JP2010044245A - 位相差フィルムおよびこの位相差フィルムを用いた偏光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】位相差フィルムは、グルカン誘導体(例えば、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体)のヒドロキシル基にヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)がグラフト重合した変性グルカン誘導体(変性セルロース誘導体など)で構成されており、下記式を満足する。
0.7≦Re(450nm)/Re(550nm)≦0.9
(式中、Re(450nm)およびRe(550nm)は、それぞれ波長450nm、波長550nmでの位相差値を示す)
【選択図】なし
Description
(Re750/Re550)=A1/Δn+1
(Re450/Re550)=A2/Δn−1
(Re750/Re550)は波長750nmにおける位相差値の波長550nmにおける位相差値に対する比率であり0.05〜1.95の値を示す。(Re450/Re550)は波長450nmにおける位相差値の波長550nmにおける位相差値に対する比率であり0.05〜1.95の値を示す。Δnは位相差フィルムの波長550nmにおける複屈折であり0.001〜0.06の値を示す。A1およびA2は定数で−0.06〜0.06の値を示し、A1が正の値のときA2は負の値であり、A1が負の値のときA2は正の値になる。
−O−A−CO− (2)
A、Bは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基または、水酸基で置換された炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。但しA,Bは同じでも異なってもよい。
(式中、Re(450nm)及びRe(550nm)はそれぞれ波長450nm及び波長550nmでの位相差値を示す。)
前記グルカン誘導体は、特に、アシル基の平均置換度2.55〜2.7のセルロースアシレートであってもよい。このようは平均置換度のセルロースアシレートを使用すると、上記のような逆波長分散特性を有する位相差フィルムを得やすい。
(B)アシル基の平均置換度2.0〜2.54のセルロースC2−4アシレート
このような混合物において、グルカン誘導体(A)とグルカン誘導体(B)との割合は、前者/後者(重量比)=90/10〜10/90程度であってもよい。本発明で、このようなブレンドによりグルカン誘導体の平均置換度を調整することができるため、容易に前記のような逆波長分散性を有するフィルムを得ることができる。
グルカンとしては、特に限定されず、例えば、β−1,4−グルカン、α−1,4−グルカン、β−1,3−グルカン、α−1,6−グルカンなどが挙げられる。代表的なグルカンとしては、例えば、セルロース、アミロース、デンプン、レンチナン、デキストランなどの多糖類が挙げられる。グルカンは単独で又は2種以上合わせて使用できる。これらのグルカンうち、セルロース、デンプン(又はアミロース)、特にセルロースが好ましい。セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、コットンリンターパルプなどの種々のセルロース源が使用できる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有していてもよい。パルプとしては、針葉樹パルプ及びリンターパルプから選択された少なくとも一種のパルプを使用する場合が多い。高品位セルロースのα−セルロース含有量は、98%以上(例えば、98.5〜100%、好ましくは99〜100%、さらに好ましくは99.5〜100%程度)であってもよい。
(B)アシル基の平均置換度2.55以下(例えば、2.0〜2.54、好ましくは2.1〜2.52、さらに好ましくは2.2〜2.5、特に2.25〜2.48程度)のセルロースアシレート(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースC2−4アシレート)。
a×[A/(A+B)]+b×[B/(A+B)]
により求められる。
ヒドロキシ酸成分としては、ヒドロキシ酸(例えば、ヒドロキシアルカンカルボン酸)、環状エステルなどが例示でき、環状エステルには、ラクトン(環状モノエステル)、及び環状ジエステルが含まれる。ヒドロキシアルカンカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸(L−乳酸、D−乳酸)、ヒドロキシプロピオン酸(ヒドロアクリル酸)、α−オキシ酪酸、6−ヒドロキシヘキサン酸などのヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸(好ましくはα−ヒドロキシC2−6アルカンカルボン酸、さらに好ましくはα−ヒドロキシC2−4アルカンカルボン酸)などが例示できる。なお、ヒドロキシ酸は、低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)化されていてもよい。これらのヒドロキシ酸のうち、特に、α−ヒドロキシ酸[特に、乳酸(L−乳酸、D―乳酸、又はこれらの混合物)]が好ましい。ヒドロキシ酸は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。ラクトン(環状モノエステル)としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ラウロラクトン、エナントラクトン、ドデカノラクトン、ステアロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、β,δ−ジメチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトンなどのC3−20ラクトン、好ましくはC4−15ラクトン、さらに好ましくはC4−10ラクトン)などが例示できる。環状ジエステルとしては、例えば、グリコリド、ラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド又はこれらの混合物)などのC4−15環状ジエステル、好ましくはC4−10環状ジエステルなど)などが挙げられる。
反応(グラフト重合反応)は、ヒドロキシ酸成分の種類(例えば、環状エステル)にもよるが、慣用の触媒[例えば、有機酸類、無機酸類、金属(アルカリ金属、マグネシウム、亜鉛、スズ、アルミニウムなど)、金属化合物[スズ化合物(ジブチルチンラウレート、塩化スズ)、有機アルカリ金属化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物(チタンアルコキシドなど)、有機ジルコニウム化合物など]など]の存在下で行ってもよい。触媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)を用いた重合反応系では、水に対する溶解度が小さな特定の溶媒(疎水性溶媒)又は水分含有量の少ない溶媒を使用すると、水の影響を極力抑え、ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)のホモポリマーの生成を著しく抑制できる。そこで、前記特定の触媒と特定の溶媒とを組み合わせることにより、ヒドロキシ酸成分単独の重合(すなわち、環状エステルなどのホモポリマーの生成)を抑制するのが有用である。また、溶媒の非存在下、前記特定の触媒を用いることによっても、ヒドロキシ酸成分単独の重合を抑制できる。
本発明の位相差フィルムでは、セルロースエステルのようなグルカン誘導体ではなく、このようなグルカン誘導体にヒドロキシ酸成分がグラフト重合した化合物(変性グルカン誘導体)、特に、このような変性グルカン誘導体のブレンド物を使用する。変性グルカン誘導体を使用することにより、熱可塑性や柔軟性に優れ、また、波長分散性を制御しやすいフィルムを効率よく得ることができる。
前記変性グルカン誘導体で構成された位相差フィルムは、未延伸フィルムであってもよく延伸フィルム(一軸又は二軸延伸フィルム)であってもよい。位相差フィルムは、通常、未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムである場合が多い。延伸倍率は、レタデーション値に応じて1.05〜5倍程度の範囲から適当に選択でき、例えば、1.1〜4倍、好ましくは1.15〜3倍、さらに好ましくは1.2〜2.5倍(例えば、1.3〜2.2倍)程度であってもよい。
(式中、Re(450nm)及びRe(550nm)はそれぞれ波長450nm及び波長550nmでの位相差値(レタデーション値)を示す)
より具体的には、Re(450nm)/Re(550nm)=Xとすると、Xの値が、0.71〜0.895、好ましくは0.72〜0.89(例えば、0.73〜0.89)、さらに好ましくは0.74〜0.885(例えば、0.75〜0.885)、特に0.77〜0.88(例えば、0.78〜0.85)、通常0.74〜0.89であってもよい。
(式中、Re(550nm)及びRe(630nm)は、それぞれ波長550nm及び波長630nmでの位相差値を示す)
より具体的には、Re(630nm)/Re(550nm)=Yとすると、Y=1.01〜1.5、好ましくは1.01〜1.4、さらに好ましくは1.02〜1.3(例えば、1.05〜1.2)程度であってもよい。特に、理想的な逆波長依存性を示す位相差フィルムでは、前記Yの値が約1.15となるが、本発明では、Yの値が1.15又はその付近である位相差フィルム[例えば、Yの値が、1.03〜1.25、好ましくは1.04〜1.2(例えば、1.05〜1.18)、さらに好ましくは1.06〜1.17程度の位相差フィルム]を得ることも可能である。
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す。)
本発明の位相差フィルムは、通常、可視光域において、波長が大きくなるにつれて位相差も大きくなり、波長が短くなるにつれて位相差も小さくなる。すなわち、正の波長分散特性を有している。そのため、可視光域での光線の位相のずれを補償し、鮮明な色再現性を実現するのに有効である。
位相差フィルムは、慣用の方法でフィルム又はシート成形し、得られたフィルム又はシートを延伸(又は配向処理)することなく製造してもよく、延伸(又は配向処理)することにより製造してもよい。フィルム成形には、押し出し成形、ブロー成形などの溶融成形法(溶融製膜法)を利用してもよく、流延成形法(流延製膜法)を利用してもよい。フィルム成形には、通常、流延成形法が利用される。溶融成形法では、押出機を用いて前記変性グルカン誘導体単独又は変性グルカン誘導体を含む組成物を溶融してダイのスリットからフィルム状に押出成形し、冷却することによりフィルム又はシートを調製し、このフィルム又はシートを延伸(又は配向処理)するか又は延伸することなく、位相差フィルムを得ることができる。溶融成形法ではTダイを利用して押し出し成形する場合が多い。なお、溶融製膜法では、ダイからの溶融フィルム又はシートの引き取りによりフィルム又はシートを配向させることもできる。本願明細書では、このような配向も延伸の概念に含めることができる。
酢酸セルロースの酢酸平均置換度、残存水酸基の置換基分布の測定は、分析対象の酢酸セルロースをプロピオニル化し、置換したプロピオニル基の分布をNMRにより測定することによって行った。具体的には下記の通りである。
80℃で24時間、乾燥機にて乾燥を行った酢酸セルロースを50mlナス型フラスコに0.4g測り取った。そして、8mlのジクロロメタンを加え、約1時間均一になるまで撹拌混合した。均一になったことを確認した後、8mlのピリジン、プロピオニル化に大過剰量である8mlの無水プロピオン酸、40mgのジメチルアミノピリジンを加え、冷却管を取り付け、100℃のオイルバス中で、撹拌下一時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を300mlのメタノール中に撹拌を伴いつつ滴下すると、白色の全置換されたプロピオニル化酢酸セルロースが得られた。そして、1H−NMRにより2,3位および、6位の残存水酸基を置換したプロピオニル基のピーク面積から、各残存水酸基の置換基分布及びアセチル平均置換度を求めた。NMR測定条件は、以下の通りである。
温度:40℃
磁場強度:500MHz
積算回数:16回。
2および3位残存水酸基=(ピークA面積/3)/(ピークC面積/7)
6位残存水酸基=(ピークB面積/3)/(ピークC面積/7)
酢酸平均置換度=3−(2,3位残存水酸基)−(6位残存水酸基)
より求めた。
得られたグラフト体を精製した後、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、JNM A500)により、セルロースアセテート、ε−カプロラクトンのグラフト共重合体に由来するピーク面積から各成分のモル分率を決定し、セルロースアセテートにグラフトしたε−カプロラクトンの平均モル数(MS)、グラフトしたε−カプロラクトンの平均置換度(DS)、グラフトしたε−カプロラクトンの平均重合度(DPn)を決定した。NMR測定条件は、以下の通りである。
温度:60℃
磁場強度:500MHz
積算回数:16回。
フィルムを、23℃、相対湿度50%の恒温、恒湿室で48時間放置し、同環境下で、濁度計(日本電色工業(株)、「NDH5000W」)を用い、JIS K7136に準じて、ヘーズを測定した。
フィルム(未延伸フィルム)を、23℃、相対湿度50%の恒温、恒湿室で48時間放置し、濁度計(日本電色工業(株)、「NDH5000W」)を用い、JIS K7361−1に準じて、全光線透過率を測定した。
(グラフト体の合成)
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、平均置換度2.44、2,3位(2および3位、以下同じ)残存水酸基0.31、6位残存水酸基0.25)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、系を乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、ジプロピルフェニルカルボジイミド(DPC)2.7重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
(酢酸セルロースの合成)
水分8.2重量%を含む解砕されたパルプ1520重量部に、698重量部の酢酸を均一に散布し、撹拌の後、90分間室温で放置した。約−10℃に冷却した無水酢酸3930.6重量部、酢酸5755重量部および98%硫酸115.4重量部の混合液中に上記の酢酸含浸パルプを投入し、混合した。外部冷却と外部加温とによって、反応温度を反応開始時点の0℃から70分後に37℃まで直線的に昇温し、さらに80分間、37℃を維持して酢酸セルロースを合成した。
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に得られた酢酸セルロース(平均置換度2.78、2,3位残存水酸基0.11、6位残存水酸基0.11)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、系を乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、ジプロピルフェニルカルボジイミド(DPC)2.7重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
特開平9−286801号公報に記載の方法に準じて酢酸セルロースを合成した。すなわち、セルロース100重量部に対して硫酸7.8重量部、無水酢酸260重量部及び酢酸400重量部を加え、40℃で40分間アセチル化を行った。その後、反応物を大過剰の水によって洗浄し乾燥を行い、DMSO(ジメチルスルホキシド)1500重量部に溶解させた。これにヒドラジン1水和物27重量部とDMSO100重量部の混合物を加え、50℃で5時間、部分加水分解を行った。その後、反応物を大過剰の水により沈殿し、洗浄し、乾燥を行った。
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に得られた酢酸セルロース(平均置換度2.72、2,3位残存水酸基0.11、6位残存水酸基0.17)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、系を乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、ジプロピルフェニルカルボジイミド(DPC)2.7重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
セルロース100重量部に対して硫酸7.8重量部、−10℃に冷却した無水酢酸260重量部および、酢酸400重量部を加え、40℃で40分間アセチル化を行った。その後、反応物を大過剰の水により沈殿、乾燥を行い、DMSO1500重量部に溶解させた。これに、ヒドラジン1水和物27重量部とジメチルスルホキシド(DMSO)100重量部の混合物を加え、50℃で5時間、部分加水分解を行った。その後、反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥行った。
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に得られた酢酸セルロース(平均置換度2.62、2,3位残存水酸基0.17、6位残存水酸基0.21)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、系を乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、ジプロピルフェニルカルボジイミド(DPC)2.7重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
(酢酸セルロースの合成)
撹拌機、いかり型撹拌翼、冷却管を備えた反応器に、90℃、24時間予備乾燥を行った水分含量0.1重量%の酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、平均置換度2.44、2,3位残存水酸基0.31、6位残存水酸基0.25)70重量部、ピリジン740重量部を加え、乾燥窒素雰囲気下、撹拌下、100℃、2時間で均一化を行った。均一になったことを確認した後、4−ジメチルアミノピリジン4重量部、無水酢酸5.8重量部を加え、撹拌下、100℃、1時間反応を行った。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応溶液を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し原料酢酸セルロースを得た。
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に得られた酢酸セルロース(平均置換度2.58、2,3位残存水酸基0.26、6位残存水酸基0.16)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、系を乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、ジプロピルフェニルカルボジイミド(DPC)2.7重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レ
ベリング後、40℃の温風乾燥機で30分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で30分間乾燥させて膜厚115μmのフィルムを得た。フィルムの透明性を測定したところ全光線透過率92.7%、全ヘーズ0.5%、外部ヘーズ0.2%であった。
(グラフト体の合成)
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、平均置換度2.44、2,3位残存水酸基0.31、6位残存水酸基0.25)31.5重量部、参考例2で得られた酢酸セルロース(平均置換度2.78、2,3位残存水酸基0.11、6位残存水酸基0.11)38.5重量部を加え(すなわち、酢酸セルロース混合物の平均置換度は2.63)、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。なお、酢酸セルロース混合物の平均置換度は、下記式により求められる。
その後、系を乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、ジプロピルフェニルカルボジイミド(DPC)2.7重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、ジクロロメタン90重量部に対して反応溶液10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レベリング後、40℃の温風乾燥機で30分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で30分間乾燥させて膜厚110μmのフィルムを得た。フィルムの透明性を測定したところ全光線透過率92.2%、全ヘーズ1.0%、外部ヘーズ0.5%であった。
参考例2で得られた酢酸セルロース(平均置換度2.78、2,3位残存水酸基0.11、6位残存水酸基0.11)7.5重量部、酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、平均置換度2.44、2,3位残存水酸基0.31、6位残存水酸基0.25)7.5重量部(混合物の平均置換度=2.61)、塩化メチレン78重量部、およびメタノール15重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置することによりドープ中の泡を除いた。
上記ドープを、ガラス板上にバーコーターを用いてドープ温度20℃で流延した。流延したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レベリング後、40℃の温風乾燥機で30分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で30分間乾燥させて膜厚98μmのフィルムを得た。フィルムの透明性を測定したところ全光線透過率92.7%、全ヘーズ2.7%、外部ヘーズ1.6%であった。フィルムは、目視で明らかに表面が荒れ、曇っていることが確認できた。
Claims (10)
- グルカン誘導体のヒドロキシル基にヒドロキシ酸成分がグラフト重合したヒドロキシ酸変性グルカン誘導体で構成され、積層することなく1枚のフィルムにおいて、下記式を満足する位相差フィルム。
0.7≦Re(450nm)/Re(550nm)≦0.9
(式中、Re(450nm)及びRe(550nm)はそれぞれ波長450nm及び波長550nmでの位相差値を示す。) - グルカン誘導体が、アシル基の平均置換度2.55〜2.7のセルロースアシレートである請求項1記載の位相差フィルム。
- グルカン誘導体が、平均置換度の異なる複数のセルロースアシレートの混合物であり、全体として平均置換度2.55〜2.7を充足する請求項2記載の位相差フィルム。
- グルカン誘導体が、下記のグルカン誘導体(A)とグルカン誘導体(B)との混合物である請求項3記載の位相差フィルム。
(A)アシル基の平均置換度2.71〜2.9のセルロースC2−4アシレート
(B)アシル基の平均置換度2.0〜2.54のセルロースC2−4アシレート - グルカン誘導体(A)とグルカン誘導体(B)との割合が、前者/後者(重量比)=90/10〜10/90である請求項4記載の位相差フィルム。
- ヒドロキシ酸成分が、ヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸、C4−10ラクトン及びC4−10環状ジエステルから選択された少なくとも一種であり、グルカン誘導体のグルコース単位1モルに対して、ヒドロキシ酸成分がヒドロキシ酸換算で平均0.1〜4モルの割合でグラフトしている請求項1〜5のいずれかに記載の位相差フィルム。
- グルカン誘導体がセルロースアセテートであり、ヒドロキシ酸成分がC4−10ラクトンである請求項1〜6のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 全光線透過率が85%以上、かつヘーズが3%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 1/4波長板又は1/2波長板である請求項1〜7のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の位相差フィルムと偏光板とが積層された円偏光又は楕円偏光板。
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