JP2010024299A - 樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリフェニレンスルフィド(PPS)の耐熱性、耐薬品性、難燃性等の優れた性質に加え、結晶化速度が速く、さらに熱的特性を改善し、流動性の高いPPS樹脂組成物を提供する。
【解決手段】PPS92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%より構成され、示差走査熱量計で降温速度16℃/minにて測定した降温結晶化温度が230〜250℃であることを特徴とする樹脂組成物により解決される。
【選択図】図1

Description

本発明はポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは結晶化速度が速く、かつ加熱時の寸法安定性や加工性が改善されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物及びその製造方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)は、その優れた耐熱性,耐薬品性,難燃性を生かして電気・電子機器部材,自動車機器部材として注目を集めている。また、射出成形,押出成形等により各種成型部品,フィルム,シート,繊維等に成形可能であり、耐熱性,耐薬品性,難燃性の要求される分野に幅広く用いられている。
PPSの製造方法としては特許文献1等に開示されている。しかし、これらの製造方法によるPPSは脆く、成形加工温度(特に金型温度)を高くする必要があることが一般的に知られている。
PPSの加工性を改良する方法として、オリゴマー状エステルを添加する方法(特許文献2)、モノマー性のカルボン酸エステルを添加する方法(特許文献3)、他のチオエーテルを添加する方法(特許文献4)、ポリアルキレングリコールを添加する方法(特許文献5)が示されている。 しかし、いずれの方法においても添加物の耐熱性が乏しいため成形加工時に蒸発ガスや分解ガスが発生したり、添加物が低分子量であるため成形品表面に移行し、添加物が金型表面や成形品表面を汚染する等の問題を有するものである。
一方、PPSは耐熱性が高く結晶融解温度は280℃と高温であるため、流動性を得るためには成型加工の温度を300℃以上の高温とする必要がある。そのため、他の汎用エンジニアリングプラスチックとの複合材料を得ようとすると汎用エンジニアリングプラスチックが分解するため、材料が限定されるといった問題があった。
特公昭45−3368号公報 特開昭62−45654号公報 特開昭62−230848号公報 特開昭62−230849号公報 特開平6−207102号公報
本発明は、PPSの耐熱性、耐薬品性、難燃性等の優れた性質に加え、結晶化速度が速く、さらに熱的特性を改善し、流動性の高いPPS樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
上記の課題は、PPS92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%より構成され、示差走査熱量計で降温速度16℃/minにて測定した降温結晶化温度が230〜250℃であることを特徴とする樹脂組成物により解決される。
本発明のPPS樹脂の用途は、具体的には、繊維、フィルム、樹脂成型物などであって、結晶性や流動性、加熱時の寸法安定性に優れたPPSを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
第一の発明は、ポリフェニレンレンスルフィド92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%より構成され、示差走査熱量分析(DSC)測定で降温速度16℃/minにて測定した降温結晶化温度が230〜250℃であることを特徴とする樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物の主要成分であるPPSは、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、耐熱性の観点から下記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。
Figure 2010024299
またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能である。
Figure 2010024299
本発明の樹脂組成物はPPSが92〜99.9重量%より構成されていることを特徴としている。PPSを92重量%以上とすることで耐熱性、耐薬品性、難燃性等の特性に優れたPPSとすることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれるポリアルキレンテレフタレートとは、ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフタレートのコポリエステル、ポリアルキレンテレフタレートの混合物などが挙げられる。
上記のポリアルキレンテレフタレートとしては、ジオール成分とテレフタル酸成分を用いて得られる重合体が挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2ービス(2′ーヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどおよびエステル形成能を持つそれらの誘導体が挙げられ、1,4ブタンジオール、エステル形成能を有するその誘導体、エチレングリコールまたはエステル形成能を有するその誘導体とテレフタル酸またはエステル形成能を有するその誘導体、を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
中でもポリエチレンテレフタレートは熱安定性に優れ、且つ、比較的安価なポリマーであることからより好ましく用いることができる。
本発明の樹脂組成物はポリアルキレンテレフタレートが0.1〜8重量%より構成されることを特徴としている。ポリアルキレンテレフタレートをこの範囲とすることで、樹脂組成物の流動性および結晶性が飛躍的に向上する(図参照)。本来、PPSは融点が285℃と高く、流動性を得るためには300℃以上に加熱する必要がある。本発明の樹脂組成物とすることで融点は変化しないが融点以上における流動性が飛躍的に向上し、290℃においても流動化することを見出したものである。このような樹脂組成物とすることで成型加工性と寸法安定性を両立することができた。
この原因は明らかではないが、PPS分子間にポリアルキレンテレフタレートが入り込み樹脂組成物を可塑化し流動化していると考えられる。また、ポリアルキレンテレフタレートがPPS分子間に入り込むことで、ポリアルキレンテレフタレートのベンゼン環とPPSのベンゼン環がスタッキングし、冷却時の結晶性を向上させていると考えられる。このようなことから、ポリアルキレンテレフタレートの含有量が0.1重量%より少ないと流動性および結晶性が悪くなる。また、8重量%より多いとPPS樹脂の優れた特性である耐熱性、耐薬品性、難燃性等が得られない。更に、ポリアルキレンテレフタレートが異物となり最終製品の強度が低下する。好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の樹脂組成物は示差走査熱量分析(DSC)測定で降温速度16℃/minにて測定した降温結晶化温度(Tc’)が230〜250℃であることを特徴としている。このような範囲とすることで樹脂組成物の耐熱性が向上し、該樹脂組成物を用いた最終製品の機械的強度が向上する。好ましくは240〜250℃である。
本発明の樹脂組成物はDSC測定で昇温速度16℃/minで測定した昇温結晶化温度は特に限定されないが、昇温結晶化温度(Tc)が130℃以下とすることで成型加工性が向上する傾向にある。
本発明の樹脂組成物は290℃における剪断速度1216sec−1において測定した溶融粘度が200Pa・sec以下であることが好ましい。200Pa・secを超えると成型加工時に不安定な流動状態を発生しやすく、特に溶融紡糸のような自由表面の多い成型を行う際には生産性が悪化する傾向にある。成型温度における溶融粘度を低く抑えることにより流動状態を安定化し、生産性を改善する傾向にあり好ましい。
なお、溶融粘度はキャピラリーレオメーター(東洋精機製作所(株)キャピログラフ1B型)により測定される値である。
以上のようにして得られた樹脂組成物は、結晶化速度が従来のPPSに比べ著しく速いため、低温金型を用いても射出成形によって十分に結晶化し、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物は繊維に成形する際、紡糸温度を下げることができ、また、結晶化速度が速いため延伸工程の熱セット温度も低温とすることができるため、製糸工程の省エネ効果が大きい。また、低温で成型加工や紡糸が可能となるため、口金汚れが従来のPPSと比較して少なくなり、生産性が向上する。
本発明のPPS組成物に必要に応じてガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等のセラミック繊維,アラミド繊維,全芳香族ポリエステル繊維,金属繊維,チタン酸カリウムウィスカー等の補強用充填剤や炭酸カルシウム,マイカ,タルク,シリカ,硫酸バリウム,硫酸カルシウム,カオリン,クレー,パイロフェライト,ベントナイト,セリサイト,ゼオライト,ネフェリンシナイト,アタパルジャイト,ウォラストナイト,PMF,フェライト,ケイ酸カルシウム,炭酸マグネシウム,ドロマイト,三酸化アンチモン,酸化亜鉛,酸化チタン,酸化マグネシウム,酸化鉄,二硫化モリブデン,黒鉛,石こう,ガラスビーズ,ガラスパウダー,ガラスバルーン,石英,石英ガラス等の無機充てん剤および有機,無機顔料を配合することも可能である。
ガラス繊維としては、例えば繊維長1.5〜12mm、繊維径3〜24μmのチョップドストランド、繊維径3〜8μmのミルドファイバー、325メッシュ以下のガラスフレークやガラスパウダーを挙げることができる。
また、ワックス等の離型剤、シラン系,チタネート系のカップリング剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、結晶核剤、発泡剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤等を必要に応じて添加してもよい。
さらに本発明の樹脂組成物に他のポリマーを少量添加し、他の物性を付与することも可能である。添加するポリマーとしては、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリスチレン、ポリブテン、ポリα−メチルスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイロン12,ナイロン11,ナイロン46等のポリアミド、ポリアリレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂などの単独重合体、ランダムまたはブロック,グラフト共重合体およびそれらの混合物またはその改質物等が挙げられる。
次に第二の発明である樹脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物の製造方法はポリフェニレンスルフィド92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%を280〜350℃の温度で溶融混練することを特徴としている。
