JP4706424B2 - 圧縮自着火式内燃機関の制御装置 - Google Patents

圧縮自着火式内燃機関の制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えばVVT(Variable Valve Timing)など可変動弁機構を有する圧縮自着火式内燃機関を制御するための、圧縮自着火式内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
この種の技術分野において、燃料の噴射時期を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたエンジンの燃焼制御方法とその装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、各気筒における燃料の着火時期を推定し、この推定値を基に、各気筒における噴射時期を補正することによって、燃焼のバラツキを減少させることが可能であるとされている。
尚、可変動弁機構によって筒内圧が高く制御される場合の噴射時期を、筒内圧が低く制御される場合の噴射時期に対して遅角させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
尚、運転状態に応じて弁開閉タイミングを操作して、圧縮圧力を制御する技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
尚、多気筒内燃機関の少なくとも一つの気筒の着火時期が目標とずれている場合、全気筒の吸気閉弁時期を変化させる技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
尚、従来の技術に類するものとして、推定着火時期が目標着火時期になるように噴射時期を制御する技術も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2002−221071号公報 特開2003−83141号公報 特開平11−257108号公報 特開2005−2803号公報 特開平11−125141号公報
圧縮自着火式内燃機関における燃料の着火時期は、車両の快適性維持の観点からリアルタイムに制御される必要がある。然るに、圧縮自着火式内燃機関では、着火時期に対する感度が相対的に低い噴射時期の領域があり、このような領域では、燃料の着火時期をリアルタイムに制御することが困難である。即ち、従来の技術には、車両の快適性が損なわれかねないという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、快適性を維持し得る圧縮自着火式内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る圧縮自着火式内燃機関の制御装置(以下、適宜「制御装置」と称する)は、燃料を噴射する噴射手段を備え且つ少なくとも吸気弁の閉弁時期が可変な圧縮自着火式内燃機関を制御するための圧縮自着火式内燃機関の制御装置であって、前記噴射される燃料の目標着火時期を特定する目標着火時期特定手段と、前記噴射される燃料の実着火時期を特定する実着火時期特定手段と、前記目標着火時期を規定する値と前記実着火時期を規定する値との差分を算出する差分算出手段と、前記実着火時期に対応する前記燃料の噴射時期を規定する値の基準値を取得する基準値取得手段と、前記実着火時期に対応する噴射時期を規定する値と、前記取得された基準値との相対比較に基づいて、(i)前記実着火時期が前記目標着火時期となるように前記差分に応じて前記吸気弁の閉弁時期を制御する第1制御及び(ii)前記実着火時期が前記目標着火時期となるように前記差分に応じて前記燃料の噴射時期を制御する第2制御のうち少なくとも一方を選択する選択手段と、前記選択された少なくとも一方を実行することによって前記実着火時期を制御する実着火時期制御手段とを具備し、前記選択手段は、前記実着火時期に対応する噴射時期が前記取得された基準値に対応する基準時期よりも早い場合には少なくとも前記第1制御が含まれるように、また前記実着火時期に対応する噴射時期が前記基準時期よりも遅い場合には少なくとも前記第2制御が含まれるように、前記少なくとも一方を選択することを特徴とする。
本発明に係る「圧縮自着火式内燃機関」とは、燃料を自着火させることによって得られる爆発力を動力に変換する機関を包括する概念であり、典型的には車両用のディーゼルエンジンを指す。更に、本発明に係る圧縮自着火式内燃機関は、燃料噴射手段を備えると共に、少なくとも吸気弁の閉弁時期が可変に構成される。
ここで、燃料噴射手段とは、圧縮自着火式内燃機関に備わる気筒内に燃料を噴射する手段を包括する概念であり、例えば、インジェクタなどを指す。この場合、インジェクタは、例えば、圧電素子(例えば、ピエゾ素子)などの圧電現象を利用して、気筒内に燃料を噴射する態様を有していてもよい。
一方、「少なくとも吸気弁の閉弁時期が可変な」とは、圧縮自着火式内燃機関に、少なくとも吸気弁の閉弁時期を可変に制御し得る機構、装置又はシステムなどが備わることを指す。このような機構、装置又はシステムとは、例えば、VVT或いはそれに準じる機構、装置或いはシステムであってもよい。尚、吸気弁の閉弁時期が可変である限りにおいて、例えば、吸気弁の開弁時期が可変であってもよい(即ち、吸気バルブタイミングが可変であってもよい)。更には、排気弁のバルブタイミングが可変に構成されていてもよい。この場合、例えば、EX(Exhaust)−VVTと称されるような機構、装置或いはシステムによって係る排気弁のバルブタイミングが可変に構成されてもよい。更に、このようなバルブタイミングのみならず、バルブリフト量が可変に構成されていてもよい。
尚、本発明における「時期」とは、広い意味では時刻の概念に属するが、係る時期を表すものは絶対的な時刻でなくともよく、例えば、ある規準となる時刻(或いはタイミング)からの経過時間であってもよい。更には、圧縮自着火式内燃機関における何らかの状態量であってもよい。このような状態量としては、例えばクランク角が好適である。この場合、クランク角は、例えば、TDC(Top Death Center:上死点)におけるクランク角(即ち、ゼロ度)を基準時刻又は基準タイミングとする、CA ATDC(Crank Angle After TDC:上死点後クランク角)として表されてもよい。例えば、CA ATDCが180度(―180度)の位置とは、BDC(Bottom Death Center:下死点)を指す。従って、例えば、「吸気弁の閉弁時期が可変」とは、吸気弁を閉弁すべきクランク角を任意に制御可能であることを含むものである。
尚、TDCから任意のクランク角に到達するまでの時間は、機関回転数(即ち、単位時間当たりの回転数)に応じて必然的に変化する。従って、正確には、クランク角によって表されるのは、あくまで位置概念であって時刻概念とは異なるが、クランク角を指定することによって結果的には実時間軸上でその事象に対応する点を指し示しているのであり、このようなクランク角或いはその他の状態量に基づいて本発明に係る「時期」が表されても何ら問題は生じない。一方で、クランク角のように、吸気弁又は排気弁の開閉時期に限らず圧縮自着火式内燃機関における各部の動作時期を包括的に規定し得る状態量によって本発明に係る時期が表される場合、圧縮自着火式内燃機関の各部を協調的に制御することが可能である。
本発明に係る圧縮自着火式内燃機関(以下、適宜「内燃機関」と称する)の制御装置によれば、その動作時には、目標着火時期特定手段によって、噴射される燃料の目標着火時期が特定される。
ここで、「目標着火時期」とは、制御目標としての着火時期である。例えば、内燃機関において着火時期が早過ぎる場合(過早着火)、過度な振動及び燃焼騒音が発生し易く快適性は著しく損なわれ易い。また、着火時期が遅過ぎる場合、失火が発生し易く、それに伴って快適性が損なわれ易い。従って、目標着火時期とは、このように車両における快適性が損なわれることがない、或いは相対的にみて快適性を担保し得る着火時期であり、好適には、内燃機関の機関回転数及び燃料噴射量などの各種状態量に基づいて予め設定されている。
このように予め設定される場合には、目標着火時期は、例えば、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)などに備わるROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体に保持される2次元又は多次元的なマップに、これら状態量に対応付けられて記憶されていてもよい。この場合、目標着火時期特定手段は、係るマップから、その時点における状態量に対応する値を読み出すことによって、目標着火時期を特定してもよい。尚、目標着火時期特定手段は、その都度何らかのアルゴリズム或いはアプリケーションプログラムに従って目標着火時期を特定してもよい。尚、目標着火時期は、このような快適性を担保し得るものとして予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて設定されていてもよい。
一方、実際に燃料が着火する時期、即ち、実着火時期は、実着火時期特定手段により特定される。ここで、「特定」とは、噴射された燃料が着火したことによって生じる物理的、機械的、電気的或いは化学的な状態量の変化を直接的又は間接的に検出することの他に、予め実着火時期と相関するものとして設定された各種状態量をパラメータとして実着火時期算出モデルなどの数値演算的なシミュレーションシステムに代入することによって、近未来的な或いはリアルタイムな実着火時期を推定、予測又は決定する態様を含む概念である。
例えば、実着火時期を直接的又は間接的に物理現象として検出する場合、気筒内の圧力を検出する手段(例えば、筒内圧センサなど)によって得られる筒内圧、クランク角などに対応付けて得られる気筒内容積及び比熱比などから得られる仕事量を監視し、係る仕事量が所定の閾値を超えたことをもって着火したことが検出されてもよい。また、シミュレーションに基づいて実着火時期を推定するような場合には、機関回転数、噴射量、水温、吸気ガス温、吸気ガス圧、レール圧、噴射時期、吸気酸素濃度及び排気温などがパラメータとして与えられてもよい。
このようにして、目標着火時期及び実着火時期が特定されると、差分算出手段によって両者を規定する値同士の差分が算出される。ここで、目標着火時期或いは実着火時期を規定する値とは、例えば、これら時期がクランク角などの状態量によって表される場合には、これら状態量の値を指す。即ち、好適にはクランク角の値を指す。
実着火時期が目標着火時期と相互に一致している或いは一致しているとみなし得る程度しか乖離していない場合には比較的快適性が担保され易い。然るに、これらの差分が無視し得ない程度に大きい場合には、快適性担保の観点から実着火時期を目標着火時期に漸近させる必要が生じる。このような実着火時期の制御は、実着火時期制御手段によって実行される。
実着火時期を制御する手法の一つとして、燃料の噴射時期制御が挙げられる。例えば、燃料の噴射時期が概ね上死点近傍の領域で制御されている場合には、燃料の噴射時期と実着火時期とは概ねリニアな関係を維持し得るため、例えば、燃料の噴射時期を遅らせれば、実着火時期も相応に遅れることになり、実着火時期は問題なく制御され得る。
ここで特に、圧縮自着火式内燃機関では、燃料が噴射されてから着火するまでの期間において、噴射される燃料と吸気系などから吸入される吸入ガスとが十分に混合されない場合がある。この場合、気筒内の燃焼形態は、拡散燃焼が支配的となり、煤、黒鉛又は窒素酸化物が比較的多く排出され易い。従って、好ましくは、噴射時期から実着火時期までの期間に、燃料と吸入空気とは十分に混合される必要がある。このように燃料と吸入空気とを十分に混合する期間、即ち、予混合期間を担保し、気筒内の燃焼形態を、拡散燃焼からHCCI(Homogeneous-Charge Compression-Ignition combustion)燃焼と呼ばれる予混合圧縮自己着火燃焼に制御する場合、燃料の噴射時期を比較的早める必要がある。ところが、燃料の噴射時期が相対的に早い領域では、噴射時期の実着火時期に対する感度が低くなり易く、このように感度の低い領域では、噴射時期を変化させても実着火時期がリニアに変化しない。即ち、HCCI燃焼などを行うために噴射時期を早め、予混合期間を担保しようとすると、実着火時期が制御し難くなるという問題点が生じ得る。
そこで、本発明に係る制御装置は、選択手段を備えることにより、係る問題を解決している。本発明に係る選択手段は、実着火時期に対応する噴射時期を規定する値と、基準値取得手段により取得される、実着火時期に対応する噴射時期を規定する値の基準値との相対比較に基づいて、第1制御及び第2制御のうち少なくとも一方を選択する。
より具体的には、選択手段は、実着火時期に対応する噴射時期が、取得された基準値に対応する基準時期よりも早い場合には少なくとも第1制御が含まれるように、また取得された基準値に対応する基準時期よりも遅い場合には少なくとも第2制御が含まれるように、実着火時期制御手段により実行されるべき少なくとも一方を選択する。
ここで、第2制御とは、実着火時期が目標着火時期となるように、差分算出手段によって得られた差分に基づいて燃料の噴射時期を制御する処理を指し、即ち、既に説明した如き実着火時期制御手段の動作を指す。尚、このような噴射時期の制御において、係る差分と実際の制御量との対応関係は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて、適切な値に設定されていてもよい。
一方、第1制御とは、実着火時期が目標着火時期となるように、算出された差分に基づいて吸気弁の閉弁時期を制御する処理である。
吸気弁の閉弁時期は、実着火時期に影響を与え得る。吸気弁の閉弁時期を相対的に早めた場合、圧縮工程がそれだけ長くなくなるため、気筒内における圧縮端の温度が上昇し易い。実着火時期は、燃料と吸入ガスとの混合気の温度に支配されるから、圧縮端の温度が上昇する傾向にあれば、それだけ混合気の温度が上昇し易く、実着火時期は相対的に早くなり易い。一方、吸気弁の閉弁時期を相対的に遅くした場合には、圧縮工程が短くなり、圧縮ガス量も減少するため、圧縮端温度は相対的に低下の傾向となり、実着火時期は相対的に遅くなり易い。即ち、吸気弁の閉弁時期を制御することによって、実着火時期を制御することが可能となる。尚、吸気弁の閉弁時期を制御する際の制御量と、差分算出手段によって算出された差分との対応関係は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて適切に与えられていてもよい。
尚、実着火時期制御をリアルタイムに実行するためには、吸気弁の閉弁時期を制御するに際し、噴射時期の制御に係る応答速度と同等、或いは問題とならない程度に同等とみなし得る応答速度で、制御が実行される必要がある。その点に鑑みれば、吸気弁の閉弁時期を可変に制御するための機構は、油圧よりも応答速度の速い機構が好適である。例えば、電気的に動作するアクチュエータなどが用いられて好適である。
、「少なくとも一方」とあるように、選択手段は、必ずしもいずれか一方の制御のみを選択する必要はなく、噴射時期、差分の大きさ、第1制御及び第2制御各々によって得られる実着火時期の特性などに基づいて、適宜第1制御及び第2制御の両方を選択してもよい。この場合、いずれかの制御を支配的に実行してもよい。
実着火時期制御手段は、このように選択手段によって選択された制御を実行する。従って、最終的に、実着火時期は効率的且つリアルタイムに制御され、燃焼が好適に制御される。即ち、快適性が好適に維持されるのである。
また、この際特に、選択手段が、実着火時期に対応する噴射時期を規定する値と基準値との相対比較に基づいて制御の選択を行うため、比較的、制御選択に際しての処理負荷が少なくて済み効率的である。
尚、係る基準値は、予め固定値として与えられていてもよいし、内燃機関における何らかの状態量に応じて設定されていてもよい。この場合、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて設定されていてもよい。また、基準値は、その都度何らかのアルゴリズム又はアプリケーションプログラムに基づいて決定されてもよい。
本発明に係る制御装置の一の態様では、前記実着火時期に対応する噴射時期を規定する値は、前記圧縮自着火式内燃機関において前記実着火時期に対応する噴射時期におけるクランク角の値であり、前記選択手段は、前記クランク角の値が前記基準値よりも小さい場合に前記第1制御を選択し、前記クランク角の値が前記基準値よりも大きい場合に前記第2制御を選択する。
クランク角によって噴射時期が表される場合、既に述べたように、内燃機関における協調的な制御が可能となって好適である。クランク角によって噴射時期が規定される場合には、必然的に基準値もクランク角の値によって規定される。この際、クランク角は、如何なるクランク位置を基準として表されてもよいが、好適には、上述したようにTDCが基準として用いられる。また、TDCを基準とした場合であっても、正負いずれの方向に偏差を規定するかによって、基準値及び噴射時期を規定する値は異なるが、規定される時期は同じであり、問題は生じない。
ここで、ピストンがBDCからTDCに向う過程(概ね圧縮工程と一致する)で一般的に燃料の噴射時期が規定されることを考えれば、「クランク角の値が基準値よりも小さい場合」とは、必然的に、噴射時期が基準値によって規定される時期よりもBDC側(即ち、進角側)にあることを表し、「クランク角の値が基準値よりも大きい場合」とは、噴射時期が基準値によって規定される時期よりもTDC側(即ち、遅角側)であることを表す。即ち、この場合、実着火時期に対応する噴射時期が、TDCに比較的近い場合には噴射時期によって、またTDCから比較的遠い場合には吸気弁の閉弁時期によって、夫々実着火時期が制御されることとなる。噴射時期は、TDCよりも進角側のあるクランク位置(即ち、クランク角)を超えると、実着火時期に対する感度が極端に低下することが多いから、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどによってこのような閾値に相当するクランク位置が設定され得る場合には、いずれか一方の制御を実行することによって、効率的に実着火時期を制御することが可能となる。
尚、「基準値より小さい場合に」及び「基準値より大きい場合に」とは、夫々、基準値の設定態様によって、「基準値以下である場合に」及び「基準値以上である場合に」と相互に置換し得る概念である。
発明に係る制御装置の他の態様では、複数の前記基準値を、夫々前記圧縮自着火式内燃機関における、前記基準値と相関する所定の状態量に対応付けて記憶する記憶手段を更に具備し、前記基準値取得手段は、前記記憶された複数の基準値の中から現時点における前記所定の状態量に対応する基準値を選択することによって前記基準値を取得する。
この態様によれば、記憶手段に複数の基準値が記憶されるため、基準値を取得することが簡便して可能となる。尚、基準値に対応する所定の状態量とは、基準値を好適に設定し得る限りにおいて、内燃機関の如何なる状態量であってもよい。例えば、機関回転数であってもよい。尚、「対応付けて記憶する」とは、予め一次元的、二次元的或いは多次元的なマップとして、基準値が保持されていることを含む趣旨である。
尚、記憶手段を備える本発明に係る制御装置においては、前記基準値取得手段は更に、前記選択された基準値を前記所定の状態量とは異なる他の前記状態量に基づいて補正することによって前記基準値を取得してもよい。
基準値の設定の態様によって、制御の選択が支配されることを考えれば、その都度、内燃機関における状態量に応じて適宜基準値が補正されることが望ましい。この場合、基準値を取得するのに利用された状態量とは異なる他の状態量によって、基準値が補正されるので、一層精細に基準値を設定することが可能となり、結果的に選択手段による制御の選択が効果的に実行されるので好適である。
発明に係る制御装置の他の態様では、前記基準値取得手段は、前記圧縮自着火式内燃機関における、前記基準値と相関する所定の状態量に基づいて前記基準値を算出することによって前記基準値を取得する。
基準値は、固定値として予め記憶される他に、或いは固定値として記憶された値に適宜補正が行われる他に、その都度数値演算的に取得されてもよい。この場合、例えば、燃焼が開始される気筒内のガス温度、圧縮開始時のガス温度及び吸気弁閉弁時の気筒容積に基づいて燃焼が開始される際の気筒容積を算出し、係る気筒容積から基準値を取得してもよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<実施形態>
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、不図示のCPU、ROM及びRAM(Random Access Memory)などを備えると共に、エンジン200の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、本発明に係る「圧縮自着火式内燃機関の制御装置」の一例として機能することが可能に構成されている。このROMには、例えば、ECU100がエンジン200における燃料の着火時期を制御するための制御プログラム、及び後述する各種マップなどが予め格納されている。また、RAMにはECU100が着火時期を制御する過程において生じる各種データ及び後述する各種センサの出力値などが一時的に格納される構成となっている。
エンジン200は、本発明に係る「圧縮自着火式内燃機関」の一例たる車両用のディーゼルエンジンであり、シリンダブロック201に収容される複数のシリンダ202各々において、インジェクタ209によって噴射される燃料を自着火させて爆発させると共に、爆発力に応じて生じるピストン(不図示)の往復運動を、コネクションロッド(不図示)を介してクランクシャフト(不図示)の回転運動に変換することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成をその動作と共に説明する。尚、複数のシリンダ202は、夫々同一の構成を有しており、図1においては、図面の煩雑化を防ぐ目的から、相互に重複する箇所の符号が一部省略されている。
シリンダ202内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は吸気マニホールド203を介してシリンダ202に供給される。吸気マニホールド203には、エアフローメータ204が配設されている。エアフローメータ204は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接測定することが可能に構成されている。更に吸気マニホールド203には、吸入空気の温度(吸気温)を検出するための吸気温センサ205、吸入空気の圧力(吸気圧)を検出するための吸気圧センサ206及び吸入空気の酸素濃度(吸気酸素濃度)を検出するためのO2センサ220が夫々設置されている。エアフローメータ204、吸気温センサ205、吸気圧センサ206及びO2センサ220は、夫々ECU100と電気的に接続されている。
シリンダ202内部と吸気マニホールド203との連通状態は、吸気バルブ207の開閉に応じて制御される。吸気バルブ207の開閉は、クランクシャフトの動作に連動したカム及びカムシャフトの動作によって制御されるが、本実施形態に係るエンジン200は更に、電気的に駆動されるアクチュエータ208によって、吸気バルブの開閉時期を可変に制御し得る構成となっている。アクチュエータ208は、ECU100と電気的に接続されており、従って、吸気バルブの開閉時期は、ECU100によって制御可能となっている。
インジェクタ209には、燃料が不図示の燃料タンクからコモンレール210及び枝管211を介して供給されており、インジェクタ209は、この供給される燃料を、ECU100の制御に従ってシリンダ202内に直接噴射することが可能に構成されている。尚、コモンレール210は、高温且つ高圧のシリンダ内に燃料を安定に供給するため、インジェクタ209に対し、高圧の燃料供給を行うことが可能に構成されており、そのレール圧が、レール圧センサ212によって検出され、ECU100に出力される構成となっている。
シリンダ202内部では、インジェクタ209によって噴射された燃料と、吸入された空気とが混合し、混合ガスとなって圧縮されると共に、更に係る圧縮の過程で混合ガスが燃焼温度に到達することによって混合ガスが燃焼する。シリンダ202には、ECU100と電気的に接続された筒内圧センサ213が設置されており、シリンダ202内の圧力が検出可能となっている。燃焼した混合ガスは排気ガスとなり吸気バルブ207の開閉に連動して開閉する排気バルブ216を通過して排気マニホールド217を介して排気される。この際、排気ガスの温度が、ECU100と電気的に接続された排気温センサ218によって検出される。また、排気マニホールド217には、触媒219が設置されており、排気ガスの浄化が行われている。
クランクシャフトの近傍には、クランクシャフトの回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ214が設置されている。クランクポジションセンサ214は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ214から得られるクランクシャフトの回転状態に基づいて、シリンダ202内部におけるピストンの位置及びエンジン200の機関回転数など取得することが可能に構成されている。また、シリンダブロック201内の不図示のウォータージャケットには、エンジン200を冷却するための冷却水が循環しており、その温度は、ECU100と電気的に接続された冷却水温センサ215によって検出される構成となっている。
<実施形態の動作>
<着火時期の制御>
エンジン200において、燃料はシリンダ内で圧縮されることにより自着火するのであるが、係る着火の時期は、エンジンシステム10を搭載した車両の快適性を担保する観点から、リアルタイムに制御可能であることが望ましい。通常、ECU100は、燃料の噴射時期を制御することによって、燃料の着火時期を制御している。ここで、図2を参照して、噴射時期による着火時期制御について説明する。ここに、図2は、燃料の噴射時期と着火時期との相関図である。
図2において、縦軸及び横軸は、夫々着火時期及び噴射時期を表す。着火時期及び噴射時期のいずれも、上死点後クランク角(CA ATDC)によって表される。上死点後クランク角とは、上死点(TDC)を基準としたクランク角の偏差であり、例えば、図示横軸における「−20」とは、上死点よりも20度進角されたクランク位置を表す。
噴射時期は通常、上死点を含む図示領域Aに属するクランク角に設定されている。領域Aでは、噴射時期に対する着火時期の感度(即ち、噴射時期に対する着火時期の傾き)が比較的大きく、噴射時期から略一定の遅延を経て燃料は着火する。従って、この領域Aでは、噴射時期による着火時期制御が比較的容易である。
一方、上死点からの進角度合いが比較的大きい図示領域Bでは、噴射時期に対する着火時期の感度が小さく、噴射時期による着火時期制御は困難である。このような場合、過早着火或いは失火が生じる可能性があり、快適性が担保され難い。ところが、環境性能を追求する観点からは、シリンダ内で可能な限り燃料を予混合し、HCCI燃焼を促進するのが好適である。このための予混合期間を担保しようとする場合には、噴射時期は図示領域Bの如く比較的進角される必要がある。このような背反する事象を好適に融合させるため、本実施形態に係るエンジンシステム10では、ECU100によって着火時期制御処理が実行される。この際、ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って着火時期制御処理を実行する。ここで、図3を参照し、本実施形態の動作として、着火時期制御処理の詳細について説明する。ここに、図3は、着火時期制御処理のフローチャートである。
