JP2010053203A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2010053203A
JP2010053203A JP2008217744A JP2008217744A JP2010053203A JP 2010053203 A JP2010053203 A JP 2010053203A JP 2008217744 A JP2008217744 A JP 2008217744A JP 2008217744 A JP2008217744 A JP 2008217744A JP 2010053203 A JP2010053203 A JP 2010053203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
component
resin composition
thermosetting resin
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008217744A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5109873B2 (ja
Inventor
Takeshi Hasegawa
健 長谷川
Naoya Nishimura
直哉 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2008217744A priority Critical patent/JP5109873B2/ja
Publication of JP2010053203A publication Critical patent/JP2010053203A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5109873B2 publication Critical patent/JP5109873B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)

Abstract

【課題】短波長領域で高出力な発光素子の封止に用いることができ、硬化物の表面非タック性が良く、透明で耐光性及び耐熱黄変性に優れた熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、下記の成分(A)及び成分(B)を含有し、両成分の含有量の比率が質量基準で成分(A):成分(B)=20:80〜80:20のものである。
成分(A):カルボキシル基を複数個有し、シロキサン結合をもつ特定構造を有するカルボキシル基含有ポリシロキサン。
成分(B):脂環式エポキシ基を複数個有し、シクロヘキサン環とシロキサン結合をもつ特定構造を有する脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化して用いられる熱硬化性樹脂組成物に関する。より詳しくは、光半導体用封止剤、電子回路用封止剤、光導波路、光通信用レンズ、有機EL素子用封止剤及び光学用フィルムなどの光学電子部材として好適に用いられる熱硬化性樹脂組成物に関する。
近年、発光ダイオード(LED)等の光半導体を用いた光源の高出力化・短波長化に、液晶や有機ELなどを用いたフラットパネルディスプレイの高精細化、高画質化、高視野角化に、さらに電子回路の高周波数化や光を用いた回路・通信など、光学・電子部品の高性能化が著しく進展している。これらの分野の用途においては従来よりポリシロキサン化合物を用いた熱硬化性樹脂組成物(以下、ポリシロキサン系組成物と略記する)が使用されてきた(例えば、特許文献1及び2を参照)。ところが、一般にポリシロキサン系組成物は硬さが低いために表面タックを有しており、表面に異物が付着したり、発光面等の強い光量を受ける部分が損傷を受けたりする問題があった。
この問題を解決するために、ポリシロキサン系組成物に剛性成分を導入して、エポキシ樹脂硬化系を採ることが考えられる。酸/エポキシ樹脂硬化系を、ポリシロキサンを骨格とする熱硬化性樹脂組成物に適用するために、酸変性部位やエポキシ変性部位をポリシロキサンに導入する技術が知られている。例えば、特許文献3には、市販のエポキシ樹脂と酸無水物硬化剤をそれぞれ分子鎖に導入したエポキシ変性ポリシロキサンと酸無水物変性ポリシロキサンとを配合した樹脂組成物が開示されている。この開示技術による樹脂組成物を用いた場合、表面タックの問題は解決されるが、ポリシロキサンの割合が相対的に少なくなって耐光性に問題が生ずるようになり、短波長領域で高出力な発光素子の封止等、近年要求される厳しい耐光性の要求に応えることが難しい。
一方、耐光性や耐熱黄変性が高いシロキサン骨格を持ちながらも硬い構造をもつ物質として、かご型シルセスキオキサンが検討されており、エレクトロニクス、フォトニクス等の分野への応用が試みられている。例えば特許文献4には、エポキシ環含有シルセスキオキサン、エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤及び硬化触媒からなる樹脂組成物が開示されている。この開示技術によれば、表面タックの問題が解決され耐光性に優れた樹脂組成物となるが、硬化剤として酸無水物を使用していることから硬化物の白化や、耐熱黄変性の低下が生ずるおそれがある。
このように、ポリシロキサンの優れた耐光性を活かしながら、表面非タック性を改善し、耐光性及び耐熱黄変性に優れた熱硬化性樹脂組成物が求められているのである。
特開2001−2922号公報(第2頁及び第6頁) 特開2004−186168号公報(第2頁、第3頁及び第7頁) 特開平06−306084号公報(第2頁及び第13頁) 特開2005−263869号公報(第2頁、第3頁及び第13頁)
そこで本発明の目的とするところは、硬化物の表面非タック性が良く、透明で耐光性及び耐熱黄変性に優れ、短波長領域で高出力な発光素子の封止等、要求の厳しい用途にも用いることができる熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の熱硬化性樹脂組成物は、下記の成分(A)及び成分(B)を含有し、両成分の含有量の比率が質量基準で成分(A):成分(B)=20:80〜80:20であることを特徴とする。
成分(A):カルボキシル基を複数個有し、下記式(1)で示される構造を有するカルボキシル基含有ポリシロキサン。
Figure 2010053203
〔式(1)中、aは0〜50の整数、bは3〜300の整数であり、Rは炭素数が1〜6のアルキル基、Xは下記式(2)又は−(CH−COOH(但し、nは1〜20の整数)で表される置換基であり、XはR又は下記式(2)で表される置換基であり(但し、a=0のときX≠R)、RとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
Figure 2010053203
〔式(2)中、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、kは0又は1である。〕
成分(B):脂環式エポキシ基を複数個有し、下記式(3)で示される構造を有する脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン。
Figure 2010053203
〔式(3)中、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、mは1〜3の整数、Rは置換又非置換のアルキル基、rは6、8、10及び12から選ばれた数、pは2〜rの整数及びqは0〜(r−p)の整数を表す。〕
