JP2010064612A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動パワーステアリング装置において、ウォームギヤ等をギヤハウジングに組付けた状態で、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いのバックラッシュを簡易に調整すること。
【解決手段】電動パワーステアリング装置10において、ピニオン軸及びウォームホイール38の回転中心軸Cまわりで、該回転中心軸Cを挟むウォームギヤ37の反対側に、第1ギヤハウジングに対する第2ギヤハウジング11Bの揺動支軸51を設け、第2ギヤハウジング11Bを揺動支軸51まわりに揺動させてウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュを調整可能にするもの。
【選択図】図3

Description

本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置では、ステアリング軸にトーションバーを介して連結されるピニオン軸をギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸に噛合うラック軸をギヤハウジングに直線動可能に支持し、電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支している。電動モータは、運転者がステアリング軸に加えた操舵トルクに応じた操舵アシストトルクを、ウォームギヤとウォームホイールの噛合い、ピニオン軸とラック軸の噛合いを介してラック軸に付与するものである。
このような電動パワーステアリング装置では、ピニオン軸とラック軸の噛合いのバックラッシュをなくし、バックラッシュによる転舵時の歯打ち音をなくす必要がある。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、ウォームギヤをギヤハウジングに枢支している軸受に板ばねを外嵌し、この板ばねのばね力によりウォームギヤをウォームホイールの側に押し付け、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いのバックラッシュを少なくすることとしている。
特許文献2に記載の電動パワーステアリング装置では、ウォームギヤをギヤハウジングに枢支している軸受に偏心ブッシュを外嵌し、この偏心ブッシュをギヤハウジングに対して回転し、ウォームギヤのウォームホイールに対する位置を偏心ブッシュの偏心量の範囲で調整し、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いのバックラッシュを調整することとしている。
特許文献3に記載の電動パワーステアリング装置では、ウォームホイール及びピニオン軸を枢支する第1ギヤハウジングと、ウォームギヤを枢支する第2ギヤハウジングとを異なるものにし、ピニオン軸及びウォームホイールの回転中心軸まわりで、ウォームギヤを挟む該回転中心軸の反対側に、第1ギヤハウジングに対する第2ギヤハウジングの揺動支軸を設け、第2ギヤハウジングを揺動支軸まわりに揺動させてウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュを調整することとしている。
特開2004-203154 特表2001-514122 特開2001-271890
特許文献1に記載のウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュ調整方法では、板ばねのばね力の劣化によりバックラッシュ除去量が経時変化したり、ウォームギヤをギヤハウジングに組付けた後にバックラッシュ除去量を外部から調整することができない。
特許文献2に記載のウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュ調整方法では、ウォームギヤのウォームホイールに対する位置を偏心ブッシュの偏心量の範囲で調整し、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いのバックラッシュを調整するものであり、偏心ブッシュの偏心量を大きくすることには限界があることから、偏心ブッシュを小回転角度だけ回転操作することにより、大きなバックラッシュ除去量を得ることに困難がある。
