JP2010031693A - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents

内燃機関の始動制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010031693A
JP2010031693A JP2008192593A JP2008192593A JP2010031693A JP 2010031693 A JP2010031693 A JP 2010031693A JP 2008192593 A JP2008192593 A JP 2008192593A JP 2008192593 A JP2008192593 A JP 2008192593A JP 2010031693 A JP2010031693 A JP 2010031693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
limit
injection amount
internal combustion
combustion engine
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008192593A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4998400B2 (ja
Inventor
Takashi Nishigori
貴志 錦織
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2008192593A priority Critical patent/JP4998400B2/ja
Publication of JP2010031693A publication Critical patent/JP2010031693A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4998400B2 publication Critical patent/JP4998400B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】この発明は自動停止及び自動始動の機能を有する内燃機関の始動制御装置に関し、燃費効率を不必要に低下させることなく、再始動時の自着火を有効に抑制することを目的とする。
【解決手段】クランク角センサ34によりピストン停止位置を検出する。水温センサ36により冷却水温THWを検出する。ピストン停止位置及び冷却水温THWと、再始動時に自着火燃焼を生じさせない限界燃料噴射量との間に成立する限界噴射量規則を記憶する。ピストン停止位置の検出値及び冷却水温THWの検出値を限界噴射量規則に当てはめて、限界燃料噴射量を算出する。再始動時の燃料噴射量を、限界燃料噴射量の算出値に対応する噴射量に制御する。
【選択図】図1

Description

この発明は、内燃機関の始動制御装置に係り、特に、自動停止及び自動始動の機能を有する内燃機関の始動を制御する装置として好適な始動制御装置に関する。
特許文献1には、車両システムの作動中に、内燃機関を自動的に停止させ、また、自動的に再始動させるシステムが開示されている。エコラン車両やハイブリッド車両において、内燃機関の自動停止や自動始動は、内燃機関が十分に暖機された状態で行われるのが珍しくない。
筒内に吸入された混合ガスは、そのガス温度が高いほど自着火を起こし易い。このため、内燃機関の自動再始動時には、冷間状態での通常始動時に比して、筒内ガスの自着火が生じ易い。
特許文献1に開示されるシステムは、高温での再始動時に、燃料の自着火を防ぐために、冷間始動時とは異なる制御を行うこととしている。具体的には、このシステムは、高温での再始動時には、吸気弁の閉弁タイミングを遅らせることにより、内燃機関の実圧縮比を下げることとしている。筒内の実圧縮比が下がれば、圧縮行程におけるガス温度の上昇が抑制されて自着火は生じ難くなる。このため、高温再始動時に実圧縮比を下げることは、燃料の自着火を防ぐうえで有効である。
また、特許文献1には、高温再始動時の自着火を防ぐ手法として、燃料噴射量を増やすことが開示されている。燃料噴射量が増えると、燃料の気化潜熱が増えることにより圧縮行程における筒内温度の上昇が抑制される。燃料の自着火は、筒内温度が低いほど生じ難くなる。このため、高温再始動時に燃料噴射量を増やすことも、燃料の自着火を防ぐ手法として有効な手法である。
特開2007−120448号公報 特開2001−173488号公報 特開2005−69049号公報
ところで、内燃機関が自動的に再始動される場合において、その再始動時における内燃機関の状態は、常に一定ではない。例えば、個々の気筒のピストン位置は、内燃機関の停止時における成り行きに任されており、常に一定となるものではない。また、再始動時における内燃機関の温度も、停止時の機関温度、停止中の環境温度、更には停止の継続時間などに応じて変動し、常に一定となるものではない。
燃料の自着火は、圧縮行程の過程で筒内ガスの温度が自着火発生温度にまで上昇することにより生ずる。そして、圧縮開始前の段階での筒内ガス温度が高いほど、圧縮行程の過程で、筒内ガスの温度は自着火発生温度に到達し易い。このため、圧縮開始前の筒内ガス温度が高い環境で内燃機関の再始動が要求された場合は、その温度が低い環境で再始動が要求された場合に比して、燃料の自着火が生じ易い。
特許文献1に開示されるシステムは、内燃機関の再始動が要求された際に、自着火の抑制が必要な高温環境下であるか否かを判別し、その判別が肯定される場合に、吸気弁の閉弁タイミングの遅角(実圧縮比の低減)や、燃料噴射量の増量を行う。しかしながら、このシステムは、高温環境下では、内燃機関がどのような状態であるかを考慮することなく、常に一定の条件で実圧縮比の低減や、燃料噴射量の増量を行う。
つまり、特許文献1のシステムでは、内燃機関が、比較的自着火を発生させ難い状態にある場合でも、高温環境の判別が肯定される場合には、常に最悪の状態を想定して実圧縮比の低減や燃料噴射量の増量が行われる。この点、上記従来のシステムは、内燃機関の自動再始動の際に、不必要に実圧縮比を下げすぎ、或いは、不必要に燃料噴射量を増量しすぎることにより、内燃機関の燃費効率を低下させることがあるという側面を有するものであった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関の燃費効率を不必要に低下させることなく、再始動時の自着火を有効に抑制することのできる内燃機関の始動制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の始動制御装置であって、
ピストン停止位置を検出する停止位置検出手段と、
シリンダ温度を検出するシリンダ温度検出手段と、
ピストン停止位置及びシリンダ温度と、再始動時に自着火燃焼を生じさせない限界燃料噴射量との間に成立する限界噴射量規則を記憶する限界噴射量規則記憶手段と、
前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記限界噴射量規則に当てはめて、前記限界燃料噴射量を算出する限界噴射量算出手段と、
再始動時の燃料噴射量を、前記限界燃料噴射量の算出値に対応する噴射量に制御する噴射量制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
吸気弁の閉弁タイミングを変化させる可変動弁機構と、
吸気弁の閉弁タイミングを検出する閉弁タイミング検出手段と、を備え、
前記限界噴射量記憶手段は、吸気弁の複数の閉弁タイミングのそれぞれの下で成立する複数の限界噴射量規則を記憶しており、
前記限界噴射量算出手段は、前記ピストン停止位置の検出値、前記シリンダ温度の検出値、及び前記閉弁タイミングの検出値を、前記複数の限界噴射量規則に当てはめることにより、前記限界燃料噴射量を算出することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記限界噴射量規則は、
