JP2010032916A - 防眩フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦傷性に優れ、防眩性にも優れ、明室での視認性にも優れ、新たに風ムラなどの問題を持ち込まない、防眩フィルムを提供する。防眩フィルムを用いた偏光板、及びその偏光板を用いた耐擦傷性に優れ、視認性が良好な画像表示装置を提供する。
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、且つ防眩層の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.4μmであり、該耐擦傷性層は少なくとも(A)平均粒径が1〜300nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子、(B)電離放射線硬化性樹脂、および(C)高分子増粘剤を含有する硬化性組成物より形成されることを特徴とする防眩フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、防眩フィルム、該防眩フィルムを有する偏光板および画像表示装置に関する。
透明プラスチックフィルム基材に防眩性ハードコート層を積層した防眩フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な液晶表示装置において、表面散乱により、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。
近年、液晶テレビ等の低価格化に伴い、このような防眩フィルムを搭載した画像表示装置が広く普及してきた。これに伴い、搭載された防眩フィルムは、画像表示装置と伴に、様々な環境下に晒される場面が増えてきている。特に表面がガラスであるブラウン管テレビのように扱われ、液晶表示装置の表面に傷が付く危険性が増えてきている。そのため、液晶表示装置の最表面に配置される防眩フィルムには、従来から求められていた高い視認性改良効果に加えて、高い物理強度(耐擦傷性など)が要求されて来ている。
高い物理強度を得るために、セルロースアシレートフィルム上に光硬化性樹脂と有機溶剤を含有した硬化性組成物を塗布、乾燥、光硬化させることで、膜厚が10μm以上のハードコート層を積層した反射防止フィルムが提案されている(特許文献1)。
また、セルロースアシレートフィルム上に平均粒径が6〜15μmの樹脂粒子、硬化性樹脂、有機溶剤を含有した硬化性組成物を、塗布、乾燥、光硬化させることで、膜厚が15〜35μmの防眩層を積層した高表面硬度を有する防眩フィルムが提案されている(特許文献2)。
膜厚を厚くした防眩層は、表示画面の表面に垂直に加わる力によって発生する傷防止には有効であるが、表面に平行な力によって発生する引っ掻き傷には有効ではなかった。
表面に微細な凹凸を有する層の上に、シリカ粒子を含有する薄膜を塗設する方法が開示されている(特許文献3)。しかしながら、この方法は薄膜層に1μm以上のシリカ粒子を含有するために、表面散乱が強く、明室化で観察すると、白っぽさが強く見えることがある。
プラスチックフィルム基材上に無機もしくは有機微粒子を含有する微粒子含有硬化樹脂層と微粒子を含有しないクリアー硬化樹脂層をこの順で積層した防眩フィルムが開示されている(特許文献4)。しかしながら、さらなる表面の耐擦傷性効果が望まれていた。
また、プラスチックフィルム基材上に防眩層、フッ素バインダーを含む低屈折率層をこの順で積層した防眩フィルムが一般に知られている(特許文献5)。しかしながら、一般にフッ素バインダーは凝集力が弱く、このようなフッ素バインダー層を最表面に積層した防眩フィルムでは、耐擦傷性の改良が望まれていた。
特開2003−227902号公報 特開2007−041533号公報 特開平7−290652号公報 特開平10−325901号公報 特開平11−305010号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを目的とする。即ち、本発明は、耐擦傷性に優れ、防眩性にも優れ、明室での視認性にも優れ、新たに風ムラなどの問題を持ち込まない、防眩フィルムを提供することであり、さらに、そのような防眩フィルムを用いた偏光板、及びその偏光板を用いることによって耐擦傷性に優れ、視認性が良好な画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、防眩性の上に特定の耐擦傷性層を積層することにより、前記課題が解決されることを知見した。
すなわち、本発明者らは、以下の各構成により、上記目的を達成した。
(1)透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、且つ防眩層の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.4μmであり、
該耐擦傷性層は少なくとも以下の(A)(B)(C)成分を含有する硬化性組成物より形成されることを特徴とする防眩フィルム。
(A)平均粒径が1〜300nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子
(B)電離放射線硬化性樹脂
(C)高分子増粘剤
(2)前記無機微粒子表面が一般式(I)で表される化合物を用いて表面処理されている無機微粒子であることを特徴とする(1)に記載の防眩フィルム。
一般式(I) (R10m−Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
(3)前記硬化性組成物の(C)成分の高分子増粘剤がセルロースエステルであることを特徴とする(1)または(2)に記載の防眩フィルム。
(4)耐擦傷性層がフッ素バインダーを実質的に含有しないことを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の防眩フィルム。
(5)前記耐擦傷性層の屈折率が防眩層の屈折率より低いことを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の防眩フィルム。
(6)防眩層が少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散性粒子を含有することを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の防眩フィルム。
(7)前記防眩性層の光拡散性粒子の平均粒子径が5.5〜15μmであり、防眩層の平均膜厚が8〜40μmであることを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の防眩フィルム。
(8)(1)〜(7)の何れかに記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
(9)(1)〜(7)の何れかに記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
(10)(1)〜(7)の何れかに記載の防眩フィルムが画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、耐擦傷性に優れ、防眩性にも優れた防眩フィルムを提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
<防眩フィルムの層構成>
