JP2010027337A - シート状導光体およびそれを用いた面光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スリット状の吐出口が形成されているダイを用いた溶融押出成形により得られる、有機重合体からなる透明なコア部12と、コア部12を覆う透明なクラッド部14とからなるシート状の導光体であって、厚みが1mm以下であり、クラッド部14の引張破壊ひずみがコア部12の引張破壊ひずみよりも大きいシート状導光体10。また、シート状導光体10と、シート状導光体10の端面からシート状導光体10内に光を入射する光源とを少なくとも有する面光源装置。
【選択図】図1
Description
従来、導光体は透明樹脂を射出成形により成形する方法が一般的であったが、導光体の面積が広く、厚みが薄くなればなるほど射出成形が困難であった。
また、溶融押出成形機により製造したシートにより導光体を製造する方法も用いられており、例えば特許文献2には押出シートを使用した導光体が示されている。
すなわち、溶融押出成形法では、通常ダイからシート状に吐出した押出シートを複数の冷却ロールで挟んで搬送して冷却することにより製造するが、押出シートの厚さが薄いとその工程において該押出シートに割れが生じてしまう。そのため、PMMAを溶融押出成形法に用いるためには、得られるシートの割れに対する耐性を高めるために、ゴム成分等を添加することが必要になる。しかし、そのようなシートを導光体用途として用いる場合、添加したゴム成分は光散乱の原因となるため、光学特性の低下につながりやすい。
また、溶融押出成形法において、導光体の材料としてポリカーボネート樹脂やゼオノア等のシクロオレフィン系ポリマーを用いる方法もある。この方法は、前記ゴム成分等を添加しなくても単独で工程通過性が良好であるが、それぞれ光学特性や材料コストの点で劣っており、市場ニーズに適合し難い。
そのため、工程通過性が良好で、かつ安価に得られる優れた品質の薄型の導光体が望まれている。
すなわち、本発明のシート状導光体は、スリット状の吐出口が形成されているダイを用いた溶融押出成形により得られる、有機重合体からなる透明なコア部と、該コア部を覆う透明なクラッド部とからなるシート状の導光体であって、厚みが1mm以下であり、前記クラッド部の引張破壊ひずみがコア部の引張破壊ひずみよりも大きいことを特徴とする導光体である。
また、前記コア部と前記クラッド部との屈折率差が0.02以下であることが好ましい。
また、前記コア部の体積Vaと前記クラッド部の体積Vbとの体積比(Va/Vb)が5/1〜80/1であることが好ましい。
また、前記コア部および前記クラッド部が各々(メタ)アクリル系樹脂組成物からなることが好ましい。
また、前記クラッド部にゴム状粒子が含有されていることが好ましい。
本発明のシート状導光体は、スリット状の吐出口が形成されているダイを用いた溶融押出成形により得られる導光体であり、有機重合体からなる透明なコア部と、該コア部を覆う透明なクラッド部とからなるシート状の導光体である。ここで、本発明における「透明」とは、光の透過率が85%以上であることを意味する。
以下、本発明のシート状導光体の実施形態の一例について説明する。
コア部12は、有機重合体からなる透明な部分であり、光学特性に優れている。
コア部12を形成する有機重合体(コア材)は、導光体のコア材として通常用いられているものを用いることができ、(メタ)アクリル系単量体の単独重合体または共重合体を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂組成物であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂組成物としては、例えば、メタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)または共重合体を主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
また、共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、スチレン等が挙げられる。
特に好ましいコア材は、透光性、耐久性に優れるとともに安価なことから、PMMAを主成分とする樹脂組成物である。
尚、クラッド部14の引張破壊ひずみとは、クラッド材のみを用いてシート状の試験片を作成し、該試験片に対して引張破壊ひずみをJIS K 7162(1A/5)に従った方法で測定した値である。また、コア部12の引張破壊ひずみは、コア材のみを用いて作成した試験片を用いて同様の方法で測定した値である。
コア材としてメタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)または共重合体を主成分とする樹脂組成物を用いる場合は、その引張破壊ひずみが10%以下と小さいため、溶融押出成形機にて厚さ1mm以下の薄型シートを単層で製造しようとすると、冷却ロールを通過する際に曲げによる割れが生じやすく、工程通過性が不良となる。しかし、引張破壊ひずみがそれよりも大きく、好ましくは15%以上であるクラッド部14を形成することにより、十分な機械特性を有するシート状導光体10が得られ、工程通過性が良好となる。
コア部12とクラッド部14との屈折率差が0.02より大きいと、図2(b)に示すように、シート状導光体10内に入射した光が、コア部12もしくはクラッド部14に閉じ込められた状態で全反射しながら伝播する現象が現れる。このように、コア部12内のみ、もしくはクラッド部14内のみに伝播する光が存在すると、所望の光学特性が得られ難くなる。これに対し、コア部12とクラッド部14との屈折率差が0.02以下であれば、図2(a)に示すように、シート状導光体10内に入射した光が、シート状導光体10内で全反射しながら伝播する現象が現れるため、優れた光学特性が得られやすい。
体積比(Va/Vb)が5/1以上であれば、良好な光学特性を有するシート状導光体10が得られやすい。また、体積比(Va/Vb)が80/1以下であれば、シート状導光体10の機械物性に起因する工程通過性がより良好となる。
シート状導光体10は、スリット状の吐出口が形成されているダイを用いた溶融押出成形により得ることができる。
スリット状の吐出口が形成されているダイは、コア部12および該コア部12を覆うクラッド部14を有するシート状導光体10を形成できるものであれば特に限定されない。前記ダイとしては、コア材の周囲をクラッド材で覆う層構造を形成した後、スリット状の吐出口に向かって流路断面形状が徐々に変形する拡幅部を有し、層構造を保持した状態で所定の幅と厚さで吐出することができる形状のダイが好適である。具体例としては、特開2007−210216号公報に記載のダイ等が挙げられる。
このようなスリット式ダイ(ノズル)を用いることで、シート状導光体10の厚みとクラッド部14の厚みを薄く均一に制御しながら成形することが容易となる。
切断方法としては、例えば、ギロチン、ヒートカット、回転のこぎり、レーザー切断、ミーリング加工等の方法を適用することができる。
シート状導光体10の用途は、特に限定されないが、携帯用ノートパソコンや携帯電話等に用いられる薄型の面光源装置用の導光体として好適に用いることができる。
尚、本発明のシート状導光体は、図1に例示したものには限定されず、用途に応じて各種加工が施されていてもよい。本発明のシート状導光体を面光源装置に用いる場合の加工に具体例については、後述する面光源装置の項において説明する。
本発明の面光源装置は、前述のシート状導光体を用いた装置である。本発明の面光源装置は、シート状導光体と、前記シート状導光体の端面から該シート状導光体内に光を入射する光源とを少なくとも有する装置である。
以下、本発明の面光源装置の実施形態の一例について説明する。図4は、本発明の面光源装置の一実施形態例を示す分解斜視図である。
シート状導光体10に形成される光入射端面10aは、単に切断した面をそのまま用いてもよいが、より精密に光の広がりを制御するため、後加工により整えられていることが好ましい。例えば、光入射端面10aは、凹筒面状等となるように入射端縁を凹状に切欠くことによって形成されていてもよく、XY面内での光の広がりを大きくするために粗面化されていてもよい。後加工には、シェービングマシン、リファイナー、振動切削等の方法を用いることができる。
光偏向素子30には、面光源装置に通常用いられる光偏向素子を用いることができる。
光反射素子40には、面光源装置に通常用いられる光反射素子を用いることができる。
尚、本発明の面光源装置は、本発明のシート状導光体を用いているものであれば、図4に例示したものには限定されない。例えば、光偏向素子30上、もしくは光偏向素子30とシート状導光体10の間に光拡散素子が設けられた面光源装置であってもよい。
本実施例におけるシート状導光体の評価は、下記の方法により実施した。
(屈折率)
シート状導光体のコア部およびクラッド部に用いる材料をそれぞれ使用し、溶融プレスにより厚さ0.2mmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折率計を用いて25℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD 25)を測定した。
メルトフローレート(MFR)は、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。温度230℃、荷重37.3Nの条件下で、直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間で吐出される重合体量(g/10分)を測定した。
シート状導光体のコア部およびクラッド部に用いる材料をそれぞれ使用し、溶融プレスにより厚さ0.2mmのフィルム状の試験片を形成し、日本工業規格JIS K7162(1A/5)に準じて測定した。測定は、引張試験機(INSTRON5567、INSTRON(株)製)を用い、引張速度5mm/分で行なった。