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の熱硬化性樹脂組成物では、成分(A)として特定構造のカルボキシル基含有ポリシロキサン及び成分(B)として特定構造の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンを含有し、両成分の含有量の比率が質量基準で(A):(B)=20:80〜80:20に設定されている。このため、熱硬化性樹脂組成物を熱又は光で硬化させると、特定構造をもつ成分(A)の複数のカルボキシル基と特定構造をもつ成分(B)の複数の脂環式エポキシ基とが反応して硬化物が得られる。この硬化物においては、結合エネルギーの高いシロキサン結合が主体となっており、耐光性及び耐熱黄変性が高められるものと推測される。さらに、前記カルボキシル基は脂環式エポキシ基と架橋反応して剛直な構造を示し、シルセスキオキサン骨格も剛直な構造を示すことから、硬化物の硬度が高められその表面におけるタック性が抑えられる。
従って、熱硬化性樹脂組成物は、硬化物の表面非タック性が良く、透明で耐光性及び耐熱黄変性に優れ、短波長領域で高出力な発光素子の封止等に好適に用いることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、下記に示す成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサン及び成分(B)の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンを含有し、両成分の含有量の比率が質量基準で(A):(B)=20:80〜80:20のものである。この熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、表面非タック性が良く、透明で耐光性及び耐熱黄変性に優れ、短波長領域で高出力な発光素子の封止等に好適に用いることができる。
<成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサン>
カルボキシル基含有ポリシロキサンは、カルボキシル基を複数(2個以上)有するカルボキシル基含有ポリシロキサンであり、下記式(1)で示される構造を有する。
Figure 2010053203
〔式(1)中、aは0〜50の整数、bは3〜300の整数であり、Rは炭素数が1〜6のアルキル基、Xは下記式(2)又は−(CH−COOH(但し、nは1〜20の整数)で表される置換基であり、XはR又は下記式(2)で表される置換基であり(但し、a=0のときX≠R)、RとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
式(1)における、Rは炭素数が1〜6のアルキル基、好ましくは1〜3のアルキル基であり、Rは全て同一でも異なっていても良い。Rがアルキル基ではなく芳香族炭化水素基や脂環族炭化水素基であると、耐光性が低下する。Rの炭化水素数が6を上回る場合には、有機成分として炭化水素が増大するため耐熱黄変性が低下する。
として具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖型アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、3−メチルブチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、t−ヘキシル基等の分岐型アルキル基が挙げられる。これらのうち耐熱性の点から、メチル基が特に好ましい。
式(1)におけるXは、下記式(2)又は−(CH−COOH(但し、nは1〜20の整数)で表される置換基である。但し、前記のX中、少なくとも2個は下記式(2)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 2010053203
式(2)中、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、kは0又は1である。Rの炭素数が10を上回る場合には、有機成分が増大するため硬化物の耐熱黄変性が低下する。Rとして具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基(−R−);メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、メチレンテトラオキシメチレン基等のアルキレンオキシアルキレン基(−ROR−)が挙げられる。これらのRのうち、炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。
式(2)はシクロヘキサン環上にカルボン酸が置換されている構造である。シクロヘキサン環構造を有することにより、柔軟性の高いポリシロキサンに剛性を付与することができ、表面非タック性が良好となる。前記Xが−(CH−COOHである場合には、そのnは5〜15の整数であることが好ましく、その例として−(CH−COOH、−(CH10−COOH、−(CH12−COOH等が挙げられる。
カルボキシル基含有ポリシロキサンにおけるカルボキシル基含有セグメントの繰り返し単位数、すなわち式(1)におけるaは0〜50、好ましくは0〜10である。aが0の場合、X≠Rであり、両末端にのみカルボキシル基を有することを意味する。aが1〜50の場合、側鎖にカルボキシル基を有することになり、より密な架橋構造をとることができ、硬化物の表面非タック性や硬度の点から好ましい。
aが50を超える場合、硬化物の表面非タック性は良好であるものの、耐熱黄変性が低下する。これは、カルボキシル基含有ポリシロキサンにおける酸当量が小さくなって有機成分が増大するためである。有機成分中の結合(炭素−炭素結合や炭素−酸素結合)はシロキサン結合よりも結合エネルギーが低く分解しやすいからである。なお、酸当量は、式(1)のカルボキシル基含有ポリシロキサンの1モル当りのカルボキシル基生成量を得るために必要な質量を意味する。
カルボキシル基含有ポリシロキサンにおけるカルボキシル基不含セグメントの繰り返し単位数、すなわち式(1)におけるbは、3〜300、好ましくは9〜150である。bが3未満の場合、カルボキシル基含有ポリシロキサンにおけるシロキサン含有量が少なくなり、有機成分が増大するため、耐熱黄変性が低下する。bが300を超える場合、カルボキシル基含有ポリシロキサンの分子量が高くなると共に、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなるため、成分(B)との相溶性や作業性において問題の生じる場合がある。
また、熱硬化性樹脂組成物の配合において、成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサンにおける[カルボキシル基含有セグメント(a)]/[カルボキシル基不含セグメント(b)]の比率(a)/(b)は、通常0.01〜5、好ましくは0.03〜3である。比率(a)/(b)がこの範囲である場合、カルボキシル基含有ポリシロキサンの酸当量が十分な値となり、良好な硬化性が得られる。この(a)/(b)が0.01より小さい場合、酸当量が大きく、熱硬化性樹脂組成物の硬化性が不十分になる場合がある。その一方、(a)/(b)が5より大きい場合、酸当量が小さく、硬化物の透明性が不十分になる場合がある。
カルボキシル基含有ポリシロキサンは、式(1)において、式(2)に相当する置換基Xが−R−OHであるカルビノール基含有前駆体をシクロヘキサンポリカルボン酸無水物と等モルで反応させる開環ハーフエステル化反応によって定量的に得られる。カルボキシル基含有ポリシロキサンを合成する際に使用されるシクロヘキサンポリカルボン酸無水物としては、具体的にはシクロヘキサンジカルボン酸無水物及びシクロヘキサントリカルボン酸無水物が挙げられる。該シクロヘキサンポリカルボン酸無水物は1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