前記ピストン停止位置及び前記シリンダ温度と、圧縮が開始される直前の筒内ガス温度である圧縮前筒内ガス温度との間に成立する圧縮前温度規則と、
前記圧縮前筒内ガス温度と前記限界燃料噴射量との間に成立する噴射量換算規則と、を含み、
前記限界噴射量算出手段は、
前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記圧縮前温度規則に当てはめて、再始動時の圧縮前筒内ガス温度を算出する手段と、
当該圧縮前筒内ガス温度の算出値を前記噴射量換算規則に当てはめて、前記限界燃料噴射量を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
複数の気筒を有する内燃機関の始動制御装置であって、
内燃機関の再始動時に、前記複数の気筒の中で、最初に点火燃焼を生じさせることのできる初爆気筒を検知する初爆気筒検知手段を備え、
前記限界噴射量算出手段は、前記初爆気筒のピストン停止位置に基づいて前記限界燃料噴射量を算出し、
前記噴射量制御手段は、内燃機関の再始動時に、前記初爆気筒に対する最初の燃料噴射の際に、燃料噴射量を、前記限界燃料噴射量の算出値に対応する噴射量に制御することを特徴とする。
また、第5の発明は、内燃機関の始動制御装置であって、
内燃機関の再始動に先立って、吸気弁の閉弁タイミングを変化させることのできる可変動弁機構と、
内燃機関の再始動時に、吸気弁の閉弁タイミングに基づいて、目標空燃比を実現する目標燃料噴射量を算出する目標燃料噴射量算出手段と、
ピストン停止位置を検出する停止位置検出手段と、
シリンダ温度を検出するシリンダ温度検出手段と、
ピストン停止位置及びシリンダ温度と、前記目標空燃比の下での再始動時に自着火燃焼を生じさせない吸気弁の限界閉弁タイミングとの間に成立する限界タイミング規則を記憶する限界タイミング規則記憶手段と、
前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記限界タイミング規則に当てはめて、前記限界閉弁タイミングを算出する限界タイミング算出手段と、
内燃機関の再始動に先だって、吸気弁の閉弁タイミングが前記限界閉弁タイミングの算出値と一致するように前記可変動弁機構を制御する可変動弁機構制御手段と、
内燃機関の再始動時に、燃料噴射量を前記目標燃料噴射量に制御する噴射量制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第5の発明において、
前記限界タイミング規則は、
前記ピストン停止位置及び前記シリンダ温度と、前記目標空燃比の下での再始動時に自着火燃焼を生じさせない限界実圧縮比との間に成立する限界実圧縮比規則と、
実圧縮比と吸気弁の閉弁タイミングとの間に成立する閉弁タイミング換算規則と、を含み、
前記限界タイミング算出手段は、
前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記限界実圧縮比規則に当てはめて、再始動時における前記限界実圧縮比を算出する手段と、
当該限界実圧縮比の算出値を前記閉弁タイミング換算規則に当てはめて、前記限界閉弁タイミングを算出する手段と、を備えることを特徴とする。
また、第7の発明は、第5又は第6の発明において、
再始動時の吸気弁の閉弁タイミングと、当該閉弁タイミング及び前記目標空燃比の下での再始動時に所定トルクを発生させるための点火時期との間に成立する点火時期規則を記憶する点火時期規則記憶手段と、
前記限界閉弁タイミングの算出値を前記点火時期規則に当てはめて始動時点火時期を算出する始動時点火時期算出手段と、
内燃機関の再始動時における点火時期を、前記始動時点火時期に制御する点火時期制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、第5乃至第7の発明の何れかにおいて、
複数の気筒を有する内燃機関の始動制御装置であって、
内燃機関の再始動時に、前記複数の気筒の中で、最初に点火燃焼を生じさせることのできる初爆気筒を検知する初爆気筒検知手段を備え、
前記限界タイミング算出手段は、前記初爆気筒のピストン停止位置に基づいて前記限界閉弁タイミングを算出し、
前記可変動弁機構制御手段は、内燃機関の再始動に先だって、前記書爆気筒の吸気弁の閉弁タイミングが前記限界閉弁タイミングの算出値と一致するように前記可変動弁機構を制御し、
前記噴射量制御手段は、内燃機関の再始動時に、前記初爆気筒に対する最初の燃料噴射の際に、燃料噴射量を、前記目標燃料噴射量に制御することを特徴とする。
第1の発明によれば、内燃機関の再始動が要求された際に、ピストン停止位置とシリンダ温度とに基づいて、自着火燃焼を生じさせない限界燃料噴射量を算出することができる。また、この発明によれば、その限界燃料噴射量で内燃機関の再始動を図ることができる。このため、本発明によれば、再始動時の状況に応じた最小の燃料噴射量で、自着火を生じさせることなく、内燃機関を再始動させることができる。
第2の発明によれば、内燃機関の再始動が要求された際に、ピストン停止位置、シリンダ温度、及び吸気弁の閉弁タイミングに応じた最適な限界噴射量を算出することができる。このため、本発明によれば、内燃機関の停止時における吸気弁の閉弁タイミングが、可変動弁機構の機能によって変動するシステムにおいても、最小の燃料噴射量で、再始動時の自着火を有効に防止することができる。
第3の発明によれば、内燃機関の再始動要求時に、ピストン停止位置とシリンダ温度に基づいて、圧縮前筒内ガス温度を算出することができる。更に、本発明によれば、その圧縮前筒内ガス温度の算出値に基づいて、限界燃料噴射量を算出することができる。
第4の発明によれば、複数の気筒の中で、最初に点火燃焼を生じさせることのできる初爆気筒に対して、初回の燃料噴射の際に限界燃料噴射量を噴射することができる。このため、本発明によれば、再始動要求の発生後に、最も迅速に、自着火を生じさせることなく、最小の燃料噴射量で内燃機関を再始動させることができる。
第5の発明によれば、内燃機関の再始動が要求された際に、ピストン停止位置とシリンダ温度とに基づいて、自着火燃焼を生じさせない吸気弁の限界閉弁タイミングを算出することができる。また、この発明によれば、吸気弁の閉弁タイミングをその限界閉弁タイミングとし、更に、そのタイミングの下で目標空燃比を実現するための目標燃料噴射量で、で内燃機関の再始動を図ることができる。つまり、本発明によれば、燃料噴射量に増量補正を施すことなく、再始動時の状況に応じた最小の燃料噴射量で、自着火を生じさせることなく、内燃機関を再始動させることができる。
第6の発明によれば、内燃機関の再始動要求時に、ピストン停止位置とシリンダ温度に基づいて、自着火を生じさせることのない限界実圧縮比を算出することができる。更に、本発明によれば、その限界実圧縮比に基づいて、吸気弁の限界閉弁タイミングを算出することができる。
第7の発明によれば、内燃機関の再始動時に、吸気弁の閉弁タイミングを限界閉弁タイミングに合わせたうえで、内燃機関の点火時期を、その限界閉弁タイミングに対応する始動時点火時期に制御することができる。このような制御によれば、吸気弁の閉弁タイミングの変動が、内燃機関の出力トルクに与える影響を相殺することができる。このため、本発明によれば、最小の燃料噴射量で、自着火を生じさせることなく、かつ、始動時の出力トルクにバラツキを生じさせることなく、内燃機関を再始動させることができる。
第8の発明によれば複数の気筒の中で、最初に点火燃焼を生じさせることのできる初爆気筒に対して、初回の燃料噴射の際に限界閉弁タイミングを設定し、かつ、目標燃料噴射量を供給することができる。このため、本発明によれば、再始動要求の発生後に、最も迅速に、自着火を生じさせることなく、最小の燃料噴射量で内燃機関を再始動させることができる。
実施の形態1.