図6に示すように、樹脂フレーム2内に対角12インチ相当の発光面3が設けられ、それに対応する面光源装置(光源20A:日亜化学(株)製NSSW008(LED)×54個、光偏向素子:三菱レイヨン(株)製ダイヤアートM168YQ、光反射素子:東レ(株)製E60)を設けた装置を測定台の上に水平に配置し、直流安定化電源4を用いてLED1個あたり17mAの電流を通電させ、面光源装置を点灯させた。点灯後20分以上経過した後、面光源装置の直上500mmの位置から(株)トプコン製色彩輝度計BM−7を用いて輝度および色度を測定した。輝度の測定位置は面光源装置の中心(図6、点a)とし、色度の測定位置は光源20Aからの距離が10mm(図6、点b)、170mm(図6、点c)の2点とした。
図3に例示した押出機を用いてシート状導光体を製造した。製造には、コア材とクラッド材を合流させてコア材をクラッド材で覆う層構造を形成するノズルの下流に、幅600mm、厚さ1.0mmのスリット状の吐出口が形成された拡幅部を有するノズル(スリットダイ式)を用いた。冷却ロールにはポリッシングロールを使用し、ロール間隙(図3の冷却ロール28と冷却ロール28の間隔)は0.9mmとした。
コア材にVH(三菱レイヨン(株)製、アクリペット、MFR=2g/10分、屈折率1.49、引張破壊ひずみ6%)を、クラッド材にゴム粒子を含有するIRS404(三菱レイヨン(株)製、アクリペット、MFR=7.8g/分、屈折率1.49、引張破壊ひずみ40%)を用いた。押出機の運転条件は各々の樹脂の標準条件とした。ノズル温度は250℃、コア材/クラッド材の吐出量を体積比74/6に調整して運転し、シート状導光体A1を製造した。
シート状導光体A1を製造するにあたり、割れ等の工程通過不良は特に発生しなかった。また、得られたシート状導光体A1は厚さ0.8mmで、断面を観察したところ、厚み方向にクラッド/コア/クラッドの形態をとる2種3層構造であった。
該導光体C1を、図6に例示した面光源装置に組み込み、点灯させた。点灯時の光学特性を表1に示す。
コア材/クラッド材の吐出量体積比を78/2に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状導光体A2を得た。シート状導光体A2を製造するにあたり、割れ等の工程通過不良は特に発生しなかった。該シート状導光体A2に対して実施例1と同様の加工を行い、パターン転写成形品B2および導光体C2を得た。該導光体C2を実施例1と同様にして面光源装置に組み込み、点灯させた。点灯時の光学特性を表1に示す。
図8に示す押出機を用いて、単層のシート状導光体を製造した。製造には、ノズルの下流に幅600mm、厚さ1.0mmのスリット状吐出口が形成された拡幅部を有するノズルを用いた。冷却ロールにはポリッシングロールを使用し、ロール間隙は0.9mmとした。
材料はVH(三菱レイヨン(株)製、アクリペット、MFR=2.4g/10分、屈折率1.49、引張破壊ひずみ6%)を用い、ノズル温度250℃で運転を行い、シート状導光体A3を得た。シート状導光体A3を製造する際、ロールによるシート屈曲部分で割れが時々生じ、工程通過性は不良であった。
材料にIRS404(三菱レイヨン(株)製、アクリペット、MFR=7.8g/10分、屈折率1.49、引張破壊ひずみ40%)を用いた以外は、比較例1と同様にしてシート状導光体A4を得た。シート状導光体A4を製造するにあたり、割れ等の工程通過不良は特に発生しなかった。該シート状導光体A4に対して実施例1と同様の加工を行い、パターン転写成形品B4および導光体C4を得た。該導光体C4を実施例1と同様にして面光源装置に組み込み、点灯させた。点灯時の光学特性を表1に示す。
一方、比較例1では、工程通過性が不良であり、面光源装置に使用できる品質を有するシート状導光体を得ることができなかった。
また、比較例2のシート状導光体は、工程通過性に問題はないものの、面光源装置に用いた場合に色度変化が大きく実施例に比べて品質が劣っていた。
Claims (7)
- スリット状の吐出口が形成されているダイを用いた溶融押出成形により得られる、有機重合体からなる透明なコア部と、該コア部を覆う透明なクラッド部とからなるシート状の導光体であって、
厚みが1mm以下であり、
前記クラッド部の引張破壊ひずみがコア部の引張破壊ひずみよりも大きいことを特徴とするシート状導光体。 - 前記クラッド部の引張破壊ひずみが15%以上である、請求項1に記載のシート状導光体。
- 前記コア部と前記クラッド部との屈折率差が0.02以下である、請求項1または2に記載のシート状導光体。
- 前記コア部の体積Vaと前記クラッド部の体積Vbとの体積比(Va/Vb)が5/1〜80/1である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート状導光体。
- 前記コア部および前記クラッド部が各々(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる、請求項1〜4のいずれかに記載のシート状導光体。
- 前記クラッド部にゴム状粒子が含有されている、請求項5に記載のシート状導光体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のシート状導光体と、前記シート状導光体の端面から該シート状導光体内に光を入射する光源とを少なくとも有する面光源装置。
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