カルビノール基含有ポリシロキサンは、両末端官能型で数平均分子量Mnが1000〜20000のものが好ましい。この数平均分子量が1000より低くなるとシロキサン含有量が少なくなり、その分有機成分が増大するため、硬化物の耐熱黄変性が低下する場合がある。一方、数平均分子量が20000より高くなると熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇するため、塗工性に支障を来す場合がある。
カルボキシル基含有ポリシロキサンの製造方法では、カルビノール基含有ポリシロキサンのヒドロキシル基1モルに対し、シクロヘキサンポリカルボン酸無水物の酸無水物基が1モル反応するように配合を行う。反応条件は通常、室温〜200℃の温度範囲で、1〜100時間に設定される。
<成分(B)の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン>
脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンは多面体構造を有するシロキサンであって、下記の式(3)で示される構造を有している。
Figure 2010053203
〔式(3)中、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、mは1〜3の整数、Rは置換又非置換のアルキル基、rは6、8、10及び12から選ばれた数、pは2〜rの整数及びqは0〜(r−p)の整数を表す。〕
すなわち、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンは、下記の式(4)で示されるシルセスキオキサン骨格に、下記の式(5)で示される脂環式エポキシ基を有する置換基、下記の式(6)で示されるアルコキシシリル基を有する置換基、及び下記の式(7)で示されるアルキル基を有する置換基をそれぞれp、q、及びr−p−q個有するかご型シルセスキオキサンである。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
式(5)におけるRとしては、炭素数が1〜3のアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基として具体的にはエチレン基〔−(CH−〕が好ましい。
Figure 2010053203
式(6)におけるRとしては、炭素数が1〜3のアルキレン基であることが好ましい。係るアルキレン基としては、エチレン基が好ましい。R及びRは炭素数が1〜3のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基(−CH)が好ましい。
Figure 2010053203
式(7)におけるRの置換又は非置換のアルキル基とは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基、エーテル結合を含有する炭素数1〜20の炭化水素基、エステル結合を含有する炭素数1〜20の炭化水素基及びトリオルガノシロキシ基を含有する炭素数1〜12の炭化水素基からなる群から選択された少なくとも1種である。
具体的には、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基等が挙げられる。トリオルガノシロキシ基を含有する炭素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の通常、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜6程度の直鎖状、環状又は分岐状のアルキレン基にトリオルガノシロキシ基が結合したトリオルガノシロキシ置換アルキル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
式(3)におけるrは6、8、10及び12から選ばれた数であり、好ましくは8である。pは2〜rの整数であり、好ましくは4〜rの整数である。このrが2より小さいと硬化物に架橋構造が形成されず、目的の物性を有する硬化物とはならない。qは0〜(r−p)の整数であり、1以上の整数とすると、カルボキシル基とエポキシ基の反応に加えて、アルコキシ基同士の加水分解及び重縮合による結合でも架橋構造を形成することが可能となって硬度が増すため、表面非タック性の点から好ましい。
上記かご型シルセスキオキサンの合成法としては、かご型シルセスキオキサンの骨格構造を合成したものに置換基を導入する方法、又は置換基を有する3官能有機ケイ素単量体の加水分解による方法等が知られているが、そのいずれの方法を用いてもよい。かご型シルセスキオキサン類の骨格構造は各種の方法で合成でき、例えばChem.Rev.1995,95,1431やJ.Am.Che.Soc.1989,111,1741又はOrganometallics.1991,10,2526等に記載されている方法で合成することができる。また、例えば6面体の各頂点がケイ素で各辺が酸素でできたオクタキス(ヒドリドシルセスキオキサン)にヒドロシリル化反応を利用して頂点のケイ素上にアルキル基を導入することができる(例えば、特許第3020164号公報参照)。
<成分(A)と成分(B)の含有量の比率>
熱硬化性樹脂組成物における、成分(A)と成分(B)の含有量の比率が質量基準で成分(A):成分(B)=20:80〜80:20であり、好ましくは30:70〜75:25である。成分(A):成分(B)=20:80を外れて成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサンの含有量が少なくなり過ぎると、熱硬化性樹脂組成物の硬化性が不十分となり、硬化物の耐熱性が低下する。その一方、成分(A):成分(B)=80:20を外れて成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサンの含有割合が多くなり過ぎると、成分(B)の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンの割合が少なくなるため、かご型シルセスキオキサン骨格の剛直な性質が発現されにくくなり、硬化物の表面非タック性が得られなくなる。
さらに、成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサンと成分(B)の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンの配合量は、(カルボキシル基含有ボリシロキサンに由来するカルボキシル基の当量)/(脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンに由来するエポキシ基の当量)の比率(当量比)が通常0.2〜2.0、好ましくは0.7〜1.2、より好ましくは0.8〜1.1になるよう調整される。係る比率が0.2を下回る場合には熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物の密着性が低下するおそれがあり、一方2.0を上回る場合には過剰のカルボン酸により硬化不良が起きたり、硬化物の透明性が低下したりする。
成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサンと成分(B)の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンを上記の割合で用いることによって、表面非タック性、耐光性及び耐熱黄変性を同時に満たす優れた性能を発現することができる熱硬化性樹脂組成物が得られるのである。これらの優れた性能を発現することができる機構については、次のように推定される。
