JP2003083141A - 圧縮着火式内燃機関 - Google Patents

圧縮着火式内燃機関

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JP2003083141A
JP2003083141A JP2001280164A JP2001280164A JP2003083141A JP 2003083141 A JP2003083141 A JP 2003083141A JP 2001280164 A JP2001280164 A JP 2001280164A JP 2001280164 A JP2001280164 A JP 2001280164A JP 2003083141 A JP2003083141 A JP 2003083141A
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internal combustion
combustion engine
cylinder
fuel injection
pressure
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Kiyoshi Fujiwara
清 藤原
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Toyota Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、可変動弁機構を備えた圧縮着火式内
燃機関において、窒素酸化物(NOx)の発生量抑制と
PMの発生量抑制とを両立することができる技術を提供
することを課題とする。 【解決手段】本発明は、低負荷時に筒内圧が高く且つ高
負荷時に筒内圧が低くなるよう吸気弁20の開閉時期お
よびまたはリフト量を変更可能な可変動弁機構100を
備えた圧縮着火式の内燃機関1において、筒内圧が高く
なるよう可変動弁機構100が制御されているときは、
筒内圧が低くなるよう可変動弁機構100が制御されて
いるときに比して燃料噴射時期を遅角させ、着火遅れ期
間の不要な短縮と燃焼温度の過剰な上昇を防止するよう
にしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに搭載さ
れる内燃機関に関し、特に可変動弁機構を備えた圧縮着
火式内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に圧縮着火式の内燃機関(ディーゼ
ルエンジン)では、高負荷時における空気過剰率の低下
を防止、言い換えれば高負荷時における吸気の充填効率
を向上させることを目的として、吸気弁の閉弁時期が吸
気行程下死点以降に大きく遅角されるとともに、始動性
の向上及び低負荷時における燃焼効率の向上を目的とし
て圧縮比が高く設定されている。
【0003】ところで、高圧縮比の内燃機関では、シリ
ンダヘッドやシリンダブロックの強度及び剛性を高くす
る必要があるため、点火式の内燃機関(ガソリンエンジ
ン)に比して排気量当たりの質量が大きくなり易く、そ
の結果、車両搭載時の重量増加を招き、燃料消費量を向
上させる上で不利になる可能性があった。
【0004】これに対し、内燃機関の圧縮比を低下させ
る方法が考えられるが、燃料噴射時期(圧縮行程上死点
近傍)における筒内雰囲気温度、いわゆる圧縮端温度が
低下するため、始動時や低負荷時に不完全燃焼となり易
く、白煙や粒子状物質(Particulate Matter:PM)の排
出量増加や燃料消費率の悪化などを招く虞がある。
【0005】そこで、近年では圧縮比を低下させると同
時に可変動弁機構を組み込んだ内燃機関の開発が進めら
れている。
【0006】このような低圧縮比の内燃機関は、例え
ば、低負荷時において吸気弁開弁時期を吸気行程上死点
以降まで遅角させるとともに吸気弁閉弁時期を吸気行程
下死点近傍に設定し、中高負荷時において吸気弁開弁時
期を吸気行程上死点の直前まで進角させるとともに吸気
弁閉弁時期を吸気行程下死点以降まで遅角させている。
【0007】ここで、低負荷時は、吸気の慣性効果が得
られにくいため、吸気の充填効率が低下する虞がある
が、吸気弁開弁時期を吸気行程上死点以降まで遅角させ
ることにより、気筒内が負圧となった状態で吸気弁が開
弁されることとなり、その結果、吸気が気筒内へ勢いよ
く流入し、吸気の充填効率が向上する。
【0008】更に、低圧縮比の内燃機関では、低負荷時
に圧縮端温度が低くなり易いが、吸気弁閉弁時期を吸気
行程下死点の近傍に設定することにより、有効圧縮スト
ローク長を十分に確保することが可能となる。
【0009】従って、低負荷時において吸気弁開弁時期
が吸気行程上死点以降まで遅角されるとともに吸気弁閉
弁時期が吸気行程下死点近傍に設定されると、吸気の充
填効率が向上すると同時に有効圧縮ストローク長が増加
するため、圧縮端温度を高めることが可能となり、以て
PMの発生量や燃料消費率の悪化が抑制される。
【0010】一方、中高負荷時は、吸気の慣性効果を得
ることが容易であるため、吸気弁開弁時期を吸気行程上
死点近傍に設定することにより、吸気のポンピングロス
を抑制しつつ吸気の充填効率を向上させることができ
る。
【0011】更に、中高負荷時は、吸気の充填効率向上
により圧縮端温度が過剰に高くなり易いが、吸気弁閉弁
時期を吸気行程下死点以降まで遅角することにより、有
効圧縮ストローク長を短縮することが可能となる。
【0012】従って、中高負荷時において吸気弁開弁時
期が吸気行程上死点近傍に設定されるとともに吸気弁閉
弁時期が吸気行程下死点以降まで遅角されると、吸気の
充填効率を低下させることなく有効圧縮ストローク長が
短縮されるため、圧縮端温度の過剰な上昇を抑制するこ
とが可能となり、以て燃料の過早着火が防止される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うな低圧縮比の内燃機関では、低負荷時において圧縮端
温度が高められるため、それに応じて燃焼温度が高くな
り、以て窒素酸化物(NOx)の発生量が不要に増加す
る場合がある。
【0014】これに対し、排気の一部を吸気系へ再循環
させる排気再循環機構(EGR機構)を内燃機関に取り
付ける方法が考えられるが、窒素酸化物(NOx)の増
加に伴って排気の再循環量が増加されると、燃料の着火
性や燃焼安定性が低下し易く、PMの発生量を増加させ
てしまう場合がある。
【0015】本発明は、上記したような問題点に鑑みて
なされたものであり、可変動弁機構を備えた圧縮着火式
内燃機関において、窒素酸化物(NOx)の発生量抑制
とPMの発生量抑制とを両立することができる技術を提
供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
な課題を解決するために以下のような手段を採用した。
すなわち、本発明に係る圧縮着火式内燃機関は、圧縮着
火式内燃機関の吸気弁の開閉時期およびまたはリフト量
を変更する可変動弁機構と、前記内燃機関の負荷が低い
ときは負荷が高いときに比して気筒内の圧力が高くなる
ように可変動弁機構を制御する動弁機構制御手段と、前
記気筒内へ燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記可変動弁
機構が前記気筒内の圧力を高くすべく制御されていると
きは、前記気筒内の圧力を低くすべく制御されていると
きに比して前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角さ
せる燃料噴射時期制御手段と、を備えている。
【0017】この発明は、低負荷時に気筒内の圧力が高
く且つ高負荷時に気筒内の圧力が低くなるよう吸気弁の
開閉時期およびまたはリフト量を変更可能な可変動弁機
構を備えた圧縮着火式の内燃機関において、気筒内の圧
力が高くなるよう可変動弁機構が制御されているとき
は、気筒内の圧力が低くなるよう可変動弁機構が制御さ
れているときに比して燃料噴射時期を遅角させることを
最大の特徴としている。
【0018】かかる圧縮着火式内燃機関では、動弁機構
制御手段は、内燃機関の負荷が低いときは気筒内の圧力
が高くなるように可変動弁機構を制御し、内燃機関の負
荷が高いときは気筒内の圧力が低くなるよう可変動弁機
構を制御する。
【0019】ここで、内燃機関の負荷が低いときに気筒
内の圧力(以下、筒内圧と記す)が高められると、圧縮
行程末期における筒内圧(所謂、圧縮端温度)が高くな
るため、燃料の着火性及び燃焼安定性が向上し、その結
果、粒子状物質(PM)の排出量増加や燃料消費率の悪
化が防止されることになる。
【0020】一方、内燃機関の負荷が高いときに筒内圧
が低められると、圧縮端温度が低くなるため、燃焼温度
が過剰に高くなることがなく、その結果、高負荷時にお
ける窒素酸化物(NOx)の発生量が抑制されることに
なる。
【0021】ところで、内燃機関の負荷が低いときに筒
内圧が高められると、圧縮端温度の上昇により燃料の着
火性や燃焼安定性が向上する一方、燃焼温度の過剰な上
昇や燃料の過早着火が発生する場合がある。
【0022】燃焼温度が過剰に上昇した場合には、窒素
酸化物(NOx)の発生量が増加することになる。ま
た、燃料の過早着火が発生した場合には、燃料噴射弁が
燃料噴射を開始した時点から燃料に着火する時点までの
期間(所謂、着火遅れ期間)が過剰に短くなるため、燃
料と空気との混合が十分に行われず、煤などの発生量が
増加することになる。
【0023】これに対し、本発明にかかる圧縮着火式内
燃機関では、可変動弁機構が筒内圧を高くすべく制御さ
れるときには、可変動弁機構が筒内圧を低くすべく制御
されるときに比して燃料噴射時期が遅角されるようにし
た。
【0024】筒内圧が高いときに燃料噴射時期が遅角さ
れると、燃料噴射開始時点における筒内圧が圧縮端温度
よりも低くなるため、燃焼温度の過剰な上昇及び燃料の
過早着火が抑制される。
【0025】この結果、窒素酸化物(NOx)の発生量
が抑制されるとともに、燃料と空気との混合時間が十分
に確保されることになる。また、本発明に係る圧縮着火
式内燃機関が排気再循環機構(EGR機構)を備えてい
る場合には、排気の再循環量を過剰に増加させることな
く窒素酸化物(NOx)の発生量を抑制することができ
るため、排気再循環量の過剰な増加による着火性及び燃
焼安定性の低下が防止され、以てPMの増加が防止され
る。
【0026】尚、本発明に係る可変動弁機構は、筒内圧
が高くなる第1の開閉時期およびまたはリフト量と、筒
内圧が低くなる第2の開閉時期およびまたはリフト量と
の何れか一方を選択可能に構成されるものであってもよ
く、あるいは前記第1の開閉時期およびまたはリフト量
から第2の開閉時期およびまたはリフト量まで連続的に
変更可能に構成されるものであってもよい。
【0027】また、本発明にかかる圧縮着火式内燃機関
が気筒内の圧力を検出する筒内圧検出手段を備えている
場合には、燃料噴射時期制御手段は、可変動弁機構の制
御状態に加え、筒内圧検出手段の検出圧力を考慮して燃
料噴射時期の遅角量を制御するようにしてもよい。
【0028】その際、燃料噴射時期制御手段は、筒内圧
検出手段の検出圧力が高くなるほど燃料噴射時期の遅角
量が大きくなるようにすることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る圧縮着火式内
燃機関の具体的な実施態様について図面に基づいて説明
する。
【0030】図1は、本発明に係る圧縮着火式内燃機関
の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、
4つの気筒2を有する水冷式の4ストローク・サイクル
・ディーゼル機関であり、圧縮比が比較的低く設定され
ている。
【0031】内燃機関1の各気筒2には、吸気弁20と
排気弁21とがそれぞれ二つ配設されるとともに、図示
しない燃焼室へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁3が配置
されている。更に、各気筒2には、筒内の圧力に対応し
た電気信号を出力する筒内圧センサ4が設けられてい
る。
【0032】前記した各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧
まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)5と連通してい
る。このコモンレール5には、該コモンレール5内の燃
料の圧力(コモンレール圧)に対応した電気信号を出力
するコモンレール圧センサ5aが取り付けられている。
【0033】前記コモンレール5は、燃料供給管6を介
して燃料ポンプ7と連通している。この燃料ポンプ7
は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転ト
ルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポン
プ7の入力軸に取り付けられたポンププーリ7aが内燃
機関1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられた
クランクプーリ1aとベルト8を介して連結されてい
る。
【0034】このように構成された燃料噴射系では、ク
ランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ7の入力軸へ
伝達されると、燃料ポンプ7は、クランクシャフトから
該燃料ポンプ7の入力軸へ伝達された回転トルクに応じ
た圧力で燃料を吐出する。
【0035】前記燃料ポンプ7から吐出された燃料は、
燃料供給管6を介してコモンレール5へ供給され、コモ
ンレール5にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴
射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に所定の駆
動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結
果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。
【0036】次に、内燃機関1には、吸気枝管9が接続
されており、吸気枝管9の各枝管は、各気筒2の燃焼室
と図示しない吸気ポートを介して連通している。前記吸
気枝管9は、吸気管10に接続され、この吸気管10
は、上流にて図示しないエアクリーナボックスやエアダ
クトと接続されている。
【0037】このように構成された吸気系では、エアク
リーナボックスに流入した吸気が該エアクリーナボック
ス内のエアクリーナによって吸気中の塵や埃等が除去さ
れた後、吸気管10を介して吸気枝管9へ導かれ、次い
で吸気枝管9の各枝管を介して各気筒2の吸気ポートへ
分配される。吸気ポートへ分配された吸気は、吸気弁2
0が開弁した際に、各気筒2の燃焼室内へ吸入されるこ
とになる。
【0038】一方、内燃機関1には、排気枝管11が接
続され、排気枝管11の各枝管が図示しない排気ポート
を介して各気筒2の燃焼室と連通している。前記排気枝
管11は、排気管12と接続され、その排気管12は下
流にて排気浄化触媒に接続されている。
【0039】このように構成された排気系では、内燃機
関1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気
ポートを介して排気枝管11へ排出され、次いで排気枝
管11から排気管12へ排出される。排気管12へ流入
した排気は、該排気管12下流の排気浄化触媒にて排気
中の有害ガス成分を浄化された後に大気中へ放出される
ことになる。
【0040】また、吸気枝管9と排気枝管11とは、排
気枝管11内を流れる排気の一部を吸気枝管9へ再循環
させる排気再循環通路(EGR通路)13を介して連通
されている。このEGR通路13の途中には、電磁弁な
どで構成され、印加電力の大きさに応じて前記EGR通
路13内を流れる排気(以下、EGRガスと称する)の
流量を変更する流量調整弁(EGR弁)14が設けられ
ている。
【0041】前記EGR通路13においてEGR弁14
より上流の部位には、該EGR通路13内を流れるEG
Rガスを冷却するEGRクーラ15が設けられている。
【0042】このように構成された排気再循環機構で
は、EGR弁14が開弁されると、EGR通路13が導
通状態となり、排気枝管11内を流れる排気の一部が前
記EGR通路13へ流入し、EGRクーラ15を経て吸
気枝管9へ導かれる。
【0043】その際、EGRクーラ15では、EGR通
路13内を流れるEGRガスと所定の冷媒との間で熱交
換が行われ、EGRガスが冷却されることになる。
【0044】EGR通路13を介して排気枝管11から
吸気枝管9へ還流されたEGRガスは、吸気枝管9の上
流から流れてきた新気と混ざり合いつつ各気筒2の燃焼
室へ導かれ、燃料噴射弁3から噴射される燃料を着火源
として燃焼される。
【0045】ここで、EGRガスには、水(H2O)や
二酸化炭素(CO2)などのように、自らが燃焼するこ
とがなく、且つ、吸熱性を有する不活性ガス成分が含ま
れているため、EGRガスが混合気中に含有されると、
混合気の燃焼温度が低められ、以て窒素酸化物(NO
x)の発生量が抑制される。
【0046】更に、EGRクーラ15においてEGRガ
スが冷却されると、EGRガス自体の温度が低下すると
ともにEGRガスの体積が縮小されるため、EGRガス
が燃焼室内に供給されたときに該燃焼室内の雰囲気温度
が不要に上昇することがなくなるとともに、燃焼室内に
供給される新気の量(新気の体積)が不要に減少するこ
ともなくなる。
【0047】また、本実施の形態に係る内燃機関1に
は、吸気弁20のリフト量及び作用角を変更する可変動
弁機構100が設けられている。
【0048】この可変動弁機構100は、機関始動時及
び低負荷時における内燃機関1の運転性及び排気エミッ
ションの向上と、中高負荷時における内燃機関1の運転
性及び排気エミッションの向上とを両立するために設け
られた機構である。
【0049】これは、本実施の形態における内燃機関1
が低圧縮比の圧縮着火式ディーゼル機関であるため、吸
気の慣性効果が得られやすく吸気の充填効率を高めやす
い中高負荷運転領域では圧縮行程上死点における気筒2
内の温度(圧縮端温度)が好適に高くなり、窒素酸化物
(NOx)や煤の発生量を抑制しつつ燃焼安定性を確保
することが可能になるが、吸気の慣性効果が得られ難く
吸気の充填効率が低下し易い低負荷運転領域では圧縮端
温度が低くなり、着火性や燃焼安定が低下して未燃燃料
成分(炭化水素(HC))の排出量が多くなるという問
題があるからである。
【0050】可変動弁機構100は、図2に示すよう
に、内燃機関1のシリンダヘッドに回転自在に支持され
たインテークカムシャフト30と、前記インテークカム
シャフト30と平行にシリンダヘッドに固定されたロッ
カシャフト33と、前記ロッカシャフト33に回転自在
に支持されたロッカアーム34と、前記ロッカアーム3
4の回動により開閉駆動される吸気弁20と、前記吸気
弁20を閉弁方向へ付勢するバルブスプリング200と
を備えている。
【0051】前記インテークカムシャフト30には、カ
ムプロフィールの異なる2種類のカム31,32がそれ
ぞれ気筒数と同数(本実施の形態では4つ)設けられて
いる。これら二つのカム31,32は、一方のカム31
のプロフィールが他方のカム32のプロフィールに比し
てリフト量及び作用角が大きくなるよう形成されてい
る。以下では、カム31を高リフトカム31と称し、カ
ム32を低リフトカム32と称する。
【0052】前記インテークカムシャフト30の斜め下
方には、前記したロッカシャフト33が配設され、その
ロッカシャフト33には、前記ロッカアーム34の基端
部が回転自在に支持されている。その際、ロッカシャフ
ト33には、気筒数と同数個のロッカアーム34が取り
付けられているものとする。
【0053】前記した各ロッカアーム34の先端部には
アーム35が突設されている。前記アーム35の先端部
は二股に分岐しており、分岐した二つの先端部が各気筒
2の二つの吸気弁20の基端部とそれぞれ当接してい
る。
【0054】また、各ロッカアーム34の表面には、図
3に示すように、高リフトカム31と当接可能な可動カ
ムフォロワ36と、低リフトカム32と当接可能なロー
ラカムフォロワ37とが配設されている。
【0055】前記ローラカムフォロワ37は、ロッカア
ーム34に回転可能に支持されており、低リフトカム3
2と転がり接触しつつ低リフトカム32の押圧力をロッ
カアーム34へ伝達するように構成されている。
【0056】前記可動カムフォロワ36は、ロッカアー
ム34に対して上下方向に摺動自在に配設されている。
この可動カムフォロワ36とロッカアーム34との間に
は、可動カムフォロワ36を高リフトカム31へ向けて
付勢するコイルスプリング38が介設されている。
【0057】ここで、前記したロッカアーム34には、
前記可動カムフォロワ36のロッカアーム34に対する
相対摺動を選択的に許容または規制(ロック)するロッ
ク機構39が備えられている。
【0058】前記ロック機構39は、図4に示すよう
に、ロッカアーム34を上下方向に貫通し前記可動カム
フォロワ36を摺動自在に支持する摺動孔40と、前記
摺動孔40と交差するようロッカアーム34内に形成さ
れたシリンダ孔41と、前記シリンダ孔41内に摺動自
在に遊嵌されたロックピン42と、前記シリンダ孔41
内に配置され、前記ロックピン42を前記摺動孔40か
ら離間する方向へ付勢するコイルスプリング43と、を
備えている。
【0059】前記ロックピン42の摺動孔40側の端部
には、ストッパ44が突設されている。このストッパ4
4は、ロックピン42がシリンダ孔41の基端に位置す
るときは図4に示すように該ストッパ44の大部分がシ
リンダ孔41内に収容され、ロックピン42がシリンダ
孔41の先端に位置するときは図5に示すように該スト
ッパ44の大部分が前記摺動孔40内に突出するよう構
成されている。
【0060】また、前記シリンダ孔41において前記ロ
ックピン42により区画された基端側の空間45は、ロ
ックピン42を摺動させるための作動油が導入される油
圧室となっている。この油圧室45には、ロッカアーム
34内に形成されたロッカアーム油通路46が連通して
いる。このロッカアーム油通路46は、前記ロッカシャ
フト33内に形成されたロッカシャフト油通路47(図
1及び図2参照)と連通している。
【0061】前記ロッカシャフト油通路47は、図3に
示すように、オイルコントロールバルブ(OCV)50
と油通路48を介して連通している。前記OCV50に
は、オイル供給通路51とオイルリターン通路52とが
接続されている。
【0062】前記オイル供給通路51は、内燃機関1の
潤滑油を強制循環させるためのオイルポンプ53と接続
され、前記オイルリターン通路52は、内燃機関1の潤
滑油を貯蔵するためのオイルパン54に接続されてい
る。
【0063】前記したOCV50は、オイル供給通路5
1とオイルリターン通路52との何れか一方を選択的に
前記油通路48と導通させるものである。このOCV5
0は、例えば、ソレノイドバルブで構成され、駆動電流
が印加されていないときはオイルリターン通路52を前
記油通路48と導通させ、駆動電流が印加されたときに
はオイル供給通路51を前記油通路48と導通させる。
【0064】このように構成されたロック機構39で
は、OCV50に駆動電流が印加されていないときは、
油通路48とオイルリターン通路52とが連通されるた
め、油圧室45内の作動油がロッカアーム油通路46→
ロッカシャフト油通路47→油通路48→オイルリター
ン通路52を経てオイルパン54へ排出され、油圧室4
5内の油圧が低下する。
【0065】前記油圧室45の油圧が低下すると、ロッ
クピン42がコイルスプリング43の付勢力を受けてシ
リンダ孔41の基端へ移動し(図4参照)、それに伴っ
てストッパ44がシリンダ孔41内に収容される。
【0066】この場合、可動カムフォロワ36が摺動孔
40内を摺動自在となる。すなわち、ロッカアーム34
に対する可動カムフォロワ36の相対摺動が許容される
ことになる。
【0067】ロッカアーム34に対する可動カムフォロ
ワ36の相対摺動が許容された場合には、高リフトカム
31から可動カムフォロワ36へ伝達される押圧力はコ
イルスプリング38を介してロッカアーム34へ伝達さ
れることになる。
【0068】その際、コイルスプリング38の付勢力が
バルブスプリング200の付勢力に比して十分に小さく
設定されているため、高リフトカム31から可動カムフ
ォロワ36へ伝達された押圧力はコイルスプリング38
の伸縮動作(言い換えれば、可動カムフォロワ36の摺
動動作)によって吸収されることになる。言い換えれ
ば、高リフトカム31からロッカアーム34に対し、バ
ルブスプリング200の付勢力より大きな力は伝達され
ないことになる。
【0069】この結果、ロッカアーム34は、低リフト
カム32からローラカムフォロワ37へ伝達される押圧
力により揺動されることになり、このロッカアーム34
の揺動に伴って吸気弁20が開閉駆動されることにな
る。すなわち、吸気弁20は、低リフトカム32のカム
プロフィール形状に従って開閉駆動されることになる。
【0070】一方、OCV50に駆動電流が印加されて
いるときは、油通路48とオイル供給通路51とが連通
されるため、オイルポンプ53から吐出された作動油が
オイル供給通路51→油通路48→ロッカシャフト油通
路47→ロッカアーム油通路46を経て油圧室45へ供
給され、油圧室45内の油圧が上昇する。
【0071】前記油圧室45の油圧が上昇すると、ロッ
クピン42がコイルスプリング43の付勢力に抗してシ
リンダ孔41の先端へ移動し(図5参照)、それに伴っ
てストッパ44が摺動孔40内に突出するようになる。
【0072】この場合、可動カムフォロワ36が最上位
に変位した状態で該可動カムフォロワ36の底面がスト
ッパ44と当接するため、ロッカアーム34に対する可
動カムフォロワ36の相対摺動が規制(ロック)される
ことになる。
【0073】ロッカアーム34に対する可動カムフォロ
ワ36の相対摺動が規制(ロック)された場合には、高
リフトカム31から可動カムフォロワ36へ伝達される
押圧力がストッパ44及びロックピン42を介してロッ
カアーム34に伝達されるようになる。
【0074】この結果、ロッカアーム34は、高リフト
カム31から可動カムフォロワ36及びロックピン42
へ伝達される押圧力により揺動されることになり、この
ロッカアーム34の揺動に伴って吸気弁20が開閉駆動
される。すなわち、吸気弁20は、高リフトカム31の
カムプロフィール形状に従って開閉駆動されることにな
る。
【0075】ここで、前記した高リフトカム31のカム
プロフィールは、例えば、図6中の実線で示されるよう
に、吸気弁20の開弁時期が吸気行程上死点(TDC:TOP
DEADCENTER)より2°早い時期(BTDC 2°, BTDC:BEFOR
E TOP DEAD CENTER)となり、且つ、吸気弁20の閉弁
時期が吸気行程下死点(BDC:BOTTOM DEAD CENTER)より
30°遅い時期(ABDC 30°, ABDC:AFTER BOTTOM DEAD
CENTER)となるよう形成されるものとする。
【0076】このように形成された高リフトカム31が
選択された場合には、吸気弁20が吸気行程上死点の直
前で開弁するため、吸気のポンピングロスが少なくなる
とともに、吸気弁が吸気行程下死点より大幅に遅れて閉
弁するため、有効圧縮ストローク長が短くなり、圧縮端
温度及び燃焼温度を低下させることができる。
【0077】このため、吸気の慣性効果が得られ易く吸
気の充填効率が高くなり易い中高負荷運転領域において
高リフトカム31が選択されれば、ポンピングロスの低
下によって機関出力の低下を防止することが可能になる
とともに、有効圧縮ストローク長の短縮によって圧縮端
温度及び燃焼温度の過剰な上昇を防止することが可能と
なる。
【0078】一方、低リフトカム32のカムプロフィー
ルは、例えば、図6中の破線で示されるように、吸気弁
20の開弁時期が吸気行程上死点より60°遅い時期
(ATDC60°)となり、且つ、吸気弁20の閉弁時期が吸
気行程下死点より20°遅い時期(ABDC 20°)となる
ように形成されるものとする。
【0079】このような形状のカムプロフィールを有す
る低リフトカム32が選択された場合には、吸気弁20
が吸気行程の半ばで開弁することになるため、吸気弁2
0の開弁時に気筒2内が負圧となり、吸気が勢いよく気
筒2内へ流入するようになる。また、吸気弁20が吸気
行程下死点後の比較的早い時期に閉弁されるため、有効
圧縮ストローク長が長くなり、圧縮端温度を上昇させる
ことができる。
【0080】このため、吸気の慣性効果が得られ難く吸
気の充填効率が低くなり易い低負荷運転領域において低
リフトカム32が選択されれば、気筒2内へ流入する吸
気の勢いを増大させることによって吸気の充填効率を高
めることが可能になるとともに、有効圧縮ストローク長
の増加によって圧縮端温度を高めることが可能となる。
【0081】ここで図1に戻り、内燃機関1には、該内
燃機関1の運転状態を制御するための電子制御ユニット
(ECU:Electronic Control Unit)18が併設され
ている。このECU18は、内燃機関1の運転条件や運
転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユ
ニットであり、CPU、ROM、RAM、及びバックア
ップRAM等を備えた算術論理演算回路として構成され
ている。
【0082】ECU18には、前述した筒内圧センサ4
やコモンレール圧センサ5aに加え、内燃機関1のクラ
ンクシャフトが所定角度(例えば、10°)回転する度
にパルス信号を出力するクランクポジションセンサ1
6、内燃機関1のウォータジャケットを循環する冷却水
の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ17、
アクセルペダルの操作量に対応した電気信号を出力する
アクセル開度センサ19などが電気的に接続され、各種
センサの出力信号がECU18に入力されるようになっ
ている。
【0083】また、ECU18には、燃料噴射弁3、E
GR弁14、及び可変動弁機構100のOCV50が電
気的に接続され、ECU18の出力信号が上記した燃料
噴射弁3、EGR弁14、及び可変動弁機構100に入
力されるようになっている。
【0084】このように構成されたECU18は、RO
Mに予め記憶された各種のアプリケーションプログラム
に従って、EGR制御や可変動弁制御に加え、本発明の
要旨となる燃料噴射制御を実行する。
【0085】EGR制御では、ECU18は、先ず、ク
ランクポジションセンサ16、水温センサ17の出力信
号(冷却水温度)、及びアクセル開度センサ19の出力
信号(アクセル開度)を入力する。ECU18は、クラ
ンクポジションセンサ16の出力信号に基づいて機関回
転数を算出し、その機関回転数とアクセル開度とから内
燃機関1の負荷(機関負荷)を判定する。
【0086】次いで、ECU18は、前記した機関負
荷、冷却水温度、アクセル開度からEGR制御実行条件
が成立しているか否かを判別する。EGR制御実行条件
としては、冷却水温度が所定温度以上である、内燃機関
1の運転状態が高負荷運転領域にない、内燃機関1の運
転状態が減速運転領域にない、等の条件を例示すること
ができる。これらの条件は、冷間時における運転性を確
保するとともに、高負荷運転時の黒煙排出量を低減する
ための条件である。
【0087】上記したようなEGR制御実行条件が成立
していると判定された場合には、ECU18は、EGR
弁14を開弁させ、排気枝管11を流れる排気の一部を
吸気枝管9へ還流させる。
【0088】その際、ECU18は、内燃機関1の吸入
空気量が所定の目標吸入空気量となるようにEGR弁1
4の開度を制御する。例えば、内燃機関1の実際の吸入
空気量が目標吸入空気量より少ない場合は、ECU18
は、EGR弁14を所定量閉弁させる。この場合、EG
R通路13から吸気枝管9へ流入するEGRガス量が減
少し、それに応じて内燃機関1の各気筒2内へ吸入され
るEGRガス量が減少することになる。その結果、内燃
機関1の気筒2内に吸入される空気の量は、EGRガス
が減少した分だけ増加する。
【0089】一方、内燃機関1の実際の吸入空気量が目
標吸入空気量より多い場合は、ECU18は、EGR弁
14を所定量開弁させる。この場合、EGR通路13か
ら吸気枝管9へ流入するEGRガス量が増加し、それに
応じて内燃機関1の各気筒2内に吸入されるEGRガス
量が増加する。この結果、内燃機関1の気筒2内に吸入
される空気の量は、EGRガスが増加した分だけ減少す
ることになる。
【0090】次に、可変動弁制御では、ECU18は、
アクセル開度と機関回転数とから機関負荷を判定する。
機関負荷が低負荷領域にあるときは、ECU18は、低
リフトカム32により吸気弁20を開閉駆動すべくOC
V50に対する駆動電流の印加を停止する。また、機関
負荷が中高負荷領域にあるときは、ECU18は、高リ
フトカム31により吸気弁20を開閉駆動すべくOCV
50に対して駆動電流を印加する。
【0091】先に述べたように、内燃機関1の中高負荷
運転領域において高リフトカム31が選択されると、ポ
ンピングロスによる機関出力の低下が防止されるととも
に圧縮端温度の過剰な上昇が防止されるため、内燃機関
1の出力を低下させることなく燃焼温度の低下を図るこ
とが可能となる。その結果、内燃機関1の運転性を確保
しつつ、窒素酸化物(NOx)や煤の発生量を抑制する
ことができる。
【0092】また、内燃機関1の始動時や低負荷運転領
域において低リフトカム32が選択されると、圧縮端温
度の好適に上昇させることが可能となるため、燃料の着
火性及び燃焼安定性を高めることが可能となる。その結
果、内燃機関1の運転性を確保しつつ未燃燃料成分の排
出量を低下させることができる。
【0093】次に、燃料噴射制御では、ECU18は、
先ず機関回転数とアクセル開度とをパラメータとして基
本噴射量:Qbaseを算出する。その際、機関回転数とア
クセル開度と基本噴射量:Qbaseとの関係を予めマップ
化してROMに記憶しておくようにしてもよい。
【0094】更に、ECU18は、現時点の機関回転数
において各気筒2で理論上燃焼可能な燃料量の最大値
(以下、基本最大噴射量と称する)を算出する。次い
で、ECU18は、前記した基本最大噴射量を各種のパ
ラメータ(例えば、吸気圧力、吸気温度、燃料温度、冷
却水温度など)に応じて補正することにより、最大噴射
量:Qfullを算出する。
【0095】ECU18は、上記したように基本噴射
量:Qbaseと最大噴射量:Qfullを算出すると、これら
二つの噴射量を比較して少ない方の噴射量を最終の目標
燃料噴射量として決定する。
【0096】このようにして目標燃料噴射量が決定され
ると、ECU18は、燃料噴射時期を決定する。具体的
には、ECU18は、機関回転数とアクセル開度とをパ
ラメータとして基本目標燃料噴射時期を算出し、その基
本目標燃料噴射時期を各種パラメータ(例えば、吸気圧
力、冷却水温度、コモンレール圧など)に応じて補正し
て最終の目標燃料噴射時期を算出する。その際、機関回
転数とアクセル開度と基本目標燃料噴射時期との関係を
予めマップ化してROMに記憶しておくようにしてもよ
い。
【0097】目標燃料噴射量と目標燃料噴射時期とが決
定されると、ECU18は、クランクポジションセンサ
16の出力信号から各気筒2のクランク位置を求め、目
標燃料噴射時期と各気筒2のクランク位置とが一致した
時点で各気筒2の燃料噴射弁3へ駆動電流を印加する。
【0098】ここで、圧縮着火式内燃機関の燃焼は、燃
料噴射開始から燃料の蒸発拡散により可燃混合気が形成
されるまでの着火遅れ期間と、可燃混合気が自己着火し
て燃焼する予混合燃焼期間と、燃料噴射弁から継続して
噴射される燃料に火炎が拡散する拡散燃焼期間と、燃料
噴射終了後の気筒内に存在する燃料が燃焼する後燃え期
間とから成り立っている。そして、通常の燃料噴射制御
においては、目標燃料噴射時期は、上記した予混合燃焼
期間が圧縮行程上死点付近となるように設定される。
【0099】ところで、可変動弁機構100において高
リフトカム31が選択されている場合は、気筒2内の圧
力(筒内圧)が比較的低く圧縮端温度も比較的低くなる
ため、予混合燃焼期間が圧縮上死点付近になるように目
標燃料噴射時期が設定されても着火遅れ期間が不要に短
くなることがなく且つ燃焼温度が過剰に高くなることも
ないが、可変動弁機構100において低リフトカム32
が選択されている場合は、筒内圧が高く圧縮端温度も高
くなるため、予混合燃焼期間が圧縮上死点付近になるよ
うに目標燃料噴射時期が設定されると、燃料の過早着火
による着火遅れ期間の不要な短縮や、燃焼温度の過剰な
上昇を招く虞がある。
【0100】上記したように着火遅れ期間が不要に短縮
されると、燃料が空気不足の状態で高温下に曝され、煤
の生成量が増加することになる。また、燃焼温度が過剰
に高くなると、窒素酸化物(NOx)の発生量が増加す
ることになる。
【0101】従って、可変動弁機構100を備えた内燃
機関1において、低リフトカム32選択時の目標燃料噴
射時期が高リフトカム31選択時の目標燃料噴射時期と
同様に設定されると、煤や窒素酸化物(NOx)の発生
量が増加し、排気エミッションの悪化を招くことにな
る。
【0102】これに対し、低リフトカム32選択時にお
いて窒素酸化物(NOx)の発生量を抑制すべくEGR
ガス量を増加させることが考えられるが、内燃機関1の
燃焼が不安定となり、煤や未燃燃料成分の発生量が増加
する虞がある。
【0103】そこで、本実施の形態では、可変動弁機構
100において低リフトカム32が選択されているとき
は、前記した目標燃料噴射時期を遅角補正することによ
り、予混合燃焼期間を圧縮行程上死点後まで遅らせるよ
うにした。
【0104】尚、低リフトカム32が選択されている場
合においても、内燃機関1の運転状態に応じて実際の筒
内圧が変化するため、各気筒2に設けられた筒内圧セン
サ4の出力信号値に基づいて遅角量を変更することが好
ましい。
【0105】従って、本実施の形態では、低リフトカム
32選択時において基本となる遅角量(以下、基本遅角
量と称する)を予め実験的に求めておき、その基本遅角
量を筒内圧センサ4の出力信号値に基づいて補正するこ
とにより、遅角補正量を算出するようにした。
【0106】以下、本実施の形態に係る燃料噴射時期補
正制御について図7のフローチャートに従って説明す
る。
【0107】図7に示すフローチャートは、燃料噴射時
期補正制御ルーチンを示すフローチャートであり、予め
ROMに記憶されているルーチンである。このフローチ
ャートは、ECU18により所定時間毎(例えば、クラ
ンクポジションセンサ16がパルス信号を出力する度)
に繰り返し実行される。
【0108】燃料噴射時期補正制御ルーチンでは、EC
U18は、先ずS701において、機関回転数とアクセ
ル開度とをパラメータとして基本目標燃料噴射時期を算
出し、その基本目標燃料噴射時期を吸気圧力、冷却水温
度、コモンレール圧などの各種パラメータに応じて補正
して目標燃料噴射時期を算出する。
【0109】S702では、ECU18は、可変動弁機
構100において低リフトカム32が選択されているか
否か、具体的にはOCV50に駆動電流が印加された状
態であるか否かを判別する。
【0110】前記S702において低リフトカム32が
選択されていないと判定された場合、言い換えれば、高
リフトカム31が選択されている場合は、ECU18
は、前記S701で算出された目標燃料噴射時期を最終
の目標燃料噴射時期としてRAMなどに記憶し、本ルー
チンの実行を一旦終了する。
【0111】一方、前記S702において低リフトカム
32が選択されていると判定された場合は、ECU18
は、S703へ進み、ROMから基準補正量:Avvtを読
み出す。
【0112】S704では、ECU18は、筒内圧セン
サ4の出力信号値(筒内圧)を入力する。
【0113】S705では、ECU18は、前記S70
4で入力した筒内圧をパラメータとして図8に示すよう
なマップへアクセスし、前記筒内圧に対応した筒内圧補
正係数:kvvtを算出する。
【0114】ここで、筒内圧補正係数:kvvtは、図8に
示すように、筒内圧が第1の所定圧以上且つ第2の所定
圧(>第1の所定圧)以下の範囲にあるときは、1未満
の正数の範囲(0<kvvt<1)内で筒内圧が高くなるほ
ど大きな値となるよう設定される。更に、筒内圧補正係
数:kvvtは、筒内圧が第1の所定圧未満であるときは
“0”に設定されるとともに、筒内圧が第1の所定圧よ
り高いときは“1”に設定される。
【0115】上記したような方法により筒内圧補正係
数:kvvtが算出されると、ECU18は、S706へ進
み、前記S703で算出された基準補正量:Avvtと前記
S705で算出された筒内圧補正係数:kvvtとに基づい
て、前記S701で算出された目標燃料噴射時期:Ainj
を補正して最終の目標燃料噴射時期を決定する。具体的
には、ECU18は、前記S701で算出された目標燃
料噴射時期:Ainjに、前記基準補正量:Avvtと前記筒内
圧補正係数:kvvtとの積算値を加算して最終の目標燃料
噴射時期:Ainj(=Ainj+Avvt×kvvt)を算出する。E
CU18は、前記した最終の目標燃料噴射時期:Ainj
(=Ainj+Avvt×kvvt)をRAMなどに記憶して本ルー
チンの実行を終了する。
【0116】以上述べたようにECU18が燃料噴射時
期補正制御ルーチンを実行することにより、可変動弁機
構100において低リフトカム32が選択されていると
きには、燃料噴射時期が筒内圧に応じて遅角されるた
め、予混合燃焼期間が膨張行程に移行することとなり、
着火遅れ期間の過剰な短縮及び燃焼温度の過剰な上昇が
防止されることになる。
【0117】その結果、低圧縮比の圧縮着火式内燃機関
1が低負荷運転状態にあるときに、圧縮端温度を高める
べく低リフトカム32が選択されていても、着火遅れ期
間の過剰な短縮に起因した煤や未燃燃料成分の発生量増
加、及び燃焼温度の過剰な上昇に起因した窒素酸化物
(NOx)の発生量増加を抑制することが可能となる。
【0118】従って、本実施の形態によれば、可変動弁
機構100を備えた圧縮着火式内燃機関1において、窒
素酸化物(NOx)の発生量抑制とPMの発生量抑制と
を両立することが可能となる。
【0119】尚、本実施の形態では、低リフトカム32
選択時における気筒2内の圧力を考慮して目標燃料噴射
時期を補正しているが、気筒2内における燃料の着火性
は気筒2内で圧縮された空気と燃料噴射弁3から噴射さ
れる燃料との温度差が大きくなるほど高くなるため、冷
却水温度、吸気温度、潤滑油の温度、吸気圧力、燃料温
度などをパラメータとして圧縮空気と燃料との温度差を
推定し、その推定値と気筒2内の圧力とを考慮して遅角
補正量を算出するようにしてもよい。
【0120】また、本実施の形態では、油圧により高リ
フトカムと低リフトカムとの切り換えを行う可変動弁機
構を例に挙げたが、電磁力や負圧を利用してカムの切換
を行うものであってもよい。
【0121】<他の実施の形態>前述した実施の形態で
は、本発明に係る可変動弁機構として、高リフトカム3
1と低リフトカム32との二つのカムを内燃機関の運転
状態に応じて切り換える二段切り換え式の可変動弁機構
100を例に挙げて説明したが、上記した高リフトカム
31と同様のカムプロフィール(高リフトカムプロフィ
ール)から低リフトカム32と同様のカムプロフィール
(低リフトカムプロフィール)まで連続的にカムプロフ
ィールを変更可能な三次元カムを備えた可変動弁機構で
あってもよい。
【0122】その場合の目標燃料噴射時期の遅角量は、
高リフトカムプロフィールが選択されているときは
“0”に設定され、選択されたカムプロフィールが低リ
フトカムプロフィール寄りになるほど大きくなるように
すればよい。
【0123】
【発明の効果】本発明に係る圧縮着火式内燃機関では、
低負荷時に筒内圧が高く且つ高負荷時に筒内圧が低くな
るよう吸気弁の開閉時期およびまたはリフト量を変更可
能な可変動弁機構を備えた圧縮着火式の内燃機関におい
て、筒内圧が高くなるよう可変動弁機構が制御されてい
るときは、筒内圧が低くなるよう可変動弁機構が制御さ
れているときに比して燃料噴射時期が遅角されるため、
燃料の過早着火や燃焼温度の過剰な上昇を防止すること
ができる。
【0124】この結果、本発明に係る圧縮着火式内燃機
関によれば、燃料の過早着火に起因したPMの発生を抑
制することが可能になるとともに、燃焼温度の上昇に起
因した窒素酸化物(NOx)の発生量増加を抑制するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る圧縮着火式内燃機関の概
略構成を示す図
【図2】 可変動弁機構の構成を示す(1)
【図3】 可変動弁機構の構成を示す図(2)
【図4】 ロック機構の構成を示す図
【図5】 ロック機構の動作を説明する図
【図6】 高リフトカム及び低リフトカムのカムプロフ
ィールを示す図
【図7】 燃料噴射時期補正制御ルーチンを示すフロー
チャート図
【図8】 筒内圧と筒内圧補正係数との関係を示す図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関 2・・・・気筒 3・・・・燃料噴射弁 4・・・・筒内圧センサ 18・・・ECU 20・・・吸気弁 100・・可変動弁機構
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 13/02 F02D 13/02 H J 15/00 15/00 E 41/04 370 41/04 370 385 385E 45/00 368 45/00 368S Fターム(参考) 3G018 AA11 AA12 AB02 AB04 AB16 BA12 BA36 CA19 CB03 DA09 DA14 DA70 EA13 EA24 EA32 EA33 FA03 FA06 FA07 FA23 FA27 GA09 GA11 3G084 AA01 BA15 BA20 BA22 BA23 CA03 DA09 DA10 EB08 EB12 EC02 FA10 FA13 FA20 FA21 FA38 3G092 AA02 AA11 AA17 AB03 BB06 DA01 DA04 DA05 DC08 DD03 DE01S DG05 DG09 EA02 EA04 EA11 EB01 EC02 EC09 FA17 FA18 FA31 GA04 GA05 HA13Z HA14X HB01X HB02X HB03Z HC01Z HE08Z HF08Z 3G301 HA02 HA13 HA19 JA24 JA25 KA07 KA08 LA07 LB11 LB13 LC02 LC08 MA18 MA28 NA06 NA07 NC02 ND03 ND04 NE06 NE12 NE16 PA11Z PB05A PB08Z PC01Z PE01Z PE03Z PE08Z PE10A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮着火式内燃機関の吸気弁の開閉時期
    およびまたはリフト量を変更する可変動弁機構と、 前記内燃機関の負荷が低いときは負荷が高いときに比し
    て気筒内の圧力が高くなるように可変動弁機構を制御す
    る動弁機構制御手段と、 前記気筒内へ燃料を噴射する燃料噴射弁と、 前記可変動弁機構が前記気筒内の圧力を高くすべく制御
    されているときは、前記気筒内の圧力を低くすべく制御
    されているときに比して前記燃料噴射弁からの燃料噴射
    時期を遅角させる燃料噴射時期制御手段と、を備えるこ
    とを特徴とする圧縮着火式内燃機関。
  2. 【請求項2】 前記可変動弁機構は、気筒内の圧力が高
    くなる第1の開閉時期およびまたはリフト量と、気筒内
    の圧力が低くなる第2の開閉時期およびまたはリフト量
    との何れか一方を選択可能に構成され、 前記動弁機構制御手段は、前記内燃機関の負荷が低いと
    きは前記第1の開閉時期およびまたはリフト量を選択
    し、前記内燃機関の負荷が高いときは前記第2の開閉時
    期およびまたはリフト量を選択するよう前記可変動弁機
    構を制御し、 前記燃料噴射時期制御手段は、前記可変動弁機構が前記
    第1の開閉時期およびまたはリフト量を選択していると
    きは、前記第2の開閉時期およびまたはリフト量を選択
    しているときに比して燃料噴射時期を遅角させることを
    特徴とする請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関。
  3. 【請求項3】 前記気筒内の圧力を検出する筒内圧検出
    手段を更に備え、 前記燃料噴射時期制御手段は、前記筒内圧検出手段の検
    出圧力が高くなるほど燃料噴射時期の遅角量を大きくす
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧縮
    着火式内燃機関。
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Cited By (3)

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