JP6260258B2 - 位置推定システム - Google Patents

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Description

本発明は位置推定システムに関する。
従来、GPS等の衛星測位システムを用いて車両の位置を推定する方法が用いられている。この方法においては、衛星の電波が遮られると、測位誤差が増加する。誤差を低減する方法として、他の通信装置の絶対位置を受信し、自車両のGPS位置情報と平均化する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−145167号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術は、GPSを使用できない環境(トンネル、地下駐車場等)では、効果を得ることができない。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、GPSを必ずしも使用しなくても位置を推定できる位置推定システムを提供することを目的とする。
本発明の位置推定システムは、第1の装置、及び第2の装置を含む。第1の装置は、測距用信号を送信する測距用信号送信手段と、測距用信号が対象物で反射して成る反射波を受信する反射波受信手段と、測距用信号及び反射波に基づき、自身を基準とする対象物の相対位置を算出する相対位置算出手段とを備える。
また、第2の装置は、測距用信号を検出する測距用信号検出手段と、測距用信号の検出を条件として、自身の位置情報を送信する位置情報送信手段とを備える。
さらに、第1の装置は、位置情報を受信する位置情報受信手段と、位置情報の受信を条件として、相対位置算出手段を用いて第2の装置の相対位置を算出し、その相対位置及び位置情報に基づき、第1の装置の絶対位置を算出する絶対位置算出手段とを備える。
本発明の位置推定システムによれば、GPSを必ずしも使用しなくても、第1の装置の絶対位置を算出することができる。そのため、GPS衛星の電波が届かないトンネル、地下駐車場等においても、第1の装置の絶対位置を算出することができる。
前記絶対位置算出手段は、例えば、反射波を受信してから所定の時間内に位置情報を受信することを条件として、第1の装置の絶対位置を算出することができる。この場合、第1の装置の絶対位置を一層正確に算出できる。
前記第1の装置は、例えば、第1の時点における絶対位置と、第2の時点における絶対位置との位置変化を算出する位置変化算出手段と、第1の時点から第2の時点までの第1の装置の移動量を算出する移動量算出手段と、位置変化と移動量との差が所定値以上である場合、第2の時点における絶対位置を破棄する破棄手段とを備えることができる。この場合、第1の装置の絶対位置を一層正確に算出できる。
前記第1の装置は、例えば、相対位置算出手段で算出した対象物の相対位置に基づき、位置情報の受信レベルの範囲である受信レベル範囲を設定する受信レベル範囲設定手段を備え、絶対位置算出手段は、受信レベルが受信レベル範囲内である位置情報の受信を条件として、絶対位置を算出することができる。この場合、第1の装置の絶対位置を一層正確に算出できる。
前記位置情報送信手段は、例えば、信号強度が所定の範囲内である測距用信号の検出を条件として位置情報を送信することができる。この場合、第1の装置の絶対位置を一層正確に算出できる。
位置推定システム1の構成を表す説明図である。 第1の装置3の構成を表すブロック図である。 第2の装置5の構成を表すブロック図である。 第1の装置3が実行する処理を表すフローチャートである。 第2の装置5が実行する処理を表すフローチャートである。 第1の装置3と第2の装置5との通信を表す説明図である。 位置推定システム1の動作例を表すタイミングチャートである。 外部由来の赤外線信号を表す説明図である。 外部由来の赤外線信号を表すタイミングチャートである。 第1の装置3の構成を表すブロック図である。 第2の装置5の構成を表すブロック図である。 第1の装置3が実行する処理を表すフローチャートである。 第2の装置5が実行する処理を表すフローチャートである。 外部由来の赤外線信号と車両101が送信するレーダ光105との関係を表す説明図である。 外部由来の赤外線信号を表すタイミングチャートである。
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
1.位置推定システム1の構成
