JP2010063311A - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】弱め界磁制御時、高トルク領域においてモータジェネレータの制御性が低下すること。
【解決手段】弱め界磁制御部200は、q電流操作部210とd軸電流操作部220とを備えている。q軸電流操作部210は、推定トルクTeを要求トルクTrにフィードバック制御するための操作量として指令電流iqrを設定し、実電流iqを指令電流iqrにフィードバック制御するための操作量として指令電圧vdrを設定する。一方、d軸電流操作部220では、推定トルクTeを要求トルクTrにフィードバック制御するための操作量として指令電流idrを設定し、実電流idを指令電流idrにフィードバック制御するための操作量として指令電圧vdrを設定する。q電流操作部210による制御とd軸電流操作部220による制御とは、トルクに応じて切り替えられる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、回転機の制御量をその指令値に制御すべく、前記指令値に応じて2次元座標系の指令電圧を設定し、これに基づき電力変換回路を操作する回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、例えば下記非特許文献1に見られるように、電動機のq軸上を実際に流れる電流をトルクの指令値に応じて設定されるq軸の指令電流にフィードバック制御すべく、dq軸上の指令電圧ベクトルの位相を操作するものも提案されている。これにより、電圧利用率の高い領域において、電動機の応答性の高いトルク制御が実現できるとしている。
大井、戸張、岩路、「高応答を実現する電圧位相操作型の弱め界磁制御法」、平成19年電気学会産業応用部門大会
ただし、上記のようにq軸電流を操作することでトルクを制御する場合、トルクが高くなるにつれて制御性が低下し、場合によっては制御が破綻するおそれがあることが発明者らによって見出された。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転機の制御量をその指令値により好適に制御することのできる回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、回転機の端子を直流電源の正極及び負極のそれぞれに接続するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで前記回転機の制御量を制御する回転機の制御装置において、前記回転機の磁極方向に対する直交方向成分の指令電流と前記電力変換回路の入力電圧とに基づき2次元座標系の指令電圧を設定することで、前記直交方向成分の指令電流のみに基づき前記制御量を制御する直交方向電流操作手段と、前記回転機の磁極方向成分の指令電流と前記電力変換回路の入力電圧とに基づき前記2次元座標系の指令電圧を設定することで、前記磁極方向成分の指令電流のみに基づき前記制御量を制御する磁極方向電流操作手段と、前記回転機のトルクが所定以上となる場合には、前記直交方向電流操作手段による制御よりも前記磁極方向電流操作手段による制御を優先させる優先手段とを備えることを特徴とする。
高トルク領域においては、直交方向成分の電流の変化に対するトルクの変化が急となり、トルクが非常に大きくなる場合には、直交方向成分の電流とトルクとの間の1対1の対応関係が崩れることが発明者らによって見出されている。このため、回転機のトルクが大きい領域においては、直交方向電流操作手段による制御性が低下するおそれがある。一方、磁極方向成分の電流とトルクとは、高トルク領域において1対1の対応関係を有し、しかも、磁極方向成分の電流の変化に対するトルクの変化度合いも、直交方向成分の電流の変化に対するトルクの変化度合いと比較して緩やかである。上記発明では、この点に鑑み、トルクが所定以上となる場合に、磁極方向電流操作手段による制御を優先させることで、制御性の低下を好適に回避することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記直交方向電流操作手段及び前記磁極方向電流操作手段は、前記2次元座標系の指令電圧を前記電力変換回路の入力電圧に基づき定まる固定値に設定するものであることを特徴とする。
上記発明によれば、指令電圧の位相によって制御量を好適に制御することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記制御量は、前記回転機のトルクであり、前記優先手段は、前記回転機に対するトルクの指令値、前記回転機のトルクの少なくとも一方を入力として前記回転機のトルクが所定以上となるか否かを判断することを特徴とする。
上記発明は、制御量をトルクとするものである以上、トルクの指令値は、実際のトルクを高精度に近似すると考えられる。このため、回転機のトルクが所定以上となるか否かの判断には、回転機のトルク自体に限らず、トルクの指令値を用いることも可能である。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記優先手段は、前記回転機を流れる電流、前記回転機に対する電流の指令値の少なくとも一方を入力として前記回転機のトルクが所定以上となるか否かを判断することを特徴とする。
回転機を流れる電流は、回転機のトルクと相関を有するパラメータである。上記発明では、この点に鑑み、電流に基づき上記判断を行う。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、前記優先手段は、前記判断に際し、前記回転機の回転速度を加味することを特徴とする。
直交方向成分の電流とトルクとの関係は、回転速度に依存する。このため、直交方向電流操作手段による制御性が低下する領域も、回転速度に依存すると考えられる。上記発明では、この点に鑑み、回転速度を加味して上記判断を行うことで、直交方向電流操作手段による制御性の低下が懸念される領域を高精度に特定することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記制御量の制御は、前記制御量を指令値へとフィードバック制御することで行われることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記優先手段は、前記回転機のトルクに応じて前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とのいずれか一方を選択的に用いるものであり、前記磁極方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記優先手段によって磁極方向電流操作手段による制御へと切り替えられる際、前記磁極方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記磁極方向成分の実際の電流に応じて設定することを特徴とする。
磁極方向電流操作手段による制御への切り替えに際しては、磁極方向電流操作手段が積分演算を行うものである以上、その初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行う上で望ましい。ただし、直交方向電流操作手段には、磁極方向成分の指令電流が存在しない。このため、上記発明では、現在の磁極方向成分の電流を積分演算の初期値とすることで、切り替えの円滑化を図っている。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記優先手段は、前記回転機のトルクに応じて前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とのいずれか一方を選択的に用いるものであり、前記直交方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記直交方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記優先手段によって直交方向電流操作手段による制御へと切り替えられる際、前記直交方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記直交方向成分の実際の電流に応じて設定することを特徴とする。
直交方向電流操作手段による制御への切り替えに際しては、直交方向電流操作手段が積分演算を行うものである以上、その初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行う上で望ましい。ただし、磁極方向電流操作手段には、直交方向成分の指令電流が存在しない。このため、上記発明では、現在の直交方向成分の電流を積分演算の初期値とすることで、切り替えの円滑化を図っている。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記優先手段は、前記回転機のトルクに応じて前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とのいずれか一方を選択的に用いるものであり、前記直交方向電流操作手段は、前記直交方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電圧を算出する手段を備え、前記磁極方向電流操作手段は、前記磁極方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電圧を算出する手段を備え、前記優先手段によって前記磁極方向電流操作手段及び前記直交方向電流操作手段の一方による制御から他方による制御へと切り替えられる際、前記他方についての前記磁極方向成分の指令電圧を算出するための積分演算の初期値を、前記一方の前記積分演算値に基づき設定することを特徴とする。
