JP6301718B2 - コンクリート構造物と土構造物に跨って敷設される路盤材における段差抑制方法 - Google Patents

コンクリート構造物と土構造物に跨って敷設される路盤材における段差抑制方法 Download PDF

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本発明は、コンクリート構造物と土構造物に跨って敷設される路盤材における段差抑制方法に関する。より詳しくは、本発明は、コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物において、ハニカム状3次元立体セル構造体を、土構造物の上に、コンクリート構造物の上面とハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように、敷設し、かつ、該コンクリート構造物の側面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の側面とを接続することにより、該路盤材に発生する段差を抑制する方法に関する。
従来、土木建築等の分野では、道路の路盤材、歩道の基礎材、仮設道路、擁壁、堤防斜面又は法面等の土木用途の地盤補強材として、重荷重の支持、浸食防止等のために、ハニカム状3次元立体セル構造体が使用されている。かかるハニカム状3次元立体セル構造体としては、旭化成ジオテック株式会社から販売されているジオウエッブ(Geoweb(登録商標))が知られている。
かかるハニカム状3次元立体セル構造体1は、図1に示すように、幅方向に並設された複数の長片状の樹脂又は繊維シート2が互いに所定の間隔で千鳥状に繰り返し部分的に接合され、その幅方向と直交する方向に展張した時、該シート2により囲まれたハニカム状のセル3が多数形成されるように、構成されている。図1に、該セル(シート)の高さと(展張後の)セルの幅を示す。
このようなハニカム状3次元立体セル構造体は、そのセル構造により、軽量で、強度が優れるという特徴がある。かかるハニカム状3次元セル構造体は、通常、一定の大きさのブロックとして、折り畳まれた状態で、敷設現場に運ばれ、現場で展張されて使用される。この点で、運搬性・作業性に優れ、短工期・簡単施工に寄与するものといえる。そして、一般に、略平面又は法面の地表面に複数のブロックとして敷設され、場合により各ブロックを互いに連結し、ハニカム状の各セル内に、1つの塊でなく、多数の塊、粒状物、粉体、固化物の形状である、砂、砕石、コンクリート又は現地発生土の充填材を、セル構造体の天端まで充填し、転圧して、地盤補強材としての機能を発揮しうるものとされる。
図2を参照して、該セル構造体による充填材の拘束効果を説明する。セル内に土砂、砕石等を充填すると、周囲へ広がろうとする力と、周囲から該セルに対して押す力とが同様に作用し、その相互作用によって、セルの拘束効果が発揮される。図3に示すように、荷重が版に垂直に載荷されると、版の下部には、上向きの反力が作用する。また、曲げの力(曲げモーメント)が図示するように働く。図4に示すようなセルによる版構造では、各セルの壁に作用する拘束効果が曲げモーメントへの抵抗力となる。すなわち、セルで区切られているため、土砂、砕石等が擬似的な版構造となる。図5の上段に示すように、無補強の路盤では轍が発生してしまうが、セル構造体を敷設した路盤では前記した効果により轍の発生を抑制することができる。このように、ハニカム状3次元立体セル構造体の機能、作用効果自体は知られている。
ところで、道路において、ボックスカルバートや橋梁踏掛版等のコンクリート構造物と土構造物の境界部に、それらの剛性の違いに起因した沈下差(段差)が発生することがある。図6に示すように、土構造物は、荷重を受けると圧縮性を有しているために沈下が生じる。これは、土構造物はいわゆる柔な構造物であるからである。これに反し、コンクリート構造物は、剛な構造物であるため、大きな荷重を受けないかぎり変形は生じにくい。この現象は、地盤工学的には不等(不同)沈下という。かかる不等沈下は、田園地帯など比較的軟弱な土地に、盛土を構築して作られた高速道路等を走行していると、ボックスカルバートの部分が少し隆起しているため、自動車を運転していると段差を感じることからもその発生を感知することができる。
このような段差解消を目的として以下の種々の提案がなされている。
以下の特許文献1文献には、道路面下における埋設構造物の左右両側の路盤の沈下防止構造として、砕石投入孔を穿設した傾斜面でその上部を覆った枠体を、地中に埋設したボックスカルバート等の上部両側に該枠体の傾斜面の高部側を当接して設けたことを特徴とする道路面下における埋設構造物の左右両側の路盤の沈下防止構造が開示されている。かかる枠体は傾斜のついた剛性なコンクリート製の箱であり、また、ボックスカルバートとの接続方法は不明である。
