルが小さいほど、小さな判定閾値Thを用いることができるようになる。なお、本実施の形態では、所定幅として「100[mv]」を採用したが、この値に限られず任意である。
判定回数設定部24は、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルに応じて、障害物検知部22によって使用される上記判定回数Nを設定する。具体的には、本実施の形態では、ノイズレベルが第1閾値th1(例えば「50[mv]」)以下である場合、上記判定回数Nを例えば「1[回]」に設定する。また、ノイズレベルが第1閾値th1(例えば「50[mv]」)を上回り、且つ、第2閾値th2(例えば「100[mv]」)以下である場合、上記判定回数Nを例えば「2[回]」に設定する。さらに、ノイズレベルが第2閾値th2を上回る場合、上記判定回数Nを例えば「3[回]」に設定する。これにより、ノイズレベルが小さいほど、判定回数Nとして少ない回数を用いることができるようになり、ノイズレベルが大きいほど、判定回数Nとして多い回数を用いることができるようになる。なお、第1閾値th1及び第2閾値th2の数値例は上記数値に限らず変更可能であり、ノイズレベルのこれら第1閾値th1及び第2閾値th2への到達態様に応じた判定回数Nも上記回数に限らず変更可能である。
以上のように構成された障害物検知システム1の動作について図2を参照しつつ説明する。なお、図2は、障害物検知システム1によって実行される障害物検知処理S1の処理手順を示すフローチャートである。
この障害物検知処理S1が開始されると、制御装置20は、まず、ステップS11の処理として、初期化を行なう。詳しくは、制御装置20は、例えば判定閾値設定部23によって設定される判定閾値Thを所定の初期値(例えば「0.20[V]」)に設定したり、判定回数設定部24によって設定される判定回数Nを所定の初期値(例えば「2[回]」に設定したりする。
こうした初期化を行なうと、制御装置20(詳しくはノイズ監視部21)は、続くステップS21及びステップS22の処理として、ノイズ監視動作を実行するとともに、ノイズレベルを判断し、判断したノイズレベルを上記メモリに記憶保持する。具体的には、ノイズ監視部21は、超音波センサ10にノイズ監視指令を送信することで、周囲に超音波を発信させることなく周囲から超音波を受信させる。超音波センサ10は、この受信した超音波(ノイズ)に適宜の信号処理を行なった上でノイズ監視部21に送信し、ノイズ監視部21は、超音波センサ10から受信したこのノイズの電圧レベルを判断する。さらに、ノイズ監視部21は、判断したこのノイズレベルを上記メモリに記憶保持する。
こうしてノイズレベルをメモリに記憶保持すると、制御装置20(詳しくは判定閾値設定部23)は、続くステップS23の処理として、上記メモリに記憶保持されたノイズレベルに応じて判定閾値Thを設定する。具体的には、判定閾値設定部23は、障害物検知部22によって使用される判定閾値Thを、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルよりも例えば「100[mv]」(所定幅)だけ大きな値に設定する。
また、制御装置20(詳しくは判定回数設定部24)は、続くステップS24の処理として、上記メモリに記憶保持されているノイズレベルに応じて判定回数Nを設定する。具体的には、ノイズレベルが第1閾値th1以下である場合、判定回数Nを例えば「1[回]」に設定する。また、ノイズレベルが第1閾値th1を上回り、且つ、第2閾値th2以下である場合、判定回数Nを例えば「2[回]」に設定する。さらに、ノイズレベルが第2閾値th2を上回る場合、判定回数Nを例えば「3[回]」に設定する。
判定閾値Th及び判定回数Nを設定すると、制御装置20(詳しくは障害物検知部22)は、続くステップS31及びステップS32の処理として、障害物検知動作を実行するとともに、反射波レベルが上記判定閾値Thを超えるか否かを判断する。具体的には、障害物検知部22は、超音波センサ10に障害物検知指令を送信することで、所定の周波数にて周囲に超音波を発信させ、周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信させる。超音波センサ10は、この受信した反射波を適宜の信号処理を行なった上で障害物検知部22に送信し、障害物検知部22は、超音波センサ10から受信した反射電圧レベルを判断する。
ここで、ステップS32の判断処理において、反射波レベルが上記判定閾値Th以下であると判断される場合(ステップS32の判断処理で「No」)、車両の周囲に障害物はないことを意味する。この場合、障害物検知部22は、続くステップS32の処理として、連続回数をリセットし、先のステップS21〜S24の一連の処理を再度実行する。