位置推定システム1の構成を、図1〜図3に基づき説明する。位置推定システム1は、図1に示すように、車両101に搭載された第1の装置3と、道路103の路側に設置された複数の第2の装置5とを含む。第2の装置5は、道路103の片側に、所定の間隔をおいて配置されている。
第1の装置3は、図2に示すように、測距部7、受信部9、受信レベル測定部11、移動量推定部13、位置記憶部15、及び位置推定部17から構成される。
測距部7は、レーダ光(測距用信号の一実施形態)105を周期的に送信する。レーダ光105は、車両101の前方を中心とする所定の範囲107内で走査される。また、測距部7は、レーダ光が対象物で反射して成る反射波を受信する。そして、レーダ光105を送信してから、反射波を受信するまでの時間差に基づき、車両101から対象物までの距離を算出する。また、測距部7は、反射波の方向に基づき、車両101を基準とする対象物の方向を算出する。ここで、車両101から対象物までの距離と、車両101を基準とする対象物の方向とを合わせて、車両101を基準とする対象物の相対位置とする。測距部7は、レーダ光105及び反射波に基づき、車両101を基準とする対象物の相対位置を算出する。
受信部9は、赤外線信号109を受信可能である。受信レベル測定部11は、受信部9で受信した赤外線信号109の信号強度を測定する。移動量推定部13は、車両101に設けられた車速センサ111から車速パルスを取得し、第1の時点から第2の時点(第1の時点よりも後の時点)までに車両101が移動した距離である移動量を推定する。
位置記憶部15は、後述するように算出する、第1の装置3の絶対位置を記憶する。位置推定部17は、周知のコンピュータにより構成され、後述する処理を実行し、第1の装置3の絶対位置を推定する。ここで絶対位置とは、地球を基準として決まる位置であり、緯度及び経度で表現可能な位置である。
第2の装置5は、図3に示すように、レーダ信号検出部19、レベル測定部21、送信制御部23、及び送信部25を備えている。
レーダ信号検出部19は、レーダ光105が入射したとき、レーダ信号を検出する。レベル測定部21は、レーダ信号検出部19で検出したレーダ信号の信号強度を測定する。レーダ信号の信号強度は、レーダ光105の強度に比例する。
送信制御部23は、所定の条件が充足された場合、送信部25にトリガ信号を出力する。送信部25は、トリガ信号が入力されたとき、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を送信する。ここで、第2の装置5の位置情報は、第2の装置5の絶対位置(地球を基準として決まる位置であり、緯度及び経度で表現可能な位置)を情報として含む。なお、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109は、第1の装置3における受信部9で受信可能である。送信部25が送信する赤外線信号109の信号強度は常に一定である。
なお、測距部7は、測距用信号送信手段、反射波受信手段、及び相対位置算出手段の一実施形態である。レーダ信号検出部19は、測距用信号検出手段の一実施形態である。送信部25は、位置情報送信手段の一実施形態である。受信部9は、位置情報受信手段の一実施形態である。位置推定部17は、絶対位置算出手段、位置変化算出手段、破棄手段、及び受信レベル範囲設定手段の一実施形態である。
2.位置推定システム1が実行する処理
位置推定システム1が実行する処理を図4〜図7に基づき説明する。最初に、第1の装置3が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を図4に基づき説明する。図4のステップ1では、位置推定部17が、受信部9において、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を受信したか否かを判断する。受信した場合はステップ2に進み、受信しなかった場合は本処理を終了する。なお、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109は、後述するステップ24において、第2の装置5が送信するものである。
ステップ2では、位置推定部17が、前記ステップ1で受信したと判断した赤外線信号109の受信タイミングが、測距部7において直前に受信した反射波(赤外線信号109の受信よりも前に受信された反射波のうち、最も新しい反射波)の受信タイミングから所定時間Tt内であったか否かを判断する。所定時間Tt内であった場合はステップ3に進み、所定時間Ttの経過後であった場合は本処理を終了する。
