JP2010052323A - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】延伸フィルムの製法において、厚み精度がよくないフィルムでも延伸後の厚みムラを充分小さくすることのできる方法を提供する。
【解決手段】下記条件(i)、(ii)を含む特徴とする延伸フィルムの製法である。
(i)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が、ガラス転移温度(Tg)を超えてから全工程における最高温度となるまでに、全延伸倍率の50〜95%の延伸を行う。
(ii)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が全工程における最高温度に達した後、表面温度を下げながら全延伸倍率の5〜50%の延伸を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、延伸フィルムの製造方法に関する。特に、光学フィルム用途など厚みムラの改善された延伸フィルムの製法に関する。
近年、液晶表示装置の大画面化および使用環境が広がるにつれ、視認性に対する要求が厳しくなっている。しかし、液晶セル本体の改良のみでは視認性向上への要求を十分満足することができないため、位相差フィルム等の光学フィルムの性能向上に依存するところが大きい。
位相差フィルム等の偏光を取り扱う装置に用いるプラスチックフィルムにおいては、厚みムラが大きい場合、いわゆるレンズ効果と称されるフィルム表面の凹凸により画像のゆがみ現象が生じ、画像の歪みなどによって画質品位が著しく低下してしまう。
そこで、フィルムの厚みムラを低減する方法として、特許文献1或いは2にはキャストの条件を最適化する技術が記載されている。これに対して、特許文献3では縦延伸にて厚み精度を確保する方法も検討されている。
特開平9−239812号公報 特開2000−263642号公報 特開2002−331574号公報
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、厚み精度がよくないフィルムでも延伸後の厚みムラを充分小さくすることのできる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記事情に鑑み、厚み精度がよくないフィルムでも延伸後の厚みムラを充分小さくすることのできる製造方法を見出した。
(1)フィルム状のアクリル系重合体を加熱して延伸する延伸フィルムの製造方法において、下記条件(i)、(ii)を含むことを特徴とするアクリル系延伸フィルムの製造方法。
(i)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が、ガラス転移温度(Tg)を超えてから全工程における最高温度となるまでに、全延伸倍率の50〜95%の延伸を行う。
(ii)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が全工程における最高温度に達した後、表面温度を下げながら全延伸倍率の5〜50%の延伸を行う。


(2)少なくともフィルムの流れ方向に対して垂直方向(幅方向)に延伸を行うことを特徴とする、(1)に記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
(3)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度がガラス転移温度(Tg)に達するまで延伸は行わないことを特徴とする、(1)に記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
(4)前記アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)が110℃以上200℃以下である、(1)または(2)のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
(5)前記アクリル系重合体が、環構造を有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
(6)前記アクリル系重合体が、主鎖に環構造を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
(7)前記フィルム状のアクリル系重合体が、溶融製膜法によって作られたフィルムであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
本発明によれば、厚み精度がよくないフィルムでも延伸後の厚みムラを充分小さくすることができる。
以下に本発明を詳述する。本明細書において「主成分」とは、50重量%以上含有していることが意図される。なお、範囲を示す「a〜b」は、a以上b以下であることを示す。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、延伸する熱可塑性樹脂全般に効果がある。熱可塑性樹脂しては、アクリル樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が110℃以上200℃以下であるものに効果的であり、更に、アクリル樹脂に好適な発明である。なお、本発明の製法は、膜厚が、50μm〜500μmのフィルムに適している。さらに本発明の製法は、単層のフィルムに適している。
次に、本発明の延伸方法を詳述する。
(1.オーブン縦延伸)
オーブン縦延伸機はオーブン入口側と出口側にある搬送ロールとオーブンとから構成される。
オーブン入口側と出口側にある搬送ロールに周速差をつけることによってフィルム流れ方向に延伸を行う。また、オーブンはフィルムを延伸可能な温度まで加熱すると共に、延伸後のフィルムに熱処理効果を与える。
(2.ロール縦延伸)
ロール縦延伸機は、加熱可能な多数のロール或いはニップロール(予熱ロール)、と冷却可能な多数のロール或いはニップロール(冷却ロール)とから構成される。フィルムは多数の加熱ロールに連続接触しながら延伸する温度まで余熱され、冷却ロールとの短区間のニップロール間で延伸された後、冷却ロールによって冷却される。
(3.テンター延伸)
テンター横延伸機は横延伸用のクリップ走行装置とオーブンとから構成される。クリップ走行装置はフィルムの横端部をクリップで掴んで搬送すると同時にクリップ走行装置のガイドレールを開いて左右2列のクリップ間の距離を広げることによって延伸する。なお、フィルムの流れ方向にもクリップの拡縮機能を持たせた同時二軸延伸機であっても良い。また、オーブンはフィルムを延伸可能な温度まで加熱すると共に、延伸後は必要に応じて熱処理を行い、その後冷却する。
いずれの場合においても、フィルムの加熱は、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg−10℃〜Tg+50℃が好ましく、より好ましくはTg−5℃〜Tg+30℃である。
本発明によれば、厚みムラの観点からフィルム状のアクリル系重合体の表面温度がTgを超えてから全延伸工程における最高温度となるまでに、全延伸倍率の50〜95%の延伸を行うことが好ましく、より好ましくは55〜85%の延伸を行うことである。また、フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が全工程における最高温度に達した後、表面温度を下げながら全延伸倍率の5〜50%の延伸を行うことが好ましく、より好ましくは15〜65%の延伸を行うことである。さらに、フィルム状のアクリル系重合体の表面温度がガラス転移温度(Tg)に達するまで延伸は行わないことが好ましい。なおここでいう全延伸工程とは、加熱、延伸、冷却の一連の操作を行う一つの工程のみを指す。例えば縦延伸、横延伸を一度ずつ逐次行う逐次延伸においては、縦延伸工程で延伸される倍率について全延伸工程として計算し、横延伸で延伸される倍率についても別途全延伸工程として計算するものとする。同時二軸延伸機については、流れ方向(縦方向)、幅方向(横方向)の延伸倍率についてそれぞれ独立に全延伸工程として計算するものとする。
次に上述した本発明に用いる熱可塑性樹脂の具体例を示す。
アクリル樹脂は、主成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体を重合して得られる樹脂およびその誘導体である。例えば、一般式(1)
Figure 2010052323

(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を示す。有機残基とは、具体的には、炭素数1〜20の直鎖状、枝分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基を示す。)で表される構造を有する化合物(単量体)、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシエキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられる。これらのうち1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。中でも、熱安定性に優れる点で(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
また、メタクリル系熱可塑性樹脂は、耐熱性の観点より、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドおよびメチルマレイミドなどのN−置換マレイミドが共重合されていてもよいし、分子鎖中(重合体中の主骨格中または主鎖中ともいう)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造およびグルタルイミド構造などが導入されていてもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子が含まれない構造が好ましい。また、正の複屈折率(正の位相差)を発現させやすい点で、主鎖にラクトン環構造を有するものが好ましい。主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、特に6員環が好ましい。このように、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合としては、後述する一般式(2)や、特開2004−168882号公報において表される構造などが挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成するうえにおいて、重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を高い重合収率で得易い点や、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
また、これらのアクリル樹脂は、耐熱性を損なわない範囲で共重合可能なその他の単量体成分を共重合した単位を有していても良い。共重合可能なその他の単量体成分としては、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル類等があげられる。以上のアクリル樹脂の重量平均分子量は、50,000以上2,000,000以下の範囲内であれば、厚みムラを最小限にする発明の効果を発揮できるが、好ましくは70,000以上1,000,000以下の範囲内、より好ましくは90,000以上500,000以下の範囲内である。
上記アクリル樹脂を製造する方法としては、公知の方法を用いて(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体組成物を重合すればよい。重合温度、重合時間は、使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度が0℃以上150℃以下の範囲内、重合時間が0.5時間以上20時間以下の範囲内であり、より好ましくは、重合温度が80℃以上140℃以下の範囲内、重合時間が1時間以上10時間以下の範囲内である。溶剤を用いた重合形態の場合、重合溶剤は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。後述するラクトン環含有重合体を製造する場合は、使用する溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50℃以上200℃以下の範囲内のものが好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや反応条件などに応じて適宜設定すればよい。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑止するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50重量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50重量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下である。なお、重合反応混合物中の重合体の濃度があまりに低すぎると生産性が低下するため、重合反応混合物中の重合体の濃度は、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されず、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中の生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより十分に抑止することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中の水酸基およびエステル基の割合を高めた場合であってもゲル化を十分に抑制できる。
添加する重合溶剤としては、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの溶剤であってもよいし、2種以上の混合溶剤であってもよい。上記重合反応を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれている。上記重合体を、以下に詳述するラクトン環含有重合体とする場合では、溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、その後に続くラクトン環化縮合工程を行うことが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合反応によって得られたアクリル樹脂の色相は特に問わないが、透明であり黄変度が小さい方がアクリル樹脂の本来の特徴を損なわない為、好適である。上記アクリル樹脂は例えば3mm厚の成形体とした場合のヘイズ値が3以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。また該成形体のYI(イエローインデックス)値が、10以下、好ましくは5以下である。
(ラクトン環含有重合体)
上記アクリル樹脂としては、透明性、耐熱性、光学等方性がいずれも高く、各種光学用途に応じた特性を十分に発揮できるため、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体に、分子内環化反応によりラクトン環構造を導入した、いわゆるラクトン環含有重合体を含むことが好ましく、主成分とすることが特に好ましい。ラクトン環含有重合体としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、下記一般式(2)で表されるラクトン環構造を有する。
Figure 2010052323

(式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
ラクトン環含有重合体構造中の、一般式(2)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5重量%以上90重量%以下、より好ましくは10重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上60重量%以下、特に好ましくは10重量%以上50重量%以下である。上記含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になることがあり、好ましくない。また、上記含有割合が90重量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなることがあり、好ましくない。
ラクトン環含有重合体は、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(3)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
Figure 2010052323

(式中、R6は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R7基、または−C−O−R8基を表し、Ac基はアセチル基を表し、R7およびR8は水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。) 特に、ラクトン環含有重合体に本発明を用いると、破断、ひび割れ、表面ムラ、スジなどの不具合が発生せず、均一物性である耐熱アクリル樹脂製の光学フィルムが得られる。
ラクトン環含有重合体において、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10重量%以上95重量%以下の範囲内、より好ましくは10重量%以上90重量%以下の範囲内、さらに好ましくは40重量%以上90重量%以下の範囲内、特に好ましくは50重量%以上90重量%以下の範囲内である。
また、水酸基含有単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、好ましくは0重量%以上30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%以上20重量%以下の範囲内、さらに好ましくは0重量%以上15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内である。また、不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、好ましくは0重量%以上30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%以上20重量%以下の範囲内、さらに好ましくは0重量%以上15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内である。
また、一般式(3)で表される単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、一般式(2)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、好ましくは0重量%以上30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%以上20重量%以下の範囲内、さらに好ましくは0重量%以上15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%以上10重量%以下の範囲内である。
ラクトン環含有重合体の製造方法は特に限定されるものではないが、好ましくは、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、当該重合体を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環縮合反応を行うことによって得ることができる。
ラクトン環構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、重合体に高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不十分であると、耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在する恐れがあるため好ましくない。
上記重合体をラクトン環縮合反応を行うために加熱処理する方法については、例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。また、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。また、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を持つ加熱炉や反応装置、脱揮装置のある押出機等を用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、上記重合体に加えて、他のアクリル樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に示されている様に、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
環化縮合反応を行う際には、有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応率を向上させることができるとともに、得られるラクトン環含有重合体の着色を大幅に低減することができる。さらに、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の際に触媒として用いることができる有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアルキル(アリール)亜ホスホン酸(但し、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸等のジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸等のアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニル等のリン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のモノ、ジ若しくはトリアルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン等のアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン等の酸化モノ、ジ若しくはトリアルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性が高くて低着色性のため、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸ジエステルあるいはモノエステルが特に好ましい。これら有機リン化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されないが、上記重合体に対して、好ましくは0.001〜5重量%の範囲内、より好ましくは0.01〜2.5重量%の範囲内、さらに好ましくは0.01〜1重量%の範囲内、特に好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲内である。触媒の使用量が0.001重量%未満であると、環化縮合反応の反応率の向上が十分に図れないおそれがあり、一方、5重量%を超えると、着色の原因となったり、重合体の架橋により溶融賦形しにくくなることがあるため、好ましくない。触媒の添加時期は特に限定されず、反応初期に添加しても、反応途中に添加しても、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、且つ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
<測定方法>
本発明における物性の測定は以下の方法で行う。実施例及び比較例においても、同様の方法で行った。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度には各種の測定方法があるが、本明細書においては示差走査熱量計(DSC)によってASTM−D−3418に従って中点法で求めた温度と定義する。
(フィルムの厚さ)
デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いて測定した。
(フィルム表面温度の測定)
表面に熱電対を貼り付けたフィルムを走行させ、フィルムの表面温度をデータロガー((株)キーエンス製)にて読み取った。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[製造例1]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した1m2の反応釜に、204kgのメタクリル酸メチル(MMA)、51kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、249kgのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として281gのターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加すると同時に、561gの重合開始剤と5.4kgのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、255gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度250℃、回転数150rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(Φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で15kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た。
次いでΦ50mm、多条フライト構造のミキシング部を有するフルフライト型スクリューからなるL/D=36の単軸押出し機を用い、耐熱アクリル樹脂ペレット90部、AS樹脂(旭化成ケミカルズ社製スタイラックAS783)10部および酢酸亜鉛0.04部をシリンダ設定温度270℃にて50kg/時間の処理速度で溶融押出しをおこない、樹脂ペレット(1A)を作成した。得られた樹脂ペレット(1A)の質量平均分子量は132000、ラクトン環含有割合は28.5%であり、ガラス転移温度は125℃であった。
[製造例2]
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入管を備えた容量1m2の反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)150kg、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)75kg、メタクリル酸n−ブチル(BMA)25kg、トルエン250kgを仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温し、還流したところで、重合開始剤として、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.15kgを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富(株)製、ルペロックス570)0.30kgとトルエン3.5kgからなる開始剤溶液を6時間かけて滴下しながら、還流下(約105℃〜111℃)で溶液重合を行い、開始剤溶液の滴下後さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合体(2A)の重量平均分子量は195000であり、重合反応率は96.2%であった。また、重合体(2A)中のMHMAの構造単位の含有率は、30.2質量%で、MMA構造単位の含有率は、59.9質量%、BMA構造単位の含有率は9.9質量%であった。
得られた重合体溶液に、環化触媒としてリン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学社製、Phoslex A−8)0.250kgを加え、還流下、約85〜105℃で2時間、環化縮合反応(重合体を分子内脱アルコール反応させ、重合体分子内にラクトン環構造を形成させる反応)を行った。
次いで、得られた重合体溶液を、熱交換器に通して220℃まで昇温し、バレル温度250℃、回転数170rpm、減圧度13.3hPa〜400hPa(10mmHg〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出機(φ=42mm、L/D=42)に、樹脂量換算で、15kg/時間の処理速度で導入し、押出機内で環化縮合反応と脱揮処理を行った。その際、第一フォアベントと第二フォアベントとの中間で、オクチル酸亜鉛(日本化学産業社製、ニッカオクチックス亜鉛18%)9.8質量部、チバ・スペシャリティケミカルズ社製Irganox1010、0.8質量部、旭電化工業社製アデカスタブAO−412S0.8質量部、トルエン88.6質量部からなる溶液を0.46kg/時間の速度で液注した。前記脱揮操作により、透明な樹脂ペレット(2B)を得た。得られた樹脂ペレット(2B)の重量平均分子量は128000であり、ガラス転移温度は133℃、メルトフローレートは12.4g/10分であった。
(実施例1)
製造例1で得られた樹脂ペレット(1A)を温度270℃で溶融押出して、厚み180μmの未延伸フィルムを成膜し、次いで、温度130℃まで加熱して縦方向に1.9倍に延伸を行った。得られたフィルム(1A−MF)の膜厚精度は±10μm(膜厚ブレは±10%)であった。
次に、フィルムの両端部から20mmの位置を2インチのクリップで掴みテンターへ供給し、以下の条件で2.2倍に延伸を行った。
予熱ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・125℃
予熱ゾーンでの拡縮 ・・・0%
延伸ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・135℃
延伸ゾーンでの拡縮 ・・・80%(1.76倍)
熱処理ゾーンで到達するフィルム表面温度・・・130℃
熱処理ゾーンでの拡縮 ・・・20%(0.44倍)
得られたフィルム(1A−BF−1)の平均膜厚は45μm、膜厚精度は±2μm(膜厚ブレは±4%)であり、膜厚ムラの改善効果を確認した。
(実施例2)
製造例2で得られた樹脂ペレット(2B)を温度275℃で溶融押出して、厚み300μmの未延伸フィルムを成膜し、次いで、温度130℃まで加熱して縦方向に2.0倍に延伸を行った。得られたフィルム(2B−MF)の膜厚精度は±20μm(膜厚ブレは±17%)であった。
次に、フィルムの両端部から20mmの位置を2インチのクリップで掴みテンターへ供給し、以下の条件で2.5倍に延伸を行った。
予熱ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・133℃
予熱ゾーンでの拡縮 ・・・0%
延伸ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・143℃
延伸ゾーンでの拡縮 ・・・80%(2.00倍)
熱処理ゾーンで到達するフィルム表面温度・・・138℃
熱処理ゾーンでの拡縮 ・・・20%(0.50倍)
得られたフィルム(2B−BF−2)の平均膜厚は45μm、膜厚精度は±2μm(膜厚ブレは±4%)であり、膜厚ムラの改善効果を確認した。
(実施例3)
テンターでの延伸条件を以下に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸フィルム(1A−BF−3)を得た。
予熱ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・120℃
予熱ゾーンでの拡縮 ・・・20%(0.44倍)
延伸ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・130℃
延伸ゾーンでの拡縮 ・・・60%(1.32倍)
ただしTgを超えてからは50%(1.10倍)
熱処理ゾーンで到達するフィルム表面温度・・・125℃
熱処理ゾーンでの拡縮 ・・・20%(0.44倍)
得られたフィルム(1A−BF−3)の平均膜厚は45μm、膜厚精度は±4μm(膜厚ブレは±9%)であり、膜厚ムラの改善効果を確認した。
(比較例1)
テンターでの延伸条件を以下に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸フィルム(1A−BF−4)を得た。
予熱ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・125℃
予熱ゾーンでの拡縮 ・・・0%
延伸ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・135℃
延伸ゾーンでの拡縮 ・・・100%(2.20倍)
熱処理ゾーンで到達するフィルム表面温度・・・130℃
熱処理ゾーンでの拡縮 ・・・0%
得られたフィルム(1A−BF−4)の膜厚精度は±5μm(膜厚ブレは±11%)であり、膜厚ムラは延伸前に比べて悪化した。
(比較例2)
テンターでの延伸条件を以下に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸フィルム(1A−BF−5)を得た。
予熱ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・125℃
予熱ゾーンでの拡縮 ・・・20%(0.44倍)
延伸ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・135℃
延伸ゾーンでの拡縮 ・・・80%(1.76倍)
熱処理ゾーンで到達するフィルム表面温度・・・130℃
熱処理ゾーンでの拡縮 ・・・0%
得られたフィルム(1A−BF−5)の膜厚精度は±6μm(膜厚ブレは±13%)であり、膜厚ムラは延伸前に比べて悪化した。
(比較例3)
テンターでの延伸条件を以下に変更した以外は実施例1と同様の方法で延伸フィルム(1A−BF−6)を得た。
予熱ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・120℃
予熱ゾーンでの拡縮 ・・・20%(0.44倍)
延伸ゾーンで到達するフィルム表面温度 ・・・130℃
延伸ゾーンでの拡縮 ・・・80%(1.76倍)
熱処理ゾーンで到達するフィルム表面温度・・・125℃
熱処理ゾーンでの拡縮 ・・・0%
得られたフィルム(1A−BF−4)の膜厚精度は±7μm(膜厚ブレは±16%)であり、膜厚ムラは延伸前に比べて悪化した。
実施例、比較例のデータを表1に纏めた。
Figure 2010052323
本発明の延伸フィルムの製法は、液晶表示装置などのフラットパネル表示装置に用いられる、保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム等の各種光学用フィルムのように高い膜厚精度を求められているフィルム用途に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. フィルム状のアクリル系重合体を加熱して延伸する延伸フィルムの製造方法において、下記条件(i)、(ii)を含むことを特徴とするアクリル系延伸フィルムの製造方法。
    (i)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が、ガラス転移温度(Tg)を超えてから全工程における最高温度となるまでに、全延伸倍率の50〜95%の延伸を行う。
    (ii)フィルム状のアクリル系重合体の表面温度が全工程における最高温度に達した後、表面温度を下げながら全延伸倍率の5〜50%の延伸を行う。
  2. 少なくともフィルムの流れ方向に対して垂直方向(幅方向)に延伸を行うことを特徴とする、請求項1に記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
  3. フィルム状のアクリル系重合体の表面温度がガラス転移温度(Tg)に達するまで延伸は行わないことを特徴とする、請求項1に記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)が110℃以上200℃以下である、請求項1または2のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
  5. 前記アクリル系重合体が、環構造を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
  6. 前記アクリル系重合体が、主鎖に環構造を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
  7. 前記フィルム状のアクリル系重合体が、溶融製膜法によって作られたフィルムであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル系延伸フィルムの製造方法。
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