JP2010043153A - インクジェット記録用光硬化型インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢度の良好な金属光沢面を容易に形成することができ、かつ、インクジェット記録方法に好適なインクジェット記録用光硬化型インク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、金属顔料と、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有し、前記金属顔料は、金属または合金層と、樹脂層および酸化ケイ素層から選ばれる少なくとも1種と、が積層された平板状粒子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用光硬化型インク組成物に関する。
近年、印刷面に金属光沢面が形成された印刷物の需要が高まっている。金属光沢面を有する印刷物を得る方法としては、従来は、たとえば、平坦性の高い印刷面を有する記録媒体に対して、これに金属箔を用いて印刷する方法、印刷面が平滑なプラスチックフィルムに対して金属を真空蒸着する方法、および、記録媒体に金属顔料インキを用いて印刷し、さらにプレス加工を行う方法などが挙げられる。
一方、インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この記録方法は、比較的小規模な装置構成で、高解像度、高品位な画像を高速で印刷することができるという特徴を有する。そのため、このようなインクジェット記録方法によって、金属光沢面を有する記録物を作製することが検討されている。たとえば、特開2002−179960号公報に、プラスチックの球形粒子の表面に金属の被膜を形成したものを顔料として含むインク組成物を、インクジェット記録装置にて記録媒体に塗布し、その後プレス加工を行い表面の平滑化を行う印刷技術が開示されている(特許文献1)。
また一方、近年、紫外線等の光によって硬化する光硬化型インクの開発が進められている。この光硬化型インクは、インクジェット記録方法によって、プラスチック等のインクを吸収しない非吸収メディアに対して、速乾性があり、かつインクの滲みの少ない記録を行うことができるという特徴がある。光硬化型インクは、重合性化合物、重合開始剤および顔料等から構成される。
特開2002−179960号公報
光硬化型インクに顔料として金属顔料を用いれば、プレス等の工程を経ることなく、インクジェット記録方法によって、金属光沢面を形成できる可能性がある。しかしながら、このような方法を実現するためには、以下のような課題があった。
1つは、金属顔料の大きさが制限されることである。インクジェット記録方法においては、インクジェット記録装置のノズル径より径の小さい金属顔料を使用する必要があるため、十分な金属光沢を有する印刷面を得ることが難しかった。
また1つは、インク印刷面の硬化が困難となることである。光硬化型インクの顔料として金属顔料を用いると、インク印刷面に光を照射しても該金属顔料によって光が吸収・反射され、光量が不足し印刷面の硬化が不十分となることがあった。さらに光硬化メカニズムが、カチオン重合反応系である場合、発生する酸と金属が反応してしまい、危険性が伴うこと、さらに、該金属顔料の劣化により、所望の金属光沢調の画像が得られなかった。
また、金属顔料が配合された光硬化型インクの硬化を十分に行うために強力な光を照射すると、金属顔料に吸収された光によって熱が発生し記録媒体がダメージを受けること、反射によって光が周囲に散乱され安全性に問題を生じる可能性が有ることなどの不具合点があった。
さらに、装置の大型化の問題があった。強力な光を照射するための光源が大規模化し、他の印刷方法に比較してコンパクトで安全な装置構成を採りうるインクジェット記録方法の利点が損なわれてしまっていた。
本発明のいくつかの態様の目的の1つは、光沢度の良好な金属光沢面を容易に形成することができ、かつ、インクジェット記録方法に好適なインクジェット記録用光硬化型インク組成物を提供することである。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、
金属顔料と、
重合性化合物と、
重合開始剤と、
を含有し、
前記金属顔料は、
金属または合金層と、
樹脂層および酸化ケイ素層から選ばれる少なくとも1種と、
が積層された平板状粒子である。
このようなインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、光沢度の良好な金属光沢面を容易に形成することができ、かつ、インクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
前記金属顔料における、金属または合金層と、樹脂層および酸化ケイ素層との間に、さらに色材層を有することができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
前記平板状粒子は、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす形状を有することができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
前記金属または合金層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
前記重合性化合物がカチオン重合化合物であることができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
前記重合性化合物がラジカル重合化合物であることができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
さらに、ヒンダードアミン化合物を含有することができる。
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物において、
前記金属顔料の金属または合金層の端面は、化成処理されてなることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
1.インクジェット記録用光硬化型インク組成物
本発明にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、金属顔料と、重合性化合物と、重合開始剤と、を含有する。
1.1.金属顔料
本実施形態にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物に含有される金属顔料は、インクジェット記録用光硬化型インク組成物が記録媒体等に付着されたときに、該付着物に金属光沢を付与する機能を有する。
本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物に含有される金属顔料は、以下のように調製される複合化顔料である。
第1形態の複合化顔料は、第1形態の複合化顔料の原体から顔料層を剥離して粉砕することにより得られる。第1形態の複合化顔料の原体は、シート状基材面の片面または両面に、顔料層が積層された構造からなる。第1形態の複合化顔料の原体の顔料層は、酸化ケイ素層/(金属または合金層)/酸化ケイ素層が順次積層されたものである。そしてこの顔料層を、シート状基材より剥離し粉砕したものが第1形態の複合化顔料である。
第2形態の複合化顔料は、第2形態の複合化顔料の原体から顔料層を剥離して粉砕することにより得られる。第2形態の複合化顔料の原体は、上記第1形態と同様にシート状基材面に、顔料層が積層された構造からなる。第2形態の複合化顔料の原体の顔料層は、樹脂層/(金属または合金層)/樹脂層が積層されたものである。そしてこの顔料層を、シート状基材より剥離し粉砕したものが第2形態の複合化顔料である。
また、上記第1形態において、酸化ケイ素層と、金属または合金層と、の間に色材層を設けた第3形態の複合化顔料、および、上記第2形態において、樹脂層と、金属または合金層と、の間に色材層を設けた第4形態の複合化顔料は、いずれも本実施形態のインクジェット記録用インク組成物に含有される金属顔料として好適に用いることが可能である。