[実施の形態の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、エコラン車両、又はハイブリッド車両に搭載されているものとする。これらの車両では、車両システムの稼働中に、内燃機関10の運転が不要と判断されると、自動的に内燃機関10が停止される。その後、内燃機関10の運転が必要になると、自動的に内燃機関10の再始動が図られる。このため、本実施形態において、内燃機関10は、必要に応じて自動停止、自動再始動されるものとする。
内燃機関10には、吸気通路12と排気通路14が連通している。内燃機関10の燃焼室16は、吸気弁18の開閉に伴って吸気通路12と連通する。吸気弁18には、可変動弁機構20が連結されている。可変動弁機構20は、内燃機関10のクランク角に連動して吸気弁18を開閉させ、少なくとも、吸気弁18の閉弁タイミングを変化させることができる。また、可変動弁機構20は、吸気弁18の閉弁タイミングに応じた出力を発する位置センサを内蔵している。
本実施形態において、可変動弁機構20は、内燃機関10の運転中に生ずる油圧により駆動され、内燃機関10の停止中には、吸気弁12の開弁特性を変更することはできないものとする。また、本実施形態において、可変動弁機構20は、内燃機関10の停止時に、吸気弁12の閉弁タイミングを所定の始動タイミングに戻す機能を有しているものとする。
内燃機関10の燃焼室16は、また、排気弁22の開閉に伴って排気通路14と連通する。排気弁22には、可変動弁機構24が連結されている。可変動弁機構24は、内燃機関10の油圧を利用して、排気弁22の開弁特性を適宜変化させることができる。
内燃機関10の吸気通路12には、大気圧センサ26が設けられている。大気圧センサ26の下流には、スロットル弁28が配置されている。また、スロットル弁28の下流には、燃料噴射弁30が組み付けられている。
燃料噴射弁30は、図示しない燃料ポンプから所定圧力の燃料の供給を受けており、開弁時間TAUに応じた量の燃料を噴射する。このため、内燃機関10に対する燃料噴射量は、燃料噴射弁20の開弁時間TAUで制御することができる。
内燃機関10は筒内には、ピストン32が配置されている。ピストン32の位置は、クランク角センサ34により検知することができる。クランク角センサ34は、クランク角を720°CA(Crank Angle)系で検知することができる。このため、クランク角センサ34の出力によれば、吸気行程と爆発行程を区別して、また、排気行程と圧縮行程を区別して、ピストン32の位置を検知することができる。
内燃機関10には、更に、水温センサ36が組み付けられている。水温センサ36によれば、内燃機関10の冷却水温THWを検出することができる。上述した各種センサ及びアクチュエータは、ECU(Electronic Control Unit)40と電気的に接続されている。このため、ECU40は、吸気弁18の閉弁タイミング、クランク角、冷却水温THW等を検知することができる。また、ECU40は、可変動弁機構20,24や燃料噴射弁30を駆動することができる。
[実施の形態1の動作]
(動作の特徴)
以下、図2乃至図5を参照して本実施形態のシステムの動作について説明する。
図2は、吸気行程におけるクランク角、つまり、吸気上死点後(吸気ATDC, After Top Dead Center)のクランク角と、吸気下死点(吸気BDC, Bottom Dead Center)までに筒内に吸入される新気の量(吸気容積)との関係を示す。図2に示す関係によれば、例えば、ピストン32が吸気上死点(吸気TDC, After Top Dead Center)から吸気BDCに移動する過程で生ずる新気の吸気量は約450ccであることが判る。また、ピストンが吸気ATDC60°CAに位置している場合は、約150ccのガスが既に筒内に存在しており、その後、ピストン32が吸気BDCに移動する過程で約300ccの新気が吸入されることが判る。
図2に示す関係は、内燃機関10の型式に対して特定することができる。内燃機関10に対してこの関係が既知であると、以下に説明する通り、再始動の際に、新気と残留ガスが、どのような割合で筒内に存在するかを検知することができる。すなわち、再始動に先立って、ピストン32が、例えば吸気ATDC60°CAの位置で停止しているとすると、再始動の際に、新気(300cc)と残留ガス(150cc)の割合が2:1となることが検知可能である。
内燃機関10の始動時において、吸気弁18の閉弁タイミングは、圧縮行程内の適当なクランク角、つまり、吸気下死点後(吸気ABDC, After Bottom Dead Center)の適当なクランク角に設定されている。このため、ピストン32が吸気BDCを通過した後、吸気弁18が閉じるまでの間は、筒内ガスが吸気通路12に逆流する。この間、筒内における新気と残留ガスの比率には、変化が生じない。このため、吸気弁18が閉じた時点でのガス割合は、結局、吸気BDCでの割合と同じ2:1となる。
内燃機関10の再始動時には、その再始動の開始後、吸気弁18が初めて閉じる時点で筒内に存在しているガスが初爆に用いられる。以下、このガスを「初爆ガス」と称す。つまり、内燃機関10の再始動時には、吸気弁18が初めて閉じられた時点で、初爆ガスが筒内に閉じ込められ、その後、クランク角が増すに連れて、初爆ガスの圧縮が進められる。この過程で、初爆ガスの温度は上昇し、その温度が自着火発生温度に達すると、筒内で燃料の自着火が生ずる。以下、初爆ガスの圧縮が始まる直前の筒内ガス温度を、「圧縮前筒内ガス温度」と称する。
圧縮前筒内ガス温度は、初爆ガスに自着火が生ずるか否かを決める重要な因子である。つまり、圧縮前筒内ガス温度が高ければ、その後、圧縮の進行過程で筒内ガス温度が自着火発生温度に到達し易く、他方、圧縮前筒内ガス温度が低ければ、筒内ガス温度は自着火発生温度に到達し難い。このため、初爆ガスの自着火を防ぐ前提として、圧縮前筒内ガス温度を検知することは有効である。
筒内の残留ガスは、内燃機関10の停止中、筒内で加熱され続けるため、新気に比して高温になる。圧縮前筒内ガス温度は、これら2種類のガスが混合された結果として実現される温度であるから、主として、新気の温度、残留ガスの温度、及び新気と残留ガスの比率の3要素により決定される。
これらの3要素のうち、新気の温度と残留ガスの温度は、主として、内燃機関10自体の温度、つまり、冷却水温THWに応じた温度となる。他方、新気と残留ガスの比率は、図2を参照して説明した通り、再始動時のピストン停止位置に応じて、ほぼ一義的に決定される。このため、圧縮前筒内ガス温度は、再始動時における冷却水温THWと、ピストン停止位置とに基づいて、推定することが可能である。
図3は、ピストン32の停止位置と圧縮前筒内ガス温度との関係を、冷却水温THWをパラメータとして示したものである。具体的には、図3中に、最も低い位置に示した曲線は、冷却水温THWが60°の場合に、ピストン停止位置と圧縮前筒内ガス温度との間に成立する関係を示す。この曲線の上方に示される複数の曲線は、それぞれ、より高い冷却水温THWの下で成立する両者の関係を示している。
ピストン停止位置が吸気BDC(ATDC180°CA)に近づくほど、初爆ガスに占める残留ガスの割合が大きくなる。このため、圧縮前筒内ガス温度は、図3に示すように、ピストン停止位置が吸気BDCに近いほど高温となる。また、冷却水温THWが高いほど、新気の温度も残留ガスの温度も高くなる。このため、圧縮前筒内ガス温度は、図3に示すように、冷却水温THWが高いほど高温となる。
図3に示す関係は、実験的に、或いはシミュレーションにより、内燃機関10について予め特定しておくことが可能である。この関係が既知であれば、内燃機関10の再始動が要求された時点で、ピストン停止位置と、冷却水温THWとに基づいて、初爆ガスの圧縮前筒内ガス温度を予測することが可能である。
ところで、本実施形態の内燃機関10は、複数の気筒を有している。内燃機関10が、例えば4気筒式の機関であるとすると、内燃機関10の停止時には、必ず、一つの気筒のピストン32が、吸気TDC(吸気ATDC0°CA)と吸気BDC(吸気ATDC180°CA)の間、つまり、図3に示すクランク角領域内に停止する。
その気筒のピストン32が、図3中に「2TDC」と示される領域内、つまり、吸気ATDC0°CAから吸気ATDC120°CAまでの領域に停止している場合は、ピストン32が吸気BDCに到達するまでに、ある程度の新気を吸気ポートから筒内に吸い込むことができる。他方、そのピストン32が、図3中に「リーン失火領域」と示される領域内、つまり、吸気ATDC120°CAから吸気ATDC180°CAまでの領域に停止している場合は、ピストン32が吸気BDCに達するまでに、殆ど、吸気ポート内のガスを筒内に吸い込むことはできない。
内燃機関10の燃料噴射弁30は、吸気ポートに燃料を噴射する。このため、筒内に燃料を供給するためには、吸気ポート内のガスがある程度筒内に吸入されることが必要である。つまり、ある気筒の筒内で燃焼を生じさせるためには、その気筒のピストン32が吸気BDCに達するまでに、吸気ポート内のガスが筒内にある程度吸入されることが必要である。
4気筒式の機関では、180°CA毎に、4つの気筒のピストン32が、圧縮TDCに順次到達する。例えば、♯1気筒のピストン32が、図3に示す「2TDC」の領域に停止していた場合は、内燃機関10の始動後、そのピストン32が吸気BDCに到達する過程で、♯1気筒の筒内には、ある程度の新気と燃料を吸入させることができる。
