JP2010047670A - 印刷液用組成物およびこれを用いた印刷液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 酸化重合乾燥型ビヒクルを用いた印刷において、印刷紙面の表面仕上がり状態の向上、裏移り防止性、耐ブロッキング性、耐指紋付着性の飛躍的向上、さらに基材に対するヒートシール性付与を、既存の平板印刷機をもってして、可能とすることを目的とする。
【解決手段】 印刷液用組成物は、ビヒクルを少なくとも含有する印刷液に配合して用いられ、かつ少なくともオレフィン系樹脂粉末を含む樹脂系粉末を含有する。樹脂系粉末は、印刷液を基材に塗工してなる印刷層の厚みよりも大きな粒子径を有しており、好ましくは印刷層の厚みに対して2〜50倍の粒子径を有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば平板印刷用オーバープリントニス(以下、OPニスと略記することもある。)や平板印刷用インキ等の印刷液に用いられる組成物、およびこれを用いた印刷液に関する。
ポスター、カタログ、カレンダー、ちらしなどの商業印刷をはじめ、包装印刷、出版印刷、新聞印刷など幅広い分野で、平板印刷がさかんに利用されている。平板印刷とは、親油性の画線部と親水性の非画線部から構成されている殆ど高低差がない版面(通常、平板と称する)に、親油性の平板印刷液と水とを交互に与えながら印刷を行なう方式である。
平板印刷液には、樹脂、植物油、高沸点石油系溶剤、場合により、可塑剤やワックスを含有する通称、ビヒクルが含まれている。一般に、ビヒクルは、空気中の酸素を吸収して、ビヒクル中の樹脂の酸化重合が進むことにより乾燥するもので(酸化重合乾燥型ビヒクル)、酸化重合を促進させるべくオクチル酸などの有機酸とコバルトやマンガンなど遷移金属との金属塩ドライヤーが一般には配合される。また、場合により、ビヒクルには熱乾燥方式を加味することが可能である。
しかし、金属塩ドライヤーを配合したり、熱乾燥方式を加味したりしても、印刷面の乾燥には、通常、数時間という長い時間を要し、乾燥が完了するまでは次の加工などの作業ができ難いという極めて作業効率の悪いものであった。また、乾燥に時間が掛かるので、印刷したものを重ねて置くと、印刷面の裏面が印刷インキで汚れる、所謂「裏移り」という問題や、場合により印刷面の裏と表で「ブロッキング」する問題が発生することがある。
特に昨今は、環境問題によりビヒクル中の高沸点石油系溶剤の比率を減少させる傾向にあるので、植物油として乾性油・半乾性油の使用量が多くなるにつれて、使用する樹脂の溶解性が高まり溶剤離脱が遅くなり、且つ紙への浸透が遅くなることから乾燥性が低下し、ますます「裏移り」や「ブロッキング」の問題が発生し易くなって来ている。
これらの防止方法としては、シリコーン処理した加工でんぷんなどの裏移り防止剤をビヒクルに予め練り込んだり、又は、印刷直後にでんぷんなどの微粉末を印刷面に散布する所謂、パウダー散布などの方法が採られている。パウダー散布方式は効果的であるが、印刷機周辺にパウダーが飛散、浮遊し、環境衛生面で問題である。また、印刷面に微粉末が付着すると、印刷面の光沢が低下し、且つ印刷面が粗面化され、ザラザラ感が生じるなど、表面仕上がり状態が低下して、商品価値を著しく低下させる問題があった。さらに、溶剤離脱を速くするために、使用する樹脂の溶解性を低下させると、表面仕上がり状態が低下するという問題が発生する。
この様な問題を解決する方法として、溶解性パラメータが19(MPa)1/2より小さく、かつ、溶剤成分に相溶するポリマーをオフセット印刷インキ組成物中に所定量含有させる方法(特許文献1,2)、植物油成分と流動パラフィンからなる溶剤をオフセット印刷用インキ組成物中に含有させる方法(特許文献3)が提案されている。
しかし、特許文献1〜3に記載の方法では、「裏移り」や「ブロッキング」の問題は改善できるが、表面仕上がり状態については元々のレベルを損わない程度であり、重ね印刷した場合にはむしろ著しく低下する問題が生じている。
特許文献4には、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを所定量含有する印刷インキ組成物が開示されている。しかし、この方法でも「裏移り」や「ブロッキング」の問題は改善できるものの、表面仕上がり状態については元々のレベルを損わない程度である。
酸化重合乾燥型ビヒクルに代わるものとして、紫外線硬化型ビヒクルが近年、提案されている。紫外線硬化型ビヒクルは、極めて短時間で硬化・乾燥し、パウダー散布も必要とせず、印刷面の光沢、耐摩擦性、裏移り防止性、耐ブロッキング性などに優れ、さらに、溶剤を必要としないので、火災、爆発、大気汚染などの問題もなく、無黄変・低臭性などの点でも優れている。
しかし、紫外線照射設備が必要になるので、経済性に問題がある。また、紫外線硬化する特殊なモノマー、オリゴマー及び光重合開始剤を必要とするので、価格が高くなる。さらに、低温環境下での保存を要すること、保存期間が制約されること、顔料分散性や印刷適性、印刷基材への接着性が制限されること、顔料などの配合成分による影響や膜厚によって硬化速度が異なること、などの問題が多い。加えて、印刷機の洗浄などには特殊な溶剤を使用しなければならず、まだまだ多くの問題を抱えている。
酸化重合乾燥型ビヒクルや紫外線硬化型ビヒクルの夫々の問題を改善するために、これらを併用した所謂、ハイブリッド乾燥タイプが提案されている(例えば、特許文献5〜7を参照)。しかし、ハイブリッド乾燥タイプは、従来の酸化重合乾燥型及び紫外線硬化型を単にブレンドして使用するものであり、得られる性能も夫々の乾燥方式の中間的レベルにすぎず、根本的な解決に至っていない。特に、紙面の表面仕上がり状態については元々のレベルを損わない程度であり、重ね印刷した場合にはむしろ著しく低下する問題が生じている。
一方、近年、特に問題化してきているのが、ポスター、カタログ、カレンダー、ちらし、包装紙、週刊誌などの出版物の表紙や写真集などの印刷物に手で触れた際の指紋付着性である。これらの印刷物は、美的感覚・意匠性の向上と相まって高い商品性が求められ、手で触れられる機会が多いので、手の汗に含まれる皮脂や指紋が付き易い。その結果、印刷物の商品価値が損われる場合があり、特に意匠性の高い印刷物、例えば化粧品の紙箱、黒色基調に印刷したショッピングバックやカタログ、写真集などにおいて指紋付着性は重大な問題である。
この問題への対策としては、一般的には、これらの印刷物の商品価値を損わない、あるいは高めるために、印刷面にPP(ポリプロピレン)貼り、ビニール引き、ビニルプレス加工などの方法を行なっているが、コストが高くなるという問題がある。
加えて、市場からはヒートシール性を付与したブリスターパッケージ(blister package )用台紙の開発が望まれている。ブリスターパッケージとは、樹脂製ブリスターシートの収容部に商品を収容し、台紙で商品とともに収容部の開口を閉じる包装のことである。商品を外気から遮蔽することが望まれる薬品や食品等の分野においては、台紙表面にヒートシール性塗工層を形成し、樹脂製ブリスターシートの平坦部を台紙のヒートシール性塗工層とヒートシールする手法が、台紙で収容部を閉じる手法として、多く採用されている(特許文献8)。
