JP2010057730A - 光音響トモグラフィの受信データ処理装置 - Google Patents

光音響トモグラフィの受信データ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光音響トモグラフィの特質を活用し、小規模な構成で、高速に光音響トモグラフィの画像再構成を行いうる光音響トモグラフィの受信データ処理装置を提供する。
【解決手段】被検体領域の各最小構成単位から各音響波受信素子への音響波の遅延情報に従い、第一の記憶手段より各最小構成単位由来の受信デジタル信号を順次読み出し整相加算して各最小構成単位における音響波の最小構成単位データを合成する最小構成単位データ合成手段と、被検体領域全体の最小構成単位データを保存可能な第二の記憶手段と、第二の記憶手段に保存された最小構成単位データに基づき被検体の画像を構成する画像構成手段と、最小構成単位データ合成手段によって演算された各最小構成単位データを順次第二の記憶手段に記憶し、記憶された被検体領域全体の最小構成単位データを読み出して画像構成手段に送る制御手段と、を具備してなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光音響トモグラフィ診断装置等に用いられる光音響トモグラフィの受信データ処理装置に関し、特に音響波受信信号に基づいて画像データを生成する技術に関する。
従来より生体に電磁波を照射すると、生体の電磁波吸収に伴う生体組織の温度上昇・熱膨張により音響波が発生することが知られている。この現象を活用し、非侵襲で生体内を可視化しようとする光音響トモグラフィ(PAT:PhotoAcoustic Tomography)と呼ばれる技術が近年脚光を浴び、光音響トモグラフィ診断装置の臨床現場への適用が試られている。
光音響トモグラフィ診断装置では、ターゲットとする被検体に光を照射し、それに伴って発生する音響波を複数の微小振動素子を配列した1次元、または2次元の微小振動子アレイにより受信する。1次元、または2次元の微小振動子アレイとしては、通常超音波診断装置で用いられるプローブに類するものが使用されることが多い。
光音響トモグラフィにおける画像再構成においては、様々なアルゴリズムの適用が試られているが、一般に超音波診断装置の画像再構成に用いられる整相加算と呼ばれる手法の適用も可能である。
被検体への光照射後、音響波の受信時には、目標点から発生する音響波を受信することとなるが、目標点から各微小振動素子への距離は同一ではない。そのため、目標点から発生する音響波信号は各微小振動素子に異なる時間に到着する。そこで、一般的に光音響トモグラフィ診断装置においては、整相加算処理により異なる時間に到着する音響波信号の時間ずれを調整し、目標点に対応する光音響トモグラフィ画像データを生成する。生成された目標点のデータは、ピクセル、またはボクセルと呼ばれ、各々2次元、または3次元光音響トモグラフィ画像の最小構成単位となる。整相加算処理では、微小振動子アレイが受信した音響波アナログ信号をアンプにより増幅し、ADコンバータにてアナログ―デジタル変換を行った後、音響波受信デジタル信号を記憶装置に保持する。そして、同一目標点に由来する信号値を必要なすべてのチャンネルにおいて加算するものである。
また、光音響トモグラフィ診断装置においては、1次元、または2次元の微小振動子アレイの指向性改善のため、アポダイゼーション(apodization)と呼ばれる処理が行われる。これは、微小振動子アレイ中の各微小振動素子で受信した音響波信号を均等に加算するのではなく、ある微小振動素子アレイ領域に到達する音響波信号を減衰させる。それにより、目的方向以外に由来する音響波信号の勢力を抑え、微小振動素子アレイの指向性を改善する処理である。一般的には、各微小信号素子で受信した各音響波信号に対し、異なる重み付け係数を掛け、窓関数あるいは立体角と距離に依存した関数を掛けたのと同様の効果を得ようとしている。
デジタル信号の整相加算処理では、各受信チャンネル毎に遅延時間調整のための遅延装置を用いている。遅延装置としては、主にFIFO(先入れ先出し)メモリやRAM(Random Access Memory)などの記憶装置が用いられている。
近年はFPGA(Field Programmable Gate Array)チップが大規模化している。さらに、高速読み出し・書き込み可能なFIFO(先入れ先出し)メモリやRAM(Random Access Memory)メモリを搭載してい
る。よって、光音響トモグラフィの受信データ処理装置をFPGAチップに実装しやすい状況となっている。しかし、FPGAチップに搭載されているロジック、高速メモリの容量にも限りがある。また大規模なFPGAチップは高価であり、可能な限り少ないロジック、メモリ容量で構成可能な光音響トモグラフィの受信データ処理装置が求められている。
下記特許文献1,2には、光を被検体に照射し、その結果被検体が熱膨張・収縮を起こすことにより発生する音響波を受信して得られる電気信号から画像を構成する技術が開示されている。
特開2005−21380(P2005−21380A) 特表2001−507952(P2001−507952A)
しかし、これらの特許文献1,2に開示されている先行例においては、多数の受信チャンネルを具備した光音響トモグラフィ診断装置を構成しようとすると、装置が複雑化・大規模化しやすいという問題がある。すなわち、受信回路の規模が大きくなり、コストの増大につながっていた。また、光音響トモグラフィの画像再構成をソフトウェアを用いて行った場合、光音響トモグラフィ画像取得に時間がかかる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものである。超音波診断装置の分野においても同様の課題があり、様々な対処がなされているが、光音響トモグラフィ診断装置のイメージングの特質には、超音波診断装置におけるイメージングの特質とは異なる点がある。そのため、その特質を活用した別の有効な対処法が存在する。
光音響トモグラフィ診断装置と超音波診断装置におけるイメージング特質の違いの第一点目は、光照射、超音波発信の間隔時間である。光音響トモグラフィの場合、実用的な光エネルギー(数mJ以上)を発生させる光源の制約上、光の照射間隔はある一定時間(数十ms)以上に設定する必要がある。つまり、光照射後に長い待機時間を取る必要がある。一方超音波診断装置においてはそのような制約はない。それどころか、観察深さ分の信号の受信が完了し次第、即座に超音波送信を行い、フレームレートを向上させる必要がある。超音波送信間隔時間は、長くても数百μs程度である。
