JP2010029654A - 透析用剤、および透析用剤の製造方法 - Google Patents

透析用剤、および透析用剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造効率の向上を図りつつ、粒状物に含まれる成分量がバラつく不都合を抑える透析用剤、および透析用剤の製造方法を提供する。
【解決手段】塩化ナトリウムと塩化カリウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムと酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物4を混在した透析用剤の製造方法であって、各成分を次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定される成分重量比mが0.5〜6(酢酸ナトリウム)または2〜14(クエン酸ナトリウム)で混合する混合工程と混合物から粒状物を造粒する造粒工程とを含み、粒状物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる平衡露点よりも低い露点の乾燥空気を粒状物へ吹き付ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、人工透析に用いる重炭酸透析液の調製に使用され、粒状物を含んで構成された固体透析用剤などの透析用剤、および透析用剤の製造方法に関する。
透析液(具体的には、重炭酸透析液)の調製に使用される透析用剤には、液体型と固体型の2種類の型がある。液体型の透析用剤は、その大部分が水で占められており、重量と容量が大きくなるため、透析医療従事者への運搬作業の負荷が大きく、保管スペースも大きくなってしまう。一方、固体型の透析用剤は、主に粉末状や顆粒状に構成されており、水に溶解されて透析液となる。また、液体型の透析用剤と比較して重量や容量が小さい。このため、近年では、固体型の透析用剤(固体透析用剤)が急速に普及している。
固体透析用剤は、当該固体透析用剤を構成する複数の原材料(成分)を固体状態(例えば、粉末状態、粒状態、顆粒状態)で混合・攪拌し、この混合物から粒状物を造粒して製造されている(例えば、特許文献1参照)。なお、固体透析用剤の原材料は、電解質成分としての塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムと、糖質成分としてのブドウ糖と、アルカリ化成分としての炭酸水素ナトリウム(重曹)と、pH調整剤としての酢酸(氷酢酸)またはクエン酸である。また、調製後の透析液の成分濃度を適切な濃度(詳しくは透析治療を受ける患者にとって適切な濃度)とするため、固体透析用剤内の塩化ナトリウムの含有量が他の原材料の含有量よりも極めて多く設定されている。なお、上記した各原材料は一例であり、他の原材料を用いることもある。
特開2005−261454号公報
ところで、透析用剤の1バッチ当たりの製造効率を向上させるために、原材料の大部分を占める塩化ナトリウムを含まない混合物から粒状物を造粒し、この粒状物と市販の塩化ナトリウム粉末とを含ませて固体透析用剤を製造することが考えられている。このような製造方法を行えば、1バッチ当たりの透析用剤の包数(個数)の増量を図ることができる。しかしながら、塩化ナトリウムを除く原材料は、塩化ナトリウムと比較して溶解性、具体的には潮解性が高く、混合・攪拌し続けるとべとついて粘度が高くなってしまい、各成分の含量均一性を得られるまで混合・攪拌を十分に行うことができない。また、各成分が均一に混ざる前に、高粘度化した原材料が混合・攪拌装置に付着してしまう。この結果、造粒工程を経て粒状物を造粒できたとしても、この粒状物に含まれる成分量がバラついてしまい、調製後の透析液の成分濃度が予め設定された許容範囲から外れてしまう虞がある。さらに、造粒された粒状物においても表面がべとついてしまい、粒状物が凝集して塊を形成し易い。そして、凝集状態の粒状物を含んだ固体透析用剤では、透析液を調製し難いため(具体的には水に溶解し難いため)、好ましくない。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造効率の向上を図りつつ、粒状物に含まれる成分量がバラつく不都合を抑えることができる透析用剤、および透析用剤の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤であって、
前記粒状物中の各成分の重量から算出する成分重量比mを次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:クエン酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定し、該成分重量比mを2〜14としたことを特徴とする透析用剤である。
請求項2に記載のものは、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤の製造方法であって、
前記各成分を次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:酢酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定される成分重量比mが0.5〜6となる状態で混合する混合工程と、該混合工程により得られた混合物から前記粒状物を造粒する造粒工程と、を含み、
