JP2010047449A - 型材を用いた石英ガラス材料の成形方法 - Google Patents

型材を用いた石英ガラス材料の成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な作業により離型材を構成し、クラックや気泡を混入することなく石英ガラス材料を所定の形状に成形するようにする。
【解決手段】型材中で石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形する型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、加熱溶融される石英ガラス材料の接する面にアルミナ(Al)スラリーを塗布した後に乾燥させてアルミナ膜を形成したカーボン製の型材を用い、上記型材中に石英ガラス材料を載置して、上記型材中で石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形するようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、型材を用いた石英ガラス材料の成形方法に関し、さらに詳細には、カーボン製の型材内の石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形するようにした型材を用いた石英ガラス材料の成形方法に関する。
近年、ガラス製品、特に、石英ガラスよりなるガラス製品(以下、単に「石英ガラス製品」と適宜に称する。)は、光学レンズなどの光学機器に限らず、その耐久性や化学的安定性などの利点を生かし、半導体製造用治具、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)パネル製造用フォトマスクあるいは光通信用の精密部品などに広く用いられている。
一般に、こうした石英ガラス製品の製造プロセスとしては、エッチングや研削加工などのような、加工対象物から不要な領域を除去する除去工程を主に用いるプロセスが採用されていた。

しかしながら、エッチングによる製造プロセスは、加工対象物の表面の比較的微細な加工に限定されるため、それにより得られるガラス製品が限定されてしまうという問題点があった。
また、研削加工による製造プロセスは、加工対象物を少量ずつ研削して所望の形状に加工するため、加工時間が多くかかるとともに、加工対象物から不要な部分を全て研削してしまうため、最終的に加工された石英ガラス製品の重量に比べより大きな石英ガラス材料の重量が必要となり、製造効率や製造コスト上で問題点が指摘されていた。

こうした問題点を解決するための手段として、型材を用いてガラス製品の概形を成形し、成形された成形体に研削などの機械加工を施してガラス製品を作製する手法が知られている。以下、型材を用いてガラス製品の概形を成形する方法について説明する。
即ち、図1(a)には石英ガラス材料が載置された型材の概略構成説明図が示されており、図1(b)には図1(a)のA矢視図が示されており、図1(c)には図1(a)のB−B断面図が示されており、図1(d)には加熱溶融後の石英ガラス材料と型材の断面図が示されている。
この石英ガラス材料の成形に用いる型材10は、底板12と、底板12の上面12aに配置されるとともに所望の内径を有する円筒形状の外筒14とを有して構成されている。こうした、底板12および外筒14はカーボン製である。なお、符号14aは、外筒14の内周面を示している。

以上の構成において、石英ガラス材料を石英ガラス製品の概形に成形するには、まず、外筒14内の底板12の上面12aに石英バルクまたはインゴットといった石英ガラス材料16を載置し、石英ガラス材料16が載置された型材10を電気炉などの加熱装置(図示せず。)により、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下において、加熱温度1500〜2000℃で加熱する。
このように、加熱装置内で型材10が加熱温度1500〜2000℃で加熱されることにより、型材10中に載置された石英ガラス材料16は加熱溶融され、加熱溶融された石英ガラス材料16は、図1(d)に示されるように、外筒14の内径と同一の寸法の円柱形状の成形体として成形される。
こうして成形された石英ガラス材料16は、研削などの機械加工工程を経て所望の形状の石英ガラス製品として製作される。

なお、上記において、加熱装置により加熱されて石英ガラス材料16が加熱溶融される際の加熱温度を1500〜2000℃としたが、より詳細には、1750〜1900℃とすることが好ましい。
これは、石英ガラス材料16を加熱溶融する加熱温度が1500℃未満のときは、石英ガラスが高粘性を有するために石英ガラス材料16を変形させにくく、型材10中で石英ガラス材料16が求める形状に成形されない恐れがあるからであり、また、石英ガラス材料16の加熱温度が2000℃を超えるときには、石英ガラス材料16が分解して型材10の各構成部材の構成材料であるカーボンと激しく反応してしまう恐れがあるからである。

しかしながら、こうした型材10においては、石英ガラス材料16を型材10中で高温で加熱溶融するために、加熱溶融した石英ガラス材料16と型材10とが接している面において、型材10の各構成部材の構成材料であるカーボンと石英ガラス材料16とが反応して一酸化炭素ガスを発生したり、石英ガラス材料16中に含有される水分により水蒸気を発生してしまい、発生した一酸化炭素ガスおよび水蒸気は加熱溶融されて低粘度となった石英ガラス材料16中に巻き込まれ、こうしたガスを気泡として混入した状態で加熱溶融された石英ガラス材料16が冷却され成形体として成形されるので、成形体が研削などの機械加工工程において加工される際に、所望の形状に加工できなくなるという問題が生じていた。
さらに、加熱溶融時に熱膨張係数が異なる石英ガラス材料16と型材10の各構成部材の構成材料であるカーボンとが反応融着するため、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体を型材10から取り出す際にクラックが発生してしまい、成形体を切削などの機械加工工程において加工される際に、所望の形状に加工できなくなるという問題も発生していた。