すなわち、一般的にポリシロキサンやシルセスキオキサンは、シロキサン結合(ケイ素−酸素結合)で構成されており、このシロキサン結合は炭素−炭素結合に比べて原子結合エネルギーが高いため、耐光性や耐熱黄変性を高めることができるものと考えられる。熱硬化性樹脂組成物にはカルボキシル基含有ポリシロキサンと、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンとが含まれており、シロキサン含有量が高いことから、硬化物の耐光性や耐熱黄変性を向上させることができる。
タック性は硬化物の硬度に起因するところが大きい。カルボキシル基含有ポリシロキサン末端のカルボキシル基や、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンの脂環式エポキシ基はシクロヘキサンに結合しているため剛直な構造となる。また、かご型シルセスキオキサン骨格も剛直な構造であり、これらの相乗効果により硬度が増加し、表面非タック性が良好となるものと考えられる。
<熱硬化性樹脂組成物の硬化>
熱硬化性樹脂組成物を熱硬化又は光硬化させることにより、光半導体封止剤などとして用いられる硬化物が得られる。この場合、熱硬化性樹脂組成物は、低温にて短時間で硬化させる際に硬化反応を促進し、硬化物に良好な化学的性能及び物理的性能を付与する目的で、酸触媒を添加してもよい。この酸触媒としては、リン酸、スルホン酸、ホウ酸等のプロトン酸;フッ化ホウ素(BF)、塩化第二鉄(FeC1)、塩化第二スズ(SnC1)、塩化アルミニウム(A1C1)、塩化亜鉛(ZnC1)、有機金属錯体等のルイス酸が挙げられる。これらのうち、硬化性や透明性の観点から、有機金属錯体が特に好ましい。酸触媒は、上記化合物のいずれか1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
この酸触媒の添加量は、熱硬化性樹脂組成物の総固形分量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部の範囲で設定される。酸触媒の添加量が0.01質量部未満の場合には触媒効果が十分に発揮されず、10質量部を超える場合には得られる硬化物が着色したり、耐水性が低下したりすることがあり好ましくない。
熱硬化性樹脂組成物は有機溶剤で希釈して使用することができる。有機溶剤としては、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、エステル類、含ハロゲン脂肪族炭化水素、ケトン類、エーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組合せて用いてもよい。有機溶剤の使用量は、熱硬化性樹脂組成物100質量部に対して、通常30質量部以下、好ましくは7質量部以下である。
また、熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤、変性剤、充填剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤等のその他の添加剤を常法に従って配合することができる。その他の添加剤は、単独でも、2種以上を組合せて使用してもよい。また、その添加量は熱硬化性樹脂組成物の総固形分量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部である。
熱硬化性樹脂組成物を封止剤として使用する場合には、該熱硬化性樹脂組成物を熱硬化又は光硬化することにより実施することができる。その際には、熱硬化性樹脂組成物をオーバーコート法、ディップコート法等により塗布して硬化させたり、容器内に該組成物を入れてその中に光半導体素子をディップしてそのまま硬化させたり等して光半導体素子の封止を行うことができる。
<実施形態によって発揮される効果のまとめ>
・ 本実施形態の熱硬化性樹脂組成物では、成分(A)としてシクロヘキサン環を有する特定構造のカルボキシル基含有ポリシロキサン及び成分(B)としてシクロヘキサン環を有する特定構造の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサンを含んでいる。そして、両成分の含有量の比率が質量基準で(A):(B)=20:80〜80:20の範囲に設定されている。このため、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化又は光硬化させると、成分(A)の複数のカルボキシル基と成分(B)の複数の脂環式エポキシ基とが反応して硬化物が得られる。この硬化物においては、結合エネルギーの高いシロキサン結合が主体となっており、耐光性及び耐熱黄変性が高められるものと考えられる。加えて、前記カルボキシル基や脂環式エポキシ基はシクロヘキサン環に結合して剛直な構造を示し、シルセスキオキサン骨格も剛直な構造を示すことから、硬化物の硬度が高められその表面におけるタック性が抑えられる。
従って、熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物の表面非タック性が良く、透明で耐光性及び耐熱黄変性に優れている。よって、短波長領域で高出力な発光素子、特にLED素子の封止等の要求の厳しい用途に好適に使用することができる。
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
〔合成例1、カルボキシル基含有ポリシロキサン(A−1)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、下記式(8)で表されるカルビノール基含有ポリシロキサン(分子量1810)164.1g及びシクロヘキサントリカルボン酸無水物35.9gを投入し、反応温度140℃で付加反応を行った。同温度で6時間反応させた後、反応終了とし、放冷させた後に回収した。その結果、下記式(9)で表される無色透明のカルボキシル基含有ポリシロキサン(A−1、酸当量=533g/mol)を91%の収率で得た。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
〔合成例2、カルボキシル基含有ポリシロキサン(A−2)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、下記式(10)で表されるカルビノール基含有ポリシロキサン(分子量11220)180.8g及びシクロヘキサントリカルボン酸無水物19.2gを投入し、反応温度140℃で付加反応を行った。同温度で6時間反応させた後、反応終了とし、放冷させた後に回収した。その結果、下記式(11)で表される無色透明のカルボキシル基含有ポリシロキサン(A−2、酸当量=1034g/mol)を92%の収率で得た。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
〔合成例3、カルボキシル基含有ポリシロキサン(A−3)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた1Lの4つロフラスコに、下記式(12)で表されるカルビノール基含有ポリシロキサン(分子量918)149.8g及びシクロヘキサンジカルボン酸無水物50.2gを投入し、反応温度140℃で付加反応を行った。同温度で6時間反応させた後、反応終了とし、放冷させた後に回収した。その結果、下記式(13)で表される無色透明のカルボキシル基含有ポリシロキサン(A−3、酸当量=613g/mol)を93%の収率で得た。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
〔合成例4、カルボキシル基含有ポリシロキサン(A−4)の合成〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた1リットルの4つ口フラスコに、式(14)で表されるハイドロジェンメチルポリシロキサン84g、トルエン500g、下記式(15)で表されるトリメチルシリル末端基のオルガノアシロキシシラン256gを加え、110℃で6時間反応させた後、赤外分光光度計によりSi−H結合の消滅を確認した。その後、水を加え110℃で5時間加熱した後、赤外分光光度計によりカルボキシル基の生成を確認し、下記式(16)で表される無色透明のカルボキシル基含有ポリシロキサン(A−4)を69%の収率で得た。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
Figure 2010053203
〔合成例5、カルボキシル基含有ポリシロキサン(A−5)の合成〕
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた1リットルの4つ口フラスコに、下記式(17)で表されるハイドロジェンメチルポリシロキサン87g、トルエン500g、前記式(15)で表されるトリメチルシリル末端基のオルガノアシロキシシラン256gを加え、110℃で4時間反応させた後、赤外分光光度計によりSi−H結合の消滅を確認した。その後、水を加え110℃で5時間加熱した後、赤外分光光度計によりカルボキシル基の生成を確認し、下記式(18)で表される無色透明のカルボキシル基含有オルガノポリシロキサン(A−5)を77%の収率で得た。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
〔合成例6、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(SQ−1)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、窒素雰囲気下、オクタキス[ヒドリドジメチルシロキシ]シルセスキオキサン(OHSS)を10.18g(10mmol)、4−ビニルシクロヘキセン−1,2−エポキシドを4.97g(40mmol)、1−オクテンを4.49g(40mmol)及び脱水トルエンを30g投入した。OHSSを溶解させた後、触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金0.1Mキシレン溶液を0.03mL加えて、70℃で3時間反応させた。その後、活性炭によって触媒を取り除き、溶媒を留去することにより、無色透明粘性液体18.7g(9.5mmol)を得た。
得られた反応物を、1H−NMRスペクトルで測定した結果、下記式(19)で表されるかご型シルセスキオキサン(SQ−1)であることが確認された。得られたSQ−1の収率は95%であり、エポキシ当量は491g/molであった。
Figure 2010053203
〔合成例7、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(SQ−2)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、窒素雰囲気下、OHSSを10.18g(10mmol)、4−ビニルシクロヘキセン−1,2−エポキシドを4.97g(40mmol)、ジメトキシメチルビニルシランを5.29g(40mmol)及び脱水トルエンを30g投入した。OHSSを溶解させた後、触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金0.1Mキシレン溶液を0.03mL加えて、70℃で3時間反応させた。その後、活性炭により触媒を取り除き、溶媒を留去することにより、無色透明粘性液体19.2g(9.4mmol)を得た。
得られた反応物を、1H−NMRスペクトルで測定した結果、下記式(20)で表されるかご型シルセスキオキサン(SQ−2)であることが確認された。得られたSQ−2の収率は94%であり、エポキシ当量は511g/molであった。
Figure 2010053203
〔合成例8、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(SQ−3)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、窒素雰囲気下、OHSSを10.18g(10mmol)、4−ビニルシクロヘキセン−1,2−エポキシドを4.97g(40mmol)、トリメトキシビニルシランを1.48g(10mmol)、1−オクテンを3.37g(30mmol)及び脱水トルエンを30g投入した。OHSSを溶解させた後、触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金0.1Mキシレン溶液を0.03mL加えて、70℃で3時間反応させた。その後、活性炭によって触媒を取り除き、溶媒を留去することにより、無色透明粘性液体19.0g(9.5mmol)を得た。
得られた反応物を、1H−NMRスペクトルで測定した結果、下記式(21)で表されるかご型シルセスキオキサン(SQ−3)であることが確認された。得られたSQ−3の収率は95%であり、エポキシ当量は500g/molであった。
Figure 2010053203
〔合成例9、脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(SQ−4)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、窒素雰囲気下、オクタキス[ヒドリドジメチルシロキシ]シルセスキオキサン(OHSS)を10.18g(10mmol)、4−ビニルシクロヘキセン−1,2−エポキシドを6.21g(50mmol)、1−オクテンを3.37(30mmol)及び脱水トルエンを30g投入した。OHSSを溶解させた後、触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金0.1Mキシレン溶液を0.03mL加えて、70℃で3時間反応させた。その後、活性炭によって触媒を取り除き、溶媒を留去することにより、無色透明粘性液体18.8g(9.5mmol)を得た。
得られた反応物を、1H−NMRスペクトルで測定した結果、下記式(22)のように表されるかご型シルセスキオキサン(SQ−4)であることが確認された。得られたSQ−4の収率は95%であり、エポキシ当量は395g/molであった。
Figure 2010053203
〔比較合成例1、カルボキシル基含有ポリシロキサン(A−6)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、下記式(23)で表されるカルビノール基含有ポリシロキサン(分子量24158)を195.2g及びシクロヘキサントリカルボン酸無水物4.8gを投入し、反応温度140℃で付加反応を行った。同温度で6時間反応させた後、反応終了とし、放冷させた後に回収した。その結果、下記式(24)で表される無色透明のカルボキシル基含有ポリシロキサン(A−6、酸当量=4125g/mol)を91%の収率で得た。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
〔比較合成例2、エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(SQ−5)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、窒素雰囲気下、オクタキス[ヒドリドジメチルシロキシ]シルセスキオキサン(OHSS)を10.18g(10mmol)、アリルグリシジルエーテルを4.57g(40mmol)、1−オクテンを4.49g(40mmol)及び脱水トルエンを30g投入した。OHSSを溶解させた後、触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金0.1Mキシレン溶液を0.03mL加えて、70℃で3時間反応させた。その後、活性炭で触媒を取り除き、溶媒を留去することにより、無色透明粘性液体18.1g(9.5mmol)を得た。
得られた反応物を、1H−NMRスペクトルで測定した結果、下記式(25)で表されるかご型シルセスキオキサン(SQ−5)であることが確認された。そのSQ−5の収率は94%であり、エポキシ当量は481g/molであった。
Figure 2010053203
〔比較合成例3、エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(SQ−6)の合成〕
温度計、還流冷却器及び撹拌機を備えた300mLの4つロフラスコに、窒素雰囲気下、オクタキス[ヒドリドジメチルシロキシ]シルセスキオキサン(OHSS)を10.18g(10mmol)、アリルグリシジルエーテルを9.13(80mmol)及び脱水トルエンを30g投入した。OHSSを溶解させた後、触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金0.1Mキシレン溶液を0.03mL加えて、70℃で3時間反応させた。その後、活性炭で触媒を取り除き、溶媒を留去することにより、無色透明粘性液体18.2g(9.4mmol)を得た。
得られた反応物を1H−NMRスペクトルで測定した結果、下記式(26)で表されるかご型シルセスキオキサン(SQ−6)であることが確認された。そのSQ−6の収率は94%であり、エポキシ当量は241g/molであった。
Figure 2010053203
〔試験方法〕
実施例及び比較例における硬化物外観、表面非タック性、耐光性及び耐熱黄変性の試験方法を下記に示す。
(1)硬化物外観
熱硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚さ3mmの硬化物を作製した。作製した硬化物の外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:透明であった。×:白化していた。
(2)表面非タック性
熱硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚さ3mmの硬化物を作製した。作製した硬化物を、触指観察により試験片の表面のタック性を観察し、下記の基準で表面非タック性を評価した。
○:タックが認められなかった。×:タックが認められた。
(3)耐光性
熱硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚さ3mmの硬化物を作製した。作製した硬化物に、スポットUV照射装置〔HOYA(株)製、EXECURE4000〕にて紫外線(UV)を2時間照射し、その後目視により色の変化を観察した。観察した結果から、以下の基準に従って評価を行い、○以上をもって実用に適うものと判定した。
◎:変化なし。○:淡黄色に着色。△:黄色に着色。×:茶色に着色。
(4)耐熱黄変性
熱硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚さ3mmの硬化物を作製した。作製した硬化物を、150℃で24時間保管し、その後色差計〔(株)ミノルタ製、CM−3500d〕で硬化物の色差を測定した。測定した色差のb値から、以下の基準に従って評価を行い、○以上をもって実用に適うものと判定した。
◎:1未満。○:1以上2未満。△:2以上4未満。×:4以上。
〔実施例1〜8及び比較例1〜7〕
実施例1〜8及び比較例1〜7の熱硬化性樹脂組成物を、成分(A)のカルボキシル基含有ポリシロキサン、成分(B)の脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン及び添加剤の組成が表1及び表2に示す組成となるように配合し、均一に撹拌することにより調製した。この場合、カルボキシル基/エポキシ基の当量比がほぼ1となるように各成分を配合した。次いで、各実施例及び比較例の熱硬化性樹脂組成物を上記に示した試験法に合わせた形状に成形し、1分間減圧脱泡を行った後、100℃で1時間プリベイク後に、150℃で1時間本硬化させることにより硬化物を得た。
得られた硬化物について、硬化物外観、表面非タック性、耐光性及び耐熱黄変性を前記の方法で測定し、それらの結果を表1及び表2に示した。なお、表1及び表2中の略号の意味は以下の通りである。
AO−50:ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、酸化防止剤〔(株)ADEKA製「アデカスタブAO−50」、商品名〕
X−22−3710:片末端カルボン酸変性シリコーンオイル〔信越化学工業(株)製の商品名〕、カルボキシル当量1,470g/mol
MH−700:4−メチルヘキサヒドロフタル酸〔新日本理化(株)製「リカシッドMH−700」、商品名〕
X−22−169AS:脂環式エポキシ変性シリコーンオイル〔信越化学工業(株)製の商品名〕、エポキシ当量500g/mol
Cel2021P:(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル 3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、脂環式エポキシ樹脂〔ダイセル化学工業(株)製「セロキサイド2021P」、商品名〕、エポキシ当量126g/mol。
Figure 2010053203
Figure 2010053203
表1に示したように、実施例1〜8の熱硬化性樹脂組成物では、透明性、耐光性、耐熱黄変性及び表面非タック性のいずれの特性についても優れることが明らかになった。従って、実施例1〜8の熱硬化性樹脂組成物を光半導体封止用として好適に使用することができ、電子部品材料や光半導体素子の封止材料として非常に有用である。
その一方、表2に示したように、比較例1においては、本発明のカルボキシル基含有ポリシロキサン(A)に換えて、片末端カルボン酸変性シリコーンオイルを用いた場合、硬化物外観、表面非タック性、及び耐熱黄変性の性能が実用レベルに達しなくなることが判る。同様に比較例2においては、カルボキシル基を1個のみ有する片末端カルボン酸変性シリコーンオイルを硬化剤として用いた場合には、成分間の相溶性が十分で無いため硬化物外観が悪化し実用に供せなくなってしまう。カルボキシル基含有ポリシロキサン(A)と脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(B)の割合が本発明の熱硬化性樹脂組成物の割合の範囲に無い場合には、比較例3に示すように表面非タック性が得られない。さらに、比較例4〜6においては、本発明に用いる脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン(B)とは構造が異なるエポキシ化合物を用いている。そのため、透明性、耐光性、耐熱黄変性及び表面非タック性の少なくとも1つに問題が生じることが確認された。
以上説明したように、本発明によって、透明性、耐光性、耐熱黄変性、表面非タック性の優れた熱硬化性樹脂組成物が提供される。そのため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、光半導体用封止剤等の光学電子部材用途に有用である。

Claims (1)

  1. 下記の成分(A)及び成分(B)を含有し、両成分の含有量の比率が質量基準で成分(A):成分(B)=20:80〜80:20であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
