JP3801076B2 - 障害物検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を送信して障害物により反射された超音波に基づいて障害物を検知する障害物検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の障害物検知装置では一般に、車両の前後などの障害物を検出するために、車両のシフトポジションがR、D、2、Lのいずれかであって、車速が、例えば10km/h以下の場合に、送受信機能を有するトランスデューサとしてのマイクロホンから超音波を送信して障害物により反射された超音波をマイクロホンで受信し、超音波の送信時から反射波の受信時までの時間に基づいて障害物までの距離を検出している。
【0003】
また、この距離を検出するにあたって、超音波を送信する前にある期間、超音波を送信することなく超音波受信を行って、超音波ノイズがあるかないかを確認するノイズ監視を行っている。この理由は、マイクロホンから送信した超音波以外の、例えばホーンなどに含まれる超音波がある場合には障害物までの距離を正確に検出できないからであり、このため、車両の周囲が安定的に障害物を検知できる状態かを確認している。なお、ノイズ監視により「ノイズ無し」と判定された場合には次の障害物検知処理(超音波送信、反射波受信)により検知された障害物までの距離に基づいて警報などを発し、他方、「ノイズ有り」と判定された場合には、次の障害物検知処理により検知された障害物までの距離を無視して、前回の障害物検知処理により検知されてホールドしておいた距離に基づいて警報などを発する。
【0004】
ところで、この装置の構成として、車両のシフトポジションがR、D、2、Lのいずれかであって、車速が、例えば10km/h以下の場合に、車両の前後のバンパなどに設置された超音波センサに対して制御ECU(電子制御ユニット)から超音波信号(アナログ信号)を送信し、超音波センサがこの超音波を車両の周囲に送信して障害物により反射された超音波を受信して、これを制御ECUに送信し、制御ECUが超音波の送信時から反射波の受信時までの時間に基づいて障害物までの距離を検出するアナログ構成が知られている。
【0005】
しかしながら、上記アナログ構成では、制御ECUのみが演算機能を有するので、種々の問題が発生する。例えば各超音波センサから制御ECUに送られる信号は数mV程度の微弱アナログ信号であり、耐ノイズ性が低いという問題点がある。すなわち、この微弱アナログ信号が前後のバンパなどから制御ECUに長距離伝送されるので、その過程で重畳された様々な電磁波ノイズを障害物検知信号と誤認識するという問題点がある。
【0006】
そこで、この問題点を解決する方法として、センサを演算機能付きの構成として、車両のシフトポジションがR、D、2、Lのいずれかであって車速が、例えば10km/h以下の場合に、このセンサに対して制御ECUから超音波送信コマンド(デジタル信号)を送信し、センサがこの超音波送信コマンドにより超音波を車両の周囲に送信して障害物により反射された超音波を受信し、超音波の送信時から反射波の受信時までの時間に基づいて障害物までの距離を検出して、この距離情報を制御ECUに送信し、制御ECUがセンサから受信した距離情報に基づいて警報を発するデジタル構成が考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにセンサが演算機能付きのデジタル構成では、車両のシフトポジションがR、D、2、Lのいずれかであって車速が、例えば10km/h以下の場合に制御ECUが超音波送信コマンドを送信し、センサが制御ECUから超音波送信コマンドを受信して、上記のノイズ監視を行った後に実際の障害物検知動作に移行すると、障害物検知動作に移行するのが遅れてレスポンスが遅くなるという問題点がある。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑み、障害物検知動作に移行する際のレスポンスを早くすることができる障害物検知装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、センサが制御ユニットからの超音波送信指示を受ける前にあらかじめノイズの有無を判定してそのノイズ検知情報を記憶し、制御ユニットからの超音波送信指示を受信したときに距離情報と共に制御ユニットに返信するようにしたものである。
上記構成により、センサが制御ユニットからの超音波送信指示を受けると、ノイズを監視することなく、直ぐに障害物検知処理に移行することができるので、レスポンスを早くすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る障害物検知装置の第1の実施の形態を示すブロック図、図2は図1のセンサの処理を説明するためのフローチャートである。
【0011】
図1において、演算機能付き超音波センサ30(30−1、30−2、30−3、30−4)は車両の前後のバンパなどの適宜障害物検知位置に設置され、バス25を介して制御ECU20に接続されている。制御ECU20内のマイコン21は、車両のシフトポジションがR、D、2、Lのいずれかであって車速が、例えば10km/h以下の場合に、各センサ30のIDや超音波送信コマンドを含むポーリングフレームを送信する。