一方、ステップS32の判断処理において、反射波レベルが上記判定閾値Thを超えると判断される場合(ステップS32の判断処理で「Yes」)、車両の周囲に障害物がある可能性がある。この場合、障害物検知部22(詳しくは距離算出部26)は、続くステップS34の処理及びステップS35の処理として、超音波の速度(常温にておよそ「340[m/秒]」)と計時部25によって計測された経過時間を用いて、周囲に位置する障害物までの距離を算出し、この算出した障害物までの距離を上記メモリに記憶保持する。そして、障害物検知部22は、続くステップ36の処理として、反射波レベルが判定閾値Thを超えると判断された連続回数をカウントアップする。
上記連続回数をカウントアップすると、制御装置20(詳しくは障害物検知部22)は、続くステップS37の判断処理として、反射波レベルが判定閾値Thを超えると判断された連続回数が判定回数Nを超えるか否かを判断する。ここで、連続回数が判定回数N以下であると判断される場合(ステップS37の判断処理で「No」)、車両の周囲に障害物がある可能性があるものの確定するには足りない。そのため、障害物検知部22は、先のステップS21の処理を再度実行する。
一方、連続回数が判定回数Nを越えると判断される場合(ステップS37の判断処理で「Yes」)、車両の周囲に障害物がある可能性が高い。そのため、障害物検知部22は、続くステップS41及びステップS42の処理として、障害物が周囲に位置する旨を判断し、メモリに記憶保持された距離算出結果のうち、上記メモリに最後に記憶保持した距離算出結果を表示部30に表示する。そして、距離算出結果を表示部30に表示すると、制御装置20は、先のステップS21の処理を再び実行開始する。なお、本実施の形態では、障害物検知部22は、上記メモリに最後に記憶保持した距離算出結果を表示部30に表示していたが、最後に記憶保持した距離算出結果に限らない。反射レベルが判定閾値Thを超えるとの連続して判断されている間に算出された距離算出結果を表示すればよい。
以下、図3を参照してさらに詳述する。なお、図3は、周囲からのノイズレベルが小さい状況下における各種電圧レベルの推移を示したものである。また、図3中の実線Aは、従来技術において設定されていた障害物判定閾値の推移例を示している。図3中の一点鎖線Bは、超音波センサ10から発せられた超音波が例えば直径「60[mm]」で高さ「1[m]」のポール(例えば通行人等、障害物に相当)に反射して超音波センサ10によって受信された反射波の電圧レベルの推移例を示しており、図3中の破線Cは、超音波センサ10から発せられた超音波が車輪止めに反射して超音波センサ10によって受信された反射波の電圧レベルの推移例を示している。
曲線Bの推移からわかるように、障害物として検知すべきポールからの反射波レベルは、超音波センサ10からの距離が長いほど小さくなり、超音波センサ10からの距離が短いほど大きくなる。一方、曲線Cの推移からわかるように、障害物として検知すべきでない車輪止めからの反射波レベルは、超音波センサ10からの距離が短いほど小さくなり、超音波センサ10からの距離が長いほど大きくなる。
ここで、超音波センサ10からの距離が例えば「160[cm]」である場合、ポールからの反射波レベルと車輪止めからの反射波レベルは略同一(およそ「0.12[V]」)であり、たとえ周囲からのノイズレベルが小さい状況下であっても、障害物として検知すべきポールと障害物として検知すべきでない車輪止めとの判別をすることができない。換言すれば、車輪止めからの反射波は、ポールを検知することを難しくするノイズとして作用する。
一方、超音波センサ10からの距離が例えば「110[cm]」である場合、ポールからの反射波レベルはおよそ「0.35[V]」であり、車輪止めからの反射波レベルはおよそ「0.05[V]」であり、これらは大きく異なっているため、周囲からのノイズレベルが小さい状況下であれば、障害物として検知すべきポールと障害物として検知すべきでない車輪止めとの判別をすることが十分に可能である。
そのため、従来技術では、周囲からのノイズレベルがある程度の大きさであっても、これらポールと車輪止めとの判別が十分に可能なように、超音波センサによる障害物検知範囲は例えば「110[cm]」までとされ、ノイズ判定値及び障害物判定閾値はともに、この障害物検知範囲において、周囲のノイズレベルに関係なくともに一定値(「0.20[V]」)に定められていた。ちなみに、図3中の実線Aの推移からわかるように、障害物判定閾値は距離が「110[cm]」以上でも設定されているが、通行人等の障害物を検知するためではなく、主に建築物の壁等の障害物を検知するために設定されている。