以下の特許文献2には、道路における橋台等の構造物と盛土部分との境界部で舗装に段差やひびわれが生じるのを防止するための、コンクリート等からなる道路構造物の背面側の盛土部に、上面が前記道路構造物の上端とほぼ等しい高さとなるように形成されたアスファルト混合物層と、前記アスファルト混合物層の前記道路構造物側の端部をこの道路構造物に対して、少なくとも上下方向に変位するのを拘束する固定手段と、前記アスファルト混合物層中に、ほぼ水平方向に埋設され、一端が前記道路構造物に固定されて引張力に抵抗することができるほぼ網状の補強材と、前記道路構造物上から盛土部にわたり、連続して敷設された舗装体と、を有することを特徴とする構造物と盛土との境界部における道路構造が開示されている。かかる網状の補強材は、形状復元性のない鋼板をハニカム状に接続したものであり、アスファルト混合層中に埋設されるものである。
以下の特許文献3には、比較的短い工期で安価に構築でき、軟弱地盤上に盛土により構築された道路が使用された際に、動的荷重による圧密沈下を抑制し、また、軟弱地盤上に設けられた暗渠などの地下構造物の上を横断する道路が使用された際に道路の地下構造物の上の部分とそれに隣接する部分との境界に段差を生じさないようにするための、道路基礎の軟弱地盤に複数本の柱状体を前記軟弱地盤の下方の支持層に到達しない長さでかつ10〜50%の改良率で構築し、前記複数本の柱状体の上に補強用網状体を敷設し、前記補強用網状体の上に土砂と固化材に添加材又は添加剤のいずれか一方又は双方を更に加えて混合して固化することにより浅層改良土層を敷設し、前記浅層改良土層の上に道路舗装を構築することを特徴とする道路の構築工法が開示されている。かかる工法においては、ボックスカルバートの横に補強用の剛性な杭が打ち込まれ、該杭の上に補強用網状体(実施例ではガラス繊維)が敷かれ、更に固化材等をふくむ浅層改良土やクラッシャーラン層が敷かれ、該杭の長さはボクスカルバートから遠ざかる程短くなるように変えられている。
以下の特許文献4には、道路に埋設される構造物と軟弱地盤との境界部における路面の段差やひび割れを効果的に防止でき、しかも施工性や施工コストの上昇を抑制しつつ、広範囲に施工可能となして、軟弱地盤が沈下しても構造物付近の道路の勾配が穏やかに変化するように構成可能な道路の段差解消構造として、構造物を埋設又は設置した軟弱地盤上の道路の段差解消構造において、前記構造物から外側へ張り出して路盤の下側に軽量盛土層を略水平方向に埋設し、前記軽量盛土層に連係させたネット部材を軽量盛土層から外側へ張り出して路盤の下側に略水平方向に埋設したことを特徴とする道路の段差解消構造が開示されている。かかる軽量盛土層は、複数の発泡樹脂ブロックからなる軽量発泡体層であり、該発泡体層と一体化したネット部材(ジオグリッド)が該発泡体層から外側に張り出して埋設されている。すなわち、特許文献4に記載された発明は、低比重の軽量発泡体層を軟弱地盤に浮かせて地盤沈下を防止することを特徴としたものある。
以下の特許文献5には、簡易かつ安価に構築することが可能であって、構築物の周囲の地盤に地盤沈下が生じた場合であっても段差が形成されることを防ぐことを可能とする地盤沈下対策構造として、埋設物の上方の地表面に埋設された第一の床版と、前記第一の床版の両側に敷設された第二の床版と、を備える地盤沈下対策構造であって、前記第二の床版に、当該第二の床版を貫通する注入孔が予め形成されていることを特徴とする地盤沈下対策構造が開示されている。該構造は、ボックスカルバート等の構造物の上に硬い板(第一と第二の床版を合わせたもの)を置いて、地盤が沈降しても傾斜が滑らかになるようにしたものである。床版は路盤のすぐ下にあり、ボックスカルバートとは接続しておらず、ボックスカルバートの両側にある第二の床版に地盤沈降で生じる空洞に充填材を注入するための孔が予め形成されている。
以下の特許文献6には、容易に施工することができ地震等による地盤の変形時にも道路機能を維持することができる舗装道路の段差抑制工法として、支持層の上部に路床、路盤及び硬質舗装層を積層してなり、路床若しくは路盤内部に剛性構造物を有する舗装道路の段差抑制工法であって、前記剛性構造物と、前記路床若しくは前記路盤との境界部に、補強材によって充填材を抱囲して緩衝層を形成し、前記緩衝層を複数層形成して重合し、緩衝部を構築し、前記緩衝部の上部に、路盤及び硬質舗装層を形成して、舗装道路を構築することを特徴とする、舗装道路の段差抑制工法が開示されている。該緩衝層は、補強材とU(J)字状の金具でシートを巻き、その中に充填材を入れたものであり、これを複数束ねた緩衝部はその一部が剛性構造物の上部に単に置かれ、残部は該構造物からはみ出すように配置されている。すなわち、特許文献6に記載された発明は、段差が生じるであろう境界部に複数の緩衝層を載置することを特徴としたものである。