こうした問題点を解決するための手法として、特許文献1または特許文献2には、石英ガラス材料が配置されたグラファイト製容器に炭化珪素の被膜を形成し、加熱溶融された石英ガラス材料とグラファイト製容器が直接接触することがないようにして、一酸化炭素ガスを発生させないようにした技術が開示されている。
また、特許文献3には、黒鉛モールドに複数の貫通孔を設け、黒鉛モールドの内周面にカーボンフェルトなどから構成される多孔質層を設けることにより、黒鉛モールド中においてシリカ粉末が蒸発溶融しやすくなり、集合気泡を除去できるようにした技術が開示されている。

しかしながら、特許文献1には炭化珪素の具体的な被覆方法が開示されておらず、また、特許文献2に開示された技術によれば、炭化珪素の被膜を形成するために、有機シランからシリカゾルを形成し、形成したシリカゾルに有機シランと炭化珪素とのモル比を考慮して高純度のβ炭化珪素微粉末を加えてシリカゾル−炭化珪素として作製しなければならず、シリカゾル−炭化珪素を作製する作業が繁雑となっていた。
また、特許文献3に開示された技術は、炭化珪素粉末を加熱溶融する際に発生したSiOガスを単に外部に逃がすようにしたものであって、石英ガラス材料と炭素との反応により発生する一酸化炭素ガスや、加熱溶融する対象物が石英バルクもしくはインゴットなどのときに石英バルクやインゴット中に含有する水分により発生するガスについては検討されていなかった。

特開昭57−67031号公報 特開昭62−148331号公報 特開平11−278857号公報
本発明は、上記したような従来に技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な作業により型材における加熱溶融された石英ガラス材料が接する面に被覆層(以下、加熱溶融された石英ガラス材料が接する面に形成された被覆層を「離型材」と適宜に称することとする。)を形成するようにしたものである。
また、本発明の目的とするところは、加熱溶融された石英ガラス材料中に一酸化炭素ガスや水蒸気などによる気泡を混入することなしに石英ガラス材料を所定の形状に成形するようにした型材を用いた石英ガラス材料の成形方法を提供しようとするものである。
また、本発明の目的とするところは、クラックを発生することなしに石英ガラス材料を所定の形状に成形するようにした型材を用いた石英ガラス材料の成形方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、型材において加熱溶融された石英ガラス材料の接する面に対して離型材として、アルミナ膜を形成するようにしたものである。
従って、本発明によれば、一酸化炭素ガスの発生を抑制し、石英ガラスのバルクから発生する水蒸気を加熱溶融後の石英ガラス材料たる成形体中に巻き込むことがなくなる。
また、本発明によれば、加熱溶融後の石英ガラス材料たる成形体がカーボン製の型材と接しないため、成形体を型材から剥離する際にクラックが発生することがなくなる。

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、型材中で石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形する型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、加熱溶融される石英ガラス材料の接する面にアルミナ(Al)スラリーを塗布した後に乾燥させてアルミナ膜を形成したカーボン製の型材を用い、上記型材中に石英ガラス材料を載置して、上記型材中で石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記アルミナスラリーは、アルミナ粉末と水とを混合してスラリー化するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記アルミナスラリーは、分散剤としてポリビニルアルコールを0.1重量%以上30重量%以下添加するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項2または3のいずれか1項に記載の発明において、上記アルミナ粉末は、鉄(Fe)の含有量が0.1ppm以上8ppm以下、かつ、ナトリウム(Na)の含有量が0.1ppm以上5ppm以下、かつ、カルシウム(Ca)の含有量が0.1ppm以上4ppm以下で、FeとNaとCaとを含むようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項2、3または4のいずれか1項に記載の発明において、上記アルミナ粉末は、平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の発明において、上記アルミナスラリーは、刷毛もしくはスプレーコーティングにより塗布するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記アルミナ膜を加熱温度1500〜2000℃で焼成するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の発明において、上記アルミナ膜を加熱温度1750〜1900℃で焼成するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、本発明のうち請求項7または8のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、上記アルミナ膜の焼成は、不活性ガス雰囲気または真空中で行うようにしたものである。
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のいずれか1項に記載の発明において、上記石英ガラス材料を加熱溶融する際の加熱温度は、1500〜2000℃であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項11に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のいずれか1項に記載の発明において、上記石英ガラス材料を加熱溶融する際の加熱温度は、1750〜1900℃であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項12に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のいずれか1項に記載の発明において、上記石英ガラス材料の加熱溶融を不活性ガス雰囲気または真空中で行うようにしたものである。
また、本発明のうち請求項13に記載の発明は、本発明のうち請求項9または12のいずれか1項に記載の発明において、上記不活性ガスは、窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガス、ヘリウム(He)ガスあるいはこれらの混合ガスであるようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、簡単な作業により離型材を形成することができるという優れた効果を奏する。
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、加熱溶融された石英ガラス材料中に一酸化炭素ガスや水蒸気などによる気泡を混入することなしに石英ガラス材料を所定の形状に成形することができるという優れた効果を奏する。
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、クラックを発生することなしに石英ガラス材料を所定の形状に成形することができるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による型材を用いた石英ガラス材料の成形方法の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
なお、以下の説明においては、図1を参照しながら説明した従来の技術による石英ガラス材料の成形方法に用いられる型材と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。

本発明による型材を用いた石英ガラス材料の成形方法は、型材において加熱溶融された石英ガラス材料の接する面に対して離型材として、アルミナ膜からなる被覆層を形成するようにしたものである。
以下、図2および図3を参照しながら、離型材としてアルミナ膜を形成する場合について、詳細に説明することとする。

ここで、図2には、離型材としてアルミナ膜20を形成した型材10と石英ガラス材料16との断面図が示されている。
型材10において、加熱溶融された石英ガラス材料16が接する面、つまり、底板12の上面12aおよび外筒14の内周面14aには、アルミナ膜20が形成されている。
このアルミナ膜20を形成するには、アルミナスラリーを作製し、作製したアルミナスラリーを刷毛やスプレーなどにより底板12の上面12aおよび外筒14の内周面14aに対して塗布する。
こうして塗布されたアルミナスラリーを乾燥してアルミナ膜20が形成され、形成されたアルミナ膜20が型材10において離型材として使用される。

ここで、アルミナスラリーは、所定の粒径を有するアルミナ粉末を所定の割合だけ純水に混ぜ、分散機もしくは粉砕機により混合して作製する。
この際、アルミナスラリー中のアルミナ粉末の粒径が5μmを超える大きさのものでは成膜し難くなるため、0.1μm以上5μm以下の適度な細かさを有していることが好ましく、アルミナスラリー中のアルミナ粉末の粒径が0.1μm以上0.5μm以下であることが特に好ましい。
即ち、アルミナ粉末を用いたアルミナスラリーから離型材たるアルミナ膜20を形成する場合に、アルミナ粉末の粒径が小さいほど緻密な膜を得ることができる。
しかしながら、アルミナ粉末の粒径が小さ過ぎると、アルミナ粉末のかさ密度が低下し、取り扱いが困難になる。
従って、粒径が0.1μm以上5μm以下、さらに、粒径が0.1μm以上0.5μm以下のアルミナ粉末を用いることが望ましい。
なお、離型材たるアルミナ膜20の密度が高いほど、離型性も向上する。

さらに、こうしたアルミナスラリーに使用されるアルミナ粉末としては、できるだけ高純度のものを用いることが望ましい。
なお、一般に、アルミナ粉末には、不純物として、Fe、NaならびにCaが含まれており、これらFe、NaならびにCaは石英に拡散しやすく、離型材にこれらがふくまれると、離型を阻害する要因となる。
しかしながら、Feの含有量が0.1ppm以上8ppm以下、かつ、Naの含有量が0.1ppm以上5ppm以下、かつ、Caの含有量が0.1ppm以上4ppm以下で、あるならば、実用上問題のない離型材たるアルミナ膜20を形成することができる。
なお、本実施の形態においては、Feの含有量が0.1ppm以上8ppm以下、かつ、Naの含有量が0.1ppm以上5ppm以下、かつ、Caの含有量が0.1ppm以上4ppm以下で不純物を含むアルミナ粉末を用いた。

具体的には、平均粒径が0.2μmのアルミナ粉末をアルミナ粉末が30wt%(重量%)となるようにして超純水に混ぜ、この混合液に分散剤として1wt%のポリビニルアルコールを添加した後に、16時間かけてボールミルにより混合してアルミナスラリーを作製する。
ここで、離型材が離型性を十分に発揮するためには、離型材として均質なアルミナ膜20を形成することが重要である。
均質なアルミナ膜20を得るためには、アルミナスラリーを均一にする必要があるが、アルミナ粉末を水の中に分散させる際に分散剤を用いることにより、アルミナ粉末の分散の均一性を向上させることができる。
なお、上記した例においては、分散剤として1wt%のポリビニルアルコールを添加した場合について示したが、分散剤として添加するポリビニルアルコールは0.1wt%以上30wt%以下添加することが好ましい。

そして、作製されたアルミナスラリーをスプレーコーティング法により、底板12の上面12aおよび外筒14の内周面14aに塗布し、100℃で2時間かけて乾燥してアルミナ膜20を形成する。
なお、こうしたスラリーを使用したスプレーコーティング法は、従来より周知の技術であるためその詳細な説明は省略する。

ここで、乾燥して得られたアルミナ膜20は、この状態でも離型材として用いることが可能であるが、こうしたアルミナ膜20をさらに焼結したものを離型材として用いるようにしてもよい。
即ち、乾燥して得られたアルミナ膜20が形成された底板12および外筒14を電気炉などの加熱装置内に入れて、窒素ガス雰囲気下において、加熱温度1500〜2000℃、好ましくは、1750〜1900℃の範囲で焼成して、アルミナ膜20を焼成する。
このようにしてアルミナ膜20を焼成することにより、型材10とアルミナ膜20との密着性が向上するとともに、型材10と加熱溶融された石英ガラス材料16たる成形体との剥離性も向上するようになる。
なお、こうした焼成されたアルミナ膜20の膜厚は、例えば、数百μm程度から数mmとすることが好ましい。

こうして、離型材としてアルミナ膜20を形成した型材10内に石英ガラス材料16を載置し、型材10を加熱装置内に配置して、型材10を当該加熱装置により、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下において、加熱温度1500〜2000℃で加熱することにより、型材10中に載置された石英ガラス材料16は加熱溶融され、加熱溶融された石英ガラス材料16は、外筒14の内径と同一の寸法の円柱形状の成形体として成形される。
このとき、型材10における加熱溶融された石英ガラス材料16の接する面、つまり、底板12の上面12aおよび外筒14の内周面14aにはアルミナ膜20が形成されているので、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体がカーボン製の型材と接することがなくなり、カーボンと石英ガラスとの反応により発生する一酸化炭素ガスは発生しなくなるため、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体に気泡の巻き込みを生じなくなる。
さらに、加熱溶融されて冷却された石英ガラス材料16たる成形体を型材10から剥離することが容易になり、クラックの発生が抑制される。

次に、上記した手法によりアルミナ膜を形成した型材を用いて石英ガラス材料を成形する際における気泡の巻き込みおよびクラックの有無について、本願発明者が行った実験の結果について説明する。
この実験においては、重量16.5〜18.6kgの石英ガラス材料16を離型材としてアルミナ膜20を形成した型材10内に配置し、加熱装置として電気炉を用い、その内部圧力を0.03MPa、窒素ガス雰囲気下において加熱温度1800℃で石英ガラス材料16を加熱溶融して、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体においてクラックの有無および気泡の巻き込みの有無について確認した。
ここで、離型材としてのアルミナ膜20は、平均粒径0.2μmのアルミナ粉末が30重量%で混合されたアルミナスラリーを、スプレーコーティング法により塗布した後、100℃で2時間かけて乾燥させて形成され、形成されたアルミナ膜を窒素ガス雰囲気下において加熱温度1800℃で焼成して形成した。
また、比較のため、重さ15.8〜23.7kgの石英ガラス材料16を離型材を設けていない型材10内に配置し、上記条件と同一の条件、即ち、加熱装置として電気炉を用い、その内部圧力を0.03MPa、窒素ガス雰囲気下において加熱温度1800℃で石英ガラス材料16を加熱溶融して、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体においてクラックの有無および気泡の巻き込みの有無について確認した。

図3(a)(b)には、本願発明者による実験の結果が示されている。ここで、図3(a)の実施例1−1〜1−6には、石英ガラス材料16を離型材としてアルミナ膜20が形成された型材10内で加熱溶融したときに成形される加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体において、クラックの有無および気泡の巻き込みの有無について調べた結果が示されている。
また、図3(b)の比較例1−1〜1−10には、石英ガラス材料16を離型材を設けていない型材10内で加熱溶融したときに成形される加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体において、クラックの有無および気泡の巻き込みの有無について調べた結果が示されている。
この図3(a)(b)の実験結果に示されているように、型材10に離型材を設けていない場合には、図3(b)の比較例1−1〜1−10の全てにおいて、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体にはクラックが生じた。
さらに、図3(b)の比較例1−1〜1−10の10個中、4個において加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体には気泡の巻き込みが確認された。
これに対し、型材10に離型材としてアルミナ膜20を形成した場合には、図3(a)の実施例1−1〜1−6の全てにおいて、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体にクラックは確認されなかった。
また、図3(a)の実施例1−1〜1−6の全てにおいて、加熱溶融後の石英ガラス材料16たる成形体には気泡の巻き込みも確認されなかった。

以上において説明したように、型材において加熱溶融された石英ガラス材料が接する面に離型材としてアルミナ膜を形成し、当該型材を用いて石英ガラス製品の概形を成形するようにした本発明による型材を用いた石英ガラス材料の成形方法においては、加熱溶融後の石英ガラス材料たる成形体にクラックや気泡の巻き込みが発生せず、高品位な成形体を得ることができる。
従って、本発明による型材を用いた石英ガラス材料の成形方法を利用して石英ガラス製品を作製する際には、高品位な成形体が得られ、得られた高品位な成形体を機械加工することで、高い歩留で石英ガラス製品を作製することができるようになる。
さらに、本発明による型材を用いた石英ガラス材料の成形方法を利用して石英ガラス製品を作製する際には、高い歩留で石英ガラス製品を作製できるため、石英ガラス製品を低コストで製造することができる。

なお、上記した実施の形態においては、窒素ガス雰囲気下においてアルミナ膜を焼成したり石英ガラス材料16を加熱溶融するようにしていたが、これに限られるものではないことは勿論であり、アルゴンガス、ネオンガス、ヘリウムガスまたはこれらの混合ガスなどの不活性ガス雰囲気下もしくは真空中でアルミナ膜を焼成したり石英ガラス材料16を加熱溶融するようにしてもよい。
本発明は、石英ガラス材料を成形して所望の形状のガラス製品を製作する際に利用することができるものである。
図1(a)は、石英ガラス材料の成形方法に用いられる型材の概略構成斜視説明図であり、また、図1(b)は、図1(a)のA矢視図であり、また、図1(c)は、図1(a)のB−B断面図であり、また、図1(d)は、加熱溶融後の石英ガラス材料と型材のB−B断面図である。 図2は、本発明による型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において離型材としてアルミナ膜を形成するようにした型材と石英ガラス材料との断面図であり、図1(d)に示す断面図に対応する。 図3(a)は、離型材としてアルミナ膜を形成した型材を用いた場合の実験結果を示す図表であり、また、図3(b)は、離型材を設けていない型材を用いた場合の実験結果を示す図表である。
符号の説明
10 型材
12 底板
12a 上面
14 外筒
14a 内周面
16 石英ガラス材料
20 アルミナ膜

Claims (13)

  1. 型材中で石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形する型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    加熱溶融される石英ガラス材料の接する面にアルミナ(Al)スラリーを塗布した後に乾燥させてアルミナ膜を形成したカーボン製の型材を用い、
    前記型材中に石英ガラス材料を載置して、前記型材中で石英ガラス材料を加熱溶融してガラス製品の概形を成形する
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  2. 請求項1に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナスラリーは、アルミナ粉末と水とを混合してスラリー化した
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  3. 請求項2に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナスラリーは、分散剤としてポリビニルアルコールを0.1重量%以上30重量%以下添加した
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  4. 請求項2または3のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナ粉末は、鉄(Fe)の含有量が0.1ppm以上8ppm以下、かつ、ナトリウム(Na)の含有量が0.1ppm以上5ppm以下、かつ、カルシウム(Ca)の含有量が0.1ppm以上4ppm以下で、FeとNaとCaとを含む
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  5. 請求項2、3または4のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナ粉末は、平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下である
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  6. 請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナスラリーは、刷毛もしくはスプレーコーティングにより塗布した
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナ膜を加熱温度1500〜2000℃で焼成した
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  8. 請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナ膜を加熱温度1750〜1900℃で焼成した
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  9. 請求項7または8のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記アルミナ膜の焼成は、不活性ガス雰囲気または真空中で行う
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記石英ガラス材料を加熱溶融する際の加熱温度は、1500〜2000℃である
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記石英ガラス材料を加熱溶融する際の加熱温度は、1750〜1900℃である
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  12. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記石英ガラス材料の加熱溶融を不活性ガス雰囲気または真空中で行う
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
  13. 請求項9または12のいずれか1項に記載の型材を用いた石英ガラス材料の成形方法において、
    前記不活性ガスは、窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガス、ヘリウム(He)ガスあるいはこれらの混合ガスである
    ことを特徴とする型材を用いた石英ガラス材料の成形方法。
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