♯1気筒のピストン32が吸気BDCに達する時点で、♯2気筒のピストン32が圧縮TDCに到達する。この際、♯2気筒には、燃料が供給されていないため、この気筒で初爆を生じさせることはできない。この場合、4つの気筒の中で、最も早く初爆を発生させることのできる気筒(以下、「初爆気筒」と称す)は、この時点で既に筒内に燃料を吸い込んでいる♯1気筒となる。ここで、♯1気筒は、内燃機関10の再始動が開始された後、2番目に圧縮TDCに達する気筒である。以下、この場合のように、2番目に圧縮TDCに達する気筒が初爆気筒となる始動を「2TDC」始動と称する。
♯1気筒のピストン32が、図3に示す「リーン失火領域」に停止していた場合は、内燃機関10の始動後、そのピストン32が吸気BDCに到達する過程で、♯1気筒の筒内に十分な燃料を吸入させることはできない。このため、この場合には、♯1気筒のピストン32が圧縮TDCに達した時点で内燃機関10に初爆を生じさせることはできない。つまり、この場合は、♯1気筒が初爆気筒にはなれず、吸気TDC直前にピストン32を停止させていた♯4気筒が初爆気筒となる。以下、この場合のように、内燃機関10の始動開始後、3番目に圧縮TDCに達する気筒(♯4気筒)が初爆気筒となる始動を、「3TDC」始動と称する。
本実施形態のシステムは、初爆気筒での自着火を防ぐことを目的としている。このため、ECU40は、内燃機関10の再始動要求が生ずると、先ず、初爆気筒を特定する。ここでは、具体的には、先ず、何れかの気筒のピストン32が、図3に示す「2TDC」領域に停止しているかが判別される。その結果、何れかの気筒のピストン32が「2TDC」領域に停止していることが判ると、その気筒が初爆気筒とされる。この場合、以後、2TDC始動が行われる。
他方、何れの気筒のピストン32も「2TDC」領域に停止していない(つまり、吸気行程の気筒のピストン32が図3に示す「リーン失火領域」に停止している)と判断された場合は、吸気TDCの直前にピストン32を停止させている気筒が初爆気筒とされる。この場合、以後、3TDC始動が行われる。
2TDC始動の場合は、初爆気筒のピストン32が、図3に示すクランク角領域内に停止している。この場合、上述した通り、図3に示す関係に、ピストン停止位置と冷却水温THWを当てはめることで、圧縮前筒内ガス温度を算出することが可能である。
他方、3TDC始動の場合は、初爆気筒のピストン32は、図3に示すクランク角領域から外れた位置(ATDC0°CAより前のクランク角)に停止している。従って、この場合は、初爆気筒のピストン停止位置を、そのまま図3に示す関係に当てはめることはできない。しかしながら、初爆ガスに占める新気と残留ガスの割合は、ピストン32が吸気TDCより前で停止している場合と、ピストン32が吸気TDCで停止している場合とで同じである。このため、3TDC始動の場合、ピストン停止位置がATDC0°CAであるものとして、図3に示す関係から、圧縮前筒内ガス温度を推定することができる。
本実施形態のシステムでは、上述した通り、内燃機関10の停止時に、可変動弁機構20により、吸気弁18の閉弁タイミングが所定の始動タイミングに戻される。このため、内燃機関10は、常に、吸気弁18の閉弁タイミングが始動タイミングに制御された状態で始動される。
始動時の筒内ガス量、つまり、圧縮前の初爆ガスの容積は、吸気弁18の閉弁タイミングによってほぼ一義的に決定される。つまり、内燃機関10において、初爆気筒の実圧縮比εは、その気筒の吸気弁18の閉弁タイミングにより、ほぼ一義的に決定される。従って、本実施形態において、内燃機関10は、常にほぼ一定の実圧縮比の下で始動されることになる。
筒内ガスの自着火は、圧縮行程中の筒内ガス温度が自着火発生温度に到達することで生ずる。他方、圧縮工程中の筒内ガス到達温度は、(1)実圧縮比ε、(2)圧縮前筒内ガス温度、及び(3)筒内燃料量の3要素に大きな影響を受ける。本実施形態では、始動時の実圧縮比εは固定されているため、上記の筒内ガス到達温度は、主として、圧縮前筒内ガス温度と、筒内燃料量の2要素によって決定される。つまり、本実施形態では、圧縮前筒内ガス温度と、初爆気筒に対する燃料噴射量の2要素により、その気筒で自着火が生ずるか否かが、ほぼ決定される。
図4は、始動時の実圧縮比εの下で自着火燃焼が生ずる領域と、点火燃焼が生ずる領域とを、初爆気筒に対する燃料噴射時間TAUと、圧縮前筒内ガス温度の2要素で表した図である。図4中に実線で示す曲線は、それら2つの領域を分ける境界線である。図4において、その境界線より上方の領域は自着火燃焼が生ずる領域であり、他方、その境界線より下方の領域は点火燃料が生ずる領域である。
筒内ガス到達温度は、圧縮前筒内ガス温度が高いほど高温となる。このため、図4に示すように、燃料噴射時間TAUが同じであれば、圧縮前筒内ガス温度が高い領域が自着火燃焼領域となり、その温度が低い領域が点火燃焼領域となる。
また、筒内の燃料量は、燃料噴射時間TAUが長いほど多くなる。そして、筒内の燃料量が多いほど、燃料の気化潜熱による温度上昇の抑制が顕著となり、自着火が生じ難くなる。このため、自着火燃焼の領域と点火燃焼の領域との境界線は、図4に示すように、燃料噴射量TAUが長いほど、高温側に拡大される。
図4に示す関係は、内燃機関10について予め特定しておくことが可能である。他方、本実施形態では、上述した通り、初爆気筒のピストン停止位置と、再始動時の冷却水温THWとに基づいて、その気筒の圧縮前筒内ガス温度を推定することが可能である(図3参照)。そして、図4に示す関係が既知であり、かつ、圧縮前筒内ガス温度が推定できれば、その条件の下で自着火を生じさせない最短の燃料噴射時間TAUを算出することができる(圧縮筒内ガス温度の推定値に対して、図4の境界線に乗るTAU)。
内燃機関10の燃費特性に着目すると、始動時の燃料噴射時間TAUは、自着火が生じない限り、少ない方が望ましい。そこで、本実施形態のシステムは、内燃機関10の再始動時に、先ず、図3に示す関係を用いて圧縮前筒内ガス温度を推定し、更に、図4に示す関係を用いて、自着火を生じさせない最短の燃料噴射時間TAUを設定することとした。
(具体的処理)
図5は、上記の機能を実現するために、ECU40が実行する処理のフローチャートである。図5に示すルーチンでは、先ず、内燃機関10が停止中であるかが判別される(ステップ100)。その結果、内燃機関10が停止中でないと判別された場合は、以後、このルーチンを進める必要がないと判断され、今回の処理が修了される。
一方、内燃機関10が停止中であると判断された場合は、次に、720°CA系でのクランク角と、冷却水温THWが読み込まれる(ステップ102)。ECU40は、ここで読み込んだクランク角に基づいて、再始動時の初爆気筒を特定し、また、再始動を2TDC始動で行うか、或いは3TDC始動で行うかを判断する(図3参照)。
次に、圧縮前筒内ガス温度が推定される(ステップ104)。ECU40は、図3に示す関係を記憶している。ここでは、その関係に、初爆気筒のピストン停止位置(3TDC始動が選択されている場合はATDC0°CA)と、冷却水温THWとを当てはめることにより、現時点の状況に対応する圧縮前筒内ガス温度が推定される。
次に、初爆気筒に対する燃料の基本噴射量が算出される(ステップ106)。ECU40は、図4に示す関係を記憶している。ここでは、その関係に、上記ステップ104の処理により推定された圧縮前筒内ガス温度を当てはめることにより、自着火を生じさせない最小の燃料噴射時間TAUminが算出される。
次に、大気圧センサ26の出力に基づいて、大気圧が検出される(ステップ108)。次いで、その大気圧の検出値に基づいて、大気補正係数が算出される(ステップ110)。
本実施形態の内燃機関10では、上述した通り、初爆気筒の実圧縮比εは常に一定となる。しかしながら、筒内で圧縮されるガス量は、大気圧の影響を受けて増減する。このため、圧縮端における筒内圧は、大気圧が下がるに連れて低くなる。筒内圧力が下がると、燃料の自着火は生じ難くなる。このため、自着火を生じさせない最小の燃料噴射時間TAUminは、大気圧が低いほど短くなる。ECU40は、それら両者の関係を記憶しており、上記ステップ110では、その関係に従って、大気補正係数を算出する。
ECU40は、次に、上記ステップ106で算出した基本燃料噴射時間TAUminに、上記ステップ110で算出した大気補正係数を掛け合わせることにより、初爆気筒に対する最終的な燃料噴射時間TAUを算出する(ステップ112)。
以上の処理が終わると、ECU40は、始動許可のフラグ処理を行う(ステップ114)。上記ステップ100〜114の処理は、内燃機関10の停止中、繰り返し実行される。内燃機関10の再始動要求が生ずると、その時点で算出されている燃料噴射時間TAUにより始動処理が行われる。
以上の処理によれば、内燃機関10の再始動が要求された際に、初爆気筒のピストン停止位置と冷却水温THWとに基づいて、自着火を生じさせない最小の燃料噴射量を算出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、再始動時の自着火を有効に防止しつつ、優れた燃費特性を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態1では、ピストン停止位置と冷却水温THWとに基づいて、先ず、圧縮前筒内ガス温度を算出し、算出した圧縮前筒内ガス温度に基づいて基本燃料噴射量TAUBを算出することとしているが、基本燃料噴射量TAUBの算出手順はこれに限定されるものではない。例えば、ピストン停止位置と、冷却水温THWと、基本燃料噴射量TAUBとの間に成立する関係を予め定めておき、ピストン停止位置と冷却水温THWとに基づいて、基本燃料噴射量TAUBを直接算出することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、内燃機関10が、可変動弁機構20を備えているが、内燃機関10の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、吸気弁18の駆動機構は、閉弁タイミングを変化させることのできないが機構であってもよい。