しかしながら、課題の欄にも記載したように、従来技術では、周囲からのノイズの電圧レベルがノイズ判定値以上であるものの、通行人等の障害物からの反射波の電圧レベルが十分に大きい場合(例えば障害物が「50[cm]」等の近距離に位置する場合)、障害物の検知が可能であるにもかかわらず、障害物検知モードに移行しないため、障害物の検知を行なうことができなかった。
そこで、本実施の形態では、障害物検知システム1(詳しくは判定閾値設定部23)は、図3中に矢印Dにて示すように、判定閾値Thを、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルに応じて判定閾値を上下させることで、ノイズレベルよりも例えば「0.1[V]」だけ大きな値に設定することとしている。これにより、ノイズレベルが大きいほど大きな判定閾値Thを用いることができ、逆に、ノイズレベルが小さいほど小さな判定閾値Thを用いることができるようになる。そして、ノイズレベルに応じて判定閾値Thが設定されるため、周囲のノイズレベルが大きい状況下であっても、障害物検知の精度低下を抑制しつつ、障害物の検知を行なうことができるようになる。
また、本実施の形態では、障害物検知システム1(詳しくは判定回数設定部24)は、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルが大きいほど、判定回数Nを大きな回数に、換言すれば、ノイズレベルが小さいほど、判定回数Nを小さな回数に設定している。これにより、ノイズレベルが大きい状況下においては、障害物が周囲に位置する旨の判断精度を向上することができるようになるとともに、ノイズレベルが小さい状況下においては、障害物が周囲に位置する旨の判断応答性を向上することができるようになる。
なお、本発明に係る障害物検知システム1は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
上記実施の形態では、障害物が周囲に位置する旨が判断された場合、超音波センサ10によって周囲に超音波を発信してから反射波を受信するまでに経過した時間と超音波の速度を用いて障害物までの距離を算出し、これを表示していたが、こうした障害物の距離を算出する構成(計時部25及び距離算出部26)及びその算出結果を表示する構成(表示部30)を割愛してもよい。
上記実施の形態では、判定回数設定部24は、ノイズ監視部21によって判断されるノイズの電圧レベルに対し複数の閾値(第1閾値th1及び第2閾値th2)を設定し、ノイズの電圧レベルのこれら複数の閾値への到達態様に応じて判定回数Nを設定していたが、判定回数Nの設定方法はこれに限らない。他に例えば、判定回数設定部24は、ノイズの電圧レベルに応じて設定される判定閾値Thと、障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルとの比が小さいほど、判定回数Nを大きな回数に設定することとしてもよい。ノイズの電圧レベルが小さいほど、判定回数Nとして少ない回数を用いることができ、ノイズの電圧レベルが大きいほど、判定回数Nとして多い回数を用いることができれば、ノイズレベルが大きい状況下においては、障害物が周囲に位置する旨の判断精度を向上することができるようになるとともに、ノイズレベルが小さい状況下においては、障害物が周囲に位置する旨の判断応答性を向上することができるようになるため、判定回数Nの設定方法は任意である。また、ノイズレベルにかかわらず、判定回数Nを一定回数(例えば「2[回]」)に固定してもよい。この場合には、判定回数設定部24を割愛することができる。
上記実施の形態では、判定閾値設定部23は、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルよりも所定幅(例えば「0.1[V]」)だけ大きな値に判定閾値Thを設定していたが、これに限らない。他に例えば、判定閾値設定部23は、ノイズ監視部21によって判断されたノイズレベルと障害物検知部22によって使用される判定閾値Thとの比が所定の比(例えば「2」)となるように、判定閾値Thを設定してもよい。これによっても、ノイズレベルが大きいほど大きな判定閾値Thを用いることができ、逆に、ノイズレベルが小さいほど小さな判定閾値Thを用いることができるようになる。したがって、ノイズレベルに応じて判定閾値Thが設定されるため、周囲のノイズレベルが大きい状況下であっても、障害物の検知を行なうことができるようになる。