上記発明では、磁極方向電流操作手段や直交方向電流操作手段が積分演算に基づき磁極方向成分の電圧を算出する手段を備えるため、これら2つの操作手段間の切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、いずれか他方の積分演算の初期値を、いずれか一方の積分演算値に基づき設定することで、切り替えの円滑化を図っている。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記電力変換回路の電圧利用率が所定以下である状況下、前記回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御する低電圧制御手段を備え、前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とは、前記電圧利用率が高い領域において前記低電圧制御手段に代えて前記電力変換回路を操作する手段であることを特徴とする。
回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御する手段の制御性は、電圧利用率が高くなることで低下することが知られている。この点、上記発明では、電圧利用率が高い領域において磁極方向電流操作手段による制御や直交方向電流操作手段による制御に切り替えることで、電圧利用率の高い領域における制御性の低下を好適に抑制することができる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、前記磁極方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向成分の指令値を前記磁極方向電流操作手段による前記磁極方向成分の電流の指令値から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させるとともに、前記直交方向成分の指令値を前記直交方向成分の実際の電流から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させることを特徴とする。
磁極方向電流操作手段による制御から低電圧制御手段による制御への切り替えタイミングにおいて、設定手段の設定する指令電流は、そのときに回転機を実際に流れている電流と大きく離間しているおそれがある。そしてこの場合には、設定手段によって設定される指令電流を用いたのでは、回転機を流れる電流が急激に変化し、ひいては回転機の制御性が低下するおそれがある。上記発明では、この点に鑑み、設定手段によって設定される指令電流へと徐々に移行させることで、切り替えを円滑に行うことができる。
請求項12記載の発明は、請求項10又は11記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、前記直交方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記直交方向成分の指令値を前記直交方向電流操作手段による前記直交方向成分の電流の指令値から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させるとともに、前記磁極方向成分の指令値を前記磁極方向成分の実際の電流から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させることを特徴とする。
直交方向電流操作手段による制御から低電圧制御手段による制御への切り替えタイミングにおいて、設定手段の設定する指令電流は、そのときに回転機を実際に流れている電流と大きく離間しているおそれがある。そしてこの場合には、設定手段によって設定される指令電流を用いたのでは、回転機を流れる電流が急激に変化し、ひいては回転機の制御性が低下するおそれがある。上記発明では、この点に鑑み、設定手段によって設定される指令電流へと徐々に移行させることで、切り替えを円滑に行うことができる。
請求項13記載の発明は、請求項10〜12のいずれか1項に記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、前記磁極方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記低電圧制御手段による制御から前記磁極方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記設定手段の設定する前記磁極方向成分の指令値とすることを特徴とする。
上記発明では、磁極方向電流操作手段が積分演算に基づき磁極方向成分の指令電流を設定するために、低電圧制御手段による制御から磁極方向電流操作手段による制御への切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、設定手段の設定する磁極方向成分の指令値を用いることで、初期値を適切に設定することができる。
請求項14記載の発明は、請求項10〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、前記直交方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記直交方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記低電圧制御手段による制御から前記直交方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記直交方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記設定手段の設定する前記直交方向成分の指令値とすることを特徴とする。
上記発明では、直交方向電流操作手段が積分演算に基づき直交方向成分の指令電流を設定するために、低電圧制御手段による制御から直交方向電流操作手段による制御への切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、設定手段の設定する直交方向成分の指令値を用いることで、初期値を適切に設定することができる。
請求項15記載の発明は、請求項10〜14のいずれか1項に記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、前記磁極方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記2次元座標系での指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記磁極方向電流操作手段による前記2次元座標系の指令電圧に応じて設定することを特徴とする。
上記発明では、低電圧制御手段が積分演算に基づき指令電圧を設定するものであるために、磁極方向電流操作手段による制御から低電圧制御手段による制御への切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、磁極方向電流操作手段による指令電圧を用いることで、初期値を適切に設定することができる。
請求項16記載の発明は、請求項10〜15のいずれか1項に記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、前記直交方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記2次元座標系での指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記直交方向電流操作手段による前記2次元座標系の指令電圧に応じて設定することを特徴とする。
上記発明では、低電圧制御手段が積分演算に基づき指令電圧を設定するものであるために、直交方向電流操作手段による制御から低電圧制御手段による制御への切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、直交方向電流操作手段による指令電圧を用いることで、初期値を適切に設定することができる。
請求項17記載の発明は、請求項10〜16のいずれか1項に記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御するための操作量として前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、前記磁極方向電流操作手段は、前記磁極方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向の指令電圧を設定するものであり、前記低電圧制御手段による制御から前記磁極方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向の指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記低電圧制御手段による前記磁極方向成分の指令電圧に基づき設定することを特徴とする。