また、上述した実施の形態1では、内燃機関10が、エコラン車両やハイブリッド車両に搭載されており、自動停止、自動再始動を繰り返すことを前提としているが、本発明は、このような前提に限定されるものではない。すなわち、始動時のピストン停止位置及び冷却水温THWから、自着火を生じさせない最小の燃料噴射量を設定する処理は、自動停止や自動再始動が生じない通常の内燃機関を対象として行うこととしてもよい。この点は、
以下に説明する他の実施形態についても同様である。
また、上述した実施の形態1では、内燃機関10の停止時に、可変動弁機構20が、吸気弁18の閉弁タイミングを所定の始動タイミングに戻すこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、内燃機関10の停止時における吸気弁18の閉弁タイミング、つまり、内燃機関10の再始動時における閉弁タイミングは、常に一定でなくてもよい。
圧縮端における筒内ガス温度は、主として、圧縮前筒内ガス温度と、実圧縮比εとによって決定される。他方、初爆気筒の実圧縮比εは、吸気弁18の閉弁タイミングに応じて変化する。このため、吸気弁18の閉弁タイミングが変わると、圧縮前筒内ガス温度が同じであっても、圧縮端における筒内ガス温度は異なった温度となる。
図4に示す関係は、再始動時の実圧縮比εが常に一定であり、圧縮前筒内ガス温度が決まると圧縮端の筒内ガス温度が一義的に決まる場合に成立する関係である。換言すると、図4に示す関係は、実圧縮比εが変動する場合には、異なる実圧縮比のそれぞれについて定めることのできる関係である。内燃機関10の再始動時に、吸気弁18の閉弁タイミングが一定とならない場合には、複数の実圧縮比ε(閉弁タイミング)について、図4に示すのと同様の関係を定めておくことが必要である。そのうえで、再始動時における実圧縮比εと圧縮前筒内ガス温度を、それらの関係に照らし合わせることとすれば、実施の形態1の場合と同様に、自着火を生じさせない最小の燃料噴射量を設定することが可能である。
尚、上述した実施の形態1においては、クランク角センサ34が前記第1の発明における「停止位置検出手段」に、水温センサ36が前記第1の発明における「シリンダ温度検出手段」に、それぞれ対応している。また、ECU40が、図3に示す関係及び図4に示す関係を記憶することにより前記第1の発明における「限界噴射量規則記憶手段」が実現されている。また、ECU40が、ステップ102〜106の処理を実行することにより前記第1の発明における「限界噴射量算出手段」が実現されている。更に、ECU40が、ステップ112で算出された燃料噴射量で再始動時の噴射を行うことにより前記第1の発明における「噴射量制御手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、可変動弁機構20が内蔵する位置センサが、前記第2の発明における閉弁タイミング検出手段に対応している。また、ECU40に、図3に示す関係と共に、複数の実圧縮比(吸気弁の閉弁タイミング)のそれぞれについて定められた図4に示すのと同様の関係を記憶させることにより前記第2の発明における「限界噴射量記憶手段」を実現することができる。更に、ECU40に、ステップ106において、圧縮前筒内ガス温度と吸気弁18の閉弁タイミングとを図4に示すのと同様の複数の関係に当てはめさせて基本燃料噴射時間TAUBを算出させることにより、前記第2の発明における「限界噴射量算出手段」を実現することができる。
また、上述した実施の形態1においては、図3に示す関係が前記第3の発明における「圧縮前温度規則」に、図4に示す関係が前記第3の発明における「噴射量換算規則」に、それぞれ対応している。また、ECU40が、ステップ104の処理を実行することにより前記第3の発明における「圧縮前筒内ガス温度を算出する手段」が、ステップ106の処理を実行することにより前記第3の発明における「限界燃料噴射量を算出する手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、ステップ102において、クランク角に基づいて初爆気筒を特定することにより前記第4の発明における「初爆気筒検知手段」が実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の構成]
次に、図6乃至図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、図1に示すシステム構成において、ECU40に、後述する図9に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。但し、本実施形態において、吸気弁18の可変動弁機構20は、電動式、或いは畜圧式であり、内燃機関10の停止中に作動すること、つまり、内燃機関10の始動前に作動することができるものとする。
[実施の形態2の特徴]
上述した実施の形態1のシステムは、内燃機関10の始動時に、燃料噴射量を、既定の実圧縮比εの下で自着火の生じない最小量に制御することとしている。この場合、初爆時の空燃比自体は、目標空燃比に対してリッチ化した値となることがある。このような場合に、初爆に先だって実圧縮比εを低下させれば、自着火の生じない最小の燃料噴射量を、より少なくして、空燃比のリッチ化を抑制することができる。換言すると、初爆時の実圧縮比εを適正値まで下げれば、目標空燃比を維持したままで自着火の発生を防ぐことが可能である。
内燃機関10の燃費特性を改善するためには、始動時の燃料噴射量が少ないことが望ましい。そこで、本実施形態では、上述した原理に従い、内燃機関10の始動時に、燃料噴射量を目標空燃比に対応する値に制御しつつ、実圧縮比εが、その燃料噴射量の下で自着火を生じさせない最高の値となるように、吸気弁18の閉弁タイミングを制御することとした。
[実施の形態2の制御原理]
図6は、実圧縮比εと圧縮前筒内ガス温度の2つをパラメータとして、目標空燃比の下で自着火燃焼が生ずる領域と、点火燃焼が生ずる領域とを示した図である。また、それら2つの領域の境界に描かれた破線は、目標空燃比の下で、筒内の圧縮端温度が、自着火発生温度に達する条件(実圧縮比εと圧縮前筒内ガス温度の組み合わせ)の集合を表している。
図6に示す関係は、内燃機関10について、実験的に、或いはシミュレーションにより特定することが可能である。他方、実施の形態1について説明した通り、内燃機関10の始動時には、ピストン停止位置と冷却水温THWとに基づいて圧縮前筒内ガス温度を推定することができる(図3参照)。そして、図6に示す関係に、始動時の圧縮前筒内ガス温度を当てはめれば、自着火を生じさせない実圧縮比εの上限値(以下、「上限実圧縮比εmax」と称す)を検知することが可能である。
つまり、内燃機関10においては、始動要求が生じた際に、停止時ピストン位置と冷却水温THWとに基づいて圧縮前筒内ガス温度を推定し(図3参照)、更に、その推定温度に基づいて、上限実圧縮比εmaxを算出する(図6参照)ことが可能である。ここで、圧縮前筒内ガス温度と上限実圧縮比εmaxとは1対1に対応しているため、図3に示す縦軸は、上限実圧縮比εmaxに換算することが可能である。そして、図3に示す縦軸を上限実圧縮比εmaxに換算すると、ピストン停止位置と冷却水温THWとの組み合わせと、上限実圧縮比εmaxとの間に成立する関係を特定することができる。
図7は、上記の関係を整理することで作成した上限実圧縮比マップの一例を示す。本実施形態において、ECU40は、図7に示すように、ピストン停止位置と冷却水温THWとをパラメータとして上限実圧縮比εmaxを定めた上限実圧縮比マップを記憶している。このため、ECU40は、内燃機関10の始動時に、そのマップを参照することにより、ピストン停止位置と冷却水温THWから、目標空燃比の下で自着火を生じさせない上限の実圧縮比εmaxを直接算出することができる。
図8は、吸気弁18の閉弁タイミング(吸気下死点後のクランク角)と、初爆気筒の実圧縮比εとの間に成立する関係を示す。図8に示すように、初爆気筒の実圧縮比εは、吸気弁18の閉弁タイミングによって一義的に決定される。ECU40は、図8に示す関係を記憶している。このため、ECU40は、上限実圧縮比εmaxが判ると、その圧縮比εmaxを実現する閉弁タイミングを特定することができる。
本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動要求が生じた際に、始動に先立って、吸気弁18の閉弁タイミングを、上限実圧縮比εmaxを実現するタイミングに制御する。その後、目標空燃比を実現する燃料噴射量で内燃機関10を始動させる。このような処理によれば、初爆気筒では、目標空燃比に制御された混合ガスの点火燃焼が生じ、最も少ない燃料量で、理想的な初爆を得ることができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図9は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。図9において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、共通する符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図9に示すルーチンでは、ステップ102において、ピストン停止位置と冷却水温THWとが読み込まれた後、それらが、上限実圧縮比マップ(図7参照)に当てはめられる(ステップ120)。その結果、現在の状況下で、目標空燃比の下、自着火を生じさせない上限の実圧縮比εmaxが算出される。
次に、上限実圧縮比εmaxを図8に示すマップに当てはめることにより、その空燃比εmaxを実現する吸気弁18の閉弁タイミングが算出される(ステップ122)。続いて、そのタイミングがセットされるように、可変動弁機構20が制御される(ステップ124)。
閉弁タイミングのセットが終わるまでは、ステップ100〜124の処理が繰り返し実行される(ステップ126)。そして、そのセットが終わると、吸気弁18の閉弁タイミングと、大気圧とが読み込まれる(ステップ128)。
ECU40は、次に、吸気量マップを参照して、初爆ガス量を算出する(ステップ130)。図10は、ECU40が記憶している吸気量マップを示す。内燃機関10において、初爆に用いられる初爆ガス量は、主として、吸気弁18の閉弁タイミングによって決定される。図10は、それら両者の間に、標準気圧の下で成立する関係をマップ化したものである。本ステップ130では、このマップに従って初爆に付される空気量が算出される。
ECU40は、次に、初爆ガス量に対して目標空燃比を実願する基本燃料噴射時間TAUBを算出する(ステップ132)。以後、大気圧補正により最終的な燃料噴射時間TAUが算出されると、内燃機関10の始動が許可される(ステップ110〜114)。
以上の処理によれば、初爆気筒の燃焼ガスを目標空燃比に制御しつつ、その気筒において点火燃焼による初爆を生じさせることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、理想的なエミッション特性並びに燃費特性を実現しつつ、円滑に内燃機関10を再始動させることができる。
ところで、上述した実施の形態2では、ピストン停止位置と冷却水温THWとに基づいて、上限実圧縮比εmaxを直接定める上限実圧縮比マップを用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ピストン停止位置と冷却水温THWとに基づいて圧縮前筒内ガス温度を定めるマップ(図3参照)と、圧縮前筒内ガス温度から上限実圧縮比εmaxを定めるマップ(図6参照)の両方をECU40に記憶させ、圧縮前筒内ガス温度を経由して上限実圧縮比εmaxを求めることとしてもよい。この点は、以下に説明する実施の形態3についても同様である。
また、上述した実施の形態2では、上限実圧縮比εmaxを求めた後で、図8に示すマップを参照して、εmaxに対応する閉弁タイミングを算出することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図8に示す関係は単なる換算であるため、この関係を図7(又は図6)に示す関係に組み込んで、ピストン停止位置及び冷却水温THWから(又は圧縮前筒内ガス温度から)、上限実圧縮比εmaxを実願する吸気弁18の閉弁タイミングを直接算出することとしてもよい。この点は、以下に説明する実施の形態3についても同様である。
尚、上述した実施の形態2においては、ECU40が、ステップ130及び132の処理を実行することにより前記第5の発明における「目標燃料噴射量算出手段」が実現されている。また、クランク角センサ34が前記第5の発明における「停止位置検出手段」に、水温センサ36が前記第5の発明における「シリンダ温度検出手段」に、それぞれ対応している。また、ECU40が、図7に示す上限実圧縮比マップ及び図8に示す吸気弁閉弁タイミングマップを記憶することにより前記第5の発明における「限界タイミング規則記憶手段」が実現されている。また、ECU40が、ステップ120及び122の処理を実行することにより前記第5の発明における「限界タイミング算出手段」が、ステップ124の処理を実行することにより前記第5の発明における「可変動弁機構制御手段」が、それぞれ実現されている。更に、ECU40が、内燃機関10の再始動時に、燃料噴射時間TAUを、ステップ112で算出された時間に制御することにより前記第5の発明における「噴射量制御手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態2では、図7に示す上限実圧縮比マップが前記第6の発明における「限界実圧縮比規則」に、図8に示す閉弁タイミングマップが前記第6の発明における「閉弁タイミング換算規則」に、それぞれ相当している。また、ECU40が、ステップ120の処理を実行することにより前記第6の発明における「限界実圧縮比を算出する手段」が、ステップ122の処理を実行することにより前記第6の発明における「限界閉弁タイミングを算出する手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態2においては、ECU40が、ステップ102において、クランク角に基づいて初爆気筒を特定することにより前記第8の発明における「初爆気筒検知手段」が実現されている。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図11乃至図13を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態のシステムは、上述した実施の形態2のシステムにおいて、ECU40に、図9に示すルーチンに代えて、後述する図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態2のシステムは、内燃機関10の始動時に、目標空燃比を維持したまま、吸気弁18の閉弁タイミングを動かすことにより自着火の発生を防止する。この手法は、再始動時のエミッション特性並び燃費特性を改善するうえで極めて有効である。しかしながら、上記の手法によれば、必然的に、初爆ガス量にバラツキが生ずることになる。内燃機関10の出力トルクは、筒内で燃焼するガス量により変化するため、初爆ガス量が変化すれば、初爆時の出力トルクにもバラツキが生ずることになる。
ところで、内燃機関10の出力トルクは、実圧縮比点火時期により増減させることができる。図11は、内燃機関10の出力トルクが、筒内の充填効率(実圧縮比)と、点火時期とに応じて、それぞれ変化する様子を表したものである。内燃機関10の出力トルクが、このように、充填効率(実圧縮比)と点火時期の双方に影響を受けるため、吸気弁18の閉弁タイミングの変化に合わせて点火時期を適切に制御すれば、初爆ガス量の変動に伴うトルク変化を相殺して、初爆時の出力トルクを安定化させることが可能である。
[実施の形態3の具体的処理]
図12は、本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。図12に示すルーチンは、ステップ112と114の間に、ステップ140〜144が挿入されている点を除き、図9に示すルーチンと同様である。以下、図12において、図9に示すステップと同一のステップについては、共通する符号を付してその説明を省略又は簡略する。
すなわち、図12に示すルーチンでは、ステップ112において目標空燃比を実現する燃料噴射時間TAUが算出された後、先ず、点火時期マップが参照される(ステップ140)。点火時期マップは、内燃機関10の運転状態に基づいて、基本の点火時期を定めるためのマップである。ここでは、そのマップに従って、基本の点火時期が設定される。
次に、初爆気筒における吸気弁18の閉弁タイミング、つまり、ステップ122で算出された吸気閉じタイミングが読み込まれる(ステップ142)。次いで、その閉弁タイミングに基づいて、初爆気筒の点火時期が決定される(ステップ144)。
図13は、補正点火時期マップの一例を示す。補正点火時期マップには、吸気弁18の閉弁タイミングと、初爆トルクを一定とするために点火時期に施すべき補正量との関係が定められている。ECU40は、このマップを記憶しており、上記ステップ144では、先ず、そのマップに従って点火時期の補正量が算出される。そして、上記ステップ140において設定した基本の点火時期に、その補正量を加えることにより、初爆気筒の点火時期を設定する。