前記混合工程にて生成される混合物、または造粒工程にて生成される粒状物の少なくともいずれかを乾燥処理対象物とし、該乾燥処理対象物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気の露点を平衡露点とし、
該平衡露点よりも低い露点に設定された乾燥気体を乾燥処理対象物へ吹き付けることを特徴とする透析用剤の製造方法である。
請求項3に記載のものは、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤の製造方法であって、
前記各成分を次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:クエン酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定される成分重量比mが2〜14となる状態で混合する混合工程と、該混合工程により得られた混合物から前記粒状物を造粒する造粒工程と、を含み、
前記混合工程にて生成される混合物、または造粒工程にて生成される粒状物の少なくともいずれかを乾燥処理対象物とし、該乾燥処理対象物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気の露点を平衡露点とし、
該平衡露点よりも低い露点に設定された乾燥気体を乾燥処理対象物へ吹き付けることを特徴とする透析用剤の製造方法である。
請求項4に記載のものは、前記乾燥処理対象物を流動させて乾燥処理対象物内に間隙を形成し、該間隙に前記乾燥気体を通すことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の透析用剤の製造方法である。
請求項5に記載のものは、前記乾燥気体を乾燥処理対象物が流動可能となる風量に設定して吹き付けることを特徴とする請求項4に記載の透析用剤の製造方法である。
請求項6に記載のものは、前記粒状物と、該粒状物とは別個に形成された固形状の透析用成分剤とを含み、
前記粒状物の含有量および透析用成分剤の含有量を、粒状物と透析用成分剤とを水に溶解して調製された透析液の成分濃度が予め設定された許容成分濃度条件を満たすように設定することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の透析用剤の製造方法である。
なお、「固形状」とは、粉末状、顆粒状、粒状を含む概念である。
請求項7に記載のものは、前記透析用成分剤がブドウ糖および塩化ナトリウムを含むことを特徴とする請求項6に記載の透析用剤の製造方法である。
請求項8に記載のものは、前記粒状物と、該粒状物とは別個に形成された固形状の透析用成分剤とを含み、
前記粒状物の含有量および透析用成分剤の含有量を、粒状物と透析用成分剤とを水に溶解して調製された透析液の成分濃度が予め設定された許容成分濃度条件を満たすように設定し、
前記透析用成分剤がブドウ糖、塩化ナトリウムおよびクエン酸を含むことを特徴とする請求項3に記載の透析用剤の製造方法である。
請求項9に記載のものは、前記粒状物と透析用成分剤とを含ませてA剤を製造し、炭酸水素ナトリウムからなるB剤をA剤とは別個に製造することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の透析用剤の製造方法である。
請求項10に記載のものは、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤であって、
前記請求項2から請求項9のいずれかに記載された製造方法によって製造されたことを特徴とする透析用剤である。
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、透析用剤に混在された粒状物の成分として塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとを含み、各成分の重量により設定される成分重量比mを次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:クエン酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定し、該成分重量比mを2〜14としたので、他の原材料と比較して大量の塩化ナトリウムを加えずに粒状物を造粒することができ、この粒状物の造粒後に塩化ナトリウムを加えて透析用剤を製造することができる。したがって、1バッチ当たりの透析用剤の包数(個数)を増量することができ、透析用剤の製造効率の向上を図ることができる。また、粒状物の造粒時に、潮解性の低い塩化ナトリウムを加えて原材料の粘度が高くなる不具合を抑えることができる。したがって、原材料が製造装置に付着して粒状物に含まれる成分量がバラつく不都合、ひいては、調製後の透析液の成分濃度が許容範囲から外れる不都合を防ぐことができる。