本発明に係る障害物検知システムの一実施の形態について、その全体構成を示すブロック図である。 本実施の形態によって実行される障害物検知処理について、その処理手順を示すフローチャートである。 周囲からのノイズレベルが小さい状況下における反射波レベルの推移を障害物判定閾値の設定例と併せ示す図。
符号の説明
1…障害物検知システム、10…超音波センサ(超音波発信部、超音波受信部)、20…制御装置、21…ノイズ監視部(ノイズ監視手段)、22…障害物検知部(障害物検知手段)、23…判定閾値設定部(判定閾値設定手段)、24…判定回数設定部(判定回数設定手段)、25…距離算出部(距離算出手段)、26…計時部(計時手段)、30…表示部。

Claims (7)

  1. 周囲に位置する障害物を超音波によって検知する障害物検知システムであって、
    周囲に超音波を発信する超音波発信部と、
    周囲から超音波を受信する超音波受信部と、
    前記超音波発信部によって周囲に超音波を発信し前記超音波受信部によって周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信する障害物検知動作を実行するとともに、この障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルが判定閾値を超える場合には、障害物が周囲に位置する旨を判断する障害物検知手段と、
    前記超音波発信部によって周囲に超音波を発信することなく前記超音波受信部によって周囲の超音波を受信するノイズ監視動作を実行するとともに、このノイズ監視動作にて受信した超音波をノイズとしてその電圧レベルを判断するノイズ監視手段と、
    前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルに応じて、前記障害物検知手段によって使用される前記判定閾値を設定する判定閾値設定手段とを備えることを特徴とする障害物検知システム。
  2. 請求項1に記載の障害物検知システムにおいて、
    前記判定閾値設定手段は、前記障害物検知手段によって使用される前記判定閾値を、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルよりも所定幅だけ大きな値に設定することを特徴とする障害物検知システム。
  3. 請求項1に記載の障害物検知システムにおいて、
    前記判定閾値設定手段は、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルと前記障害物検知手段によって使用される前記判定閾値との比が所定の比となるように、前記判定閾値を設定することを特徴とする障害物検知システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の障害物検知システムにおいて、
    前記障害物検知手段は、前記障害物検知動作を繰り返し実行するとともに、各障害物検知動作において受信した反射波の電圧レベルが判定閾値を超えることが判定回数連続した場合に、障害物が周囲に位置する旨を判断するものであり、
    前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルに応じて、前記障害物検知手段によって使用される前記判定回数を設定する判定回数設定手段をさらに備えることを特徴とする障害物検知システム。
  5. 請求項4に記載の障害物検知システムにおいて、
    前記判定回数設定手段は、前記ノイズ監視手段によって判断された前記ノイズの電圧レベルが大きいほど、前記判定回数を大きな回数に設定することを特徴とする障害物検知システム。
  6. 請求項4に記載の障害物検知システムにおいて、
    前記判定回数設定手段は、前記ノイズの電圧レベルに応じて設定される前記判定閾値と、前記障害物検知動作において受信した超音波の電圧レベルとの比が小さいほど、前記判定回数を大きな回数に設定することを特徴とする障害物検知システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の障害物検知システムにおいて、
    前記超音波発信部によって周囲に超音波を発信してから前記超音波受信部によって周囲に位置する障害物に反射した反射波を受信するまでに経過した時間を計測する計時手段と、
    前記障害物検知手段によって障害物が周囲に位置する旨が判断された場合、前記計時手段によって計測された経過時間及び超音波の速度に基づいて、前記障害物までの距離を算出する距離算出手段とをさらに備えることを特徴とする障害物検知システム。
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