上記発明では、磁極方向電流操作手段が積分演算に基づき磁極方向の指令電圧を設定するために、低電圧制御手段による制御から磁極方向電流操作手段による制御への切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、低電圧制御手段の設定する磁極方向成分の指令電圧を用いることで、初期値を適切に設定することができる。
請求項18記載の発明は、請求項10〜17のいずれか1項に記載の発明において、前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御するための操作量として前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、前記直交方向電流操作手段は、前記直交方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向の指令電圧を設定するものであり、前記低電圧制御手段による制御から前記直交方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向の指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記低電圧制御手段による前記磁極方向成分の指令電圧に基づき設定することを特徴とする。
上記発明では、直交方向電流操作手段が積分演算に基づき磁極方向の指令電圧を設定するために、低電圧制御手段による制御から直交方向電流操作手段による制御への切り替えに際しては、積分演算の初期値を適切な値とすることが切り替えを円滑に行ううえで望ましい。この点、上記発明では、低電圧制御手段の設定する磁極方向成分の指令電圧を用いることで、初期値を適切に設定することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる回転機の制御装置をハイブリッド車の制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるモータジェネレータの制御システムの全体構成を示す。モータジェネレータ10は、3相の永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。
モータジェネレータ10は、インバータIVを介して高圧バッテリ12に接続されている。インバータIVは、スイッチング素子Sup,Sunの直列接続体と、スイッチング素子Svp,Svnの直列接続体と、スイッチング素子Swp,Swnの直列接続体とを備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnとして、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードDup,Dun,Dvp,Dvn,Dwp,Dwnが逆並列に接続されている。
本実施形態では、モータジェネレータ10やインバータIVの状態を検出する検出手段として、以下のものを備えている。まずモータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwを検出する電流センサ16,17,18を備えている。更に、インバータIVの入力電圧(電源電圧VDC)を検出する電圧センサ19を備えている。
上記各種センサの検出値は、インターフェース13を介して低圧システムを構成する制御装置14に取り込まれる。制御装置14では、これら各種センサの検出値に基づき、インバータIVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータIVのスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを操作する信号が、操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnである。
図2に、上記インバータIVの操作信号の生成に関する処理のブロック図を示す。
本実施形態では、電流ベクトル制御及び弱め界磁制御を行う。以下では、「電流ベクトル制御に関する処理」、「弱め界磁制御に関する処理」、「電流ベクトル制御と弱め界磁制御との切り替え処理」の順に説明した後、「弱め界磁制御における切り替え処理」について説明する。
<ベクトル制御に関する処理>
モータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwは、αβ変換部20において、固定2相座標系の実電流であるα軸上の実電流iαとβ軸上の実電流iβとに変換される。実電流iα、iβは、dq変換部22において、回転2相座標系の実電流であるd軸上の実電流idとq軸上の実電流iqとに変換される。電流ベクトル制御部100では、実電流id,iq及び要求トルクTrを入力として、電流ベクトル制御を行う。
すなわち、指令電流設定部102は、要求トルクTrに基づき、回転2相座標系の電流の指令値であるd軸上の指令電流idr及びq軸上の指令電流iqrを設定する。減算部104では、d軸上の指令電流idrからd軸上の実電流idを減算することで減算値Δidを算出する。フィードバック制御部106では、減算値Δidに基づき、実電流idを指令電流idrにフィードバック制御するための操作量を算出する。詳しくは、ここでは、比例積分演算を行う。一方、干渉項算出部108では、q軸上の実電流iqに、電気角速度ωとインダクタンスLqとを乗算することで干渉項を算出する。非干渉制御部110では、フィードバック制御部106の出力から干渉項算出部108の出力を減算することで指令電圧vdrを算出する。
一方、減算部112は、q軸上の指令電流iqrからq軸上の実電流iqを減算することで、減算値Δiqを算出する。フィードバック制御部114では、減算値Δiqに基づき、実電流iqを指令電流iqrにフィードバック制御するための操作量を算出する。詳しくは、ここでは、比例積分演算を行う。一方、干渉項算出部116では、d軸上の実電流idに、電気角速度ωとインダクタンスLdとを乗算することで干渉項を算出する。非干渉制御部118では、フィードバック制御部114の出力から干渉項算出部116の出力を減算する。誘起電圧算出部120では、電気角速度ωに定数Φを乗算することで誘起電圧を算出する。誘起電圧補償部122では、非干渉制御部118の出力に誘起電圧算出部120の出力を加算することで、指令電圧vqrを算出する。
上記指令電圧vdr,vqrは、電流ベクトル制御部100からセレクタ30を介して3相変換部32に出力される。3相変換部32では、dq軸上の指令電圧vdr、vqrを、3相の指令電圧vur,vvr,vwrに変換する。操作信号生成部34では、指令電圧vur,vvr,vwrを信号波とし、これとキャリアとの大小を比較することで操作信号を生成する。
<弱め界磁制御に関する処理>
弱め界磁制御部200では、トルク推定器202によって、dq軸上の実電流id,iqに基づき、モータジェネレータ10のトルクを推定する(推定トルクTeを算出する)。一方、偏差算出部204では、推定トルクTeに対する要求トルクTrの差を算出する。偏差算出部204の出力は、q軸電流操作部210及びd軸電流操作部220に取り込まれる。
ここで、q軸電流操作部210では、トルク制御器212において、推定トルクTeを要求トルクTrにフィードバック制御するための操作量として、q軸上の指令電流iqrを算出する。この処理は、具体的には、推定トルクTeに対する要求トルクTrの差の比例積分演算によって行われる。一方、偏差算出部214では、q軸上の実電流iqに対する指令電流iqrの差を算出する。そして、電流制御器216では、q軸上の実電流iqを上記指令電流iqrにフィードバック制御するための操作量として、d軸上の指令電圧vdrを設定する。詳しくは、電流制御器216では、積分演算によって指令電圧vdrを設定する。
一方、d軸電流操作部220では、トルク制御器222において、推定トルクTeを要求トルクTrにフィードバック制御するための操作量として、d軸上の指令電流idrを算出する。この処理は、具体的には、推定トルクTeに対する要求トルクTrの差の比例積分演算によって行われる。一方、偏差算出部224では、d軸上の実電流idに対する指令電流idrの差を算出する。そして、電流制御器226では、d軸上の実電流idを上記指令電流idrにフィードバック制御するための操作量として、d軸上の指令電圧vdrを設定する。詳しくは、電流制御器226では、比例積分演算によって指令電圧vdrを設定する。
上記q軸電流操作部210によって設定される指令電圧vdrとd軸電流操作部220によって設定される指令電圧vdrとのいずれかが、セレクタ230によって選択されることで、弱め界磁制御部200の指令電圧vdrとなる。一方、q軸電圧設定部232では、電源電圧VDCに基づき定まる制限電圧VLと指令電圧vdrとに基づき、q軸の指令電圧vqrを設定する。詳しくは、制限電圧の2乗から指令電圧vdrの2乗を減算したものの平方根をq軸の指令電圧vqrとする。
