JP2009302034A - 薄型導光板用アクリルシート又はフィルム - Google Patents

薄型導光板用アクリルシート又はフィルム Download PDF

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祐平 此川
Yasuhiko Nabeshima
泰彦 鍋島
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Abstract

【課題】強度と光学的な透明性の両方に優れた薄型導光板用アクリルシート又はフィルムを提供する。
【解決手段】メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むアクリル(共)重合体(A)と可塑剤(B)からなる厚み2mm以下の薄型導光板用アクリルシート又はフィルム1であって、アクリルシート又はフィルム1の端面(I)4から光を入射させ端面(O)5から出射した光(光路長21cm)の輝度が、同条件で測定した可塑剤(B)を含まない以外は上記と同じアクリルシート又はフィルムの輝度を100%としたときに、90%以上であり、かつ破断伸度が10%以上である薄型導光板用アクリルシート又はフィルム;このアクリルシート又はフィルムの両面又は片面に凹凸形状を付与した導光板;並びにこの導光板を組み込んだバックライトユニット。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、液晶表示装置のエッジライト式導光板、携帯電話キーパッド用の導光板、照明装置の薄型導光板など、各種の薄型導光板として用いるのに最適なアクリルシート又はフィルムに関する。
近年、消費電力低減のために、液晶表示装置の一次光源として蛍光ランプなどの線状または棒状のものに代えて、発光ダイオード(LED)等の点状のものが広く利用されて来ている。LEDは小寸法にすることが可能であり、LEDを用いて構成される面光源装置には更なる薄型化が要請されている。また、液晶表示装置の使用分野の拡大につれて、小型の液晶表示装置では面光源装置の更なる薄型化が要請されている。
また、導光板に用いられる材料には、光の吸収、散乱、反射などによる透過損失ができるだけ少ないことが望まれる。このような点から、高い光線透過率を有するアクリル樹脂からなるアクリルシート、特にポリメチルメタクリレートからなるキャストシートが用いられている。
しかし、薄型化の要請に従ってアクリルシートの厚みを薄くすると、導光板の製造工程において、シートが各工程を通過する時や所定サイズへのスリット時の割れ、打ち抜き時の割れ、表面に凹凸形状を付与する際の割れや欠けなどが生じる場合があり、脆さに起因する強度不足が指摘されている。
そこで、アクリルシートの強度を改善する目的で、コアシェル型のゴム粒子をアクリル樹脂に添加する方法がある。しかし、このようなゴム粒子を添加すると光の散乱現象により樹脂内部に白濁現象が観察され、輝度が著しく低下してしまう。
また、可塑剤をアクリル樹脂に添加して物性を改善する方法もある。例えば、シートを作製する際の重合時の密度ゆらぎに起因する光の散乱を抑えるために、少量の可塑剤を添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。また例えば、釘打ち込み時のクラックを防止するために、アセチルトリブチルシトレートなどの可塑剤を添加する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、高分子量の樹脂を用いることで、導光板への形状付与後の剥離時の割れを改善する方法も提案されている(特許文献3参照)。
特開2003−287626号公報 特開平11−92615号公報 特開2007−276417号公報
しかし、特許文献1記載の方法の可塑剤使用量では、導光板を薄型化した場合の強度がまだ十分でない。特許文献3記載の方法も同様に強度が不十分である。また、特許文献2記載の方法では、十分な強度を発現する為にはアセチルトリブチルシトレートを大量に添加する必要があり、その結果輝度の低下を招いてしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、強度と光学的な透明性の両方に優れた薄型導光板用アクリルシート又はフィルムを提供することにある。
本発明は、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むアクリル(共)重合体(A)と可塑剤(B)からなる、厚み2mm以下の薄型導光板用アクリルシート又はフィルムであって、
可塑剤(B)を含まない以外は上記アクリルシート又はフィルムと同じアクリルシート又はフィルムの21cm光路長の輝度を100%としたときに、可塑剤(B)を含むアクリルシート又はフィルムの輝度が90%以上であり、かつ、
破断伸度が10%以上であることを特徴とする薄型導光板用アクリルシート又はフィルムである。
また本発明は、上記アクリルシート又はフィルムの両面又は片面に、凹凸形状を付与した導光板である。
さらに本発明は、上記導光板を組み込んだバックライトユニットである。
本発明のアクリルシート又はフィルムは、強度と光学的な透明性の両方に優れているので、製造工程での問題が生じ難く、薄型化が要求される用途の導光板として優れた性能を示す。
本発明の導光板及びバックライトユニットは、導光板を構成するアクリルシート又はフィルムが強度と光学的な透明性の両方に優れているので、製造工程での問題が生じ難く、かつ薄型導光板として優れた性能を示す。
[アクリル(共)重合体(A)]
本発明において、アクリル(共)重合体(A)は、メタクリル酸メチル単位を50質量部以上含む(共)重合体である。ここで「(共)重合体」とは、単独重合体又は共重合体を意味する。すなわち、アクリル(共)重合体(A)が単独重合体の場合はポリメタクリル酸メチルであり、共重合体の場合はメタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の単量体との共重合体である。メタクリル酸メチル以外の単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。
アクリル(共)重合体(A)としては、特に、メタクリル酸メチル50〜100質量%と、アクリル酸メチル50〜0質量%からなる(共)重合体が、耐光性に優れるので好ましい。
[可塑剤(B)]
可塑剤(B)の種類及び添加量に関しては特に制限は無く、アクリルシート又はフィルムが特定の輝度と特定の破断伸度を示すように適宜選定すればよい。
本発明における特定の輝度は、次の通りである。まず、本発明のアクリル(共)重合体(A)と可塑剤(B)からなるアクリルシート又はフィルム、及び、可塑剤(B)を含まない点を除けば上記アクリルシート又はフィルムと同じアクリルシート又はフィルムについて、21cm光路長の輝度を同一条件で測定する。そして本発明においては、可塑剤(B)を含まないアクリルシート又はフィルムの輝度を基準(100%)として、可塑剤(B)を含むアクリルシート又はフィルムの輝度が90%以上となることが必要である。この値が90%以上となる可塑剤(B)は、光の散乱や吸収が少ないものであり、導光板用途に好適であることが分かる。一方、この値が90%未満となる可塑剤は、光の散乱や吸収が多いものであり、導光板用途には適さない。より高い輝度を得るためには、この値が95%以上となることが好ましい。
本発明における特定の破断伸度は、次の通りである。本発明のアクリル(共)重合体(A)と可塑剤(B)からなるアクリルシート又はフィルムについて、JIS K7127に準拠して破断伸度を測定する。この破断伸度は、10%以上であり、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。破断伸度がこの範囲内であれば、薄型導光板の製造工程において、アクリルシート又はフィルムが各工程を通過する時、所定サイズへのスリット時、切り抜き時、凹凸形状付与時などにおけるシート又はフィルムの割れや欠けを良好に防ぐことができる。
可塑剤(B)は、以上の輝度と破断伸度を示す範囲内で使用される。可塑剤(B)の好適な具体例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチルなどのフタル酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤が挙げられる。可塑剤(B)の含有量は、アクリル(共)重合体(A)と可塑剤(B)の合計100質量%を基準として、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは11〜30質量%、特に好ましくは13〜25質量%である。これら範囲の下限値は、破断伸度向上の点で意義がある。また、上限値は、輝度向上、及び、ブリードアウトや耐熱性低下の防止の点で意義がある。また、上述した可塑剤の好適な種類と含有量を選択することは、アクリルシート又はフィルムの強度と輝度を両立する点で特に好ましい。
[アクリルシート又はフィルムの厚さ]
本発明において、アクリルシート又はフィルムの厚さは、2mm以下であり、好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.05〜1mmである。本発明においては、このような薄いアクリルシート又はフィルムであっても、輝度をほとんど低下させること無く、強度を向上することができる。なお、本発明よりも厚いアクリルシート又はフィルムは十分な強度があるので、可塑剤を添加して強度を改善する必要が無い。
[アクリルシート又はフィルムの製造方法]
本発明のアクリルシート又はフィルムは、例えば、Tダイなどを用いた溶融押出法、注型重合法、溶液流延法などによって製造できる。