ステップ3では、位置推定部17が、測距部7を用いて、第1の装置3を基準とする対象物(すなわち第2の装置5)の相対位置を算出する。すなわち、前記ステップ1で受信したと判断した赤外線信号109の受信よりも前に受信された反射波のうち、最も新しい反射波と、その反射波に対応するレーダ光105とに基づき、第1の装置3を基準とする対象物の相対位置を算出する。
ステップ4では、位置推定部17が、前記ステップ3で算出した第2の装置5の相対位置に基づき、受信レベル範囲を設定する。この受信レベル範囲とは、受信部9で受信する赤外線信号109の受信レベル(信号強度)に関する範囲であり、上限値と下限値とを有する範囲である。第2の装置5が車両101に近いほど、受信レベル範囲の上限値及び下限値はともに大きく設定される。
受信レベル範囲は、前記ステップ3で算出した相対位置にある第2の装置5が赤外線信号109を送信し、その赤外線信号109を第1の装置3の受信部9が受信したときの受信レベルを含むように設定される。
ステップ5では、位置推定部17が、受信レベル測定部11を用いて、前記ステップ1で受信したと判断した赤外線信号109の受信レベルを測定する。
ステップ6では、位置推定部17が、前記ステップ5で測定した、赤外線信号109の受信レベルが、前記ステップ4で設定した受信レベル範囲内であるか否かを判断する。受信レベル範囲内である場合はステップ7に進み、受信レベル範囲外である場合は本処理を終了する。
ステップ7では、位置推定部17が、前記ステップ1で受信した赤外線信号109に含まれる、第2の装置5の位置情報と、前記ステップ3で算出した、第1の装置3を基準とする第2の装置5の相対位置とから、第1の装置3の絶対位置を算出する。算出した絶対位置は、それを算出した時刻と関連付けて、位置記憶部15に記憶する。
ステップ8では、位置推定部17が、過去の所定の時点(以下、第1の時点とする)において算出した第1の装置3の絶対位置Pを位置記憶部15から読み出す。また、最も新しく算出した、第1の装置3の絶対位置Pを位置記憶部15から読み出す。ここで、絶対位置Pを算出した時点を第2の時点とする。そして、絶対位置Pと、絶対位置Pとの位置の変化量をDaとする。
ステップ9では、位置推定部17が、移動量推定部13を用いて、第1の時点から第2の時点までの車両101の移動量(すなわち、第1の装置3の移動量)Dbを算出する。
ステップ10では、位置推定部17が、前記ステップ8で算出した変化量Daと、前記ステップ9で算出した移動量Dbとの差の絶対値が所定の閾値εより大きいか否かを判断する。差の絶対値が閾値εより大きい場合はステップ11に進み、差の絶対値が閾値ε以下である場合は本処理を終了する。
ステップ11では、位置推定部17が、第2の時点にける絶対位置Pを位置記憶部15から削除する(破棄する)。
次に、図5を用いて、第2の装置5が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を説明する。図5のステップ21では、送信制御部23が、レーダ信号検出部19においてレーダ信号を検出したか否かを判断する。検出した場合はステップ22に進み、検出しなかった場合は本処理を終了する。なお、レーダ信号は、レーダ光105がレーダ信号検出部19に入射したときに生じる信号である。
ステップ22では、送信制御部23が、前記ステップ21で検出したと判断したレーダ信号の強度が所定の範囲内であるか否かを判断する。所定の範囲内である場合はステップ23に進み、所定の範囲から外れる場合は本処理を終了する。なお、上記所定の範囲は、第2の装置5に対し、距離が一定の範囲内にある車両101から送信されたレーダ光105がレーダ信号検出部19に入射したときのレーダ信号の強度を含むように設定された範囲である。
ステップ23では、送信制御部23が、トリガ信号を送信部25に出力する。
ステップ24では、送信部25が、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を送信する。なお、この赤外線信号109は、第1の装置3の受信部9で受信可能である(前記ステップ1参照)。
位置推定システム1における信号の送信と受信の関係は、図6に示すとおりである。すなわち、第1の装置3における測距部7が送信したレーダ光105は、第2の装置5におけるレーダ信号検出部19で検出可能である。また、第2の装置5における送信部25で送信した赤外線信号109は、第1の装置3における受信部9で受信可能である。
