JP2008280428A - インクジェットインク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク出射性、光沢均一性に優れ、ブリード、ビーディングのない画質の高い画像が得られるインクジェットインク、及び該インクジェットインクを用いた記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも水、水溶性溶媒、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物、及び光開始剤として特定のベンゾフェノン化合物または特定のチオキサントン化合物を含有することを特徴とするインクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性光線硬化型のインクジェットインク、及びその記録方法に関する。
インクジェット記録方法は比較的簡単な装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、使用される用途も多岐に亘り、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクが使用される。特に、近年では記録速度の大幅な向上が見られ、軽印刷用途にも耐え得る性能を持つプリンターの開発も行われている。
しかしながら、インクジェットプリンターにおいて、その性能を引き出すためにはインクの吸収性を付与したインクジェット専用紙が必要である。
インクの吸収性があまり無いコート紙やアート紙、もしくは吸収性の全くないプラスチックフィルム上に記録する際には、異色インク液体同士が記録媒体上で混ざり色濁りを起こすブリード等の課題があり、インクジェットに対して記録媒体の多様性をもたせる上で課題となっていた。
上記の課題において、室温において固体のワックス等を素材とするホットメルト型インク組成物を用い、加熱等により液化し、何らかのエネルギーを加えて噴射させ、記録媒体上に付着しつつ冷却固化して記録ドットを形成するホットメルト型インクジェット記録方法が提案されている。このインクは室温で固体であるために取り扱い時に汚れることが無く、また溶融時のインク蒸発量が実質無いためノズルの目詰まりがない。
更に、付着後直ちに固化するため色滲みも少なく、紙質に関係なく良好な印刷品質を提供するインク組成物が提案されている。
しかしながら、このような方法で記録された画像はインクドットが柔らかいワックス状であるため、ドットの盛り上がりに起因する品質の劣化や、擦過性能の不足等の課題があった。
一方、色材と重合性材料を用いたインクを吐出し、紫外線を露光することにより硬化するインクジェットUVインクが開示されている。この場合、インク全体を硬化させることから画像部分が厚くなり、非画像部との光沢の差が大きくなって、不自然な画像を与えてしまうため自然な感じの画像は得られない。
光沢差をなくすために、顔料と重合性材料を有機溶剤に溶解させた溶剤系UVインクが提案されている。この場合は画像部の厚みは抑えられ、光沢の問題も改善されるが、一方有機溶剤による臭気等の作業環境の悪化を伴う等の本質的な欠点をもっており、実用化されていない。
上記の画像部の光沢の改善と臭気の問題の解決のために、水系の紫外線重合モノマー、水溶性の架橋性ポリマーを用いた水系紫外線硬化インクが提案されている。確かにこれらのインクを用いると画像部の光沢の改善と臭気の問題が解決されるが、UVインク特有の問題のためにはまだ画質的には不十分なものであった。
このUVインク特有の問題とは、インク中には大量の色材が入っているため、その色材によりUV光源より照射される紫外線の多くが吸収され、硬化に多くの光量を必要とすることである。一般には、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクの順に硬化させるのに必要な光量は増大するため、特にブラックインクでの光硬化感度を上げることが広く望まれていた。
このために、一般的な取り組みとしては、ブラックインクの光遮蔽を少しでも少なくするために、光吸収波長を400nm近辺まで伸ばした光開始剤、または光開始剤と色増感剤の組み合わせで行われている。具体的には、光吸収波長を400nm近辺まで伸ばした光開始としては、ホスフィン系光増感剤(例えば、特許文献1参照)、カチオン基が置換したチオキサントン化合物(例えば、特許文献2参照)、アニオン基を置換したチオキサントン化合物(例えば、特許文献3参照)、カチオン基が置換したベンゾフェノン化合物が知られている。また、光開始剤と色増感剤の組み合わせとしては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとベンゾフェノンの組み合わせ、アミノ基を有するアセトフェノン系開始剤とチオキサントン化合物の組み合わせが、広く一般に知られている。
しかしながら、水性UVインクジェットインクに用いる場合は、色材が多くの場合アニオン性であるために、光開始剤と色増感剤がともにノニオン、またはアニオン性で且つ水溶性をもたなければならない。しかしながら、前述した光開始剤、及び色増感剤の多くは油性であり水には溶けず、例え水溶性であっても、色材を凝集させるカチオン性であり、満足に使用できるものがないのが現実であった。
特開2005−307199号公報 欧州特許第224,967号明細書 欧州特許第81,280号明細書
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、インク出射性、光沢均一性に優れ、ブリード、ビーディングのない画質の高い画像が得られるインクジェットインク、及び該インクジェットインクを用いた記録方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.少なくとも水、水溶性溶媒、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物、及び光開始剤として下記一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物または下記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物を含有することを特徴とするインクジェットインク。
Figure 2008280428
(一般式(1)、(2)中、W1、W2、W3、W4は置換基を表す。Xはアルキレン基を表す。m、nは0以上の整数、p、qは1以上の自然数を表す。)
2.前記一般式(1)、(2)において、アルキレン基に少なくとも2つの−OHを有することを特徴とする前記1に記載のインクジェットインク。