これらd軸上の指令電圧vdrとq軸上の指令電圧vqrとは、上記セレクタ30に出力される。
なお、上記各処理には、適宜、回転角度θが用いられる。本実施形態では、センサレスシステムを採用しているため、モータジェネレータ10の電気的な状態量に基づき推定される回転角度θが用いられる。詳しくは、本実施形態では、拡張誘起電圧オブザーバ40を備えている。拡張誘起電圧オブザーバ40は、基本的には、「突極型ブラシレスDCモータのセンサレス制御のための拡張誘起電圧オブザーバ 平成11年電気学会全国大会 No.1026」に記載された処理を行うものである。すなわち、固定2相座標系の実電流iα、iβと、固定2相座標系での印加電圧(固定座標変換部42の出力)とに基づき、回転角度θと相関を有する角度相関量として固定2相座標系での拡張誘起電圧を推定し、これに基づき回転角度θを推定する。一方、速度算出部44では、回転角度θの時間微分演算に基づき電気角速度ωを算出する。ちなみに、拡張誘起電圧オブザーバ40に印加電圧情報を出力する固定座標変換部42は、指令電圧vdr,vqrをαβ軸上の指令電圧に変換する処理を行うものである。ただし、弱め界磁制御部200による制御時には、後述するように3相変換部32の出力する指令電圧vur,vvr,vwrの変動幅が電源電圧VDCを上回るため、インバータIVの出力電圧の実効値が指令電圧vdr,vqrと等しくなるようにαβ軸上の指令電圧を設定するなどすることが望ましい。
なお、上記拡張誘起電圧オブザーバ40による回転角度θの推定は、電気角速度ωが大きい領域において有効なものである。一方、電流ベクトル制御部100による制御がなされている場合には、モータジェネレータ10の電気角速度ωが過度に小さくなり得る。このため、本実施形態では、電流ベクトル制御部100による制御がなされている場合、低回転速度運転領域において、周知の別の手法にて回転角度θを推定するのであるが、これについてはその記載を省略している。
<電流ベクトル制御と弱め界磁制御との切り替え処理>
図3に、本実施形態にかかる電流ベクトル制御領域と弱め界磁制御領域とを示す。図示されるように、回転速度が大きい領域において、弱め界磁制御が行われる。詳しくは、トルクの絶対値が大きいほどより低い回転速度においても弱め界磁制御が行われる。
図4に、本実施形態にかかるベクトル制御から弱め界磁制御への切り替え処理の手順を示す。この処理は、制御装置14によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理においては、まずステップS2において、電流ベクトル制御を実行している旨のフラグである電流ベクトル制御モードフラグがオン状態であるか否かを判断する。そして、電流ベクトル制御モードであると判断される場合、ステップS4において、指令電圧vdr、vqrのベクトルノルムが、制限電圧VL以上であるか否かを判断する。ここで、制限電圧VLは、電源電圧VDCに「1.2」及び「3/8」の平方根を乗算した値である。ここで、「3/8」の平方根を乗算するのは、指令電圧vur,vvr,vwrの最大値に「3/8」の平方根を乗算したものがdq軸上の電圧ベクトルのノルムとなることを理由とする。また、「1.2」は、電流ベクトル制御の制御性を維持することのできる上限値に基づき設定されている。ちなみに、本実施形態では、回転角度をセンサにて検出する場合と比較してセンサレスシステムにおいて上記上限値が低下する傾向にあることに鑑みて上記値を決定している。このため、上記ステップS4によって、電流ベクトル制御の制御性を維持できる領域であるのか否かを判断することができる。そして、ステップS4において肯定判断されると、ステップS6において、電流ベクトル制御モードフラグをオフして且つ弱め界磁制御モードフラグをオンとすることで、電流ベクトル制御から弱め界磁制御に切り替える処理を行う。
なお、ステップS2,S4において否定判断される場合や、ステップS6の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図5に、本実施形態にかかる弱め界磁制御から電流ベクトル制御への切替にかかる処理の手順を示す。この処理は、制御装置14によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、弱め界磁制御モードフラグがオン状態であるか否かを判断する。そして、弱め界磁制御モードフラグがオン状態である場合、ステップS12において、実電流id,iqに基づき推定トルクTeを算出する。続くステップS14では、推定トルクTeに基づき、これを電流ベクトル制御によって実現するための指令電流idr,iqrを推定する。これは、推定トルクTeを、先の図2に示した指令電流設定部102と同一の処理を行う演算手段に入力した際の出力として推定算出することができる。
続くステップS16においては、推定される指令電流idr,iqrに基づき、これを電流ベクトル制御によって実現するための指令電圧vdr1、vqr1を推定する。これは、周知の電圧方程式を用いて行うことができる。
続くステップS18においては、推定された指令電圧vdr1、vqr1のベクトルノルムが、上記制限電圧VLから所定値Δを減算した値以下であるか否かを判断する。この処理は、推定トルクTeを電流ベクトル制御によって生成する際に要求される指令電圧vur,vvr,vwrが、変調率「1.2」よりも小さい値に対応するか否かを判断するためのものである。なお、ここで所定値Δは正の数であり、先の図4に示した処理による電流ベクトル制御から弱め界磁制御への切替と、この図5に示す処理による弱め界磁制御から電流ベクトル制御への切替とのハンチングを回避するために設けられている。そして、ステップS18において肯定判断される場合には、ステップS20において、電流ベクトル制御モードフラグをオンとして且つ弱め界磁制御モードフラグをオフとすることで、電流ベクトル制御へと切り替える。
なお、ステップS10,S18において否定判断される場合や、ステップS20の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図6に、弱め界磁制御から電流ベクトル制御への切り替えに際しての電流ベクトル制御の初期値の設定処理の手順を示す。この処理は、制御装置14によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS30において、弱め界磁制御から電流ベクトル制御への切り替え時であるか否かを判断する。そして、ステップS30において肯定判断される場合、ステップS32において、q軸電流操作部210による制御からの切り替え時であるか否かを判断する。そしてステップS32において肯定判断される場合、ステップS34において、指令電流idr,iqrの初期値を設定する。ここでは、実電流id,iqの急激な変化を回避すべく、弱め界磁制御によって制御されていたdq軸上の電流から、指令電流設定部102の設定する指令電流idr,iqrへと徐々に移行させる処理を行う。
すなわち、d軸の実電流idをローパスフィルタにてフィルタ処理した電流idlpfと、指令電流設定部102の設定する指令電流idrとの加重平均値としてd軸上の指令電流idrを設定する。そして、加重平均に際しての重み係数のうち、電流idlpfの係数Kを時間とともに漸減させるとともに、指令電流設定部102の設定する指令電流idrの係数「1−K」を時間とともに漸増させる。また、q軸電流操作部210にて設定された指令電流iqr(w)と、指令電流設定部102の設定する指令電流iqr(v)との加重平均値として、指令電流iqr(v)を設定する。そして、加重平均に際しての重み係数のうち、q軸電流操作部210の設定する指令電流iqr(w)の係数Kを時間とともに漸減させるとともに、指令電流設定部102の設定する指令電流iqr(v)の係数「1−K」を時間とともに漸増させる。
続くステップS36においては、フィードバック制御部106,114の積分項の初期値を設定する。ここでは、切り替え前後での指令電圧vdr、vqrの急変を回避するように積分項の初期値を設定する。すなわち、非干渉制御部110の出力する指令電圧vdr(v)を、弱め界磁制御による指令電圧vdr(w)に一致させるべく、フィードバック制御部106の積分項Indを、指令電圧vdr(w)に「ω・Lq・iqr(w)」を加算したものとする。また、誘起電圧補償部122の出力する指令電圧vqr(v)を、弱め界磁制御による指令電圧vqr(w)に一致させるべく、フィードバック制御部114の積分項Inqを、指令電圧vqr(w)から「ω・Ld・idlpf+ωΦ」を減算したものとする。
一方、上記ステップS32において否定判断される場合、d軸電流操作部220による制御からの切り替え時であると判断し、ステップS38に移行する。ステップS38では、指令電流idr,iqrの初期値を設定する。ここでは、実電流id,iqの急激な変化を回避すべく、弱め界磁制御によって制御されていたdq軸上の電流から、指令電流設定部102の設定する指令電流idr,iqrへと徐々に移行させる処理を行う。
