JP2007070604A - インクジェット用インク、インクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水、顔料、高分子化合物A及び高分子化合物Bを含有し、該高分子化合物Aは親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であり、該高分子化合物Bはアミン系化合物で中和されたカルボン酸含有モノマーと該顔料への吸着能を備えた疎水部とを有する非イオン性モノマーから得られる共重合体で、重量平均分子量が5000〜100000で、かつ酸価が50〜500mgKOH/gであることを特徴とするインクジェット用インク。
【選択図】なし
Description
P−{(X)m−(B)p−(Y)n}
〔式中、Pは親水性主鎖、{ }内は側鎖を表す。Xは2価以上の連結基を、Bは架橋性基を、Yは水素原子または置換基を表す。m、nはそれぞれ0または1の整数を表し、pは1または2の自然数を表す。〕
4.前記高分子化合物Aの親水性主鎖がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、ケン化度が77%以上、99%以下で、かつ重合度が200以上、4000以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
本発明のインクジェット用インク(以下、単にインクともいう)では、高分子化合物の一つとして、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物Aを含有することを特徴とし、該高分子化合物Aを含有せしめることにより、様々な種類の記録媒体への安定した印字適性を付与でき、形成した画像のフェザリング耐性、ビーディング耐性、ブリード耐性に優れた印字品質の高いインクジェット用インクとすることができた。
P−{(X)m−(B)p−(Y)n}
式中、Pは親水性主鎖を表し、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体が好ましい。
{ }内は側鎖を表す。m、nはそれぞれ0または1の整数を表し、pは1または2の自然数を表す。
本発明に係る高分子化合物Bは、アミン系化合物で中和されたカルボン酸含有モノマーと顔料への吸着能を備えた疎水部を有する非イオン性モノマーとから得られる共重合体で、重量平均分子量が5000以上、100000以下で、酸価が50mgKOH/g以上、500mgKOH/g以下であることを特徴とする。
本発明のインクジェット用インクには、着色剤(以下、色材ともいう)として顔料を用いることを特徴とする。
本発明のインクジェット用インクセットは、2種以上のインクジェット用インクから構成され、該インクジェット用インクの少なくとも1種が本発明に係る親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物Aと、本発明に係るアミン系化合物で中和されたカルボン酸含有モノマーと該顔料への吸着能を備えた疎水部を有する非イオン性モノマーとから得られる共重合体で、重量平均分子量が5000以上、100000以下で、かつ酸価が50mgKOH/g以上、500mgKOH/g以下であることを特徴とする高分子化合物Bとを含有するインクジェット用インクであることを特徴とする。
本発明のインクジェット用インクにおいては、水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
本発明においては、その他に従来公知の添加剤を含有することができる。例えば、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、非抵抗調整剤、防錆剤等である。
本発明のインクジェット用インクには、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ酸またはその塩等が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクの記録方法で適用できる記録媒体としては、普通紙、上質紙等の吸収性支持体、あるいはアート紙またはコート紙等の低吸収性記録媒体、またはフィルム等の非吸収性媒体、インクジェット用記録媒体が広く用いることができるが、
記録媒体として低吸収性記録媒体、非吸収性媒体または普通紙を用いた記録方法に、本発明のインクジェット用インクを適用することにより、本発明のインクジェット用インクの効果をいかんなく発揮することができる。
本発明のインクジェット画像記録方法では、本発明に係る親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物Aを含有するインクジェット用インク、あるいはインクジェット用インクセットを記録媒体上に吐出し、活性エネルギー線を照射してインクを硬化させた後、乾燥を行うことを特徴とする。
(活性エネルギー線)
本発明でいう活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
活性エネルギー線の照射条件としては、記録媒体上にインクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上へ吐出したインクジェット用インクに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、不要の水溶性有機溶媒等を除去する目的で乾燥を行う。
(高分子化合物A1の合成)
ポリアクリル酸(重量平均分子量80万)の100gを、750gのメタノールに加熱溶解させた後、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの16gと触媒としてピリジンの11gを加え、60℃に保ちながら24時間攪拌した、更に、系の温度を95℃に上げ、水を滴下しながらメタノールを溜去した後、イオン交換樹脂(三菱化学製:PK−216H)処理を行い、ピリジンを除去して不揮発性分濃度15%の水溶液を得た。この水溶液に、光重合開始剤として、前記一般式(7)のn=1のIRGACURE2959(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を、15%水溶液100gに対して0.1gの割合で混合し、その後イオン交換水にて希釈して、10%の高分子化合物A1の水溶液を得た。
