JP2010037793A - 道路の変状防止構造及び道路の変状防止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】道路1の変状防止構造Sは、周囲の地盤2よりも密度の小さい道路部3が、道路1の下方の幅方向中央部に設けられ、地盤2の密度以上となる路肩部5が、道路1の下方に、道路部3の両側に設けられ、さらに、道路部3内及び路肩部5内を貫通するようにジオグリッド6が埋設されてなるものである。そして、道路部3の全幅及び路肩部5の一部を覆うように道路1が構築されている。
【選択図】図1
Description
(1)軟弱地盤を大量に掘削するので、掘削作業に多大な時間と手間がかかる。
(2)掘削した部分をすべてコンクリートに置換するので、大量のコンクリートが必要となり、コストがかかる。
(3)地震により地盤が液状化しても、その地盤上の道路を人や車が通行可能であればよく、軟弱地盤をコンクリートに置換して液状化を完全に防止する構造はオーバースペックである。
本発明による道路の変状防止構造によれば、道路部は、地盤よりも密度の小さい軽量材からなるので、敷設時の施工作業が容易となる。
本発明による道路の変状防止構造によれば、地盤の掘削等により発生した現地発生土を利用するので、土砂の処分費を削減することができる。また、現地発生土を利用すると軽量材の使用量を少なくできるので、材料費を削減することができる。
本発明による道路の変状防止構造によれば、現地発生土を利用するので、土砂の処分費を削減することができる。
本発明による道路の変状防止構造によれば、現地発生土を使用するため、硬化材の使用量を少なくすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る道路1の変状防止構造Sを示す図であり、図2は、図1の道路1の拡大図である。
そして、道路部3の全幅及び路肩部5の一部を覆うように道路1が構築されている。
まず、本実施形態との対比のため、砂質盛土層8に道路部3や路肩部5を設けること無く、砂質盛土層8に道路1を構築した場合、及び砂質盛土層8に埋戻材からなる層を設け、その上に道路1を構築した場合の液状化による道路1の変状について、複数ケース行った解析について説明する。
G1=22.5×0.1+20.0×0.5+19.0×0.4
=19.85kN/m3 …(1)
G2=22.5×0.05+20.0×0.15+20.0×0.5+
12.0×0.3=17.725kN/m3 …(2)
G3=22.5×0.05+20.0×0.15+20.0×0.5+
19.0×0.3=19.825kN/m3 …(3)
G4=22.5×0.05+20.0×0.15+20.0×0.5+
(19.0+12.0)/2×0.3=18.775kN/m3 …(4)
解析ケースNo.1〜No.4の各地盤2に、海溝型地震を想定した地震動で、建設省(現国土交通省)告示第1461号の加速度応答スペクトル(図8に示す)の模擬地震動のうち、図9に示すような地震波を作用させた際の二次元有効応力解析を行った。以下、各解析ケースの解析結果について考察する。
図10〜図13は、各解析ケースNo.1〜No.4の応力解析によって得られた地震終了時(t=81.92秒)の残留変形を示す図である。また、図14は、各解析ケースNo.1〜No.4の応力解析によって得られた地震終了時(t=81.92秒)の路面の残留変位を比較した図である。
図10に示すように、道路1及びその下方部分を平均した平均密度が周囲の地盤2よりも重いため、地震波によって、道路1下方の土砂が周囲に移動して、路肩部5から排水路12までの区間の地盤2が隆起した。しかし、路面中央付近では、道路1の重みにより沈下が生じた。
その結果、図14に示すように、路面中央で約35cmの沈下が生じ、路肩部5から排水路12までの区間では約15cmの隆起が生じ、幅方向の排水勾配2%を確保できなかった。
図11に示すように、道路1及びその下方部分を平均した平均密度が周囲の地盤2よりも軽いため、地震波によって、道路1の周囲の土砂がクリンカアッシュからなる層4内に入り込んで、クリンカアッシュを押し潰し、道路1全体が隆起した。特に、周囲の土砂が流入した路肩部5から排水路12までの区間が著しく隆起した。
その結果、図14に示すように、路面中央で約2cmの隆起が生じ、路肩部5から排水路12までの区間では約25cmの隆起が生じ、幅方向の排水勾配2%を確保できなかった。
図12に示すように、道路1及びその下方部分を平均した平均密度が周囲の地盤2よりも重いため、地震波によって、道路1下方の現地発生土が周囲に移動し、路肩部5から排水路12までの区間が隆起した。しかし、路面中央付近では、道路1の重みにより沈下が生じた。
その結果、図14に示すように、路面中央で約17cmの沈下が生じ、路肩部5から排水路12までの区間では約3cmの隆起が生じ、幅方向の排水勾配2%を確保できなかった。
路肩部5から排水路12までの区間の隆起は解析ケースNo.1よりも小さくなっている。これはジオグリッド6により、道路1の下方から周囲の地盤2内への土砂の移動が制限されたことが考えられる。したがって、ジオグリッド6の設置は土砂の移動を防止するのに効果的である。
図13に示すように、道路1及びその下方部分を平均した平均密度が周囲の地盤2よりも軽いため、地震波によって、道路1の周囲の土砂が混合土からなる層17内に入り込んで、路肩部5から排水路12までの区間が隆起した。しかし、路面中央付近では、道路1の重みにより沈下が生じた。
その結果、図14に示すように、路面中央で約5cmの沈下が生じ、路肩部5から排水路12までの区間では約15cmの隆起が生じ、幅方向の排水勾配2%を確保できなかった。
図15及び図16に示すように、解析ケースNo.5は、道路1下方の中央部にクリンカアッシュからなる道路部3を設け、その両側に現地発生土からなる路肩部5を敷設したものである。また、道路部3及び路肩部5内には、複数のジオグリッド6を敷設した。
G5=22.5×0.05+20.0×0.15+20.0×0.5+
12.0×0.3×(3.9/6.5)+19.0×0.3×
(1−(3.9/6.5))=18.565kN/m3 …(5)
図17は、解析ケースNo.5の応力解析によって得られた地震終了時(t=81.92秒)の残留変形を示す図である。また、図18は、解析ケースNo.5の応力解析によって得られた地震終了時(t=81.92秒)の路面の残留変位を追記した図である。
図17に示すように、道路1の下方の道路部3は、路肩部5から土砂が流入し、道路部3は隆起した。また、周囲からの土砂が路肩部5内に流入したが少量で、路肩部5から排水路12までの区間はわずかに隆起した。
さらに、路肩部5の土砂が周囲へ移動している様子は見られない。
したがって、道路1の下方に道路部3及び路肩部5を設けた構造は、残留沈下がほとんど生じず、排水勾配2%を概ね確保できることがわかった。
また、ジオグリッド6の敷設により、道路1の下方から周囲への土の移動を抑制できることがわかった。
さらに、道路部3及び路肩部5内にジオグリッド6が設置されているので、道路部3及び路肩部5内の土砂等が周囲の地盤2内へ流出することを防止できる。
また、道路部3には、密度の小さい軽量材を敷設するので、施工作業が容易である。
そして、路肩部5には、現地発生土を利用するので、土砂の処分費を削減することができる。
2 地盤
3 道路部
4 クリンカアッシュからなる層
5 路肩部
6 ジオグリッド
8 砂質盛土層
9 第一の砂質土層
10 粘性土層
11 第二の砂質土層
12 排水路
13 表層
14 上層路盤
15 切込砕石層
16 現地発生土からなる層
17 混合土からなる層
S 変状防止構造
Claims (6)
- 軟弱地盤上に設けられ、路面の中央から路肩側に向かって排水のための下り勾配を有する道路の変状防止構造であって、
前記道路を構築する位置の周囲の地盤よりも密度の小さい道路部が、前記道路の下方の幅方向中央部に設けられ、
前記地盤の密度以上となる路肩部が、前記道路の下方に、前記道路部の幅方向両側を挟むように設けられ、
前記道路部及び前記路肩部を貫通するようにジオグリッドが埋設されてなることを特徴とする道路の変状防止構造。 - 前記道路部は、
前記地盤よりも密度の小さい軽量材からなることを特徴とする請求項1に記載の道路の変状防止構造。 - 前記道路部は、
前記地盤よりも密度の小さい軽量材と、前記地盤の掘り起しや掘削等により生じた現地発生土とを含むことを特徴とする請求項1に記載の道路の変状防止構造。 - 前記路肩部は、
前記地盤の掘り起しや掘削等により生じた現地発生土からなることを特徴とする請求項1に記載の道路の変状防止構造。 - 前記路肩部は、
前記地盤の掘り起しや掘削等により生じた現地発生土と、時間の経過とともに硬化する硬化材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の道路の変状防止構造。 - 軟弱地盤上に設けられ、路面の中央から路肩側に向かって排水のための下り勾配を有する道路の変状防止方法において、
前記道路を構築する予定位置の道路幅方向中央部に、その周囲の地盤よりも密度の小さい道路部を形成する道路部敷設工程と、
前記道路部を挟むように前記道路部の幅方向両側に、前記地盤の密度以上の路肩部を敷設する路肩部敷設工程と、
前記道路部内及び前記路肩部内にジオグリッドを敷設するジオグリッド敷設工程とを備えることを特徴とする道路の変状防止方法。
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JP2008201084A JP5067307B2 (ja) | 2008-08-04 | 2008-08-04 | 道路の変状防止構造及び道路の変状防止方法 |
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