特開昭59−34303号公報 特開平8−151602号公報 特開2003−239276号公報 特開2006−28796号公報 特開2009−250006号公報 特開2010−163769号公報
社団法人 日本道路協会 編集・発行、丸善出版株式会社 発売、「道路土工−盛土工指針(平成22年度版)」平成23年6月6日第4刷発行 表紙、第179〜185頁、後付
このように、段差抑制方法として種々提案されているものの、いずれも大きな変形に追従できる程にフレキシブルなものではなく、一旦、大きな変形が生じた場合には段差の発生が避けられない。そこで、施工が容易であり、土構造物の剛性を高めることができ、さらに、大きな変形にも追従できる程にフレキシブルな構造体を利用した段差抑制方法(工法)を提供する必要性が未だある。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物における段差抑制方法であって、施工が容易であり、土構造物の剛性を高めることができ、さらに、大きな変形にも追従できる程にフレキシブルな構造体を利用した段差抑制方法を提供することである。
発明者らは、鋭意検討、実験を重ねた結果、施工が容易であり、土構造物の剛性を高めることができ、さらに、大きな変形にも追従できる程にフレキシブルな構造体としてハニカム状3次元立体セル構造体を使用し、これを剛性コンクリート構造物の側面に面一で接続することにより前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物における段差抑制方法であって、幅方向に並設された複数の長片状の樹脂又は繊維シートを互いに所定の間隔で千鳥状に繰り返し部分的に接合し、これを該幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体を、該土構造物の上に、該コンクリート構造物の上面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように、敷設し、かつ、該コンクリート構造物の側面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の側面とを接続することにより、該路盤材に発生する段差を抑制することを特徴とする前記方法。
[2]前記コンクリート構造物の側面と前記ハニカム状3次元立体セル構造体の側面との接続を、該ハニカム状のセルを構成する長片状の樹脂又は繊維シートをあと施工アンカー又はアンカープレートで該コンクリート構造物の側面に固定することにより行う、前記[1]に記載の方法。
[3]前記コンクリート構造物がボックスカルバートである、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記コンクリート構造物が橋台又はその踏掛版である、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[5]前記コンクリート構造物に代えて、鋼製の橋台を使用する、前記[1]に記載の方法。
[6]前記ハニカム状3次元立体セル構造体を踏掛版として使用する、前記[1]、[2]、[4]又は[5]に記載の方法。
[7]前記3次元立体セル構造体を、前記土構造物の上に、ジオテキスタイルを介して敷設する、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法を用いて構築された道路構造物。
本発明に係る段差抑制方法は、施工が容易であり、土構造物の剛性を高めることができ、さらに、大きな変形にも追従できる程にフレキシブルな構造体としてハニカム状3次元立体セル構造体を使用し、かつ、これを剛性コンクリート構造物の側面に略面一で接続することにより、コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物における段差を効果的に抑制することができる。
ハニカム状3次元立体セル構造体1の概略図。図中、セル(シート)の高さ、セル3の幅を示す。 セル構造体による充填材の拘束効果を説明する平面図である。 荷重がセル構造体に垂直に載荷された場合の上向きの反力と曲げの力(曲げモーメント)を説明する概略図ある。 各セルの壁に作用する拘束効果が曲げモーメントへの抵抗力となる、すなわち、セルで区切られたセル構造において土砂、砕石等が擬似的な版構造となることを説明する概略図である。 無補強の路盤では轍が発生してしまうが、セル構造体を敷設した路盤では轍の発生を抑制することができることを説明する概略図である。 セル構造体を用いない場合に、ボックスカルバートと土構造体の境界に段差が生じることを説明する概略図である。 本発明を説明する概略図である。 橋台とその踏掛版の概略図である。 実施例で施工した構造物の断面図である。 実施例で使用したジオセルの写真である。 沈下量の計測地点を示す平面図である。 