すなわち、d軸電流操作部220にて設定された指令電流idr(w)と、指令電流設定部102の設定する指令電流idr(v)との加重平均値として、指令電流idr(v)を設定する。そして、加重平均に際しての重み係数のうち、d軸電流操作部220の設定する指令電流idr(w)の係数Kを時間とともに漸減させるとともに、指令電流設定部102の設定する指令電流idr(v)の係数「1−K」を時間とともに漸増させる。また、q軸の実電流iqにローパスフィルタにてフィルタ処理を施した電流iqlpfと、指令電流設定部102の設定する指令電流iqrとの加重平均値としてq軸上の指令電流iqrを設定する。そして、加重平均に際しての重み係数のうち、電流iqlpfの係数Kを時間とともに漸減させるとともに、指令電流設定部102の設定する指令電流iqrの係数「1−K」を時間とともに漸増させる。
続くステップS40においては、フィードバック制御部106,114の積分項の初期値を設定する。ここでは、切り替え前後での指令電圧vdr、vqrの急変を回避するように積分項の初期値を設定する。すなわち、非干渉制御部110の出力する指令電圧vdr(v)を、弱め界磁制御による指令電圧vdr(w)に一致させるべく、フィードバック制御部106の積分項を、指令電圧vdr(w)に「ω・Lq・iqlpf」を加算したものとする。また、誘起電圧補償部122の出力する指令電圧vqr(v)を、弱め界磁制御による指令電圧vqr(w)に一致させるべく、フィードバック制御部114の積分項を、指令電圧vqr(w)から「ω・Ld・idr+ωΦ」を減算したものとする。
なお、上記ステップS30において否定判断される場合や、ステップS36、S40の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図7に、電流ベクトル制御から弱め界磁制御への切り替えに際しての弱め界磁制御の初期値の設定処理の手順を示す。
この一連の処理では、まずステップS50において、電流ベクトル制御から弱め界磁制御への切り替え時であるか否かを判断する。そして、ステップS50において肯定判断される場合、ステップS52において、電流制御器216又は電流制御器226の積分項を、電流ベクトル制御部100の設定する指令電圧vdr(v)とする。続くステップS54においては、q軸電流操作部210への切り替え時であるか否かを判断する。そして、q軸電流操作部210への切り替え時であると判断される場合、ステップS56において、トルク制御器212の積分項の初期値を、指令電流設定部102の設定する指令電流idr(v)とする。一方、ステップS54において否定判断される場合、ステップS58において、トルク制御器222の積分項の初期値を、指令電流設定部102の設定する指令電流iqr(v)に設定する。
なお、上記ステップS50の処理が完了する場合や、ステップS56,S58の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
<弱め界磁制御における切り替え処理>
上述したように、本実施形態では、弱め界磁制御部200が、q軸電流操作部210とd軸電流操作部220とを備えている。本実施形態では、これらq軸電流操作部210による弱め界磁制御とd軸電流操作部220による弱め界磁制御とを切り替えることで、トルクの制御性を高く維持する。これは、q軸電流操作部210による弱め界磁制御によっては力行制御時に制御が不安定化するおそれがあり、また、d軸電流操作部220による弱め界磁制御によって力行及び回生の双方の制御を行うことで制御が不安定化するおそれがあることによる。以下、これについて詳述する。
図8(a)は、電圧制限楕円、及び等トルク曲線を示す。ここで、電圧制限楕円は、dq軸上での周知の電圧方程式において、実電流id,iqの時間微分値をゼロとするとの条件の下、dq軸上の電圧vd,vqのベクトルノルムが制限電圧VLとなる実電流id,iqをプロットすることで得られるものである。ちなみに、この電圧制限楕円は、電気角速度ωに依存するが、図8(a)では、電気角速度ωを所定値とした場合についての電圧制限楕円を示している。一方、等トルク曲線は、トルクを所定値とすることのできる実電流id,iqを結んで得られる曲線である。弱め界磁制御時においては、指令電圧vdr,vqrのベクトルノルムが制限電圧VLとされる態様にて推定トルクTeが要求トルクTrにフィードバック制御されるため、等トルク曲線と電圧制限楕円との交点上に実電流id,iqが制御されることとなると考えられる。
ここで、等トルク曲線と電圧制限楕円との交点のうち、q軸の電流とトルクとの関係を図8(b)に示し、d軸の電流とトルクとの関係を図8(c)に示す。
図8(b)に示されるように、q軸電流とトルクとの関係は良好な線形性を有するものの、トルクが大きい領域では、q軸の電流変化に対するトルクの変化が大きくなり、過度にトルクが大きい領域では、q軸電流に対してトルクが一義的に定まらなくなる。このことから、q軸電流操作部210による弱め界磁制御は、トルクが大きい領域において制御性が低下すると考えられる。詳しくは、q軸電流が大きい領域において、トルクの制御性が不安定化し、過度にトルクが大きくなる際には、制御が破綻するおそれがある。
一方、図8(c)に示されるように、d軸電流の変化に対するトルクの変化は滑らかであるものの、d軸電流に対してトルクは一義的に定まらない。これは、力行側ではd軸電流が増加するほどトルクが減少し、回生側ではd軸電流が増加するほどトルクが増加するためである。ちなみに、d軸電流の増加に対してトルクが増加から減少に変化する点は、トルクが厳密にゼロとなる点とは限らず、モータジェネレータ10の抵抗やインダクタンス、永久磁石磁束等のモータパラメータ、回転速度、更には制限電圧VLに依存して変化する。
図8(b)及び図8(c)に示されるように、d軸電流及びq軸電流のいずれもトルクとの間に良好な線形性を有する関係を示す領域があるとはいえ、全トルク領域において良好な線形性を有する関係性を維持できるものではない。このため、q軸電流操作部210とd軸電流操作部220とのいずれか一方を用いて全トルク領域での制御性を高く維持することは困難である。
そこで本実施形態では、q軸電流操作部210による制御性が低下する高トルク領域においては、d軸電流操作部220による弱め界磁制御を行うようにする。詳しくは、力行制御時にはd軸電流操作部220による弱め界磁制御を行い、回生制御時にはq軸電流操作部210による弱め界磁制御を行う。
図9に、本実施形態にかかるq軸電流操作部210とd軸電流操作部220との切り替え処理の手順を示す。この処理は、制御装置14によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS60において、力行、回生の判断を行う。本実施形態では、推定トルクTeの符号に基づきこの判断を行う。続くステップS62においてはq軸電流操作部210による弱め界磁制御がなされる旨のフラグであるq軸電流操作モードフラグがオンであるか否かを判断する。そして、ステップS62において肯定判断される場合、ステップS64において、力行制御時であるか否かを判断する。この処理は、d軸電流操作部220による弱め界磁制御に切り替えるか否かを判断するためのものである。ステップS64において肯定判断される場合、ステップS66において、d軸電流操作部220による弱め界磁制御を行う旨のフラグであるd軸電流操作モードフラグをオンとし、q軸電流操作モードフラグをオフとする。続くステップS68では、d軸電流操作部220の初期値を設定する。すなわち、トルク制御器222の積分器の初期値を、d軸の実電流idをローパスフィルタにて処理した電流idlpfとする。また、電流制御器226の積分器の初期値を、q軸電流操作部210の指令電圧vdrとする。
一方、ステップS62において否定判断される場合、ステップS70において、d軸電流操作モードフラグがオンとなっているか否かを判断する。そして、ステップS70において肯定判断される場合、ステップS72において、回生制御時であるか否かを判断する。この処理は、q軸電流操作部210による弱め界磁制御に切り替えるタイミングであるか否かを判断するためのものである。そして、回生制御時であると判断される場合、ステップS74において、d軸電流操作モードフラグをオフして且つ、q軸電流操作モードフラグをオンとする。続くステップS76では、q軸電流操作部210の初期値を設定する。すなわち、トルク制御器212の積分器の初期値を、q軸の実電流iqをローパスフィルタにて処理した電流iqlpfとする。また、電流制御器216の積分器の初期値を、d軸電流操作部220の指令電圧vdrとする。
なお、上記ステップS64,S70、S72において否定判断される場合や、ステップS68,S76の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図10(a)に、本実施形態の効果を示す。図10(a)において、1点鎖線にて要求トルクTrの推移を示し、実線にて推定トルクTeの推移を示す。図示されるように、要求トルクTrを負から正へと移行させることで回生制御から力行制御へと移行させるに際し、推定トルクTeを要求トルクTrに良好に追従させることができる。これに対し、図10(b)に、q軸電流操作部210による弱め界磁制御のみを行った場合を示す。この場合、高トルク領域で推定トルクTeが大きく変動し、トルクの制御性が低下する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)モータジェネレータ10のトルクが所定以上となる場合、q軸電流操作部210による制御よりもd軸電流操作部220による制御を優先させた。これにより、制御性の低下を好適に回避することができる。
(2)推定トルクTeを用いることで、トルクセンサを備えることなく、トルクが所定以上となるか否かを判断することができる。
(3)q軸電流操作部210による制御からd軸電流操作部220による制御へと切り替えられる際、トルク制御器222の積分器の初期値を、d軸の実電流idに応じて設定した。これにより、切り替えを円滑に行うことができる。
(4)d軸電流操作部220による制御からq軸電流操作部210による制御へと切り替えられる際、トルク制御器212の初期値を、q軸の実電流iqに応じて設定した。これにより、切り替えを円滑に行うことができる。
(5)d軸電流操作部220及びq軸電流操作部210の一方による制御から他方による制御へと切り替えられる際、他方の電流制御器の積分演算の初期値を、一方の電流制御器の積分演算値に基づき設定した。これにより、切り替えを円滑に行うことができる。
(6)電圧利用率が高い領域において電流ベクトル制御部100による制御から弱め界磁制御部200による制御に切り替えた。これにより、電圧利用率の高い領域における制御性の低下を好適に抑制することができる。
(7)d軸電流操作部220による制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替えられるに際し、d軸の指令電流idrをd軸電流操作部220による指令電流idr(w)から指令電流設定部102によって設定される指令電流idr(v)へと徐々に移行させるとともに、q軸の指令電流iqrをq軸上の実電流iq(iqlpf)から指令電流設定部102によって設定される指令電流iqr(v)へと徐々に移行させた。これにより、切り替えを円滑に行うことができる。
(8)q軸電流操作部210による制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替えられるに際し、q軸の指令電流iqrをq軸電流操作部210による指令電流iqr(w)から指令電流設定部102によって設定される指令電流iqrへと徐々に移行させるとともに、d軸の指令電流idrをd軸の実電流id(idlpf)から指令電流設定部102によって設定される指令電流idr(v)へと徐々に移行させた。これにより、切り替えを円滑に行うことができる。
(9)電流ベクトル制御部100による制御からd軸電流操作部220による制御へと切り替えられるに際し、トルク制御器222の積分演算の初期値を、指令電流設定部102の設定する指令電流idrとした。これにより、初期値を適切に設定することができる。
(10)電流ベクトル制御部100による制御からq軸電流操作部210による制御へと切り替えられるに際し、トルク制御器212の積分演算の初期値を、指令電流設定部102の設定する指令電流iqrとした。これにより、初期値を適切に設定することができる。
(11)d軸電流操作部220による制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替えられるに際し、電流フィードバック制御部106,114の積分演算の初期値を、弱め界磁制御部200による指令電圧vdr、vqrに応じて設定した。これにより、初期値を適切に設定することができる。
(12)q軸電流操作部210による制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替えられるに際し、電流フィードバック制御部106,114の積分演算の初期値を、弱め界磁制御部200による指令電圧vdr、vqrに応じて設定した。これにより、初期値を適切に設定することができる。
(13)電流ベクトル制御部100による制御からd軸電流操作部220による制御へと切り替えられるに際し、電流制御器226の積分器の初期値を、電流ベクトル制御部100の指令電圧vdrとした。これにより、初期値を適切に設定することができる。
(14)電流ベクトル制御部100による制御からq軸電流操作部210による制御へと切り替えられるに際し、電流制御器216の積分器の初期値を、電流ベクトル制御部100の指令電圧vdrとした。これにより、初期値を適切に設定することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、弱め界磁制御部200による制御がなされる状況下、q軸電流操作部210による制御とd軸電流操作部220による制御との寄与率を段階的又は連続的に可変設定することで、トルクが所定以上となる場合にd軸電流操作部220による制御を優先させる。
図11に、本実施形態にかかるインバータIVの操作信号の生成に関する処理のブロック図を示す。なお、図11において、先の図2に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、乗算部240では、q軸電流操作部210の出力に重み係数αを乗算する。また、乗算部242では、d軸電流操作部220の出力に重み係数βを乗算する。これら重み係数α、βには、「α+β=1」の関係がある。このため、加算部244では、乗算部240,242の出力を加算することで、q軸電流操作部210の出力とd軸電流操作部220の出力との加重平均値を算出することができる。こうして算出された値が、指令電圧vdrである。ここで、本実施形態では、重み係数α、βを推定トルクTeに応じて可変設定する。特に推定トルクTeが大きいほど、重み係数βが大きくなるようにし、トルクが所定以上となる場合には、重み係数βの方が重み係数αよりも大きくなるようにする。
以上説明した本実施形態によっても、上記第1の実施形態の上記(1)、(2)の効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1の実施形態では、推定トルクTeに基づき、q軸電流操作部210によるトルク制御とd軸電流操作部220によるトルク制御とを切り替えたが、これに限らない。例えば、要求トルクTrに基づき切り替えを行ってもよい。また例えば、モータジェネレータ10のトルクを検出するセンサを備えるなら、トルクの検出値に基づき行ってもよい。更に例えば、実電流iqに基づき切り替えを行ってもよいし、指令電流iqrに基づき切り替えを行ってもよい。更に、切り替えに際して用いる電流に関するパラメータとしては、dq軸上の電流に限らず、相電流であってもよい。また、トルク及び電流のいずれかに基づき切り替えを行う代わりに、これら双方に基づき切り替えを行ってもよい。更に、回転速度を加味してもよい。
・上記第2の実施形態では、推定トルクTeに基づき、q軸電流操作部210によるトルク制御とd軸電流操作部220によるトルク制御との優先度合いを段階的又は連続的に可変設定したが、これに限らない。例えば、要求トルクTrに基づき可変設定してもよい。また例えば、モータジェネレータ10のトルクを検出するセンサを備えるなら、トルクの検出値に基づき可変設定してもよい。更に例えば、実電流iqに基づき可変設定を行ってもよいし、指令電流iqrに基づき可変設定を行ってもよい。更に、可変設定に際して用いる電流に関するパラメータとしては、dq軸上の電流に限らず、相電流であってもよい。また、トルク及び電流のいずれかに基づき可変設定を行う代わりに、これら双方に基づき可変設定を行ってもよい。更に、回転速度を加味してもよい。
・q軸電流操作部210におけるトルク制御器212としては、比例積分制御器に限らない。例えば比例制御器や、積分制御器、比例積分微分制御器等であってもよい。
・q軸電流操作部210における電流制御器216としては、積分制御器に限らない。例えば比例積分制御器や、比例積分微分制御器等としてもよい。
・q軸電流操作部210としては、上記各実施形態やそれらの変形例において例示したものに限らず、例えば上記非特許文献1に記載された手段であってもよい。
・d軸電流操作部220におけるトルク制御器222としては、比例積分制御器に限らない。例えば比例制御器や、積分制御器、比例積分微分制御器等であってもよい。
・d軸電流操作部220における電流制御器226としては、比例積分制御器に限らない。例えば比例制御器や、積分制御器、比例積分微分制御器等としてもよい。
・電流ベクトル制御部100の構成としては、上記各実施形態で例示したものに限らない。例えばフィードバック制御部106,114を、比例積分制御器に代えて、比例積分微分制御器にて構成してもよい。また、フィードバック制御部106,114を比例制御器のみとして且つ、指令電流idr,iqrに応じたフィードフォワード電圧を算出する手段を備えるようにしてもよい。更に、誘起電圧に関する補償項や干渉項をフィードフォワード項として与えることなく、フィードバック制御部106,114のみを備えるようにしてもよい。
・実際のトルクに関する情報を取得する手段としては、トルク推定器202に限らず、トルクセンサを備えるものにあっては、その検出値を取得する手段であってもよい。
・上記各実施形態では、弱め界磁制御部200にて設定される指令電圧vdrを、トルクフィードバック制御のための最終的な操作量としたが、これに限らない。例えば上記非特許文献1のように、要求トルクTrに制御するための開ループ操作量として指令電圧vdrを設定する手段であってもよい。
・モータジェネレータ10の制御量としては、トルクに限らず、例えば回転速度であってもよい。
・弱め界磁制御部200によるトルク制御から電流ベクトル制御部100による制御への切り替え条件としては、上記各実施形態で例示したものに限らない。例えば、d軸電流操作部220によるトルク制御から電流ベクトル制御部100による制御への切り替え条件として、d軸電流操作部220による指令電流idrがゼロ以上となるとの条件を用いてもよい。
・上記各実施形態では、q軸電流操作部210によるトルク制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替える際のd軸の指令電流idrの初期値として、実電流idをローパスフィルタにてフィルタ処理した電流を用いたがこれに限らず、例えば実電流idそのものを用いてもよい。
・上記各実施形態では、d軸電流操作部220によるトルク制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替える際のq軸の指令電流iqrの初期値として、実電流iqをローパスフィルタにてフィルタ処理した電流を用いたがこれに限らず、例えば実電流iqそのものを用いてもよい。
・d軸電流操作部220による制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替えられるに際し、指令電流idr(v)をd軸電流操作部220による指令電流idr(w)から指令電流設定部102によって設定される指令電流idr(v)へと徐々に移行させるとともに、指令電流iqr(v)を実電流iq(iqlpf)から指令電流設定部102によって設定される指令電流iqrへと徐々に移行させる手法としては、上記第1の実施形態で例示したものに限らない。例えば、d軸電流操作部220よるd軸の指令電流idr(w)を初期値とする比例積分演算器の出力と指令電流設定部102によって設定される指令電流idr(v)との差を上記比例積分演算器の入力とし、比例積分演算器の出力と設定される指令電流idr(v)との差が所定以上である間比例積分演算器の出力を指令電流idrとして採用してもよい。
・q軸電流操作部210による制御から電流ベクトル制御部100による制御へと切り替えられるに際し、指令電流iqrをq軸電流操作部210による指令電流iqr(w)から指令電流設定部102によって設定される指令電流iqr(v)へと徐々に移行させるとともに、指令電流idr(v)を実電流id(idlpf)から指令電流設定部102によって設定される指令電流idr(v)へと徐々に移行させる手法としては、上記第1の実施形態で例示したものに限らない。例えば、q軸電流操作部210によるq軸の指令電流iqr(w)を初期値とする比例積分演算器の出力と指令電流設定部102の設定する指令電流iqr(v)との差を上記比例積分演算器の入力とし、比例積分演算器の出力と指令電流iqr(v)との差が所定以上である間比例積分演算器の出力を指令電流idrとして採用してもよい。
・上記各実施形態では、電流ベクトル制御部100による制御から弱め界磁制御部200による制御への切り替えに際し、トルク制御器212,222の積分器の初期値を、指令電流設定部102の設定する指令電流iqr,idrとしたが、これに限らない。例えば、実電流iq,idとしてもよい。
・上記各実施形態では、固定座標系での実電流iα、iβ及び印加電圧を入力とする拡張誘起電圧オブザーバを用いて回転角度θを推定したがこれに限らない。例えば回転座標系での実電流id,iq及び印加電圧を入力とする拡張誘起電圧オブザーバを用いて回転角度θを推定してもよい。
・回転角度θに関する情報を取得する手段としては、拡張誘起電圧に基づき推定される回転角度θを取得するものに限らない。例えばレゾルバを備えるシステムにあっては、その検出値を取得する手段であってもよい。この場合、センサレスとする場合と比較して、電流ベクトル制御部100による制御の制御性が高い電圧利用率まで安定する傾向にあるため、この場合には、制限電圧VLを上記各実施形態よりも大きく設定してもよい。最も、制限電圧VLの値については、要求仕様に応じて例えば変調率「1」に対応する値とする等、適宜変更してよい。
・上記各実施形態では、弱め界磁制御部200による制御時において、上記制限電圧VLに基づく指令電圧vdr,vqrにてインバータIVを直接操作したがこれに限らない。例えば、相電流の振幅中心がばらつく状況下、このばらつきを制御するための操作量を、上記弱め界磁制御部200における指令電圧vdr,vqrのベクトルノルムの補正量としてもよい。この場合であっても、指令電流とトルクとの関係は、先の図8(b)及び図8(c)に示した関係に近似すると考えられるため、本発明の適用は有効である。
・突極機としては、IPMSMに限らない。例えば、同期リラクタンスモータ(SynRM)であってもよい。
・回転機としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、例えば電気自動車に搭載されるものであってもよい。更に、回転機としては、車両の駆動系を構成するものにも限らない。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる操作信号の生成処理に関するブロック図。 同実施形態にかかる電流ベクトル制御と弱め界磁制御との切り替え態様を示す図。 同実施形態にかかる電流ベクトル制御から弱め界磁制御への切り替え処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる弱め界磁制御から電流ベクトル制御への切り替え処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる弱め界磁制御から電流ベクトル制御への切り替えに際しての電流ベクトル制御の初期値の設定処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる電流ベクトル制御から弱め界磁制御への切り替えに際しての弱め界磁制御の初期値の設定処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるq軸電流操作部とd軸電流操作部との切り替えの必要性を説明する図。 同実施形態にかかるq軸電流操作部とd軸電流操作部との切り替え処理の手順を示す流れ図。 同実施形態の効果を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかる操作信号の生成処理に関するブロック図。
符号の説明
10…モータジェネレータ、14…制御装置、100…電流ベクトル制御部(低電圧制御手段の一実施形態)、102…指令電流設定部、200…弱め界磁制御部、210…q軸電流操作部、220…d軸電流操作部。

Claims (18)

  1. 回転機の端子を直流電源の正極及び負極のそれぞれに接続するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで前記回転機の制御量を制御する回転機の制御装置において、
    前記回転機の磁極方向に対する直交方向成分の指令電流と前記電力変換回路の入力電圧とに基づき2次元座標系の指令電圧を設定することで、前記直交方向成分の指令電流のみに基づき前記制御量を制御する直交方向電流操作手段と、
    前記回転機の磁極方向成分の指令電流と前記電力変換回路の入力電圧とに基づき前記2次元座標系の指令電圧を設定することで、前記磁極方向成分の指令電流のみに基づき前記制御量を制御する磁極方向電流操作手段と、
    前記回転機のトルクが所定以上となる場合には、前記直交方向電流操作手段による制御よりも前記磁極方向電流操作手段による制御を優先させる優先手段とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記直交方向電流操作手段及び前記磁極方向電流操作手段は、前記2次元座標系の指令電圧を前記電力変換回路の入力電圧に基づき定まる固定値に設定するものであることを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記制御量は、前記回転機のトルクであり、
    前記優先手段は、前記回転機に対するトルクの指令値、前記回転機のトルクの少なくとも一方を入力として前記回転機のトルクが所定以上となるか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2記載の回転機の制御装置。
  4. 前記優先手段は、前記回転機を流れる電流、前記回転機に対する電流の指令値の少なくとも一方を入力として前記回転機のトルクが所定以上となるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  5. 前記優先手段は、前記判断に際し、前記回転機の回転速度を加味することを特徴とする請求項3又は4記載の回転機の制御装置。
  6. 前記制御量の制御は、前記制御量を指令値へとフィードバック制御することで行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  7. 前記優先手段は、前記回転機のトルクに応じて前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とのいずれか一方を選択的に用いるものであり、