本発明の防眩フィルムは、透明プラスチックフィルム上に防眩層と耐擦傷性層を有し、耐擦傷性層が最表面に位置する防眩フィルムであって、耐擦傷性層は、以下の(A)、(B)、(C)成分を含有する硬化性組成物より形成される。
(A)平均粒径が1〜300nmのケイ素酸化物微粒子
(B)電離放射線硬化性樹脂
(C)高分子増粘剤
本発明の層構成に関しては、少なくとも、1層の防眩層と最表面に耐擦傷性層を有する。防眩層は、複数層構成であっても良い。また、基材フィルムと防眩層の間、及び/または防眩層と耐擦傷性層の間には他の機能性層が積層されていても良い。他の機能性層としては、例えば、ハードコート層、帯電防止層、干渉ムラ防止層等が挙げられる。
また、耐擦傷性層は他の層の機能を兼ねていても良い、これらの層としては例えば、反射防止層、低屈折率層、防汚層、帯電防止層等が挙げられる。
本発明では低反射率化の点から、耐擦傷性層が低屈折率層(反射防止層)を兼ねることが好ましく、その場合、耐擦傷性層と防眩層の間に高屈折率層、または中屈折率層と高屈折率層を含む構成も好ましい態様である。
本発明の防眩フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された支持体を指している。
・基材フィルム/防眩層/耐擦傷性層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/耐擦傷性層
・基材フィルム/防眩層/耐擦傷性層(低屈折率層を兼ねる)
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/耐擦傷性層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/耐擦傷性層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/耐擦傷性層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/耐擦傷性層
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/耐擦傷性層
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/耐擦傷性層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/耐擦傷性層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/耐擦傷性層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/耐擦傷性層
<耐擦傷性層>
耐擦傷性層の平均膜厚は、0.03μm〜0.4μmであり、より好ましくは0.05μm〜0.3μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜0.2μmである。耐擦傷性層の膜厚をこの範囲にすることで、風ムラを防止しつつ、充分な耐擦傷性を得ることができる。
耐擦傷性層の屈折率は、1.40〜1.52であることが好ましく、1.42〜1.52であることがより好ましく、1.45〜1.51であることがさらに好ましい。耐擦傷性層の屈折率をこの範囲にすることで、低反射率層の機能も兼ねることができ、反射率を抑えることができ、外光の映り込みを更に抑制することができる。また、下限をこの範囲に抑えることで、耐擦傷性層がはがれた時も傷が目立ち難い。
耐擦傷性層の屈折率は上記の範囲にしつつ、隣接する下層の屈折率との差は、0.02〜0.10であることが好ましい。屈折率差がある場合、膜厚を0.08μm〜0.12μmにすることで、光の干渉効果を利用して表面の反射率をさらに抑えることができる。また、屈折率差の上限をこの範囲に抑えることで、耐擦傷性層がはがれた時も傷が目立ち難い。
本発明の耐擦傷性層は、少なくとも以下の(A)、(B)、および(C)成分を含有する硬化性組成物(耐擦傷性層形成用組成物であり、以下本発明の硬化性組成物と称する)より形成される。
(A)平均粒径が1〜300nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子
(B)電離放射線硬化性樹脂
(C)高分子増粘剤
以下に、本発明の硬化性組成物の各成分について詳述する。
<耐擦傷性層のケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子>
本発明の硬化性組成物は、(A)成分として平均粒径が1〜300nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子を含有する。本発明ではケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子とは、ケイ素酸化物を50重量%以上含有する無機微粒子を意味する。ケイ素酸化物を70重量%以上含有することが好ましく、90重量%以上含有することが特に好ましい。
無機微粒子の含有量は、耐擦傷性層の固形分当たり5〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、20〜50重量%がさらに好ましい。
本発明の無機微粒子は、表面を修飾し有機溶媒中に分散させて用いることができる。他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は有機溶剤であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
本発明の無機微粒子の数平均粒子径は、1nm〜300nmであり、好ましくは、3nm〜150nmであり、最も好ましくは10nm〜100nmである。上記範囲とすることで、耐擦傷性と黒の締まりとの両立を図ることができる。数平均粒子径は、無機微粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、500個の粒子の球相当換算の平均として求めることができる。数平均粒子径は、単分散性をもった粒子であることが好ましい。
また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
本発明では、異なる少なくとも2種の数平均粒子径をもつ無機微粒子を用いることが好ましい。数平均粒子径が5nm〜20nmと、数平均粒子径が20nm〜100nmとの2種の数平均粒子径をもつ無機微粒子を用いることがより好ましい。このとき、数平均粒子径が5nm〜20nmである無機微粒子が主成分(51質量%以上90質量%以下であり、好ましくは60質量%以上90質量%以下、より好ましくは70質量%以上90質量%以下)となることが好ましい。
ケイ素酸化物微粒子分散液(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカ等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
無機微粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状であり、好ましくは、球状または中空状である。耐擦傷性層の屈折率を低下させるために、中空状のシリカ微粒子を用いることも好ましい。無機微粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m2/gであり、さらに好ましくは、30〜150m2/g、もっとも好ましくは50〜100m2/gである。