本発明の製造方法で用いられるPPSは、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、耐熱性の観点から下記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。
Figure 2010024299
耐熱性の点から、上記構造式で示される繰返し単位を70モル%以上、特に90モル%以上を含む重合体であることが好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能である。
Figure 2010024299
本発明の製造方法において、PPSが92〜99.9重量%であることを特徴としている。PPSの供給量をこの範囲とすることで、樹脂組成物のPPS含有量が92〜99.9重量%とすることができ、得られた樹脂組成物は耐熱性、耐薬品性、難燃性等のPPSの優れた特徴を有することができる。
本発明の製造方法で用いられるPPSの形状は特に限定されるものではなく、例えば、ペレット、フレーク、顆粒状、パウダーなどが挙げられる。
本発明の製造方法におけるポリアルキレンテレフタレートとは、ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフタレートのコポリエステル、ポリアルキレンテレフタレートの混合物などが挙げられる。
上記のポリアルキレンテレフタレートとしては、ジオール成分とテレフタル酸成分を用いて得られる重合体が挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2ービス(2′ーヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどおよびエステル形成能を持つそれらの誘導体が挙げられ、1,4ブタンジオール、エステル形成能を有するその誘導体、エチレングリコールまたはエステル形成能を有するその誘導体とテレフタル酸またはエステル形成能を有するその誘導体、を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
本発明の製造方法はポリアルキレンテレフタレートが0.1〜8重量%の範囲で供給すること特徴としている。ポリアルキレンテレフタレートの供給量をこの範囲とすることで、樹脂組成物のポリアルキレンテレフタレートの含有量が0.1〜8重量%とすることができ、樹脂組成物の流動性およぎ結晶性が飛躍的に向上する。
本発明の製造方法で用いられるポリアルキレンテレフタレートの固有粘度は0.5〜1.1であることが好ましい。ここで言う固有粘度はポリアルキレンテレフタレートの分子量に置き換えることもでき、固有粘度0.5〜1.1に相当する分子量は10000〜30000である。固有粘度が0.5より小さいと結晶性が低下する傾向にあり、また、1.1を超えると分散性が低下し樹脂組成物の機械特性が低下する傾向にある。より好ましくは、0.6〜1.0である。
本発明の製造方法で用いられるポリアルキレンテレフタレートの形状は特に限定されるものではなく、例えば、ペレット、フレーク、顆粒状、パウダーなどが挙げられる。
本発明の溶融混練の方法は特に限定されず、公知の加熱溶融混合装置を使用することができる。
加熱溶融混合装置としては単軸押出機、二軸押出機、それらの組み合わせの二軸押出機、ニーダー・ルーダー等を使用することができる。中でも、二軸押出機を用いるとPPSとポリアルキレンテレフタレートの分散性が向上することから好ましく用いられる。より好ましくは、ニーディングゾーンが2箇所以上ある二軸押出機を用いることである。
本発明の製造方法において、混練時のPPSおよびポリアルキレンテレフタレートの混練機への供給方法は特に限定されず、例えば、PPSおよびポリアルキレンテレフタレートを予めブレンドし混練機へ供給する方法、PPSおよびポリアルキレンテレフタレートの各々を計量しながら混練機へ供給する方法、PPSを供給した混練機へポリアルキレンテレフタレートをサイドフィードで供給する方法が挙げられる。
本発明の製造方法は、280〜350℃の温度で溶融混練することを特徴としている。ここで言う温度とは吐出部で計測される樹脂の温度のことである。この温度が280℃より低い温度で混練すると、PPSの溶融粘度が高くなったり、PPSが未溶融となったりするため分散性が著しく悪化し、最終製品の物性を悪化させる。一方、350℃を越えるとポリアルキレンテレフタレートの分解が激しくなり、混練機の口金に分解物が付着し生産性の低下となる。また、得られる樹脂組成物の色調を悪化させたり、最終製品の強度が低下する。好ましくは、285〜330℃、より好ましくは290〜320℃である。
本発明の製造方法において、混練時間は特に限定されないが、0.5〜30分であることが好ましい。反応時間が30分を超えると、ポリマーの変色、熱分解反応が進行し物性低下が顕著となる場合がある。また、0.5分より短いと分散が不十分となりやすく最終製品の強度が十分に得られないことがある。
以下に本発明を実施例で具体的に説明する。
(1)示差走査熱量測定
示差走査熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。まず始めに、320℃で2分間保持して、完全に融解させた後、液体窒素にて急冷し、樹脂中に結晶が残存しない状態とした。続いて50℃から320℃まで16℃/分で昇温し、それに続いて、320℃で2分間保持した後、320℃から50℃まで16℃/分の降温速度で降温したときに観測される発熱ピークの温度を求めた。
装置 :TA Instruments製 DSC Q2000
データ解析:TA Instruments製 ユニバーサル アナリシス 2000