位置推定システム1における信号の送信及び受信のタイミングは、例えば、図7に示すとおりである。時刻t、t、tは、それぞれ、測距部7がレーダ光105を送信した時刻である。時刻tは、時刻tで送信したレーダ光105が、第2の装置5以外の対象物で反射して成る反射波を測距部7が受信した時刻である。時刻tは、時刻tで送信したレーダ光105が、第2の装置5で反射して成る反射波を測距部7が受信した時刻である。時刻tは、時刻tで送信したレーダ光105が、第2の装置5以外の対象物で反射して成る反射波を測距部7が受信した時刻である。
時刻tは、時刻tに送信されたレーダ光105をレーダ信号検出部19で検出した時刻である。時刻tは、時刻tにおいてレーダ光105を検出したことを条件として、送信部25が、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を送信した時刻である。時刻tは、時刻tにおいて送信された赤外線信号109を受信部9で受信した時刻である。
第1の装置3は、時刻tにおいて、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を受信したことを条件として、時刻tに送信したレーダ光105、及びそれに対応する、時刻tに受信した反射波に基づき、第1の装置3を基準とする第2の装置5の相対位置を算出する。
3.位置推定システム1が奏する効果
(1)位置推定システム1によれば、GPSを必ずしも使用しなくても、第1の装置3の絶対位置(すなわち車両101の絶対位置)を算出することができる。そのため、GPS衛星の電波が届かないトンネル、地下駐車場等においても、第1の装置3の絶対位置を算出することができる。
(2)位置推定システム1では、最新の反射波を受信してから所定の時間Tt内に赤外線信号109を受信することを条件として、第1の装置3の絶対位置を算出する。すなわち、赤外線信号109を受信しても、その受信タイミングが、最新の反射波を受信してから所定時間Ttの経過後であった場合は、第1の装置3の絶対位置を算出しない(前記ステップ2参照)。そのことにより、第1の装置3の絶対位置を一層正確に算出できる。この効果を奏する理由を以下で説明する。
図8に示すように、第2の装置5が、他車両113から送信されたレーダ光115や背景光を検出し、そのレーダ光115や背景光に応じて赤外線信号109を送信し、その赤外線信号109を、車両101に搭載された第1の装置3が受信することがある。このような赤外線信号109を、以下では、外部由来の赤外線信号とする。外部由来の赤外線信号を車両101に搭載された第1の装置3が受信するタイミングは、車両101に搭載された第1の装置3がレーダ光105を送信するタイミングとは無関係である。
例えば、図8に示すように、外部由来の赤外線信号を車両101に搭載された第1の装置3が受信するタイミングにおいて、車両101に搭載された第1の装置3は、ほとんどの場合、第2装置5とは全く異なる方向にレーダ光105を送信している。
図9において、時刻t11、t17は、それぞれ、車両101に搭載された第1の装置3がレーダ光105を送信した時刻である。時刻t13は、時刻t11で送信したレーダ光105が、第2の装置5で反射して成る反射波を、車両101に搭載された第1の装置3が受信した時刻である。
時刻t12は、時刻t11に送信されたレーダ光105を第2の装置5が検出した時刻である。時刻t14は、時刻t12においてレーダ光105を検出したことを条件として、第2の装置5が赤外線信号109を送信した時刻である。時刻t15は、時刻t14において送信された赤外線信号109を、車両101に搭載された第1の装置3で受信した時刻である。
一方、時刻t16は、他車両113から送信されたレーダ光115や背景光を第2の装置5が検出した時刻である。時刻t18は、時刻t16においてレーダ光105や背景光を検出したことを条件として、第2の装置5が外部由来の赤外線信号を送信した時刻である。時刻t19は、時刻t18において送信された外部由来の赤外線信号を、車両101に搭載された第1の装置3で受信した時刻である。
外部由来の赤外線信号を、車両101に搭載された第1の装置3で受信する時刻t19は、第1の装置3がレーダ光105を送信する時刻t11、及び反射波を受信する時刻t13とは無関係であり、殆どの場合、大きく異なる。
そのため、仮に、時刻t19で外部由来の赤外線信号を受信することを条件として、時刻t11で送信したレーダ光105、及び時刻t13で受信した反射波に基づき、第2の装置5の相対位置を算出し、その相対位置に、時刻t19で受信した赤外線信号109に含まれる位置情報を組み合わせて、車両101に搭載された第1の装置3の絶対位置を算出すると、誤差が大きくなってしまうおそれがある。
位置推定システム1は、最新の反射波を受信した時刻t13から所定の時間Tt内に赤外線信号109を受信することを、第1の装置3の絶対位置を算出する条件としているので、所定の時間Ttの経過後である時刻t19に外部由来の赤外線信号を受信しても、第1の装置3の絶対位置を算出しない。そのことにより、第1の装置3の絶対位置を、不正確に算出してしまうことを抑制できる。
(3)第1の装置3は、第1の時点における絶対位置Pと、第2の時点における絶対位置Pとの位置の変化量Daを算出する。また、第1の装置3は、第1の時点から第2の時点までの車両101の移動量(すなわち、第1の装置3の移動量)Dbを算出する。そして、第1の装置3は、変化量Daと、移動量Dbとの差の絶対値が所定の閾値εより大きいか否かを判断し、差の絶対値が閾値εより大きい場合は、第2の時点における絶対位置Pを破棄する(前記ステップ8〜11参照)。よって、不正確である可能性が高い絶対位置Pが位置記憶部15に残ってしまうことを抑制できる。
(4)第1の装置3は、第2の装置5の相対位置に基づき、受信レベル範囲を設定する。そして、赤外線信号109の受信レベルが、受信レベル範囲内であることを条件として、第1の装置3の絶対位置を算出する(前記ステップ3〜6参照)。すなわち、赤外線信号109を受信したとしても、その受信レベルが受信レベル範囲外であれば、第1の装置3の絶対位置を算出しない。そのことにより、第1の装置3の絶対位置を一層正確に算出できる。この効果を奏する理由を以下で説明する。
上述したとおり、第1の装置3は、外部由来の赤外線信号を受信することがあり、外部由来の赤外線信号の受信を条件として、第1の装置3の絶対位置を算出すると、不正確な値となってしまう。
例えば、図15に示すように、時刻tにおいて車両101は、前方の他車両117(図14参照)に向けてレーダ光105を送信し、時刻tにおいて、その反射波を受信する。また、時刻tは、時刻tにおいて他車両113のレーダ光115や背景光を検出したことを条件として、第2の装置5が外部由来の赤外線信号を送信した時刻である。時刻tは、時刻tにおいて送信された外部由来の赤外線信号を、車両101に搭載された第1の装置3で受信した時刻である。
この場合、仮に、前記ステップ3〜6の処理を行わないとすると、時刻tに受信した反射波に基づき第2の装置5の相対距離を算出してしまう。しかし、時刻tにおいて受信した反射波は、実際には、第2の装置5とは別の位置にある他車両117で反射した反射波であるため、他車両117の相対位置を第2の装置5の装置の相対位置として誤って算出してしまう。その相対位置を、時刻tで受信した赤外線信号109に含まれる位置情報と組み合わせて第1の装置3の絶対位置を算出すると、誤差が大きくなってしまうおそれがある。
ところで、図14に示すように、第2の装置5と他車両117とは相対位置が異なるので、時刻tにおいて受信した赤外線信号109(すなわち第2の装置5から受信した赤外線信号109)の受信レベルは、時刻tに受信した反射波(他車両117で反射した反射波)に基づき算出した相対位置にさらに基づき受信した受信レベル(前記ステップ4参照)の範囲外である可能性が高い。
そのため、前記ステップ3〜6の処理を実行すると、受信した赤外線信号109が外部由来の赤外線信号であれば、その受信レベルが範囲外であると判断される(前記ステップ6で否定判断される)可能性が高いので、外部由来の赤外線信号の受信を条件として、第1の装置3の絶対位置を不正確に算出してしまうことを抑制できる。
(5)第2の装置5は、検出したレーダ信号の強度が所定の範囲内であることを条件として、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を送信する(前記ステップ22参照)。
レーダ信号の強度は、第2の装置5と第1の装置3との距離で決まるので、検出したレーダ信号の強度が所定の範囲内であるということは、レーダ光105を送信する第1の装置3の位置が所定の範囲内であるということと、等価である。
よって、第2の装置5は、第2の装置5から所定の範囲内にある第1の装置3に限定して、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を送信する。その結果、第1の装置3に入射する赤外線信号109の数を制限し、第1の装置3が外部由来の赤外線信号を受信してしまうおそれを低減できる。
<第2の実施形態>
1.位置推定システム1の構成
本実施形態における位置推定システム1の構成は、基本的には前記第1の実施形態と同様であるが、一部において相違する。以下ではその相違点を中心に説明する。
第1の装置3は、図10に示すように、測距部7、受信部9、及び位置推定部17から構成される。測距部7、及び受信部9は、前記第1の実施形態と同様のものである。位置推定部17は、周知のコンピュータから成り、後述する処理を実行し、第1の装置3の絶対位置を推定する。
第2の装置5は、図11に示すように、レーダ信号検出部19、送信制御部23、及び送信部25を備えている。レーダ信号検出部19、送信制御部23、及び送信部25は、前記第1の実施形態と同様のものである。
2.位置推定システム1が実行する処理
位置推定システム1が実行する処理を図12、図13に基づき説明する。最初に、第1の装置3が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を図12に基づき説明する。
図12のステップ31では、位置推定部17が、受信部9において、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を受信したか否かを判断する。受信した場合はステップ32に進み、受信しなかった場合は本処理を終了する。なお、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109は、後述するステップ43において、第2の装置5が送信するものである。
ステップ32では、位置推定部17が、測距部7を用いて、第1の装置3を基準とする対象物(すなわち第2の装置5)の相対位置を算出する。すなわち、前記ステップ31で受信したと判断した赤外線信号109の受信よりも前に受信された反射波のうち、最も新しい反射波と、その反射波に対応するレーダ光105とに基づき、第1の装置3を基準とする対象物の相対位置を算出する。
ステップ7では、位置推定部17が、前記ステップ31で受信した赤外線信号109に含まれる、第2の装置5の位置情報と、前記ステップ32で算出した、第1の装置3を基準とする第2の装置5の相対位置とから、第1の装置3の絶対位置を算出する。
次に、図13を用いて、第2の装置5が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を説明する。図13のステップ41では、送信制御部23が、レーダ信号検出部19において、レーダ信号を検出したか否かを判断する。検出した場合はステップ42に進み、検出しなかった場合は本処理を終了する。なお、レーダ信号は、第1の装置3が送信するレーダ光105がレーダ信号検出部19に入射したときに生じる信号である。
ステップ42では、送信制御部23が、トリガ信号を送信部25に出力する。
ステップ43では、送信部25が、第2の装置5の位置情報を含む赤外線信号109を送信する。なお、この赤外線信号109は、第1の装置3の受信部9で受信可能である(前記ステップ31参照)。
3.位置推定システム1が奏する効果
(1)本実施形態の位置推定システム1によれば、GPSを必ずしも使用しなくても、第1の装置3の絶対位置(すなわち車両101の絶対位置)を算出することができる。そのため、GPS衛星の電波が届かないトンネル、地下駐車場等においても、第1の装置3の絶対位置を算出することができる。
(2)本実施形態の位置推定システム1は、前記第1の実施形態に比べ、システムの構成を簡素化することができる。
<その他の実施形態>
(1)前記第1、第2の実施形態において、第2の装置5は、道路103の両側に設置してもよい。この場合、第1の装置3と、道路103における片側の第2の装置5との通信が他車両等により妨げられたとしても、第1の装置3は、反対側の第2の装置5を用いて、絶対位置を算出することができる。
(2)前記第1、第2の実施形態において、第2の装置5は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
(3)前記第1、第2の実施形態において、第2の装置5は、車両(例えば車両の後部)に設置してもよい。この場合、第2の装置5は、GPS等により、自身の絶対位置を取得し、その絶対位置を含む赤外線信号109を、第1の装置3を搭載した車両に送信することができる。第1の装置3を搭載した車両は衛星測位が不可能な場所(例えば、トンネル内)にあり、第2の装置5を搭載した車両は衛星測位が可能な場所(例えばトンネル出口)にある場合、第1の装置3を搭載した車両は、第2の装置5を用いて自身の絶対位置を算出できる。
(4)前記第1の実施形態において、第1の装置3は、前記ステップ2の処理を行わず、前記ステップ1の後、無条件で前記ステップ3に進んでもよい。
(5)前記第1の実施形態において、第1の装置3は、前記ステップ4〜6の処理を行わず、前記ステップ3の後、直接前記ステップ7に進んでもよい。この場合、第1の装置3は、受信レベル測定部11を備えていなくてもよい。
(6)前記第1の実施形態において、第1の装置3は、前記ステップ8〜11の処理を行わなくてもよい。この場合、第1の装置3は、移動量推定部13、及び位置記憶部15を備えていなくてもよい。
(7)前記第1の実施形態において、第2の装置5は、前記ステップ22の処理を行わなくてもよい。この場合、第2の装置5は、レベル測定部21を備えていなくてもよい。
(8)前記第1の実施形態の前記ステップ11において、破棄の態様は他のものであってもよい。例えば、絶対位置Pは位置記憶部15に残すが、絶対位置Pを他の処理において使用しないように指定することができる。
(9)前記第1、第2の実施形態における構成の全部又は一部を適宜選択して組み合わせてもよい。
1…位置推定システム、3…第1の装置、5…第2の装置、7…測距部、9…受信部、11…受信レベル測定部、13…移動量推定部、15…位置記憶部、17…位置推定部、19…レーダ信号検出部、21…レベル測定部、23…送信制御部、25…送信部、101…車両、103…道路、105…レーダ光、107…範囲、109…赤外線信号、111…車速センサ、113、117…他車両、115…レーダ光

Claims (4)

  1. 測距用信号を送信する測距用信号送信手段と、
    前記測距用信号が対象物で反射して成る反射波を受信する反射波受信手段と、
    前記測距用信号及び前記反射波に基づき、自身を基準とする前記対象物の相対位置を算出する相対位置算出手段と、を備えた第1の装置、及び、
    前記測距用信号を検出する測距用信号検出手段と、
    前記測距用信号の検出を条件として、自身の位置情報を送信する位置情報送信手段と、を備えた第2の装置
    を含む位置推定システムであって、
    前記第1の装置は、
    前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、
    前記位置情報の受信を条件として、前記相対位置算出手段を用いて前記第2の装置の相対位置を算出し、その相対位置及び前記位置情報に基づき、前記第1の装置の絶対位置を算出する絶対位置算出手段と、
    を備え
    前記絶対位置算出手段は、前記位置情報を受信するよりも前に受信した前記反射波のうち、最も新しい前記反射波を受信してから所定の時間内に前記位置情報を受信することを条件として、前記第1の装置の絶対位置を算出することを特徴とする位置推定システム。
  2. 前記第1の装置は、
    第1の時点における前記絶対位置と、第2の時点における前記絶対位置との位置変化を算出する位置変化算出手段と、
    前記第1の時点から前記第2の時点までの前記第1の装置の移動量を算出する移動量算出手段と、
    前記位置変化と前記移動量との差が所定値以上である場合、前記第2の時点における前記絶対位置を破棄する破棄手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の位置推定システム。
  3. 前記第1の装置は、前記相対位置算出手段で算出した前記対象物の相対位置に基づき、前記位置情報の受信レベルの範囲である受信レベル範囲を設定する受信レベル範囲設定手段を備え、
    前記絶対位置算出手段は、前記受信レベルが前記受信レベル範囲内である前記位置情報の受信を条件として、前記絶対位置を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置推定システム。
  4. 前記位置情報送信手段は、信号強度が所定の範囲内である前記測距用信号の検出を条件として前記位置情報を送信することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の位置推定システム。
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