<表面処理剤>
本発明の無機微粒子の表面処理に用いることのできる表面処理剤について詳細に説明する。
一般式(I)
(R10m−Si(X)4-m
一般式(I)においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
また、Xが加水分解可能な基として示される場合の例として以下に示す化合物も好ましい。
(R103−Si−(X)−Si−(R103
ここでR10は上記R10と同義であり、Xは加水分解可能な基を表す。Xとしては、例えば−O−、−NH−などが挙げられる。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(II)
Figure 2010032916
一般式(II)においてR1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基またはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基またはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(I)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式(I)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010032916
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また、ジシロキサン系やジシラザン系の化合物も表面処理剤として用いることができ、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジブチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザンなどが挙げられる。
これらの具体例の中で、(M-1)、(M-2)等が特に好ましい。また、特許第3474330号の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。本発明においては、一般式(I)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準の規定度濃度(Formol)当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
<電離放射線硬化性樹脂>
本発明の硬化性組成物は、(B)成分である電離放射線硬化性樹脂を含有する。電離放射性樹脂は硬化して本発明の耐擦傷性層のバインダーとなる。
<バインダー>
本発明の耐擦傷性層のバインダーは、(B)成分である電離放射線硬化性樹脂を電離放射線による架橋反応、又は、重合反応により形成できる。
本発明の硬化性組成物は、電離放射線硬化性樹脂として多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む組成物を透明基材フィルム上に塗布し、重合性基を有する、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は重合反応させることにより形成することができる。
重合性基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、フッ素系バインダーとなる成分を含まないことが好ましい。フッ素系バインダーは一般に凝集力が低く耐擦傷性を低下させる。
重合性基を有する多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等が挙げられる。
更には、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
上記の中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーがより好ましい。
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリル酸又はメタクリル酸」、「アクリロイル又はメタクリロイル」を表す。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射により行うことができる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
電離放射線硬化性樹脂の含有量は、耐擦傷性層の固形分当たり10〜85重量%が好ましく、23〜89重量%がより好ましく、45〜75重量%がさらに好ましい。
<光重合開始剤>
前記光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
前記アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
前記ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
前記ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
また、その他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、及び特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
前記ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
前記活性エステル類の例には、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には、特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
また、オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
前記活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましい。
<光増感剤>
前記光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。該光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などが挙げられる。
更に、アジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
硬化性化合物、光重合開始剤、光増感剤を合わせた、バインダーの含量は硬化性組成物の固形分当たり、30〜95重量%であることが好ましく、40〜90重量%であることがより好ましく、50〜80重量%であることが特に好ましい。
<高分子増粘剤>
本発明の硬化性組成物は、(C)成分である高分子増粘剤(好ましくは有機高分子増粘剤)が含まれる。ここでいう高分子増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
本発明では高分子増粘剤が好ましく用いられ、中でも、セルロースエステルであるセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレートは塗布液の増粘効果に加えて、ケイ素酸化物微粒子の凝集を防止する効果を有しており好ましく、中でもセルロースアセテートブチレートは特に好ましい。
