JP2010069974A - エアバッグ袋体 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッグ内圧の変化を一層適切に制御すること。
【解決手段】第1の基布31及び第2の基布の外周部同士が接合されることによって構成されたエアバッグ袋体30の第1及び第2の基布は、中央部から外周部へ向けて概ね円周方向に連続する、縫合部51〜53により縫合されている。縫合部は、エアバッグ袋体が膨張するときのバッグ内圧により、中央部から外周部へ向けて、縫合糸が順次破断されることによって分離する。縫合糸は、バッグ内圧によって破断される第1の糸と、この第1の糸よりも破断強度が大きい第2の糸とから成る。第2の糸は、第1の糸を縫合部の縫合方向へ案内する糸である。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に衝突エネルギーが作用したときに、インフレータにより発生したガスを導入することにより着座した乗員と車室との間に膨張展開可能な、車両用エアバッグ装置用のエアバッグ袋体に関する。
エアバッグ袋体は、第1の基布及び第2の基布における、外周部同士を接合することによって構成したものである。このようなエアバッグ袋体において、乗員方向への膨張過程における内圧の変動を抑制し、乗員とエアバッグ袋体との接触時期によらず安定した緩衝効果を得ることのできる技術の開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−193881公報
この特許文献1で知られている車両用エアバッグ装置の袋体は、第1及び第2の基布が、中央部から外周部へ向けて概ね円周方向に連続する、縫合部によって縫合されたというものである。この縫合部は、エアバッグ袋体が膨張するときのバッグ内圧により、中央部から外周部へ向けて、順次破断される。これに伴い、エアバッグ袋体の展開初期から膨張形状の安定化を図るとともに、内圧の変動を抑制しつつエアバッグ袋体の容積を暫時増大させて、バッグ内圧の変化を適切に制御することができる。
ところで、縫合部は、第1及び第2の基布同士を、糸(以下、「縫合糸」と言う)によって縫合するものである。バッグ内圧の変化を適切に制御するためには、縫合糸が、インフレータに近い中央部から外周部へ向けて、順次切断されることが好ましく、特に縫合糸が複数の基点を有する場合には、それぞれが同期して切断されるよう構成することが好ましい。そのためには、縫合部において、中央部から外周部までにかけての全ての箇所で、縫合糸の破断強度が概ね一定に保たれる必要がある。縫合部における途中で、縫合糸の破断強度が過大であると、その部分の破断タイミングが遅れる傾向となる。一方、縫合部における途中で、縫合糸の破断強度が過小であると、その部分の破断タイミングが早まる傾向となる。
本発明は、バッグ内圧の変化を一層適切に制御することができる技術を、提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、第1及び第2の基布の外周部同士が接合されることによって構成されるエアバッグ袋体であって、前記第1及び第2の基布は、中央部から外周部へ向けて概ね円周方向に連続する、縫合部により縫合されており、この縫合部は、前記エアバッグ袋体が膨張するときのバッグ内圧により、前記中央部から前記外周部へ向けて、縫合糸が順次破断されることによって分離する構成であり、この縫合糸は、前記バッグ内圧によって破断される第1の糸と、この第1の糸よりも破断強度が大きい第2の糸とから成り、この第2の糸は、前記第1の糸を前記縫合部の縫合方向へ案内する糸であることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、前記第1の糸はフィラメント糸から成ることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記第1の糸は着色されていない糸から成ることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、前記第1の糸は破断荷重が60Nを越えない糸から成る、ことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、第2の糸は、第1の糸よりも破断強度が大きい。このため、所定以上のバッグ内圧に基づき第1の糸に作用する張力によって、第1の糸が破断する。しかも、第1の糸は、第2の糸によって縫合方向に案内されている。このため、第1の糸は縫合部における、どの箇所においても、破断強度が概ね一定に保たれる。従って、第1の糸は、第1及び第2の基布における、インフレータから供給されたガスによって中央部から外周部へ向けて、的確に順次破断され、バッグ内圧の変化を一層適切に制御することができる。