以後、ECU40は、ステップ114の処理を経て今回の処理サイクルを終了させる。以上の処理によれば、吸気弁18の閉弁タイミングを適宜設定することにより、目標空燃比を維持したまま自着火の発生を防止し、更に、点火時期を適切に補正することにより、初爆トルクのバラツキを抑えることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、エミッション特性、及び燃費特性に加えて、ドライバビリティをも良好に維持したまま、内燃機関10を円滑に再始動させることができる。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU40が、図13に示すマップを記憶していることにより前記第7の発明における「点火時期規則記憶手段」が実現されている。また、ECU40が、ステップ142の処理を実行することにより前記第7の発明における「始動時点火時期算出手段」が実現されている。更に、ECU40が、ステップ144の処理で設定された点火時期を用いて初爆気筒の点火制御を行うことにより前記第7の発明における「点火時期制御手段」が実現されている。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 吸気上死点後のクランク角と、吸気下死点までに筒内に吸入される新気の量(吸気容積)との関係を示す図である。 ピストンの停止位置と圧縮前筒内ガス温度との関係を、冷却水温THWをパラメータとして示した図である。 始動時の実圧縮比εの下で自着火燃焼が生ずる領域と、点火燃焼が生ずる領域とを、初爆気筒に対する燃料噴射時間TAUと、圧縮前筒内ガス温度の2要素で表した図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 実圧縮比εと圧縮前筒内ガス温度の2つをパラメータとして、目標空燃比の下で自着火燃焼が生ずる領域と、点火燃焼が生ずる領域とを示した図である。 本発明の実施の形態2で用いられる上限実圧縮比マップの一例を示す。 吸気弁の閉弁タイミングと、初爆気筒の実圧縮比εとの間に成立する関係を示す。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2で用いられる吸気量マップの一例を示す。 内燃機関の出力トルクが、筒内の充填効率(実圧縮比)と、点火時期とに応じて、それぞれ変化する様子を表したものである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3で用いられる補正点火時期マップの一例を示す。
符号の説明
10 内燃機関
18 吸気弁
20 可変動弁機構
34 クランク角センサ
36 水温センサ
40 ECU(Electronic Control Unit)

Claims (8)

  1. ピストン停止位置を検出する停止位置検出手段と、
    シリンダ温度を検出するシリンダ温度検出手段と、
    ピストン停止位置及びシリンダ温度と、再始動時に自着火燃焼を生じさせない限界燃料噴射量との間に成立する限界噴射量規則を記憶する限界噴射量規則記憶手段と、
    前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記限界噴射量規則に当てはめて、前記限界燃料噴射量を算出する限界噴射量算出手段と、
    再始動時の燃料噴射量を、前記限界燃料噴射量の算出値に対応する噴射量に制御する噴射量制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
  2. 吸気弁の閉弁タイミングを変化させる可変動弁機構と、
    吸気弁の閉弁タイミングを検出する閉弁タイミング検出手段と、を備え、
    前記限界噴射量記憶手段は、吸気弁の複数の閉弁タイミングのそれぞれの下で成立する複数の限界噴射量規則を記憶しており、
    前記限界噴射量算出手段は、前記ピストン停止位置の検出値、前記シリンダ温度の検出値、及び前記閉弁タイミングの検出値を、前記複数の限界噴射量規則に当てはめることにより、前記限界燃料噴射量を算出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の始動制御装置。
  3. 前記限界噴射量規則は、
    前記ピストン停止位置及び前記シリンダ温度と、圧縮が開始される直前の筒内ガス温度である圧縮前筒内ガス温度との間に成立する圧縮前温度規則と、
    前記圧縮前筒内ガス温度と前記限界燃料噴射量との間に成立する噴射量換算規則と、を含み、
    前記限界噴射量算出手段は、
    前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記圧縮前温度規則に当てはめて、再始動時の圧縮前筒内ガス温度を算出する手段と、
    当該圧縮前筒内ガス温度の算出値を前記噴射量換算規則に当てはめて、前記限界燃料噴射量を算出する手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の始動制御装置。
  4. 複数の気筒を有する内燃機関の始動制御装置であって、
    内燃機関の再始動時に、前記複数の気筒の中で、最初に点火燃焼を生じさせることのできる初爆気筒を検知する初爆気筒検知手段を備え、
    前記限界噴射量算出手段は、前記初爆気筒のピストン停止位置に基づいて前記限界燃料噴射量を算出し、
    前記噴射量制御手段は、内燃機関の再始動時に、前記初爆気筒に対する最初の燃料噴射の際に、燃料噴射量を、前記限界燃料噴射量の算出値に対応する噴射量に制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の始動制御装置。
  5. 内燃機関の再始動に先立って、吸気弁の閉弁タイミングを変化させることのできる可変動弁機構と、
    内燃機関の再始動時に、吸気弁の閉弁タイミングに基づいて、目標空燃比を実現する目標燃料噴射量を算出する目標燃料噴射量算出手段と、
    ピストン停止位置を検出する停止位置検出手段と、
    シリンダ温度を検出するシリンダ温度検出手段と、
    ピストン停止位置及びシリンダ温度と、前記目標空燃比の下での再始動時に自着火燃焼を生じさせない吸気弁の限界閉弁タイミングとの間に成立する限界タイミング規則を記憶する限界タイミング規則記憶手段と、
    前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記限界タイミング規則に当てはめて、前記限界閉弁タイミングを算出する限界タイミング算出手段と、
    内燃機関の再始動に先だって、吸気弁の閉弁タイミングが前記限界閉弁タイミングの算出値と一致するように前記可変動弁機構を制御する可変動弁機構制御手段と、
    内燃機関の再始動時に、燃料噴射量を前記目標燃料噴射量に制御する噴射量制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
  6. 前記限界タイミング規則は、
    前記ピストン停止位置及び前記シリンダ温度と、前記目標空燃比の下での再始動時に自着火燃焼を生じさせない限界実圧縮比との間に成立する限界実圧縮比規則と、
    実圧縮比と吸気弁の閉弁タイミングとの間に成立する閉弁タイミング換算規則と、を含み、
    前記限界タイミング算出手段は、
    前記ピストン停止位置の検出値及び前記シリンダ温度の検出値を前記限界実圧縮比規則に当てはめて、再始動時における前記限界実圧縮比を算出する手段と、
    当該限界実圧縮比の算出値を前記閉弁タイミング換算規則に当てはめて、前記限界閉弁タイミングを算出する手段と、を備えることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の始動制御装置。
  7. 再始動時の吸気弁の閉弁タイミングと、当該閉弁タイミング及び前記目標空燃比の下での再始動時に所定トルクを発生させるための点火時期との間に成立する点火時期規則を記憶する点火時期規則記憶手段と、
    前記限界閉弁タイミングの算出値を前記点火時期規則に当てはめて始動時点火時期を算出する始動時点火時期算出手段と、
    内燃機関の再始動時における点火時期を、前記始動時点火時期に制御する点火時期制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項5又は6記載の内燃機関の始動制御装置。
  8. 複数の気筒を有する内燃機関の始動制御装置であって、
    内燃機関の再始動時に、前記複数の気筒の中で、最初に点火燃焼を生じさせることのできる初爆気筒を検知する初爆気筒検知手段を備え、
    前記限界タイミング算出手段は、前記初爆気筒のピストン停止位置に基づいて前記限界閉弁タイミングを算出し、
    前記可変動弁機構制御手段は、内燃機関の再始動に先だって、前記書爆気筒の吸気弁の閉弁タイミングが前記限界閉弁タイミングの算出値と一致するように前記可変動弁機構を制御し、
    前記噴射量制御手段は、内燃機関の再始動時に、前記初爆気筒に対する最初の燃料噴射の際に、燃料噴射量を、前記目標燃料噴射量に制御することを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項記載の内燃機関の始動制御装置。
JP2008192593A 2008-07-25 2008-07-25 内燃機関の始動制御装置 Expired - Fee Related JP4998400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008192593A JP4998400B2 (ja) 2008-07-25 2008-07-25 内燃機関の始動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008192593A JP4998400B2 (ja) 2008-07-25 2008-07-25 内燃機関の始動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010031693A true JP2010031693A (ja) 2010-02-12