3.下記一般式(3)で表される光開始剤を更に含有することを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインク。
Figure 2008280428
(一般式(3)中、Vは水素原子または置換基を表す。R1、R2は各々水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。)
4.前記親水性主鎖がポリビニルアルコールであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、インクジェットヘッドから記録媒体上に吐出させた後、紫外線を照射し、画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明の新規な光開始剤を用いたインクジェットインク、及びその記録方法によって、インク出射性、光沢均一性に優れ、ブリード、ビーディングのない画質の高い画像が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、少なくとも水、水溶性溶媒、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物、及び光開始剤として下記一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物または下記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物を含有することを特徴とする光硬化性インクジェットインクに関する。本発明においては、更に前記一般式(3)で表される光開始剤を併用することも好ましい。
本発明のインクジェットインクは少ない光量で硬化させることができる結果、高速に印刷しても、液の滲み、液のよれによる画質の低下を来すことはない。
何故、本発明のインクジェットインクを用いると画質が向上するのか明確ではないが、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物には、カルボン酸、水酸基等水素結合を形成できる部位が多数存在し、その部位と一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物、または一般式(2)で表されるチオキサントン化合物の水酸基が水素結合で固定され、紫外線照射によって生じるラジカルが、速やかに反応部位のエチレン性不飽和結合部に移動できることが原因ではないかを考えている。
前記一般式(1)、(2)において、W1、W2、W3、W4は置換基を表す。具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基)、アルケニル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基)、カルボキル基、水酸基が挙げられる。
Xはアルキレン基を表し、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を表す。このXと2つ以上の水酸基で構成させる好ましい基とは、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2,4−ジヒドロキシブチル、またはグルコブチル基等が挙げられる。更に好ましくは、アルキレン基の隣り合う炭素それぞれに少なくとも1つの−OHを有する場合であり、2,3−ジヒドロキシプロピル基、グルコブチル基等が挙げられる。
m、nは0以上の整数、p、qは1以上の自然数を表す。
以下、一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物、前記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物の具体的化合物を示す。
Figure 2008280428
Figure 2008280428
前記一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物、前記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物とともに、前記一般式(3)で表される光開始剤を用いると更に高感度で用いることができる。
前記一般式(3)において、R1、R2は各々水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。Vは水素原子または置換基を表し、置換基としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基)アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基)が用いることができるが、好ましくはVの末端等に水溶性基を設けて、水溶性にしたものである。好ましいVで表される置換基は、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシブトキシ基、カルボキシエトキシ基、カルボキシブトキシ基、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシ基等である。
1、R2は各々水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく、環形成としてはシクロヘキサン環を形成する光開始剤が好ましい。
何故、一般式(3)で表される光開始剤を用いれば感度が得られるかについては、従来から知られているエネルギー移動による効果とともに、α位にある水酸基がエチレン性不飽和基を有する化合物中に存在するカルボン酸、水酸基、アミド基等の水素結合させる基と水素結合を形成して、固定化されるためベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物と一般式(3)で表される光開始剤との間で、更にエネルギー移動が起きやすくなったためと考えている。
本発明で用いるベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物の量は、インクジェットインク中0.1〜10%であり、好ましくは0.3〜5%である。この範囲ならば、インク出射性を損なわずに紫外線硬化インクでも充分に硬化させることができる。
更に好ましくは、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物と一般式(3)で表される光開始剤の組み合わせの場合は、加えた量がインク全体の0.1%から10%の範囲内で、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物に対して、一般式(3)で表される光開始剤が0.5〜5の範囲で用いることができる。この範囲で組み合わせて用いることにより、更に本発明の性能を発揮することができる。