本発明の高分子増粘剤は、以下の群Aから選ばれる少なくとも一種の高分子増粘剤が好ましく用いられる。
(群A)
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
高分子増粘剤の分子量は、数平均分子量で0.3万〜40万が好ましく、0.4万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万が特に好ましい。
高分子増粘剤の添加量は、耐擦傷性層の固形分当たり0.5〜10重量%が好ましく、1〜7%がより好ましく、2〜5重量%がさらに好ましい。
<防汚剤>
本発明の耐擦傷性層の傷防止効果に加えて、耐擦傷性層の防汚性を有することも好ましい態様である。そのため、本発明の硬化性組成物にポリシロキサン系またはフッ素系防汚剤を添加することで、このような機能を付加することができる。このなかでも本発明ではポリシロキサン系防汚剤が好ましく、不飽和二重結合性基を有するケイ素系防汚剤が特に好ましい。
防汚剤の添加量は、耐擦傷性層全固形分の0.01〜20重量%が好ましく、0.05〜10重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。
不飽和二重結合性基を有するポリシロキサン系防汚剤の例としては、ポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。末端(メタ)アクリレートのシロキサン化合物の具体例としては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404、X−22−174D、X−22−8201、X−22−2426(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
<耐擦傷性層の有機溶媒>
硬化性組成物は有機溶媒を含有していることが好ましい。他の成分との相溶性、分散性の観点から、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
硬化性組成物の固形分濃度は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましく、2〜10重量%が特に好ましい。
<防眩層の構成>
本発明の防眩層は、表面に微細凹凸形状を有するものであればいかなるものでも構わないが、少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散粒子を含有することが好ましい。
本発明の防眩層は、平均粒径が2μm〜20μmの透光性粒子を含有する。透光性粒子は、平均粒径5μm〜15μmの透光性粒子が好ましく、平均粒径5.5μm〜15μmの透光性粒子を含有することがより好ましい。
防眩層の平均膜厚は、特に限定されないが、4〜40μmであることが好ましい。防眩層の平均膜厚が8〜40μmであることが、視認性(黒締り)とフィルムに垂直に加わる力に対する傷防止性の点から好ましい。
本発明の防眩層の態様として、平均粒径が5.5μm〜15μmの透光性粒子、マトリックス形成成分(バインダー用モノマー類等)及び有機溶媒を含有する塗布液を塗布・乾燥し硬化してなる層であることが好ましい。
防眩層を形成する塗布液は、例えば、電離放射線等で硬化されて形成する透光性ポリマーの原料となる主たるマトリックス形成バインダー用モノマー類、前記特定粒径の透光性粒子、重合開始剤、好ましくは、塗布液の粘度を調整するための高分子化合物、カール低減や屈折率調節等のための無機微粒フィラー、塗布助剤等を含む。
防眩層の厚さは8μm〜40μmであることが好ましく、更に好ましくは10μm〜35μmであり、最も好ましくは11μm〜25μmである。8μm未満の場合には、下記に述べる透光性粒子を用いた場合に表面凹凸が大きくなりすぎ黒締まりが悪化し、40μmを超えると表面凹凸が小さくなり防眩性が不十分である。
<防眩層の透光性粒子>
粒子の平均粒径は5.5μm〜15μmが好ましく、6.0μm〜12μmがより好ましく、6.0μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明においては、防眩性層を1種類の透光性粒子で形成することもできるが、平均粒子サイズが同じで、屈折率の異なる2種類の粒子で形成することがより好ましい。本発明においては、透光性粒子は防眩性層形成用塗布液中に分散され塗布・乾燥・硬化して防眩層が形成される。透光性粒子の平均粒径は、塗膜中で2つ以上の粒子が隣接して存在している場合も、独立して存在している場合も、平均粒径は一次粒径を指す。但し、一次粒子径が0.1μm程度の凝集性の無機粒子が二次粒子として、本願の粒子サイズを満たす大きさで塗布液中に分散され、その後塗布されている場合には二次粒子の大きさとする。
本発明において、粒子の平均粒径が上記の範囲であると塗布液を保存した後の表面形状の安定性に優れる。また、画面の黒しまりに優れ、且つ適度の防眩性を有することによるザラツキ感が少なく、かつ、正面コントラストの低下が少ない。
本発明において、優れた防眩性と黒締りを同時に達成するためには、上記に加え、透光性粒子の平均粒子サイズφと膜厚(t)の比(φ/t)が重要である。φA/tが0.3〜0.7が好ましく、0.35〜0.65がより好ましい。特に好ましくは0.4〜0.6である。φ/tが大きすぎると面荒れが強く外観が悪くなり、小さすぎると黒締りが悪くなる。
本発明では、必要な内部散乱性を得るために、粒子とマトリックスとの屈折率を調節する必要がある。少なくともい種類の粒子とマトリックスとの屈折率差は0.02〜0.5が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.20であり、最も好ましくは0.03〜0.15である。粒子を2種類含む場合は粒子間の屈折率差は、好ましくは0.02〜0.20、更に好ましくは0.02〜0.10である。
また、粒子を2種類含む場合、一方がマトリックスよりも屈折率が低く、一方がマトリックスよりも屈折率が高い態様をとることも好ましい。例えば屈折率の高い粒子は屈折率が1.54〜1.70が好ましく、更に好ましくは1.55〜1.60であり、低屈折率の低い粒子は1.44〜1.53が好ましく、更に好ましくは1.46〜1.52である。2種類の粒子に屈折率差があることで内部散乱と表面の形状の制御が容易となる。また、塗布液を保存した後の表面形状の安定性が向上する。
塗布液の保存前後での表面形状の安定性が向上する原因は明確ではないが以下の様に推定している。屈折率が異なる粒子を用いた場合は表面状態が異なるため、マトリックス中での凝集分散挙動も異なる。凝集を起こしやすい粒子に対して、粒子サイズが僅かに異なり凝集を起こしにくい粒子が共存することで、粒子凝集が塗布液保存中に進行することなく、塗布された防眩性層の表面形態の安定化が実現される。例えば、汎用の多官能アクリレート化合物をマトリックス形成バインダーに使用した場合、透光性粒子の屈折率が1.54以上の樹脂粒子を用いた場合には粒子の凝集傾向が強く、塗布物の経時での表面形状変化が大きくなりやすい。粒子サイズの異なる粒子を混合することで、凝集体のサイズが大きく成長するのを抑止することができ、表面形状の安定化が実現される。また、更に粒子自身の凝集性の小さい屈折率1.53以下の粒子を混合することで、更に有効に凝集体の成長を抑止することができ、表面形態の安定化が達成される。