請求項2に係る発明では、第1の糸はフィラメント糸から成る。このフィラメント糸は、連続した長繊維から成る糸であって、撚りが無い又はほぼ無いものである。撚りが無く、撚り加工による繊維の損傷が少ないため繊維の連続性が高く、糸の長さ方向に破断荷重のバラツキが少ない。従って、第1の糸は、第1及び第2の基布における、中央部から外周部へ向けて、的確に順次破断される。
請求項3に係る発明では、第1の糸は着色されていない糸から成る。第1の糸を製造するときに着色工程を経ていないので、加工による繊維の損傷が少ないため糸の長さ方向の破断荷重のバラツキが少ない。従って、第1の糸は、第1及び第2の基布における、中央部から外周部へ向けて、的確に順次破断される。
請求項4に係る発明では、第1の糸は、破断荷重が60Nを超えない糸から成る。
第1の糸の破断荷重が、60Nを越えた値であると、第1の糸の形状を安定させるために製造段階において繊維に加えられる荷重が、大きくならざるを得ない。この結果、第1の糸における破断荷重のバラツキが大きくなりがちである。従って、所定以上のバッグ内圧に基づく荷重によって、第1の糸を均一に破断させるように設定することは、容易でない。
これに対し請求項4では、第1の糸として、破断荷重60Nを超えない糸を採用したので、エアバッグ袋体は、インフレータから供給されたガスによって、よりタイミング良く且つ円滑に膨張する。このため、エアバッグ袋体の内圧特性を、より適切に制御することが可能である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側を示す。
図1は本発明に係る車両用エアバッグ装置を採用した車両の斜視図である。車両10は、運転席11の前方に配置されたステアリングホイール12に車両用エアバッグ装置13を収納したものである。このエアバッグ装置13は、車両10に衝突エネルギーが作用したときに、図示しないインフレータからエアバッグ袋体にガスを導入し、運転者の前側に展開することによって、運転者(以下、「乗員」と言う)を拘束して保護するものである。以下、エアバッグ装置13を詳細に説明する。
図2は図1に示す車両用エアバッグ装置に用いられるエアバッグ袋体を車両前方から見た図である。図3は図2の3−3線断面図である。図4は図2に示したエアバッグ袋体の分解図である。
図2及び図3に示すように、エアバッグ装置13は、想像線によって示すインフレータ20(図3、図4参照)と、リテーナ22(図3、図4参照)と、固定リング23と、エアバッグ袋体30とから成る。インフレータ20は、車両10に衝突エネルギーが作用したことによって点火信号を受けたときに、図示せぬガス発生剤に点火することにより、バッグ膨張用の高圧ガス(以下、単に「ガス」と言う)を発生させて、エアバッグ袋体30に供給するものである。このインフレータ20は取付フランジ21を有する。リテーナ22は、エアバッグ袋体30を折り畳み状態で保持するとともにインフレータ20を支持する部材であり、ステアリングホイール12上(図1参照)に設けられている。取付フランジ21をリテーナ22にボルト止めすることによって、インフレータ20はステアリングホイール12に固定される。
図2〜図4に示すように、エアバッグ袋体30は、それぞれ円形状を呈した第1の基布31及び第2の基布41から成る。第1の基布31は、エアバッグ袋体30が展開したときに、ステアリングホイール12に対面するように位置する、前側のシートである。第2の基布41は、エアバッグ袋体30が展開したときに、乗員に対面するように位置する、後側のシートである。第1及び第2の基布31,41を重ね合わせて、外周部42同士を接合する(外周の縫合部43で一体に縫製する)ことによって、正面視円形状のエアバッグ袋体30が構成される。
第1の基布31には、1つのインフレータ挿入孔32と、複数のボルト孔33と、1つのベントホール34とが形成されている。
インフレータ挿入孔32は、第1の基布31の中心CPに配置されており、挿入されたインフレータ20を取り囲む、円形状の貫通孔である。インフレータ20が発生したガスは、エアバッグ袋体30の内部へ供給される。以下、第1の基布31の中心CPのことを、適宜「インフレータ挿入孔32の中心CP」と言い換える。
複数のボルト孔33は、インフレータ挿入孔32の周囲に配置されている。インフレータ20の取付フランジ21に第1の基布31及び固定リング23を重ね合わせ、ボルト孔33に挿入したボルト24(図4参照)を取付フランジ21にねじ結合することによって、エアバッグ袋体30はステアリングホイール12内のリテーナ22に取り付けられる。
ベントホール34は、エアバッグ袋体30の膨張時において、ガスの一部を外部へ放出するための、円形状の貫通孔であり、インフレータ挿入孔32の中心CPから所定の距離だけオフセットした位置HP(ホール中心HP)に、配置されている。ガスの一部を放出することによって、エアバッグ袋体30内のガス圧(バッグ内圧)が過大となることを抑制することができる。
図2及び図3に示すように、重ね合わされた第1及び第2の基布31,41は、中央部から外周部へ向けて概ね円周方向に連続する複数条、例えば3条の縫合部51,52,53により縫合されている。これらの縫合部51〜53は、エアバッグ袋体30が膨張するときのバッグ内圧により、中央部から外周部へ向けて縫合糸が順次破断されることによって分離する構成である。以下、この分離可能な縫合部51〜53のことを「破断用縫合部51〜53」と言う。以下、破断用縫合部51〜53について詳しく説明する。
図5は図2に示した破断用縫合部の詳細図であり、第1及び第2の基布31,41同士が破断用縫合部51〜53によって縫合された状態の断面を示している。図2及び図5に示すように、3つの破断用縫合部51〜53は、インフレータ挿入孔32の中心CP寄りの縫合始点54から外周部42の縫合終点55まで、渦巻き状に縫合された部分である。このように、径方向内端に位置する縫合始点54は、エアバッグ袋体30の中心CP(インフレータ挿入孔32の中心CP)を指向している。このため、バッグ内圧によって、縫合始点54に応力を集中させることができる。
これら3つの破断用縫合部51〜53は、全て同じ構成であり、縫合始点54から縫合終点55までの長さが同一であって、互いに位相を120°ずらして配置されている。3つの破断用縫合部51〜53において、インフレータ挿入孔32の中心CPから縫合始点54までの距離は全て同一であり、中心CPから縫合終点55までの距離も全て同一である。
ここで、図2において、インフレータ挿入孔32の中心CPを基準にして、ホール中心HPが位置する方位を0°とし、図時計回りに角度が大きくなるものとする。また、インフレータ挿入孔32の中心CPからホール中心HPの中心を通って方位0°へ延びる直線SL1のことを、基準線SL1と言う。第1の基布31の面上において、基準線SL1に対し直交する直線のことを、直交基準線SL2と言う。
第1の破断用縫合部51は、方位0°を縫合始点54とし、この縫合始点54から径外方へ若干延びつつ周方向へ小さく円弧状に縫合され、その後に、図反時計回りに240°だけ渦巻き状に縫合されて、方位120°を縫合終点55とする。縫合始点54は、ベントホール34よりも径外方に位置する。縫合終点55は、基布31,41の外周縁に達する手前に形成され、これにより終点と、外周縁との間にガスが流入することが許容される。
同様に、第2の破断用縫合部52は、方位120°を縫合始点54とし、第1の破断用縫合部51の外周に沿いながら、図反時計回りに240°だけ渦巻き状に縫合され、方位240°を縫合終点55とする。第3の破断用縫合部53は、方位240°を縫合始点54とし、第2の破断用縫合部52の外周に沿いながら、図反時計回りに240°だけ渦巻き状に縫合されて、方位0°を縫合終点55とする。各破断用縫合部51,52,53同士は、径方向に所定の間隔を有して離間している。この間隔は、縫合始点54から縫合終点55へ進むにつれて徐々に狭くなる。
図6は、図2の6−6線断面図である。上述のように、各破断用縫合部51〜53は、中央部から外周部へ向けて、縫合糸56が順次破断されることによって分離する構成である。縫合糸56は、第1の糸56aと第2の糸56bとから成る。第1の糸56aは、所定以上のバッグ内圧によって破断されるように脆弱な糸、例えば引張強さ(引っ張って破断するのに要する力。破断荷重)20Nから60Nの着色加工を施されていないフィラメント糸から成る。一方、第2の糸56bは、第1の糸56aを各破断用縫合部51,52,53の縫合方向へ案内する糸であって、エアバッグ袋体30の膨張時にバッグ内圧によって破断されないように、第1の糸56aよりも引張強さを大きく設定される。
このため、所定以上のバッグ内圧に基づき第1の糸に作用する張力によって、第1の糸56aが破断する。しかも、第1の糸56aは、第2の糸56bによって縫合方向に案内されている。このため、第1の糸56aは各破断用縫合部51〜53における、どの箇所においても、破断強度が概ね一定に保たれる。従って、第1の糸56aは、第1及び第2の基布31,41における、中央部から外周部へ向けて、的確に順次破断される。エアバッグ袋体30は、インフレータ20から供給されたガスによって、よりタイミング良く且つ円滑に膨張することができる。このため、バッグ内圧の変化を一層適切に制御することができる。そして、インフレータ20からエアバッグ袋体30にガスを供給開始した後における、エアバッグ袋体30の内圧特性を、より一層的確なものにすることができる。
第1の糸56aを成すフィラメント糸(filament yarn)は、フィラメント(連続した長繊維)から成る糸であって、撚りが無い又はほぼ無いものである。撚りが無く、撚り加工による繊維の損傷が少ないため繊維の連続性が高く、糸の長さ方向に破断荷重のバラツキが少ない。従って、第1の糸56aは、所定以上のバッグ内圧によって、第1及び第2の基布31,41における、中央部から外周部へ向けて、的確に順次破断される。
ところで、本発明の発明者達は、第1の糸56aを成すフィラメント糸の、太さを選定するための破断試験を実施した。試験のためのフィラメント糸のサンプルとして、ポリエステルを主成分とする同一の材質で太さの異なる5種類のサンプルDf1〜Df5を選択した。糸の太さの単位については、一般に「番手」という数字によって表される。糸の太さは、番手の数字が大きいほど細くなる。第1サンプルDf1は、40番手のフィラメント糸であり、5種類のサンプルの中で最も細い。第2サンプルDf2は、30番手のフィラメント糸である。第3サンプルDf3は、20番手のフィラメント糸である。第4サンプルDf4は、8番手のフィラメント糸である。第5サンプルDf5は、5番手のフィラメント糸であり、5種類のサンプルの中で最も太い。
試験方法は、次の通りである。先ず、5種類のサンプルDf1〜Df5について、各種類毎に、(1)全く加熱をしていない初期のサンプルを30本と、(2)雰囲気温度120℃の条件下で500時間にわたって加熱した後のサンプルを30本とを準備した。次に、引張試験機によって、全てのサンプルの引張り試験を実施し個々の破断強度を調べた。雰囲気温度120℃の条件下で500時間という条件は、第1の糸56aを成すフィラメント糸の破断性能の変化をみるための条件である。
この試験結果を図7に示す。図7はフィラメント糸の引張強さの対比図であり、横軸を破断荷重Wt(単位;N)とし、縦軸に示された各サンプルの破断荷重(引張強さ)特性を表したものである。ここで、破断荷重Wtとは、フィラメント糸を引っ張って破断するのに要する力のことである。
5種類のサンプルの中で最も細い第1サンプルDf1では、初期のサンプルが22〜25Nの範囲の破断荷重によって破断し、加熱後のサンプルが21〜25Nの範囲の破断荷重によって破断した。
第2サンプルDf2では、初期のサンプルが30〜36Nの範囲の破断荷重によって破断し、加熱後のサンプルが30〜34Nの範囲の破断荷重によって破断した。
第3サンプルDf3では、初期のサンプルが48〜54Nの範囲の破断荷重によって破断し、加熱後のサンプルが47〜52Nの範囲の破断荷重によって破断した。
第4サンプルDf4では、初期のサンプルが61〜77Nの範囲の破断荷重によって破断し、加熱後のサンプルが64〜74Nの範囲の破断荷重によって破断した。
第5サンプルDf5では、初期のサンプルが93〜109Nの範囲の破断荷重によって破断し、加熱後のサンプルが91〜102Nの範囲の破断荷重によって破断した。
以上の試験結果から明らかなように、第1・第2・第3サンプルDf1〜Df3における破断荷重のバラツキは、第4・第5サンプルDf4,Df5の破断荷重のバラツキよりも大幅に小さい。つまり、第1の糸56aとして、破断荷重Wtを60Nを越えない糸を採用した場合に、破断荷重のバラツキが小さいことが判る。破断荷重のバラツキが小さいと、第1の糸56aの破断荷重を設定することが容易である。
所定以上のバッグ内圧によって縫合糸56が順次破断される場合には、第1の糸56aだけ破断することが求められる。第2の糸56bの破断強度に対して、第1の糸56aの破断強度が近似していると、第1の糸56aが適切に破断しない。具体的には、第1の糸56aの破断荷重Wtが、60Nを越えた過大な値であると、所定以上のバッグ内圧に基づく荷重によって、第1の糸56aを適切に且つ均一に破断させるように設定することは、容易でない。
また、第1の糸56aの破断荷重Wtが、60Nを越えた値であると、第1の糸56aの形状を安定させるために製造段階において繊維に加えられる荷重が、大きくならざるを得ない。この結果、第1の糸56aにおける破断荷重Wtのバラツキが大きくなりがちである。従って、所定以上のバッグ内圧に基づく荷重によって、第1の糸56aを均一に破断させるように設定することは、容易でない。
これに対して、本発明では、第1の糸56aとして、破断荷重Wtが60Nを越えない糸を採用したので、エアバッグ袋体30は、インフレータ20から供給されたガスによって、よりタイミング良く且つ円滑に膨張する。このため、エアバッグ袋体30の内圧特性を、より適切に設定することが容易である。
また、本発明の発明者達は、第1の糸56aを成すフィラメント糸の、太さを選定するにあたって、互いに太さの異なるフィラメント糸のサンプルを用いた場合における、エアバッグ袋体の内圧特性試験を実施した。
試験のためのフィラメント糸のサンプルとしては、上記図7に示す4種類のサンプルDf1〜Df4を用いた。そして、これらのサンプルDf1,Df2,Df3,Df4を個々に用いた破断用縫合部51〜53を有する、4種類のエアバッグ袋体を準備した。これらのエアバッグ袋体は、上記図2〜図6に示すエアバッグ袋体30と同じ構成である。
この試験結果を図8に示す。図8はフィラメント糸の種類に伴うエアバッグ袋体の内圧特性を示す図であり、横軸をインフレータがガスを発生した時点からの時間Ti(ミリ秒)とし、縦軸をエアバッグの内圧Pa(Kpa)として、フィラメント糸の種類に伴うエアバッグ袋体の内圧特性を示す。
図8には各エアバッグ袋体の特性曲線SDf1〜SDf4を表してある。太い実線によって表されている曲線SDf1は、第1サンプルDf1を用いた場合における、第1内圧特性曲線である。細い実線によって表されている曲線SDf2は、第2サンプルDf2を用いた場合における、第2内圧特性曲線である。細い破線によって表されている曲線SDf3は、第3サンプルDf3を用いた場合における、第3内圧特性曲線である。細い二点鎖線によって表されている曲線SDf4は、第4サンプルDf4を用いた場合における、第4内圧特性曲線である。
図8に示すように、インフレータがガスを発生した初期においては、全ての特性曲線SDf1〜SDf4の特性が、概ね同じである。つまり、初期におけるエアバッグ袋体の内圧Pa(バッグ内圧Pa)は、一旦急上昇した後に急降下して元に戻る。その次の段階、つまり、概ね20ミリ秒(Ti≒20)を経過した後の段階以降においては、徐々に上昇するものの、各特性曲線SDf1〜SDf4毎に特性が、次のように異なっている。
第1内圧特性曲線SDf1は、概ね15ミリ秒(Ti≒15)を経過したときから再び上昇し始め、概ね25ミリ秒(Ti≒25)を経過するまでに略10Kpaまで上昇し、このバッグ内圧を概ね維持し、概ね60ミリ秒(Ti≒60)を経過した後に徐々に降下する特性である。
第2内圧特性曲線SDf2は、概ね15ミリ秒(Ti≒15)を経過したときから再び上昇し始め、概ね30ミリ秒(Ti≒30)を経過するまでに略20Kpaまで上昇し、このバッグ内圧を概ね維持し、概ね45ミリ秒(Ti≒45)を経過した後に徐々に降下する特性である。
第3内圧特性曲線SDf3は、概ね15ミリ秒(Ti≒15)を経過したときから再び上昇し始め、概ね30ミリ秒(Ti≒30)を経過するまでに略25Kpaまで上昇し、このバッグ内圧を概ね維持し、概ね45ミリ秒(Ti≒45)を経過した後に、徐々に降下する特性である。
第4内圧特性曲線SDf4は、概ね25ミリ秒(Ti≒25)を経過したときから再び上昇し始め、概ね45ミリ秒(Ti≒45)を経過するまでに、略35Kpaまで大きく上昇し、その直後から大きく降下する特性(いわゆる、山形の特性)である。
ここで、バッグ内圧Paが再び上昇し始めるタイミングのことを、「再上昇タイミング」と言う。第1・第2・第3内圧特性曲線SDf1,SDf2,SDf3における、再上昇タイミングは、Ti≒15である。第4内圧特性曲線SDf4における、再上昇タイミングは、Ti≒25であり、他に比べて比較的遅い。
図8に示す試験結果から明らかなように、第1・第2・第3内圧特性曲線SDf1〜SDf3は、バッグ内圧Paの最大値が30Kpaを下回る比較的低圧であり、しかも、その最大値をしばらく維持する特性を有している。このため、エアバッグ袋体の内圧特性は適切である。つまり、上記図7に示す破断荷重Wtが60Nを越えない、第1サンプルDf1(40番手のフィラメント糸)、第2サンプルDf2(30番手のフィラメント糸)または第3サンプルDf3(20番手のフィラメント糸)を採用することが好ましい。
これに対し、第4内圧特性曲線SDf4は、バッグ内圧Paの最大値が30Kpa以上と高圧であり、しかも、最大値まで急上昇するとともに急降下するといった、山形の特性を有している。このため、乗員がエアバッグ袋体で拘束されるタイミングによっては、エアバッグ袋体によって拘束する力に差が生じる。つまり、上記図7に示す破断荷重Wtが60Nを越える、第4サンプルDf4(8番手のフィラメント糸)を採用することは、乗員方向への膨張過程におけるバッグ内圧の変動を抑制し、乗員とエアバッグ袋体との接触時期によらず安定した緩衝効果を得るための、更なる改良の余地がある。
しかも、第4内圧特性曲線SDf4における再上昇タイミングは、第1・第2・第3内圧特性曲線SDf1,SDf2,SDf3における再上昇タイミングに比べて、比較的遅いので、更なる改良の余地がある。さらに、それに加えて、安定したバッグ内圧を得ることが難しくなる。
当然のことながら、上記図7に示された第5サンプルDf5(5番手のフィラメント糸)を採用することは、第4サンプルDf4と同様のことが言える。
さらに、図6に示す第1の糸56aは、着色されていない糸から成ることが好ましい。第1の糸56aを製造するときに着色工程を経ていないので、糸の長さ方向に破断荷重のバラツキが少ない。従って、第1の糸56aは、第1及び第2の基布31,41における、中央部から外周部42へ向けて、的確に順次破断される。
図2〜図4に示すように、エアバッグ袋体30は、ベントホールカバー60とカバーガイド部材70と第1・第2・第3補強シート81,82,83とを備えている。各補強シート81〜83は、インフレータ挿入孔32と略同径の貫通孔を有する。
第1の基布31の表面(取付フランジ21と対向する面)に第1補強シート81が重ね合わされ、さらに、第1の基布31の裏面に、第2補強シート82、ベントホールカバー60、カバーガイド部材70及び第3補強シート83がこの順に重ね合わされ、これら全ての部材がインフレータ挿入孔32の周囲において一体に縫合されている。
第1・第3補強シート81,83は、環状(中空円形状)の部材であり、第1の基布31においてインフレータ挿入孔32の周囲を補強する。第2補強シート82は、細長い部材であり、第1の基布31においてインフレータ挿入孔32の周囲と、ベントホール34の周囲を補強する。取付フランジ21は、第1補強シート81を介して第1の基布31に重ね合わされる。固定リング23は、第3補強シート83を介して第1の基布31に重ね合わされる。
第1・第2の基布31,41、ベントホールカバー60、カバーガイド部材70、及び第1・第2・第3補強シート81,82,83は、全て同じ材質で且つ同じ厚みの布(柔軟性を有したパネル)から成る。この布は、表面(一方の面)と裏面(他方の面)とで、互いに異なる摩擦特性(摩擦抵抗)を有している。例えば、布の片面だけにシリコンコーティングが施されることによって、表裏で摩擦特性が異なる。第1の基布31と第2の基布41とベントホールカバー60とカバーガイド部材70とは、各々の表面と裏面とが互い違いに対面するように配置されている。
例えば、第1の基布31の摩擦抵抗は、表面(取付フランジ21と対向する面)の方が裏面よりも小さい。ベントホールカバー60は、摩擦抵抗の小さい表面が、第1の基布31の裏面(摩擦抵抗の大きい面)に対面する。カバーガイド部材70は、摩擦抵抗の小さい表面が、ベントホールカバー60の裏面(摩擦抵抗の大きい面)に対面する。第2の基布41は、摩擦抵抗の小さい表面が、カバーガイド部材70の裏面(摩擦抵抗の大きい面)に対面する。
図9は図2に示したエアバッグ袋体の要部拡大図であり、想像線によって示す第1の基布31を透視した状態を表している。図2〜図4及び図9に示すように、ベントホールカバー60は、エアバッグ袋体30に所定以上のバッグ圧が作用するまでの通常状態において、ベントホール34を塞ぐ部材である。このベントホールカバー60は、正面視略T字状に形成されており、環状の基部61と、縦帯状の延出部62と、横帯状の直交部63とからなる。このベントホールカバー60は、基準線SL1に対して左右対称形である。
詳しく述べると、ベントホールカバー60の基部61は、インフレータ挿入孔32の中心CPに位置した環状の部分であり、インフレータ挿入孔32と略同径の貫通孔を有する。この基部61は、インフレータ挿入孔32の周囲において、第1の基布31に一体に縫合される。
ベントホールカバー60の延出部62は、第1の基布31の裏面に沿って、基準線SL1上を、基部61からベントホール34まで延びた、所定幅の縦帯状の部分である。
ベントホールカバー60の直交部63は、延出部62における先端部分から、第1の基布31の裏面に沿って、基準線SL1に対し左右両方へ延びた、所定幅の横帯状の部分である。つまり、延出部62に対して直交する方向へ延びている。図9において、直交部63の上縁は、直交基準線SL2に対して略平行に形成されている。また、直交部63の下縁は、インフレータ挿入孔32の中心CP側へ凸となる若干テーパ状に形成されている。
より具体的には、直交部63は、基準線SL1に対し互いに離反する方向へ延びる左右一対の帯状部64,64から成る。左右の帯状部64,64の先端部64a,64a、つまり、直交部63の両端部は、各破断用縫合部51〜53によって、第1・第2の基布31,41に縫合されている。
縦帯状の延出部62と横帯状の直交部63との交点の部分は、ホール中心HPに位置する。延出部62の縁と直交部63の縁とのコーナ部(ベントホールカバー60におけるT字のコーナ部)から、ベントホール34の縁までの距離は、ベントホールカバー60における他の部分よりも小さく設定されている。
カバーガイド部材70は、ベントホールカバー60の直交部63が基準線SL1の方向へ移動するときに、位置ずれしないように案内する部材である。このカバーガイド部材70は、正面視略T字状に形成されており、環状の基部71と、横帯状のガイド部72とからなる。このカバーガイド部材70は、基準線SL1に対して左右対称形である。
詳しく述べると、カバーガイド部材70の基部71は、インフレータ挿入孔32の中心CPに位置した環状の部分であり、インフレータ挿入孔32と略同径の貫通孔を有する。この基部71は、インフレータ挿入孔32の周囲において、第1の基布31に一体に縫合される。インフレータ20の近傍まで基部71を延長することにより、インフレータ20とカバーガイド部材70との相対位置の調整が容易となり、製造精度が向上する。
ガイド部72は、基部71における外周部から、第1の基布31の裏面に沿って、基準線SL1に対し左右両方へ延びた、所定幅の横帯状の部分である。このガイド部72は、第1の基布31に対して、ベントホールカバー60の直交部63の上から重ね合わされ、ガイド用の第1・第2・第3縫合部73〜75によって、第1の基布31にだけ一体に縫合される。ガイド用の3つの縫合部73〜75(ガイド用縫合部73〜75)によって、ベントホールカバー60の直交部63の移動(摺動)が案内されるとともに、直交部63の移動方向が規制される。ガイド部72における左右の先端72a,72aは縫合されることなく、開放され、破断用縫合部51〜53近傍まで延出配置されている。
図9に示すように、第1ガイド用縫合部73は、ガイド部72の上縁に沿って、ガイド部72における左の先端72a近傍から右の先端72a近傍まで、縫合された部分である。この第1ガイド用縫合部73は、ガイド部72の上縁に略平行に縫合されている。
第2ガイド用縫合部74は、ガイド部72における左側の下縁に沿って、ガイド部72における左の先端72a近傍から、ベントホールカバー60における延出部62の縁の近傍まで、縫合された部分である。この第2ガイド用縫合部74は、ガイド部72における左側の下縁に延出部62側が若干インフレータ挿入孔32に近づくよう傾斜させて縫合されている。
第3ガイド用縫合部75は、ガイド部72における右側の下縁に沿って、ガイド部72における右の先端72a近傍から、ベントホールカバー60における延出部62の縁の近傍まで、縫合された部分である。この第3ガイド用縫合部75は、ガイド部72における右側の下縁に延出部62側が若干インフレータ挿入孔32に近づくよう傾斜させて縫合されている。
これらのガイド用縫合部73〜75は、それぞれ両側の縫合端に応力集中抑制部76,76を有している。図9に示すように、両側の応力集中抑制部76,76は、ガイド用縫合部73〜75を、各縫合端においてベントホールカバー60から遠ざかる方向に更にループ状に縫合した部分である。本実施例においては、応力集中抑制部76,76は、それぞれのガイド用縫合部73〜75に沿う方向に細長い正面視略長円形に形成されている。このため、それぞれの縫合端は円弧状を呈する。
図9に示すように、エアバッグ袋体30を正面から見たときに、各ガイド用縫合部73〜75に対して、応力集中抑制部76,76は次の関係にある。つまり、第1ガイド用縫合部73の応力集中抑制部76,76は、第1ガイド用縫合部73の上に形成されている。第2・第3ガイド用縫合部74,75の各応力集中抑制部76,76は、第2・第3ガイド用縫合部74,75の下に形成されている。
このように、ガイド用縫合部73〜75における各縫合端に、応力集中抑制部76,76を設けている。ベントホールカバー60が第1・第2ガイド用縫合部73,74間を移動するときや、ベントホールカバー60が第1・第3ガイド用縫合部73,75間を移動するときに、ベントホールカバー60の縁は、応力集中抑制部76,76を擦りながら移動する。これらの応力集中抑制部76,76は円弧状に形成されているので、この部分に応力が集中することが抑制される。このため、ガイド用縫合部73〜75における各縫合端が、ベントホールカバー60に擦られて剥離する心配はない。また、ベントホールカバー60とカバーガイド部材70とが干渉し合うこともない。従って、ベントホールカバー60は円滑に移動することができる。
基準線SL1からガイド部72の先端72aまでの長さは、基準線SL1から帯状部64の先端部64aまでの長さよりも、短く設定されている。しかし、基準線SL1からガイド部72の先端72aまでの長さは、この先端72aから帯状部64の先端部64aまでの長さよりも、長く設定されている。従って、破断用縫合部51〜53が破断して先端部64aの拘束が解かれ、帯状部64が基準線SL1側へ移動する途中において、帯状部64がガイド部72の裏側へ折り返ったとしても、先端部64aによってベントホール34が塞がれることはない。
さらに、ガイド部72における左右の先端72a,72aは、基準線SL1に対して傾斜した(ベントホールカバー60の直交部63に対して傾斜した)傾斜状に形成されている。従って、ベントホールカバー60の帯状部64が基準線SL1側へ移動する途中において、帯状部64がガイド部72の裏側へ折り返ったとしても、傾斜した先端72aに沿って、斜めに折り返ることになる。このため、帯状部64は折り返り状態が極めて容易に解消される。帯状部64はガイド部72内を円滑に移動することができる。
さらに、ガイド部72は、ホール中心HPに位置する開口77を有する。つまり、ガイド部72は、ベントホール34に対応する部位に、開口77が形成されている。この開口77は、ベントホール34と略同型の円形孔である。
次に、エアバッグ装置13の作用を説明する。
車両10(図1参照)に所定以上の衝突エネルギーが作用したときに、図3に示すインフレータ20は点火信号を受けてガス発生剤に点火することにより、ガスを発生させて、エアバッグ袋体30に供給する。ステアリングホイール12(図1参照)上に折り畳み状態で収納されているエアバッグ袋体30は、ガスによって膨張を開始する。エアバッグ袋体30が膨張する過程において、ステアリングホイール12に取り付けられたカバー(図示せず)がティアラインから破断してエアバッグ袋体30が膨出展開するための開口を形成する。この結果、エアバッグ袋体30は車室内に展開し始める。
図2及び図3に示すように、エアバッグ袋体30は第1及び第2の基布31,41同士が3つの破断用縫合部51〜53によって一体に縫合されている。このため、エアバッグ袋体30は展開初期にその膨張容積を規制され、中心と破断用縫合部51〜53間の規制された容積内で速やかに一様な膜圧分布に達する。この時点で乗員がステアリングホイール12に近接した位置に存在し、接触開始する場合には、内圧の上昇とともに破断用縫合部51〜53の破断が進行することにより内圧上昇量が抑制され、柔らかく乗員を拘束することができる。
また、乗員との接触がない場合にも、インフレータ20からのガス流入によるエアバッグ袋体30におけるバッグ内圧の増加に応じて、3つの破断用縫合部51〜53は、縫合始点54から縫合終点55へ向かって順次破断される。このため、エアバッグ袋体30は、適切なバッグ内圧を維持しながら、次第に容積を増加し、所定の形状となるように展開する。
ところで、図9に示すように、ベントホールカバー60における左右の帯状部64,64の先端部64a,64aは、各破断用縫合部51〜53によって、第1・第2の基布31,41に縫合されている。このため、各破断用縫合部51〜53が破断するまでは、先端部64a,64aが第1・第2の基布31,41に拘束されている。ベントホール34が、ベントホールカバー60により閉鎖されているので、エアバッグ袋体30内のガスは外部へ逃げることを阻止されている。この結果、エアバッグ袋体30内のガス圧は速やかに上昇し、そのガス圧が適切に保持される。エアバッグ袋体30内のガス圧は、カバーガイド部材70の開口77を通して、ベントホールカバー60の直交部63における中央部に作用している。
その後、エアバッグ袋体30の展開末期に、全ての破断用縫合部51〜53が破断すると、帯状部64,64の先端部64a,64aの拘束が解かれる。ベントホールカバー60の直交部63における中央部は、ベントホール34から外部へ押し出される。押し出されるにつれて、左右の帯状部64,64はガイド部72に案内されて(ガイド用縫合部73〜75に案内されて)、ベントホール34へ向かって移動する。この結果、ベントホール34が開放される。このように各破断用縫合部による圧力上昇の緩和が終了した後にも、エアバッグ袋体30内の余剰のガスがベントホール34から排出されるので、エアバッグ袋体30は最大形状となった後もエアバッグ袋体30のバッグ内圧の過剰な上昇を防止される。
本発明は、ベントホール34をベントホールカバー60によって覆うことにより、ガス流出を規制する車両用エアバッグ装置13を備えた自動車への適用に好適である。
本発明に係る車両用エアバッグ装置を採用した車両の斜視図である。 図1に示す車両用エアバッグ装置に用いられるエアバッグ袋体を車両前方から見た図である。 図2の3−3線断面図である。 図2に示したエアバッグ袋体の分解図である。 図2に示した破断用縫合部の詳細図である。 図2の6−6線断面図である。 フィラメント糸の引張強さの対比図である。 フィラメント糸の種類に伴うエアバッグ袋体の内圧特性を示す図である。 図2に示したエアバッグ袋体の要部拡大図である。
符号の説明
13…車両用エアバッグ装置、20…インフレータ、30…エアバッグ袋体、31…第1の基布、41…第2の基布、51〜53…縫合部(破断用縫合部)、56…縫合糸、56a…第1の糸(フィラメント糸、着色されていない糸)、56b…第2の糸。

Claims (4)

  1. 第1及び第2の基布の外周部同士が接合されることによって構成されるエアバッグ袋体であって、
    前記第1及び第2の基布は、中央部から外周部へ向けて概ね円周方向に連続する、縫合部により縫合されており、
    この縫合部は、前記エアバッグ袋体が膨張するときのバッグ内圧により、前記中央部から前記外周部へ向けて、縫合糸が順次破断されることによって分離する構成であり、
    この縫合糸は、前記バッグ内圧によって破断される第1の糸と、この第1の糸よりも破断強度が大きい第2の糸とから成り、
    この第2の糸は、前記第1の糸を前記縫合部の縫合方向へ案内する糸であることを特徴としたエアバッグ袋体。
  2. 前記第1の糸は、フィラメント糸から成ることを特徴とした請求項1記載のエアバッグ袋体。
  3. 前記第1の糸は、着色されていない糸から成ることを特徴とした請求項1記載のエアバッグ袋体。
  4. 前記第1の糸は、破断荷重が60Nを超えない糸から成る、ことを特徴とした請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ袋体。
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