    前記磁極方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記優先手段によって磁極方向電流操作手段による制御へと切り替えられる際、前記磁極方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記磁極方向成分の実際の電流に応じて設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記優先手段は、前記回転機のトルクに応じて前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とのいずれか一方を選択的に用いるものであり、
    前記直交方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記直交方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記優先手段によって直交方向電流操作手段による制御へと切り替えられる際、前記直交方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記直交方向成分の実際の電流に応じて設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  9. 前記優先手段は、前記回転機のトルクに応じて前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とのいずれか一方を選択的に用いるものであり、
    前記直交方向電流操作手段は、前記直交方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電圧を算出する手段を備え、
    前記磁極方向電流操作手段は、前記磁極方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電圧を算出する手段を備え、
    前記優先手段によって前記磁極方向電流操作手段及び前記直交方向電流操作手段の一方による制御から他方による制御へと切り替えられる際、前記他方についての前記磁極方向成分の指令電圧を算出するための積分演算の初期値を、前記一方の前記積分演算値に基づき設定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  10. 前記電力変換回路の電圧利用率が所定以下である状況下、前記回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御する低電圧制御手段を備え、
    前記直交方向電流操作手段と前記磁極方向電流操作手段とは、前記電圧利用率が高い領域において前記低電圧制御手段に代えて前記電力変換回路を操作する手段であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  11. 前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、
    前記磁極方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向成分の指令値を前記磁極方向電流操作手段による前記磁極方向成分の電流の指令値から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させるとともに、前記直交方向成分の指令値を前記直交方向成分の実際の電流から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させることを特徴とする請求項10記載の回転機の制御装置。
  12. 前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、
    前記直交方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記直交方向成分の指令値を前記直交方向電流操作手段による前記直交方向成分の電流の指令値から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させるとともに、前記磁極方向成分の指令値を前記磁極方向成分の実際の電流から前記設定手段によって設定される指令値へと徐々に移行させることを特徴とする請求項10又は11記載の回転機の制御装置。
  13. 前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、
    前記磁極方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記低電圧制御手段による制御から前記磁極方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記設定手段の設定する前記磁極方向成分の指令値とすることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  14. 前記低電圧制御手段は、前記回転機を流れる電流についての前記磁極方向成分及び前記直交方向成分の双方の指令値を設定する設定手段を備え、
    前記直交方向電流操作手段は、前記制御量とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記直交方向成分の指令電流を設定する手段を備えて且つ、前記低電圧制御手段による制御から前記直交方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記直交方向成分の指令電流を設定するための積分演算の初期値を、前記設定手段の設定する前記直交方向成分の指令値とすることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  15. 前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、
    前記磁極方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記2次元座標系での指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記磁極方向電流操作手段による前記2次元座標系の指令電圧に応じて設定することを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  16. 前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流とその指令値との差に応じた積分演算に基づき前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、
    前記直交方向電流操作手段による制御から前記低電圧制御手段による制御へと切り替えられるに際し、前記2次元座標系での指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記直交方向電流操作手段による前記2次元座標系の指令電圧に応じて設定することを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  17. 前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御するための操作量として前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、
    前記磁極方向電流操作手段は、前記磁極方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向の指令電圧を設定するものであり、前記低電圧制御手段による制御から前記磁極方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向の指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記低電圧制御手段による前記磁極方向成分の指令電圧に基づき設定することを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  18. 前記低電圧制御手段は、前記2次元座標系での前記回転機を流れる電流をその指令値にフィードバック制御するための操作量として前記2次元座標系での指令電圧を設定するものであり、
    前記直交方向電流操作手段は、前記直交方向成分の指令電流と実際の電流との差に応じた積分演算に基づき前記磁極方向の指令電圧を設定するものであり、前記低電圧制御手段による制御から前記直交方向電流操作手段による制御へと切り替えられるに際し、前記磁極方向の指令電圧を設定するための積分演算の初期値を、前記低電圧制御手段による前記磁極方向成分の指令電圧に基づき設定することを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
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