粒子の添加量は、光散乱層の全固形分中の1〜60質量%が好ましく、2〜50質量%であることが更に好ましく、最も好ましくは3〜40質量%である。粒子がこの比率であると、塗布液の経時変化に伴う塗膜の表面形態の変動を小さくする効果に優れる。
粒子は、以下に説明する粒子の中から、所望の屈折率、平均粒子サイズに応じて選択することができる。
本発明では、透光性粒子として、樹脂粒子および/または無機微粒子が用いられる。
樹脂粒子の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子等が好ましい。さらにはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた所謂表面修飾した粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も好ましく挙げられる。また、透光性粒子として、無機微粒子を用いることもできる。無機微粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子等が好ましく挙げられるが、シリカ粒子が特に好ましく用いられる。
塗布のムラや干渉ムラを目立ちずらくする、あるいは、コストの観点から、マトリックスの屈折率を1.54以下、特に好ましくは屈折率1.53以下にする場合は、本発明では、透光性粒子は、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、シリカ粒子が好ましい。架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子を用いる場合、スチレンの共重合比率を50%以上90%以下にすることが好ましい。
粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御性、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは、
0.01%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。
粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。平均粒径は得られた粒子分布から算出する。
本発明の防眩フィルムにおいて、表面散乱に起因するヘイズ値は0〜10%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5%である。表面ヘイズをこの範囲にすることで黒締まりに優れた防眩フィルムが得られる。また、内部散乱に起因するヘイズ値は8〜90%であることが好ましく、更に好ましくは10〜40%、最も好ましくは10〜30%である。内部へイズをこの範囲にすることで、表面コントラストの低下とギラツキの防止の2つの性能を実用的に満足させることができる。これらへイズの調節は、透光性粒子の種類と量の調節により行うことができる。
<防眩層のマトリックス形成用バインダー>
防眩層を形成するマトリックスを形成するバインダーとしては、特に限定されないが、電離放射線等による硬化後に飽和炭化水素鎖、又はポリエーテル鎖を主鎖として有する透光性ポリマーであることが好ましい。また、硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、下記に述べる第一群の化合物より選ばれるエチレン性不飽和モノマー及びこれらの重合体が好ましい。また、ポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーとしては、下記に述べる第二群の化合物より選ばれるエポキシ系モノマー及びこれらの開環による重合体が好ましい。さらにこれらのモノマー類の混合物の重合体も好ましい。
本発明では、第一群の化合物として、飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、且つ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
光散乱層を形成するためのバインダーポリマーに用いられる、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート}、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、(メタ)アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)等が挙げられる。
さらに、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂および多価アルコール等の、多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。これらのモノマーは2種以上併用してもよく、また、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂はバインダー全量に対して10〜100%含有することが好ましい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤、および粒子、必要に応じて無機フィラー、塗布助剤、その他の添加剤、有機溶媒等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明支持体上に塗布後、電離放射線又は熱による重合反応により硬化して防眩層を形成する。電離放射線硬化と熱硬化を合わせて行うことも好ましい。光及び熱重合開始剤としては市販の化合物を利用することができ、それらは、「最新UV硬化技術」(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)や、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のカタログに記載されている。
本発明では、第二群の化合物として、硬化膜の硬化収縮低減のためには、以下で述べるエポキシ系化合物を用いることが好ましい。これらのエポキシ基を有するモノマー類としては、1分子中にエポキシ基を2基以上有するモノマーが好ましく、これらの例としては特開2004−264563号、同2004−264564号、同2005−37737号、同2005−37738号、同2005−140862号、同2005−140862号、同2005−140863号、同2002−322430号等に記載されているエポキシ系モノマー類が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマー類は層を構成する全バインダーに対して20〜100質量%含有することが硬化収縮低減のために好ましく、35〜100質量%含有することがより好ましく、50〜100質量%含有することがさらに好ましい。
エポキシ系モノマー、化合物類を重合させるための、光の作用によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の化合物やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物等が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF 、SbF 、AsF 、B(C などが好ましい。
重合開始剤は、上記第一群又は第二群の化合物100質量部に対して、重合開始剤総量で0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。
<防眩層の高分子化合物>
本発明の防眩層は、高分子化合物を含有してもよい。高分子化合物を添加することで、硬化収縮を小さくしたり、塗布液の粘度調整を行うことができる。
高分子化合物は、塗布液に添加する時点で既に重合体を形成しており、該高分子化合物としては、例えばセルロースエステル類(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート等)、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン等の樹脂が好ましく用いられる。
高分子化合物は、硬化収縮への効果や塗布液の粘度増加効果の観点から、高分子化合物を含有する層に含む全バインダーに対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。また、高分子化合物の分子量は質量平均で0.3万〜40万が好ましく、0.5万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万がさらに好ましい。
<防眩層の無機フィラー>
本発明の防眩層には、上記の粒子A及び粒子Bに加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、さらに低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的に応じて、無機フィラー使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
粒子Aまたは粒子Bとの屈折率差を調整するために、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
<防眩層の界面活性剤>
本発明の防眩層では、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光散乱層用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特に、フッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の光学フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、例えば、特開2007−188070号公報の段落番号0049〜0074に記載の化合物が挙げられる。
本発明の防眩層で用いられる界面活性剤(特に、フッ素系ポリマー)の好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が0.001質量%以上で効果が十分であり、また5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての良好な性能(例えば反射率、耐擦傷性)が得られる。
<防眩層用塗布液の有機溶媒>
防眩層を形成する塗布組成物には、有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等、エーテル、アセタール系では、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルアセタール等、炭化水素系では、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、1,1,1,2−テトラクロルエタン等、多価アルコールおよびその誘導体系では、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリンモノアセテート、グリセリンエーテル類、1,2,6−ヘキサントリオール等、脂肪酸系では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ絡酸、イソ吉草酸、乳酸等、窒素化合物系では、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル等、イオウ化合物系では、ジメチルスルホキシド等、が挙げられる。
有機溶媒の中でメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、1−ペンタノール等が特に好ましい。また、有機溶媒には、凝集性制御の目的でアルコール、多価アルコール系の溶媒を適宜混合して用いてもよい。これらの有機溶媒は、単独でも混合して用いてもよく、塗布組成物中に有機溶媒総量として、20重量%〜90重量%含有することが好ましく、30重量%〜80重量%含有することがより好ましく、40重量%〜70重量%含有することが最も好ましい。防眩層の表面形状の安定化のためには、沸点が100℃未満の溶媒と沸点が100℃以上の溶媒を併用することが好ましい。
<防眩層の硬化>
防眩層は、塗布液を支持体に塗布後、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させて形成できる。紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。紫外線による硬化は、窒素パージ等で酸素濃度が4体積%以下、更に好ましくは2体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気下で硬化することが好ましい。
<透明プラスチックフィルム基材>
本発明の透明プラスチックフィルム基材(透明支持体)としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは、通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
透明支持体の幅は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。透明支持体はロール形態の長尺で取り扱うことができ、通常100m〜5000m、好ましくは500m〜3000mのものである。
透明支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の光学フィルムと偏光板を組み合わせてもよい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の防眩フィルムは、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
<塗布方式>
本発明の防眩フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、防眩層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
その後、光照射あるいは加熱して、防眩層を形成するモノマーを重合して硬化する。これにより防眩層が形成される。
次に、同様にして耐擦傷性層を形成するための塗布液を防眩層上に塗布し、光照射し耐擦傷性層が形成される。このようにして本発明の防眩フィルムが得られる。
防眩層の下層または防眩層と耐擦傷性層の間に他の機能性層を形成する場合は、防眩層と同様の方法を用いて形成することができる。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
<画像表示装置>
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)に用いられる。本発明の光学フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の光学フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(防眩層用塗布液A−1の組成)
PET−30 65.0g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル粒子(30%) 20.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子(30%) 52.6g
FP−13 0.2g
CAB 0.5g
MIBK 72.6g
MEK 32.5g
上記防眩層用塗布液各々について孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。
上記塗布液において硬化後のマトリックスの屈折率は1.525であった。
ここで、該透光性粒子を除く光拡散層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定した。また、透光性粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定した。
粒子の屈折率は下記の通りであった。
8μm架橋アクリル粒子 1.500
8μm架橋アクリル・スチレン粒子 1.555
[無機酸化物微粒子の表面処理]
(分散液A−1の調製)
シリカ微粒子ゾル(日産化学工業(株)製メタノールシリカゾル、平均粒子径12nm、シリカ濃度30%)を分散液Aとする。分散液Aを用いて、総液量がほぼ一定になるようにメチルエチルケトン(MEK)を添加しながら25℃で減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液A−1を調製した。
(分散液A−2の調製)
シリカ微粒子ゾル(日産化学工業(株)製メタノールシリカゾル、平均粒子径12nm、シリカ濃度30%)333部にアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン8部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液A−2を調製した。
(耐擦傷性層用塗布液ASL−1の組成)
シリカ分散液A−1(20%) 130.0g
IPA−ST−L(30%) 6.7g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 67.6g
CAB 3.0g
MEK 2095.0g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−2の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
IPA−ST−L(30%) 6.7g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 67.6g
CAB 3.0g
MEK 2095.0g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−3の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
IPA−ST−L(30%) 6.7g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 67.6g
PMMA 3.0g
MEK 2095.0g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−4の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 69.6g
CAP 1.0g
MEK 2101.7g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−5の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 68.6g
CAP 2.0g
MEK 2101.7g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−6の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 65.6g
CAP 5.0g
MEK 2101.7g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−7の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 63.6g
CAP 5.0g
MEK 2101.7g
MMPG−Ac 551.4g
(耐擦傷性層用塗布液ASL−8の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 67.6g
MEK 2101.7g
MMPG−Ac 551.4g
上記耐擦傷性層用塗布液は孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。上記塗布液を塗布硬化してなる耐擦傷性層の硬化後の屈折率は何れも1.50であった。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
8μm架橋アクリル粒子(30%):平均粒径8.0μm[綜研化学(株)製]の30wt%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散し調製)
8μm架橋アクリル・スチレン粒子(30%):平均粒径8.0μm[積水化成品工業(株)製]の30wt%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散し調製)
イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製];
CAB:セルロースアセテートブチレート(数平均分子量約40000);
CAP:セルロースアセテートプロピオネート(数平均分子量約40000);
PMMA:ポリメチルメタアクリレート(数平均分子量約40000);
MIBK:メチルイソブチルケトン;
MEK:メチルエチルケトン;
MMPG−Ac:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;
IPA−ST−L:シリカ微粒子ゾル(日産化学工業(株)製 平均粒径約45nm、
シリカ濃度30%)
SP−13:フッ素系の界面活性剤(MEKの10質量%溶液として溶解した後に使用した。)
Figure 2010032916
[実施例1]
(防眩フィルム試料101〜112の作製)
(1)防眩層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、防眩層用塗布液A−1を使用し、特開2006−122889号明細書実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。各防眩層の膜厚は13μmになるように塗布量を調整した。
(2)耐擦傷性層の塗設
