JP2010065842A - 車輪用軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

車輪用軸受装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼製の軸受と軽合金製のナックルとの組み合せによってナックルに電食が発生するのを防止すると共に、耐食性と防錆性能に優れた電食防止皮膜を備えた車輪用軸受装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】外方部材19の車体取付フランジの側面21と、この側面21からインナー側の軸方向に延びる外周面22にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜23が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜23の下地処理として亜鉛メッキ皮膜が形成され、当該電気絶縁性皮膜23の膜厚が10〜55μmの範囲に設定されているので、塗料の付着性が向上するだけでなく、耐食性、防錆性能に優れ、外方部材が長期間に亘って発錆するのを防止することができると共に、鋼製の外方部材19とアルミ合金製のナックルKとの組み合せによってナックルKに電食が発生するのを防止し、信頼性を向上させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、懸架装置を構成するナックルがアルミ合金等の軽合金からなり、このナックルに嵌合される外方部材との間に生じる電位差によって電食を起こすのを防止した車輪用軸受装置およびその製造方法に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置において、最近、車両の軽量化を狙って、懸架装置を構成するナックル(図示せず)にアルミ合金やマグネシウム合金等の軽合金が使用される場合が増えてきている。一方、ナックルに嵌合される軸受は、所望の強度および転がり疲労寿命を確保するため、軸受鋼や浸炭鋼、あるいは高炭素鋼等で形成されている。このナックルを従来の鋼製からアルミ合金製のものに変更することによりバネ下重量の大幅な軽減ができるが、これには厄介な問題が内在している。すなわち、軸受とナックルが、お互い接触させた状態で2種の金属が腐食環境にさらされた場合、電位差の低い方の金属(この場合、アルミ合金製のナックル)はアノード(陽極)となって早期に腐食を起こす。こうした異種金属の組み合せによる腐食、所謂、ガルバニック腐食によって、ナックルは早期に電食を起こし、耐久性が著しく低下する。
さらに、このような鋼製の軸受と軽合金製のナックルとが接触する部分に、導電性を有する液体(電解質の水溶液)が付着すると、この導電性を有する液体が電解液となって車輪用軸受装置の周囲に電池が形成され、一層、電食を誘発して好ましくない。こうした問題を解決したものとして、図6に示す車輪用軸受装置が知られている。この車輪用軸受装置は、ハブ輪51と、このハブ輪51に圧入され、ナックル52に対してハブ輪51を回転自在に支承する車輪用軸受53とを主たる構成としている。ハブ輪51は、アウター側の端部に車輪WおよびブレーキロータRを取り付けるための車輪取付フランジ54と、この車輪取付フランジ54から軸方向に延びる円筒状の小径段部55が形成されている。車輪取付フランジ54には車輪WおよびブレーキロータRを締結するハブボルト54aが周方向等配に植設されている。また、ハブ輪51の内周面にはトルク伝達用のセレーション56が形成されると共に、小径段部55の外周面には車輪用軸受53が圧入されている。
車輪用軸受53は、等速自在継手57を構成する外側継手部材58の肩部59とハブ輪51とで挟持された状態で固定されている。外側継手部材58は、肩部59から軸方向に延びるステム部60が一体に形成され、このステム部60の外周には、ハブ輪51のセレーション56に係合するセレーション60aとねじ部60bが形成されている。そして、このねじ部60bに固定ナット61が所定の締付トルクで締結され、ハブ輪51と外側継手部材58が着脱可能に連結されると共に、エンジンからのトルクが図示しないドライブシャフトおよび等速自在継手57、およびこのステム部60のセレーション60aを介してハブ輪51に伝達される。
車輪用軸受53は、外周にアルミ合金製のナックル52に固定される車体取付フランジ62bを一体に有し、内周に複列の外側転走面62a、62aが形成された外方部材62と、外周に複列の外側転走面62a、62aに対向する内側転走面51a、63aが形成されたハブ輪51と内輪63とからなる内方部材65と、これらの両転走面62a、51aおよび62a、63a間に転動自在に収容された複列のボール64、64とを備えている。
ナックル52との接触面となる外方部材62の外径面部分および車体取付フランジ62bの側面に、6価クロムフリークロメイトからなる電食防止皮膜66が形成されている。この電食防止皮膜66により、電食の発生が抑制され、かつ環境に対する有害物質を含まない表面処理からなる車輪用軸受53を提供することができる。
特開2005−180482号公報
然しながら、こうした従来の車輪用軸受装置は、電食の発生が抑制され、かつ表面処理自体が環境に対する有害物質を含まないという特徴を備えているが、6価クロムフリークロメイトからなる電食防止皮膜66は、耐食性や防錆性能の面で課題があり、長期間に亘って信頼性を確保できる電食防止皮膜が望まれていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、鋼製の軸受と軽合金製のナックルとの組み合せによってナックルに電食が発生するのを防止すると共に、耐食性と防錆性能に優れた電食防止皮膜を備えた車輪用軸受装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、軽合金製のナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材の少なくとも前記ナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛系皮膜が形成されている。