光音響トモグラフィ診断装置と超音波診断装置におけるイメージング特質の違いの第二点目は、観察深さとそれにともなう受信時間の違いである。光音響トモグラフィ診断装置においては、人体における光の減衰が激しいため、観察深さは数cmに限られる。一方、超音波診断装置では、観察深さを数十cmに設定することも可能である。よって、光音響トモグラフィでは、光照射後、受信データ取り込み時間は数十μs程度で済む。また、超音波診断装置では、数十cmの深さを観察する場合、受信データ取り込み時間は数百μs程度になる。例えば、20cmの深さを観察する場合、受信データ取り込み時間は260μs程度になる。
このように、超音波診断装置においては、受信データ取り込み時間が終了するとすぐに送信が行われるため、リアルタイム性を保つには、受信しながら整相加算を行い、画像データ生成する必要がある。この場合、受信チャンネルに入ってくるデータを同時に処理する必要があるため、受信チャンネル数が大きくなると装置規模も大きくなり、装置の高コスト化へとつながる。
一方、光音響トモグラフィ診断装置においては、光照射間隔が長く、受信データ取り込み時間が短い。つまり長い待機時間が存在する。よって、一旦、受信データを記憶媒体に
取り込んでおきさえすれば、画像データ生成はその後十分に時間をかけて行うことができる。これは、受信データ処理回路規模を小さくし、画像データ生成を時分割で行えることを意味する。そもそも、光音響トモグラフィ画像のリアルタイム性は光照射時間で律速されるものであるため、待機時間内に画像データ生成できさえすれば、画像のリアルタイム性に悪影響はない。
本発明は、以上のような光音響トモグラフィの特質を活用し、小規模な構成で、高速に光音響トモグラフィの画像再構成を行いうる、新規な構造の光音響トモグラフィの受信データ処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、光を被検体に照射し、その結果被検体が局部的に熱膨張・収縮を起こすことにより発生する音響波を受信して得られる電気信号から画像を構成する光音響トモグラフィの受信データ処理装置において、処理対象とする被検体領域由来の音響波を受信する複数の音響波受信素子からの受信信号をデジタル化する複数の電気信号変換手段と、電気信号変換手段によってデジタル化された受信デジタル信号を記憶する複数の第一の記憶手段と、被検体領域を分割した各最小構成単位から音響波が各音響波受信素子に到達するとした場合の音響波の遅延情報に従い、前記複数の第一の記憶手段より各最小構成単位由来の受信デジタル信号を順次読み出し、整相加算することにより各最小構成単位毎の音響波のデータである最小構成単位データの合成を行う最小構成単位データ合成手段と、被検体領域全体の最小構成単位データを保存可能な第二の記憶手段と、第二の記憶手段に保存された最小構成単位データに基づき被検体領域の画像を構成する画像構成手段と、最小構成単位データ合成手段によって合成された各最小構成単位データを順次第二の記憶手段に記憶し、記憶された被検体領域全体の最小構成単位データを読み出して画像構成手段に送る制御手段と、を具備してなることを特徴とする。
本発明によれば、小規模な構成で、高速に光音響トモグラフィの2次元または3次元の画像再構成を行うことができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置を示す図である。図1では、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の総チャンネル数がNの場合の例を示している。
この光音響トモグラフィの受信データ処理装置は、光を被検体に照射し、その結果被検体が局部的に熱膨張・収縮を起こすことにより発生する音響波を受信して得られる電気信号から画像を構成するものである。
装置構成は、N個のADコンバータ1−1〜1−Nと、N個の遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−Nと、演算回路3、とを具備する。加えて、メモリ制御回路4、再構成メモリ5、窓関数重み係数計算回路6、遅延メモリアドレス計算回路7、信号処理ブロック8、画像構成部9、画像表示部10、とを具備している。
ADコンバータ1−1〜1−Nは電気信号変換手段であり、音響波受信アレイ52の音響波受信素子54−1〜54−Nによって受信されたアナログの電気信号をデジタル化す
るものである。音響波受信アレイ52は受信手段を構成するもので、処理対象とする被検体領域由来の音響波をN個の音響波受信素子54−1〜54−Nによって受信してアナログ
の電気信号に変換する。
遅延記憶メモリ2−1〜2−Nは第一の記憶手段であり、ADコンバータ1−1〜1−Nによってデジタル化された受信デジタル信号を時系列に記憶する。
演算回路3は最小構成単位データ合成手段であり、複数の遅延記憶メモリ2−1〜2−Nより、ターゲットとする被検体領域を分割した最小構成単位である各ボクセル由来の受
信デジタル信号を順次読み出し、ボクセルデータを合成する。このボクセルデータが最小構成単位毎の音響波のデータである。各ボクセル由来の受信デジタル信号の読み出しは、各ボクセルから音響波が各音響波受信素子54−1〜54−Nに到達するとした場合の音
響波の遅延情報に従ってなされ、読み出された受信デジタル信号を整相加算する。
演算回路3は、図2に示すように、N個の乗算器11−1〜11−Nと、一つの加算回路12と、を有している。
再構成メモリ5は第二の記憶手段であり、被検体領域全体のボクセルデータを保存可能となっている。
画像構成部9は画像構成手段であり、再構成メモリ5に保存されたボクセルデータに基づき被検体領域の画像を構成する。
また、メモリ制御回路4が制御手段であり、演算回路3によって演算された各ボクセルデータを順次第二の記憶手段である再構成メモリ5に記憶し、記憶された被検体領域全体のボクセルデータを読み出して画像構成部9に送る。
遅延メモリアドレス計算回路7はアドレス演算手段であり、被検体領域の各最小構成単位座標であるボクセル座標より、各ボクセルから各音響波受信素子54−1〜54−Nに
到達する音響波の遅延時間を算出する。そして、各遅延メモリ2−1〜2−Nに対して、
遅延時間に対応する各ボクセル由来の受信デジタル信号が格納されているアドレスを供給する。
窓関数重み係数計算回路6は窓関数重み係数演算手段であり、ターゲットとする被検体領域のボクセル座標より、音響波の受信信号が伝送される受信チャンネル毎の窓関数重み係数を算出し、算出した窓関数重み係数を演算回路3に与える。
信号処理ブロック8は信号処理手段であり、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等のフィルタ処理、対数圧縮(log圧縮)処理、微分処理、包絡線検波処理、直交検波処理といった信号処理がなされる。
次に、本実施例1の動作について、具体的に説明する。
図示しない光源からレーザ光等の光が被検体に照射され、その結果、被検体が居部的に熱膨張・収縮を起こすことにより音響波が発生する。この音響波が音響波受信素子アレイ52のN個の受信素子54−1〜54−Nによって受信され、アナログ電気信号に変換される。このアナログ電気信号が、N個のADコンバータ1−1〜1−Nによりデジタル化され、N個の遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−Nへ出力される。
遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−Nは、ADコンバータ1−1〜1−Nより出力されたデジタル信号を記憶する。
遅延メモリアドレス計算回路7は、ターゲットとする被検体領域内のボクセル座標に基づき、ターゲットボクセルに対応する遅延時間と遅延記憶メモリアドレスを計算し、遅延記憶メモリアドレスを遅延記憶メモリ2−1〜2−Nに供給する。被検体領域内の最小構成単位由来、すなわちターゲットボクセル由来の受信デジタルデータは、遅延メモリアドレス計算回路7が算出した遅延記憶メモリアドレスに従って、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nより読み出される。そして、演算回路3の乗算器11−1〜11−Nに出力される。
図3は、ターゲットとする被検体領域内のターゲットボクセル53と、音響波受信素子アレイ52、アレイ中の音響波受信素子54との位置関係の一例を示している。ターゲットボクセル53と、アレイ中の音響波受信素子54間の距離Dは、ある一定の座標系の下、ターゲットボクセル53の座標(X1,Y1,Z1)とアレイ中の音響波受信素子54の座標(X2,Y2,Z2)を決定すると、三平方の定理により即座に求まる。
また、ターゲットボクセル53と、アレイ中の音響波受信素子54間の距離Dを音速で除算することにより、ターゲットボクセル53からアレイ中の音響波受信素子54までの、音響波到達時間(遅延時間)が算出される。
加えて、ターゲットとする被検体領域内から音響波を受信している間、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nは、遅延記憶メモリ2−1〜2−N中の各アドレスに音響波由来のデジタルデータを順次時系列で、しかもある一定の規則に従って記憶する。すなわち、各遅延記憶メモリ2−1〜2−Nには、光が照射された時点から受信デジタル信号が時系列に読み込まれ、音響波が発生したボクセル位置からの距離に応じた遅延時間毎に到達した音響波の信号が記憶されることになる。
このターゲットボクセル53からアレイ中の音響波受信素子54−1〜54−Nまでの
音響波到達時間(遅延時間)と、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nにおけるデジタルデータ
記憶の規則を基に遅延記憶メモリアドレスを特定できる。この遅延メモリアドレスは、あるターゲットボクセル由来のデジタルデータが存在するメモリアドレスである。
本発明では、遅延メモリアドレス計算回路7が、ターゲットボクセル毎に、遅延記憶メモリアドレスの算出を行い、算出された遅延記憶メモリアドレスを遅延記憶メモリ2−1〜2−Nに供給する。そして、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nは、遅延メモリアドレス計算回路7より与えられた遅延記憶メモリアドレスに従い、最小構成単位由来、すなわちターゲットボクセル由来のデジタルデータを演算回路3に出力する。
窓関数重み係数計算回路6は、ターゲットとする被検体領域内のボクセル座標に基き、ターゲットボクセルに対応する窓関数重み係数を計算し、演算回路3に供給する。遅延記憶メモリ2−1〜2−Nから出力された受信デジタル信号は、アポダイゼーションのため、チャンネル毎に、窓関数重み係数計算回路6が算出した窓関数重み係数を付され、加算回路12へ出力される。
加算回路12は、窓関数重み係数を付されたすべてのチャンネルの受信デジタル信号を加算する。このような処理によって、ターゲットボクセル由来の音響波受信シグナル情報である受信デジタル信号が整相加算される。
整相加算されたターゲットボクセルデータは、メモリ制御回路4を介して再構成メモリ5に記憶される。この処理を、全てのボクセルに対して繰り返し行うことで、ターゲットとする被検体領域内全てのボクセルデータを順次整相加算し、再構成メモリ5に保存する。
一旦、ターゲットとする被検体領域内全てのボクセルデータが整相加算され再構成メモリ5に保存されると、メモリ制御回路4がボクセルデータを信号処理ブロック8に出力する。信号処理ブロック8は、入力されたボクセルデータに、対数圧縮処理・フィルタ処理等の信号処理を施した後、画像構成部9に出力する。信号処理は、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等のフィルタ処理、対数圧縮処理、微分処理、包絡線検波処理、直交検波処理といった処理を含む。また、信号処理に必要なパラメータを算出し、信号処理ブロック8に与えるようにしてもよい(図示せず)。
画像構成部9は、信号処理を施されたボクセルデータに基づき、光音響トモグラフィ画像の構成を行い、画像表示部10に出力する。画像表示部10では、構成された光音響トモグラフィ画像を表示する。これが、実施例1の一連の動作である。
光音響トモグラフィの場合、実用的な光エネルギー(数mJ以上)を発生させる光源の制約上、光の照射間隔はある一定時間以上に設定する必要がある。本実施例では、光の照射間隔、いわゆる待ち時間を活用して光音響トモグラフィの受信データの成形を行う。よって、次の光照射開始前にターゲットとする被検体領域内全てのボクセルデータ生成を終了させれば、本実施例に示された動作により、光音響トモグラフィ画像のリアルタイム性を損うことはない。
光音響トモグラフィにおいては、光を被検体に照射して得られる音響波のS/Nが低い場合、複数回の受信シグナルの加算平均処理を行い、S/Nを向上させる必要が出てくる。その場合、複数回の受信において得られる最小構成単位データであるターゲットボクセルの整相加算データをメモリ制御回路4と再構成メモリ5を用いて加算平均してもよい。この場合、メモリ制御回路4が加算平均手段となる。
このような構成を取ると、すべての処理が終わった時点で加算平均され、S/Nが向上したターゲットボクセルデータが再構成メモリ5に保存されることとなる。
上記遅延記憶メモリ2−1〜2−N、再構成メモリ5に使用するメモリの種類については、特に限定するものでない。FIFO(先入れ先出しメモリ)を用いて構成してもよく、またはRAM(ランダムアクセスメモリ)を用いて構成してもよい(図示せず)。適用可能であれば、他の記憶手段を用いてもよい。
また、信号処理ブロック8は、必ずしも図1に示すように画像構成部9の直前に配置される必要はない。必要に応じ、光音響トモグラフィの受信データ処理装置中のどの位置に配置してもよく、また、必ずしも1つである必要もない。例えば、演算回路3中に配置してもよいし、音響波受信素子の受信チャンネル毎に配置してもよいし、受信チャンネル毎に遅延記憶メモリ2−1〜2−Nの出力部に1つずつ配置してもよい(図示せず)。その場合、信号処理に必要なパラメータをチャンネル毎に独立して算出し、与えるようにしてもよい(図示せず)。