アクリルシート又はフィルムを注型重合法で製造する場合は、例えば、メタクリル酸メチル単位を50質量部以上含む単量体と可塑剤(B)を混合して注型重合してもよいし、あるいは、この単量体とこの単量体の重合物とからなるシロップに可塑剤(B)を混合し、注型重合してもよい。この重合に使用する開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、パーオキサイド系開始剤が挙げられる。また、シロップは、単量体に重合物を溶解して調製したものでもよいし、単量体を一部重合して調製したものでもよい。
アクリルシート又はフィルムをTダイなどを用いた溶融押出法で製造する場合は、例えば、スプレードライ法(噴霧乾燥法)によって乳化重合後の水分を加熱揮散させた微粒状の樹脂に対して可塑剤(B)を添加してもよいし、あるいは、押出成形時にフィーダーなどから直接可塑剤(B)を注入してもよい。また、メタクリル酸メチル単位を50質量部以上含む単量体を懸濁重合する際に可塑剤(B)を添加してもよい。
これらの中でも、押出成形時の可塑剤揮散が少なく、押出成型機への食い込みが良好である点から、懸濁重合する際に可塑剤(B)を添加することが好ましい。
<助剤>
本発明においては、アクリルシート又はフィルムの輝度を損なわない範囲内で、助剤を添加することができる。助剤の具体例としては、滑剤、抗菌剤、防カビ剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、帯電防止剤、熱安定剤が挙げられる。助剤は、例えば、ヘンシェルミキサー等の混合器で予備的に混合して、押出機でペレット状にして成形できる。
<アクリルシート又はフィルムの輝度>
可塑剤(B)を含まない以外は本発明のアクリルシート又はフィルムと同じアクリルシート又はフィルムの21cm光路長の輝度を100%としたとき、可塑剤(B)を含む本発明のアクリルシート又はフィルムの輝度は90%以上である。この輝度は、アクリルシート又はフィルムの端面(I)から光を入射させ、この端面(I)に対向する端面(O)から出射した光の輝度を意味する。
図1は、輝度を測定する際の光の進行方法に沿った模式的断面図である。この図に示すように、アクリルシート又はフィルム1の両面を反射シート2で覆い、光源3を端面(I)4側に載置し、端面(I)4から光を入射させて端面(O)5から出射した光の輝度を測定する。
本発明において、輝度を測定する際の端面(I)4から端面(O)5までの距離(光路長)は21cmである。一般に、携帯電話やゲーム機などの小型ディスプレイに用いられる導光板の長さは5cm以上が好ましく、さらに大きな画面に用いられる場合は10cm以上がより好ましく、20cm以上が特に好ましい。ただし、そのような20cm以上の長光路で使用される導光板では、わずかな光の吸収、散乱、反射などによる透過損失の差が大きな輝度差となる。すなわち、本発明において輝度を測定する際の光路長を21cmとするのは、とりわけ長光路で使用される導光板用途に好適なアクリルシート又はフィルムを提供する為である。
さらに、本発明のアクリルシート又はフィルムは厚みが薄くかつ強度に優れるので、連続的に製造することができる。製造したアクリルシート又はフィルムは、紙管やプラスチックコア等のロールに巻いた状態にしてもよいし、あるいは、一枚ずつ所定のサイズに切り抜き又は打ち抜いた状態にしてもよい。特に、転写型を用いて表面凹凸構造を有する導光板を生産する場合は、連続的に効率よく安価に生産する点から、ロール状に巻いた状態とすることが好ましい。
[導光板]
本発明の導光板は、本発明のアクリルシート又はフィルムの両面又は片面に、凹凸形状を付与した薄型導光板である。
凹凸形状を付与する方法としては、例えば、表面に凹凸形状を有する転写用型部材を用いて熱プレスする方法、アクリルシート又はフィルム表面に光硬化性樹脂組成物を塗布し、光硬化性樹脂組成物に転写用型部材の転写面の凹凸形状を転写する方法がある。また、印刷によってドット形状を付与しても良い。これら凹凸形状を付与する方法は、単独で使用しても、組み合わせて使用しても良い。
導光板の凹凸形状は、具体的には、マット構造、ドット形状、プリズム列配列構造などである。本発明のアクリルシート又はフィルムは割れが少ないので、連続的にこれら形状を付与することができ、生産性良く導光板を製造できる。
本発明の導光板は、例えば、優れた透光特性をもつ薄型の面発光装置(面光源)及び優れた画像特性をもつ表示装置の導光板として使用できる。特に、薄膜化の要請を満たす導光板なので、例えば、対角線長さ14.1インチ以下の薄型液晶表示装置のエッジライト用導光板として好適に使用できる。
[バックライトユニット]
本発明のバックライトユニットは、本発明の導光板を組み込んだことを特徴とするものであり、それ以外の構成は従来のバックライトユニットと同様のものを使用できる。例えば、導光板の側面(入射面)に光源(複数のLED等)を配設し、導光板の下面側には必要に応じて反射シートを積層するなどして、本発明の導光板を組み込んだバックライトユニットを作製すればよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下の記載において「部」は「質量部」を意味する。また、略号は以下のとおりである。