無補強(計測地点B)とジオセル補強(計測地点D)における最大沈下量と走行回数の関係を示すグラフである。 計測地点A〜Eのうち、ローラーが走行する箇所に当たる2〜4の3点の沈下量の平均値と走行回数の関係を示すグラフである。 無補強部分(B地点)での載荷終了後の破壊状況を示す写真である。 ジオセルで補強したD地点での載荷終了後の破壊状況を示す写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物における段差抑制方法であって、幅方向に並設された複数の長片状の樹脂又は繊維シートを互いに所定の間隔で千鳥状に繰り返し部分的に接合し、これを該幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体を、該土構造物の上に、該コンクリート構造物の上面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように、敷設し、かつ、該コンクリート構造物の側面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の側面とを接続することにより、該路盤材に発生する段差を抑制することを特徴とする前記方法に関する。
幅方向に並設された複数の長片状の樹脂又は繊維シートを互い所定の間隔で千鳥状に繰り返し部分的に接合し、これを前記幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体とは、前記したように、一般に、土木建築等の分野で、道路の路盤材、歩道の基礎材、仮設道路や擁壁等の土木用途の地盤補強材として、重荷重の支持や浸食防止等のために使用されている図1に示すような、ハニカム状3次元立体セル構造体であることができるが、これに限定されるものではない。かかるハニカム状3次元立体セル構造体として、旭化成ジオテック株式会社から販売されているジオウエッブ(Geoweb(登録商標))が挙げられるが、これに限定されるものではない。尚、本明細書中、ハニカム状3次元立体セル構造体を単にジオセルともいう。
前記樹脂又は繊維シート2の材質は特に限定されないが、耐候性の観点から、ポリエチレンが好ましい。展張時の樹脂又は繊維シートの接合の間隔(セル幅)は250〜500mmが好ましい。また、セル(シート)2の高さは好ましくは10〜30cmである。シートの接合は、例えば、熱融着等の手段によって行われる。接合部の幅は通常10〜20mmであり、かかる接合部の一定幅の存在により、展張時に略菱形となるセル形状において、対抗する2つの角はセルの内側に向かって潰れたものとなる(図1参照)。上前記ハニカム状3次元立体セル構造体の各ブロックは、好ましくは縦3〜40個、横5〜10個のセルを有する。セル構造体の展張後の大きさは、好ましくは縦2500×長さ7000〜16000mmである。
本発明に係る方法においては、かかるセル構造体を、ブロック毎に、折り畳んで現場に搬入し、施工する土構造物上で展張し、該土構造物の上に、該コンクリート構造物の上面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように、敷設することが必要である。ここで、「略合わせて」とは、該コンクリート構造物の上面と、該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とが厳密に合うことが必ずしも要求されないことを意味する。すなわち、該コンクリート構造物の上面と、該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とが、僅かにずれていた場合でも、低い方の面上に路盤材を薄く敷設して締め固めた後に最終的に両者の面が同じ高さになる限りにおいて、本発明においては、「該コンクリート構造物の上面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように」なっているものと考える。したがって、コンクリート構造物の高さから敷設するセル構造体のセルの高さ(及び場合によりセル構造体の上に敷設する路盤材の所定高さ)を差し引いた高さに予め土構造物の上面を整地し、締め固めておく必要がある。次いで、必要性に応じて土構造物の上にジオテキスタイルを敷設し、その上にセル構造体を展張する。ジオテキスタイルの上にセル構造体を展張することで、のちにセル内に充填される充填材が土構造物と分離され、共に沈下するのを防ぐことができる。次いで、コンクリート構造物の側面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の側面とを接続する。このようにして、土構造物の上に、コンクリート構造物の上面とハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように、該セル構造体を敷設することができる。コンクリート構造物の側面とハニカム状3次元立体セル構造体の側面との接続手段は、特に制限されないが、敷設後長期に亘り発生する引張力に抗することができるよう十分確実な固定がなされることが好ましい。接続手段としては、特に限定されず、例えば、セル構造体の側面に位置する長片状の樹脂又は繊維シートをあと施工アンカー(例えば、接着系アンカー)又はアンカープレートでコンクリート構造物の側面に固定することが挙げられるが、ボルト・ナット等であってもよい。
かかる接続の後、形成された各セルに、一般には、砂、砕石、コンクリート、現場発生土等の充填材を、シートの高さ(セル構造体の天端)まで、充填し、締め固める。その後、その上に、路盤材を敷設して道路構造物を構築する。
本発明に係る段差抑制方法は、ハニカム状3次元立体セル構造体を使用し、また、あと施工アンカー又はアンカープレート等を使用することにより、運搬性・作業性に優れ、短工期・簡単施工に寄与するものといえる。
本発明においては、剛性のコンクリート構造物は、例えば、ボックスカルバートや橋台に用いる踏掛版であることができる。但し、剛性のコンクリート構造物の側面は、少なくともセル構造体のセルの高さがあり、あと施工アンカー等による接続ができるものであることが望ましい。
橋台は、一般にコンクリート製であるが、本発明は、鋼製の橋台にも適用できる。橋台と踏掛版との関係を図8に示す。踏掛版は、盛土と橋台等の構造物との取り付け部に鉄筋コンクリート版を掛け、その境界に生じる段差の影響を緩和するために用いられるものである。本発明は、踏掛版をコンクリート構造物として使用して、これに適用することができるし、あるいは、前記ハニカム状3次元立体セル構造体を踏掛版として使用して、橋台等のコンクリート構造物に適用することもできる。
前記したように、本発明に用いるセル構造体においては、セル内に土砂、砕石等を充填すると、周囲へ広がろうとする力と、周囲から該セルに対して押す力とが同様に作用し、その相互作用によって、セルの拘束効果が発揮される。荷重がセル構造体の上部で垂直に載荷されると、セル構造体の下部には、上向きの反力が作用し、曲げの力(曲げモーメント)が働くが、各セルの壁に作用する拘束効果が曲げモーメントへの抵抗力となり、充填材が充填されたセル構造体は、擬似的な版構造となる。このように、ハニカム状3次元立体セル構造体は、剛性のコンクリート構造体ではないので、ある程度の変形に追従できるフレキシブルな構造物であると同時に、前記した擬似的な版構造としても機能することができる特殊な構造体といえる。このような構造体は、土構造物の剛性を高め、土構造物の沈下を抑制することができると同時にフレキシブルでもあるので、荷重によるある程度の変形には追従できる、すなわち、ある程度の形状復元力を有している。この点で、一旦、大きな変形が生じた場合に段差の発生が避けられない従来技術の段差抑制方法に比較して、本願発明に係る段差抑制方法は有利である。すなわち、ハニカム状3次元立体セル構造体は、形状復元力があるために段差が発生し難い構造体であるといえる。
換言すれば、ハニカム状3次元立体セル構造体はそれ自体ある程度変形することができるため、これを剛性のコンクリート構造体と面一で確実に接続する必要がある。かかる接続は前記したとおりである。
本願発明に係る段差抑制方法を用いて構築された道路構造物の構造は、図7を参照すれば当業者にとって明らかであろう。但し、図7では、コンクリート構造物であるボックスカルバートの上面と、ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とが厳密に合うように示されているが、前記したように、該ボックスカルバートの上面と、該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とが、僅かにずれていた場合でも、低い方の面上に路盤材を薄く敷設して締め固めた後に最終的に両者の面が同じ高さになる限りにおいて、本願発明の範囲に包含される。
コンクリート構造物と土構造物の境界部にジオセルを設置した実構造物を施工し、境界部に発生する沈下量抑制効果の検証を現場走行試験により行った。
[繰返し走行試験の方法]
総延長16m、幅3mの実構造物を試験的に施工し、約3.6tのコンバインドローラーを用いて走行試験を行った。図9は、施工した構造物の断面図である。試験を行った現場の地盤は、関東ローム層であるため、コンクリート両端の路床を深さ70cm程度乱して、走行による沈下が生じやすくなるよう路床の支持力を低下させてから施工を行った。また、ジオセルとしては、図10に示す高密度ポリエチレン製のものを用いた。
沈下量の計測は、レベルを用いて水準測量を行い、測点の地盤高を計測し、所定の走行回数に達するまで繰返し走行を行った。計測した地盤高から沈下量を算出した。計測地点は、図11に示すA-1〜E-5の計25点とした。