また、演算回路3は、必ずしも図2に示すように、乗算と加算処理だけを行う必要はない。必要に応じ、その他、光音響トモグラフィ画像再構成に必要な演算、信号処理手段を加えてもよい(図示せず)。信号処理に必要なパラメータをチャンネル毎に独立して算出し、与えるようにしてもよい(図示せず)。その場合、演算回路3の中にパラメータ演算手段を配置しても良いし、別途演算ブロックを用意し、算出パラメータを演算回路3に供給するようにしてもよい(図示せず)。
また、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の実装手段は、必ずしもFPGAに限定する必要はない。必要に応じ、DSP(Digital Signal Processor)や汎用CPU、各種揮発性メモリ、不揮発性メモリ等を組み合わせて装置を構成してもよい(図示せず)。
また、音響波受信素子アレイ52は、必ずしも図3に示すように、2Dアレイである必要はない。例えば、1D、1.5Dアレイを用いてもよい(図示せず)。また、通常の超音波診断装置においては、探触子形状として、リニア、セクタ、コンベックス等複数の形態が存在するが、本発明においても、音響波受信に使用する探触子形状を限定する必要はない(図示せず)。
また、画像構成部9の実現法についても、特に限定するものではない。汎用CPU(Central Processing Unit)やGPU (Graphic Processing Unit)等を用いてもよく、適宜他の手段を用いてもよい(図示せず)。
次に、本発明の他の実施例について説明する。以下の説明では、主として上記実施例1及び先行する実施例と異なる部分についてのみ説明するものとし、同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略するものとする。
図4は、本発明の実施例2に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置を示す図である。図4では、音響波受信素子数がLで、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の総チャンネル数がNの場合の例を示している。このとき、L>N、つまり音響波受信素子数が、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の総チャンネル数よりも多い場合を示している。
この光音響トモグラフィの受信データ処理装置は、N個のADコンバータ1−1〜1−N、N個の遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−N、演算回路3と、を具備する。加えて、メモリ制御回路4、再構成メモリ5、窓関数重み係数計算回路6、遅延メモリアドレス計算回路7、対数圧縮、フィルタ処理を行う信号処理ブロック8、画像構成部9、画像表示部10と、を具備する。加えて、音響波受信素子54−1〜54−LとADコンバータ1−1〜1−Nの間に、接続状態を切り替える接続切り替え手段としてのスイッチング回路16が配置される。
以下に、この実施例2の動作について説明する。
N個のADコンバータ1−1〜1−N以降の各回路の動作は、基本的に実施例1と同じである。しかし、スイッチング回路16により、音響波受信素子54−1〜54−LとADコンバータ1−1〜1−Nとの接続状態を切り替えることができる点が実施例1と異なっている。
図5は、実施例2の動作のフローチャートである。
まず、L個ある音響波受信素子54−1〜54−Lの中からN個(a,a+1,a+2….a+N−1)を選び、光音響トモグラフィの受信データ処理装置のN個のチャンネルに接続する(S1参照)。
次に、被検体のターゲット領域に光を照射し、それにより発生した音響波を受信し、ADコンバータ1−1〜1−Nによってデジタル化する。デジタル化された受信データは、N個の遅延記憶メモリ2−1〜2−Nに記憶される(S2参照)。
次に、整相加算を行うターゲットボクセルを決定し、整相加算に必要な遅延メモリアドレスと重み付け係数を計算する。そして、計算された遅延メモリアドレスと重み付け係数に基いて整相加算を行い再構成メモリ5に格納する(S5参照)。
一旦、選択したターゲットボクセルの整相加算が終了すると、全ボクセルの選択が完了したかどうかを判定し、完了していない場合はS3に戻り、次のターゲットボクセルを選択し、整相加算を行い再構成メモリ5に格納する。この処理を、ターゲット領域のすべてのボクセルについて整相加算が終了するまで繰り返す。この時点で、最初に選択した音響波受信素子グループ(a,a+1,a+2….a+N−1)で受信した音響波に基づくターゲットボクセルの整相加算が終了する。
次に、選択するN個の音響波受信素子を変更する。
図5では、L個の音響波受信素子のうち、音響波受信素子(a+1,a+2….a+N)を新たに選択している例を示している(S8、S1参照)。次に、被検体のターゲット領域に光を照射し、それにより発生した音響波を、新たに選択したN個の音響波受信素子(a+1,a+2….a+N)を用いて受信する。そして、ターゲット領域のすべてのボクセルについて整相加算を行い、時分割にて順次得られる最小構成単位データとしてのボクセルデータを、再構成メモリ5中の同一ボクセルデータに累積加算する(S2〜S5参照)。
このような処理を、受信を行いたい全ての音響波受信素子54−1〜54−Lが選択され、全てのターゲットボクセルの整相加算が終了するまで繰り返す(S7)。全ての音響波受信素子54−1〜54−Lについて受信スキャンが終了したら、受信走査は終了し(S9参照)、再構成メモリ5に記憶されているボクセルデータを読み出して画像構成に移る(S10)。
以上のような手順を用いることで、音響波受信素子54−1〜54−Lアレイにおける受信領域を変更・分割して受信を行うことが可能となる。この手法の利点は、音響波受信素子アレイ52における音響波受信素子数Lより少ない光音響トモグラフィの受信データ処理装置のチャンネル数で、光音響トモグラフィ画像の再構成が可能となる。
また、同一のターゲットボクセルのデータを、音響波受信素子54−1〜54−Lにおける異なる受信領域にて受信する場合もありえる。この場合、メモリ制御回路4と再構成メモリ5にて、同一のターゲットボクセルデータを累積加算、または加算平均処理し、ターゲットボクセルデータを生成する。音響波受信素子54−1〜54−Lアレイにおける受信領域が異なる場合、演算回路3中の乗算器11−1〜11−Nにて受信データに付する重み付け係数が変更されることもあり得る。
本実施例のように、ターゲットボクセルデータを処理・保存しておくためのメモリ制御回路4と再構成メモリ5を設けたことで、全ての音響波受信素子に対し、光音響トモグラフィの受信データ処理装置を同時に接続する必要がなくなる。つまり、光音響トモグラフィの受信データ処理装置を小型化できる。