また、透析用剤に混在された粒状物の成分として塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムとを含み、各成分の重量により設定される成分重量比mを次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:酢酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定し、この成分重量比mを0.5〜6となる状態で混合する混合工程と、該混合工程により得られた混合物から前記粒状物を造粒する造粒工程とを含んで透析用剤を製造するので、他の原材料と比較して大量の塩化ナトリウムを加えずに粒状物を造粒することができ、この粒状物の造粒後に塩化ナトリウムを加えて透析用剤を製造することができる。したがって、1バッチ当たりの透析用剤の包数(個数)を増量することができ、透析用剤の製造効率の向上を図ることができる。また、粒状物の造粒時に、潮解性の低い塩化ナトリウムを加えて原材料の粘度が高くなる不具合を抑えることができる。したがって、原材料が製造装置に付着して粒状物に含まれる成分量がバラつく不都合、ひいては、調製後の透析液の成分濃度が許容範囲から外れる不都合を防ぐことができる。
さらに、混合工程にて生成される混合物、または造粒工程にて生成される粒状物の少なくともいずれかを乾燥処理対象物とし、該乾燥処理対象物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気の露点を平衡露点とし、該平衡露点よりも低い露点に設定された乾燥気体を乾燥処理対象物へ吹き付けるので、原材料に含まれる水分や、製造中に原材料内で発生した熱を効率よく除去することができ、混合物の粘度が高くなったり粒状物の表面が粘着質になったりする不具合を抑えることができる。したがって、混合物が製造装置に付着して粒状物に含まれる成分量がバラつく不都合や、粒状物が製造装置に付着して透析用剤の収率が低下する不都合を防ぐことができる。また、粒状物が凝集して塊状になることを防ぐことができ、透析液の調製を行い易い(具体的には、溶解し易い)透析用剤を支障なく製造することができる。
透析用剤の概略図である。 A剤の製造工程の説明図である。 振動流動乾燥機の概略図である。 A剤の製造工程の説明図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態における透析用剤(固体透析用剤)1は、図1に示すように、A剤2とB剤3とから構成されている。ここで、B剤3はアルカリ化成分の一種である固形状の炭酸水素ナトリウムである。また、A剤2は、透析用剤1からB剤3を除いた残りの成分からなり、後述の造粒工程で造粒される粒状物4と、粒状物4とは別個に加えられる固形状の透析用成分剤5とを混在して構成されている。そして、A剤2およびB剤3は、それぞれ別個の容器6、例えば高密度ポリエチレン製ボトルや可撓性のある合成樹脂シート材(フィルム材)を筒状に形成した袋に充填されている。
次に、A剤2を構成する粒状物4および透析用成分剤5について説明する。
粒状物4は、透析用剤1を構成する複数の電解質成分とpH調整剤、具体的には、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムと、酢酸(氷酢酸)とから構成されている。そして、粒状物4中の各成分のうち、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウムの重量から算出する成分重量比mを次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:酢酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定し、成分重量比mが0.5〜6、好ましくは1〜6となるように各成分量を設定して、塩化ナトリウムの重量が他の成分の重量よりも極めて大きくなることを避けている。
透析用成分剤5は、透析液に必要な成分のうち粒状物4中の成分とは異なる粒状物非含有成分(具体的には、糖質成分としてのブドウ糖)と、粒状物4中にも含まれている粒状物含有成分(具体的には、電解質成分の一種である塩化ナトリウム)とを、それぞれ粒状物4とは別個に固形状(具体的には、粉末状、顆粒状、粒状)にして構成されている。なお、透析用成分剤5として透析用剤1内に混在する塩化ナトリウムの重量は、透析用剤1から調製された透析液の成分濃度、詳しくはナトリウムおよび塩素の成分濃度が予め設定された許容成分濃度条件を満たすことができるように設定されている。言い換えると、透析用成分剤5としての塩化ナトリウムは、粒状物4に含まれている分では足りない塩化ナトリウムの量を補充する補充剤として機能する。なお、透析液中の成分濃度の好適な範囲は以下の通りである。
Na 120〜150mEq/L
1.5〜3.0mEq/L
Ca++ 2.0〜4.0mEq/L
Mg++ 0.5〜2.0mEq/L
Cl 90〜120mEq/L
HCO 20〜35mEq/L
CHCOO 2.0〜12mEq/L
ブドウ糖 0〜2.5g/L
このような構成から成る透析用剤1の製造方法、主にA剤2の製造方法について、図2および図3に基づき説明する。なお、B剤3は、炭酸水素ナトリウムのみを容器6bへ所定の分量だけ充填して製造される。
まず、A剤2の原材料として、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムとを、成分重量比mが0.5〜6となる分量で1バッチ分準備し、これらを攪拌混合機(図示せず)へ投入し、各成分が均一に混ざるまで混合・攪拌を十分に行う(混合・攪拌工程)。このとき、攪拌混合機内には、潮解性が比較的高い成分(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム)だけではなく、これらの成分よりも潮解性が低い成分(塩化ナトリウム)をも投入しているので、混合・攪拌中に原材料がべとついてくることを防ぐことができ、原材料の粘度が高くなり難い。したがって、原材料が製造装置の一部である攪拌混合機の内壁に付着する不都合、ひいてはこの原材料から造粒される粒状物4に含まれる成分量がバラつく不都合を抑えることができ、調製後の透析液の成分濃度が許容範囲から外れることを防ぐことができる。