メタクリル酸メチル MMA
アクリル酸メチル MA
メタクリル酸n−ブチル nBMA
フタル酸ジブチル DBP
フタル酸ジイソノニル DINP
アセチルクエン酸トリブチル ATBC
<実施例1>
重量平均分子量220000のMMA重合物12部、MMA単量体65部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.28部、及び、可塑剤(B)としてDBP23部を30分間攪拌し、重合性混合物を調製した。
縦300mm、横300mmのSUS304板とガラス板を、ポリ塩化ビニル製ガスケットを介して1.2mm間隔で相対させて鋳型を形成し、そこに脱気後の重合性混合物を注入し、鋳型を80℃の水浴中で30分、次いで130℃の空気炉で30分加熱して、重合性混合物を重合させた。その後、室温まで冷却し、型枠を脱枠して、厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<実施例2>
MMA重合物の量を12部、MMA単量体の量を71部、重合開始剤の量を0.31部、DBPの量を17部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<実施例3>
可塑剤(B)として、DBP23部の代わりに、ポリエステル系可塑剤(大日本インキ(株)製、商品名ポリサイザーW230−S)23部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<実施例4>
可塑剤(B)として、DBP17部の代わりに、ポリエステル系可塑剤(大日本インキ(株)製、商品名ポリサイザーW230−S)17部を使用したこと以外は、実施例2と同様にして厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<実施例5>
(アニオン系高分子化合物水溶液の製造)
攪拌機を備えた重合装置に、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム58部、メタクリル酸カリウム水溶液(メタクリル酸カリウム分30部)31部及びメタクリル酸メチル11部からなる単量体混合物と、脱イオン水900部を加えて攪拌溶解させた。その後、窒素雰囲気下で混合物を攪拌しながら60℃まで昇温し、6時間攪拌しつつ60℃に保持してアニオン系高分子化合物水溶液を得た。この際、温度が50℃に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、更に別に計量したメタクリル酸メチル11質量部を75分間かけて上記反応系に連続的に滴下した。
(アクリルフィルムの製造)
MMA99部及びMA1部からなる単量体混合物100部のうちの75部、可塑剤(B)としてDBP25部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、及び、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.15部を混合し、重合性混合物を調製した。
また、別の容器に脱イオン水200部を入れ、分散剤として前記アニオン系高分子化合物水溶液1部、分散助剤として硫酸ナトリウム0.3部を加えて攪拌溶解して、脱イオン水混合物を得た。
次いで、この脱イオン水混合物を、前記単量体混合物を収容した重合装置内に投入し、窒素置換しながら500rpmで15分間攪拌した。その後、80℃に加温して重合を開始させ、重合発熱によって系内の温度が極大値を示す重合ピークが発現した後、95℃、30分間の熱処理を行い、重合を完結させて、ビーズ状重合体を得た。
このビーズ状重合体を、200〜240℃に加熱した2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−35B)に供給、混練してペレットを得た。このペレットを70℃で一昼夜乾燥した後、12cmのTダイを取り付けた25mmΦ短軸押出機に供給して、押出機温度200〜240℃、Tダイ温度240℃、冷却ロール温度50℃の条件で製膜を行い、厚さ350μmのアクリルフィルムを得た。
<実施例6>
単量体混合物としてMMA60部及びnBMA40部からなる単量体混合物100部のうちの85部を使用し、可塑剤(B)としてDINP15部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして厚さ350μmのアクリルフィルムを得た。
<比較例1>
MMA重合物の量を14部、MMA単量体の量を77部、重合開始剤の量を0.34部、DBPの量を9部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<比較例2>
可塑剤(B)として、DBP17部の代わりに、ATBC17部を使用したこと以外は、実施例2と同様にして厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<比較例3>
MMA重合物の量を15部、MMA単量体の量を85部、重合開始剤の量を0.37部に変更し、かつ可塑剤(B)を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして厚さ約1mmのアクリルシートを得た。
<比較例4>
単量体混合物としてMMA99部及びMA1部からなる量体混合物100部を使用し、可塑剤(B)を使用せず、かつ冷却ロール温度を90℃に変更したこと以外は、実施例5と同様にして厚さ350μmのアクリルフィルムを作製した。
<比較例5>
単量体混合物としてMMA60部及びnBMA40部からなる単量体混合物100部を使用し、可塑剤(B)を使用せず、かつ冷却ロール温度を90℃に変更したこと以外は、実施例6と同様にして厚さ350μmのアクリルフィルムを作製した。
以上の各実施例及び各比較例のシート又はフィルムに対して、以下の特性評価を行なった。その結果を表1(実施例1〜4及び比較例1〜3)、表2(実施例5及び比較例4)、表3(実施例6及び比較例5)に示す。
[全光線透過率及びヘーズ]
アクリルシート又はフィルムを5cm角に切り抜いてサンプルとし、(株)村上色彩技術研究所製の測定器(HR−100)を用いて、サンプルの全光線透過率及びヘーズを測定した。ここで、全光線透過率についてはJIS K7361−1に準拠し、ヘーズについてはJIS K7136に準拠した。
[YI]
アクリルシート又はフィルムを5cm角に切り抜いてサンプルとし、JIS K7105に準拠して、日本電色工業(株)製の測定器(SE2000)を用いて、サンプルのYI(イエローインデックス)を測定した。
[輝度]
図1に示した輝度測定法を実施した。具体的には、まず光源3として厚み450μmのLEDランプ(日亜化学製NSCW335)20個を設置した基盤上に、反射シート2((株)麗光製)を1枚載置し、その上にアクリルシート又はフィルム1のサンプルを載置した。サンプルのサイズは、厚さ1mmのアクリルシート(実施例1〜4及び比較例1〜3)の場合は12×21cmとし、厚さ350μmのアクリルフィルム(実施例5〜6及び比較例4〜5)の場合は5cm×21cmとした。サンプルの載置位置は、サンプルの21cm辺の一方の端面(I)4が光源3側になるよう載置して、測定すべき端面(I)4から端面(O)5までの距離(光路長)が21cmとなるようにした。さらに、前記と同じ反射シート2をアクリルシート又はフィルム1の上に載置して、上下の両面を反射シートで覆った。そして、非光源側の端面(O)5から出射した光の輝度・色度を、端面(O)5から1mの位置に輝度計(コニカミノルタ社製CS−100A)を設置して測定し、可塑剤を含まない場合のシート又はフィルムの輝度を100%として、各例の輝度の比率(%)を算出した。
[破断伸度]
アクリルシート又はフィルムを1.5×10cmの短冊状に切り抜いてサンプルとし、JIS K7127に準拠して、50mm/分の条件で5回引張試験を行った。引張試験においてシートが破断した時点の伸度の平均値を、破断伸度とした。
Figure 2009302034
Figure 2009302034
Figure 2009302034
本発明のアクリルシート又はフィルムは、薄型導光板の用途に使用されるものである。特に、優れた外観、透明性、強度の点から、導光板の薄型化が要求されている用途に最適である。具体的には、例えば、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイ、携帯電話の薄型導光板、各種家具などの照明用の薄型導光板などの用途が挙げられる。
輝度を測定する際の光の進行方法に沿った模式的断面図である。
符号の説明
1 アクリルシート又はフィルム
2 反射シート
3 光源
4 端面(I)
5 端面(O)

Claims (3)

  1. メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むアクリル(共)重合体(A)と可塑剤(B)からなる、厚み2mm以下の薄型導光板用アクリルシート又はフィルムであって、
    可塑剤(B)を含まない以外は上記アクリルシート又はフィルムと同じアクリルシート又はフィルムの21cm光路長の輝度を100%としたときに、可塑剤(B)を含むアクリルシート又はフィルムの輝度が90%以上であり、かつ、
    破断伸度が10%以上であることを特徴とする薄型導光板用アクリルシート又はフィルム。
  2. 請求項1記載のアクリルシート又はフィルムの両面又は片面に、凹凸形状を付与した導光板。
  3. 請求項2記載の導光板を組み込んだバックライトユニット。
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