ここで、音響波受信素子54−1〜54−Lにおける受信領域選択方式は、図5に示したものと必ず同一である必要はなく、適宜必要に応じて選択方式は決定すればよい。加えて、音響波受信素子数L、全ての光音響トモグラフィの受信データ処理装置のチャンネル数Nとの関係は、必ずしもL>Nに限定されない。更に、受信中に、全ての光音響トモグラフィの受信データ処理装置のチャンネルが使用されなければならないということもない。
なお、ADコンバータ1と遅延記憶メモリ2の間に接続状態を切り替える接続切り替え手段としてのスイッチング回路を設け、ADコンバータ1と遅延記憶メモリ2の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行ってもよい(図示せず)。たとえば、ADコンバータ1の総数がL、遅延記憶メモリ2の総数がNのとき(L>N)、ADコンバータ1と遅延記憶メモリ2の接続状態を受信毎に順次変更する。そして、受信を行いたい全てのADコンバータ1が選択され、全てのターゲットボクセルの整相加算が終了するまで処理を続行する。
このように、ADコンバータ1と遅延記憶メモリ2の間の接続状態、音響波受信素子アレイ52とADコンバータ1間の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行う構成を取ることも可能である。
光音響トモグラフィの場合、光源の制約上、光の照射間隔はある一定時間以上に設定する必要がある。本実施例では、光の照射間隔、いわゆる待ち時間を活用して光音響トモグラフィ受信データ成形を行う。よって、次の光照射開始前にターゲットとする被検体領域内全てのボクセルデータ生成を終了させれば、本実施例に示された動作により、光音響トモグラフィ画像のリアルタイム性を損うことはない。
スイッチング回路16を音響波受信素子アレイ52とADコンバータ1間に設けることで、音響波受信素子よりも少ないADコンバータ数で装置構成できる。加えて、ADコンバータ1と遅延記憶メモリ2間にスイッチング回路を設けることにより、ADコンバータよりも少ない遅延記憶メモリ数で装置構成できる。
また、対数圧縮、フィルタ処理等を行う信号処理ブロック8は、必ずしも図4に示すように画像構成部9の直前に配置される必要はない。必要に応じ、演算回路3に設けてもよいし、スイッチング回路16から演算回路3を結ぶN個のチャンネル毎に配置してもよい。また、必ずしも1つである必要もない。例えば、演算回路3中に配置してもよいし、各チャンネル毎に遅延記憶メモリ2−1〜2−Nの出力部に1つずつ配置してもよい(図示せず)。その場合、信号処理に必要なパラメータをチャンネル毎に算出し、与えるようにしてもよい(図示せず)。
図6は、本発明の実施例3に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置を示す図である。図6では、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の総チャンネル数がNの場合の例を示している。
この光音響トモグラフィの受信データ処理装置は、N個のADコンバータ1−1〜1−N、加算平均回路15−1〜15−N、N個の遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2
−N、演算回路3、とを具備する。加えて、メモリ制御回路4、再構成メモリ5、窓関数重み係数計算回路6、遅延メモリアドレス計算回路7、信号処理ブロック8、画像構成部9、画像表示部10、とを具備する。
この実施例3では、加算平均手段としての加算平均回路15−1〜15−Nを有する点で実施例1、2と相違している。
以下に、実施例3の動作について説明する。
N個のADコンバータ1−1〜1−Nの動作、演算回路3以降の各回路の動作は基本的に実施例1、実施例2と同じである。しかし、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nが加算平均回路15−1〜15−Nと協働し、受信デジタル信号の加算平均処理が可能である点が実施例1、2と異なっている。
光音響トモグラフィにおいては、光を被検体に照射して得られる音響波のS/Nが低い場合、受信シグナルの加算平均処理を行う必要が出てくる。本実施例3では、加算平均回路15−1〜15−Nと遅延記憶メモリ2−1〜2−Nを協働させ、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nに加算平均処理された受信データを蓄積する。その上で、ターゲットボクセルデータの整相加算処理を行うようになっている。本実施例3によれば、S/Nを向上させたターゲットボクセルデータを得ることが可能となる。
光音響トモグラフィの場合、光源の制約上、光の照射間隔はある一定時間以上に設定する必要がある。本実施例では、光の照射間隔、いわゆる待ち時間を活用して光音響トモグラフィ受信データ成形を行う。よって、加算平均を行うための複数回の光照射後、次の光照射開始前にターゲットとする被検体領域内全てのボクセルデータ生成を終了させさえす
れば、光音響トモグラフィ画像のリアルタイム性を損うことはない。
なお、この実施例3において、ADコンバータ1と加算平均回路の間にスイッチング回路を設け、ADコンバータ1と加算平均回路の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行ってもよい(図示せず)。たとえば、ADコンバータの総数がL、加算平均回路の総数がNのとき(L>N)、ADコンバータと加算平均回路の接続状態を受信毎に順次変更する。そして、受信を行いたい全てのADコンバータが選択され、全てのターゲットボクセルの整相加算が終了するまで処理を続行する。このように、加算平均回路とADコンバータ間に切り替え制御手段としてのスイッチング回路を設けることで、ADコンバータ数よりも少ない加算平均回路・遅延記憶メモリ数で装置構成できる。
さらに、この構成に加え、実施例2において、図4に示したように、音響波受信素子アレイとADコンバータ間のスイッチング回路を追加してもよい(図示せず)。音響波受信素子アレイとADコンバータ間にスイッチング回路を設けることにより、音響波受信素子アレイよりも少ないADコンバータ数で装置構成できる。。
このように、ADコンバータと加算平均回路・遅延記憶メモリの間の接続状態、音響波受信素子アレイとADコンバータ間の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行う構成を取ってもよい。
図7は、本発明の実施例4に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置を示す図である。図7では、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の総チャンネル数がNの例を示している。