[結果及び考察]
図12は、無補強(計測地点B)とジオセル補強(計測地点D)における最大沈下量と走行回数の関係を示したものである。図12からわかるように、無補強部分では載荷回数2000回に達すると沈下量が140mm程度現れているのに対して、ジオセルで補強した部分については、走行回数が6500回に達しても沈下量は45mm程度であった。無補強部分の走行回数が2000回で終了しているのは、沈下量が大きくなり、ローラーでの走行が不可能になったためである。以上の結果より、コンクリート構造物と土構造物の境界部にジオセルを設置することによって段差抑制効果があることが明らかとなった。
図13は、計測地点A〜Eのうち、ローラーが走行する箇所に当たる2〜4の3点の沈下量の平均値と走行回数の関係を示したものである。図13からわかるように、A、D、E地点は載荷回数が増加するにつれて緩やかに沈下量が増加しているが、無補強部分(B地点)については、走行回数が1000回を超えると急激に沈下が増加し、同じ無補強部分であるA地点と比較しても沈下量が大きくなっていることがわかる。図14に示す無補強部分(B地点)での載荷終了後の破壊状況からもわかるように、コンクリート構造物との境界部だけ沈下が非常に大きいことがわかる。これは、コンクリート構造物と境界都に段差が生じ始めると、載荷しているローラーが、段差から落下するような衝撃となり、無補強部の舗装表面に衝撃荷重が作用する状態となったため急激に沈下量が増加したと考えられる。これに対してジオセルで補強したD地点に着目すると、前述のようにジオセルを設置したことによって段差が生じにくくなっているが、図15に示すように、載荷回数5000回程度で段差が生じ始めた。しかし、段差が生じた後も沈下量は急激に大きくならず、緩やかに増加していることがわかる。これはジオセルを設置したことにより、ジオセルと砕石が一体化し、路盤の支持力が増加したため、このような結果になったと考えられる。
以上の結果より、ジオセルの敷設により境界部に発生する段差の抑制効果があり、舗装構造の長寿命化を図ることが可能である。
本発明に係る段差抑制方法は、施工が容易であり、土構造物の剛性を高めることができ、大きな変形にも追従できる程にフレキシブルな構造体を利用したものであるため、コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物の構築に好適に利用可能である。
1 ハニカム状3次元立体セル構造体
2 セル構造体を構成するシート幅方向に並設された複数の長片状の樹脂又は繊維シート
3 セル

Claims (8)

  1. コンクリート構造物とこれに隣接する土構造物、及びそれらの上に跨って敷設される路盤材を含む道路構造物における段差抑制方法であって、幅方向に並設された複数の長片状の樹脂又は繊維シートを互いに所定の間隔で千鳥状に繰り返し部分的に接合し、これを該幅方向と直交する方向に展張することによってハニカム状のセルを形成するハニカム状3次元立体セル構造体を、該土構造物の上に、該コンクリート構造物の上面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の上面とを略合わせて段差が生じないように、敷設し、かつ、該コンクリート構造物の側面と該ハニカム状3次元立体セル構造体の側面とを接続することにより、該路盤材に発生する段差を抑制することを特徴とする前記方法。
  2. 前記コンクリート構造物の側面と前記ハニカム状3次元立体セル構造体の側面との接続を、該ハニカム状のセルを構成する長片状の樹脂又は繊維シートをあと施工アンカー又はアンカープレートで該コンクリート構造物の側面に固定することにより行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コンクリート構造物がボックスカルバートである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記コンクリート構造物が橋台又はその踏掛版である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記コンクリート構造物に代えて、鋼製の橋台を使用する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ハニカム状3次元立体セル構造体を踏掛版として使用する、請求項1、2、4又は5に記載の方法。
  7. 前記3次元立体セル構造体を、前記土構造物の上に、ジオテキスタイルを介して敷設する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法を用いて構築された道路構造物。
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