グリシジルメタクリレートの56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒドの48g、ピリジンの2g、及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩の1gを、それぞれ反応容器に入れ、80℃の湯浴中で8時間攪拌した。次いで、重合度2200、ケン化率88%のポリ酢酸ビニルケン化物の45gをイオン交換水225gに分散した後、この溶液にリン酸の4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドを、ポリビニルアルコールに対して変性率が3.0モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂30gを加え1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過し、ここに光重合開始剤としてIRGACURE2959(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を、15%水溶液100gに対して0.1gの割合で混合し、その後イオン交換水で希釈して、10%の高分子化合物A2の水溶液を得た。
上記高分子化合物A2の合成において、表1に記載のポリ酢酸ビニルケン化物の重合度となる様に調整し、更にp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドの添加量を変更して、表1に記載の変性率に調整した以外は同様にして、10%の高分子化合物A3〜A7の水溶液を合成した。
前記一般式(4)において、Rがp−フェニレン基で表される化合物(東洋合成工業社製、主鎖PVA重合度500、ケン化度88%、変性率3.0mol%)を、イオン交換水で希釈して10%の高分子化合物A8の水溶液を得た。
水性紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂エマルジョン(固形分40%、大成化工社製、商品名:WBR−839)をイオン交換水で希釈して、10%の高分子化合物A9の水溶液を得た。
(高分子化合物B1の合成)
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管の付いた3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトンの700gを添加し、攪拌下で窒素置換しながら70℃まで昇温した。フラスコ内の温度を同温度に保ち、アクリル酸の200g、α−メチルスチレンの100g、スチレンの500g、メタクリル酸エチルの100g及びAIBN(アゾビスイソブチルニトリル)の10gの混合物を3時間かけて添加し、反応させた。添加終了後、5時間後及び8時間後にAIBNをそれぞれ2g、また12時間後及び16時間後にAIBNをそれぞれ1gを加えた。また、モノマー添加物の添加終了4時間後に、300gのメチルエチルケトンを加えた。モノマー混合物の添加終了24時間後にフラスコ内の温度を下げ、反応を終了させ、高分子化合物B1のメチルエチルケトン溶液を得た。
上記高分子化合物B1の合成において、モノマーの構成比率と反応液中のモノマー濃度を変更した以外は同様にして、表1に記載の重量平均分子量、酸価である高分子化合物B2〜B5の18%水溶液を得た。
上記高分子化合物B1の合成において、2%のアンモニア水溶液100gを、5%のジエタノールアミン水溶液130gに変更した以外は同様にして、高分子化合物B6の18%水溶液を得た。
上記高分子化合物B1の合成において、2%のアンモニア水溶液100gを、2.5%のNaOH水溶液110gに変更した以外は同様にして、高分子化合物B7の18%水溶液を得た。
上記高分子化合物B1の合成において、アクリル酸をビニルスルホン酸に変更し、モノマー構成比率と反応液中のモノマー濃度を変更し、分子量20000、酸価が150mgKOH/gである高分子化合物B9の18%水溶液を得た。
下記の様にして、インクセット1〜14を調製した。
(顔料分散液の調製)
〈マゼンダ顔料分散液の調製〉
以下の各添加剤を混合し、0.6mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼンタ顔料の含有量が15%のマゼンダ顔料分散液を調製した。このマゼンタ顔料分散液に含まれるマゼンタ顔料粒子の平均粒径は90nmであった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSにより行った。
ジョンクリル61(スチレンアクリル系樹脂分散剤、ジョンソン社製、固形分量30%) 10部
グリセリン 15部
イオン交換水 67部
〈ブラック顔料分散液の調製〉
Cabot社製のカーボンブラック自己分散物 cabojet300をイオン交換水で希釈して、カーボンブラック含有量が15%のブラック顔料分散液を調製した。得られたブラック顔料分散液に含まれるカーボンブラック粒子の平均粒径は、148nmであった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSにより行った。
下記の方法によりマゼンタ顔料インク1及びブラック顔料インク1を調製し、これをインクセット1とした。
マゼンタ顔料分散液(固形分量15%) 20部
高分子化合物A1水溶液(固形分量10%) 28部
高分子化合物B1水溶液(固形分量18%) 25部
エチレングリコール 15部
1,2−ヘキサンジオール 5部
オルフィンE1010(日信化学社製) 1部