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフイルムを再び巻き出して、上記耐擦傷性層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、表1に示した膜厚になるように塗布量を調整し耐擦傷性層を形成し、巻き取り、防眩フィルムを作成した。
なお、試料No101のサンプルでは耐擦傷性層は積層しなかった。
(防眩フィルムの鹸化処理)
上記で作成した試料101〜112に、以下の処理を行った。1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。 作製した光学フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し、水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み光学フィルム(101〜112)を作製した。
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、実施例1における本発明試料(鹸化処理済み)の各々のフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして偏光板を作製した。
(光学フィルムおよび偏光板の評価)
得られたこれらの光学フィルム試料について、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)風ムラの評価
防眩フィルムをA4の大きさのシートに切り出し、裏面に黒色粘着剤付きPETフイルムを貼り付け、3波長蛍光灯500ルックス及び1000ルックス下で目視で、以下の基準で評価した。1000ルックスで評価した方が僅かなムラも検出できる。A4のシート5枚を観察し、ムラの発生の頻度を評価した。
◎:1000ルックス下で観察してもムラが認められない。
○:1000ルックス下では1個以下のムラが認められるが、500ルックス下ではムラが認められない。
○△:500ルックス下で1個以下のムラが認められる。
△:500ルックス下で1〜3個のムラが認められる。
×:500ルックス下で3個以上のムラが認められる。
(2)白化
防眩フイルムをA4の大きさのシートに切り出し、裏面に黒色粘着剤付きPETフイルムを貼り付け、3波長蛍光灯1000ルックス下で目視で、以下の基準で白っぽさの程度を評価した。
○:ほとんど白っぽさは認められない。
△:僅かに白っぽさが認められる。
×:はっきりと白っぽさが認められる。
(3)スチールウール(SW)耐傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
Figure 2010032916
表1に示される結果より、以下のことが明らかである。防眩層に本発明の耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層が(A)ケイ素酸化物微粒子、(B)電離放射線樹脂、(C)高分子増粘剤を含有する組成物から形成され、膜厚が0.05〜0.4μmである場合、風ムラと白化が無く視認性に優れ、耐擦傷性に優れた防眩フィルムを得ることができる。特に、高分子増粘剤としてセルロースエステル化合物を用いたものは白化防止効果が顕著であった。また、セルロースエステル化合物の添加量は、風ムラおよび耐擦傷性の観点では、耐擦傷性層の全固形分当たり2〜5%である場合が好ましいことが分かる。
[実施例2]
防汚性を付与した防眩性フィルム試料113の作製。
実施例1で作成した試料103に対して、耐擦傷性層塗布液を以下のASL−9に変更した以外は同様にして、防眩フィルム試料113を作製した。
(耐擦傷性層用塗布液ASL−9の組成)
シリカ分散液A−2(20%) 130.0g
IPA−ST−L(30%) 6.7g
イルガキュア127 3.4g
DPHA 65.6g
CAB 3.0g
X−22−164C 2.0g
MEK 2095.0g
MMPG−Ac 551.4g
X−22−164C:多官能メタアクリロイル変性シリコーン〔信越化学工業(株)製〕
得られた試料113について、実施例1で作成した103と同様に評価を行った。なお、防汚性に関して、以下の評価基準にしたがって評価を行った。
(4)防汚性
フィルム表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態を以下の基準に従って3段階で評価した。
〇:書いた跡が完全にふき取れた。
△:一部がふき取れずに残った。
×:大部分がふき取れずに残った。
試料113は、風ムラ、白化、耐擦傷性は試料103と同等の性能であり、防汚性が○の評価となり防汚性に優れることが分った。

Claims (10)

  1. 透明プラスチックフィルム基材上に、表面に微細な凹凸を有する防眩層を有し、且つ防眩層の最表面に耐擦傷性層を有し、該耐擦傷性層の平均膜厚が0.03〜0.4μmであり、
    該耐擦傷性層は少なくとも以下の(A)、(B)、および(C)成分を含有する硬化性組成物より形成されることを特徴とする防眩フィルム。
    (A)平均粒径が1〜300nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子
    (B)電離放射線硬化性樹脂
    (C)高分子増粘剤
  2. 前記無機微粒子表面が一般式(I)で表される化合物を用いて表面処理されている無機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の防眩フィルム。
    一般式(I) (R10m−Si(X)4-m
    (式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
  3. 前記硬化性組成物の(C)成分の高分子増粘剤がセルロースエステルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防眩フィルム。
  4. 耐擦傷性層がフッ素バインダーを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の防眩フィルム。
  5. 前記耐擦傷性層の屈折率が防眩層の屈折率より低いことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の防眩フィルム。
  6. 防眩層が少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散性粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の防眩フィルム。
  7. 前記防眩性層の光拡散性粒子の平均粒子径が5.5〜15μmであり、防眩層の平均膜厚が8〜40μmであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の防眩フィルム。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  9. 請求項1〜7の何れかに記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求項1〜7の何れかに記載の防眩フィルムが画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
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