攪拌混合機へ投入された原材料を十分に混合・攪拌したならば、この混合物を粉砕機(図示せず)へ供給し、粉砕機で粉砕して微粉状にする(粉砕工程)。この粉砕工程においても、原材料の粘度が高くなり難く、原材料が粉砕機内に付着することを抑えることができる。原材料を微粉状に粉砕したならば、この微粉状の原材料を、圧縮機(ローラコンパクタ)と破砕機(オシレータ)と分級機とからなる造粒装置(図示せず)へ供給して粒状物4を造粒する(造粒工程)。具体的には、微粉状の原材料を圧縮機で圧縮して圧縮体を形成し、この圧縮体を破砕機(図示せず)で破砕し、分級機で分級して所望粒径の粒状物4を得る。
さらに、造粒工程で造粒された粒状物4を乾燥処理対象物とし、この粒状物4に乾燥空気を吹き付けて乾燥を行う(乾燥工程)。詳しく説明すると、図3に示すように、粒状物4を振動流動乾燥機10においてばねで支持された振動テーブル11へ投入し、振動テーブル11を振動発生装置(図示せず)により振動して粒状物4を振動テーブル11上で流動(振動)させながら出口側へ搬送する。また、振動流動乾燥機10内には乾燥空気(本発明における乾燥気体に相当)が除湿装置12、送風ブロワ13、フィルタ(例えばHEPAフィルタ)14を経て供給され、振動テーブル11に開設された通風孔11aから上方へ噴出して振動テーブル11上の粒状物4へ吹き付けられる。ここで、粒状物4が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気(空気)の露点を平衡露点とし、除湿装置12を制御して乾燥空気の露点を平衡露点よりも低く設定する。また、送風ブロワ13の回転数を制御して、乾燥空気の風量(具体的には、通風孔11aから噴出する乾燥空気の風量)を粒状物4が撒き上がって流動可能となる状態、言い換えると粒状物4が流動可能となる風量(粒状物4を流動可能な風圧が得られる程度の風量)に設定し、フィルタ14により乾燥空気中からゴミ、塵埃等の異物を取り除いて清浄な空気とする。すると、振動流動乾燥機10は、振動テーブル11の振動および乾燥空気の風圧により、流動中の粒状物4同士の間に間隙を形成し、該間隙に乾燥空気を通す。この結果、粒状物4(言い換えると原材料)に含まれていた水分、詳しくは造粒工程において生じた造粒熱や、原材料の吸湿に起因して発生する熱により拡散して粒状物4の内部から表面上に移動してきた水分(水分子)を、粒状物4から効率よく除去することができる。さらに、造粒熱など、製造中に原材料内で発生した熱をも粒状物4から効率よく除去することができる。したがって、粒状物4の表面が潮解して粘着層を形成する不具合を抑えることができ、粒状物4が製造装置である振動流動乾燥機10に付着して透析用剤の収率が低下する不都合を防ぐことができる。さらに、粒状物4が凝集して塊状になることを防ぐことができ、透析液の調製を行い易い(具体的には、溶解し易い)透析用剤を支障なく製造することができる。なお、粒状物4の間隙を通過した乾燥空気は、振動流動乾燥機10に接続された排気機構(バグフィルタ15、排気ブロワ16)を通って外方へ排気される。
そして、粒状物4を乾燥処理したならば、この粒状物4と氷酢酸とを混合機(容器回転型混合機,図示せず)で混合して粒状物4のpH調整処理を行う(pH調整工程)。さらに、pH調整処理済みの粒状物4と、別途準備した透析用成分剤5(塩化ナトリウムおよびブドウ糖)とを所定の分量で容器6a(B剤3の容器6bとは別個の容器6a)に充填してA剤2を得る(充填工程)。このようにして行われるA剤2の製造方法においては、他の原材料と比較して大量の塩化ナトリウムを加えずに粒状物4を造粒し、この粒状物4の造粒後に塩化ナトリウムを加えて透析用剤1のA剤2を製造することができる。したがって、1バッチ当たりの透析用剤1の包数(個数)を増量することができ、透析用剤1の製造効率の向上を図ることができる。
このようにして製造された透析用剤1(A剤2およびB剤3)から透析液を調製するには、A剤2を所定量の精製水に溶解してA原液を作製し、B剤3を所定量の精製水に溶解してB原液を作製し、これらのA原液とB原液とを所定の比率で混合希釈する。例えば、2682.0gのA剤2を9Lになるように精製水で溶解してA原液を作製し、661.6gのB剤3を11.34Lになるように精製水で溶解してB原液を作製する。そして、A原液:B原液:精製水=1:1.26:32.74の割合で混合すれば、315Lの透析液を調製することができる。
また、上記粒状物4は、透析用剤1を構成する複数の電解質成分とpH調整剤、具体的には、酢酸ナトリウムを含まずに、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとから構成しても良い。そして、粒状物4中の各成分のうち、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウムの重量から算出する成分重量比mを次式、
m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
Ma:塩化ナトリウムの重量
Mb:塩化カリウムの重量
Mc:塩化カルシウムの重量
Md:塩化マグネシウムの重量
Me:クエン酸ナトリウムの重量
(ただし、各成分の重量は無水物換算)