しかしながら、ヒートシール性塗工層は、台紙上に印刷されたOPニス層や印刷インキ層の上に、場合により耐熱性の保護層を介して、形成されるので、製造コストの上昇を避けることができない。
さらに、印刷市場においては、新たな設備を投資せずに、既存の印刷機をそのまま使用して、印刷時の「裏移り」や「ブロッキング」の問題を改善し、表面仕上がり状態を向上させ、指紋付着性を低減し、加えて撥水性や防水性をさらに向上させ、さらに台紙等の基材にヒートシール性を付与することが望まれている。
特開2002−155227号公報 特開2003−147253号公報 特開2002−226754号公報 特開2006−8845号公報 特開平11−228899号公報 特開2001−123100号公報 特開2003−64288号公報 特開2005−53109号公報
本発明は、このような事情に照らし、酸化重合乾燥型ビヒクルを用いた印刷において、印刷紙面の表面仕上がり状態の向上、裏移り防止性、耐ブロッキング性、耐指紋付着性の飛躍的向上、さらに基材に対するヒートシール性付与を、既存の平板印刷機をもってして、可能とすることを目的とする。
そこで、本発明者等は、詳細に検討を重ねた結果、酸化重合乾燥型ビヒクルに、所定の粒子径を有する、少なくともオレフィン系樹脂粉末を含む樹脂系粉末を含有させることにより、既存の印刷機による印刷紙面の表面仕上がり状態の向上、裏移り防止性、耐ブロッキング性、耐指紋付着性の飛躍的向上、さらに基材に対してヒートシール性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ビヒクルを少なくとも含有する印刷液に配合して用いられ、かつ少なくともオレフィン系樹脂粉末を含む樹脂系粉末を含有する印刷液用組成物であって、樹脂系粉末が、印刷液を基材に塗工してなる印刷層の厚みよりも大きな粒子径を有することを特徴とする印刷液用組成物に関するものである。また、本発明は、この印刷液用組成物及びビヒクルを含有することを特徴とする印刷液に関するものである。
本発明における印刷は、オフセット印刷等の平板印刷、フレキソ印刷等の凸版印刷、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷が含まれるが、平板印刷が高速かつ大量の印刷に適しているので製造効率上好ましい。平板印刷には、平板印刷液と湿し水とを交互に与えながら印刷を行なう湿式平板印刷、版の表面をシリコーン樹脂でコートし、その面で撥水性を維持することで水を必要としない水なし平板印刷、所謂、乾式平版印刷が含まれる。また、平板印刷の印刷方式には、平板印刷液をインキ着けローラーを経て版へ移動させ、次いで、版からいったんゴムブランケットへ移し、ゴムブランケットから被印刷面へ移して印刷するオフセット方式、版面の平板印刷液を直接被印刷面へ転移させるじか刷り方式が含まれる。なお、大部分の平板印刷はオフセット方式で行なわれるので、平板印刷のことをオフセット印刷と呼んだり、平板印刷インキのことをオフセット印刷インキと呼んだりすることが多い。
本発明における印刷液には、印刷インキ、印刷面を被覆するOPニスが含まれる。印刷インキは、基本的には黄、紅、藍、墨の4色が用いられ、これらのインキを重ね印刷することにより微妙な色彩を発揮することができる。OPニスとは、印刷面に光沢を着けたり、印刷面を保護して耐摩擦性や裏移り防止性、耐ブロッキング性などを向上させたりすることを目的に、印刷の最後に印刷ないしコーティングして使われている透明又は半透明のニスのことである。印刷インキやOPニスの紙面に対する着量は、一般的に塗布厚みとして1〜2μm程度である。なお、本発明の印刷液における「液」は、流動性を有する物質の総称であり、液状やペースト状の物質が含まれる。
また本発明における「印刷層」は、上記印刷液を紙や樹脂製フィルム等の基材上に塗工(印刷又は塗布)して形成される層であり、印刷インキ層やOPニス層が含まれる。印刷層は、直接又は他の層を介して基材上に形成されることがあり、また他の層に覆われることがある。印刷層が基材上の最外層に該当するとき、例えば樹脂製ブリスターシートとヒートシールされるヒートシール性塗工層に該当するとき、印刷層を特にトップコート層と言うことがある。
本発明によれば、酸化重合乾燥型ビヒクルを用いた印刷において、既存の印刷機による印刷紙面の表面仕上がり状態の向上、裏移り防止性、耐ブロッキング性、耐指紋付着性の飛躍的向上、さらに基材に対してヒートシール性が得られる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
以下の実施形態では、(1)印刷液用組成物、(2)印刷液について順次説明する。
(1)印刷液用組成物
本発明の印刷液用組成物は、ビヒクルを少なくとも含有する印刷液に配合して用いられる組成物であり、樹脂系粉末を含有する。樹脂系粉末は、少なくともオレフィン系樹脂粉末を含んで構成され、ポリエステル系樹脂粉末、ポリウレタン系樹脂粉末、アクリル系樹脂粉末、アクリル・スチレン系樹脂粉末、ジエン系樹脂粉末をさらに含んでいても良い。まず、本発明で用いられるオレフィン系樹脂粉末について説明する。
オレフィン系樹脂は、アルケン化合物をモノマーとして含有するポリマーであり、同じアルケン化合物の重合による単独重合体、異なるアルケン化合物の共重合による共重合体、アルケン化合物以外のモノマーによる共重合体が含まれる。例えば、エチレン・酢酸ビニル樹脂系、エチレン・酢酸ビニル樹脂・塩化ビニル樹脂系、エチレン・ビニルアルコ−ル樹脂系などのエチレン系共重合体がオレフィン系樹脂に含まれる。
オレフィン系樹脂粉末は、オレフィン系樹脂を機械粉砕や化学粉砕(溶媒法)などにより粉末化して得られる。本発明に使用可能なオレフィン系樹脂粉末としては、市販されているポリエチレン系樹脂粉末では、例えば、クラリアントジャパン株式会社の商品名;セリダスト130、住友精化株式会社の商品名;フロービーズ CL−2080などが挙げられる。また、オレフィン系樹脂以外の樹脂を粉末の核とし、その核の表面にオレフィン系樹脂を含有する保護コロイド層を存在させるようにしても良い。例えば、ポリエチレン系樹脂骨格にアクリル酸やメタクリル酸などの親水性基または親水性セグメントを付与してなる水溶性、自己乳化・分散型樹脂(例えば住友精化株式会社の商品名;ザイクセンAタイプなど)を重合時の保護コロイドとしてなる、例えば、アクリル系水系分散・ケン濁重合、乳化重合により得た水系重合体を乾燥・分級するなどして得られた樹脂粉末を使用することができる。さらに、この種の水溶性、自己乳化・分散型樹脂が恰も保護コロイド層の如く樹脂粉末の核を覆うようにしても良い。例えば、アクリル系水系分散・ケン濁重合、乳化重合により得た水系重合体に、この種の水溶性、自己乳化・分散型樹脂を後添加して、水系重合体の粒子表面に水溶性、自己乳化・分散型樹脂を吸着させてから乾燥・分級するなどして得られた樹脂粉末を使用することができる。このように、オレフィン系樹脂以外の樹脂を粉末の核とし、その核表面にオレフィン系樹脂を存在させることによって、核となる樹脂自体のヒートシール性が低くても、核表面のオレフィン系樹脂によりヒートシール性が向上された樹脂粉末が得られる。
ポリエステル系樹脂粉末としては、特に制限はなく、飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステルを問わず、例えば、樹脂骨格に親水性基または親水性セグメントを付与してなる自己乳化・分散タイプ、又は界面活性剤にて強制的に乳化・分散したタイプを主体として含有する樹脂粉末を乾燥・分級したものを使用することができる。
ポリウレタン系樹脂粉末としては、特に制限はなく、樹脂自体の反応型、非反応型を問わず、例えば、樹脂骨格に親水性基または親水性セグメントを付与してなる自己乳化・分散タイプ、又は疎水性のウレタン系樹脂を界面活性剤にて強制的に乳化・分散したタイプを主体として含有する樹脂粉末を乾燥・分級したものを使用することができる。
アクリル系、アクリル・スチレン系樹脂粉末としては、(メタ) アクリル酸エステルの(共)重合体の樹脂粉末、及び(メタ)アクリル酸エステルとスチレン系モノマーとの共重合体を含有する樹脂粉末を使用することができる。これらの(共)重合体の樹脂粉末は、慣用の方法、例えば、水系分散・ケン濁重合、乳化重合などで樹脂粒子を有する水系重合体を製造し、これを乾燥・分級などして製造することができる。なお、(メタ) アクリル酸エステルとは、アクリル酸のアルキルエステル、またはメタクリル酸のアルキルエステルを意味する。
ジエン系樹脂粉末としては、特に制限はなく、例えば、スチレン・ブタジエン系やスチレン・イソプレン系樹脂を含有する樹脂粉末を使用することができる。これらの共重合体の樹脂粉末は、慣用の方法、例えば、乳化重合などで樹脂粒子を有する水系重合体を製造し、これを乾燥・分級するなどして製造することができる。さらに、得られた水系重合体を凝集・乾燥後、粉砕・分級した樹脂粉末も使用することができる。
これらの水系分散・ケン濁重合、乳化重合においては、必要により、樹脂の重合度を調整して、目的とする融点を有する共重合体を作ることができる。重合度の調整には、通常、連鎖移動剤を使用する。また、重合時の安定性、得られた重合体の保存安定性などを考慮して、界面活性剤、分散安定化剤、バッファーなどを使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒドなどのアルデヒド類;および、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチルなどのメルカプタン類などが挙げられる。これら連鎖移動剤のうち1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。連鎖移動剤を用いることにより重合を安定に行わせることができるが、重合度を低下させ、皮膜の強靭性や弾力性などを損うことにもなるので、その使用量をできる限り少なくすることが望ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型構造やプルロニック型構造を持つノニオン性界面活性剤、更に、構造中にラジカル重合性の不飽和結合を有する所謂、反応性界面活性剤を使用することができる。必要ならば、カチオン性界面活性剤も使用することができる。現実的には、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の組み合わせが望ましい。
分散安定化剤としては、例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック重合体の所謂、プルロニック系乳化剤やナフタレンスルホン酸系高分子活性剤等が挙げられる。
バッファーとしては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダなどが挙げられる。これらバッファーのうち1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらの水系重合体を夫々ブレンドして、又は夫々からなる樹脂粉末をブレンドして目的とする樹脂系粉末を調製することができる。さらに、ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂の製造の如く、自己乳化・分散、又は強制的な乳化・分散段階で、あるいはアクリル系、アクリル・スチレン系樹脂やジエン系樹脂の製造の如く、水系分散・ケン濁重合、乳化重合段階で、これらの水系重合体、又はこれらからなる樹脂粉末を含有させて製造し、樹脂粉末化することもできる。
これらの樹脂粉末の中でも、オレフィン系樹脂粉末は、他の樹脂粉末よりも融点を低く設計することがより容易で、ヒートシール性に優れ、且つ目的とする粒子径を有する樹脂系粉末が得られ易いので、オレフィン系樹脂粉末を主体として含有する樹脂系粉末、さらにはオレフィン系樹脂粉末のみから実質的に構成された樹脂系粉末が望ましい。オレフィン系樹脂粉末のヒートシール性に関して具体的に説明すると、オレフィン系樹脂粉末は加熱時の溶融と冷却時の固化がいずれも急速(シャープ)であり、言い換えると、シャープなヒートシール温度制御が可能である。例えば、融点が120℃のオレフィン系樹脂粉末を用いた場合、加熱体(ヒートシーラー)の温度が120℃になったならば、直ちに樹脂が融解して液状化し、加熱体から開放され、雰囲気温度が低下したならば、直ちに液状樹脂が固化して強固に接着した状態になる。
なお、本明細書において「主体として含有する」とは、樹脂系粉末の全重量に対して50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは85重量%以上を含有することを意味する。
本発明の印刷液用組成物に含有される樹脂系粉末は、樹脂製シートに対してヒートシール性機能を有することが好ましい。これにより、例えばブリスターパッケージにおいて、OPニス層や印刷インキ層等の印刷層を基材上に形成することによって、ヒートシール性塗工層を形成する工程を省くことができる。ヒートシールは、一般には、樹脂製シートを台紙等の基材に重ねた積層体を、所定温度に加熱された一対の加熱体を用いて、所定のヒートシール圧力で挟むことにより行われる。ヒートシールを行う際の温度は、印刷液用組成物に含有される樹脂系粉末の融点以上に設定することが好ましい。
樹脂系粉末の融点は、ヒートシールする樹脂製シートの材料等により異なり、例えば、ブリスターパッケージ用塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂などからなる樹脂製シートのヒートシールを想定した場合、通常は80〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、更に好ましくは80〜130℃である。樹脂系粉末の融点が低すぎると、該樹脂系粉末自体がブロッキングする傾向がある。例えば、夏場などの気温が高い環境においては、ビヒクル配合前の状態で樹脂系粉末同士がブロッキングしたり、印刷層が形成されたブリスターパッケージ用台紙を積み重ねたときに印刷面がその上の台紙の印刷裏面とブロッキングしたりするブロッキングトラブルが発生する傾向がある。このようなブロッキングトラブルを回避するという観点からは、ヒートシールする樹脂製シートの材料等に関わらず、樹脂系粉末の融点は80℃以上であることが望ましいと言えるが、本発明における樹脂系粉末の融点はこれに限定されるものではない。一方、樹脂系粉末の融点が高すぎると、ヒートシール性が低下する傾向があり、仮にヒートシール圧を高くしても接着力が十分でないなどの問題が発生する傾向がある。樹脂系粉末の融点は、慣用の方法、例えば、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter )「DSC−7/Perkin Elmer製」により測定することができる。
樹脂製シートと基材との積層体を加熱体で挟むときのヒートシール圧力は、通常は1〜3kg/cm2であり、好ましくは1〜2kg/cm2である。ヒートシール圧力が低すぎると、樹脂製シートや基材の厚さにもよるが、ヒートシール熱が基材面にまで十分に伝わらず、接着力が不十分となる傾向がある。また、ヒートシール圧力が高すぎると、例えば、紙面やブリスターパッケージ用軟質塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂製プラスチックシートが変形する恐れが出てくる傾向がある。
本発明の印刷液用組成物及びビヒクルを含有する印刷液を基材に塗工することによって、基材上に印刷層が形成される。本発明において、印刷液用組成物に含有される樹脂系粉末は、印刷液を基材に塗工してなる印刷層の厚みよりも大きな粒子径を有する。
印刷層の厚みに対する樹脂系粉末の粒子径の倍率は、好ましくは2〜50倍、より好ましくは4〜30倍、更に好ましくは6〜20倍である。樹脂系粉末の粒子径が小さすぎると、粒子状の樹脂系粉末が印刷層に実質的に埋没してしまい、印刷紙面等の基材へのヒートシール性付与、耐指紋付着性、裏移り防止性、耐ブロッキング性などの効果が期待できなくなる傾向がある。また、樹脂系粉末の粒子径が大きすぎると、これらの効果は十分であるが、印刷面光沢の著しい低下、更に印刷紙面が突起した樹脂系粉末でざらついた状態になったり、重ねておいた場合などに他の印刷紙面と擦れて傷がつくなど、仕上がり感が損ねられることになる傾向がある。
OPニス層やインキ層等の印刷層中に存在する樹脂系粉末の粒子径を求めるには、電子顕微鏡などでの測定がより望ましいが、簡便法として、印刷液(例えばOPニス/インキ)の練肉・分散性を調べるグラインドメーターを用いて測定することができる。
なお、後述するように、印刷層中に存在する樹脂系粉末は、ビヒクルと混合した後、ビーズミルや三本ロールミルなどで練肉・分散が行われるので、熟れて粒子径が小さくなるのである。
本発明で規定する樹脂系粉末の粒子径の条件は、印刷液を基材に塗工して形成された印刷層中において満たされていれば良く、ビヒクル配合時や印刷液の調製途上時において満たされていなくても良い場合がある。例えば、一般的には、樹脂系粉末とビヒクルを混合した後、ビーズミルや三本ロールミルなどで練肉・分散され、流動性などを調整して印刷液が製造される。この際に、樹脂系粉末が熟れるなどして、樹脂系粉末の粒子径がビヒクルと混合したときよりも小さくなることがあるが、印刷液を基材に塗工して形成された印刷層中に存在する樹脂系粉末の粒子径が印刷層の厚みよりも大きければ、本発明において使用することができる。
また、印刷層の厚みに対する樹脂系粉末の粒子径の上限を設定する場合(例えば、印刷層の厚みに対する樹脂系粉末の粒子径の倍率を2〜50倍に設定する場合)には、印刷液の調製途上における樹脂系粉末の粒子径が設定された上限値を越えるときでも、本発明において使用することができることがある。例えば、水系分散・ケン濁重合法、乳化重合法などによる水系分散・乳化重合樹脂の乾燥・分級などにより得られる樹脂系粉末においては、該重合法で得られた本来の数ミクロン〜十数ミクロンレベルの個々の樹脂粒子が数個〜数十個集まり、軟凝集して見掛け上大きな粒子径(所謂、見掛け重量平均粒子径) の樹脂系粉末となったものであっても、印刷液の製造時に熟れて、設定された粒子径の上限値以下になる樹脂系粉末であれば、本発明において使用できる。
樹脂系粉末の見掛け重量平均粒子径は、通常、フルイを多段に重ねた音波振動式の自動フルイ分け粒度分布測定器などを使用して測定することができる。例えば、(株)セイシン企業製のロボットシフター RPS−85を用い、JIS−Z8801に基づく「目びらき」が20μmから300μmの適宜8段のフルイをセットし、樹脂系粉末を分級することによって、見掛け重量平均粒子径(単位;μm)を求めることができる。
また、見掛け重量平均粒子径の測定は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、堀場製作所製LA-920を用いて測定してもよい。この装置は特に20μm以下の粒子径測定において適している。測定に際しては、水などの溶媒に樹脂系粉末を分散するか、または強制分散式乾式測定ユニットを用いることが好ましい。
本発明においては、ビヒクル配合前の組成物の状態での樹脂系粉末の粒子径を特に規定するものではないが、印刷液用組成物の状態での樹脂系粉末の粒子径、例えば軟凝集した樹脂系粉末の見掛け重量平均粒子径は2〜200μmであることが望ましく、より好ましくは20〜100μmである。
見掛け重量平均粒子径が小さすぎると、印刷層の厚み、例えば通常のOPニス層の厚みが1〜2μmであることを考慮すれば、樹脂系粉末がOPニス層に埋没してしまい、必要とされるヒートシール性機能を樹脂系粉末が仮に備えていても、その効果を期待できない傾向にある。一方、樹脂系粉末の見掛け重量平均粒子径が大きくても、本発明において使用することができることがある。例えば、水系乳化重合法などで得られた、例えば平均粒子径が0.1〜3μm程の液体エマルジョンを噴霧乾燥してなる樹脂系粉末の見掛け平均重量粒子径が200μm程であっても、三本ロールミルを使用して通常の練肉・分散時間で特に問題なく印刷液を製造することができ、練肉・分散された印刷液を印刷して形成された印刷層において、樹脂系粉末の粒子径が本発明で規定する粒子径の条件を満たしていれば、本発明に使用可能である。しかし、樹脂系粉末の見掛け重量平均粒子径が大き過ぎると、既存設備を用いて、通常の練肉・分散時間内で十分に熟れず、本発明に使用可能な練肉・分散状態とすることが難しくなる傾向がある。もっとも、練肉・分散能力の高い練肉・分散機を使用したり、練肉・分散時間を従前よりも掛けたりすることで、目的とするレベル内に樹脂系粉末の粒子径を調整することが可能な場合もあるが、製造コストの上昇や製造効率の低下を招く傾向がある。
かかる粒子径を有する樹脂系粉末を製造する方法としては、a)機械粉砕などによる微粉末化方法、b)樹脂の化学粉砕(溶媒法)などによる微粉末化方法、c)分散・ケン濁重合法、乳化重合法などにより、例えば、数ミクロン〜十数ミクロンレベルの樹脂粒子を作成し、これを噴霧乾燥や凍結乾燥などして樹脂系粉末を作成する方法などが挙げられるが、これらの製造方法に特に限定されるものではない。かくして得られた樹脂系粉末を分級などして、所望する印刷層の厚みよりも大きな粒子径を有する樹脂系粉末を得ることができる。
水系重合体から樹脂系粉末を得る乾燥方法としては、特に限定されないが、樹脂自体の融点以下の雰囲気で乾燥する方法が一般的である。例えば、融点以下の温風による噴霧乾燥・分級方式や凍結乾燥・粉砕・分級方式などが一般的であるが、生産コスト、省エネルギーの観点から噴霧乾燥が好ましい。
噴霧乾燥での噴霧形式としては、例えばディスク式、ノズル式などが挙げられる。噴霧乾燥の熱源としては、例えば、熱風、加熱水蒸気などが挙げられる。噴霧乾燥の条件としては、噴霧乾燥機の大きさ、種類、水系合成樹脂の不揮発分、粘度、流量等に応じて適宜設定することができる。噴霧乾燥の温度は、通常は、80〜150℃程度である。
水系分散・ケン濁重合法、乳化重合法などによる水系分散・乳化重合樹脂を粉末化する工程を、例えば噴霧乾燥処理を例にして、具体的に説明する。まず、これらの水系合成樹脂の不揮発分や粘度を調整し、これを噴霧乾燥機のノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを熱風により乾燥させて粉末化させる。場合により、不揮発分や粘度を調整した噴霧液を噴霧に際して予め加温してノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを温風により乾燥させて粉末化させることも可能である。噴霧に際して予め加温することで、乾燥スピードが速くなるのみならず、噴霧液の粘度低下に伴って、噴霧液中の不揮発分の増加が可能で、生産コストの低減にも寄与する。
また、樹脂のガラス転移温度(Tg)が比較的高い場合には、温・熱風乾燥してなる樹脂ケーキを粉砕・分級して目的とする粒子径を有する樹脂系粉末を得ることができる。
樹脂系粉末を製造するに際しては、必要に応じて、乾燥処理の前又は後に、各種添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、有機・無機顔料、顔料・フィラーなどを分散させるための分散剤、HLBの低い油溶性乳化剤や鉱油用乳化剤、可塑剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらの添加剤が粉末品の場合には、乾燥処理後の樹脂系粉末に直接に添加することも可能であり、ビヒクルへの練肉・分散時に添加して使用することもできる。
可塑剤としては、塗料用・接着剤用に汎用的に使用されるアジペート系可塑剤、フタル酸系可塑剤、燐酸系可塑剤などが使用できる。
紫外線吸収剤は、印刷物紙面が太陽光線などにより黄変して商品価値が低下するのを防止するために添加される。紫外線吸収剤としては、通常、塗料用などに汎用的に使用されるものが使用できる。例えば、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、更にはヒンダードアミン系光安定剤なども使用することができ、これらは単独使用又は2種以上の併用が可能である。
酸化防止剤は、樹脂系粉末を取り扱う時などにおいて、静電気爆発などを防止するのに効果的である。酸化防止剤としては、通常、汎用的に使用されるものが使用できる。例えば、フェノール系、ビスフェノール系、リン系酸化防止剤などが挙げられる。これらは単独使用又は2種以上の併用が可能であり、粉末化前の水系分散・乳化重合樹脂の状態の時に加えることが好ましい。これらが微粉末の場合には、樹脂系粉末に直接加えることもできる。
また、本発明においては、必要に応じて抗粘結剤を、水系分散・ケン濁重合法で得られた水系合成樹脂に混合したり、噴霧乾燥後の樹脂系粉末に混合したり、噴霧乾燥時に、水系合成樹脂を噴霧するノズルと別のノズルから噴霧するなどして、併用することができる。
抗粘結剤を併用することにより、抗粘結剤で樹脂系粉末をまぶすような状態になり、貯蔵中などにおいて粒子同士が粘結して凝集しブロッキングするのを防止することが可能となる。しかし、抗粘結剤は、ヒートシール温度を高め、接着力の低下となることが予想されるので、必要に応じて使用することが望ましい。
抗粘結剤としては、特に制限されず、例えば、公知の不活性な無機微粉末又は有機微粉末を使用することができる。無機微粉末としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。有機微粉末としては、例えば、ガラス転移温度が70℃以上の合成樹脂を含有し、水系分散・ケン濁重合法で得られた水系合成樹脂を噴霧乾燥して得られる樹脂系粉末を使用することができる。抗粘結剤の使用量は、得られる樹脂系粉末に対して、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは5〜12重量%である。抗粘結剤の使用量が多くなると、光沢が低下するのみならず、印刷紙の表面がざらついてきて、商品価値が低下する傾向がある。これら抗粘結剤は単独使用又は2種以上の併用が可能であり、例えば有機微粉末と無機微粉末の併用が可能である。
本発明の印刷液用組成物に含有され得る、オレフィン系樹脂粉末等の成分の使用量は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に制限はなく、目的に応じて適宜設定することができる。
(2)印刷液
本発明の印刷液は、上述の印刷液用組成物及びビヒクルを含有することを特徴とするものであり、上述の印刷液用組成物とビヒクルを混合して調製された印刷液のみならず、通常用いられる公知の印刷液に、所定の粒子径を有する樹脂系粉末を少なくとも配合したものも包含される。
印刷液中における樹脂系粉末の含有量は、全組成物(液全体)に対して好ましくは0.3〜50重量%、さらに好ましくは3〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%である。含有量が少なすぎると、基材に対するヒートシール性付与、耐指紋付着性、裏移り防止性、耐ブロッキング性の向上が難しくなる傾向があり、含有量が多すぎると、粘度が上昇し、流動性や転移性が悪くなり、所謂、パイリング現象を起こす傾向が出てくる。さらに、トップコート層としての印刷層の透明性や光沢が大きく低下して、表面仕上がり状態が低下する傾向がでてくる。
ビヒクルは、一般には、バインダー、植物油(場合により加工油)及び高沸点溶剤を含有し、さらに必要に応じて可塑剤を含有する。
ビヒクルに使用されるバインダーとしては、特に限定されず、例えば、ロジン変性フェノール樹脂類、ロジン変性マレイン酸樹脂類、スチレン・マレイン酸樹脂類、アルキッド樹脂(脂肪酸変性半乾性油タイプのポリエステル樹脂も含む)類及び石油樹脂類などが使用される。また、アクリル系共重合体骨格に共重合性不飽和二重結合を導入した樹脂類等も使用できる。特に、樹脂としての性能のバランスが良好であることから、ロジン変性フェノール樹脂類、アルキッド樹脂類を用いるのが望ましい。これらの樹脂類は1種を単独で使用したり、2種以上を適宜に併用することもできる。例えば平板印刷液におけるバインダーの含有量は通常25〜60重量%であり、好ましくは35〜55重量%である。バインダーの含有量が少なすぎると、バインダーとしての接着・密着効果が出難くなる傾向があり、さらに顔料等の分散性が低下する傾向がある。バインダーの含有量が多すぎると、乾燥が遅れて、耐摩耗性、裏移り防止性、耐ブロッキング性などの物性低下となる傾向がある。
ビヒクルに使用される植物油としては、乾性油・半乾性油タイプのものを特に限定なく使用できる。例えば、亜麻仁油、キリ油、大豆油、サフラワー油などの他、これらの植物油を色々の方法で加工して、乾燥性、光沢、耐水性などを改善したり、高粘度化したりする所謂、加工油として使用することもできる。例えば、亜麻仁油を180〜250℃で1〜2時間加熱・重合して粘度を高めたもの、不乾性油のひまし油を触媒の存在下で加熱脱水して脱水ひまし油とし乾性油にしたもの、さらに大豆油などのメチル・エチル・ブチル・プロピルなどのモノエステル化したものなども使用される。これらの植物油は1種を単独で使用したり、2種以上を適宜に併用することもできる。例えば平板印刷液における植物油の含有量は通常20〜60重量%であり、好ましくは35〜55重量%である。植物油の含有量が少なすぎると、耐摩耗性、乾燥性、光沢が十分でない傾向がある。植物油の含有量が多すぎると、セット性、耐ブロッキング性が十分でない傾向がある。
ビヒクルに使用される溶剤としては、使用する樹脂に対して、適正な溶解性又は希釈性と所望の蒸発速度を持ち印刷液に必要な粘度と流動性を与えるものが望ましく、各種のものを使用できる。そして、環境に適し、臭気と毒性が少なく印刷物に悪影響を与えないものが特に好適に使用できる。例えば、沸点が230〜320℃の石油系溶剤である脂肪族炭化水素系溶剤を蒸留し、約20℃の幅で留分をカットしたものが使われる。具体的には、代表的な脂肪族炭化水素系溶剤である新日本石油(株)の0号、4号〜7号ソルベントが望ましく、特に昨今では環境対策面から、芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下で、沸点が200℃以上の新日本石油(株)のAF4号〜7号ソルベントの使用がより望ましい。これらの溶剤は1種を単独で使用し、又は2種以上を適宜に併用することができる。
さらに、n−パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、α−オレフィン類、高級アルコール類、グリコール及びその誘導体、流動パラフィン、ミネラルスピリット、鉱油類など、各種の溶剤を、本発明の目的を阻害しない範囲において、使用することができる。印刷液における溶剤の含有量は、印刷液の種類や用途等に応じて、適宜設定される。
印刷液としての印刷用OPニスや印刷用インキ(以下、総括的に「OPニス/インキ」と表記する。)は、印刷適性は勿論のこと、乾燥性、生産性、光沢、耐摩耗性、裏移り防止性、耐ブロッキング性などの性能・物性が求められることから、一般には、各種添加剤を含有する。例えば、植物油としての乾性油・半乾性油類の酸化重合・乾燥を促進させる金属ドライヤー、印刷したものを重ねて置いた場合に発生する裏移りやブロッキングを防止する裏移り防止剤、皮膜に滑性を与えて耐摩耗性を向上させるワックス類などが主たる添加剤として挙げられる。
OPニス/インキを印刷した紙面上などでの乾燥は、通常、酸化重合乾燥である。具体的に説明すると、亜麻仁油などのように分子中に不飽和二重結合を有する乾性油や加工油を含有するOPニス/インキが印刷されて、紙などの表面に薄層となって移されると、OPニス/インキの表面積が拡大され、空気中の酸素を吸収し酸化重合して固化し、皮膜を形成して乾燥する。
この酸化重合乾燥を促進するのが金属ドライヤーであり、OPニス/インキ用として市販されているビヒクルには適量の金属ドライヤーが含まれている。金属ドライヤーは、一般的には、オクチル酸、ステアリン酸、ナフテン酸などの有機酸とコバルト、マンガンなどの遷移金属との金属塩である。OPニス/インキ中における金属ドライヤーの含有量は0.3〜3重量%が好ましい。
また、必要ならば、酸化重合乾燥を促進する金属ドライヤーに加えて、OPニス/インキ自体の保存性を損ねない量の反応硬化剤を併用することもできる。反応硬化剤としては、例えば、金属アルコキシド類、金属キレート類等が挙げられる。
OPニス/インキの紙面上などでの乾燥としては、上述の酸化重合乾燥が一般的であるが、この他に例えば、熱重合乾燥、紫外線硬化(光重合乾燥)を併せて行なうことも可能である。特に、熱重合乾燥は酸化重合乾燥を補完する意味合いがある。紫外線硬化(光重合乾燥)は、アクリル系オリゴマー・アクリル系モノマーと光重合開始剤とを配合したOPニス/インキを印刷した後に、紫外線を照射してラジカルを発生させ、瞬時に連鎖的にラジカル重合を進行させて固化・乾燥させる方式である。しかし、紫外線硬化は、酸化重合乾燥と比べて、顔料分散性、印刷適性、基材への密着性がいずれも低く、また残留モノマーによる臭気発生や価格が高いなどの問題が未だあるので、紫外線硬化の併用は望ましくない。
OPニス/インキを最適の印刷条件下で印刷するには、印刷室の温湿度、被印刷体の種類、印刷速度、版模様などを考慮する必要がある。加えて、印刷物を速やかに積み重ねる場合には、印刷物の裏面が印刷インキで汚れる「裏移り」問題、より乾燥が遅い場合には、印刷物の裏/表でひっつく「ブロッキング」の発生などの問題が予想されるので、これらを考慮して、OPニス/インキに添加剤を予め添加する対策を講じるのが望ましい。
「裏移り」や「ブロッキング」を防止するための裏移り防止剤としては、シリコーン処理した加工でんぷん、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。裏移り防止剤の添加量は、OPニス/インキに対して5重量%以下、特に3重量%以下が望ましい。添加量が多くなると、版残り、版詰まり、ブランケット残りなどが起こり易くなる傾向がある。ただし、一般には、裏移り防止剤の添加による裏移り防止効果はさほど大きくはなく、現実的には、印刷直後にでんぷんなどの微粉末を印刷面に散布する所謂、パウダー散布が行なわれている。しかし、この方式は微粉末が印刷機周辺に飛散・浮遊し易く、環境衛生上で問題化しているうえ、印刷面に付着して、光沢の低下や印刷面を粗面にするので、艶出し加工などに悪影響を与えかねない。本発明の印刷液(例えばOPニス/インキ)によれば、裏移り防止効果が向上するので、パウダー散布を行なわずに、裏移り防止剤の配合のみで充分な効果が得られる。
皮膜に滑性を与えて耐摩耗性を向上させるワックス類としては、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ポリテトラフルオロエチレン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらを配合することによって、印刷表面に薄膜が形成され、特に皮膜に滑性を与えて耐摩耗性を向上させることができる。さらに、インキのタックの低下、裏移り防止、ブロッキング防止、撥水性の付与などの効果もある。
本発明の印刷液が印刷用インキである場合には、各種の無機・有機顔料や場合により染料も特に限定なく着色剤として配合される。例えば、二酸化チタン、弁柄、カーボンブラック、酸化鉄などの無機顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの体質顔料、アゾ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料などの有機顔料などが着色剤として使用される。例えば平板印刷用インキ中における着色剤の含有量は3〜40重量%が好ましい。
本発明の印刷液は、その他の添加剤をさらに含有していても良い。その他の添加剤としては、本発明の目的を阻害しない範囲において、特に限定なく、例えば、有機・無機系分散剤・湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、チクソトロピー性付与剤、艶消し剤、皮張り防止剤・乾燥抑制剤、UV吸収剤・光安定化剤、可塑剤等が必要に応じて使用される。より具体的には、例えば、着色剤等の分散性を高めること等を目的として、HLB値の低い油用性乳化剤や鉱油用乳化剤等を印刷液に配合することができる。なお、これら乳化剤は、粉末化前の水系分散・乳化重合樹脂の状態の時に配合しても良い。
本発明の印刷液を製造する方法としては、例えば公知の方法を採用することができる。例えば、ロジン変性フェノール樹脂などのバインダー、乾性油・半乾性油類及び/又はこれらを加熱重合した加工油などの植物油、高沸点溶剤(さらに可塑剤を含むことがある)などを180〜250℃で1〜2時間加熱重合して、ビヒクルを調製する。あるいは、前記のバインダー、植物油、高沸点溶剤(さらに可塑剤を含むことがある)などを室温下で混合して、ビヒクルを調製する。次いで、高沸点溶剤(ビヒクルの調製で使用したものと同系の溶剤が好ましい)、金属ドライヤー、裏移り防止剤(必要に応じてさらに植物油)、印刷用インキの場合にはさらに顔料等の着色剤・顔料分散剤、必要に応じてその他の添加剤などを上記のビヒクルに加え、さらに本発明の印刷液用組成物を加えて、ビーズミルや三本ロールミルなどで練肉・分散し、流動性などを調整して、OPニス/インキを製造することができる。
本発明の印刷液は、商品を収容するための収容部が形成された樹脂製ブリスターシートの収容部の開口を閉じる基材の樹脂製ブリスターシート側表面に塗工することができる。本明細書におけるブリスターパッケージとは、塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂などからなる無色透明や淡色透明などの透明な樹脂製シートに、商品を収容するための収容部を形成し、その収容部に商品を入れ、台紙等の基材で商品とともに収容部の開口を閉じる包装のことであり、小型商品、簡易電気器具、おもちゃ、玩具、景品、食料品、化粧品、医薬品等の包装に使用されている。なお、本明細書では、収容部が形成された樹脂製シートを樹脂製ブリスターシートと呼ぶ。
樹脂製ブリスターシートの収容部の開口を基材で閉じる手法としては、樹脂製ブリスターシートの端部を収容部の開口側に折り返して曲げ、その屈曲部で基材の端部を挟む手法やヒートシール手法等が挙げられる。ヒートシール手法は、樹脂製ブリスターシートの平坦部(収容部以外のシート部分)と基材を重ねた積層体を、所定温度に加熱された一対の加熱体を用いて、所定の圧力で挟んで融着させる手法である。
本発明の印刷液は、収容部の開口を閉じる手法の如何に関わらず、ブリスターパッケージ用基材に適用することができる。ただし、本発明の印刷液のうち、印刷液に含まれる樹脂系粉末が樹脂製シートに対してヒートシール性機能を有するものは、基材の樹脂製ブリスターシート側表面に塗工することによって、基材の塗工面にヒートシール性が付与されるので、ヒートシール手法を用いたブリスターパッケージに特に有用である。
ヒートシールを行う際の温度は、印刷液に含有される樹脂系粉末の融点以上に設定することが好ましい。樹脂系粉末の融点は、ヒートシールする樹脂製シートの材料等により異なり、例えば、塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂などからなる樹脂製シートの場合、通常は80〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、更に好ましくは80〜130℃である。また、樹脂製シートと基材との積層体を加熱体で挟むときのヒートシール圧力は、通常は1〜3kg/cm2であり、好ましくは1〜2kg/cm2である。
従来、ブリスターパッケージ用基材にヒートシール性を付与するには、例えば、OPニス層が形成された台紙上に、ヒートシール性を有するトップコート層、すなわちブリスターパッケージ用ヒートシール層を形成する必要があった。ヒートシール性機能を有する樹脂系粉末、例えば融点が80〜180℃である樹脂系粉末は、OPニスや印刷インキの組成物を主体とするトップコート用組成物の添加剤として印刷液に添加することで、印刷紙面へのヒートシール性付与を可能とする。これにより、基材上にOPニス層を設け、さらにブリスターパッケージ用ヒートシール層を形成する必要がなくなり、工程の短縮を可能とすることから、生産コストの削減を可能とする。言い換えれば、本発明の印刷液を、ヒートシール性付与のみを目的としてOPニス層や印刷インキ層が既に形成されている基材上に塗工しても良いが、OPニスや印刷インキとして基材に塗工することによってOPニス層や印刷インキ層がヒートシール性塗工層を兼ねることができるので、ヒートシール性塗工層を形成する工程を省くことができ、コスト削減の点から好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
樹脂粉末
樹脂粉末1;
ポリエチレン系樹脂粉末として、クラリアントジャパン株式会社の商品名「セリダスト 130」を使用した。この樹脂粉末の融点は約125℃、見掛け重量平均粒子径は約14μmである。
なお、見掛け重量平均粒子径は、測定可能な散乱光が得られる量の樹脂粉末を水に添加分散し、堀場製作所製「LA−920」を用いて測定した。
樹脂粉末2;
ポリエチレン系樹脂粉末として、住友精化株式会社の商品名「フロービーズ LE−1080」を使用した。この樹脂粉末の融点は約110℃、見掛け重量平均粒子径は約7μmである。なお、見掛け重量平均粒子径の測定方法については上記と同様である。
ビヒクルの製造例−1
コンデンサー、温度計及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂としてKG−1829(荒川化学工業株式会社製)400部、植物油として大豆白絞油350部、桐油100部、脂肪族炭化水素系溶剤としてAF5 号ソルベント(新日本石油株式会社製)140部を仕込み混合した後、200℃に昇温して1時間加熱重合してビヒクルを得た。
実施例1(OPニス−1)
ビヒクルの製造例−1で得られたビヒクルを85部、樹脂粉末1を4部、AF5号ソルベント(新日本石油株式会社製)を8部、裏移り防止剤として加工でんぷんを2部、金属ドライヤーとしてナフテン酸マンガンを1部、三本ロールミルで混合、練肉して平板印刷用OPニス(OPニス−1)を得た。
実施例2(OPニス−2)
樹脂粉末1を8部に代えた以外は、実施例1と同様にして平板印刷用OPニス(OPニス−2)を得た。
実施例3(OPニス−3)
樹脂粉末1を12部に代えた以外は、実施例1と同様にして平板印刷用OPニス(OPニス−3)を得た。
実施例4(OPニス−4)
樹脂粉末1を樹脂粉末2に代えた以外は、実施例2と同様にして平板印刷用OPニス(OPニス−4)を得た。
比較例1(OPニス−5)
実施例1の樹脂粉末1を除いた以外は、実施例1と同様にして平板印刷用OPニス(OPニス−5)を得た。
上記実施例及び比較例で得られたOPニスを用いて、下記の印刷方法にて印刷し、後述の項目について評価した。
印刷方法−1
実施例1〜4(OPニス−1〜4)、及び比較例1(OPニス−5)で得られたOPニスを使用し、用紙として特菱アート(三菱製紙株式会社製)、JETスター(日本製紙株式会社製)の2種類を用いてJISK5701基準のRIテスター(石川島製作所製)にて展色・印刷(OPニスの展色盛;0.10ml)した。室温にて1日放置後、試験に供した(下地インキ;GPアプラスSOY墨EX−N/枚葉プロセス墨インキ/内外インキ製造株式会社製、展色盛;0.1152ml)。この結果を表1に示す。
なお、後述のヒートシール性の試験に供したJETスター用紙における、樹脂粉末を除いたOPニス層自体の厚みは、実施例1が1.0μm、実施例2が0.98μm、実施例3が0.9μm、実施例4が1.05μm及び比較例1が1.1μmであった。
また、OPニス層中に存在する、練肉・分散された樹脂粉末の粒子径は、OPニス層自体の厚みに対して、実施例1が13倍、実施例2が13.3倍、実施例3が14.4倍、実施例4が6.7倍であった。
印刷方法−2
実施例1〜4(OPニス−1〜4)、及び比較例1(OPニス−5)で得られたOPニスを使用し、用紙としてノート表紙特漉(王子製紙株式会社製)を用いて、リスロン印刷機(小森コーポレーション製)にて印刷した。室温にて1日放置後、試験に供した(印刷スピード;4000〜6000枚/時間)。この結果を表2に示す。
印刷方法−3
実施例1〜4(OPニス−1〜4)、及び比較例1(OPニス−5)で得られたOPニスを使用し、用紙としてOKトップコート(王子製紙株式会社製)を用いて、三菱ダイヤ4色機(三菱重工業株式会社)にて印刷した。室温にて1日放置後、試験に供した(印刷スピード;7000〜8000枚/時間)。この結果を表3に示す。
耐指紋付着性の試験方法と評価手法
OPニスを印刷した用紙に親指又は人差し指で触れ、指紋の付着レベルを目視にて評価した。樹脂粉末未添加のOPニス−5(比較例1)を最低評価の基準とし、下記の通りに評価した。
評価手法;耐指紋付着性が十分に良い(比較例1よりもかなり良好);◎
耐指紋性が良い(比較例1よりも良好) ;○
耐指紋付着性がやや悪い(比較例1よりも僅かに良好) ;△
耐指紋付着性が悪い(比較例1と同等) ;×
裏移り防止性の試験方法と評価基準
印刷方法−2及び3で印刷した用紙を1000枚重ねて、5000枚に相当する加重を掛けて室温で24時間放置後、裏移り防止性を目視にて下記の基準で評価した。
評価基準;裏移り防止性が十分に良い ;◎
裏移り防止性が良い ;○
裏移り防止性がやや悪い ;△
裏移り防止性が悪い ;×
印刷方法−1においては、4×5cm角に切った印刷紙を5枚重ねて、加重を1kg掛けて同様に試験して評価した。
ヒートシール性の試験方法と評価基準
軟質塩化ビニルフィルム(厚み;約0. 3mm)を上記印刷方法−1で得た用紙(JETスター)に重ね、ヒートシール処理温度;150℃、処理時間;10秒、ヒートシール処理圧力;1.3kg/cm2で処理した。室温下に1時間放置後、手で剥がし、接着力の程度を目視にて下記の基準で評価した。
評価基準;ヒートシール性が十分に良い ;◎
ヒートシール性が良い ;○
ヒートシール性がやや悪い ;△
ヒートシール性が悪い ;×
印刷面の表面仕上がり状態の確認試験方法と評価基準
印刷方法−1、2及び3で印刷した用紙の表面仕上がり状態(表面光沢、平滑性、ザラザラ感など)を樹脂粉末の未添加OPニス−1(比較例1)と比べて目視にて下記の基準で評価した
評価基準;表面仕上がり状態が良い ;◎
表面仕上がり状態が同レベル ;○
表面仕上がり状態がやや悪い ;△
表面仕上がり状態が悪い ;×
Figure 2010047670
Figure 2010047670
Figure 2010047670
表1〜3に示すように、実施例1〜4による印刷面は、比較例1のものよりも耐指紋付着性、裏移り防止性、ヒートシール性が向上し、表面仕上がり状態が比較例1と遜色ないレベルである。
本発明の印刷液用組成物は、従来の酸化重合乾燥型OPニスやインキに添加する添加剤として利用することができる。また、本発明の印刷液によれば、印刷紙面の裏移り防止性・耐ブロッキング性が改良され、さらに、耐指紋付着性が向上するので、カタログなどの意匠性の高い印刷物の商品価値を高める目的で好適に利用することができる。また、既存の印刷機をそのまま使用することができるので、適用性が高い。さらに、ヒートシール性機能を有する樹脂系粉末を含有する印刷液は、印刷紙面にヒートシール性を付与するので、ブリスターパッケージ用基材に好適に塗工することができる。特に、該樹脂系粉末を含有する印刷液を、例えば、OPニスや印刷インキとして利用することによって、OPニス層や印刷インキ層がヒートシール性塗工層を兼ねるので、ヒートシール性塗工層を形成する工程を省くことができ、コスト削減の点から好ましい。

Claims (8)

  1. ビヒクルを少なくとも含有する印刷液に配合して用いられ、かつ少なくともオレフィン系樹脂粉末を含む樹脂系粉末を含有する印刷液用組成物であって、
    樹脂系粉末が、印刷液を基材に塗工してなる印刷層の厚みよりも大きな粒子径を有することを特徴とする印刷液用組成物。
  2. 樹脂系粉末が、印刷層の厚みに対して2〜50倍の粒子径を有することを特徴とする請求項1記載の印刷液用組成物。
  3. オレフィン系樹脂粉末がポリエチレン系樹脂粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷液用組成物。
  4. 樹脂系粉末の融点が80〜180℃であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の印刷液用組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の印刷液用組成物及びビヒクルを含有することを特徴とする印刷液。
  6. 樹脂系粉末の含有量が液全体に対して0.3〜50重量%であることを特徴とする請求項5記載の印刷液。
  7. オーバープリントニス又はインキであることを特徴とする請求項5又は6記載の印刷液。
  8. 商品を収容するための収容部が形成された樹脂製ブリスターシートの収容部の開口を閉じる基材の樹脂製ブリスターシート側表面に塗工される請求項5〜7いずれか記載の印刷液。
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