本実施形態の金属顔料は、上述した複合化顔料であり、金属または合金層が、酸化ケイ素層または樹脂層に覆われた構造を有している。そのため、金属または合金層が、酸化ケイ素層または樹脂層により保護される。よって金属または合金層は、従来の金属顔料とは異なり、変色、消色等を起こしにくく、保存安定性が良好である。また、樹脂層を積層した複合化顔料(上記第2形態または第4形態)においては、樹脂層は保護コロイドの役割を果たすことが可能である。そのためこのような複合化顔料の分散体は、より安定な金属顔料分散体となることができる。
また上記第3形態、および第4形態の複合化顔料のように、色材層を、層間に設けることで、所望の着色性を付与することができる。
本実施形態の金属顔料は、上述のように積層体であって平板状の構造であるため、インクジェット記録用光硬化型インク組成物中において、優れた保存安定性および分散安定性を有し、インクジェット記録時にも良好な吐出性を付与することができる。さらに、本実施形態の金属顔料は、積層板状構造であるため、一般的な球形の形状を有する顔料と比較して、厚み方向に光を透過しやすいため、光の遮蔽性が抑制されるため、インクジェット記録用光硬化型インク組成物に極めて好適である。また、積層構造とすることで機械的強度が向上するため、金属顔料の変形による金属光沢低下を防止できる。
また、金属顔料が粉砕処理により作成されたとき、金属顔料の端面には金属または合金層の露出部が生じる。このような露出部は、化学的活性が高い場合がある。そのため、水分や水蒸気等と反応し、腐食することにより、界面剥離等が生じることがある。その結果、金属または合金が、金属酸化物、金属水酸化物等へと変化することがあり、金属光沢の低下、金属光沢の消失といった不具合を生じることもある。したがって、このような不具合を抑制するためには、金属顔料の端面を化学酸化剤により化成処理し、化学的に安定な保護層を形成することがさらに好ましい。
以下、本実施形態の複合化顔料の原体および複合化顔料を構成する各層の構成成分、層の形成方法および剥離・粉砕処理方法等について説明する。
〔顔料層〕
まず本実施形態の複合化顔料原体の積層板状構造中の顔料層について説明する。
本実施形態の第1形態の複合化顔料の原体の顔料層は、酸化ケイ素層/(金属または合金層)/酸化ケイ素層が順次積層された構造を有する。顔料層の全体の厚さは、100〜500nmの範囲が好ましい。100nm未満では、機械的強度が不足することがあり、500nmを超えると強度が高くなりすぎるため粉砕・分散等の処理が困難になる場合がある。
顔料層中の金属または合金層としては、金属光沢を呈する等の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン等が好適であり、これらの単体金属、金属化合物またはこれらの合金およびそれら混合物の少なくとも一種を好適に用いることができる。顔料層中の金属または合金層の材質としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがさらに好ましい。アルミニウム合金を選択する場合は、アルミニウムに含有される他の元素としては、アルミニウム合金として金属光沢を発現できるものである限り制限はない。アルミニウムの合金元素としては、たとえば、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
金属または合金層は、特に限定されないが、たとえば、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリング法により形成することができる。これらの金属または合金層の厚さは、特に限定されないが、15〜150nmの範囲がより好ましい。15nm未満では金属顔料としての反射性、光輝性等の性能が不足する場合があり、150nmを超えると見かけ比重が増加し、複合化顔料の分散安定性が低下する場合がある。金属または合金層の厚みの不必要な増大は、金属顔料粒子の重量の増加を招くだけであり、150nmより厚い膜厚であっても、反射性、光輝性はあまり変化しない。
顔料層中の酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に限定されるものではない。酸化ケイ素層は、たとえば、ゾル−ゲル法によってシリコンアルコキシドまたはその重合体から形成されることができる。
酸化ケイ素層の形成方法としては、たとえば、上記シリコンアルコキシドまたはその重合体を溶解したアルコール溶液を、対象となる面に塗布し、加熱焼成することにより形成することができる。このような酸化ケイ素層の原料の具体例としては、たとえば、型番「HAS−6」として、コルコート株式会社から入手可能な物質を挙げることができる。この場合、酸化ケイ素層の原料溶液の塗布は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート等の方法により行うことができる。また、塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により、表面の平滑化を行うことができる。
酸化ケイ素層の厚さは、特に限定されないが、50〜150nmの範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足する場合があり、150nmを超えると機械的強度が高くなり過ぎるため粉砕・分散が困難となることがあり、また金属または合金層との界面で剥離してしまう場合がある。
本実施形態の第2形態の複合化顔料の原体の顔料層は、樹脂層/(金属または合金層)/樹脂層が順次積層された構造を有する。金属または合金層については、第1形態の複合化顔料の原体の場合と同様であるため、説明を省略する。
第2形態の複合化顔料の原体の顔料層における樹脂層は、特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、アクリル酸共重合体または変性ナイロン樹脂などから構成することができる。なお、樹脂層を構成する材料は、後述するシート状基材面と樹脂層とが接する場合は、シート状基材面との剥離性を有するものを選択することがより好ましい。
第2形態の複合化顔料の原体の顔料層における樹脂層の厚さは、特に限定されないが、0.5〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満では、金属または合金層を保護する効果が不足する場合があり、また分散樹脂としての効果が不足して、インク組成物に分散安定性を十分に付与できない場合がある。また、第2形態の複合化顔料の原体の顔料層における樹脂層の厚さが、50μmを超えると原体の状態でロール化した場合などに、金属または合金層と当該樹脂層との界面で剥離し易くなることがある。
第2形態の複合化顔料の原体における樹脂層の形成方法としては、たとえば、上述の樹脂を適宜な溶媒に溶解した溶液を、対象となる面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。この場合、樹脂層の塗布は、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート等の方法により行うことができる。また、塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により表面の平滑化を行うことで光沢性も付与することができる。
本実施形態の第3形態および第4形態の複合化顔料の原体の顔料層は、金属または合金層と、酸化ケイ素層または樹脂層と、の間に色材層を設けた構造を有する。すなわち、本実施形態の第3形態および第4形態の複合化顔料は、顔料層中の金属または合金層に隣接するように、少なくとも1層の色材層を設けたものである。
色材層は、本実施形態の複合化顔料に対し、金属または合金層に由来する金属光沢および光輝性に加えて、任意の色調、色相を付与する機能を有している。色材層に含有される色材としては、特に限定されず、一般的な公知の染料や顔料を好適に用いることができる。また、色材層には、色材の溶液または分散体の分散剤として、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートブチレート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の繊維素樹脂などの高分子分散剤が含有されていてもよい。色材層の形成方法としては、特に限定されないが、たとえば、色材の溶液または分散体を、対象となる面にコーティングすることにより行うことができる。この場合、コーティングは、一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート等の方法により行うことができる。また、塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により表面の平滑化を行うことで光沢性も付与することができる。
また、金属顔料の粉砕処理により、金属顔料端面に生じる金属または合金層の露出部は、化学酸化剤により化成処理し、化学的に安定な保護層を形成することが好ましい。この場合、使用に好適な化学酸化剤としては、過酸化水素、クロム酸、リン酸、リン酸塩、クエン酸、リンゴ酸等の不揮発性の有機酸等を挙げることができる。
なお、本実施形態の第1形態ないし第4形態の複合化顔料の積層構造は、繰り返されていてもよい。
〔シート状基材〕
本実施形態の複合化顔料の原体に使用されるシート状基材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフイルム、66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフイルム、ポリカーボネートフイルム、トリアセテートフイルム、ポリイミドフイルム等の離型性フィルムが挙げられる。なかでも特に好ましいシート状基材としては、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である。
これらのシート状基材の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmが好ましい。10μm以上であれば、工程等で取り扱い性が良好で、150μm以下であれば、柔軟性があり、ロール化、剥離処理等において問題を生じにくい。
〔剥離層〕
本実施形態の複合化顔料の原体に使用されるシート状基材の片面または両面の表面には、剥離層を設けることができる。剥離層を設けることにより、シート状基材と、顔料層との剥離処理をより容易にすることができる。剥離層としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートブチレート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の繊維素樹脂などを用いることができる。なお、第2複合化顔料および第4複合化顔料の原体の場合、剥離層を設けるときは、剥離層を構成する材料と、樹脂層を構成する材料とが、少なくとも特定の溶媒に対する溶解性の点で異なるものとすることが好ましい。
〔複合化顔料の剥離・粉砕処理〕
本実施形態の複合化顔料は、複合化顔料原体の顔料層を、シート状基材より剥離し、粉砕し微細化して得られる。
複合化顔料の剥離処理の方法としては、特に限定されないが、たとえば、複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法がある。また、たとえば、複合化顔料原体を液体中に浸漬して超音波処理を行い、剥離処理と剥離された顔料層の粉砕処理を同時に行う方法を挙げることができる。剥離された顔料層を粉砕する方法としては、機械的な粉砕方法も用いることができる。さらに、粉砕物から目標の粒径を有する複合化顔料を分級、採取して粒径が所望の分布を有するようにすることもできる。
以上説明したような本実施形態の金属顔料(複合化顔料)は、さらに以下のような性質を有する。上記の積層構造を有する金属顔料は、平板状の粒子形状を有する平板状粒子である。「平板状粒子」は、略平坦な面(XY平面)を有し、かつ厚み(Z)が略均一であって、平らな板状の形状を有する粒子である。そして、該板の厚みZが、該板の板面の方向の大きさ(XY平面上の大きさ)よりも小さい粒子のことをいう。本明細書においては、平板状粒子の形状のパラメータとして、該平板状粒子の平面上(板面方向)の長径をX、短径をY、該平板状粒子の厚みをZと定義する。
このような平板状の形状を有する金属顔料は、インクジェット記録用光硬化型インク組成物が記録媒体に付着されたときに、記録媒体の法線方向と金属顔料の厚み方向が揃うように配置されやすい。そのため、記録媒体に金属光沢面を形成するときに必要となる金属顔料の量を低減することができる。また、金属顔料が平板状であるため、印刷面に光を照射する際に透過光を生じやすく、光硬化型インク組成物の印刷面を硬化させ易い。
金属顔料は、記録媒体に形成される印刷面の金属光沢を高め、かつ、該印刷面を硬化させるために必要な光量をさらに低減するために、粒子の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、XY平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつR50/Z>5の条件を満たす形状とすることがより好ましい。
ここで、「円相当径」とは、平板状粒子のXY平面を、Z方向に投影したときの面積と同じ面積を有する円の直径のことである。円相当径は、たとえば、粒子像分析装置(たとえば、シスメックス株式会社製FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA3000S)や、顕微鏡観察結果の画像解析などによって測定することができる。
平板状粒子の円相当径の50%平均粒子径R50とは、円相当径に対する粒子の個数(頻度)分布を描いたときに、測定した粒子の総個数の50%部分に相当する円相当径のことを指す。
このようにすれば、記録媒体に形成される印刷面の表面の平坦性を向上させることができ、該印刷面の金属光沢度を高めることができる。さらに、金属顔料を透過する光の量を増大することができるため、印刷面の硬化に必要な光の照射量を低減することができる。
上記の方法で製造した金属顔料は、製造工程中で形成される金属蒸着膜の性状によって特徴付けることができる。すなわち、金属顔料の製造過程における金属または金属化合物の層は、光の透過率の測定が容易である。また、これを粉砕して得られる金属顔料は、金属または合金層と同じ光の透過率を有すると考えられる。金属または合金層の光の透過率は、たとえば、浜松ホトニクス株式会社製 紫外線積算光量計 C9536、H9535シリーズ、コニカミノルタホールディングス株式会社製 紫外線強度計UM−10等によって測定することができる。
本実施形態の金属顔料は、記録媒体に形成される印刷面を硬化させるために必要な光量を低減するために、金属または合金層の厚み方向に対する光の透過率、特に硬化処理に使用される波長350nm〜450nm付近の光の透過率が0.5%以上であることがより好ましい。
金属顔料の平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径の最大粒子径Rmaxは、インクジェット記録用光硬化型インク組成物をインクジェット記録装置を用いて塗布する際には、ノズルの目詰まりを防止するために、10μm以下であることが好ましい。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物に対する金属顔料の含有量は、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜1.75質量%である。この範囲以下では、印刷面において、良好な金属光沢を得られなくなる場合があり、この範囲を超えると、印刷面の硬化性が損なわれる場合がある。
1.2.重合性化合物
本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物に含有される重合性化合物としては、単官能重合性化合物および多官能重合性化合物を挙げることができる。これらの重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限されることはなく、モノマー、オリゴマー、直鎖状ポリマー、樹枝状ポリマーの種を問わず使用することができる。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物において用いることができるラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、アリル化合物、N−ビニル化合物、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)などが挙げられる。なお、本明細書中において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
本実施形態において、(メタ)アクリレート類としては、一般的な単官能(メタ)アクリレート、および多官能(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。(メタ)アクリレート類のうち、多官能の(メタ)アクリレートの典型としては、たとえば、分子中に(メタ)アクリロイル基を複数有する化合物が挙げられ、直鎖状の高分子に(メタ)アクリロイル基が複数結合した化合物や、樹枝状ポリマーに(メタ)アクリロイル基が複数結合した化合物を好適に用いることができる。特に樹枝状ポリマーに(メタ)アクリロイル基が複数結合した化合物は本実施形態において好適であり、その具体例としては、「ビスコート#1000」の商品名で大阪有機化学工業株式会社から入手可能な化合物が挙げられる。該化合物は、ジペンタエリスルトールをコアとして官能基を分岐させて合成されたハイパーブランチポリマーであり、ポリマー分子の表面付近のアクリロイル基の密度が高いため、重合性化合物として好適に用いることができる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
アリル化合物は、2−プロペニル構造(−CHCH=CH)構造を有する。2−プロペニル基は、アリル基とも呼ばれ、IUPAC命名法では慣用名とされている。アリル化合物の具体例としては、たとえば、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルグリコール(たとえば、日本乳化剤株式会社から入手可能)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル(以上、たとえば、ダイソー株式会社から入手可能)や、ユニオックス、ユニループ、ポリセリン、ユニセーフの商品名であるアリル基を有するポリオキシアルキレン化合物(日油株式会社から入手可能)等が挙げられる。
N−ビニル化合物は、ビニル基が窒素に結合した構造(>N−CH=CH)を有する。N−ビニル化合物は、ラジカル重合性を有する。N−ビニル化合物の具体例としては、たとえば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらの誘導体が挙げられ、これらの化合物の中でも特にN−ビニルホルムアミドが好ましい。N−ビニルホルムアミドは、たとえば、荒川化学工業株式会社から入手することができる。
また、重合性化合物として、活性水素を含む官能基を有する化合物は、ラジカルを発生しやすいため、重合性を向上させるためにさらに好ましい。また、このような化合物は、酸素阻害を受けにくいため、比較的低エネルギーでの硬化が可能となるためより好ましい。活性水素を有する官能基としては、たとえばアミノ基、イミノ基、またはアルコール性水酸基が挙げられ、インクジェット記録用光硬化型インク組成物は、これらの基を有する重合性化合物を含有することがさらに好ましい。また、アルコール性水酸基の代わりにチオール基を有していてもよい。活性水素を含む官能基を有する化合物の具体例としては、たとえば、N−ビニルホルムアミド、ウレタン系オリゴマー(たとえば、商品名:U−4HA、U−15HAとして、新中村化学工業株式会社から入手可能)、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アルカンチオール、アルキレンチオール等が挙げられる。
また、重合性化合物として、エチレン性不飽和二重結合を含む官能基を有する化合物は、重合性が高く、印刷面の硬化速度や硬化性を向上させるためにさらに好ましい。また、このような化合物は、酸素阻害を受けにくいため、比較的低エネルギーでの硬化が可能となるためより好ましい。エチレン性不飽和二重結合を含む官能基としては、ビニル基やアリル基が挙げられる。具体例としては、上述のアリル化合物や、ビニル化合物を挙げることができる。
また、カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物、オキシラン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシドなどが挙げられる。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド、および脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
本実施形態に用いうる単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類、トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジまたはトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本実施形態に用いうるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526、同2001−310937、同2003−341217の各公報に記載される如き、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本実施形態のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本実施形態で用いられる単官能オキセタンの例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
多官能オキセタンの例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
本実施形態で使用するオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物には、これらの重合性化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよいが、インク硬化時の収縮を効果的に抑制するといった観点からは、少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物およびビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを併用することが好ましい。
なお、上記に挙げた重合性化合物のほかに公知の重合性化合物を使用することができ、例えば特開2008−138166、特開2007−120991、特開2008−88228などの各公報に挙げた重合性化合物が使用できる。
本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物中の重合性化合物の含量は、組成物全体に対して50質量%〜95質量%が適当であり、好ましくは、60質量%〜92質量%、さらに好ましくは、70質量%〜90質量%の範囲である。
1.3.重合開始剤
本実施形態にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、重合開始剤を含有する。インクジェット記録用光硬化型インク組成物に用いられる重合開始剤は、光によって活性種を発生することができる。重合開始剤の活性種を発生させうる光としては、例えば、400nm〜200nmの範囲の紫外線、可視光、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、またはX線等の電磁波が挙げられる。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物に含有される重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物等を挙げることができる。
なお、上記に挙げた重合開始剤のほかに公知の重合開始剤を使用することができ、例えば特開2008−138166、特開2007−120991、特開2008−88228などの各公報に挙げた重合開始剤が使用できる。
重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル、チオキサントン、α−ジカルボニル、アントラキノン、Vicure 10、30(Stauffer Chemical社製)、Irgacure 127、184、500、651、2959、907、369、379、754、1700、1800、1870、819、OXE01、Darocur 1173、TPO、ITX(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、QuantacureCTX(Aceto Chemical社製)、Kayacure、DETX−S(日本化薬社製)、ESACURE KIP150(Lamberti社製)、CyracureUVI−6692、CyracureUVR−6105(ダウ・ケミカル社製)の商品名で入手可能なもの等を挙げることできる。
1.4.その他の成分
本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、上記の重合性化合物および重合開始剤の他に、色材、重合促進剤、熱ラジカル重合禁止剤、界面活性剤、湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤等を含有してもよい。さらに、必要に応じて、レベリング添加剤、マット剤、記録物の物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有することができる。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物に使用しうる色材としては、染料または顔料のいずれであってもよい。染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、などの通常インクジェット記録に使用される各種染料を挙げることができる。
顔料としては、特別な制限はなく、無機顔料、有機顔料を挙げることができる。無機顔料としては、酸化チタン、および酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(たとえば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。これらの色材のうち、重合性化合物の光硬化を行うために必要な光を遮蔽しにくい点で染料を用いることがより好ましい。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物に使用しうる色材の添加量は、好ましくは0.1質量%〜25質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜15質量%である。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物に顔料を使用する場合、顔料の平均粒子径は、好ましくは10nm〜200nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜150nmの範囲である。
なお、インクジェット記録用光硬化型インク組成物が顔料を含有する場合は、顔料の良好な分散を得るために、分散剤または界面活性剤を含むことができる。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。高分子分散剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンなどを例示することができる。ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンの具体例としては、例えば、ディスコール(Discole)N−503、N−506、N−509、N−512、N−515、N−518、N−520(第一工業製薬株式会社製)を挙げることができる。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物に上述のような色材を含有させると、金属光沢面を着色することができ、記録物の表現力を高めることができる。
インクジェット記録用光硬化型インク組成物は、さらに重合促進剤を含むことができる。インクジェット記録用光硬化型インク組成物において用い得る重合促進剤としては、特に限定されないが、DarocurEHA、EDB(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。
また、インクジェット記録用光硬化型インク組成物は、熱ラジカル重合禁止剤として、ヒンダードアミン化合物を含有することもできる。ヒンダードアミン化合物を含有することにより、インクジェット記録用光硬化型インク組成物の保存安定性を向上させることができる。ヒンダードアミン化合物としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン基を構造中に有する化合物が特に好ましい。このようなヒンダードアミン化合物としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ、フリーラジカルや、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。また、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン基を構造中に有する化合物の市販品としては、IrgastabUV−10(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。インクジェット記録用光硬化型インク組成物に熱ラジカル重合禁止剤を配合する場合の配合量は、好ましくは0.01〜1質量%、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
さらに、インクジェット記録用光硬化型インク組成物は、保存安定性等を向上させるために、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、−UV3510、−UV3530、−UV3570(ビックケミー・ジャパン株式会社から入手可能)を挙げることができる。
また、インクジェット記録用光硬化型インク組成物は、上記各成分の配合量を調節することによって、その粘度を調節することができる。インクジェット記録用光硬化型インク組成物は、粘度が調節されることによって、インクジェット記録装置に適した粘度とすることができる。インクジェット記録用光硬化型インク組成物の好ましい粘度の範囲としては、20℃において、2.0〜20(mPa・s)である。この範囲を外れると、インクジェット記録装置によって容易に吐出することができなくなる場合がある。
以上説明した本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、金属または合金層と、樹脂層および酸化ケイ素層から選ばれる少なくとも1種と、が積層された平板状粒子からなる金属顔料を含有する。そのため、記録媒体上で記録媒体の法線方向に該平板状粒子の法線方向が揃うように配列されるため、光沢度の高い金属光沢面を有する印刷面を記録媒体上に形成することができる。さらに、本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、平板状粒子からなる金属顔料を含有するため、印刷面中の重合性化合物の光重合を十分に進行させることができる。そして、これにより、本実施形態のインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、インクジェット記録方法に好適に適用することができる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態にかかるインクジェット記録方法として、記録媒体上に上述のインクジェット記録用光硬化型インク組成物を吐出し、記録媒体上に付着させて印刷面を形成した後に、該印刷面に光として紫外線を照射するものを例示する。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法では、インクジェット記録装置を用いて、記録媒体上にインクジェット記録用光硬化型インク組成物を吐出する。本実施形態で使用するインクジェット記録装置は、インクの液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて情報の記録を行うことができるものであれば、特に限定されない。
インクジェット記録装置の記録方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式(ピエゾ方式)、インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
インクジェット記録装置は、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、キャリッジおよびキャリッジの側面に搭載された紫外線照射装置などを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドは、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクカートリッジを備えており、フルカラー印刷ができるように構成されている。この少なくとも1つのインクカートリッジに、本実施形態にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物を充填し、設置する。また、このインクジェット記録装置は、内部に専用のコントロールボード等を備えており、インクジェット式記録ヘッドのインクの吐出タイミングおよびヘッド駆動機構の走査を制御することができる。
紫外線の照射には、インクジェット記録装置内のキャリッジ側面に搭載された紫外線照射装置を適用することができる。照射光源の波長は、特に制限されないが、好ましくは350nm以上、450nm以下である。光の照射量は、好ましくは10mJ/cm以上、20000mJ/cm以下であり、より好ましくは50mJ/cm以上、15000mJ/cm以下の範囲で行う。この範囲内における紫外線照射量であれば、記録媒体上に形成されたインクジェット記録用光硬化型インク組成物の印刷面の硬化反応を十分に行うことができる。
紫外線の照射方法としては、その他にもメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプなどの光を光ガイド等によって印刷面に導いて行うことも可能である。また、光源としては、たとえば、Fusion System社等から入手可能なHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。また、光源としては、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子を用いることができ、このような光源からの紫外線を照射することもできる。
紫外線の照射は、上記例示したようなインクジェット記録装置を用いて装置内で行われてもよいし、紫外線照射装置を備えていないインクジェット記録装置によって印刷面を形成した後、他の紫外線照射装置を用いて行われてもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法で用いうる記録媒体としては、インクジェット記録装置によってインク組成物を付着させることができるものである限り任意である。記録媒体としては、たとえば、金属、ガラス、プラスチック等の非吸収性記録媒体、紙、フィルム、布等の吸収性記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、無色透明、半透明、着色透明、有彩色不透明、無彩色不透明等であってもよい。
また、本実施形態のインクジェット記録方法は、カラーフィルター作成およびプリント基板へのマーキング等の工業製品に製造工程に対しても適用することができる。
以上のようなインクジェット記録方法によれば、インクジェット記録用光硬化型インク組成物が平板状粒子からなる金属顔料を含有するため、光沢度の高い金属光沢面を有する印刷面を記録媒体上に形成することができる。さらに、インクジェット記録用光硬化型インク組成物が平板状粒子からなる金属顔料を含有するため、印刷面中の重合性化合物の硬化反応を十分に進行させることができる。
3.記録物
本実施形態にかかるインクジェット記録方法によって得られる記録物は、上述のインクジェット記録用光硬化型インク組成物を用いて形成されるため、光沢度の高い金属光沢面を有する。さらに、インクジェット記録用光硬化型インク組成物が平板状粒子からなる金属顔料を含有するため、印刷面中の重合性化合物の硬化反応が十分に進行したものである。
4.インクセット
本実施形態にかかるインクセットとして、少なくとも1種類の上記インクジェット記録用光硬化型インク組成物を含むインクを備えたものを例示する。
上記のインクジェット記録用光硬化型インク組成物を含むインクをそれぞれ単独または複数備えたインクセットとしてもよいし、さらに一または複数の他のインク組成物を含むインクを備えたインクセットとしてもよい。インクジェット記録用インクセットに備えることができる他のインク組成物としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等のカラーインク組成物、ブラックインク組成物、ライトブラックインク組成物等が挙げられる。
5.インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
本実施形態にかかるインクカートリッジとして、上記のインクセットを備えたものを例示する。これによれば、上記のインクジェット記録用光硬化型インク組成物を備えたインクセットを容易に運搬することができる。本実施形態にかかるインクジェット記録装置は、上述のインクジェット記録用光硬化型インク組成物、インクジェット記録用インクセット、またはインクカートリッジを備えたものであり、たとえば、上記インクジェット記録方法の項で述べたインクジェット記録装置を例示できる。
6.実施例および比較例
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、勿論本発明の範囲は、これらによって限定されるものではない。
6.1.実施例
6.1.1.複合化顔料Aおよび複合化顔料Aの分散原液の調製
6.1.1.1.剥離層の形成
膜厚100μmのPETフィルム上に、下記の塗工液をスピンコート法によって塗布・乾燥し、剥離層を形成した。
(剥離層塗工液)
剥離層塗工液として、PVA(ポリビニルアルコール、平均分子量10000、けん化度80%)を3.3質量%、およびグリセリンを1.7質量%となるようにイオン交換水に溶解したものを用いた。
(剥離層塗工条件)
前述のPETフィルム上に、スピンコート法によって剥離層塗工液を塗工した。コート条件としては、ターンテーブル上のPETフィルム上に剥離層塗工液を滴下し、500rpmで5秒間回転させた後、2000rpmで30秒間回転させて行った。その後、100℃、5分間の乾燥処理を行った。この条件にて形成した剥離層の厚さは10μmであった。
6.1.1.2.顔料層の形成
<酸化ケイ素層の形成>
上記方法にて表面に剥離層を形成したPETフィルム上に、下記の塗工液をスピンコート法によって塗布・焼成し、酸化ケイ素層を形成した。
(酸化ケイ素層塗工液)
酸化ケイ素層塗工液として、HAS−6(コルコート株式会社製)を10質量%、エタノールを42.5質量%、および2−エトキシエタノールを47.5質量%混合した混合液を用いた。
(酸化ケイ素層塗工条件)
前述のPETフィルム上の剥離層の上に、スピンコート法によって酸化ケイ素層塗工液を塗工した。コート条件としては、ターンテーブル上で、PETフィルム上の剥離層の上に上記の酸化ケイ素層塗工液を滴下し、500rpmで5秒間回転させた後、2000rpmで30秒間回転させて行った。その後、140℃、5分間の焼成処理を行った。この条件にて形成した酸化ケイ素層の厚さは70nmであった。
<色材層の形成>
(色材層塗工液)
色材層塗工液を調製した。色材層塗工液は、色材として、C.I.ピグメントイエロー110(色材)を15.0質量%、分散剤として、スチレン−アクリル酸共重合体・アンモニウム塩(分子量10,000)を5.0質量%、およびグリセリンを5.0質量%となるようにそれぞれの成分をイオン交換水に配合したものとした。
色材層塗工液の調製方法としては、色材と分散剤とイオン交換水とを混合して、サンドミル(安川製作所製)の中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散処理を行い、その後、ガラスビーズを取り除くことによって行った。
(色材層塗工条件)
上記調製した色材層塗工液を、上記の酸化ケイ素層上に、スピンコート法によって塗布・乾燥し、膜厚150nmの色材層を形成した。
<アルミニウム層の形成>
アルミニウム層は、株式会社真空デバイス製、VE−1010形真空蒸着装置を用いて、上述の色材層の上に、膜厚70nmのアルミニウムを蒸着することによって形成した。
<色材層の形成>
上述した色材層の形成と同様に、アルミニウム層上に、色材層を形成した。形成した色材層の厚さは同じく150nmであった。
<酸化ケイ素層の形成>
上述した酸化ケイ素層の形成と同様にして、上記の色材層上に、酸化ケイ素層を形成した。形成した酸化ケイ素層の厚さは70nmであった。
6.1.1.3.複合化顔料Aの原体の性状
以上のようにして、シート状基材の上に、剥離層および顔料層(酸化ケイ素層/色材層/アルミニウム層/色材層/酸化ケイ素層)の構成を有する、複合化顔料Aの原体を作製した。この複合化顔料Aの原体を目視にて観察したところ金色を呈していた。
6.1.1.4.剥離および粉砕・分散処理
上記方法にて形成した、剥離層−酸化ケイ素層−色材層−アルミニウム層−色材層−酸化ケイ素層の積層体を有するPETフィルムを、エチレングリコールモノアリルエーテル中、超音波分散機を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行った。
以上のようにして、複合化顔料A、およびこれを含有する複合化顔料Aの分散原液を調製した。なお、複合化顔料Aは、実施形態の項で述べた第3形態の複合化顔料に相当している。
6.1.2.複合化顔料Bおよび複合化顔料Bの分散原液の調製
6.1.2.1.剥離層の形成
膜厚100μmのPETフィルム上に、下記の塗工液をスピンコート法によって塗布・乾燥し、剥離層を形成した。
(剥離層塗工液)
剥離層塗工液として、エスレツクBL−10(積水化学工業株式会社製ブチラール樹脂)を3.3質量%、およびグリセリンを2.0質量%となるようにIPA(イソプロピルアルコール)に溶解したものを用いた。
(剥離層塗工条件)
前述のPETフィルム上に、スピンコート法によって剥離層塗工液を塗工した。コート条件としては、ターンテーブル上のPETフィルム上に剥離層塗工液を滴下し、500rpmで5秒間回転させた後、2000rpmで30秒間回転させて行った。その後、100℃、5分間の乾燥処理を行った。この条件にて形成した剥離層の厚さは10μmであった。
6.1.2.2.顔料層の形成
<樹脂層の形成>
上記方法にて表面に剥離層を形成したPETフィルム上に、下記の塗工液をスピンコート法によって塗布・乾燥し、樹脂層を形成した。
(樹脂層塗工液)
剥離層塗工液として、PVA(ポリビニルアルコール、平均分子量10000、けん化度80%)を3.3質量%、およびグリセリンを1.7質量%となるようにイオン交換水に溶解したものを用いた。
(樹脂層塗工条件)
前述のPETフィルム上の剥離層の上に、スピンコート法によって樹脂層塗工液を塗工した。コート条件としては、ターンテーブル上で、PETフィルム上の剥離層の上に上記の樹脂層塗工液を滴下し、500rpmで5秒間回転させた後、2000rpmで30秒間回転させて行った。その後、100℃、5分間の乾燥処理を行った。この条件にて形成した樹脂層の厚さは10μmであった。
<色材層の形成>
(色材層塗工液)
色材層塗工液を調製した。色材層塗工液は、色材として、C.I.ピグメントイエロー110(色材)を15.0質量%、分散剤として、エスレツクBL−10(積水化学工業株式会社製ブチラール樹脂)を5.0質量%、およびグリセリンを5.0質量%となるようにそれぞれの成分をIPA(イソプロピルアルコール)に配合したものとした。
色材層塗工液の調製方法としては、色材と分散剤とIPAとを混合して、サンドミル(安川製作所製)の中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散処理を行い、その後、ガラスビーズを取り除くことによって行った。
(色材層塗工条件)
上記調製した色材層塗工液を、上記の樹脂層上に、スピンコート法によって塗布・乾燥し、膜厚150nmの色材層を形成した。
<アルミニウム層の形成>
アルミニウム層は、株式会社真空デバイス製、VE−1010形真空蒸着装置を用いて、上述の色材層の上に、膜厚70nmのアルミニウムを蒸着することによって形成した。
<色材層の形成>
上述した色材層の形成と同様に、アルミニウム層上に、色材層を形成した。形成した色材層の厚さは同じく150nmであった。
<樹脂層の形成>
上述した樹脂層の形成と同様にして、上記の色材層上に、樹脂層を形成した。形成した樹脂層の厚さは10μmであった。
6.1.2.3.複合化顔料Bの原体の性状
以上のようにして、シート状基材の上に、剥離層および顔料層(樹脂層/色材層/アルミニウム層/色材層/樹脂層)の構成を有する、複合化顔料Bの原体を作製した。この複合化顔料Bの原体を目視にて観察したところ金色を呈していた。
6.1.2.4.剥離および粉砕・分散処理
上記方法にて形成した、剥離層−樹脂層−色材層−アルミニウム層−色材層−樹脂層の積層体を有するPETフィルムを、エチレングリコールモノアリルエーテル中、超音波分散機を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行った。そして、分散液中への0.4質量%のクエン酸のAG溶液を1mL程度添加し、60℃で4時間反応させた。
以上のようにして、複合化顔料B、およびこれを含有する複合化顔料Bの分散原液を調製した。なお、複合化顔料Bは、実施形態の項で述べた第4形態の複合化顔料に相当している。
6.1.3.インクジェット記録用光硬化型インク組成物の調製
上記のように得られた複合化顔料Aおよび複合化顔料Bの分散原液について、それぞれ、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行って粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いて過剰のエチレングリコールモノアリルエーテルを留去した。これにより、各分散原液が濃縮されるが、該各濃縮液について、熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製EXSTAR−6000TG/DTA)を用いて、それぞれ金属顔料の濃度を求めながら、金属顔料分散液中の金属顔料の含有量(濃度)調整を行い、5質量%の濃度の金属顔料分散液Aおよび金属顔料分散液Bを得た。
そして、粒子径・粒度分布測定装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて金属顔料のX(長径)Y(短径)平面の円相当径における50%平均粒子径R50を測定し、さらに、得られたR50とZ(厚み)の測定値に基づき、R50/Zを算出した。
その結果、本実施例の金属顔料は、R50=1.03μm、R50/Z=51.5の値を有していた。
上記方法にて調製した金属顔料分散液Aおよび金属顔料分散液Bを用いて、下記に示す組成にて各実施例のインクジェット記録用光硬化型インク組成物を調製した。以下質量%で配合量を示す。
<実施例1>
複合化顔料分散液A(固形分換算):1.0%
CyracureUVI−6692(重合開始剤、ダウ・ケミカル社製):5.0%
CyracureUVR−6105(オリゴマー、ダウ・ケミカル社製):10.0%
BYK−UV3570(ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン株式会社製):0.5%
3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(重合性化合物、東亞合成株式会社製):残分
<実施例2>
複合化顔料分散液B(固形分換算):1.0%
CyracureUVI−6692:5.0%
CyracureUVR−6105:10.0%
BYK−UV3570:0.5%
3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン:残分
<実施例3>
複合化顔料分散液A(固形分換算):1.0%
ビスコート#1000(重合性化合物、大阪有機化学工業株式会社製):25%
Irgacure819(重合開始剤、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):3.4%
Irgacure127(重合開始剤、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):1.6%
BYK−UV3570:0.2%
IrgastabUV−10(熱ラジカル重合禁止剤、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):0.2%
エチレングリコールモノアリルエーテル(重合性化合物、大阪有機化学工業株式会社製):残分
<実施例4>
複合化顔料分散液B(固形分換算):1.0%
ビスコート#1000:25%
Irgacure819:3.4%
Irgacure127:1.6%
BYK−UV3570:0.2%
IrgastabUV−10:0.2%
エチレングリコールモノアリルエーテル:残分
上記の金属顔料以外の各物質を混合・溶解した後に、上記方法にて調製した金属顔料分散液Aまたは金属顔料分散液Bを添加して、さらに常温・常圧下120分間マグネティックスターラーにて混合・撹拌して、実施例1〜実施例4のインクジェット記録用光硬化型インク組成物とした。
6.2.比較例
比較例は、金属顔料として、平板状の形状を有さない金属粒子を含有するインク組成物とした。比較例の金属顔料としては、市販のアルミニウムペースト(東洋アルミニウム株式会社製:WXM0650)に含まれるアルミニウム粒子を用いた。比較例の金属粒子は、球形の形状を有しており、平均粒子径6μmである。
比較例のインク組成物は、金属顔料を、上記のような積層平板状の形状を有さないアルミニウム粒子とした以外は、配合量(金属顔料は固形分としての配合量)を実施例1と同様にして作製した。
6.3.評価試料の作製
6.3.1.インク組成物の硬化物
ガラス基板上に各実施例および比較例のインク組成物をそれぞれ滴下した。その後、紫外線照射光源を用いて、波長365nmにおける積算光量が1000mJ/cmになるような硬化条件でそれぞれの組成物の硬化処理を実施し、各実施例および比較例のインク組成物の硬化物を得た。
6.3.2.インクジェット記録方法による記録物
ローランドD.G.株式会社製インクジェットプリンタSV300Vのブラック列に、各実施例のインク組成物を導入した。そして、記録媒体(A4サイズにカットした塩化ビニルシート(ローランドディージー株式会社製SPVC−G−1270T)に、各インク組成物を印刷した。印刷は、10cm×10cmのベタ印刷を行い、その際のインク使用量は、0.9mg/cmであった。
得られたベタパターンを、インクジェットプリンタの排紙口に設置した紫外線照射装置によって、波長365nmにおける積算光量が1000mJ/cmになるような硬化条件で硬化処理して、各実施例の記録物を得た。
比較例のインク組成物についても、実施例と同様にベタパターン印刷を試みたがインクジェットプリンタによる印刷が不可能であった。そこでワイヤーバー(RK PrintCoat Instrument Ltd.製 #3ワイヤーバー)を用いてインクのコート量が0.9mg/cmになるようにバーコート印刷を行い、比較例の記録物を得た。
6.4.硬化物および記録物の評価
「6.3.1.インク組成物の硬化物」で作製した各実施例および比較例の硬化物について、指触試験を行った。その結果、各実施例の硬化物は、いずれもタック感が認められず、良好に硬化していることが判明した。これに対して、比較例の硬化物は、タック感が認められ、硬化が不十分であることが判明した。
「6.3.2.インクジェット記録方法による記録物」で作製した各実施例および比較例の記録物のそれぞれを、目視にて観察して表面を評価したところ、各実施例の記録物は、いずれも良好な金属光沢が認められた。一方、比較例の記録物は、金属光沢感が実施例に比較して劣っていた。
以上のように、各実施例にかかるインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、それぞれ金属または合金層が、酸化ケイ素層または樹脂層に覆われた構造を有する複合化顔料を含有している。そのため、光沢度の高い金属光沢面を有する印刷面を記録媒体上に形成することができることが判明した。さらに、各実施例のインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、いずれも光照射によって印刷面中の重合性化合物の光重合を十分に進行させることができることが判明した。なお、各実施例のインクジェット記録用光硬化型インク組成物は、いずれもインクジェット記録方法に十分に適用できることが判明した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 金属顔料と、
    重合性化合物と、
    重合開始剤と、
    を含有し、
    前記金属顔料は、
    金属または合金層と、
    樹脂層および酸化ケイ素層から選ばれる少なくとも1種と、
    が積層された平板状粒子である、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  2. 請求項1において、
    前記金属顔料における、金属または合金層と、樹脂層または酸化ケイ素層と、の間に、さらに色材層を有する、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記平板状粒子は、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす形状を有する、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記金属または合金層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記重合性化合物がカチオン重合化合物である、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記重合性化合物がラジカル重合化合物である、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  7. 請求項6において、
    さらに、ヒンダードアミン化合物を含有する、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
  8. 請求項1ないし請求項7において、
    前記金属顔料の金属または合金層の端面は、化成処理されてなる、インクジェット記録用光硬化型インク組成物。
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