JP4998400B2 JP4998400B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=41736465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008192593A Expired - Fee Related JP4998400B2 (ja) 2008-07-25 2008-07-25 内燃機関の始動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4998400B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110303177A1 (en) * 2010-06-10 2011-12-15 Mitsubishi Electric Corporation Internal combustion engine control system
JP2011256768A (ja) * 2010-06-08 2011-12-22 Honda Motor Co Ltd エンジン始動制御装置
WO2014122823A1 (ja) * 2013-02-07 2014-08-14 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
WO2018051852A1 (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 日立オートモティブシステムズ株式会社 可変動弁装置及び可変動弁装置のコントローラ
JP2019148233A (ja) * 2018-02-27 2019-09-05 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173488A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Mitsubishi Motors Corp 筒内噴射型内燃機関の始動装置
JP2001271671A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Osaka Gas Co Ltd 予混合圧縮自着火エンジンの起動運転方法
JP2005048718A (ja) * 2003-07-31 2005-02-24 Toyota Motor Corp 内燃機関の始動制御装置
JP2005127169A (ja) * 2003-10-22 2005-05-19 Hitachi Ltd 内燃機関の制御方法
JP2005337110A (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Denso Corp 内燃機関
JP2007100692A (ja) * 2005-09-09 2007-04-19 Honda Motor Co Ltd 2サイクルエンジン
JP2008019756A (ja) * 2006-07-12 2008-01-31 Hitachi Ltd 内燃機関の可変動弁装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173488A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Mitsubishi Motors Corp 筒内噴射型内燃機関の始動装置
JP2001271671A (ja) * 2000-03-27 2001-10-05 Osaka Gas Co Ltd 予混合圧縮自着火エンジンの起動運転方法
JP2005048718A (ja) * 2003-07-31 2005-02-24 Toyota Motor Corp 内燃機関の始動制御装置
JP2005127169A (ja) * 2003-10-22 2005-05-19 Hitachi Ltd 内燃機関の制御方法
JP2005337110A (ja) * 2004-05-27 2005-12-08 Denso Corp 内燃機関
JP2007100692A (ja) * 2005-09-09 2007-04-19 Honda Motor Co Ltd 2サイクルエンジン
JP2008019756A (ja) * 2006-07-12 2008-01-31 Hitachi Ltd 内燃機関の可変動弁装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011256768A (ja) * 2010-06-08 2011-12-22 Honda Motor Co Ltd エンジン始動制御装置
US20110303177A1 (en) * 2010-06-10 2011-12-15 Mitsubishi Electric Corporation Internal combustion engine control system
US8301361B2 (en) * 2010-06-10 2012-10-30 Mitsubishi Electric Corporation Internal combustion engine control system
WO2014122823A1 (ja) * 2013-02-07 2014-08-14 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置
JP2014152692A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
WO2018051852A1 (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 日立オートモティブシステムズ株式会社 可変動弁装置及び可変動弁装置のコントローラ
JP2019148233A (ja) * 2018-02-27 2019-09-05 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置
JP7013090B2 (ja) 2018-02-27 2022-01-31 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4998400B2 (ja) 2012-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105275624B (zh) 选择性汽缸停用的系统和方法
US9382857B2 (en) Post fuel injection of gaseous fuel to reduce exhaust emissions
US8109092B2 (en) Methods and systems for engine control
US9394842B2 (en) Method for improving engine starting
JP4434241B2 (ja) 内燃機関の停止始動制御装置
JP5854126B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US8439002B2 (en) Methods and systems for engine control
JP2008069785A (ja) エンジン・システム及びエンジンの制御方法
US9382856B2 (en) System for fuel injection control in an internal combustion engine
RU2683292C1 (ru) Управление работой двигателя при холодном пуске
US20180363572A1 (en) System and method for reducing variable compression ratio engine shutdown shake
US10156201B2 (en) Methods and systems for dual fuel injection
US9650972B2 (en) Control device for an internal combustion engine
CN108625996B (zh) 用于发动机控制的方法和系统
JP4998400B2 (ja) 内燃機関の始動制御装置
US10107219B2 (en) Method and system for engine cold-start
JP2010209728A (ja) 筒内直接噴射式エンジンの制御装置
JP2020033963A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5098985B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US10550783B2 (en) Method and system for engine cold-start
JP4706424B2 (ja) 圧縮自着火式内燃機関の制御装置
JP2009216035A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4692204B2 (ja) 圧縮自着火式内燃機関の制御装置
US11739708B2 (en) Methods for transient fuel control compensation
JP4534968B2 (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120417

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120430

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4998400

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees