JP2005002803A - 予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の気筒を有する予混合圧縮着火燃焼内燃機関において、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに(S101)、少なくとも1つの気筒における着火時期が目標着火時期範囲B内にない場合(S104、S107)、全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させる(S105、S106、S108)ことで、全ての気筒での予混合気の実圧縮比を略同様に変化させる。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、予混合圧縮着火燃焼内燃機関に関し、特に、予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多気筒内燃機関においては、該内燃機関の運転状態が所定運転状態にあるときに、各気筒間での機関回転速度のばらつきを検出し、このばらつき幅が小さくなるように気筒毎の燃料噴射量の補正量を設定すると共に、内燃機関の運転状態が所定運転状態から離れた場合、冷却水温の上昇量に応じて前記補正量を再設定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、多気筒圧縮着火内燃機関においては、各気筒の筒内圧力から実際の着火時期を推定し、この推定された着火時期が目標着火時期となるように燃料噴射時期を調整する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
一方、内燃機関において、吸気行程中および/または圧縮行程中に気筒内へ燃料を噴射することで、該燃料と吸気(空気)との予混合気を形成し、該予混合気を燃焼に供することによって、NOxや煙の排出が抑制される予混合圧縮着火燃焼内燃機関の開発が進められている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−170576号公報
【特許文献2】
特開平11−125141号公報
【特許文献3】
特開2000−291466号公報
【特許文献4】
特開2002−089344号公報
【特許文献5】
特開2002−221071号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
予混合圧縮着火燃焼での着火時期は、気筒内の温度や空燃比分布、気筒内に供給される吸入空気量やEGRガス量等の影響を受け易い。このため、多気筒内燃機関において予混合圧縮着火燃焼を行った場合、従来の圧縮着火燃焼よりも、1サイクルにおける着火時期が気筒毎に異なった時期となり易い、つまり着火時期の各気筒間でのばらつきが生じ易い。その結果、機関回転速度の変動が大きくなり、振動や騒音、燃費の悪化を招く虞がある。
【0007】
また、従来の多気筒内燃機関における機関回転速度の変動は、各気筒での燃料噴射量を補正し、トルクを増減することによって補正することが出来た。しかしながら、予混合圧縮着火燃焼内燃機関においては、着火時期が圧縮上死点近傍よりも早くなる、いわゆる過早着火が生じているときに気筒内への燃料噴射量を増量すると着火時期が更に早くなり、従来とは逆にトルクは減少する。このため、従来のような燃料噴射量の補正によるトルクの増減によって機関回転速度の変動を補正することは困難である。
【0008】
また、予混合圧縮着火燃焼内燃機関では、気筒内に予混合気を形成するために噴射される燃料の噴射時期と着火時期との間隔は、従来の圧縮着火内燃機関での燃料噴射時期と着火時期との間隔よりも大きいため、従来のような燃料噴射時期の調整によって着火時期を調整することは困難である。
【0009】
本発明は、予混合圧縮着火燃焼を行う多気筒内燃機関において、各気筒での着火時期をより好適な時期とすることが可能な技術を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
即ち、本発明は、複数の気筒を有する予混合圧縮着火燃焼内燃機関において、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期が最も進角している気筒での着火時期が目標着火時期範囲内にない場合、全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させることで、全ての気筒での予混合気の実圧縮比を略同様に変化させるものである。
【0011】
より詳しくは、本発明に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法は、
複数の気筒を有し、吸気行程中および/または圧縮行程中に、気筒内に燃料と吸気との予混合気が形成され、該予混合気が燃焼に供される予混合圧縮着火燃焼を、少なくとも一部の運転領域で行う予混合圧縮着火燃焼内燃機関であって、
全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させる閉弁時期制御手段と、
各気筒での着火時期を推定する着火時期推定手段と、
を備えた予混合圧縮着火燃焼内燃機関において、
予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期推定手段によって推定された着火時期が最も進角している気筒での着火時期が目標着火時期範囲内にない場合、該気筒での着火時期が該目標着火時期範囲内となるように、閉弁時期制御手段によって全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させることで、全ての気筒での予混合気の実圧縮比を略同様に変化させることを特徴とする。
【0012】
ここで、目標着火時期範囲とは、目標とする着火時期の範囲であって、圧縮上死点近傍の範囲としても良い。
【0013】
予混合圧縮着火燃焼内燃機関においては、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、吸気弁の閉弁時期が変化すると、気筒内の吸入空気量が変化するため、圧縮行程における予混合気の実際の圧縮比である実圧縮比も変化する。そして、予混合気の実圧縮比が変化すると着火時期も変化する。本発明においては、吸気弁の閉弁時期を変化させるときは、全ての気筒の吸気弁の閉弁時期が略同様に変化するため、全ての気筒での着火時期が略同様に変化する。
【0014】
本発明によれば、全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させることで、全ての気筒での着火時期を略同様に変化させ、少なくとも着火時期が最も進角している気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とすることが出来る。
【0015】
本発明においては、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期が少なくとも1つの気筒において目標着火時期範囲よりも進角している場合、着火時期が最も進角している気筒での着火時期が目標着火時期範囲内となるように全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に遅角しても良い。
【0016】
吸気弁の閉弁時期を、吸気行程下死点以降であって、慣性効果によって吸入空気が気筒内に流入することがない時期以降まで遅角すると、気筒内の吸入空気が流出するため、該気筒の予混合気の実圧縮比が低下し、着火時期が遅角する。
【0017】
上記のような制御によれば、少なくとも着火時期が最も進角している気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とすることが出来る。また、全ての気筒での着火時期が略同様に変化するため、着火時期が最も進角している気筒以外の気筒での着火時期を目標着火時期範囲以降とすることが出来る。即ち、全ての気筒において過早着火の発生を防止することが出来る。
【0018】
本発明においては、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期が全ての気筒において目標着火時期範囲よりも遅角している場合、着火時期が最も進角している気筒での着火時期が前記目標着火時期範囲内となるように、全ての気筒での吸気弁の閉弁時期を略同様に進角しても良い。
【0019】
吸気弁の閉弁時期が、吸気行程下死点より遅く、気筒内の吸入空気が流出する時期であるときに、吸気弁の閉弁時期を吸気行程下死点の方へ進角すると、気筒内から流出する吸入空気量が減少するため、予混合気の実圧縮比が低下し、着火時期が進角する。
【0020】
上記のような制御によれば、少なくとも着火時期が最も進角している気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とすることが出来る。また、全ての気筒での着火時期が略同様に変化するため、着火時期が最も進角している気筒以外の気筒での着火時期を目標着火時期範囲内、もしくは目標着火時期範囲により近い時期のいずれかとすることが出来る。即ち、全ての気筒において過早着火の発生を防止しつつ、着火時期をより好適な時期とすることがで出来る。
【0021】
本発明においては、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期の各気筒間でのばらつき幅が所定幅以下である場合、上記のような吸気弁の制御によって着火時期が最も進角している気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とした後、着火時期が前記目標着火時期範囲よりも遅角している気筒での燃料噴射量を、目標着火時期範囲からの遅角量に基づいて気筒毎に増量することで、着火時期が前記目標着火時期範囲よりも遅角している気筒での着火時期を目標着火時期範囲内まで進角しても良い。
【0022】
ここで、着火時期の各気筒間でのばらつき幅とは、各気筒での1サイクルにおける着火時期の各気筒間でのばらつきの幅のことである(以下、単に着火時期のばらつき幅と称する)。
【0023】
予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、気筒内への燃料噴射量を増量すると、予混合気の空燃比が低下し着火時期が進角する。しかしながら、燃料噴射量を多量に増量すると、内燃機関の運転状態への影響が大きくなり過ぎたり、排気特性や燃費の悪化を招いたりする虞がある。ここで、所定幅とは、着火時期のばらつき幅が該所定幅以下であれば、上記のような吸気弁の閉弁時期の制御によって、着火時期が最も進角している気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とした後、更に、着火時期が目標着火時期範囲よりも遅角している気筒での燃料噴射量を増量することで、内燃機関の運転状態や排気特性、燃費へ過剰な影響を与えることなく、該気筒での着火時期を目標着火時期範囲内まで進角することが可能な幅のことである。
【0024】
上記のような制御によれば、着火時期が最も進角している気筒だけでなく、全ての気筒での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。また、各気筒内への燃料噴射量の調整のみによって、各気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とする場合と比べて、内燃機関の運転状態への影響や排気特性、燃費の悪化を抑制することが出来る。また、吸気弁の閉弁時期を気筒毎に別々に制御することによって全ての気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とする場合と比べて、より簡単な制御で全ての気筒での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。
【0025】
また、本発明に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関が、排気の一部を再循環排気(以下、EGRガスと称する)として気筒毎に導入する排気再循環手段と、予混合気の再循環排気率を気筒毎に調整する再循環排気率制御手段と、を更に備えている場合、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期のばらつき幅が所定幅より大きいときは、再循環排気率制御手段によって、着火時期が目標着火時期範囲内にない気筒の予混合気の再循環排気率を調整することで、着火時期のばらつき幅を所定幅以下としても良い。
【0026】
ここで、再循環排気率とは、気体(ここでは予混合気)中におけるEGRガス量の割合のことである(以下、EGR率と称する)。
【0027】
予混合圧縮着火燃焼内燃機関においては、予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、予混合気のEGR率が高くなると着火時期は遅くなり、予混合気のEGR率が低くなると着火時期は早くなる。また、予混合気のEGR率を変化させた場合の内燃機関の運転状態や排気特性、燃費への影響は、燃料噴射量を増量する場合と比べて小さい。そのため、予混合気のEGR率を調整することによって、着火時期をより大きく変化させることが出来る。
【0028】
本発明によれば、着火時期のばらつき幅が大きい場合であっても、該ばらつき幅を所定幅以下とすることが出来る。そして、着火時期のばらつき幅が所定幅以下となれば、上記のような、吸気弁の閉弁時期と燃料噴射量の制御によって、全ての気筒での着火時期を目標着火時期範囲内とすることが出来る。即ち、着火時期のばらつき幅が大きい場合であっても、全ての気筒での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。
【0029】
また、本発明に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法では、
複数の気筒を有し、吸気行程中および/または圧縮行程中に、気筒内に燃料と吸気との予混合気が形成され、該予混合気が燃焼に供される予混合圧縮着火燃焼を、少なくとも一部の運転領域で行う予混合圧縮着火燃焼内燃機関であって、
排気の一部をEGRガスとして気筒毎に導入する排気再循環手段と、
予混合気のEGR率を気筒毎に調整する再循環排気率制御手段と、
各気筒での着火時期を推定する着火時期推定手段と、
を備えた、予混合圧縮着火燃焼内燃機関において、
予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、着火時期推定手段によって推定された着火時期が、少なくとも1つの気筒において目標着火時期範囲内にない場合、再循環排気率制御手段によって、着火時期が目標着火時期範囲内にない気筒での予混合気のEGR率を調整しても良い。
【0030】
上記したように、予混合気のEGR率の調整によれば、着火時期をより大きく変化させることが出来る。従って、予混合気のEGR率の調整のみによっても、着火時期が目標着火時期範囲内にない気筒での着火時期を、目標着火時期範囲内とすることが出来る。即ち、全ての気筒での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。
【0031】
また、前記排気再循環手段が、気筒内にEGRガスを導入するEGR通路を気筒毎に有し、前記再循環排気率制御手段が、EGR通路毎に設けられ各気筒に導入されるEGRガス量を調整するEGR弁を有している場合、着火時期が目標着火時期範囲よりも進角している気筒のEGR率を調整するときは、該気筒へEGRガスを導入するEGR通路に設けられたEGR弁の開度を大きくし、着火時期が目標着火時期範囲よりも遅角している気筒のEGR率を調整するときは、該気筒へEGRガスを導入するEGR通路に設けられたEGR弁の開度を小さくしても良い。
【0032】
このような構成によれば、EGR弁の開度を大きくすることで、気筒内へ導入されるEGRガス量を増量し、該気筒の予混合気のEGR率を高くすることが出来る。一方、EGR弁の開度を小さくすることで、気筒内へ導入されるEGRガス量を減量し、該気筒の予混合気のEGR率を低くすることが出来る。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法の具体的な実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0034】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る予混合圧縮着火内燃機関の概略構成を示す図である。
【0035】
本発明に係る内燃機関1は4つの気筒2(2a、2b、2c、2d)を有するディーゼル機関である。各気筒2の略中心部には気筒2内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁5(5a、5b、5c、5d)が備えられている。また、各気筒2には図示しない吸気ポートと排気ポートとが2つずつ設けられている。
【0036】
また、気筒2毎には吸気分配管10(10a、10b、10、10c)が備えられており、該吸気分配管10の一端は各気筒2の吸気ポートと連通している。一方、吸気分配管10の他端はインテークマニホルド9と連通されており、インテークマニホルド9は、吸気通路8に接続されている。各気筒の排気ポートはエキゾーストマニホルド11と連通されており、エキゾーストマニホルド11は排気通路12に接続されている。
【0037】
各吸気ポートの気筒2への開口部には、吸気弁3(3a、3b、3c、3d)が設けられており、各吸気弁3には、そのリフト量や開閉時期を制御する可変動弁機構7(7a、7b、7c、7d)が設けられている。可変動弁機構7としては電磁駆動弁等が例示出来る。また、各排気ポートの気筒2への開口部には、排気弁4(4a、4b、4b、4c)が設けられている。
【0038】
さらに、各気筒2には、それぞれの気筒2における実際の着火時期を推定するために、各気筒2内の圧力をそれぞれ検出する圧力センサ6(6a、6b、6c、6d)が設けられている。
【0039】
また、本実施の形態に係る内燃機関1には、該内燃機関1から排出された排気の一部をEGRガスとして吸気系へ再循環させる排気再循環装置13が備えられている。該排気再循環装置13は、エキゾーストマニホルド11と連通されているEGR通路14と、各吸気分配管10をそれぞれ別々にEGR通路14に連通する4つのEGR枝管15(15a、15b、15c、15d)を備えている。また、EGR通路14には、該EGR通路14内を流れる排気(EGRガス)の流量を調整するEGR弁16が設けられており、更に、各EGR枝管15には、該EGR枝管15内を流れるEGRガスの流量を調整する枝管EGR弁17(17a、17b、17c、17d)がそれぞれ設けられている。
【0040】
このように構成された排気再循環装置13では、EGR弁16と各枝管EGR弁17とが開弁されると、内燃機関1から排出された排気の一部(EGRガス)がEGRガスとしてエキゾーストマニホルド11を介してEGR通路14へ流入し、該EGR通路14を流通するEGRガスが、各EGR枝管15を通って、各吸気分配管10へ導入される。各吸気分配管10に導入されたEGRガスは新気(空気)と混ざり合って吸気を形成し、該吸気が吸気ポートを介して気筒2内へ導入される。
【0041】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)20が併設されている。このECU20は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0042】
ECU20は、圧力センサ6や、内燃機関1の出力軸の回転角に応じた信号を出力するクランクポジションセンサ18、アクセル開度に応じた信号を出力するアクセル開度センサ19等の各種センサと電気的に接続されており、これらセンサの出力信号がECU20に入力される。
【0043】
一方、ECU20は、燃料噴射弁5、可変動弁機構7、EGR弁16、枝管EGR弁17等と電気的に接続されており、上記各部がECU20によって制御される。例えば、ECU20は、全ての気筒2の吸気弁3の閉弁時期が略同様に変化するよう各可変動弁機構7を制御する。
【0044】
ECU20は、CPU、ROM、RAM等を備えており、例えば、クランクポジションセンサ18がパルス信号を出力する時間的な間隔等に基づき機関回転数を算出し、アクセル開度センサ19の出力信号等に基づき機関負荷を算出する。また、ECU20は、各圧力センサ6の出力信号に基づき各気筒2における実際の着火時期を推定する。
【0045】
また、本実施の形態に係る内燃機関1は、ECU20からの指令によって吸気行程中または圧縮行程中に燃料噴射弁5から気筒2内へ燃料を噴射することで、気筒2内において燃料と吸気との予混合気が形成され、該予混合気が燃焼に供される、いわゆる予混合圧縮着火燃焼を行う内燃機関である。
【0046】
次に、本実施の形態に係る予混合圧縮着火内燃機関の着火時期制御方法ついて図面に基づいて説明する。
【0047】
図2〜5は、本実施の形態に係る各気筒2a、2b、2c、2dでの着火時期を示すグラフである。図2〜5において、横軸は時間を示し、縦軸は各気筒2内の熱発生率を示す。また、各実線a、b、c、dにおけるの変曲点が、各気筒2a、2b、2c、2dそれぞれでの着火時期を示し、一点鎖線は圧縮行程上死点に相当する時期を示す。尚、図2〜5に示すそれぞれの着火時期は各気筒2での1サイクルにおける着火時期を示すものであって、各実線a、b、c、dの時間的な配列は着火時期の順番を示すものではない。
また、図2〜5において、範囲Bは目標着火時期範囲を示す。即ち、本実施の形態に係る目標着火時期範囲は、圧縮行程上死点からそれ以降のある時期までの範囲であって、且つ圧縮行程上死点近傍の範囲である。以下、この範囲Bを目標着火時期範囲Bと称する。
また、図2〜5において、幅Xは各気筒間での着火時期のばらつき幅を示すものであって、ある特定の範囲を示すものではない。以下、この幅Xを着火時期のばらつき幅Xと称する。
【0048】
本実施の形態に係る方法においては、図2に示すとおり、少なくとも一つの気筒での着火時期が目標着火時期範囲Bより進角している場合、最も進角している気筒2(図2では、気筒2a)での着火時期が目標着火時期範囲B内となるように、可変動弁機構7によって、全ての気筒2の吸気弁3の閉弁時期を略同様に遅角する。
【0049】
その結果、図3に示すとおり、着火時期が最も進角している気筒2aでの着火時期を目標着火時期範囲B内とすることが出来る。また、着火時期が最も進角している気筒2a以外の気筒2b、2c、2dでの着火時期を目標着火時期範囲B以降とすることが出来る。即ち、全ての気筒2において過早着火の発生を防止することが出来る。尚、このとき、着火時期のばらつき幅Xが目標着火時期範囲Bの幅よりも小さい場合は、全ての気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とすることが出来る。
【0050】
一方、本実施の形態に係る方法においては、図4に示すように、全ての気筒2での着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している場合、最も進角している気筒2(図4では、気筒2a)での着火時期が目標着火時期範囲B内となるように、可変動弁機構7によって、全ての気筒2の吸気弁3の閉弁時期を略同様に進角する。
【0051】
その結果、前記と同様、図3に示すとおり、着火時期が最も進角している気筒2aでの着火時期を目標着火時期範囲B内とすることが出来る。また、着火時期が最も進角している気筒2a以外の気筒2b、2c、2dでの着火時期を目標着火時期範囲B内、もしくは目標着火時期範囲Bにより近い時期のいずれかとすることが出来る。即ち、全ての気筒2において過早着火の発生を防止しつつ、着火時期をより好適な時期とすることがで出来る。尚、このときも前期と同様、着火時期のばらつき幅Xが目標着火時期範囲Bの幅よりも小さい場合は、全ての気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とすることが出来る。
【0052】
また、本実施の形態に係る方法においては、上記のような、吸気弁3の閉弁時期の制御により、着火時期が最も進角している気筒2aでの着火時期を目標着火時期範囲B内とした後に、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している気筒2(図3では、気筒2cと気筒2b)がある場合、さらに、この気筒2での燃料噴射量および/または予混合気のEGR率を調節することによって着火時期を調整する。
【0053】
即ち、着火時期のばらつき幅が所定幅Aよりも小さいときは、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している気筒2c、2dでの燃料噴射弁5c、5dからの燃料噴射量を、目標着火時期範囲Bからの遅角量に基づいて、それぞれ増量することで、該気筒2c、2dでの着火時期を目標着火時期範囲B内まで進角する。このとき、目標着火時期範囲Bからの遅角量が多いほど燃料噴射量の増量分を多くする。
【0054】
ここで、所定幅Aとは、燃料噴射量を増量することで、内燃機関1の運転状態や排気特性、燃費へ過剰な影響を与えることなく、気筒2c、2dでの着火時期を目標着火時期範囲B内まで進角することが可能な幅のことである。即ち、着火時期のばらつき幅が所定幅A以下であれば、上記のような吸気弁3の閉弁時期の制御によって、着火時期が最も進角している気筒2aでの着火時期を目標着火時期範囲B内とした後、更に、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している気筒2c、2dでの燃料噴射量を増量することにより、該気筒2c、2dでの着火時期も目標着火時期範囲B内とすることが可能となる。この所定幅Aは、本発明に係る所定幅に相当する。
【0055】
このような制御の結果、図5に示すように、着火時期が最も進角している気筒2aだけでなく、全ての気筒2での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。また、各気筒2内への燃料噴射量の調整のみによって、各気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とする場合と比べて、内燃機関1の運転状態への影響や排気特性、燃費の悪化を抑制することが出来る。また、吸気弁3の閉弁時期を気筒2毎に別々に制御することによって全ての気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とする場合と比べて、より簡単な制御で全ての気筒2での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。
【0056】
一方、本実施の形態に係る方法において、着火時期のばらつき幅が所定幅Aよりも大きいときは、予め、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2の予混合気のEGR率を調整することで、着火時期のばらつき幅を所定幅A以下とする。
【0057】
即ち、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも進角している気筒2の予混合気のEGR率を上昇させることで、該気筒2の着火時期を遅角する。および/または、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している気筒2の予混合気のEGR率を低下させることで、該気筒2の着火時期を進角する。
【0058】
このとき、本実施の形態に係る方法では、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも進角している気筒2の予混合気のEGR率を上昇させるときは、該気筒2に吸気を導入する吸気分配管10と連通しているEGR枝管15に設けられた枝管EGR弁17の開度を大きくし、導入されるEGRガス量を増加させる。また、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している気筒2の予混合気のEGR率を低下させるときは、該気筒2に吸気を導入する吸気分配管10と連通しているEGR枝管15に設けられた枝管EGR弁17の開度を小さくし、導入されるEGRガス量を減少させる。
【0059】
このような制御の結果、着火時期のばらつき幅が大きい場合であっても、該ばらつき幅を所定幅A以下とすることが出来る。即ち、着火時期のばらつき幅が大きい場合であっても、全ての気筒2での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。
【0060】
次に、本実施の形態に係る着火時期制御ルーチンについて図6に示すフローチャートに沿って説明する。
【0061】
図6に示すフローチャートは、本実施の形態に係る着火時期制御ルーチンを示すフローチャートである。この着火時期制御ルーチンは、ECU20によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンであり、予めECU20に備えられたROMに記憶されている。
【0062】
本ルーチンにおいて、先ず、ECU20は、S101において、内燃機関1が予混合圧縮着火燃焼を行っているか否かを判別する。このS101において、内燃機関1が予混合圧縮着火燃焼を行っていないと判定された場合、ECU20はS101を繰り返し、内燃機関1が予混合圧縮着火燃焼を行っていると判定された場合、ECU20はS102に進む。
【0063】
S102において、ECU20は、各気筒2に設けられた各圧力センサ6の出力信号から各気筒2での着火時期を推定する。
【0064】
次に、ECU20は、S103に進み、S102にて推定された着火時期のばらつき幅Xが所定幅A以下か否かを判別する。このS103において、着火時期のばらつき幅Xが所定幅A以下と判定された場合、ECU20は、S104に進み、着火時期のばらつき幅Xが所定幅Aより大きいと判定された場合、ECU20は、S113に進む。
【0065】
S104に進んだECU20は、着火時期が最も進角している気筒2での着火時期(以下、最進角着火時期と称する)が、目標着火時期範囲Bより進角しているか否かを判別する。このS104において、最進角着火時期が目標着火時期範囲Bより進角していると判定された場合、ECU20はS105に進み、最進角着火時期が目標着火時期範囲Bより進角していないと判定された場合、ECU20はS107に進む。
【0066】
S105に進んだECU20は、最進角着火時期が目標着火時期範囲B内となるような、吸気弁3の閉弁時期の遅角量を算出する。即ち、この遅角量は、着火時期が最進角着火時期である気筒2の吸気弁3の閉弁時期を該遅角量だけ遅角すると、該気筒2内の吸入空気の少なくとも一部が吸気ポートに流出し、該気筒2の予混合気の実圧縮比が低下することで、最進角着火時期が目標着火時期範囲B内となる量である。尚、この遅角量は、最進角着火時期と目標着火時期範囲Bとの差や、機関回転数等に基づくMAPから算出されるものであり、該MAPはECU20のROMに予め記憶されている。
【0067】
次に、ECU20は、S106に進み、可変動弁機構7を制御することによって、S105において算出された遅角量分、吸気弁3の閉弁時期を遅角する。このとき、ECU20は、上記のように、全ての吸気弁3の閉弁時期を略同様に遅角する。
【0068】
S106において吸気弁3の閉弁時期を遅角したECU20は、S102に戻る。
【0069】
一方、S107に進んだECU20は、最進角着火時期が目標着火時期範囲Bより遅角しているか否かを判別する。このS107において、最進角着火時期が目標着火時期範囲Bより遅角していると判定された場合、ECU20はS108に進み、最進角着火時期が目標着火時期範囲Bより遅角していないと判定された場合、ECU20はS109に進む。
【0070】
S108に進んだECU20は、最進角着火時期が目標着火時期範囲B内となるような、吸気弁3の閉弁時期の進角量を算出する。即ち、この進角量は、着火時期が最進角着火時期である気筒2の吸気弁3の閉弁時期を該進角量だけ進角すると、慣性効果によって吸気ポートから該気筒2内へ流入する吸入空気量が増加し、該気筒2の予混合気の実圧縮比が上昇することで、最進角着火時期が目標着火時期範囲B内となる量である。尚、この進角量は、S105における遅角量と同様、最進角着火時期と目標着火時期範囲Bとの差や、機関回転数等に基づくMAPから算出されるものであり、該MAPはECU20のROMに予め記憶されている。
【0071】
次に、ECU20は、S106に進み、可変動弁機構7を制御することによって、S108において算出された進角量分、吸気弁3の閉弁時期を進角する。このとき、ECU20は、上記のように、全ての吸気弁3の閉弁時期を略同様に進角する。
【0072】
S106において吸気弁3の閉弁時期を進角したECU20は、S102に戻る。
【0073】
また、S109に進んだECU20は、全ての気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内であるか否かを判別する。このS109において、全ての気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内にあると判定した場合、ECU20はS110に進み、各吸気弁3の制御を通常の制御として本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0074】
一方、S109において、少なくとも1つの気筒2の着火時期が目標着火時期範囲B内ではないと判定した場合、ECU20は、S111に進む。
【0075】
S111に進んだECU20は、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2、即ち着火時期が目標着火時期範囲Bより遅角している気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内となるような燃料噴射増加量を気筒2毎に算出する。この燃料噴射増加量は、機関負荷や機関回転数に基づくMAPによって算出されるが、燃料噴射増加量には最大値(ガード値)が予め設けられているため、S111においては、この最大値と前記MAPによって算出された値とを比較して小さい方を燃料噴射増加量とする。前記MAPはECU20のROMに予め記憶されている。
【0076】
次に、ECU30は、S112に進み、S111において算出された気筒2毎の燃料噴射増加量に基づき、着火時期が目標着火時期範囲Bより遅角している気筒2での燃料噴射量を増加する。
【0077】
S112において、着火時期が目標着火時期範囲Bより遅角している気筒2での燃料噴射量を増加したECU30は、S102に戻る。
【0078】
また、S113に進んだECU20は、機関負荷や機関回転数等に基づき、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態であるか否かを判別する。ここで、過渡運転状態とは、内燃機関1が定常運転状態にあるときと比べて、気筒2内へ供給される吸入空気量やEGRガス量、燃料噴射量等の変化が大きい運転状態のことである。
【0079】
S113において、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態であると判定された場合、ECU20は、S102に戻る。
【0080】
一方、S113において、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態でない、即ち、定常運転状態であると判定された場合、ECU20は、S114に進み、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2の予混合気のEGR率について、着火時期のばらつき幅が所定幅A以下となるような、該EGR率の調整量を気筒2毎に算出する。
【0081】
次に、ECU20は、S115に進み、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2の吸気分配管10に連通されたEGR枝管15に設けられた枝管EGR弁17の開度を、S114において算出された気筒2毎の予混合気のEGR率の調整量に基づき、調整する。即ち、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも進角している気筒2での着火時期を遅角することで、着火時期のばらつき幅を所定幅A内とするときは、該気筒2の予混合気のEGR率を上昇させるために、枝管EGR弁17の開度を大きし、気筒2内に導入されるEGRガスを増量する。また、着火時期が目標着火時期範囲Bよりも遅角している気筒2での着火時期を進角することで、着火時期のばらつき幅を所定幅A内とするときは、該気筒2の予混合気のEGR率を低下させるために、枝管EGR弁17の開度を小さくし、気筒2内に導入されるEGRガスを減量する。
【0082】
尚、枝管EGR弁17の開度調整による予混合気のEGR率の調整は、吸気弁3の閉弁時期や燃料噴射量の制御に比べて応答遅れが大きいため、内燃機関1の運転状態が定常運転状態にあるときに行うことが好ましい。そのため、本ルーチンにおいては、S113において、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態にあると判定された場合、ECU20は一旦S102に戻る。
【0083】
S115において、枝管EGR弁17開度を調整したECU20は、S102に戻る。
【0084】
このような着火時期制御ルーチンによれば、全ての気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とすることが出来る。
【0085】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法の第2の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0086】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る予混合圧縮着火内燃機関の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関は、上記した第1の実施の形態において説明した図1に示す内燃機関1から可変動弁機構7を除いたものである。そのため、図7において、図1に示す構成と同一の構成には同一の符号を付し説明を割愛する。
【0087】
本実施の形態に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法においては、少なくとも1つの気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内にない場合、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2の予混合気のEGR率を調整することのみによって、全ての気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とする。
【0088】
次に、本実施の形態に係る着火時期制御ルーチンについて図8に示すフローチャートに沿って説明する。
【0089】
図8に示すフローチャートは、本実施の形態に係る着火時期制御ルーチンを示すフローチャートである。この着火時期制御ルーチンは、ECU20によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンであり、予めECU20に備えられたROMに記憶されている。
尚、図8に示すフローチャートにおいて、S214以外は、上記した第1の実施の形態において説明した図6に示すフローチャートにおけるS101、S102、S109、S113、S115と同一であるため、詳細な説明を割愛する。
【0090】
本ルーチンでは、ECU20は、S102において、各気筒2での着火時期を推定し、次に、S109に進む。
【0091】
S109において、ECU20は、全ての気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内であるか否かを判別し、全ての気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内であると判定された場合は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0092】
一方、S109において、少なくとも1つの気筒2での着火時期が目標着火時期範囲B内にない場合、ECU20は、S113に進み、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態であるか否かを判別し、過渡運転状態であると判別された場合は、S102に戻る。一方、S113において、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態ではない、即ち、定常運転状態であると判定された場合、ECU20はS214に進む。
【0093】
S214において、ECU20は、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2の着火時期が、目標着火時期範囲B内となるような、該気筒2の予混合気のEGR率の調整量を気筒2毎に算出する。
【0094】
次に、ECU20は、S115に進み、着火時期が目標着火時期範囲B内にない気筒2の吸気分配管10に連通されたEGR枝管15に設けられた枝管EGR弁17の開度を、S214において算出された予混合気のEGR率の調整量に基づき、気筒2毎に調整し、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0095】
このような着火時期制御ルーチンによれば、枝管EGR弁17の開度を調整し、各気筒2の予混合気のEGR率を調整することのみによって、全ての気筒2での着火時期を目標着火時期範囲B内とすることが出来る。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る着火時期制御方法によれば、予混合圧縮着火燃焼を行う多気筒内燃機関において、各気筒での着火時期をより好適な時期とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の概略構成を示す図。
【図2】各気筒での着火時期を示す第1のグラフ。
【図3】各気筒での着火時期を示す第2のグラフ。
【図4】各気筒での着火時期を示す第3のグラフ。
【図5】各気筒での着火時期を示す第4のグラフ。
【図6】第1の実施の形態に係る着火時期制御ルーチンを示すフローチャート。
【図7】第2の実施の形態に係る予混合圧縮着火燃焼内燃機関の概略構成を示す図。
【図8】第2の実施の形態に係る着火時期制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1・・・内燃機関
2(2a、2b、2c、2d)・・・気筒
3(3a、3b、3c、3d)・・・吸気弁
4(4a、4b、4c、4d)・・・排気弁
5(5a、5b、5c、5d)・・・燃料噴射弁
6(6a、6b、6c、6d)・・・圧力センサ
7(7a、7b、7c、7d)・・・可変動弁機構
8・・・吸気通路
9・・・インテークマニホルド
10(10a、10b、10c、10d)・・吸気分配管
11・・エキゾーストマニホルド
12・・排気通路
13・・排気再循環装置
14・・EGR通路
15(15a、15b、15c、15d)・・EGR枝管
16・・EGR弁
17(17a、17b、17c、17d)・・枝管EGR弁
18・・クランクポジションセンサ
19・・アクセル開度センサ
20・・ECU
Claims (8)
- 複数の気筒を有し、吸気行程中および/または圧縮行程中に、気筒内に燃料と吸気との予混合気が形成され、該予混合気が燃焼に供される予混合圧縮着火燃焼を、少なくとも一部の運転領域で行う予混合圧縮着火燃焼内燃機関であって、
全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させる閉弁時期制御手段と、
各気筒での着火時期を推定する着火時期推定手段と、
を備えた予混合圧縮着火燃焼内燃機関において、
前記予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、前記着火時期推定手段によって推定された着火時期が最も進角している気筒での着火時期が目標着火時期範囲内にない場合、該気筒での着火時期が該目標着火時期範囲内となるように、前記閉弁時期制御手段によって全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に変化させることによって、全ての気筒での予混合気の実圧縮比を略同様に変化させることを特徴とする予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。 - 前記予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、前記着火時期推定手段によって推定された着火時期が少なくとも1つの気筒において前記目標着火時期範囲よりも進角している場合、着火時期が最も進角している気筒での着火時期が前記目標着火時期範囲内となるように、前記閉弁時期制御手段によって全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に遅角することを特徴とする請求項1記載の予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。
- 前記予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、前記着火時期推定手段によって推定された着火時期が全ての気筒において前記目標着火時期範囲よりも遅角している場合、着火時期が最も進角している気筒での着火時期が前記目標着火時期範囲内となるように、前記閉弁時期制御手段によって全ての気筒の吸気弁の閉弁時期を略同様に進角することを特徴とする請求項1または2に記載の予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。
- 前記予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、前記着火時期推定手段によって推定された着火時期の各気筒間でのばらつき幅が所定幅以下である場合、着火時期が最も進角している気筒での着火時期を前記目標着火時期範囲内とした後、着火時期が前記目標着火時期範囲よりも遅角している気筒での燃料噴射量を、前記目標着火時期範囲からの遅角量に基づいて気筒毎に増量することで、着火時期が前記目標着火時期範囲よりも遅角している気筒での着火時期を前記着火時期範囲内まで進角することを特徴とする請求項2または3に記載の予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。
- 前記予混合圧縮着火燃焼内燃機関は、
排気の一部を再循環排気として気筒毎に導入する排気再循環手段と、
予混合気の再循環排気率を気筒毎に調整する再循環排気率制御手段と、を更に備え、
前記予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、前記着火時期推定手段によって推定された着火時期の各気筒間でのばらつき幅が前記所定幅より大きいときは、前記再循環排気率制御手段によって、着火時期が前記目標着火時期範囲内にない気筒の予混合気の再循環排気率を調整することで、前記ばらつき幅を前記所定幅以下とすることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。 - 複数の気筒を有し、吸気行程中および/または圧縮行程中に、気筒内に燃料と吸気との予混合気が形成され、該予混合気が燃焼に供される予混合圧縮着火燃焼を、少なくとも一部の運転領域で行う予混合圧縮着火燃焼内燃機関であって、
排気の一部を再循環排気として気筒毎に導入する排気再循環手段と、
予混合気の再循環排気率を気筒毎に調整する再循環排気率制御手段と、
各気筒での着火時期を推定する着火時期推定手段と、
を備えた、予混合圧縮着火燃焼内燃機関において、
前記予混合圧縮着火燃焼が行われているときに、前記着火時期推定手段によって推定された着火時期が少なくとも1つの気筒において目標着火時期範囲内にない場合、前記再循環排気率制御手段によって、着火時期が前記目標着火時期範囲内にない気筒での予混合気の再循環排気率を調整することを特徴とする予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。 - 前記排気再循環手段は、気筒内に再循環排気を導入するEGR通路を気筒毎に有し、
前記再循環排気率制御手段は、前記EGR通路毎に設けられ各気筒に導入される再循環排気量を調整するEGR弁を有し、
前記再循環排気率制御手段は、着火時期が前記目標着火時期範囲よりも進角している気筒の再循環排気率を調整するときは、該気筒へ再循環排気を導入する前記EGR通路に設けられた前記EGR弁の開度を大きくすることを特徴とする請求項5または6に記載の予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。 - 前記排気再循環手段は、気筒内に再循環排気を導入するEGR通路を気筒毎に有し、
前記再循環排気率制御手段は、前記EGR通路毎に設けられ各気筒に導入される再循環排気量を調整するEGR弁を有し、
前記再循環排気率制御手段は、着火時期が前記目標着火時期範囲よりも遅角している気筒の再循環排気率を調整するときは、該気筒へ再循環排気を導入する前記EGR通路に設けられた前記EGR弁の開度を小さくすることを特徴とする請求項5または6に記載の予混合圧縮着火燃焼内燃機関の着火時期制御方法。
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