イオン交換水を加えて、100部に仕上げた。
上記マゼンタ顔料インク1の調製において、マゼンタ顔料分散液に代えてブラック顔料分散液を用いた以外は同様にして、ブラック顔料インク1を得た。
上記インクセット1の調製において、高分子化合物Aの種類、高分子化合物Bの種類及び顔料に対する固形分添加量(質量%)を、表1に記載の様に変更した以外は同様にして、インクセット2〜14を調製した。
(連続吐出性の評価)
20℃、50%RHの環境下で、ノズル孔径20μm、駆動周波数10kHz、ノズル数128のピエゾ型ヘッドを備えたインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、1滴あたり12plを吐出する条件で、クリーニングをせずに1時間連続して吐出を続けた後の状態を目視観察し、下記に示す基準に従って吐出安定性を評価した。
○:1〜3ノズルに目詰まりが見られるが、ノズル面からの吸引クリーニングにより回復
△:4ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが1ノズル発生するが、実用上許容できる範囲にある
×:7ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが2ノズル発生
××:10ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが3ノズル以上発生
(間欠吐出性の評価)
20℃、50%RHの環境下で、ノズル孔径20μm、駆動周波数10kHz、ノズル数128のピエゾ型ヘッドを備えたインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、1滴あたり12plを吐出する条件で、10秒間連続吐出→一定時間休止→連続吐出の間欠動作を行った。この際、吐出休止後の最初で吐出方向の乱れが発生するか否かは休止時間の長さで決まるので、吐出休止時間の長さを段階的に変えることにより、間欠吐出の安定性を測定し、以下の基準で評価した。
○:20秒から29秒間休止しても安定に吐出した
△:10秒から19秒間休止しても安定に吐出した
×:5秒から9秒間休止しても安定に吐出した
××:4秒以下しか安定吐出しなかった
(カラーブリード耐性の評価)
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを備え、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、アート紙(王子製紙製 NKアート金藤N)に、マゼンタのベタ画像上に印字ポイントを変化させた黒文字を配した画像パターンを出力した。本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。次いで、各インクを連続吐出し、記録媒体上に着弾した0.01秒後に、200mW/cm2のメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL 400NL、電源電力3kW・hr)を照射した。
○:色混ざりが少しあるが、5ポイント文字が確認できる
△:色混ざりがややあるが、7ポイント文字が確認でき、実用上許容できる範囲にある
×:色混ざりがひどく、9ポイント文字のみ確認できた
××:色混ざりがかなりひどく、9ポイント文字でも確認が不可能
(フェザリング耐性の評価)
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを備え、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、普通紙(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製 First Class紙)に、巾100μmの黒細線をプリントした。
○:わずかににじみが確認されるが、細線画像への影響は小さい
△:ややにじみの発生が認められるが、実用上許容できる範囲にある
×:にじみの発生がひどく、実用上許容範囲外の品質である
××:にじみの発生が激しく、細線の境界が不明瞭であり、実用に耐えない
(耐擦過性の評価)
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを備え、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、アート紙(王子製紙製 NKアート金藤N)に10cm×10cmのマゼンタのベタをプリントした。
○:詳細に観察すると、わずかに印字画像に汚れが観察される
△:やや印刷画像に汚れが観察されるが、実用上許容できる範囲にある
×:印字画像の汚れが明確に観察され、実用上許容範囲外の品質である
××:印字画像がかなり汚れており、実用に耐えない
(密着性の評価)
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを備え、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、PET(ポリエチレンテレフタレート)に10cm×10cmのマゼンタのベタをプリントした。
○:60/100以上、79/100以下である
△:40/100以上、59/100以下で、実用上許容できる範囲にある
×:10/100以上、39/100以下で、実用上許容範囲外の品質である
××:9/100以下で実用に耐えない
(耐水性の評価)
上記耐擦過性の評価と同様にして、アート紙(王子製紙製 NKアート金藤N)とPET(ポリエチレンテレフタレート)に評価用画像を作成した。評価用画像表面を、水を含ませたキムワイプS−200(クレシア製)で5回こすり、画像濃度低下の程度を目視観察し、下記の基準に従って耐水性の評価を行った。
○:若干の色落ちが見られるが、画像としては気にならない
△:色落ちがやや確認でき、画質の低下も僅かに認められるが、実用上許容できる範囲にある
×:色落ちが大きく、画質への影響が大で、実用上許容範囲外の品質である
××:色落ちがかなり大きく、画像が激しく汚れ、実用に耐えない
(光沢性の評価)
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを備え、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタにそれぞれのインクセットを装着し、アート紙(王子製紙製 NKアート金藤N)に10cm×10cmのマゼンタのベタをプリントした。
○:記録面と下地の光沢度がわずかに異なる
△:記録面と下地の光沢度が異なることが目視で観察できるが、実用上許容できる範囲にある
×:記録面と下地の光沢度がはっきり異なることが目視で観察でき、かつ記録面の光沢度が下地より低い
××:記録面と下地の光沢度がはっきり異なることが目視で観察でき、かつ記録面の光沢度が下地より著しく低い。
各インクセットをそれぞれガラス瓶に充填、密栓し、60℃の環境下で10日間保存した後、各インクの状態を目視観察し、下記の基準に従ってインク保存安定性を評価した。
○:10日保存後に、ブラック顔料インクまたはマゼンダ顔料インクのいずれかで沈殿を起こしている
△:5日保存後に、ブラック顔料インクまたはマゼンダ顔料インクのいずれかで沈殿を起こしている
×:5日保存後に、ブラック顔料インク及びマゼンダ顔料インクの双方で沈殿を起こしている
××:3日保存後に、ブラック顔料インク及びマゼンダ顔料インクの双方で沈殿を起こしている
(ビーディング耐性の評価)
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを用い、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタを使用し、アート紙(王子製紙製 NKアート金藤N)とPET(ポリエチレンテレフタレート)に10cm×10cmのマゼンダベタをプリントし、その画像を目視観察し、下記の基準に従ってビーディング耐性の評価を行った。
○:よく見るとわかるまだら状のノイズが6箇所未満存在する
△:よく見るとわかるまだら状のノイズが12箇所未満存在する
×:はっきりとしたまだら状のノイズが12箇所以上存在する
××:まだら状のノイズが20箇所以上存在する
以上の各評価では、評価ランクが×、××であると実用上問題となる品質であると判断した。
Claims (13)
- 少なくとも水、顔料、高分子化合物A及び高分子化合物Bを含有し、該高分子化合物Aは親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であり、該高分子化合物Bはアミン系化合物で中和されたカルボン酸含有モノマーと該顔料への吸着能を備えた疎水部とを有する非イオン性モノマーから得られる共重合体で、重量平均分子量が5000以上、100000以下で、かつ酸価が50mgKOH/g以上、500mgKOH/g以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
- 前記高分子化合物Aの側鎖が、ノニオン性またはアニオン性であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記側鎖が、下記一般式(A)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
一般式(A)
P−{(X)m−(B)p−(Y)n}
〔式中、Pは親水性主鎖、{ }内は側鎖を表す。Xは2価以上の連結基を、Bは架橋性基を、Yは水素原子または置換基を表す。m、nはそれぞれ0または1の整数を表し、pは1または2の自然数を表す。〕 - 前記高分子化合物Aの親水性主鎖がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、ケン化度が77%以上、99%以下で、かつ重合度が200以上、4000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記高分子化合物Aの親水性主鎖に対する側鎖の変性率が、0.8モル%以上、4モル%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記高分子化合物Bの含有量が、前記顔料の5%質量以上、200質量%未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
- 水溶性光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
- 2種以上のインクジェット用インクから構成され、該インクジェット用インクの少なくとも1種が、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット用インクセット。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット用インクを記録媒体に吐出し、該インクジェット用インクに活性エネルギー線を照射した後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項8に記載のインクジェット用インクセットを構成するインクジェット用インクを記録媒体に吐出し、該インクジェット用インクに活性エネルギー線を照射後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、インクの低吸収性記録媒体であることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、インクの非吸収性記録媒体であることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、普通紙であることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
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