本発明に係る光開始剤とともに用いる、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物は水溶性が好ましいが、水溶性でなくても少量ならば水性の重合性組成物に溶解するため、化合物としては特に制限されない。親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物のイオン性は、本発明に係る光開始剤がアニオン性なので、光重合/架橋性組成物中での凝集を引き起こさないためにノニオン性、アニオン性が好ましいが、カチオン性の化合物でも凝集を起こさない量ならば入れることができる。
《活性エネルギー線架橋性高分子化合物》
本発明に係る親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物(活性エネルギー線架橋性高分子化合物とも言う)とは、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性樹脂に対して、側鎖に光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入したものである。光重合型の架橋性基が感度、生成される画像の性能の観点から望ましい。
色材のイオン性と前記高分子化合物の側鎖のイオン性の間には、好ましい組み合わせが存在する。色材としてはアニオン性を選択し、側鎖にはノニオン性またはアニオン性を組み合わせることで、画像堅牢性及びインクの保存性、連続出射性の観点で優れてる点から好ましい。側鎖としてはノニオン性が最も好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線架橋性高分子化合物の親水性主鎖と側鎖の部分構造が下記一般式(A)で表されるものが好ましい。
一般式(A) Poly−{(X1)m−〔B−(Y1)np
上記一般式(A)において、Polyは親水性主鎖を表す。ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体が好ましい。
{ }は側鎖を表す。側鎖中、X1は(p+1)価の連結基を表す。pは正の整数を表し、好ましくは1〜5の整数である。具体的には、p=1のとき、X1が2価の連結基を表し、例えば、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、イミノ基、エステル基、アミド基、スルホニル基等が挙げられ、また、これらが組み合わさって一つの2価以上の基を形成してもよい。また、p=2以上のとき、後述する複数のB及びY1は同一であっても異なっていてもよい。X1は、好ましくはアルキレンオキシド、芳香族基が少なくとも組み合わさっている2価以上の連結基が挙げられる。
Bは架橋基を表す。具体的には、二重結合、三重結合を含有する基であり、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、ジアゾ基、アジド基を表す。好ましくは、アクリル基、メタクリル基である。
Y1は水素原子または置換基を表す。置換基とは具体的にはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチル、ペンジル、2−メトキシエチル、トリフルオロメチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル等)、アリール基(例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル等)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ等)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ブチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、p−トリルチオ等)、アルキルウレイド基(例えば、メチルウレイド、エチルウレイド、メトキシエチルウレイド、ジメチルウレイド等)、アリールウレイド基(例えば、フェニルウレイド等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、2,2,2−トリフルオロエチルスルホンアミド等)、アリールスルホンアミド基(例えば、フェニルスルホンアミド、トリルスルホンアミド等)、アルキルアミノスルホニルアミノ基(例えば、メチルアミノスルホニルアミノ、エチルアミノスルホニルアミノ等)、アリールアミノスルホニルアミノ基(例えば、フェニルアミノスルホニルアミノ等)、ヒドロキシ基、複素環基(例えば、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、チエニル等)等が挙げられ、更にこれらは置換基を有していてもよい。
mは0または1を表し、nは0または1を表す。
親水性主鎖においては、側鎖の導入に対する簡便性や取り扱いの観点からポリ酢酸ビニルのケン化物が好ましく、その重合度は200以上、4000以下が好ましく、200以上、2000以下がハンドリングの観点からより好ましく、更には吐出安定性の観点から200以上、500以下が好ましい。主鎖に対する側鎖の変性率は1.0モル%以上、6.0モル%以下が好ましく、1.0モル%以上、5.0モル%以下が反応性の観点からより好ましい。1.0モル%より小さいと架橋性が不足し本発明の効果が小さくなり、6.0モル%より大きいと架橋密度が大きくなり硬くてもろい膜となり、膜の強度が落ちてしまう。
本発明に係る活性エネルギー線架橋性高分子化合物において、例えば、特開2000−181062号、同2004−189841号の各公報に示される下記一般式(d)で表される樹脂(ノニオン性)が反応性の観点から好ましい。
Figure 2008280428
式中、R2はメチル基または水素原子を表し、nは1または2を表し、Xは−(CH2)m−COO−または−O−、Yは芳香族環または単結合、mは0〜6までの整数を表す。
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(e)で表される変性基(ノニオン性)を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
Figure 2008280428
式中、R3はメチル基または水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
更に、下記一般式(f)〜(h)で表される変性基(ノニオン性)も好ましく用いられる。
Figure 2008280428