特許文献3に記載のウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュ調整方法では、ピニオン軸及びウォームホイールの回転中心軸まわりで、ウォームギヤを挟む該回転中心軸の反対側に、第1ギヤハウジングに対する第2ギヤハウジングの揺動支軸を設けるものであるため、揺動支軸からウォームギヤまでの距離が短く、第1ギヤハウジングに対して第2ギヤハウジングを単位の揺動角度だけ揺動したときのウォームギヤの揺動変位量を大きくとることができない。このため、第1ギヤハウジングに対して第2ギヤハウジングを小揺動角度だけ揺動操作することにより、大きなバックラッシュ除去量を得ることに困難がある。
本発明の課題は、電動パワーステアリング装置において、ウォームギヤ等をギヤハウジングに組付けた状態で、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いのバックラッシュを簡易に調整することにある。
請求項1の発明は、ステアリング軸にトーションバーを介して連結されるピニオン軸をギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸に噛合うラック軸をギヤハウジングに直線動可能に支持し、電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支してなる電動パワーステアリング装置において、前記ギヤハウジングが、第1ギヤハウジングと、第1ギヤハウジングの上面に固定される第2ギヤハウジングに分割され、ウォームホイールが固定されているピニオン軸を第1ギヤハウジングに枢支し、ウォームギヤを第2ギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸及びウォームホイールの回転中心軸まわりで、該回転中心軸を挟むウォームギヤの反対側に、第1ギヤハウジングに対する第2ギヤハウジングの揺動支軸を設け、第2ギヤハウジングを揺動支軸まわりに揺動させてウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュを調整可能にするようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記揺動支軸が、第1ギヤハウジングに第2ギヤハウジングを固定する複数のボルトのうちの1つのボルトにより構成されるようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、前記揺動支軸を構成するボルト以外のボルトが、第2ギヤハウジングに設けた円弧状長孔に挿通されるようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、前記第2ギヤハウジングに2個以上の円弧状長孔を設け、各円弧状長孔は揺動支軸まわりの半径方向位置、及び周方向位置を互いに異ならせてなるようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項3の発明において更に、前記揺動支軸を2個以上設け、各揺動支軸に対応する各別の円弧状長孔を設けてなるようにしたものである。
(請求項1)
(a)ピニオン軸及びウォームホイールの回転中心軸まわりで、該回転中心軸を挟むウォームギヤの反対側に、第1ギヤハウジングに対する第2ギヤハウジングの揺動支軸を設けるものであるため、揺動支軸からウォームギヤまでの距離が長く、第1ギヤハウジングに対して第2ギヤハウジングを単位の揺動角度だけ揺動したときのウォームギヤの揺動変位量を大きくとることができる。このため、ウォームホイールが固定されているピニオン軸を第1ギヤハウジングに枢支し、ウォームギヤを第2ギヤハウジングに枢支する状態で、第1ギヤハウジングに対して第2ギヤハウジングを小揺動角度だけ揺動操作するだけで、大きなバックラッシュ除去量を得ることができる。従って、ウォームギヤ等をギヤハウジングに組付けた状態で、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いのバックラッシュを簡易に調整できる。ウォームギヤとウォームホイールの噛合い面の磨耗等に起因するそれらの噛合いのバックラッシュを簡易に再調整することもできる。
(請求項2)
(b)第1ギヤハウジングに第2ギヤハウジングを固定する複数のボルトのうちの1つのボルトを揺動支軸とすることで、固定ボルトを揺動支軸に兼用できる。
(請求項3)
(c)揺動支軸を構成するボルト以外のボルトが、第2ギヤハウジングに設けた円弧状長孔に挿通される。従って、各ボルトを第1ギヤハウジングに螺着した状態で、第1ギヤハウジングに対して第2ギヤハウジングを揺動操作できる。
(請求項4)
(d)第2ギヤハウジングに2個以上の円弧状長孔を設け、各円弧状長孔は揺動支軸まわりの半径方向位置、及び周方向位置を互いに異ならせる。従って、揺動支軸まわりにおける1つの円弧状長孔の長孔範囲だけ第2ギヤハウジングを揺動操作し切った後に、更なるバックラッシュ除去量を得たいときに、当該揺動支軸まわりにおける円弧状長孔の長孔範囲で第2ギヤハウジングを揺動操作できる。揺動支軸まわりで、それらの円弧状長孔の半径方向位置を異ならせ、周方向位置を一部重ねてその余を異ならせることにより、それら円弧状長孔をコンパクトに形成できる。