この光音響トモグラフィの受信データ処理装置は、N個のADコンバータ1−1〜1−N、N個の遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−N、及び演算回路28を具備している。加えて、メモリ制御回路4、再構成メモリ5、窓関数重み係数計算回路6、遅延メモリアドレス計算回路7、信号処理ブロック8、画像構成部9、画像表示部10、とを具備している。
この実施例4では、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nと演算回路3の間にメモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)が配置されている。そして、M個の遅延記憶メモリがグループ化されて、メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)に接続され、メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)がチャンネル選択回路32によって選択される構成となっている。
図8は、演算回路28の構成を示す図である。この演算回路28は、(N/M)個の乗算器50−1〜50−(N/M)と加算回路51と、を具備する。メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)の出力は、乗算器50−1〜50−(N/M)へ接続される。
次に、実施例4の動作について説明する。
N個のADコンバータ1−1〜1−Nの動作は基本的に他の実施例と同じである。しかし、メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)により、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nと演算回路3との接続状態を順次切り替えることができる点が、実施例1乃至3と異なっている。
図9は、実施例4の動作フローチャートである。
まず、被検体のターゲット領域に光を照射し、それにより発生した音響波を受信し、ADコンバータ1−1〜1−Nによってデジタル化する。デジタル化された受信データは、N個の遅延記憶メモリ2−1〜2−Nに記憶される(S41参照)。次に、N個ある遅延
記憶メモリ2−1〜2−Nの中から(N/M)個(a,a+M,a+2M….a+N−M)を選び、演算回路3の乗算器に接続する(S42参照)。
その上で、整相加算を行うターゲットボクセルを決定し(S43参照)、整相加算に必要な遅延メモリアドレスと重み付け係数を計算する(S44参照)。そして、計算された遅延メモリアドレスと重み付け係数に基いて整相加算を行い再構成メモリ5に記憶する(S45参照)。一旦、選択したターゲットボクセルの整相加算が終了すると、次のターゲットボクセルを選択し、整相加算を行う(S46、S43参照)。この処理をターゲット領域のすべてのボクセルについて整相加算が終了するまで繰り返す。この時点で、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nの中から最初に選択した(N/M)個(a,a+M,a+2M….a+N−M)の遅延記憶メモリ中に記憶したデジタルデータに基いたターゲット領域のすべてのボクセルの整相加算が終了する(S46参照)。
次に、新たに(N/M)個の遅延記憶メモリを選択する(S47、S48参照)。 図9では、N個の遅延記憶メモリ26−1〜26−Nのうち、遅延記憶メモリ(a+1,a+M+1,a+2M+1…,a+N−M+1)を新たに選択している例を示している。遅延記憶メモリを選択した後、ターゲット領域のすべてのボクセルについて整相加算を行う(S43〜S46参照)。
このような処理を、全ての遅延記憶メモリ2−1〜2−Nが選択されるまで繰り返す(S47参照)。全ての遅延機構メモリ群についての読み取りが終了したら、読み取りは終了し(S49参照)、再構成メモリ5に記憶されているボクセルデータを読み出して画像構成に移る(S50)。
また、この場合、同一のターゲットボクセルのデータを、異なる遅延記憶メモリ2−1〜2−Nから読み出すこととなるが、メモリ制御回路4と再構成メモリ5にて、同一のターゲットボクセルデータを累積加算、または加算平均処理する。
こうして、ターゲット領域のすべてのボクセルデータが生成される。
このように、メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)を遅延記憶メモリ2−1〜2−Nと演算回路28間に設けることで、演算回路28規模を小さくできる。
図9に示した手順では、一回の受信で得た受信データを遅延記憶メモリ2−1〜2−Nを複数グループに分け、順次選択しながら整相加算している。そのため、例えば実施例1に比べるとターゲット領域のすべてのボクセルデータ生成に時間がかかる。光音響トモグラフィの場合、光源の制約上、光の照射間隔はある一定時間以上に設定する必要がある。よって、本実施利のような整相加算の時分割処理を行っても、次の光照射までにターゲット領域のすべてのボクセルデータ生成が終了させることが可能である。つまり、本実施例4においても、フレームレートに対する悪影響は生じず、光音響トモグラフィ画像のリアルタイム性を損うことはない。
本実施例4においても、ターゲットボクセルデータを処理・保存しておくためのメモリ制御回路4、再構成メモリ5を設けたことで、全ての遅延記憶メモリ2−1〜2−N中のデータを同時に演算回路28で処理する必要がなくなる。よって、小規模な光音響トモグラフィの受信データ処理装置による、ターゲット領域内の全ボクセルデータの時分割生成が可能となる。
ここで、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nの選択方式は、図7に示したものと必ず同一である必要はなく、適宜必要に応じて選択方式は決定すればよい。
また、この構成に加え、ADコンバータと遅延記憶メモリの間にスイッチング回路を設
け、ADコンバータと遅延記憶メモリの接続状態を順次変更しながら音響波受信を行ってもよい(図示せず)。たとえば、ADコンバータの総数がL、遅延記憶メモリの総数がNのとき(L>N)、ADコンバータと遅延記憶メモリの接続状態を受信毎に順次変更する。そして、受信を行いたい全てのADコンバータが選択され、全てのターゲットボクセルの整相加算が終了するまで処理を続行する。ADコンバータと遅延記憶メモリ間にスイッチング回路を設けることにより、ADコンバータよりも少ない遅延記憶メモリ数で装置構成できる。
さらに、この構成に加え、実施例2において、図4に示したように、音響波受信素子アレイとADコンバータ間のスイッチング回路を追加してもよい(図示せず)。このように、音響波受信素子アレイとADコンバータ間にスイッチング回路を設けることで、音響波受信素子よりも少ないADコンバータ数で装置構成できる。