このような活性エネルギー線架橋型高分子化合物は、インク全質量に対して0.8質量%〜5.0質量%含有することが好ましい。0.8質量%以上存在することで架橋効率が向上し、架橋後のインク粘度の急激な上昇によりビーディングやカラーブリードがより好ましくなる。5.0質量%以下の場合は、インク物性やインクヘッド内の状態に悪影響しにくくなり、出射性やインク保存性の観点で好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線架橋型高分子化合物においては、元々ある程度の重合度をもった主鎖に対して側鎖間で架橋結合を介して架橋をするため、一般的な連鎖反応を介して重合する活性エネルギー線硬化型の樹脂に対して光子一つあたりの分子量増加効果が著しく大きい。一方、従来公知の活性エネルギー線硬化型の樹脂においては架橋点の数は、制御不可能であるため硬化後の膜の物性をコントロールすることができず、硬くてもろい膜となりやすい。
本発明に係る活性エネルギー線架橋型高分子化合物においては、架橋点の数は親水性主鎖の長さと側鎖の導入量で完全に制御でき、目的に応じたインク膜の物性制御が可能である。
《光開始剤、光増感剤》
本発明においては、本発明に係る光開始剤の他に必要に応じて他の光開始剤や光増感剤を添加してもよい。
添加してもよい他の光開始剤としては、下記が挙げられる。
1)ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、及びそれらの塩
2)チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類、及びそれらの塩
3)エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類
4)アセトフェノン類
5)ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類
6)2,4,6−トリハロメチルトリアジン類。
7)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体等のイミダゾール類
8)ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類。
9)9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体
10)ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
11)4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、及びこれらのエチレンオキシド付加物。
また、インクに加える形態は必要に応じて溶解物、または分散物として加えることができる。
光増感剤の例としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
(光源)
紫外線光源として、光波長300〜370nmにかけての発光があれば特に制限されない。具体的には、低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。しかしながら、本発明に係る光開始剤の性能を最大限発揮することから、光波長365nmの発光強度が高いほうが好ましく、その観点から発光波長365nmのLEDが好ましい。
(インク着弾後の光照射条件)
紫外線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1.0秒の間に紫外線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
(ランプの設置)
紫外線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによるとヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。
米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
また、紫外線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で紫外線を照射し、更に紫外線を照射する方法も好ましい態様の1つである。紫外線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
《色剤》
本発明のインクジェットインクに用いられる色剤としては、インクジェットで公知の各種染料または顔料を用いることができる。しかしながら、紫外線を照射すること、画像保存性の観点から顔料を使用することが好ましい。
〈染料〉
本発明で用いることのできる染料としては特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。この中では、アニオン性染料が好ましい。
〈水溶性染料〉
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物を以下に示す。但し、これら例示した化合物に限定されるものではない。
〈C.I.アシッドイエロー〉
1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246
〈C.I.アシッドオレンジ〉
3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168
〈C.I.アシッドレッド〉
88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415
〈C.I.アシッドバイオレット〉
17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126。
〈C.I.アシッドブルー〉
1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350
〈C.I.アシッドグリーン〉
9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109
〈C.I.アシッドブラウン〉
2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413
〈C.I.アシッドブラック〉
1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222
〈C.I.ダイレクトイエロー〉
8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、79、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153
〈C.I.ダイレクトオレンジ〉
6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118
〈C.I.ダイレクトレッド〉
2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254
〈C.I.ダイレクトバイオレット〉
9、35、51、66、94、95。
〈C.I.ダイレクトブルー〉
1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291
〈C.I.ダイレクトグリーン〉
26、28、59、80、85
〈C.I.ダイレクトブラウン〉
44、106、115、195、209、210、222、223
〈C.I.ダイレクトブラック〉
17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169
〈C.I.ベイシックイエロー〉
1、2、11、13、15、19、21、28、29、32、36、40、41、45、51、63、67、70、73、91
〈C.I.ベイシックオレンジ〉
2、21、22
〈C.I.ベイシックレッド〉
1、2、12、13、14、15、18、23、24、27、29、35、36、39、46、51、52、69、70、73、82、109
〈C.I.ベイシックバイオレット〉
1、3、7、10、11、15、16、21、27、39。
〈C.I.ベイシックブルー〉
1、3、7、9、21、22、26、41、45、47、52、54、65、69、75、77、92、100、105、117、124、129、147、151
〈C.I.ベイシックグリーン〉
1、4
〈C.I.ベイシックブラウン〉

〈C.I.リアクティブイエロー〉
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176
〈C.I.リアクティブオレンジ〉
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107
〈C.I.リアクティブレッド〉
2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235。
〈C.I.リアクティブバイオレット〉
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38。
〈C.I.リアクティブブルー〉
2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236
〈C.I.リアクティブグリーン〉
8、12、15、19、21
〈C.I.リアクティブブラウン〉
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46
〈C.I.リアクティブブラック〉
5、8、13、14、31、34、39
〈C.I.フードブラック〉
1、2。
〈顔料〉
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられるが、アニオン性顔料が好ましい。
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
〈分散剤〉
上記顔料をインク中に安定に分散するための水溶性高分子分散剤としては、下記の水溶性樹脂を用いることができ、吐出安定性の観点から好ましい。
水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
水溶性樹脂のインク全量に対する含有量としては0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは0.3〜5質量%である。
これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
〈アニオン性顔料〉
本発明に用いられるアニオン性顔料の形態としては、上記顔料をアニオン性高分子分散剤により分散された顔料、またはアニオン変性自己分散顔料であることが分散安定性の点から好ましい。
アニオン性高分子分散剤とは分子内に酸性基を有しており、これを塩基性化合物により中和して得られるアニオン性基を有した分散剤を指す。この時に用いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミン等のアミン類が挙げられるが、本発明においてはアミン類が特に好ましい。
本発明に好ましく用いられるアニオン性高分子分散剤としては、分子量が1000以上であれば特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸や、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等の酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩等の共重合体あるいは樹脂が、例えば、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸の官能性を持つホモポリマー、コポリマー、ターポリマーを含むものである。
酸の官能性を与えるモノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸、ビニル酢酸、アクリルオキシプロピオン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、アリルホスホン酸、ビニルホスホン酸及びビニルスルホン酸等である。
本発明に好ましく用いられるアニオン変性自己分散顔料とは、表面にアニオン性基を有し、分散剤なしで分散が可能な顔料を指す。アニオン性の自己分散顔料は顔料に酸性基が修飾されており、これを塩基性化合物により中和しアニオン性基として、分散剤が無くとも水への分散を可能とした顔料を指す。
表面に酸性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接酸性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接に、またはジョイントを介して酸性基が結合しているものを言う。
酸性基(極性基とも言う)としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくはスルホン酸基である。
酸性基の修飾剤としては、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸、スルホン化ピリジン塩、スルファミン酸等の硫黄原子を含有する処理剤、顔料粒子表面を酸化させてカルボン酸基を導入する次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等のカルボキシル化剤が挙げられる。中でも、三酸化硫黄、スルホン化ピリジン塩またはスルファミン酸等のスルホン化剤、もしくはカルボキシル化剤が好ましい。
酸性基を中和する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミン等のアミン類が挙げられるが、本発明においてはアミン類が特に好ましい。
表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、国際公開第97/48769号パンフレット、特開平10−110129号、同11−246807号、同11−57458号、同11−189739号、同11−323232号の各公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤で酸化させることにより、顔料表面の少なくとも一部にスルホン酸基、もしくはその塩と言った極性基を導入する方法が挙げられる。
具体的にはカーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合はスルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルフォン化ピリジン塩、アミド硫酸等で酸化することにより調製することができる。これらの反応で酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルフォン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて塩基性化合物を用いて中和してもよい。
その他の方法としては、特開平11−49974号、特開2000−273383号、同2000−303014号の各公報等に記載の顔料誘導体をミリング等の処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特開2002−179977号、同2002−201401号の各公報に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶媒で溶解した後、貧溶媒中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
本発明のインクジェットインクに使用する顔料分散体の平均粒径は、500nm以下が好ましく200nm以下がより好ましく、10nm以上、200nm以下であることが好ましく、10nm以上、150nm以下がより好ましい。顔料分散体の平均粒径が500nmを越えると、分散が不安定となり。また、顔料分散体の平均粒径が10nm未満になっても顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
本発明のインクジェットインクに用いる水に分散あるいは溶解可能な色剤の含有量は、インク全質量に対して1〜10質量%であるのが好ましい。
《水溶性溶媒》
本発明に係る溶媒としては水性液媒体が好ましく用いられ、前記水性液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶媒が更に好ましく用いられる。
好ましく用いられる水溶性有機溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
〈界面活性剤〉
本発明のインクジェットインクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は顔料の分散剤としても用いることができ、特にアニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
〈各種添加剤〉
本発明においては、その他に従来公知の添加剤を含有することができる。例えば、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、非抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料等である。
〈記録用紙〉
紙には塗工紙、非塗工紙があり、塗工紙としては、1m2あたりの塗工量が片面20g前後のアート紙、1m2あたりの塗工量が片面10g前後のコート紙、1m2あたりの塗工量が片面5g前後の軽量コート紙、微塗工紙、マット調仕上げのマットコート紙、ダル調仕上げのダルコート紙、新聞用紙等を挙げることができる。
非塗工紙としては、化学パルプ100%使用の印刷用紙A、化学パルプ70%以上使用の印刷用紙B、化学パルプ40%以上70%未満使用の印刷用紙C、化学パルプ40%未満使用の印刷用紙D、機械パルプを含有しカレンダー処理を行ったグラビア用紙等を挙げることができる。更に詳しくは、「最新紙加工便覧」紙加工便覧編集委員会編、テックタイムス発行、「印刷工学便覧」日本印刷学会編、等に詳細に記載されている。
普通紙とは非塗工用紙、特殊印刷用紙及び情報用紙の一部に属す、80〜200μmの非コート紙が用いられる。本発明で用いられる普通紙としては、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄様印刷紙、微塗工印刷用紙、色上質紙等特殊印刷用紙、フォーム用紙、PPC用紙、その他情報用紙等があり、具体的には下記する用紙及びこれらを用いた各種の変性/加工用紙があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
上質紙及び色上質紙、再生紙、複写用紙・色もの、OCR用紙、ノーカーボン紙・色もの、ユポ60、80、110ミクロン、ユポコート70、90ミクロン等の合成紙、その他片面アート紙68kg、コート紙90kg、フォームマット紙70、90、110kg、発泡PET38ミクロン、みつおりくん(以上、小林記録紙製)、OK上質紙、ニューOK上質紙、サンフラワー、フェニックス、OKロイヤルホワイト、輸出上質紙(NPP、NCP、NWP、ロイヤルホワイト)、OK書籍用紙、OKクリーム書籍用紙、クリーム上質紙、OK地図用紙、OKいしかり、きゅうれい、OKフォーム、OKH、NIP−N(以上、新王子製紙製)、金王、東光、輸出上質紙、特需上質紙、書籍用紙、書籍用紙L、淡クリーム書籍用紙、小理教科書用紙、連続伝票用紙、上質NIP用紙、銀環、金陽、金陽(W)、ブリッジ、キャピタル、銀環書籍、ハープ、ハープクリーム、SKカラー、証券用紙、オペラクリーム、オペラ、KYPカルテ、シルビアHN、エクセレントフォーム、NPIフォームDX(以上、日本製紙製)、パール、金菱、ウスクリーム上質紙、特製書籍用紙、スーパー書籍用紙、書籍用紙、ダイヤフォーム、インクジェットフォーム(以上、三菱製紙製)、金毯V、金毯SW、白象、高級出版用紙、クリーム金毯、クリーム白象、証券・金券用紙、書籍用紙、地図用紙、複写用紙、HNF(以上、北越製紙製)、しおらい、電話帳表紙、書籍用紙、クリームしおらい、クリームしおらい中ラフ、クリームしおらい大ラフ、DSK(以上、大昭和製紙製)、せんだいMP上質紙、錦江、雷鳥上質、掛紙、色紙原紙、辞典用紙、クリーム書籍、白色書籍、クリーム上質紙、地図用紙、連続伝票用紙(以上、中越パルプ製)、OP金桜(チューエツ)、金砂、参考書用紙、交換証用紙(白)、フォーム印刷用紙、KRF、白フォーム、カラーフォーム、(K)NIP、ファインPPC、紀州インクジェット用紙(以上、紀州製紙製)、たいおう、ブライトフォーム、カント、カントホワイト、ダンテ、CM用紙、ダンテコミック、ハイネ、文庫本用紙、ハイネS、ニューAD用紙、ユトリロエクセル、エクセルスーパーA、カントエクセル、エクセルスーパーB、ダンテエクセル、ハイネエクセル、エクセルスーパーC、エクセルスーパーD、ADエクセル、エクセルスーパーE、ニューブライトフォーム、ニューブライトNIP(以上、大王製紙製)、日輪、月輪、雲嶺、銀河、白雲、ワイス、月輪エース、白雲エース、雲岑エース(以上、日本紙業製)、たいおう、ブライトフォーム、ブライトニップ(以上、名古屋パルプ製)、牡丹A、金鳩、特牡丹、白牡丹A、白牡丹C、銀鳩、スーパー白牡丹A、淡クリーム白牡丹、特中質紙、白鳩、スーパー中質紙、青鳩、赤鳩、金鳩Mスノービジョン、スノービジョン、金鳩スノービジョン、白鳩M、スーパーDX、はまなすO、赤鳩M、HKスーパー印刷紙(以上、本州製紙製)、スターリンデン(A・AW)、スターエルム、スターメイプル、スターローレル、スターポプラ、MOP、スターチェリーI、チェリーIスーパー、チェリーIIスーパー、スターチェリーIII、スターチェリーIV、チェリーIIIスーパー、チェリーIVスーパー(以上、丸住製紙製)、SHF(以上、東洋パルプ製)、TRP(以上、東海パルプ製)等が挙げられる。
〈各種フィルム〉
各種フィルムとしては、一般的に使用されているものはすべて使用できる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等がある。また、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙等も使用できる。
〈各種インクジェット用記録媒体〉
各種インクジェット用記録媒体としては、基材に吸収性支持体や非吸収性支持体を用いて、表面にインク受容層が形成されたものである。インク受容層としては、コート層、膨潤層、微細空隙層からなるものがある。膨潤層は水溶性ポリマーからなるインク受容層が膨潤することでインクを吸収する。微細空隙層は2次粒径が20〜200nm程度の無機あるいは有機微粒子とバインダーからなり、100nm程度の微細な空隙がインクを吸収する。
近年は、紙基材の両面をオレフィン樹脂で被覆したRCペーパーを用いて上記微細空隙層を設けたインクジェット記録媒体が、写真画像の記録媒体として好んで用いられている。
(活性エネルギー線架橋性高分子化合物(A)、(B)の合成法)
グリシジルメタクリレート56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド48g、ピリジン2g、及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩1gを反応容器に入れ、80度の湯浴中で8時間攪拌した。
次に、重合度500、ケン化率88%のポリ酢酸ビニルケン化物45gをイオン交換水225gに分散した後、この溶液にリン酸4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをポリビニルアルコールに対して変性率が3モル%になるように加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂30gを加え1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、イオン交換水にて希釈して濃度10%の活性エネルギー線架橋性高分子化合物(A)を得た。
また、重合度300、ケン化率98%のポリ酢酸ビニルケン化物を用いた他は同様にして、濃度10%の活性エネルギー線架橋性高分子化合物(B)を得た。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
実施例1
(ブラック顔料分散液の調製)
以下の各添加剤を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、水で希釈してブラック顔料の含有量が15%のブラック顔料分散液を調製した。このブラック顔料分散液に含まれるブラック顔料粒子の平均粒径は106nmであった。なお、粒径測定はマルバーン製ゼータサイザ1000HSにより行った。
カーボンブラック 15部
高分子分散剤(スチレン/アクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタアクリレートの共重合体、重量平均分子量12500、ガラス転移点75℃) 4部
グリセリン 15部
イオン交換水を加えて、100部とした。
〔ブラックインク1の調製〕
ブラック顔料分散液 20部
活性エネルギー線架橋性高分子化合物(A)(重合度500、変性率3%、濃度10%) 30部
ジエチレングリコール 20部
一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物または一般式(2)で表されるチオキサントン化合物 0.8部
一般式(3)で表される化合物 0.7部
オルフィンE1010(日信化学製) 0.3部
純水を加えて100部とし、超音波分散を行った後、0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、ブラックインク1を得た。
〔ブラックインク2の調製〕
ブラック顔料分散液 20部
活性エネルギー線架橋性高分子化合物(B)(重合度300、変性率3%、濃度10%) 30部
ジエチレングリコール 20部
一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物または一般式(2)で表されるチオキサントン化合物 0.8部
一般式(3)で表される化合物 0.7部
オルフィンE1010(日信化学製) 0.3部
純水を加えて100部とし、超音波分散を行った後、0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、ブラックインク2を得た。
〔ブラックインク3の調製〕
ブラック顔料分散液 20部
活性エネルギー線架橋性高分子化合物(A)(重合度500、変性率3%、濃度10%) 30部
ジエチレングリコール 20部
一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物または一般式(2)で表されるチオキサントン化合物 1.2部
オルフィンE1010(日信化学製) 0.3部
純水を加えて100部とし、超音波分散を行った後、0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、ブラックインク3を得た。
〔ブラックインク4〜18の調製〕
表1記載の活性エネルギー線架橋性高分子化合物、光開始剤を用いて、ブラックインク4〜18を調製した。
〔画像形成〕
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpi(dpiは2.54cmあたりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、ピエゾ型ヘッドの両端に発光波長365nmのLED(日亜化学製)を配置し、最大記録密度が720×720dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンターを用意した。光量110mJ/cm2になるように照射しながら、アート紙上に黒のベタ画像を作成し、ドライヤーにより1分間温風乾燥した後、24時間自然乾燥した。
(インク出射性)
上記、インクジェット画像の形成条件により、40℃、30%RH、及び20℃、70%RHの環境下でそれぞれアート紙に線画、及びベタ画像を間隔を空けて、連続9枚プリントを行い、10分間印字を停止した後、10枚目のプリントを行った。10枚目のプリント時のノズルの出射状態を目視観察し、下記の基準によりインク出射性の評価を行った。
◎:全ノズル共に出射状態に変化が見られない
○:1、2個数%のノズルで斜め出射が見られるが、インク欠がない
△:インク欠が3〜10個数%未満のノズルで発生
×:インク欠が10個数%以上のノズルで発生。
(ビーディング)
上記作製した各黒のベタ画像中の濃度が均一か否かを目視で評価し、下記の基準に従って画像均一性の評価を行った。
○:ベタ画像中の濃度が均一である
△:ベタ画像中の濃度が目立たない程度に不均一である
×:ベタ画像中の濃度が明らかに不均一である。
(光沢均一性)
上記作成した各黒のベタ画像の画像部及び非画像部を目視観察し、下記の基準に従って光沢均一性の評価を行った。
○:印字部、非印字部の間に光沢差がなく、均一性に優れた画像である
△:印字部、非印字部の間にやや光沢差が認められるが、ほぼ均一性のある画像である
×:光沢感もしくは凹凸感について、印字部と非印字部の間に違和感があり、不均一な画像である。
Figure 2008280428
Figure 2008280428
Figure 2008280428
Figure 2008280428
表1〜4より、本発明のインクジェットインクを用いればインク出射性が良好で、ビーディングがなく、光沢が均一な画像が得られることがわかる。
実施例2
《インクセットの調製》
実施例1のブラック顔料分散液の調製において、カーボンブラックに代えてC.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた以外は同様にして、各濃度15%のイエロー顔料分散液、マゼンタ顔料分散液、シアン顔料分散液を調製した。
ここで調製したイエロー顔料分散液、マゼンタ顔料分散液、シアン顔料分散液、及びブラック顔料分散液について、実施例1のブラックインク1と同じ組成の各インクを調製した。使用した光開始剤は表5に記載の通りである。また、各インクから表5に示すインクセット1〜6を作製した。
〔画像形成及び画像評価〕
上記作製した各インクセットについて、実施例1に記載の方法と同様にして各色カラー画像を形成し、実施例1での評価の他に更に形成画像のブリード耐性の評価を行った。
(ブリード耐性の評価)
上記作成した各マゼンタ細線画像を目視観察し、下記の基準に従ってブリード耐性の評価を行った。
○:細線と非画像部の境界線がはっきりしている
△:境界部にやや滲みが認められるが、実用上許容限界内の品質である
×:境界部で明らかな滲みの発生が認められ、線幅が1.5倍ほどとなり、実用上問題となる品質である。
Figure 2008280428
表5より、本発明のインクジェットインクを用いたインクセットを用いて画像を形成すると、インク出射性が良好で、ブリード、ビーディングがなく、光沢が均一な画像が得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 少なくとも水、水溶性溶媒、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高分子化合物、及び光開始剤として下記一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物または下記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物を含有することを特徴とするインクジェットインク。
    Figure 2008280428
    (一般式(1)、(2)中、W1、W2、W3、W4は置換基を表す。Xはアルキレン基を表す。m、nは0以上の整数、p、qは1以上の自然数を表す。)
  2. 前記一般式(1)、(2)において、アルキレン基に少なくとも2つの−OHを有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 下記一般式(3)で表される光開始剤を更に含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
    Figure 2008280428
    (一般式(3)中、Vは水素原子または置換基を表す。R1、R2は各々水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。)
  4. 前記親水性主鎖がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、インクジェットヘッドから記録媒体上に吐出させた後、紫外線を照射し、画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2016185929A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 富士フイルム株式会社 光重合開始剤、及びそれを用いた、インク組成物、インクセット及び画像形成方法

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