(請求項5)
(e)揺動支軸を2個以上設け、各揺動支軸に対応する各別の円弧状長孔を設ける。従って、1つの揺動支軸まわりに対応する円弧状長孔の長孔範囲だけ第2ギヤハウジングを揺動操作し切った後に、更なるバックラッシュ除去量を得たいときに、他の揺動支軸まわりに対応する円弧状長孔の長孔範囲だけ第2ギヤハウジングを揺動操作できる。揺動支軸の変更により、第2ギヤハウジングの揺動方向が変わり、より一層大きなバックラッシュ除去量を得ることができる。
図1は電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4は本発明の変形例を示す断面図、図5は本発明の変形例を示す断面図である。
電動パワーステアリング装置10は、図1、図2に示す如く、不図示のブラケットにより車体フレーム等に固定されるギヤハウジング11を有する。そして、ステアリングホイールが結合されるステアリング軸12にトーションバー13を介してピニオン軸14を同軸上に連結し、このピニオン軸14にピニオン15を設け、このピニオン15に噛合うラック16Aを備えたラック軸16をギヤハウジング11に左右直線動可能に支持している。ステアリング軸12とピニオン軸14の間には、操舵トルク検出装置17を設けてある。尚、ステアリング軸12とピニオン軸14は軸受12A、14A、14Bを介してギヤハウジング11に支持される。
操舵トルク検出装置17は、図2に示す如く、ステアリング軸12、ピニオン軸14に係合している円筒状のコア17Cを囲む2個の検出コイル17A、17Bをギヤハウジング11に設けている。コア17Cは、ピニオン軸14のガイドピン17Dに係合する縦溝17Eを備えて軸方向にのみ移動可能とされるとともに、ステアリング軸12のスライダピン17Fに係合するスパイラル溝17Gを備える。これにより、運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクがステアリング軸12に付与され、トーションバー13の弾性ねじり変形により、ステアリング軸12とピニオン軸14の間に回転方向の相対変位を生ずると、ステアリング軸12とピニオン軸14の回転方向の変位がコア17Cを軸方向に変位させるものとなり、このコア17Cの変位による検出コイル17A、17Bの周辺の磁気的変化に起因する検出コイル17A、17Bのインダクタンスが変化する。即ち、コア17Cがステアリング軸12側へ移動すると、コア17Cが近づく方の検出コイル17Aのインダクタンスが増加し、コア17Cが遠ざかる方の検出コイル17Bのインダクタンスが減少し、このインダクタンスの変化により操舵トルクを検出できる。
ギヤハウジング11内でラック軸16の一端を挟んでピニオン15と相対する部分に設けられているシリンダ部18には、図2に示す如く、ラックガイド19が内蔵され、ラックガイド19(ブッシュ19A)はシリンダ部18に被着されるキャップ20により背面支持されるばね21によりラック軸16の側に弾発され、ラック軸16のラック16Aをピニオン15に押し付けるとともに、ラック軸16の一端を摺動自在に支持する。尚、ラック軸16の他端側は軸受22により支持される。また、ラック軸16の中間部には連結ボルト22A、22Bにより左右のタイロッド23A、23Bが連結される。
ギヤハウジング11には、図3に示す如く、電動モータ30のモータケース31が取付けられる。電動モータ30側の出力軸32には駆動軸33がスプライン結合され、駆動軸33は軸受34、35によりギヤハウジング11に両端支持される。そして、駆動軸33の中間部にウォームギヤ37を一体に備え、このウォームギヤ37に噛合うウォームホイール38をピニオン軸14の中間部に固定してある。電動モータ30の発生トルクは、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合い、ピニオン15とラック16Aの噛合いを介してラック軸16に操舵アシストトルクとなって付与され、運転者がステアリング軸12に付与する操舵トルクをアシストする。
しかるに、電動パワーステアリング装置10にあっては、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合いのバックラッシュを簡易に調整するため、以下の構成を具備する。
ギヤハウジング11を第1〜第3のギヤハウジング11A〜11Cに分割する。ステアリング軸12及びピニオン軸14の軸方向に沿って、第1〜第3のギヤハウジング11A〜11Cを積層する。第1ギヤハウジング11Aに螺着されるボルト41により第1ギヤハウジング11Aの上面に第2ギヤハウジング11Bを固定し、第2ギヤハウジング11Bに螺着されるボルト42により第2ギヤハウジング11Bの上面に第3ギヤハウジング11Cを固定する。電動モータ30のモータケース31はボルト43により、第2ギヤハウジング11Bに固定される。
ウォームホイール38が固定されているピニオン軸14を軸受14A、14Bにより第1ギヤハウジング11Aに枢支し、ウォームギヤ37の駆動軸33を軸受34、35により第2ギヤハウジング11Bに枢支する。尚、ピニオン軸14の同軸上に連結されているステアリング軸12は軸受12Aにより第3ギヤハウジング11Cに枢支される。また、ラック軸16はラックガイド19及び軸受22により第1ギヤハウジング11Aに直線動可能に支持される。
ピニオン軸14及びウォームホイール38の回転中心軸Cまわりで、該回転中心軸Cを挟むウォームギヤ37の反対側に、第1ギヤハウジング11Aに対する第2ギヤハウジング11Bの揺動支軸51を設け、第2ギヤハウジング11Bを揺動支軸51まわりに揺動させてウォームギヤ37をウォームホイール38に対して揺動変位させ、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュを調整可能にする。
本実施例では、揺動支軸51を、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定する複数のボルト41のうちの1つのボルト41Aにより構成する。揺動支軸51を構成するボルト41Aは、第2ギヤハウジング11Bに設けた丸孔51Aにがたなく挿通され、第1ギヤハウジング11Aに設けてあるねじ孔に螺着される。但し、揺動支軸51はボルト41を兼用することを必須としない。
また、揺動支軸51を構成するボルト41A以外のボルト41は、第2ギヤハウジング11Bに設けた円弧状長孔61に挿通され、第1ギヤハウジング11Aに設けてあるねじ孔に螺着される。円弧状長孔61の円弧の中心は揺動支軸51(丸孔51A)に位置せしめられる。
従って、電動パワーステアリング装置10において、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合いのバックラッシュは以下の如くに調整される。
(1)電動パワーステアリング装置10の全体を組立てた状態下で、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定しているボルト41(41A)と、第2ギヤハウジング11Bに第3ギヤハウジング11Cを固定しているボルト42を緩める。
(2)第1ギヤハウジング11Aに対し、第2ギヤハウジング11Bをボルト41Aからなる揺動支軸51まわりに揺動させる。第2ギヤハウジング11Bに枢支されているウォームギヤ37が第2ギヤハウジング11Bとともに第1ギヤハウジング11Aに対して揺動変位するものになる。これにより、ウォームギヤ37は第1ギヤハウジング11Aに枢支されているウォームホイール38に対し揺動変位し、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュが調整される。
(3)ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュを調整した後、ボルト41(41A)を用いて、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定する。これにより、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュ調整後の相対位置が固定化される。
(4)ボルト42を用いて、第2ギヤハウジング11Bに第3ギヤハウジング11Cを固定する。これにより、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bと第3ギヤハウジング11Cの3者を固定化し、第3ギヤハウジング11Cに枢支されるステアリング軸12と第1ギヤハウジング11Aに枢支されるピニオン軸14が同軸上にセットされる。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ピニオン軸14及びウォームホイール38の回転中心軸Cまわりで、該回転中心軸Cを挟むウォームギヤ37の反対側に、第1ギヤハウジング11Aに対する第2ギヤハウジング11Bの揺動支軸51を設けるものであるため、揺動支軸51からウォームギヤ37までの距離が長く、第1ギヤハウジング11Aに対して第2ギヤハウジング11Bを単位の揺動角度だけ揺動したときのウォームギヤ37の揺動変位量を大きくとることができる。