こうして、演算回路28と遅延記憶メモリ間の接続状態、ADコンバータと遅延記憶メモリの間の接続状態、音響波受信素子アレイとADコンバータ間の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行う構成を取ることも可能である。
また、演算回路28は、必ずしも図8に示すように、乗算と加算処理だけを行う必要はない。必要に応じ、その他光音響トモグラフィ画像再構成に必要な演算、信号処理手段を加えてもよい(図示せず)。その場合、信号処理に必要な独立したパラメータをチャンネル毎に算出し、与えるようにしてもよい。
図10は、本発明の実施例5に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置を示す図である。図10では、光音響トモグラフィの受信データ処理装置の総チャンネル数がNの例を示している。
この音響波受信データ成形装置も、N個のADコンバータ1−1〜1−N、N個の遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−N、及び演算回路28を有している。加えて、メモリ制御回路4、再構成メモリ5、窓関数重み係数計算回路6、遅延メモリアドレス計算回路7、信号処理ブロック8、画像構成部9、画像表示部10と、を具備している。
また、実施例4と同様に、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nと演算回路28の間にメモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)が配置されている。そして、M個の遅延記憶メモリがグループ化されて、メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)に接続され、メモリ選択スイッチ27−1〜27−(N/M)がチャンネル選択回路32によって選択される構成となっている。
さらに、この実施例5では、実施例3と同様に、ADコンバータ1−1〜1−Nと遅延記憶メモリ(遅延記憶M)2−1〜2−Nの間に、加算平均手段としての加算平均回路38−1〜38−Nを有している。この点が実施例4と相違する。
次に、実施例5の動作について説明する。
ADコンバータ1−1〜1−Nの動作は基本的に実施例4と同様である。しかし、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nが加算平均回路38−1〜38−Nと協働し、受信データの加算平均処理が可能である点が実施例4と異なっている。
光音響トモグラフィにおいては、光を被検体に照射して得られる音響波のS/Nが低い場合、受信シグナルの加算平均処理を行う必要が出てくる。本実施例4では、加算平均回路38−1〜38−Nと遅延記憶メモリ2−1〜2−Nを協働させ、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nに加算平均処理された受信データを蓄積した上で、ターゲットボクセルデータ
の整相加算処理を行っている。本実施例によれば、S/Nを向上させたターゲットボクセルデータを得ることが可能となる。
光音響トモグラフィの場合、光源の制約上、光の照射間隔はある一定時間以上に設定する必要がある。本実施例では、光の照射間隔、いわゆる待ち時間を活用して光音響トモグラフィ受信データ成形を行う。よって、加算平均を行うための複数回の光照射後、次の光照射開始前にターゲットとする被検体領域内全てのボクセルデータ生成を終了させさえすれば、光音響トモグラフィ画像のリアルタイム性を損うことはない。
本実施例においては、ターゲットボクセルデータを処理・保存しておくためのメモリ制御回路4、再構成メモリ5を設けたことで、全ての遅延記憶メモリ2−1〜2−N中のデータを同時に演算回路28で処理する必要がなくなる。よって、小規模な光音響トモグラフィの受信データ処理装置による、ターゲット領域内の全ボクセルデータの時分割生成が可能となる。
ここで、遅延記憶メモリ2−1〜2−Nの選択方式は、図10に示したものと必ず同一である必要はなく、適宜必要に応じて選択方式は決定すればよい。
また、この構成に加え、ADコンバータと加算平均回路の間にスイッチング回路を設け、ADコンバータと加算平均回路の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行ってもよい(図示せず)。たとえば、ADコンバータの総数がL、加算平均回路の総数がNのとき(L>N)、ADコンバータと加算平均回路の接続状態を受信毎に順次変更する。そして、受信を行いたい全てのADコンバータが選択され、全てのターゲットボクセルの整相加算が終了するまで処理を続行する。ADコンバータと加算平均回路間にスイッチング回路を設けることにより、ADコンバータよりも少ない加算平均回路・遅延記憶メモリ数で装置構成できる。
さらに、この構成に加え、実施例2において、図4に示したように、音響波受信素子アレイとADコンバータ間のスイッチング回路を追加してもよい(図示せず)。このように、音響波受信素子アレイとADコンバータ間にスイッチング回路を設けることで、音響波受信素子よりも少ないADコンバータ数で装置構成できる。
こうして、演算回路28と遅延記憶メモリ2−1〜2−N間の接続状態、ADコンバータと加算平均回路の間の接続状態、音響波受信素子アレイとADコンバータ間の接続状態を順次変更しながら音響波受信を行う構成を取ることも可能である。
なお、全ての実施例において、ADコンバータより後段の構成の動作周波数を変化させることにより、ボクセルデータ合成の処理速度を変化可能とした回路の動作周波数を向上させることができる。また、回路を複数並列に配置することで、ボクセルデータ生成速度を向上させることが可能であることは言うまでもない。
また、各実施例の説明は、3次元画像の再構成を念頭においたものとなっているが、最小構成単位をピクセルデータとして2次元画像の再構成も可能であることは言うまでもない。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
本発明の実施例1に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置のブロック図である。 本発明の実施例1の演算回路構成である。 被検体領域におけるターゲットボクセルと音響波受信素子アレイとの位置関係を示す図である。 本発明の実施例2に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置のブロック図である。 本発明の実施例2に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置の動作フローチャートである。 本発明の実施例3に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置のブロック図である。 本発明の実施例4に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置のブロック図である。 本発明の実施例4の演算回路構成である。 本発明の実施例4に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置の動作フローチャートである。 本発明の実施例5に係る光音響トモグラフィの受信データ処理装置のブロック図である。
