JP2010039388A - 難燃性光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム及び硬化物並びにそれらを用いたプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】難燃性光硬化性樹脂組成物は、(A)有機溶剤可溶性リン元素含有ポリエステル、(B)カルボキシル基含有樹脂、及び(C)光重合開始剤を含有する。好ましくは、上記カルボキシル基含有樹脂(B)はカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂である。好適には、さらに(D)光重合性モノマーを含有し、あるいはさらに(E)熱硬化性樹脂を含有する。このような難燃性光硬化性樹脂組成物、特に熱硬化性樹脂(E)を含有する難燃性の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストとして好適に用いることができる。
【選択図】なし
Description
さらに本発明の目的は、このような光硬化性樹脂組成物を用いることによって得られる上記のような諸特性に優れた難燃性のドライフィルム及び硬化物、並びに該ドライフィルムや硬化物によりソルダーレジスト等の難燃性の硬化皮膜が形成されてなるプリント配線板を提供することにある。
さらに本発明によれば、前記難燃性光硬化性樹脂組成物又はドライフィルムを硬化させて得られる難燃性硬化皮膜を有することを特徴とするプリント配線板も提供される。
従って、本発明の難燃性光硬化性樹脂組成物は、プリント配線板、特にFPCのソルダーレジスト等の難燃性硬化皮膜の形成に有利に適用できる。
有機溶剤可溶性リン元素含有ポリエステル(A)は、ポリエステルの製造の際に含リンカルボン酸やそのエステル化物、リン酸系化合物、ホスホン酸系化合物、亜リン酸系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物等のリン化合物を共重合させて得られるものである(例えば、特開2002−3587号公報、特開2007−204744号公報等参照)。
好ましくは下記一般式(I)で表されるリン含有カルボン酸あるいは、そのエステル化合物を共重して得られる有機溶剤可溶性リン元素含有ポリエステルである。
R3及びR4、はそれぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはヒドロキシ基置換炭化水素基を表し、
l、mは0〜4の整数を表す。
前記の有機溶剤可溶性リン元素含有ポリエステルの市販品としては、東洋紡(株)製バイロン(登録商標)237、バイロン337等が挙げられる。
これらリン元素含有ポリエステルは部分的にジイソシアネートを用いてウレタン結合を導入したポリエステルポリウレタン構造であってもかまわない。例えば、市販されているものとしては、東洋紡(株)製UR3570等が挙げられる。
(1)重量平均分子量は、一般的に1,000〜100,000、さらには5,000〜50,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が1,000未満であると、得られる塗膜のタックフリー性能が劣ることがある。一方、重量平均分子量が100,000を超えると、各種有機溶剤への溶解性が低下し、また得られる塗膜の現像性が著しく悪くなることがある。
(2)ポリエステル中のリン含有量は、一般的に0.3〜20%、さらには1〜5%の範囲であることが好ましい。0.3%未満であると充分な難燃性を得られないことがある。一方、20%を超えると、硬化皮膜の可撓性、電気特性が著しく悪くなることがある。
上記範囲より少ない場合、得られる硬化皮膜の充分な難燃性が得られず、また可撓性においても良好な結果が得られない。一方、上記範囲より多い場合、塗膜のタックフリー性能が低下したり、組成物の粘性が高くなったりするので好ましくない。
このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられ、また高分子量ポリエステル樹脂化合物の加水分解を促進しないものであることがより好ましい。
カルボキシル基含有樹脂(B)の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を好適に使用できる。
(2)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応による感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)上記(1)又は(2)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(4)上記(1)又は(2)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(6)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
(8)後述するような2官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)上記(1)〜(8)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を付加してなる感光性カルボキシル基含有樹脂。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
また、前記カルボキシル基含有樹脂(B)の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲にあることが望ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
特に好ましい光重合開始剤としてはリン元素含有光重合開始剤があり、下記一般式(II−1)で表される基を有するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を好適に用いることができる。
R9は、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
R10及びR11は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表し、
R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は2つが結合した環状アルキルエーテル基を表す。
R15、R17は、それぞれ独立に、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
R16は、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す。
R20、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、
Mは、O、S又はNHを表し、
n及びpは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
尚、前記式(III)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤の場合、その配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲から選ぶことが望ましい。
アセトフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンである。
チオキサントン化合物の具体例を挙げると、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンである。
ベンゾフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドである。
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、前記カルボキシル基含有樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下の割合が適当である。チオキサントン化合物の配合量が多すぎると、厚膜硬化性が低下して、製品のコストアップに繋がるので、好ましくない。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、前記カルボキシル基含有樹脂(B)100質量部に対して35質量部以下となる範囲であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
上記一般式(IX)表される化合物の市販品としてはHCA、SANKO−220、M−ESTER、HCA−HQ等がある。
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる:Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60。
染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104, 105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183。
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174, 176, 188, 198。
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。
モノアゾ系:Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 14, 15, 16, 17, 21, 22, 23, 31, 32, 112, 114, 146, 147, 151, 170, 184, 187, 188, 193, 210, 245, 253, 258, 266, 267, 268, 269。
ジスアゾ系:Pigment Red 37, 38, 41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49:1, 49:2, 50:1, 52:1, 52:2, 53:1, 53:2, 57:1, 58:4, 63:1, 63:2, 64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
ドライフィルム化に際しては、本発明の光硬化性樹脂組成物を前記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10〜150μm、好ましくは20〜60μmの範囲で適宜選択される。
剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、カバーフィルムを剥離するときに膜とキャリアフィルムとの接着力よりも膜とカバーフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、レーザー直接描画装置(レーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプなどの紫外線ランプを使用した直接描画装置を使用することができる。尚、活性エネルギー線として最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていれば、ガスレーザー、固体レーザーどちらでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜200mJ/cm2、好ましくは5〜100mJ/cm2、さらに好ましくは5〜50mJ/cm2の範囲内とすることができる。上記直接描画装置としては、例えば日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
表1に示す各成分を表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を調製した。ここで、得られた光硬化性・熱硬化性樹脂組成物の分散度をエリクセン社製グラインドメータによる粒度測定にて評価したところ15μm以下であった。
<最適露光量>
前記各実施例及び比較例の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を、銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してからスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いてステップタブレット(コダック No.2)を介して露光し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%Na2CO3水溶液)を60秒で行った際残存するステップタブレットのパターンが6段の時を最適露光量とした。
前記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成されたポリイミドフィルム基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥し、室温まで放冷する。この基板にメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて最適露光量でソルダーレジストパターンを露光し、30℃の1wt%Na2CO3水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、150℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
ロジン系フラックスを塗布した評価基板を、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:10秒間浸漬を2回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を2回以上繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒間浸漬を1回でレジスト層に膨れ、剥がれがある。
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル3μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:染み込み、剥がれが見られない。
○:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
△:めっき後にほんの僅かしみ込みが見られ、テープピール後に剥がれも見られる。
×:めっき後に剥がれが有る。
銅箔基板に代えてIPC B−25のクシ型電極Bクーポンを用い、上記の条件で評価基板を作製し、このクシ型電極にDC100Vのバイアス電圧を印加し、85℃、85%R.H.の恒温恒湿槽にて1,000時間後のマイグレーションの有無を確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:全く変化が認められないもの
△:ほんの僅か変化したもの
×:マイグレーションが発生しているもの
評価基板を10vol%H2SO4水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出し、さらにテープピーリングによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおり。
○:染み込み、溶け出し、剥がれなし。
△:染み込み、溶け出し、もしくは剥がれが少し確認される。
×:染み込み、溶け出し、もしくは剥がれが大きく確認される。
各実施例及び比較例の組成物を、25um厚のポリイミドフィルム(カプトン100H)にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分乾燥して室温まで放冷する。さらに裏面を同様にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分乾燥して室温まで放冷し両面塗布基板を得た。この基板にメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて最適露光量でソルダーレジストを全面露光し、30℃の1wt%Na2CO3水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、150℃で60分間熱硬化を行い評価サンプルとした。この難燃性評価用サンプルついて、UL94規格に準拠した薄材垂直燃焼試験を行った。評価はUL94規格に基づいて、VTM−0又はVTM−1と表した。
各実施例及び比較例の組成物を、25μmのポリイミドフィルム(カプトン100H)にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥して室温まで放冷し、片面塗布基板を得た。この基板にメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて最適露光量でソルダーレジストを全面露光し、30℃の1wt%Na2CO3水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒現像を行い、150℃で60分間熱硬化を行った。得られたサンプルのソルダーレジストを外側にして、ハゼ折による180°折り曲げを数回繰り返して行い、その際の塗膜におけるクラック発生状況を目視及び倍率200の光学顕微鏡で観察し、クラックが発生しない回数を評価した。
実施例1と同じ配合で調製した光硬化性・熱硬化性樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈し、キャリアフィルム上に塗布し、加熱乾燥して、厚さ20μmの樹脂組成物層を形成し、80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。さらにその上にカバーフィルムを貼り合わせてドライフィルムを得た。その後、カバーフィルムを剥がし、パターン形成されたポリイミド基板に、ラミネーターを用いて貼り合わせた。この基板にメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて最適露光量でソルダーレジストパターンに露光し、キャリアフィルムを剥がした後、30℃の1wt%Na2CO3水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを形成した基板を得た。その後、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、試験基板を作製した。得られた硬化皮膜を有する試験基板について、前述した試験方法及び評価方法と同様にして、各特性の評価試験を行なった。
得られたドライフィルムのハンドリング性は問題なく、得られたドライフィルムの特性は実施例1の結果とほぼ同等であった。
Claims (9)
- (A)有機溶剤可溶性リン元素含有ポリエステル、(B)カルボキシル基含有樹脂、及び(C)光重合開始剤を含有することを特徴とする難燃性光硬化性樹脂組成物。
- さらに(D)光重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物。
- さらに(E)熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂(E)が、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物。
- 前記カルボキシル基含有樹脂(B)が、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物。
- ソルダーレジストである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布・乾燥させて得られる難燃性光硬化性のドライフィルム。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物又は請求項7に記載のドライフィルムを硬化させて得られる難燃性硬化物。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の難燃性光硬化性樹脂組成物又は請求項7に記載のドライフィルムを硬化させて得られる難燃性硬化皮膜を有することを特徴とするプリント配線板。
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