このように、軽合金製のナックルに内嵌され、車輪を回転自在に支承する第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置において、外方部材の少なくともナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛系皮膜が形成されているので、鋼製の外方部材とアルミ合金製のナックルとの組み合せによってナックルに電食が発生するのを防止すると共に、付着性を向上させて信頼性を高めた車輪用軸受装置を提供することができる。
また、請求項2の発明のように、前記電気絶縁性皮膜の下地処理としてリン酸亜鉛皮膜が形成されていても良いし、また、請求項3の発明のように、前記電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛メッキ皮膜が形成されていても良い。また、請求項4の発明のように、前記電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛−ニッケル合金皮膜が形成されていても良い。これらの亜鉛メッキ皮膜および亜鉛−ニッケル合金皮膜はリン酸亜鉛皮膜に比べ、耐食性、防錆性能に優れている。
また、請求項5の発明のように、前記電気絶縁性皮膜の膜厚が10〜55μmの範囲に設定されていれば、絶縁性皮膜層としての機能を充分発揮できると共に、ナックルの内径との嵌合すきまを適正に確保することができ、車両の補修時にナックルから容易に外方部材を取り出すことができ、作業性を向上させると共に、絶縁性皮膜層自体の損傷を防止することができる。
また、本発明のうち請求項6に記載の方法発明は、軽合金製のナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置の製造方法において、前記外方部材の少なくとも前記ナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛系皮膜が形成されると共に、前記カチオン電着塗装の塗料の焼付が140〜165℃で略10〜30分保持されることにより当該電気絶縁性皮膜が形成されている。
また、請求項7の発明のように、前記カチオン電着塗装が前記外方部材の熱処理後に行われ、当該外方部材の内周部のみを空冷することによって内部温度が140℃以下に保持されていれば、塗料の焼付時に外側転走面の硬度低下や組織変化が生じるのを抑制することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、軽合金製のナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材の少なくとも前記ナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛系皮膜が形成されているので、鋼製の外方部材とアルミ合金製のナックルとの組み合せによってナックルに電食が発生するのを防止すると共に、付着性を向上させて信頼性を高めた車輪用軸受装置を提供することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置周りを示す縦断面図である。 図1の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第4の実施形態を示す縦断面図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
外周に軽合金製のナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材の少なくとも前記ナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛メッキ皮膜が形成され、当該電気絶縁性皮膜の膜厚が10〜55μmの範囲に設定されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置周りを示す縦断面図、図2は、図1の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は、内方部材1と外方部材2と複列の転動体(ボール)3、3とを備えている。内方部材1は、アウター側の端部に車輪取付フランジ6を一体に有するハブ輪4と別体の内輪5とからなる。車輪取付フランジ6の周方向等配にはハブボルト6aが植設され、ブレーキロータRを介して車輪Wが取り付けられている。外方部材2は、外周に車体取付フランジ2bを一体に有し、アルミ合金製のナックルKに内嵌されると共に、固定ボルト7を介して取り付けられている。
等速自在継手8は、外側継手部材9と、図示しない継手内輪、ケージおよびトルク伝達ボールとからなる。外側継手部材9は、カップ状のマウス部10と、このマウス部10から底部となる肩部11、およびこの肩部11から軸方向に延びるステム部12が一体に形成されている。ステム部12の外周にはセレーション(またはスプライン)12aと、このセレーション12aの端部に雄ねじ12bが形成されている。そして、内輪5の端面を外側継手部材9の肩部11に衝合させた状態で、固定ナット13によって内方部材1と外側継手部材9が着脱自在に結合されている。ここでは、固定ナット13の締付トルクを所定値に規制することにより、所望の軸受予圧に管理されている。
この車輪用軸受装置は第3世代と呼称される駆動輪用であって、図2に拡大して示すように、ハブ輪4は、外周に一方(アウター側)の内側転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に延びる円筒状の小径段部4bが形成され、内周にセレーション(またはスプライン)4cが形成されている。内輪5は、外周に他方(インナー側)の内側転走面5aが形成され、ハブ輪4の小径段部4bに所定のシメシロを介して圧入されている。
ハブ輪4はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。また、内輪5および転動体3はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材2は、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成され、ハブ輪4の内側転走面4aと内輪5の内側転走面5aにそれぞれ対向している。これら両転走面間に複列の転動体3、3が収容され、保持器14、14によって転動自在に保持されている。
外方部材2はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、外方部材2と内方部材1との間に形成される環状空間の開口部にはシール15、16が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。なお、ここでは、転動体3をボールとした複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受で構成されていても良い。
ここで、外方部材2は、外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜17(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。これにより、鋼製の外方部材2とアルミ合金製のナックルKとの組み合せによってナックルKに電食が発生するのを防止することができる。
さらに、外方部材2の外周面で、電気絶縁性皮膜17が形成されたインナー側の端部の外周面が研削加工によって円筒面からなる支持面2cが形成されている。これにより、外方部材2における複列の外側転走面2a、2aを研削加工する際に、図示しないシューと外方部材との摺接によって電気絶縁性皮膜17が剥がれ落ちることなく、ナックルKと外方部材2との間で良好な絶縁性が得られる。
本実施形態では、カチオン電着塗装の下地処理(前処理)としてリン酸亜鉛処理が施されている。このリン酸亜鉛処理により素材となる鋼材の表面が化学反応で粗面化されるため、塗料の食い付きが良くなって付着性が向上する。さらに、リン酸亜鉛処理の後にシーラー処理が施されていても良い。このシーラーは、一種の金属表面処理剤であり、例えば、30秒〜2分程度の短時間の浸漬、あるいは、スプレー処理を行うことにより、化成皮膜を形成することができる、所謂化成処理で、優れた塗膜密着性が確保できると共に、素材の保護皮膜が形成でき、強固な防錆機能と導電性を発揮することができる。換言すると、カチオン電着塗装の下地処理としてリン酸亜鉛処理が施されると共に、その上にシーラー処理が施されることによってリン酸亜鉛皮膜の微細な表面の平滑化により塗料電着時の空気の巻き込みを防止することができる。空気の巻き込みがあると、塗膜にクレータ(凹凸等の不均一な表面)等の表面欠陥が生じることがあり好ましくない。
また、電気絶縁性皮膜17の膜厚は、下地処理となるリン酸亜鉛の膜厚とカチオン電着塗装の膜厚が加算されたものとなるが、この膜厚が10〜55μmの範囲に設定されている。膜厚が10μm未満と薄くなると絶縁性皮膜層としての機能を充分発揮できない。また、膜厚が55μmを超えると、ナックルKの内径との嵌合すきまが小さくなり、車両の補修時にナックルKから外方部材2を取り出すことが難しくなって作業性が低下するだけでなく、電気絶縁性皮膜17自体が損傷する恐れがある。
カチオン電着塗装は、塗料の電着後に焼付工程が必要になるが、この焼付条件としては、140〜165℃で略10〜30分(これは物温保持時間であり、物温が当該温度に達するまでの昇温状態も含めると、40〜90分の保持時間)が好適である。また、このカチオン電着塗装は、外方部材2の熱処理(高周波焼入れ、焼戻し)後に行われるが、塗料の焼付時に外側転走面2a、2aの硬度低下や組織変化が生じないようにするため、外方部材2の内周部のみを空冷することによって外方部材2の内部温度が140℃以下に保持されている。
このように、本実施形態では、外方部材2の外周面に電気絶縁性皮膜17が形成されると共に、カチオン電着塗装の下地処理としてリン酸亜鉛処理が施されているので、塗料の付着性が向上し、電気絶縁性皮膜17が剥がれ落ちることなくナックルKと外方部材2との間で良好な絶縁性が得られ、また、外方部材2が長期間に亘って発錆するのを防止することができる。したがって、鋼製の外方部材2とアルミ合金製のナックルKとの組み合せによってナックルKに電食が発生するのを防止すると共に、付着性を向上させて信頼性を高めた車輪用軸受装置を提供することができる。
図3は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は第3世代と呼称される従動輪用であって、内方部材18と外方部材19と複列の転動体3、3とを備えている。内方部材18は、ハブ輪20と、このハブ輪20に圧入された内輪5とからなる。