図3において、始めに、エンジン200の機関回転数Neが取得される(ステップA10)。機関回転数Neは、クランクポジションセンサ214からのセンサ出力に基づいて、ECU100自身が算出することが可能である。取得された機関回転数Neは、一時的にRAMに格納される。
次に、ECU100は、燃料の噴射量Qを取得する(ステップA11)。ECU100は、インジェクタ209を上位に制御しており、噴射量Qは、ECU100が制御値として保持している。尚、噴射量Qを求めるに当たって、ECU100は、噴射量Qが機関回転数Ne及びアクセルペダル開度に対応付けられてなる噴射量マップを参照する。係る噴射量マップは予めROMに格納されている。尚、アクセルペダル開度は、図1において不図示のアクセルペダルの踏下量を検出する不図示のアクセルポジションセンサから取得される。噴射量Qの値も、RAMに一時的に格納される。
機関回転数Ne及び噴射量Qを取得すると、ECU100は、これらの値に基づいて目標着火時期CAaを取得する(ステップA12)。本実施形態において、ECU100が、エンジン200の動作を制御する時期は、クランク角によって規定されており、従って、目標着火時期CAaもクランク角の値として取得される。尚、本実施形態におけるクランク角は、上死点後クランク角(CA ATDC)であるとする。
目標着火時期Taは、燃料噴射量Q及び機関回転数Neに夫々対応付けられる形で、予めROMに制御マップとして記憶されている。ステップA12において、ECU100は、RAMにバッファリングされている燃料噴射量Q及び機関回転数Neに基づいて、ROMに格納される制御マップから該当値を読み出すことによって、目標着火時期CAaを取得する。尚、目標着火時期CAaの値は、一時的にRAMにバッファリングされる。
目標着火時期CAaを取得すると、ECU100は、図1に示した各種センサなどの出力値に基づいて、冷却水温Tw、吸気温Ti、吸気圧Pi、レール圧Pr、噴射時期CAi、吸気酸素濃度Do及び排気温Teを取得する(ステップA13)。尚、噴射時期CAiについては、ECU100自身が制御値として保持している。これら各値は、RAMに一時的にバッファリングされる。
ECU100は、燃料の実着火時期CArを取得する(ステップA14)。実着火時期CArは、ECU100がROMに予め格納された実着火時期算出モデルに基づいた数値演算を行うことによって算出される。この際、ステップA13で得られた各値、機関回転数Ne及び噴射量Qがパラメータとして利用される。このように数値演算的に実着火時期が取得されることにより、実際に燃料が着火する以前に、実着火時期CArを取得することが可能となる。従って、着火時期制御のリアルタイム性が好適に担保される。尚、実着火時期CArは、例えば筒内圧センサ213によって検出される、燃焼に際した実現象として生じるシリンダ内の圧力変化などに基づいて取得されてもよい。
実着火時期CArが算出されると、ECU100は、目標着火時期CAaと実着火時期CArとの差分ΔCAを算出する(ステップA15)。この差分ΔCAは、後に実着火時期CArを制御する際の制御量を規定する目標偏差である。
差分ΔCAを算出すると、ECU100は、基準値aを取得する(ステップA16)。ここで、図2を参照して、基準値aについて説明する。
図2において、基準値aは、領域Aと領域Bとの境界を規定するクランク角であり、基準値aよりも大きい値(即ち、遅角側の値)が領域Aに、基準値aよりも小さい値(即ち、進角側の値)が領域Bに夫々属するように決定されている。尚、エンジン200の特性が、図示の如く領域A及び領域Bに明確に分割し難い場合であっても、巨視的或いは定性的に係る概念が担保される限りにおいて、基準値aは必ずしも明確にこれら両領域の境界を規定する値でなくともよい。
図3に戻り、基準値aは、機関回転数Neに対応付けられた基準値マップとして予めROMに格納されており、ECU100は、RAMにバッファリングされた機関回転数Neの値に対応する値を係るマップから読み出すことによって、容易に基準値aを取得することが可能である。
基準値aを取得すると、ECU100は、RAMにバッファリングされる噴射時期CAiが、基準値a未満であるか否かを判別する(ステップA17)。噴射時期CAiが、基準値a以上である場合(ステップA17:NO)、即ち、噴射時期CAiが、基準値aか又は基準値aよりも遅角側の値である場合には、噴射時期は図2における領域Aに属しており、噴射時期の着火時期に対する感度は良好である。従って、既に説明した如く、噴射時期CAiによる実着火時期CArの制御(即ち、本発明に係る「第2制御」の一例)が実行される(ステップA19)。尚、この際、噴射時期CAiの制御量(クランク角)は、ステップA15において算出された差分ΔCAに基づいて決定される。差分ΔCAに対する噴射時期CAiの制御量は、予めROMに制御用のマップとして記憶されている。
一方、噴射時期CAiが基準値a未満である場合(ステップA17:YES)、即ち、噴射時期CAiが、基準値aよりも進角側の値である場合には、既に述べたように、噴射時期は、着火時期に対する感度が低い領域B(図2参照)に属するため、ECU100は、吸気バルブ207の閉弁時期CAvによる実着火時期CArの制御(即ち、本発明に係る「第1制御」の一例)を実行する(ステップA18)。
ここで、図4及び図5を参照して、吸気バルブ閉弁時期による着火時期制御について説明する。ここに、図4は、吸気バルブ閉弁時期とシリンダの圧縮端温度の相関図であり、図5は、吸気バルブ閉弁時期と着火時期との相関図である。
図4において、縦軸及び横軸に夫々圧縮端温度及び吸気バルブ閉弁時期が表されている。図示の通り、吸気バルブ閉弁時期が進角側(図示左方向)へ向う程圧縮端温度は上昇する傾向にあり、吸気バルブ閉弁時期が遅角側(図示右方向)へ向う程圧縮端温度は下降する傾向にある。即ち、吸気バルブの閉弁時期が上死点に対し進角側にある程圧縮可能な容積(圧縮シロ)及び圧縮されるガス量が増加するため、圧縮端温度が上昇するのである。
圧縮端温度は、着火時期に大きく影響する。このことについて、図5を参照して説明する。図5において、縦軸及び横軸に夫々着火時期及び吸気バルブ閉弁時期が表される。図示の通り、吸気バルブ閉弁時期が進角側に向う程、着火時期は早くなり(即ち、進角側に移行し)、吸気バルブ閉弁時期が遅角側に向う程、着火時期は遅くなる(即ち、遅角側に移行する)。即ち、圧縮端温度が高い程燃料は早期に着火する。燃料の着火時期は、燃料が着火温度に到達する時期によって規定される。燃料は、噴射された際に圧縮空気から熱を受け取りつつ温度を上昇させるため、圧縮端温度が高い程、混合ガスの温度上昇が早まり、燃料が着火点に到達する時期も早くなるのである。従って、吸気バルブ閉弁時期を制御することにより、良好に着火時期を制御することが可能となる。図3に戻り、吸気バルブ207の閉弁時期の制御量(即ち、クランク角)は、ステップA15において算出された差分ΔCAに基づいて決定される。差分ΔCAに対する吸気バルブ閉弁時期CAvの制御量は、予めROMに制御用のマップとして記憶されている。
ステップA18又はステップA19によって、実着火時期CArが制御されると、処理はステップA10に復帰して、一連の処理が繰り返される。このように、本実施形態に係る着火時期制御処理によれば、噴射時期による着火時期制御と、吸気バルブ閉弁時期による着火時期制御とを使い分けることによって、着火時期を好適に制御することが可能であり、快適性を維持し得るのである。
<第2実施形態>
実着火時期CArを噴射時期CAiによって制御するか、吸気バルブ閉弁時期CAvによって制御するかを規定する基準値aを取得する態様は、第1実施形態のものに限定されない。ここで、図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る着火時期制御処理について説明する。ここに、図6は、着火時期制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
図6におけるステップA16において、機関回転数Neに基づいたマップ適合により基準値aを取得すると、ECU100は更に吸気バルブ閉弁時期CAvを取得する(ステップB10)。ここで、吸気バルブ閉弁時期CAvは、クランクシャフト、カム及びカムシャフトなどに基づいた初期値並びにアクチュエータ208の制御量などに基づいてECU100が制御量として保持しており、容易に取得可能である。
吸気バルブ閉弁時期CAvを取得すると、ECU100は、吸気バルブ閉弁時期CAv、バッファリングされている冷却水温Tw及び吸気温Tiに基づいて、ステップA16で取得された基準値aを補正する(ステップB11)。ここで、ROMには、予め、吸気バルブ閉弁時期CAv、冷却水温Tw及び吸気温Ti各々と補正量とを対応付けた補正用のマップが格納されており、ECU100は、これらマップから該当する補正量を読み出して、基準値aを補正する。尚、補正の態様は、これに限定されず様々な形態を採ってよい。このようにして補正された基準値aに基づいて、以降のステップが実行される。
本実施形態によれば、基準値aを精細に決定することが可能となり、実着火時期CArを一層精細に制御することが可能となる。従って、快適性を一層好適に維持し得るのである。
<第3実施形態>
基準値aは、更に他の態様の下で取得することも可能である。ここで、図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る着火時期制御処理について説明する。ここに、図7は、着火時期制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
図7におけるステップB10において吸気バルブ閉弁時期CAvが取得されると、ECU100は更に、エアフローメータ204から吸入空気量Wiを取得する(ステップC10)。吸入空気量Wiを取得すると、ECU100は、基準体積Vbを算出する(ステップC11)。
ここで、基準体積Vbとは、シリンダ202内で燃料の燃焼反応が始まる際のシリンダ体積(即ち、シリンダ内壁面とピストン上面とによって囲まれる空間の体積)であり、下記(1)式によって規定される。尚、κは比熱比である。
Vb=吸気バルブ閉弁時体積×(圧縮開始時ガス温度/基準温度)(1/(κ−1))…(1)
ここで、吸気バルブ閉弁時体積とは、吸気バルブ207を閉弁した時点におけるシリンダ体積である。ROMには、予めクランク角とシリンダ体積とを対応付けたマップが格納されており、クランク角が取得されていれば、対応するシリンダ体積は容易に取得することが可能である。本実施形態において、吸気バルブ閉弁時期はクランク角の値で規定されているから、吸気バルブ閉弁時体積は容易に取得される。また、基準温度とは、燃料の燃焼反応が始まる温度であり、燃料の種類が変わらなければ概ね固定の値である。ここでは、固定値であるとする。一方、圧縮開始時ガス温度は、シリンダ202内における圧縮開始時点のガス温度であり、吸気温Ti、冷却水温Tw及び吸入空気量Wiに基づいて算出される。
上記(1)式に基づいた演算によって、基準体積Vbが算出されると、ECU100は、係る基準体積Vbに基づいて基準値aを取得する(ステップC12)。基準値aは、基準体積Vbに対応するクランク角の値であり、前述した如きシリンダ体積とクランク角とを対応付けたマップから容易に取得することができる。
基準値aよりも遅角側の領域は、即ち、シリンダ内のガス温度が十分に高い領域であり、燃料の噴射時期CAiが比較的リニアに実着火時期CArに影響する領域である。即ち、図2における領域Aに相当する領域と等価である。一方、基準値aよりも進角側の領域は、シリンダ内のガス温度が相対的に低い領域であり、燃料の噴射時期CAiが実着火時期CArに影響しにくい領域である。即ち、図2における領域Bに相当する領域となる。従って、このように、現時点における噴射時期CAiが、基準体積Vbに相当する時期(クランク角)であるか否かによって、上述した第1及び第2実施形態と同様に、実着火時期CArを好適に制御することが可能となるのである。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う圧縮自着火式内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。 図1のエンジンシステムにおける噴射時期と着火時期との相関図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUが実行する着火時期制御処理のフローチャートである。 吸気バルブの閉弁時期と圧縮端温度との相関図である。 吸気バルブの閉弁時期と着火時期との相関図である。 本発明の第2実施形態に係る着火時期制御処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る着火時期制御処理のフローチャートである。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、207…吸気バルブ、208…アクチュエータ、209…インジェクタ、214…クランクポジションセンサ。

Claims (5)

  1. 燃料を噴射する噴射手段を備え且つ少なくとも吸気弁の閉弁時期が可変な圧縮自着火式内燃機関を制御するための圧縮自着火式内燃機関の制御装置であって、
    前記噴射される燃料の目標着火時期を特定する目標着火時期特定手段と、
    前記噴射される燃料の実着火時期を特定する実着火時期特定手段と、
    前記目標着火時期を規定する値と前記実着火時期を規定する値との差分を算出する差分算出手段と、
    前記実着火時期に対応する前記燃料の噴射時期を規定する値の基準値を取得する基準値取得手段と、
    前記実着火時期に対応する噴射時期を規定する値と、前記取得された基準値との相対比較に基づいて、(i)前記実着火時期が前記目標着火時期となるように前記差分に応じて前記吸気弁の閉弁時期を制御する第1制御及び(ii)前記実着火時期が前記目標着火時期となるように前記差分に応じて前記燃料の噴射時期を制御する第2制御のうち少なくとも一方を選択する選択手段と、
    前記選択された少なくとも一方を実行することによって前記実着火時期を制御する実着火時期制御手段と
    を具備し、
    前記選択手段は、前記実着火時期に対応する噴射時期が前記取得された基準値に対応する基準時期よりも早い場合には少なくとも前記第1制御が含まれるように、また前記実着火時期に対応する噴射時期が前記基準時期よりも遅い場合には少なくとも前記第2制御が含まれるように、前記少なくとも一方を選択する
    ことを特徴とする圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  2. 前記実着火時期に対応する噴射時期を規定する値は、前記圧縮自着火式内燃機関において前記実着火時期に対応する噴射時期におけるクランク角の値であり、
    前記選択手段は、前記クランク角の値が前記基準値よりも小さい場合に前記第1制御を選択し、前記クランク角の値が前記基準値よりも大きい場合に前記第2制御を選択する
    ことを特徴とする請求項に記載の圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  3. 複数の前記基準値を、夫々前記圧縮自着火式内燃機関における、前記基準値と相関する所定の状態量に対応付けて記憶する記憶手段を更に具備し、
    前記基準値取得手段は、前記記憶された複数の基準値の中から現時点における前記所定の状態量に対応する基準値を選択することによって前記基準値を取得する
    ことを特徴とする請求項又はに記載の圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  4. 前記基準値取得手段は更に、前記選択された基準値を前記所定の状態量とは異なる他の前記状態量に基づいて補正することによって前記基準値を取得する
    ことを特徴とする請求項に記載の圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  5. 前記基準値取得手段は、前記圧縮自着火式内燃機関における、前記基準値と相関する所定の状態量に基づいて前記基準値を算出することによって前記基準値を取得する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
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