【0012】
まず、マイコン21は電源(車両のイグニッション・スイッチ)がオンになると、センサ30を初期化するためのコマンドを通信ドライバ/レシーバ(D/R)22を介してバス25上に出力する。センサ30では図2に示すように、この初期化コマンドをLAN制御回路32が通信D/R31を介して受信するとノイズ監視動作に移行する(ステップS1→S2)。ステップS2におけるノイズ監視では、送受信機能を有するトランスデューサとしてのマイク34により超音波を送信することなく超音波ノイズ受信処理を行う。この超音波ノイズ信号はそのゲインをゲイン調整回路37により調整した後、比較器38に印加される。
【0013】
比較器38では、ゲイン調整回路37の出力と、LAN制御回路32から出力されているノイズ判定用しきい値をしきい値調整回路36により調整した値と比較される。ここで、ゲイン調整回路37としきい値調整回路36は各入力信号を、あらかじめ不揮発性メモリ39もしくはLAN制御回路32などに記憶されたゲインと調整値に調整する。そして、比較器38により
超音波ノイズ信号>ノイズ判定用しきい値
の場合にLAN制御回路32がノイズ検知情報として「ノイズ有り」を記憶し、次いで制御ECU20からの自己IDを含む送信コマンドのポーリングフレームを待ち(ステップS3)、このポーリングフレームを受信するまでステップS2におけるノイズ監視を繰り返す。
【0014】
そして、制御ECU20が各センサ30のID、超音波送信コマンドを含むポーリングフレームを送信すると、各センサ30では、このポーリングフレームを通信D/R31を介してLAN制御回路32で受信して解読し、自己IDを含むポーリングフレームであれば、LAN制御回路32が前回計測して記憶しておいた距離情報とノイズ有無情報を制御ECU20に返信する(ステップS3→S4)。次いでLAN制御回路32が超音波送信命令を送信回路33に送信し、送信回路33があらかじめ不揮発性メモリ39もしくはLAN制御回路32などに記憶された共振周波数の超音波バースト波を発振してマイク34に出力し、これによりマイク34から超音波バースト波が検知エリアに放射される(ステップS5)。
【0015】
もし、この放射された超音波が検知エリア内の障害物により反射されると、この反射波がマイク34により受信される。その受信信号はそのゲインをゲイン調整回路37により調整した後、比較器38に印加され、比較器38では、ゲイン調整回路37の出力と、LAN制御回路32から出力されている障害物判定用しきい値をしきい値調整回路36により調整した値と比較される。ここで、ゲイン調整回路37としきい値調整回路36は各入力信号を、あらかじめ不揮発性メモリ39もしくはLAN制御回路32などに記憶されたゲインと調整値に調整する。そして、比較器38により
反射波受信信号>しきい値障害物判定用
の場合に受信信号(障害物検知信号)が距離演算回路35に送られる。距離演算回路35は超音波発振開始時から障害物検知信号までの時間を距離に換算し、LAN制御回路32は、これを次のポーリングフレームまで記憶し(ステップS6、S7、S8)、次いでノイズ検知情報をクリアし(ステップS9)、次いでステップS2に戻る。
【0016】
制御ECU20はステップS4において送信された距離情報とノイズ有無情報を受信すると、ノイズ有無情報=ノイズ無しの場合にはその距離情報により前回の距離情報を更新して表示器に出力などし、他方、ノイズ有無情報=ノイズ有りの場合にはその距離情報をクリアして前回の距離情報を引き続きホールドする。
【0017】
<第2の実施の形態>
図3は第2の実施の形態の障害物検知装置を示すブロック図、図4は図3中のセンサの処理を説明するためのフローチャートである。図3に示すように、第2の実施の形態では図1に示す構成に対して、比較器38の出力がノイズ検知回路90を介してLAN制御回路32に印加されている。
【0018】
センサ30では図4に示すように、初期化コマンドをLAN制御回路32が通信D/R31を介して受信するとノイズ監視動作に移行する(ステップS1→S2−1)。ステップS2−1におけるノイズ監視では、マイク34により超音波を送信することなく超音波ノイズ受信処理を行う。この超音波ノイズ信号はそのゲインをゲイン調整回路37により調整した後、比較器38に印加される。
【0019】
比較器38では、ゲイン調整回路37の出力と、LAN制御回路32から出力されているノイズ判定用しきい値をしきい値調整回路36により調整した値と比較される。ここで、ゲイン調整回路37としきい値調整回路36は各入力信号を、あらかじめ不揮発性メモリ39もしくはLAN制御回路32などに記憶されたゲインと調整値に調整する。そして、比較器38により
超音波ノイズ信号>しきい値
の場合にノイズ検知回路90が内部カウンタをリセットしてカウントを開始して次のポーリングフレーム受信までカウントすることにより、ノイズ発生からの時間を計測する(ステップS2−2、2−3)。
【0020】
次いで制御ECU20からの自己IDを含む送信コマンドのポーリングフレームを待ち(ステップS3)、このポーリングフレームを受信するまでステップS2−1、2−2、2−3におけるノイズ監視を繰り返す。そして、制御ECU20が各センサ30のID、超音波送信コマンドを含むポーリングフレームを送信すると、各センサ30では、このポーリングフレームを通信D/R31を介してLAN制御回路32で受信して解読し、自己IDを含むポーリングフレームであれば、ノイズ検知回路90のカウントを停止し(ステップS4−1)、次いでLAN制御回路32が前回計測して記憶しておいた距離情報とカウント値(ノイズ時間情報)を制御ECU20に返信する(ステップS4−2)。次いでLAN制御回路32が超音波送信命令を送信回路33に送信し、送信回路33があらかじめ不揮発性メモリ39もしくはLAN制御回路32などに記憶された共振周波数の超音波バースト波を発振してマイク34に出力し、これによりマイク34から超音波バースト波が検知エリアに放射される(ステップS5)。
【0021】
もし、この放射された超音波が検知エリア内の障害物により反射されると、この反射波がマイク34により受信され、受信信号がそのゲインをゲイン調整回路37により調整した後、比較器38に印加される。比較器38では、ゲイン調整回路37の出力と、LAN制御回路32から出力されている障害物判定用しきい値をしきい値調整回路36により調整した値と比較される。ここで、ゲイン調整回路37としきい値調整回路36は各入力信号を、あらかじめ不揮発性メモリ39もしくはLAN制御回路32などに記憶されたゲインと調整値に調整する。そして、比較器38により
反射波受信信号>しきい値
の場合に受信信号(障害物検知信号)が距離演算回路35に送られ、距離演算回路35が超音波発振開始時から障害物検知信号までの時間を距離に換算し、LAN制御回路32は、これを次のポーリングフレームまで記憶し(ステップS6、S7、S8)、次いでノイズ時間カウンタをクリアし(ステップS9’)、次いでステップS2−1に戻る。
【0022】
制御ECU20は送信された距離情報とノイズ時間情報をステップS4において受信すると、ノイズ時間が所定のマルチパス浮遊時間より長い場合には、ノイズ無しと判断してその距離情報により前回の距離情報を更新して表示器に出力などし、他方、ノイズ時間が所定のマルチパス浮遊時間より短い場合にはノイズ有りとしてその距離情報をクリアして前回の距離情報を引き続きホールドする。
【0023】
したがって、センサ30が制御ECU20からの超音波送信指示を受ける前にあらかじめノイズを監視するようにしたので、障害物検知動作に移行する際のレスポンスを早くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る障害物検知装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1のセンサの処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態の障害物検知装置を示すブロック図である。
【図4】図3中のセンサの処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
20 制御ECU
30 超音波センサ

Claims (4)

  1. 車両の障害物検知位置に取り付けられたセンサが制御ユニットからの超音波送信指示に基づいて超音波を送信し、障害物により反射された超音波による障害物検知信号に基づいて前記障害物との距離をデジタル演算してその距離情報を前記制御ユニットに送信し、前記制御ユニットが前記距離情報に基づいて警報を発する障害物検知装置であって、
    前記センサは、前記制御ユニットからの超音波送信指示を受ける前にあらかじめノイズの有無を判定してそのノイズ検知情報を記憶し、前記制御ユニットからの超音波送信指示を受信したときに前記距離情報と共に前記制御ユニットに返信するノイズ監視手段を備える障害物検知装置。
  2. 前記ノイズ監視手段は、前記制御ユニットからの超音波送信指示を受ける前にあらかじめノイズを繰り返し監視することを特徴とする請求項1に記載の障害物検知装置。
  3. 記制御ユニットは、前記ノイズ検出情報が「ノイズ無し」の場合に前記距離情報を有効とし、「ノイズ有り」の場合に前記距離情報を無効にして前回の距離情報を有効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の障害物検知装置。
  4. 前記ノイズ監視手段は、ノイズ検出時から前記超音波送信指示までの時間を計測して前記超音波送信指示を受信したときに前記距離情報と共に前記制御ユニットに返信し、前記制御ユニットは前記計測時間が所定のマルチパス浮遊時間より長い場合には「ノイズ無し」と判断してその距離情報を有効とし、前記計測時間が所定のマルチパス浮遊時間より短い場合には「ノイズ有り」と判断し前記距離情報を無効にして前回の距離情報を有効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の障害物検知装置。
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