(2)溶融粘度
キャピラリーレオメーターを用いて、孔径1mmφ、L/D=10のダイスを用い、剪断速度1216sec−1 で測定した。
装置 :東洋精機製作所(株)製 キャピログラフ1B型
(3)固有粘度[η]
25℃で、オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃度で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml)、Kはハンギス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(4)、強度(cN/dtex)、伸度(%)
JIS L 1013の方法に準拠し、試長25cm、引張り速度30cm/分の条件で測定した
(5)熱収縮率
熱安定性の指標として熱収縮率を98℃に温度調節された熱水バスで30分間放置後の初期長さに対する熱収縮率(%)として求めた。
また、各原料ポリマーおよびオリゴマーは次の参考例に従って合成した。
(6)MFR
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。
[参考例1]PPS−1の製造
攪拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム水溶液8267g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2925g(70.20モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13860.00g(140.00モル)、酢酸ナトリウム2187g(26.67モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14740gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.023モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10324g(70.24モル)、NMP6452g(65.17モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで攪拌しながら、200℃から250℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、250℃で70分保持した。次いで、250℃から278℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、278℃で78分保持した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら内容物を撹拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく攪拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水76リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水90リットルを、攪拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPS顆粒を得た。得られたPPS−1のMFRは298g/10分だった。
[参考例2]PPS−2の製造
p−DCBの仕込量を10250g(69.76モル)とした以外は参考例1と同様にして行った。得られたPPS−2のMFRは168g/10分だった。
[参考例3]PET−1の製造
高純度テレフタル酸(三井化学社製)1000gとエチレングリコール(日本触媒社製)450gのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約1230gが仕込み、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の1230gを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、三酸化アンチモンを230ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで撹拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。
最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し、重縮合反応を停止して、冷水中にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてPETチップ1000gを得た。得られたポリマーのIVは0.65であった。
[参考例4]PET−2の製造
所定の攪拌トルクを変更した以外は参考例3と同様にして重縮合を行い、IV=0.51のPETチップ1000gを得た。
[参考例5]PETオリゴマー(以下、BHT)の製造
高純度テレフタル酸(三井化学社製)1000gとエチレングリコール(日本触媒社製)450gのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約1230gに仕込み、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行った。
反応終了後、1230gをステンレス製のバットに吐出、空冷したのち粉砕してPETオリゴマー粉末を得た。得られたポリマーのIVは0.32であった。
[参考例6]ナイロン6の製造
固形分濃度80%のε−カプロラクタム水溶液4000gを全容量10Lのリボン翼攪拌機付きバッチ重合缶に仕込み、昇温−加圧、放圧、減圧後、溶融ポリマーをストランド状に押出し、さらにカッティングしてナイロン6チップを得た。これを95℃の湯浴中で抽出処理後、90℃で減圧乾燥し、ηr=2.7の原料ナイロンチップ3000gを得た。
実施例1
PPS顆粒97重量%およびPETチップ3重量%を300℃に加熱されたニーディングゾーンが2箇所有したベント式2軸混練押出機に供給して、せん断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出した。混練時の樹脂温度は300℃であった。混練機より冷水中にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてPPS97重量%およびPET3重量%であるポリマーチップを得た。
得られたポリマーチップの熱特性をDSCで測定したところTc=127℃、Tc’=243℃であった。DSC曲線を図1に示した。また、溶融粘度は118Pa・secであった。
次いで、得られたポリマーチップを150℃で10時間、真空乾燥し、2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度300℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は295℃、口金口径0.23mm、口金孔数24ホール、1000m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。5時間紡糸した結果、糸切れ回数は0回であり紡糸性は良好であった。
次いで得られた未延伸糸を、延伸温度90℃、熱処理温度170℃、延伸倍率2.6倍で延伸した。延伸時の糸切れ回数は0回であり延伸性は良好であった。
得られた延伸糸は強度3.8cN/dtex、伸度35%であり、熱収縮率は5.1%であり、寸法安定性の良好な糸であった。得られた糸物性を表1に示した。
実施例2〜4
PPSとPETの比率を表1に示した比率に変更した以外は実施例1と同様にして行った。得られた糸物性を表1に示した。
実施例5
PPS−1をPPS−2に変更した以外は実施例3と同様にして行った。得られた糸物性を表1に示した。
実施例6
PET−1をPET−2に変更した以外は実施例3と同様にして行った。得られた糸物性を表1に示した。
Figure 2010024299
比較例1
PPS顆粒のみをベント式2軸押出機に供給して、実施例1と同様にして溶融押出しPPSチップを得た。
得られたチップの熱特性をDSCで測定したところ、Tc=137℃、Tc’=225℃であった。DSC曲線を図1に示した。また、せん断粘度を測定しようとしたが、290℃では流動性がなく測定することができなかった。
得られたPPSチップを実施例1と同様にして紡糸を行ったが、パック圧力が上昇し糸が吐出されず紡糸することができなかった。
比較例2
PPS90重量%およびPET10重量%に変更した以外は実施例1と同様にして行った。紡糸工程ではバラスが発生し、糸切れが多発した。また、延伸工程でも糸切れが多発した。得られた糸は強度が低いものであった。
比較例3
PETをナイロン6に変更した以外は実施例3と同様にして行った。結果を表2に示す。得られた繊維の強度が低下し、更に熱安定性が悪いものであった。
比較例4
PETをBHTに変更した以外は実施例3と同様にして行った。結果を表2に示す。得られた繊維の強度が低下し、更に熱安定性が悪いものであった。
Figure 2010024299
実施例7、8および比較例5
混練温度を表3に示した温度に変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。本願請求の範囲内では強度が高く熱安定性の良好な繊維を得ることができた。一方、混練温度が高いものは混練時や紡糸時の口金汚れが多く糸切れが発生した。また、強度が低下する傾向であり、熱安定性が悪化した。
Figure 2010024299
DSC曲線
符号の説明
1:実施例1 PPS/PET混練チップ 昇温時熱量曲線
2:比較例1 PPS混練チップ 昇温時熱量曲線
3:実施例1 PPS/PET混練チップ 降温時熱量曲線
4:比較例1 PPS混練チップ 降温時熱量曲線

Claims (6)

  1. ポリフェニレンレンスルフィド92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%より構成され、示差走査熱量分析(DSC)測定で降温速度16℃/minにて測定した降温結晶化温度が230〜250℃であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 290℃で剪断速度1216sec−1において測定した溶融粘度が200Pa・sec以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. ポリアルキレンテレフタレートがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. ポリフェニレンスルフィド92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%を280〜350℃の温度で溶融混練することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリアルキレンテレフタレートの固有粘度が0.5〜1.1であることを特徴とする請求項4記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. ポリアルキレンテレフタレートがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項4または5記載の樹脂組成物の製造方法。
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