で設定し、成分重量比mが2〜14、好ましくは4〜14となるように各成分量を設定して、塩化ナトリウムの重量が他の成分の重量よりも極めて大きくなることを避けている。
なお、粒状物4が酢酸ナトリウムを含まずにクエン酸ナトリウムを含む場合の透析用成分剤5は前記と同様であり、この場合の透析液中の成分濃度の好適な範囲は以下の通りである。
Na 120〜150mEq/L
1.5〜3.0mEq/L
Ca++ 2.0〜4.0mEq/L
Mg++ 0.5〜2.0mEq/L
Cl 90〜120mEq/L
HCO 20〜35mEq/L
クエン酸イオン 1〜5mEq/L
ブドウ糖 0〜2.5g/L
このような構成から成る透析用剤1の製造方法、主にA剤2の製造方法について、図4に基づき説明する。なお、B剤3は、炭酸水素ナトリウムのみを容器6bへ所定の分量だけ充填して製造される。
まず、A剤2の原材料として、塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとを、成分重量比mが2〜14となる分量で1バッチ分準備し、これらを攪拌混合機(図示せず)へ投入し、各成分が均一に混ざるまで混合・攪拌を十分に行う(混合・攪拌工程)。このとき、攪拌混合機内には、潮解性が比較的高い成分(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム)だけではなく、これらの成分よりも潮解性が低い成分(塩化ナトリウム)をも投入しているので、混合・攪拌中に原材料がべとついてくることを防ぐことができ、原材料の粘度が高くなり難い。したがって、原材料が製造装置の一部である攪拌混合機の内壁に付着する不都合、ひいてはこの原材料から造粒される粒状物4に含まれる成分量がバラつく不都合を抑えることができ、調製後の透析液の成分濃度が許容範囲から外れることを防ぐことができる。
攪拌混合機へ投入された原材料を十分に混合・攪拌したならば、前述した粉砕工程、造粒工程及び乾燥工程を行い、乾燥工程の後に充填工程を行ってA剤2を得る。即ち、図4に示すように、前述した乾燥工程と充填工程との間のPH調整工程を省き、粒状物4を乾燥処理したならば、この粒状物4と別途準備した透析用成分剤5(塩化ナトリウム、ブドウ糖およびクエン酸)とを所定の分量で容器6a(B剤3の容器6bとは別個の容器6a)に充填してA剤2を得る。
ところで、上記実施形態では、造粒工程にて生成される粒状物4に乾燥空気を吹き付けて粒状物4中の水分を除去したが、本発明はこれに限定されない。例えば、粉砕工程にて生成される粉砕物を乾燥処理対象物とし、この粉砕物に乾燥空気を吹き付けてもよい。具体的には、粉砕機内に乾燥空気(本発明における乾燥気体に相当)を供給して粉砕物へ吹き付ける。ここで、粉砕物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気(空気)の露点を平衡露点とし、乾燥空気の露点を平衡露点よりも低く設定する。また、乾燥空気の風量を粉砕物が撒き上がって流動可能となる状態、言い換えると粉砕物が流動可能となる風量(粉砕物を流動可能な風圧が得られる程度の風量)に設定する。すると、乾燥空気の風圧により粉砕物が撒き上がって間隙を形成し、該間隙に乾燥空気が通る。この結果、粉砕物(言い換えると原材料)に含まれていた水分(水分子)を、粉砕物から効率よく除去することができ、粉砕物が潮解して粘度が高くなる不具合を抑えることができる。したがって、粉砕物が製造装置に付着して粒状物4に含まれる成分量がバラつく不都合、ひいては、調製後の透析液の成分濃度が許容範囲から外れる不都合を防ぐことができる。
そして、本発明においては、粉砕工程にて生成された粉砕物、または造粒工程にて生成された粒状物4の少なくともいずれかに乾燥空気を吹き付けて、粉砕物を構成する粒子の表面や粒状物4の表面に存在する水分を除去できればよい。例えば、粉砕物に乾燥空気を吹き付けて第1乾燥処理を行い、この粉砕物から造粒された粒状物4に再び乾燥空気を吹き付けて第2乾燥処理を行ってもよい。また、粉砕物または粒状物4に吹き付ける乾燥気体は空気であることに限定されない。要は粉砕物または粒状物4に乾燥処理を施すことができ、且つ粒状物4の成分に悪影響を及ぼすことがなければ、どのような気体を吹き付けてもよい。
なお、上記実施形態においては、十分に混合・攪拌した複数の原材料を粉砕、圧縮、破砕の各処理を行って粒状物4を造粒したが、本発明はこれに限定されず、原材料から粒状物4を造粒できればどのような処理を経てもよい。例えば、予め微粉末状態で準備された原材料を十分に混合し、この混合物を粉砕せずに造粒して粒状物4を生成してもよい。また、上記実施形態においては、振動流動乾燥機10を用いて乾燥処理対象物(粒状物4)に乾燥処理を施したが、本発明はこれに限定されない。要は、平衡露点よりも低い露点に設定された乾燥気体を粒状物4や混合物に吹き付けることができれば、どのような構造の装置を用いて乾燥処理を行ってもよい。
次に、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明をさらに説明する。まず、粒状物4がクエン酸ナトリウムを含まずに酢酸ナトリウムを含む場合における上記成分重量比mの設定の実施例および比較例について説明する。
実施例1においては、塩化ナトリウム5.355kg、塩化カリウム2.35kg、塩化カルシウム2水和物3.475kg、塩化マグネシウム6水和物1.6kg、酢酸ナトリウム無水物10.335kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを0.6に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒し、造粒された粒状物と氷酢酸2.1kgとを混合機で混合し、得られた粒状物504.3gと、透析用成分剤(塩化ナトリウム1862.7g、およびブドウ糖315g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
実施例2においては、塩化ナトリウム13.060kg、塩化カリウム2.35kg、塩化カルシウム2水和物3.475kg、塩化マグネシウム6水和物1.6kg、酢酸ナトリウム無水物10.335kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを1に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒し、造粒された粒状物と氷酢酸2.1kgとを混合機で混合し、得られた粒状物658.4gと、透析用成分剤(塩化ナトリウム1708.6g、およびブドウ糖315g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
比較例1においては、粒状物内に塩化ナトリウムを含まないA剤を製造した。具体的には、塩化カリウム2.35kg、塩化カルシウム2水和物3.475kg、塩化マグネシウム6水和物1.6kg、酢酸ナトリウム無水物10.335kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを0.2に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒し、造粒された粒状物と氷酢酸2.1kgとを混合機で混合し、得られた粒状物397.2gと、透析用成分剤(塩化ナトリウム1969.8g、およびブドウ糖315g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
比較例2においては、従来の方法で塩化ナトリウムを透析用成分剤として分離せずにA剤を製造した。具体的には、塩化ナトリウム19.698kg、塩化カリウム0.47kg、塩化カルシウム2水和物0.695kg、塩化マグネシウム6水和物0.32kg、酢酸ナトリウム無水物2.067kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを7に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒し、造粒された粒状物と氷酢酸0.42kgとを混合機で混合し、得られた粒状物2367gと、透析用成分剤(ブドウ糖315gのみ)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
各実施例および各比較例で測定された6検体の成分濃度の平均値、標準偏差、変動係数を表1に示す。なお、Na,K,Clの成分濃度の測定はイオンメーター法を用いて行われ、MgおよびCaの成分濃度の測定はキレート滴定法を用いて行われ、酢酸の成分濃度(酢酸イオン:acetate)の測定は液体クロマトグラフィー法を用いて行われた。
Figure 2010029654
表1から、粒状物内に塩化ナトリウムを含有しない比較例1(m=0.2)では、変動係数が、従来の製造方法を行って得られた比較例2の変動係数よりも大きくなってしまい、透析用剤内(具体的にはA剤内)の各成分の含量均一性が不良であることが判る。
一方、粒状物内に塩化ナトリウムを含有して成分重量比を0.5以上に設定した上記2つの実施例では、ほとんどの成分濃度の変動係数において比較例2よりも小さくなり、透析用剤内(A剤内)の各成分の含量均一性が比較例1よりも良好であることがわかる。しかも、実施例2では比較例2(従来製法)とほぼ等しい変動係数となり、透析用剤内(A剤内)の各成分のバラつき具合が従来の透析用剤とほとんど変わらないことが判る。
次に、粒状物4が酢酸ナトリウムを含まずにクエン酸ナトリウムを含む場合における上記成分重量比mの設定の実施例および比較例について説明する。
実施例3においては、塩化ナトリウム9.665kg、塩化カリウム4.7kg、塩化カルシウム2水和物6.9kg、塩化マグネシウム6水和物3.2kg、クエン酸ナトリウム2水和物0.93kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを2に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒した。得られた粒状物253.9gと、透析用成分剤(クエン酸34.3g、ブドウ糖472.5g、および塩化ナトリウム1836.3g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
実施例4においては、塩化ナトリウム25.129kg、塩化カリウム4.7kg、塩化カルシウム2水和物6.9kg、塩化マグネシウム6水和物3.2kg、クエン酸ナトリウム2水和物0.93kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを4に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒した。得られた粒状物408.6gと、透析用成分剤(クエン酸34.3g、ブドウ糖472.5g、および塩化ナトリウム1681.7g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
比較例3においては、粒状物内に塩化ナトリウムを含まないA剤を製造した。具体的には、塩化カリウム4.7kg、塩化カルシウム2水和物6.9kg、塩化マグネシウム6水和物3.2kg、クエン酸ナトリウム2水和物0.93kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを0.6に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒した。得られた粒状物157.3gと、透析用成分剤(クエン酸34.3g、ブドウ糖472.5g、および塩化ナトリウム1933g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
比較例4においては、従来の方法で塩化ナトリウムを透析用成分剤として分離せずにA剤を製造した。具体的には、塩化ナトリウム19.33kg、塩化カリウム0.47kg、塩化カルシウム2水和物0.69kg、塩化マグネシウム6水和物0.32kg、クエン酸ナトリウム2水和物0.093kgをそれぞれ量り取って成分重量比mを26に設定し、攪拌混合機で混合してから粉砕機で微粉状に粉砕した。そして、微粉にした原材料を造粒装置へ供給して粒状物を造粒した。得られた粒状物2090.3gと、透析用成分剤(クエン酸34.3g、およびブドウ糖472.5g)とを容器に充填してA剤を得た。さらに、A剤を精製水で溶解してA原液9Lを調製し、このA原液を35倍希釈して成分濃度を測定した。
各実施例および各比較例で測定された6検体の成分濃度の平均値、標準偏差、変動係数を表2に示す。なお、Na,K,Clの成分濃度の測定はイオンメーター法を用いて行われ、MgおよびCaの成分濃度の測定はキレート滴定法を用いて行われ、クエン酸の成分濃度(クエン酸イオン:Citrateの濃度)の測定は液体クロマトグラフィー法を用いて行われた。
Figure 2010029654
表2から、粒状物内に塩化ナトリウムを含有しない比較例3(m=0.6)では、変動係数が、従来の製造方法を行って得られた比較例4の変動係数よりも大きくなってしまい、透析用剤内(具体的にはA剤内)の各成分の含量均一性が不良であることが判る。
一方、粒状物内に塩化ナトリウムを含有して成分重量比を2以上に設定した上記2つの実施例では、ほとんどの成分濃度の変動係数において比較例4よりも小さくなり、透析用剤内(A剤内)の各成分の含量均一性が比較例3よりも良好であることがわかる。しかも、実施例4では比較例4(従来製法)とほぼ等しい変動係数となり、透析用剤内(A剤内)の各成分のバラつき具合が従来の透析用剤とほとんど変わらないことが判る。
次に、乾燥工程の実施例および比較例について説明する。なお、下記の実施例5および比較例5,6で用いられる粒状物は、成分重量比mが1となる状態で造粒されたものであり、乾燥工程後にpH調整処理を施される。また、この粒状物に対する平衡露点は−10℃である。なお、実施例5および比較例5,6は、酢酸ナトリウムの場合であるが、クエン酸ナトリウム(成分重量比m=2〜14)の場合でも表3と同様の結果が得られた。
実施例5においては、粒状物を振動流動乾燥機10内へ投入し、振動テーブル11を振動して粒状物を振動テーブル11上で流動させ、振動流動乾燥機10内には、露点が上記平衡露点よりも低い−13℃に設定された乾燥空気を13m/minの風量で供給した。そして、目視により、粒状物の流動状態の良否(すなわち、粒状物が撒き上がって粒状物同士の間に間隙が形成されているか否か)、振動流動乾燥機10内(詳しくは振動テーブル11)への粒状物の付着の有無、粒状物の凝集の有無を判定した。
比較例5においては、粒状物を振動流動乾燥機10内へ投入し、振動テーブル11を振動して粒状物を振動テーブル11上で流動させ、振動流動乾燥機10内には、露点が上記平衡露点よりも高い11℃に設定された乾燥空気を13m/minの風量で供給した。そして、目視により、粒状物の流動状態の良否、振動流動乾燥機10内への粒状物の付着の有無、粒状物の凝集の有無を判定した。
比較例6においては、粒状物を振動流動乾燥機10内へ投入し、振動テーブル11を停止状態に維持し、振動流動乾燥機10内には、露点が上記平衡露点よりも低い−13℃に設定された乾燥空気を2m/minの風量で供給した。そして、目視により、粒状物の流動状態の良否、振動流動乾燥機10内への粒状物の付着の有無、粒状物の凝集の有無を判定した。
各実施例および各比較例で判定された粒状物の流動状態、付着の有無、凝集の有無を表3に示す。
Figure 2010029654
表3から、乾燥空気の露点を平衡露点よりも低く設定し、粒状物を十分に流動させた実施例5では、粒状物の凝集および振動流動乾燥機10内への付着が生じなかった。ところが、粒状物を十分に流動させているが、乾燥空気の露点を平衡露点よりも高く設定した比較例5では、粒状物の凝集が発生し、さらには振動流動乾燥機10内への粒状物の付着が確認された。また、乾燥空気の露点を平衡露点よりも低く設定しているが、粒状物を流動させていない比較例6では、粒状物の凝集が発生し、さらには振動流動乾燥機10内への粒状物の付着が確認されたが、比較例5で生じた粒状物の凝集量や付着量よりも少なかった。
1 透析用剤
2 A剤
3 B剤
4 粒状物
5 透析用成分剤
6a,6b 容器
10 振動流動乾燥機
11 振動テーブル
11a 通風孔
12 除湿装置
13 送風ブロワ
14 フィルタ
15 バグフィルタ
16 排気ブロワ

Claims (10)

  1. 塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤であって、
    前記粒状物中の各成分の重量から算出する成分重量比mを次式、
    m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
    Ma:塩化ナトリウムの重量
    Mb:塩化カリウムの重量
    Mc:塩化カルシウムの重量
    Md:塩化マグネシウムの重量
    Me:クエン酸ナトリウムの重量
    (ただし、各成分の重量は無水物換算)
    で設定し、該成分重量比mを2〜14としたことを特徴とする透析用剤。
  2. 塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤の製造方法であって、
    前記各成分を次式、
    m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
    Ma:塩化ナトリウムの重量
    Mb:塩化カリウムの重量
    Mc:塩化カルシウムの重量
    Md:塩化マグネシウムの重量
    Me:酢酸ナトリウムの重量
    (ただし、各成分の重量は無水物換算)
    で設定される成分重量比mが0.5〜6となる状態で混合する混合工程と、該混合工程により得られた混合物から前記粒状物を造粒する造粒工程と、を含み、
    前記混合工程にて生成される混合物、または造粒工程にて生成される粒状物の少なくともいずれかを乾燥処理対象物とし、該乾燥処理対象物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気の露点を平衡露点とし、
    該平衡露点よりも低い露点に設定された乾燥気体を乾燥処理対象物へ吹き付けることを特徴とする透析用剤の製造方法。
  3. 塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、クエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤の製造方法であって、
    前記各成分を次式、
    m=(Ma+Mb)/(Mc+Md+Me)
    Ma:塩化ナトリウムの重量
    Mb:塩化カリウムの重量
    Mc:塩化カルシウムの重量
    Md:塩化マグネシウムの重量
    Me:クエン酸ナトリウムの重量
    (ただし、各成分の重量は無水物換算)
    で設定される成分重量比mが2〜14となる状態で混合する混合工程と、該混合工程により得られた混合物から前記粒状物を造粒する造粒工程と、を含み、
    前記混合工程にて生成される混合物、または造粒工程にて生成される粒状物の少なくともいずれかを乾燥処理対象物とし、該乾燥処理対象物が吸湿および乾燥しない平衡状態となる雰囲気の露点を平衡露点とし、
    該平衡露点よりも低い露点に設定された乾燥気体を乾燥処理対象物へ吹き付けることを特徴とする透析用剤の製造方法。
  4. 前記乾燥処理対象物を流動させて乾燥処理対象物内に間隙を形成し、該間隙に前記乾燥気体を通すことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の透析用剤の製造方法。
  5. 前記乾燥気体を乾燥処理対象物が流動可能となる風量に設定して吹き付けることを特徴とする請求項4に記載の透析用剤の製造方法。
  6. 前記粒状物と、該粒状物とは別個に形成された固形状の透析用成分剤とを含み、
    前記粒状物の含有量および透析用成分剤の含有量を、粒状物と透析用成分剤とを水に溶解して調製された透析液の成分濃度が予め設定された許容成分濃度条件を満たすように設定することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の透析用剤の製造方法。
  7. 前記透析用成分剤がブドウ糖および塩化ナトリウムを含むことを特徴とする請求項6に記載の透析用剤の製造方法。
  8. 前記粒状物と、該粒状物とは別個に形成された固形状の透析用成分剤とを含み、
    前記粒状物の含有量および透析用成分剤の含有量を、粒状物と透析用成分剤とを水に溶解して調製された透析液の成分濃度が予め設定された許容成分濃度条件を満たすように設定し、
    前記透析用成分剤がブドウ糖、塩化ナトリウムおよびクエン酸を含むことを特徴とする請求項3に記載の透析用剤の製造方法。
  9. 前記粒状物と透析用成分剤とを含ませてA剤を製造し、炭酸水素ナトリウムからなるB剤をA剤とは別個に製造することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の透析用剤の製造方法。
  10. 塩化ナトリウムと、塩化カリウムと、塩化カルシウムと、塩化マグネシウムと、酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムとを成分に含む粒状物を混在した透析用剤であって、
    前記請求項2から請求項9のいずれかに記載された製造方法によって製造されたことを特徴とする透析用剤。
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