このため、ウォームホイール38が固定されているピニオン軸14を第1ギヤハウジング11Aに枢支し、ウォームギヤ37を第2ギヤハウジング11Bに枢支する状態で、第1ギヤハウジング11Aに対して第2ギヤハウジング11Bを小揺動角度だけ揺動操作するだけで、大きなバックラッシュ除去量を得ることができる。従って、ウォームギヤ37等をギヤハウジング11に組付けた状態で、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合いのバックラッシュを簡易に調整できる。ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合い面の磨耗等に起因するそれらの噛合いのバックラッシュを簡易に再調整することもできる。
(b)第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定する複数のボルト41のうちの1つのボルト41Aを揺動支軸51とすることで、固定ボルト41を揺動支軸51に兼用できる。
(c)揺動支軸51を構成するボルト41A以外のボルト41が、第2ギヤハウジング11Bに設けた円弧状長孔61に挿通される。従って、各ボルト41を第1ギヤハウジング11Aに螺着した状態で、第1ギヤハウジング11Aに対して第2ギヤハウジング11Bを揺動操作できる。
図4に示す変形例が図3の実施例と異なる点は、第2ギヤハウジング11Bに2個の円弧状長孔61、62を設け、各円弧状長孔61、62は揺動支軸51まわりの半径方向位置、及び周方向位置を互いに異ならせる。本実施例では、揺動支軸51まわりで、各円弧状長孔61、62の周方向位置(周方向角度位置)を一部重ねてその余を異ならせている。
揺動支軸51を構成するボルト41A以外のボルト41は、第2ギヤハウジング11Bに設けた円弧状長孔61と62のいずれかに選択的に挿通され、それらの円弧状長孔61、62に対応するように第1ギヤハウジング11Aに設けてある2個のねじ孔のいずれかに螺着される。円弧状長孔61と62の円弧の中心は揺動支軸51(丸孔51A)に位置せしめられる。
従って、電動パワーステアリング装置10において、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合いのバックラッシュは以下の如くに調整される。
(1)電動パワーステアリング装置10の全体を組立てた状態下で、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定しているボルト41(41A)と、第2ギヤハウジング11Bに第3ギヤハウジング11Cを固定しているボルト42を緩める。
(2)第1ギヤハウジング11Aに対し、第2ギヤハウジング11Bをボルト41Aからなる揺動支軸51まわりに円弧状長孔61の長孔範囲で揺動させる。第2ギヤハウジング11Bに枢支されているウォームギヤ37が第2ギヤハウジング11Bとともに第1ギヤハウジング11Aに対して揺動変位するものになる。これにより、ウォームギヤ37は第1ギヤハウジング11Aに枢支されているウォームホイール38に対し揺動変位し、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュが調整される。
(3)上述(2)によるバックラッシュの調整量が不足する場合には、第1ギヤハウジング11Aに対し、第2ギヤハウジング11Bをボルト41Aからなる揺動支軸51まわりに円弧状長孔62の長孔範囲で更に揺動させる。第2ギヤハウジング11Bに枢支されているウォームギヤ37が第2ギヤハウジング11Bとともに第1ギヤハウジング11Aに対して更に揺動変位するものになる。これにより、ウォームギヤ37は第1ギヤハウジング11Aに枢支されているウォームホイール38に対し更に揺動変位し、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュが一層調整される。
(4)ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュを調整した後、ボルト41(41A)を用いて、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定する。これにより、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュ調整後の相対位置が固定化される。
(5)ボルト42を用いて、第2ギヤハウジング11Bに第3ギヤハウジング11Cを固定する。これにより、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bと第3ギヤハウジング11Cの3者を固定化し、第3ギヤハウジング11Cに枢支されるステアリング軸12と第1ギヤハウジング11Aに枢支されるピニオン軸14が同軸上にセットされる。
尚、第1ギヤハウジング11Aの1つのねじ孔に螺着されるボルト41が円弧状長孔61の長孔範囲の中央に位置する第2ギヤハウジング11Bの標準取付状態(図4)で、第1ギヤハウジング11Aの他のねじ孔に螺着されるボルト41が円弧状長孔62の長孔範囲の円弧状長孔61寄りの端部に位置するように設定することができる(図4)。これによれば、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bの組立て際し、第1ギヤハウジング11Aの他のねじ孔に螺着されるボルト41を円弧状長孔62の長孔範囲の上述の端部に押当てれば、第2ギヤハウジング11Bを直ちに上述の標準取付状態にセットできる。
本変形例によれば、揺動支軸51まわりにおける1つの円弧状長孔61の長孔範囲だけ第2ギヤハウジング11Bを揺動操作し切った後に、更なるバックラッシュ除去量を得たいときに、当該揺動支軸51まわりにおける他の円弧状長孔62の長孔範囲で第2ギヤハウジング11Bを揺動操作できる。揺動支軸51まわりで、それらの円弧状長孔61、62の半径方向位置を異ならせ、周方向位置を一部重ねてその余を異ならせることにより、それら円弧状長孔61、62をコンパクトに形成できる。
図5に示す変形例が図3の変形例と異なる点は、2個の揺動支軸51、52を設け、各揺動支軸51、52に対応する各別の円弧状長孔61、62を第2ギヤハウジング11Bに設ける。
ボルト41Aを第2ギヤハウジング11Bに設けた丸孔51Aにガタなく挿通して第1ギヤハウジング11Aのねじ孔に螺着し、揺動支軸51を形成するとき、他のボルト41は第2ギヤハウジング11Bの円弧状長孔61に挿通されて第1ギヤハウジング11Aのねじ孔に螺着される。ボルト41Aを第2ギヤハウジング11Bに設けた丸孔52Aにガタなく挿通して第1ギヤハウジング11Aのねじ孔に螺着し、揺動支軸52を形成するとき、他のボルト41は第2ギヤハウジング11Bの円弧状長孔62に挿通されて第1ギヤハウジング11Aのねじ孔に螺着される。円弧状長孔61の円弧の中心は揺動支軸51(丸孔51A)に位置せしめられ、円弧状長孔62の円弧の中心は揺動支軸52(丸孔52A)に位置せしめられる。
従って、電動パワーステアリング装置10において、ウォームギヤ37とウォームホイール38の噛合いのバックラッシュは以下の如くに調整される。
(1)電動パワーステアリング装置10の全体を組立てた状態下で、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定しているボルト41(41A)と、第2ギヤハウジング11Bに第3ギヤハウジング11Cを固定しているボルト42を緩める。
(2)第1ギヤハウジング11Aに対し、第2ギヤハウジング11Bをボルト41Aからなる揺動支軸51まわりに円弧状長孔61の長孔範囲で揺動させる。第2ギヤハウジング11Bに枢支されているウォームギヤ37が第2ギヤハウジング11Bとともに第1ギヤハウジング11Aに対して揺動変位するものになる。これにより、ウォームギヤ37は第1ギヤハウジング11Aに枢支されているウォームホイール38に対し揺動変位し、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュが調整される。
(3)上述(2)によるバックラッシュの調整量が不足する場合には、ボルト41Aを揺動支軸51(丸孔51A)から外す。そして、第1ギヤハウジング11Aに対し、第2ギヤハウジング11Bをボルト41Aからなる新たな揺動支軸52まわりに円弧状長孔62の長孔範囲で更に揺動させる。第2ギヤハウジング11Bに枢支されているウォームギヤ37が第2ギヤハウジング11Bとともに第1ギヤハウジング11Aに対して更に揺動変位するものになる。これにより、ウォームギヤ37は第1ギヤハウジング11Aに枢支されているウォームホイール38に対し更に揺動変位し、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュが一層調整される。
(4)ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュを調整した後、ボルト41(41A)を用いて、第1ギヤハウジング11Aに第2ギヤハウジング11Bを固定する。これにより、ウォームギヤ37とウォームホイール38のバックラッシュ調整後の相対位置が固定化される。
(5)ボルト42を用いて、第2ギヤハウジング11Bに第3ギヤハウジング11Cを固定する。これにより、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bと第3ギヤハウジング11Cの3者を固定化し、第3ギヤハウジング11Cに枢支されるステアリング軸12と第1ギヤハウジング11Aに枢支されるピニオン軸14が同軸上にセットされる。
尚、第1ギヤハウジング11Aの1つのねじ孔に螺着されるボルト41が円弧状長孔61の長孔範囲の中央に位置する第2ギヤハウジング11Bの標準取付状態(図5)で、第1ギヤハウジング11Aの他のねじ孔に螺着されるボルト41が円弧状長孔62の長孔範囲の円弧状長孔61寄りの端部に位置するように設定することができる(図5)。これによれば、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bの組立てに際し、第1ギヤハウジング11Aの他のねじ孔に螺着されるボルト41を円弧状長孔62の長孔範囲の上述の端部に押当てれば、第2ギヤハウジング11Bを直ちに上述の標準取付状態にセットできる。このとき、円弧状長孔62の全体が揺動支軸52を中心とする回転半径R2上にあることは勿論であるが、円弧状長孔62の円弧状長孔61寄りの端部は揺動支軸51を中心とする回転半径R1上に設定される。
本変形例によれば、1つの揺動支軸51まわりに対応する円弧状長孔61の長孔範囲だけ第2ギヤハウジング11Bを揺動操作し切った後に、更なるバックラッシュ除去量を得たいときに、他の揺動支軸52まわりに対応する円弧状長孔62の長孔範囲だけ第2ギヤハウジング11Bを揺動操作できる。揺動支軸51、52の変更により、第2ギヤハウジング11Bの揺動方向が変わり、より一層大きなバックラッシュ除去量を得ることができる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図1は電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図である。 図2は図1のII−II線に沿う断面図である。 図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。 図4は本発明の変形例を示す断面図である。 図5は本発明の変形例を示す断面図である。
符号の説明
10 電動パワーステアリング装置
11 ギヤハウジング
11A 第1ギヤハウジング
11B 第2ギヤハウジング
12 ステアリング軸
13 トーションバー
14 ピニオン軸
16 ラック軸
30 電動モータ
32 出力軸
33 駆動軸
37 ウォームギヤ
38 ウォームホイール
41、41A ボルト
51 揺動支軸
52 揺動支軸
61 円弧状長孔
62 円弧状長孔
C 回転中心軸

Claims (5)

  1. ステアリング軸にトーションバーを介して連結されるピニオン軸をギヤハウジングに枢支し、
    ピニオン軸に噛合うラック軸をギヤハウジングに直線動可能に支持し、
    電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支してなる電動パワーステアリング装置において、
    前記ギヤハウジングが、第1ギヤハウジングと、第1ギヤハウジングの上面に固定される第2ギヤハウジングに分割され、
    ウォームホイールが固定されているピニオン軸を第1ギヤハウジングに枢支し、
    ウォームギヤを第2ギヤハウジングに枢支し、
    ピニオン軸及びウォームホイールの回転中心軸まわりで、該回転中心軸を挟むウォームギヤの反対側に、第1ギヤハウジングに対する第2ギヤハウジングの揺動支軸を設け、第2ギヤハウジングを揺動支軸まわりに揺動させてウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュを調整可能にすることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記揺動支軸が、第1ギヤハウジングに第2ギヤハウジングを固定する複数のボルトのうちの1つのボルトにより構成される請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記揺動支軸を構成するボルト以外のボルトが、第2ギヤハウジングに設けた円弧状長孔に挿通される請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記第2ギヤハウジングに2個以上の円弧状長孔を設け、各円弧状長孔は揺動支軸まわりの半径方向位置、及び周方向位置を互いに異ならせてなる請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記揺動支軸を2個以上設け、各揺動支軸に対応する各別の円弧状長孔を設けてなる請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
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