ハブ輪20は、アウター側の端部に車輪取付フランジ6を一体に有し、外周にアウター側の内側転走面4aと、この内側転走面4aから軸方向に延びる小径段部4bが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト(図示せず)が固定されるボルト孔6cが周方向等配に形成されると共に、これらボルト孔6c間には円孔6dが形成されている。この円孔6dは軽量化に寄与できるだけでなく、装置の組立・分解工程において、レンチ等の締結治具をこの円孔6dから挿入することができ作業を簡便化することができる。
内輪5は、ハブ輪20の小径段部4bに所定のシメシロを介して圧入され、小径段部4bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部20aによって所定の軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。
ハブ輪20はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、内側転走面4aをはじめ、車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部4bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部20aは鍛造加工後の表面硬さの生のままとされている。これにより、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、内輪5の嵌合部となる小径段部4bの耐フレッティング性が向上すると共に、加締加工時に微小なクラック等の発生がなく加締部20aの塑性加工をスムーズに行うことができる。
外方部材19はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、外周に車体取付フランジ2bを有し、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成されている。そして、内方部材18との転走面間に複列の転動体3、3が収容され、保持器14、14によって転動自在に保持されている。
ここで、外方部材19は、少なくともナックルKに当接する外周面、すなわち、車体取付フランジ2bの側面21と、この側面21からインナー側の軸方向に延びる外周面22に、カチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜23(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。そして、前述した実施形態と同様、電気絶縁性皮膜23の膜厚が10〜55μmの範囲に設定されている。
本実施形態では、カチオン電着塗装の下地処理として亜鉛メッキ処理が施されている。この亜鉛メッキ処理は、自己犠牲作用により亜鉛が溶解して素材の腐食を抑制する効果があるため、塗料の付着性が向上するだけでなく、リン酸亜鉛処理に比べ、耐食性、防錆性能に優れている。さらに、ここで、亜鉛メッキ処理の後にシーラー処理が施されていても良い。これによって亜鉛メッキ皮膜の表面粗さを電着塗料が食い付き易いように適正化させることができ、外方部材19が長期間に亘って発錆するのを防止することができると共に、鋼製の外方部材19とアルミ合金製のナックルKとの組み合せによってナックルKに電食が発生するのを防止し、信頼性を一層向上させることができる。
なお、下地処理としては亜鉛メッキ処理以外にも、例えば、亜鉛−ニッケル合金メッキを例示することができる。この亜鉛−ニッケル合金メッキは、電気絶縁性の高い腐食生成物による保護作用とマイクロクラックの腐食電流の分散効果による腐食速度の緩和があり、皮膜の防食効果を高めるため亜鉛メッキよりもさらに耐食性に優れている。さらに、耐食性を期待する場合には、亜鉛メッキや亜鉛−ニッケル合金メッキ処理後にクロメート処理を施すと良い。これにより、亜鉛の腐食(白錆)を抑制することが可能となる。なお、クロメート処理とは、クロム酸または重クロム酸塩を主成分とする溶液中に対象とする金属を浸漬し、化学的に防錆皮膜を生成させる化成処理である。
また、本実施形態では、カチオン電着塗装の色相は一般的な黒色に設定されているが、例えば、クリア色、白色、灰色等に変更することにより、類似した型番との識別を明確にして誤組を防止することもできる。
図4は、本発明に係る車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は、前述した第1の実施形態(図2)と基本的には軸受部の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は第2世代と呼称される駆動輪用であって、ハブ輪24と、このハブ輪24に固定された車輪用軸受25とからなる。車輪用軸受25は、外方部材26と、一対の内輪5、5、および両部材26、5間に転動自在に収容された複列の転動体3、3を備えている。また、外方部材26と内輪5との間に形成される環状空間の開口部にはシール16、16が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ハブ輪24はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、アウター側の端部に車輪取付フランジ6を一体に有し、この車輪取付フランジ6から軸方向に延びる円筒状の小径段部24aが形成されている。そして、車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部24aに亙って高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材26はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、外周に車体取付フランジ2bを一体に有し、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成されている。
本実施形態では、外方部材26は、ナックル(図示せず)に当接する外周面、すなわち、車体取付フランジ2bのインナー側の側面27と、この側面27からインナー側の端部に亙る外周面28、および車体取付フランジ2bの外周面29にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜17(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。これにより、鋼製の外方部材26とアルミ合金製のナックルとの組み合せによってナックルに電食が発生するのを防止することができる。
図5は、本発明に係る車輪用軸受装置の第4の実施形態を示す縦断面図である。なお、本実施形態は、前述した第3の実施形態と基本的には軸受部の構成が異なるのみで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部品や部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は第1世代と呼称される駆動輪用であって、ハブ輪24と、このハブ輪24に圧入固定された車輪用軸受30とからなる。車輪用軸受30は、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成された円筒状の外方部材31と、一対の内輪5、5、および両部材31、5間に転動自在に収容された複列の転動体3、3を備えている。外方部材31はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
本実施形態において、外方部材31は、ナックル(図示せず)に当接する外周面31aにカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜17(図中クロスハッチングにて示す)が形成されている。これにより、鋼製の外方部材31とアルミ合金製のナックルとの組み合せによってナックルに電食が発生するのを防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、アルミ合金等の軽合金からなるナックルに支持固定される第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
1、18 内方部材
2、19、26、31 外方部材
2a 外側転走面
2b 車体取付フランジ
2c 支持面
3 転動体
4、20、24 ハブ輪
4a、5a 内側転走面
4b、24a 小径段部
4c、12a セレーション
5 内輪
6 車輪取付フランジ
6a ハブボルト
6b 基部
6c ボルト孔
6d 円孔
7 固定ボルト
8 等速自在継手
9 外側継手部材
10 マウス部
11 肩部
12 ステム部
12b 雄ねじ
13 固定ナット
14 保持器
15、16 シール
17、23 電気絶縁性皮膜
21、27 車体取付フランジのインナー側の側面
22、28 外方部材のインナー側の外周面
25、30 車輪用軸受
29 車体取付フランジの外周面
51 ハブ輪
51a、63a 内側転走面
52 ナックル
53 車輪用軸受
54 車輪取付フランジ
55 小径段部
56、60a セレーション
57 等速自在継手
58 外側継手部材
59 肩部
60 ステム部
60b ねじ部
61 固定ナット
62 外方部材
62a 外側転走面
62b 車体取付フランジ
63 内輪
64 ボール
65 内方部材
66 電食防止皮膜
K ナックル
R ブレーキロータ
W 車輪

Claims (7)

  1. 軽合金製のナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、
    前記外方部材の少なくとも前記ナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛系皮膜が形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記電気絶縁性皮膜の下地処理としてリン酸亜鉛皮膜が形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛メッキ皮膜が形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛−ニッケル合金皮膜が形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記電気絶縁性皮膜の膜厚が10〜55μmの範囲に設定されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
  6. 軽合金製のナックルに内嵌され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置の製造方法において、
    前記外方部材の少なくとも前記ナックルと当接する外周面にカチオン電着塗装によって電気絶縁性皮膜が形成されると共に、この電気絶縁性皮膜の下地処理として亜鉛系皮膜が形成されると共に、前記カチオン電着塗装の塗料の焼付が140〜165℃で略10分保持されることにより当該電気絶縁性皮膜が形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  7. 前記カチオン電着塗装が前記外方部材の熱処理後に行われ、当該外方部材の内周部のみを空冷することによって内部温度が140℃以下に保持されている請求項6に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
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