符号の説明
1−1〜1−N:ADコンバータ(電気信号変換手段)
2−1〜2−N:遅延調整メモリ(第一の記憶手段)
3:演算回路(最小構成単位データ合成手段)
4:メモリ制御回路(制御手段)
5:再構成メモリ(第二の記憶手段)
6:窓関数重み係数計算回路(窓関数重み係数演算手段)
7:遅延メモリアドレス計算回路(遅延メモリアドレス演算手段)
8:信号処理ブロック(信号処理手段)
9:画像構成部(画像構成手段)
10:画像表示部
11:乗算器
12:加算回路
15−1〜15−N:加算平均回路
16:スイッチング回路(接続切り替え手段)
27−1〜27−(N/M):メモリ選択スイッチ(接続切り替え手段)
28:演算回路(最小構成単位データ合成手段)
32:チャンネル選択回路
38:加算平均回路(加算平均手段)
50:乗算器
51:加算回路
52:音響波受信素子アレイ(受信手段)
53:被検体領域内のターゲットボクセル(最小構成単位)
54−1〜54−N:音響波受信素子

Claims (13)

  1. 光を被検体に照射すことにより発生する音響波を受信して得られる電気信号から画像を構成する光音響トモグラフィの受信データ処理装置において、
    処理対象とする被検体領域由来の音響波を受信する複数の音響波受信素子からの受信信号をデジタル化する複数の電気信号変換手段と、
    該電気信号変換手段によってデジタル化された受信デジタル信号を記憶する複数の第一の記憶手段と、
    被検体領域を分割した各最小構成単位から音響波が各音響波受信素子に到達するとした場合の音響波の遅延情報に従い、前記複数の第一の記憶手段より各最小構成単位由来の受信デジタル信号を順次読み出し、整相加算することにより各最小構成単位毎の音響波のデータである最小構成単位データの合成を行う最小構成単位データ合成手段と、
    該被検体領域全体の最小構成単位データを保存可能な第二の記憶手段と、
    該第二の記憶手段に保存された最小構成単位データに基づき被検体領域の画像を構成する画像構成手段と、
    前記最小構成単位データ合成手段によって合成された各最小構成単位データを順次第二の記憶手段に記憶し、記憶された被検体領域全体の最小構成単位データを読み出して画像構成手段に送る制御手段と、
    を具備してなることを特徴とする光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  2. 前記第一の記憶手段と前記最小構成単位データ合成手段との接続状態、前記電気信号変換手段と前記第一の記憶手段との接続状態、及び前記音響波受信素子と前記電気信号変換手段との接続状態のうち、少なくとも一つの接続状態が接続切り替え手段により切り替えが可能であることを特徴とする請求項1記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  3. 前記制御手段は、前記接続切り替え手段により、前記第一の記憶手段と前記最小構成単位データ合成手段との接続状態、前記電気信号変換手段と第一の記憶手段との接続状態、及び前記音響波受信素子と前記電気信号変換手段との接続状態のうち、少なくとも一つの接続状態の切り替えを行うことで、前記最小構成単位データ合成手段により時分割にて順次得られる最小構成単位データを、前記第二の記憶手段に累積加算して記憶させることを特徴とする請求項1に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  4. 前記第一の記憶手段に、複数回の受信によって得られた被検体領域由来の受信デジタル信号を加算平均して記憶させる加算平均手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  5. 前記第二の記憶手段に、複数回の受信によって得られた最小構成単位データを加算平均して記憶させる加算平均手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  6. 被検体領域の各最小構成単位座標より、各最小構成単位から各音響波受信素子に到達する音響波の遅延時間を算出し、前記各第一の記憶手段に対して、遅延時間に対応する各最小構成単位由来の受信デジタル信号が格納されているアドレスを供給するアドレス演算手段を具備することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  7. 処理対象とする被検体領域の各最小構成単位座標より、音響波の受信信号を伝送する受信チャンネル毎に窓関数重み係数を算出し、算出した窓関数重み係数を最小構成単位データ合成手段に与える窓関数重み係数演算手段を具備することを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  8. 音響波の受信信号を伝送する受信チャンネル毎に、フィルタ処理、対数圧縮処理、微分処理、包絡線検波処理、直交検波処理の少なくとも一つを含む信号処理が可能な信号処理手段を具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  9. 前記信号処理手段に対し、受信チャンネル毎に独立したパラメータを計算し前記信号処理手段に与えるパラメータ演算手段を具備する請求項8に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  10. 電気信号変換手段より後段の構成の動作周波数を変化させることにより、前記最小構成単位データ合成の処理速度を変化可能としたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  11. 前記電気信号変換手段より後段の構成を複数並列に配置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  12. 合成された最小構成単位データに対するフィルタ処理、対数圧縮処理、微分処理、包絡線検波処理、直交検波処理の少なくとも一つを含む信号処理が可能な信号処理手段を具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
  13. 前記信号処理手段に対し、パラメータを計算し前記信号処理手段に与えるパラメータ演算手段を具備する請求項12に記載の光音響トモグラフィの受信データ処理装置。
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