    成分(A):カルボキシル基を複数個有し、下記式(1)で示される構造を有するカルボキシル基含有ポリシロキサン。
    Figure 2010053203
    〔式(1)中、aは0〜50の整数、bは3〜300の整数であり、Rは炭素数が1〜6のアルキル基、Xは下記式(2)又は−(CH−COOH(但し、nは1〜20の整数)で表される置換基であり、XはR又は下記式(2)で表される置換基であり(但し、a=0のときX≠R)、RとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
    Figure 2010053203
    〔式(2)中、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、kは0又は1である。〕
    成分(B):脂環式エポキシ基を複数個有し、下記式(3)で示される構造を有する脂環式エポキシ基含有かご型シルセスキオキサン。
    Figure 2010053203
    〔式(3)中、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基又はアルキレンオキシアルキレン基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、mは1〜3の整数、Rは置換又非置換のアルキル基、rは6、8、10及び12から選ばれた数、pは2〜rの整数及びqは0〜(r−p)の整数を表す。〕
JP2008217744A 2008-08-27 2008-08-27 熱硬化性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP5109873B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008217744A JP5109873B2 (ja) 2008-08-27 2008-08-27 熱硬化性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008217744A JP5109873B2 (ja) 2008-08-27 2008-08-27 熱硬化性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010053203A true JP2010053203A (ja) 2010-03-11
JP5109873B2 JP5109873B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=42069451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008217744A Expired - Fee Related JP5109873B2 (ja) 2008-08-27 2008-08-27 熱硬化性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5109873B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010053204A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Nof Corp 熱硬化性樹脂組成物
JP2010083955A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Nof Corp 熱硬化性樹脂組成物
JP2010229324A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Nof Corp 熱硬化性樹脂組成物
WO2011043400A1 (ja) * 2009-10-06 2011-04-14 日本化薬株式会社 多価カルボン酸組成物およびその製造方法、ならびに該多価カルボン酸組成物を含有してなる硬化性樹脂組成物
WO2011155613A1 (ja) * 2010-06-11 2011-12-15 日本化薬株式会社 硬化性樹脂組成物およびその硬化物
JP2012077219A (ja) * 2010-10-04 2012-04-19 Nippon Steel Chem Co Ltd エポキシシリコーン樹脂含有硬化性樹脂組成物
WO2014136693A1 (ja) * 2013-03-05 2014-09-12 日本化薬株式会社 多価カルボン酸組成物、エポキシ樹脂用硬化剤組成物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
WO2014181754A1 (ja) * 2013-05-08 2014-11-13 旭化成ケミカルズ株式会社 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、光半導体用封止材及びダイボンディング材、並びに光半導体発光素子
JP5948317B2 (ja) * 2011-04-07 2016-07-06 日本化薬株式会社 多価カルボン酸樹脂およびその組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005336361A (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Sumitomo Bakelite Co Ltd エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2007204611A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Kri Inc シルセスキオキサン含有セルロース誘導体樹脂組成物
JP2007332211A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Univ Kansai 熱硬化性重合体組成物およびその硬化物
JP2009126901A (ja) * 2007-11-21 2009-06-11 Nof Corp 光半導体封止用熱硬化性樹脂組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005336361A (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Sumitomo Bakelite Co Ltd エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2007204611A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Kri Inc シルセスキオキサン含有セルロース誘導体樹脂組成物
JP2007332211A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Univ Kansai 熱硬化性重合体組成物およびその硬化物
JP2009126901A (ja) * 2007-11-21 2009-06-11 Nof Corp 光半導体封止用熱硬化性樹脂組成物

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010053204A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Nof Corp 熱硬化性樹脂組成物
JP2010083955A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Nof Corp 熱硬化性樹脂組成物
JP2010229324A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Nof Corp 熱硬化性樹脂組成物
WO2011043400A1 (ja) * 2009-10-06 2011-04-14 日本化薬株式会社 多価カルボン酸組成物およびその製造方法、ならびに該多価カルボン酸組成物を含有してなる硬化性樹脂組成物
JP5574447B2 (ja) * 2009-10-06 2014-08-20 日本化薬株式会社 多価カルボン酸組成物およびその製造方法、ならびに該多価カルボン酸組成物を含有してなる硬化性樹脂組成物
CN102939315A (zh) * 2010-06-11 2013-02-20 日本化药株式会社 可固化树脂组合物及其固化物
WO2011155613A1 (ja) * 2010-06-11 2011-12-15 日本化薬株式会社 硬化性樹脂組成物およびその硬化物
JP5768047B2 (ja) * 2010-06-11 2015-08-26 日本化薬株式会社 硬化性樹脂組成物およびその硬化物
TWI504628B (zh) * 2010-06-11 2015-10-21 Nippon Kayaku Kk Hardened resin composition and hardened product thereof
JP2012077219A (ja) * 2010-10-04 2012-04-19 Nippon Steel Chem Co Ltd エポキシシリコーン樹脂含有硬化性樹脂組成物
JP5948317B2 (ja) * 2011-04-07 2016-07-06 日本化薬株式会社 多価カルボン酸樹脂およびその組成物
WO2014136693A1 (ja) * 2013-03-05 2014-09-12 日本化薬株式会社 多価カルボン酸組成物、エポキシ樹脂用硬化剤組成物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
WO2014181754A1 (ja) * 2013-05-08 2014-11-13 旭化成ケミカルズ株式会社 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、光半導体用封止材及びダイボンディング材、並びに光半導体発光素子
JPWO2014181754A1 (ja) * 2013-05-08 2017-02-23 旭化成株式会社 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、光半導体用封止材及びダイボンディング材、並びに光半導体発光素子
US10208206B2 (en) 2013-05-08 2019-02-19 Asahi Kasei Chemicals Corporation Curable resin composition and cured product thereof, sealing material for optical semiconductor, die bonding material, and optical semiconductor light-emitting element

Also Published As

Publication number Publication date
JP5109873B2 (ja) 2012-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5109873B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP5251668B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
EP1819753B1 (en) Organopolysiloxane and curable silicone composition that contains aforementioned organopolysiloxane
JP5179013B2 (ja) 光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた光半導体装置
KR102081074B1 (ko) 축합반응형 실리콘 조성물 및 경화물
JP2004359933A (ja) 光素子用封止材
JP2008179811A (ja) シロキサン誘導体及びその硬化物
KR101408006B1 (ko) 에폭시 실리콘 축합물, 그 축합물을 포함하는 경화성 조성물 및 그 경화물
KR101096887B1 (ko) 열경화성 수지 조성물 및 광반도체 밀봉제
CN106947257A (zh) 环氧改性有机硅树脂、制造方法、固化性组合物和电子部件
KR20140148365A (ko) 규소 함유 경화성 수지조성물
TW201118134A (en) Curable resin composition and cured product thereof
US10308803B2 (en) Epoxy resin containing silicone-modified epoxy resin and polyvalent carboxylic acid compound, and cured product thereof
JP6146376B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及び光半導体封止剤
JP2009126901A (ja) 光半導体封止用熱硬化性樹脂組成物
JP5141499B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP6441024B2 (ja) シリコーン変性エポキシ樹脂と多価カルボン酸化合物を含有するエポキシ樹脂およびその硬化物
KR101784019B1 (ko) 광반도체 장치용 에폭시 수지 조성물 및 이를 사용한 광반도체 장치
CN105980482A (zh) 固化性组合物、半导体装置以及含酯键的有机硅化合物
JP5168491B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
WO2013062303A1 (ko) 변성 실리콘 수지 조성물
WO2014136805A1 (en) Curable silicone composition, cured product thereof, and optical semiconductor device
JP6691475B2 (ja) シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置
JP2009280769A (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物及び光半導体封止材
JP5406466B2 (ja) シロキサン誘導体及び硬化物並びに光半導体封止材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120911

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120912

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120924

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151019

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5109873

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees